著者
玉井 幸恵 清水 智美 永井 文乃 熊谷 晶子
出版者
一般社団法人 日本女性科学者の会
雑誌
日本女性科学者の会学術誌 (ISSN:13494449)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.33-38, 2015-03-27 (Released:2015-03-31)
参考文献数
10

唾液は、血液に比し、非浸襲、安全に採取でき、特にストレス研究において注目されている。唾液ストレスマーカーとして、α-アミラーゼ活性やクロモグラニンAが知られているが、これらの研究は急性期ストレスに限られ、長期的ストレス状態緩和での研究はほとんどなされていない。今回、海岸ウォーキングストレス緩和法について検討した。唾液アミラーゼ活性、血圧測定、ストレス心理テストをウォーキング前後で実施した。約40名の唾液サンプルのうち、アミラーゼの活性がウォーキング後に低下していた3サンプルについて、解析を試みた。唾液アミラーゼ分子について抗体を用いウェスタンブロッティング、ドットブロット分析を行った。これらの結果から、アミラーゼ活性の減少は、唾液腺からの分泌低下というより、別の因子による可能性が示唆された。現在、これらバイオマーカーに関してプロテオーム解析を継続中である。
著者
澤ロ 隆 清水 以知子
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.108, no.5, pp.XI-XII, 2002 (Released:2010-12-14)
参考文献数
2

走査型レーザー顕微鏡(laser scanning micro-scope, LSM)は単色光であるレーザーを光源とする光学顕微鏡である. レーザーによる像は, 光電変換によりデジタル画像としてパソコン上に格納されるので, 画像処理による岩石組織の可視化に適している(詳細は清水・島田(2002)を参照). 今回使用したLSMは, オリンパス光学工業(株)のFLU-OVIEWである. ここでは北海道日高変成帯, 幌満カンラン岩体のマイロナイト化したハルツバーガイトの観察例を紹介する. 鏡面研摩した薄片を40%ニフッ化アンモニウム水溶液に浸し, 結晶粒界を10分間エッチングしている.反射モードでは共焦点光学系がもちいられているため, 走査像には反射強度のほか, 試料面の傾きや凹凸についての情報が含まれている(図1a). 表面反射率をマッピングするには, 試料ステージを深さ(z)方向に変化させたたときの最大輝度をステージに平行な面(xy面)に投影する(図1d,図2b). 透過モードの画像(図2a)では, 赤(レーザー波長647nm)・緑(568 nm)・青色(488 nm)の偏光像を重ね合わせ, 干渉色を表している. LSMにおける干渉色は, 単なる写真の代用にとどまらず, 鉱物の光学的性質そのものを数値化した色情報として利用できる。
著者
上田 祐也 清水 祐一郎 坂口 明 坂本 真樹
出版者
特定非営利活動法人 日本バーチャルリアリティ学会
雑誌
日本バーチャルリアリティ学会論文誌 (ISSN:1344011X)
巻号頁・発行日
vol.18, no.4, pp.455-463, 2013

In medical interviews, Japanese patients often use onomatopoeia such as "zuki-zuki" and "gan-gan" to express their pains or medical conditions. Using onomatopoeia when expressing pain enables simpler and more direct expressions than normal language as well as expresses the quantity (level/intensity) and quality (location/depth) of the pain. However, the subtle differences in characteristics of pain (such as quality), for example between "zeh-zeh" and "zero-zero", are difficult to grasp accurately. Although grasping these differences accurately is said to be critical, it depend on the level of skill of a doctor. So in this study, we constructed a system which supports communication between patients and doctors by evaluating meanings expressed by onomatopoeia. When a user inputs Japanese onomatopoeia, our system estimates quantities and qualities of pains using the relationships between the sounds used in the onomatopoeia and meanings expressed by 35 rating scales such as "sharp - dull", "strong - weak", and "deep - shallow". Visualizing of pains will help to compare between conventional onomatopoeic words such as "zeh-zeh" and novel words such as "zero-zero".
著者
河野 俊行 小島 立 清水 剛 加賀見 一彰 寺本 振透 原 恵美 松下 淳一 JURCYS PAULIUS
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2011-04-01

知財ファイナンスをグローバルな観点から見た場合に関係する制度としての知財担保の適切な扱いのために必要な国際私法ルールと方法論を分析した。実態調査を行うとともに、法と経済学の手法による分析を行った結果、①統一法と国際私法の関係に関する一般的な理解には問題があり、一定条件のもとでは国際私法が優位性を持つことを証明した。②また国際私法の統一及び属地性に関する横断的な考察を通じて、伝統的議論に見直すべき点が少なからずあることを示した。③そして学際的なチームにより知財担保を多角的観点から分析し、新たな提案を行った。英文で公表し反響も確認できた。またイノベーションに向けた研究へのパースペクテイブを開いた。
著者
佐川 賢 清水 豊
出版者
一般社団法人日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.19-28, 1995-02-01
被引用文献数
13

CRT画面上に呈示したパターンを用いて色彩パターンに対する人間の心理評価を(1)色彩領域の占有面積, (2)配色数, (3)色彩領域の分布, の点から検討した。全体で7つの色(赤, 緑, 青, 黄, シアン, マジェンタ, 白)が16×16のマトリクスパターン上に種々の面積, 配色数, 色彩領域の分布の規則度を変えながら配分され, 観測者はこれらのパターンについての心理評価をパターンの物理的な特性に関する評価として規則性(色彩配置の周期性), まとまり(色彩配置のかたまり具合)の2評価, さらに視覚心理の高次な判定に関する評価として, 調和, 好み, 快適性, の3評価の合計5つの項目について10点尺度で答える。実験は実験1〜4に分かれ, それぞれ(1)単一色の面積率の効果, (2)配色数の効果, (3)分布の規則度の効果, (4)これら3つの複合効果, の4つ効果を検討した。結果を総合すると, 快適性の評価値は占有面積が増えるとともに, また配色数が多くなるとともに低下するが, 分布の規則度が増すととも上昇することを示した。分布の規則度と快適性評価値との高い相関は, パターンの自己相関係数と観測者の評価値との比較においても確認された。また, 本研究で採用した5つの評価項目は, 主成分分析の結果いずれも快適性と相関が高いことが判明し, 色彩パターンの心理的な快適性の評価に有効であることが判明した。
著者
清水 誠治
出版者
社会言語科学会
雑誌
社会言語科学 (ISSN:13443909)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.52-62, 2001-03-30

愛媛県東宇和郡西部地域におけるアクセントの実態を,高年層,壮年層,若年層という三つの世代差に着目して見て行く.まず,この地域には,高年層に,a.伝統的な方言アクセントと,b.その方言アクセントの区別が実現型の上だけに現われて型意識の上には現われない(型の対立が知覚されない)もの,そして,C.無アクセントの3タイプが見られる.次に,各世代間を比較すると,高年層と壮年層の間では,無アクセント化の度合いが,一方,壮年層と若年層の間では,共通語アクセント化の度合いが,それぞれ変化の指標になることがわかる.そして,その変化の進度には,上の世代の体系からの影響があり,壮年層での無アクセント化は,高年層で対立の要素の少ない部分(品詞・拍数)から進み,若年層での共通語アクセント化は,壮年層で対立のない部分で進みにくいという傾向がある.また,若年層では,共通語化が,実現型の上には見られるが,型意識の上には現われていないことがある.このことと,高年層の実態を合わせて見ると,型の意識と実現型との間に,型の対立の消失の変化においては型意識が実現型に先行してなくなり,一方,型の獲得の変化においては型意識より実現型が先行して獲得されるという傾向があると考えられる.
著者
粟野 皓光 清水 裕史 筒井 弘 越智 裕之 佐藤 高史
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. VLD, VLSI設計技術 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.324, pp.85-90, 2011-11-21

ランダムテレグラフノイズ(Random Telegraph Noise: RTN)は微細デバイスの信頼性や回路特性に関わる物理現象であり,様々なモデル化手法が提案されている.閾値電圧の変動幅と変動時定数は,種々のモデルに共通する特に重要なパラメータであるが,測定データからこれらを求めることは困難な課題となっている.本研究では,キャリアの捕獲と放出の過程を統計的モデルとして表現し,マルコフ連鎖モンテカルロ法(MCMC)を用いて各パラメータをベイズ推定する手法を提案する.人工的に生成したRTN信号に提案手法を適用し,良好な結果が得られたが,実測信号については課題も見られた.
著者
三船 温尚 清水 克朗
出版者
富山大学
雑誌
高岡短期大学紀要 (ISSN:09157387)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.97-131, 1996

平成6年から爵を中心とした青銅器調査を,京都大学文学部博物館(京都市),黒川古文化研究所(西宮市),泉屋博古館(京都市),久保惣記念美術館(和泉市),東京国立博物館(台東区),東京大学文学部考古学陳列室(文京区)などで行った。爵の他,〓,角,觚など黄河流域における初期青銅器約50点について,合范痕跡周辺を調査観察した。本稿はこのうち,爵の柱,〓,器身,脚の調査報告を中心とし,併せて今だにその詳細が解明されていない,具体的な爵の鋳型分割方法を考察するものである。
著者
清水 創太 Burdick Joel W.
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学會論文集. C編 (ISSN:03875024)
巻号頁・発行日
vol.73, no.733, pp.2591-2596, 2007-09-25
被引用文献数
1

This paper aims at acquiring robust feature for rotation-, scale-, and translation-invariant image matching from a space-variant image by a fovea sensor. A proposed model of eccentric compensator corrects deformation in a log-polar image when the fovea sensor is not centered at a target image, that is, eccentricity exists. An image simulator in discrete space implements this model by its geometrical formulation. This paper also proposes Unreliable Feature Omission (UFO) using Discrete Wavelet Transform. UFO reduces local high frequency noise appeared in the space-variant image when the eccentricity changes. It discards coefficients when they are regarded as unreliable, based on digitized errors of the input image by the fovea sensor. The first simulation estimates the compensator by comparing with other polar images. This result shows the compensator works well and its root mean square error (RMSE) changes only by up to 2.54 [%], in condition of the eccentricity within 34.08 [°]. The second simulation shows UFO works well for the log-polar image remapped by the eccentricity compensator, when white Gaussian noise (WGN) is added. The result by Daubechies (7, 9) biorthogonal wavelet shows UFO reduces the RMSE by up to 0.40 [%] even if the WGN is not added, when the eccentricity is within 34.08 [°].
著者
森 定雄 高山 森 後藤 幸孝 永田 公俊 絹川 明男 宝崎 達也 矢部 政実 高田 かな子 杉本 剛 清水 優 長島 功 長谷川 昭 仙波 俊裕 大島 伸光 前川 敏彦 杉谷 初雄 大関 博 中橋 計治 日比 清勝 大谷 肇 中村 茂夫 杉浦 健児 田中 鍛 荻原 誠司 勝野 保夫 大久保 哲雄
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.95-101, 1996-01-05
被引用文献数
10 6

SEC専門部会傘下26測定機関でサイズ排除クロマトグラフィーによる高分子の分子量の共同測定を行った.試料はポリスチレン(PS)4種類, ポリメタクリル酸メチル(PMMA)2種類である.較正曲線作成用標準試料を配布し, 試料溶液の濃度, 注入量を規定するとともに, クロマトグラムベ-スラインの引き方を統一し, 又較正曲線は3次近似とした.その結果, かけ離れた数値を棄却した場合の相対標準偏差(RSD)はPSでは数平均分子量で13.7〜15.8%, 重量平均分子量で5.0〜5.8%.PMMAではそれぞれ11.9〜13.3%, 10.9〜11.3%であった.前回のラウンド口ビンテストと比較し, RSDが改善された様子は認められなかったが, 測定条件の不備による, 大きくかけ離れたデータがなくなった意義は大きい.RSDが改善されなかった理由の一つはベースラインに引き方の統一が完全でなかったことである.異なる検出器を使用した場合, 又異なるメーカーの標準試料を用いた場合, RSDが大きくなるようである.
著者
清水 康弘 安井 利昭 長谷川 航 大成 忍 白石 真貴夫
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会九州支部会報 (ISSN:02853507)
巻号頁・発行日
no.79, pp.1-3, 2013-05-15

極早生〜早生品種を比較した結果,高温登熟条件下で品質低下が少なく,収量性が高く,良食味である「つや姫」が有望であり奨励品種に採用した.
著者
關 雄二 井口 欣也 坂井 正人 鵜澤 和宏 米田 穣 清水 正明 長岡 朋人
出版者
国立民族学博物館
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本プロジェクトでは、アンデス文明初期にあたる形成期(前3000年~紀元前後)に焦点を絞り、ペルー北高地に位置するパコパンパ祭祀遺跡を調査し、遺構、出土遺物の分析を考古学のみならず理化学を含む分野横断的体制の下で進め、経済面以上に、イデオロギー面基盤を持つ社会的リーダーが紀元前800年頃に出現したことをつきとめた。またその権力形成過程や基盤に地域的多様性が認められることが判明した。この成果はアンデス以外の世界の古代文明においても適用できる可能性があり、その点で唯物史観に依存してきた文明研究に新たな視座を与えることができたと考えられる。

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著者
平岡 秀一 塩谷 光彦 狩野 直和 川島 隆幸 川上 厚志 牧野 淳一郎 中村 栄一 磯部 寛之 尾中 敬 岡 良隆 上野 啓司 島田 敏宏 小間 篤 東山 哲也 濱口 宏夫 清水 裕子
出版者
東京大学大学院理学系研究科・理学部
雑誌
東京大学理学系研究科・理学部ニュース
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.4-12, 2002-09-17

金属イオンを自在に並べる/有機ケイ素化合物におけるケイ素の配位数の制御/小型熱帯魚ゼブラフィッシュの変異体を用いた遺伝子ハンティング/GRAPE-6とゴードン・ベル賞/フラーレンの基礎n学て妬くナノバイオテクノロジー/赤外線衛星観測と衛星冷却望遠鏡/やる気を起こさせる神経メカニズム/有機分子ナノ構造のシリコン基板上への自己組織化形成/植物の受精のしくみを解き明かす/酵母生細胞の時空間分解ラマン分光/マカク細胞の加齢に関する研究