著者
大隈 節子 清水 一巳 OKUMA Setsuko SHIMIZU Kazumi
出版者
三重大学教育学部
雑誌
三重大学教育学部研究紀要, 自然科学・人文科学・社会科学・教育科学 (ISSN:18802419)
巻号頁・発行日
vol.65, pp.131-140, 2014-03-31

本研究は運動部活動と高校生のアイデンティティとの関連性について検討するために、エリクソンによって定式化された自我の発達段階図式に則り、心理社会的発達課題の達成状況を測定評価するために開発された質問用紙EPSI(全8段階56項目)の中から選択した8項目について男女別に運動部所属者、文化部所属者、無所属者で比較検討を行った。男子においては8段階中の6段階について、女子においては7段階の発達課題において運動部所属者の方が有意に達成傾向にある者の割合が多いという結果であった。
著者
鈴木 聡 森松 博史 江木 盛時 清水 一好 松崎 孝 佐藤 哲文 片山 浩 森田 潔
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.215-220, 2011-04-01 (Released:2011-10-05)
参考文献数
16
被引用文献数
1 1

術後の発作性心房細動の発生は,ICUや病院滞在日数,医療費の増加につながることが報告されており,その管理は重要である。我々は,食道癌術後に難治性の発作性心房細動を合併し,短時間作用型β1選択的遮断薬である塩酸ランジオロールを使用した7例を経験した。症例は51~87歳で,いずれも男性であった。複数の抗不整脈薬が無効であり,塩酸ランジオロール投与を開始した。初期の急速投与は行わず,4.3~33.5μg/kg/minと低用量の範囲で開始し,投与前と投与1時間後の心拍数は平均153[140, 167][95%信頼区間] /minから101[88, 116] /min(P<0.0001)と有意な低下を認めた。平均血圧は88[78, 94] mmHgから82[74, 89] mmHg(P=0.37)と有意な変化を認めず,重症な低血圧に陥る症例もなかった。6例では投与開始24時間以内に洞調律に回復した。複数の抗不整脈薬に抵抗性の食道癌術後発作性心房細動に対する低用量の塩酸ランジオロール投与は,大きな血圧の低下なく心拍数の安定をもたらした。
著者
廣瀬 智博 上 芳啓 清水 龍人 薮谷 誠 森本 喜隆
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会誌 (ISSN:09120289)
巻号頁・発行日
vol.80, no.10, pp.944-949, 2014-10-05 (Released:2014-10-05)
参考文献数
20
被引用文献数
2 4

The machining of lens array mold for optics is attracting attention for fabricating camera lens modules. The profiles of axisymmetric aspheric lenses ranging from 1 to 5 mm in diameter are regularly arranged on lens array molds, allowing multiple optical lenses to be molded simultaneously. An ultra-precision machine tool for machining the lens array mold that has high-speed motion and high-accuracy positioning is needed. To solve this problem, we developed an ultra-precision 5-axis machine tool. In this paper, this machine tool was evaluated by high speed machining of the lens array mold. A surface roughness of within 2 nm and a form accuracy of within 0.1μm have been achieved using the shaper machining. The performance of the machine tool and the evaluation results for the machined mold are reported herein.
著者
清水 惠枝
出版者
記録管理学会
雑誌
レコード・マネジメント : 記録管理学会誌 (ISSN:09154787)
巻号頁・発行日
no.54, pp.30-40, 2007-12-25

これまで公文書館の設置は、歴史資料保存運動や自治体史編纂事業と関連付けられ、資料保存に力点をおいて進められてきた。このことから公文書館の性格は文化的側面が強調されてきた傾向がある。しかし、近年では社会の変容とともに、公文書館が担う役割に変化が生じ、公文書館の趣旨に行政的な側面が表れるようになった。そのような傾向であるにもかかわらず、公文書館の組織における権限や位置付けは弱く、業務基盤が貧弱である。非現用の文書を扱う公文書館が行政的な役割を担うには、自治体と公文書館で同一の情報資源を扱うことを考慮した業務が図られなければならない。公文書館が行政情報を着実に蓄積して恒久的にそれを提供することにより、住民の行政参画が促進され、より民主的な自治運営が期待される。
著者
清水 陽子 中山 徹
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.60, no.5, pp.499-509, 2009

With a view to ascertaining how students live in the regional community and clarifying the factors for students to be able to take an active part in activities as a member of the community, this research focuses on relation between a university student who lives alone and neighborhood association which is part of the communication system linking the municipality and its residents. The investigation was made in November-December 2007 in a central district of Nara City, and the findings are as follows: 1. The university student had little contact with the neighborhood association. 2. There was little opportunity for the students to join the regional association. 3. There was no common view that existed between the association chairman and the student. 4. The two parties, however, shared an interest with respect to the association membership as well as revamping the community. 5. It is, therefore, desired that the university should encourage students to learn to live with the community.
著者
上野 雄己 鈴木 平 清水 安夫
出版者
一般社団法人 日本健康心理学会
雑誌
健康心理学研究 (ISSN:09173323)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.20-34, 2014
被引用文献数
1

This study aimed to develop a psychological resilience model for university athletes (PRMUA). University athletes (<i>N</i>=377; 188 men and 189 women, Mean age=19.70 years, <i>SD</i>=1.20) participated in the study. They completed a questionnaire comprising of socio-demographic questions and questions on resilience, resilience efficacy, stressors, stress response, and self-esteem. Structural equation modeling was used to examine the hypothetical mediation model of PRMUA, which indicated that fit indices of the model satisfied statistical requirements (GFI=.99, AGFI=.94, CFI=.99, RMSEA=.08, AIC=48.32, BCC=48.93). Moreover, each path of PRMUA had a significant influence on each variable. Findings of this study partially supported our hypotheses regarding PRMUA. Further research is needed to clarify the nature of resilience. Moreover, longitudinal research is needed to develop practical uses for the model, such as increasing and predicting the resilience of athletic club members.
著者
清水 洋平 舟橋 智哉
出版者
大谷大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

従前の科研プロジェクト「タイ国中部地域の王室寺院が所蔵する東南アジア撰述仏教説話写本の研究」を承け、その研究課題の中で作成した同地域の寺院が所蔵する貝葉写本の文献タイトルのみを記した所在目録を改善した。個々の文献の写本資料としての資質が整理され、文献ごとに様々な既出の所在目録との横断的な整理がなされた一次資料の所在目録及びデータベースを構築した。これらを活用し、仏教説話文献をより深く探究する手段として、その鍵となる「アーニサンサ(anisamsa)」と呼ばれる、一群の積徳行に関わる未開拓の釈義文献の文献学的研究をスタートさせることができた。
著者
石川 博康 神林 崇 清水 徹男
出版者
医学書院
雑誌
精神医学 (ISSN:04881281)
巻号頁・発行日
vol.56, no.9, pp.807-814, 2014-09-15

抄録 親権とは子の身分上および財産上の広い権能を含むことから,法理上能力者でなければ行うことができないとされる。制限行為能力者は,未成年者と成年後見制度の審判を受けた者に大別され,後者には成年被後見人などが含まれる。前者では民法の成年擬制か親権代行の規定により家庭裁判所の関与がなくとも基本的に子の権利は保護されるが,対照的に後者では成年後見制度の適用が申請主義であるため状況が異なり,能力を欠く不適格者が親権者と誤認される事態も起こり得る。 事実上親権を行う者がいない場合,必ずしも親への成年後見制度適用がなくとも未成年後見の申立てが可能である。児童虐待の対応においても,親の親権能力に注意を向ける意義がある。
著者
中山 実 實松 北斗 清水 康敬
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-情報処理 (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.83, no.1, pp.225-233, 2000-01-25
参考文献数
14
被引用文献数
11

教育情報の検索や分類を行うために, 学習指導要領と指導書に出現する用語の頻度を分析し, 教科と用語との関係や用語間の関連を検討した.用語の教科に対する出現の有無から, 用語と教科の特徴ベクトルを特異値分解によって抽出した.これらの性質を調べたところ, これらの特徴ベクトルを用いることによって, 用語の分類や教科内容の推定に利用できることを示した.また, 自己組織化マップを用いて, 教科内容と用語の特徴を示すコードブックベクトルを求めた.これによって, 教科内容と用語を2次元空間内に配置し, それぞれの関係を図示する手法を検討した.更に, 教科内における学年内容と用語の関係を図示したり, 内容の推定に利用できることを示した.
著者
岩清水 伴美 鈴木 みちえ 三輪 眞知子
出版者
聖隷クリストファー大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

A市をモデル地区に保育者の認知的スキルに働きかける虐待予防と支援技術向上プログラム開発とその評価をすることを目的に研究を実施した。教育プログラムは、保育者への調査をもとに作成した。プログラム内容は、虐待への理解、虐待による子どもへの影響、保護者への支援方法、子どもへの支援方法、事例検討である。教育プログラムを受講した40名の保育者は、受講前後の調査により虐待の知識と虐待対応の意識は有意に高くなり、子どもへの対応の視点も具体化した。

1 0 0 0 OA 秩序と調和

著者
清水 晴生
出版者
白鴎大学
雑誌
白鴎法學 (ISSN:13488473)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.1-65, 2013-05
著者
清水 正博
出版者
地域農林経済学会
雑誌
農林業問題研究 (ISSN:03888525)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.336-342, 2010 (Released:2012-04-06)
被引用文献数
1 1

Under the theme of fostering regional brands in the retailing world, this article examines the case of the Osakamon brand vegetables sold at supermarkets in Japan. The Izumiya Group has a network of more than 100 stores, of which more than 50 are supermarkets mainly in Osaka. Its business policy is community-based retailing, and it seeks to achieve a merchandise mix and selling method that is just right for the regional characteristics and lifestyle of customers living there. In this effort, it has begun to sell Osakamon brand vegetables. This article defines the characteristics of the purchasers by analyzing the sales data of the Osakamon brand, and examines the merits and demerits for the retailers handling such local vegetables. Also, it considers the challenges for retailers found in the examination, and shows the role of farm producers and government.
著者
赤羽 学 今村 知明 高野 裕久 上田 佳代 清水 厚
出版者
奈良県立医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

我々がこれまでに確立したインターネットを介した健康調査システムを用いて、アレルギー症状を日々収集し、黄砂飛来量・花粉飛散量との関係をみた。各症状の有無を従属変数とし、対象者の性別、年齢と各調査日の最高気温、湿度、黄砂量を共変数として一般化推定方程式を用いて分析した。アレルギー症状の有症状率は2月上旬から増加傾向を示し、黄砂の大量飛来日を起点として増加していた。黄砂量と関連が強かった症状は、鼻水、咳、目のかゆみであった。本研究では、黄砂によってアレルギー症状が誘発されている可能性が示唆されただけでなく、花粉症患者においては花粉飛散量と不眠にも関連があることが判明した。
著者
高橋 克 清水 章 菅井 学
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

我々は、新規BMP拮抗分子USAG-1欠損マウスにおいて、歯数が増加するphenotypeを見出した。歯数増加は上顎切歯において解析したUSAG-1欠損マウス25例中全例で認められたため、以下の解析は、上顎切歯部において行った。胎生13週から生後3日まで、同部位をHE標本を用いて、組織学的評価を行った。野生型では、痕跡的な乳切歯が胎生15週まで発生が進むが、以後縮小、消失して行くのに対し、USAG-1欠損マウスでは、胎生15週以降も発生が進み、一部エナメル質形成を伴った歯牙の形成を認めた。胎生15週でTUNEL法にてApoptosisを比較したところ歯間葉細胞おいて多く認められ、過剰歯は、同部でUSAG-1欠損によりBMPの機能が亢進されたため歯間葉細胞のApoptosisが抑制されたためと考えられた。痕跡的な乳切歯の歯上皮細胞ではBMP2,BMP4,BMP6、また歯間葉細胞ではBMP4,BMP6の発現が認められた。また同部の歯間葉細胞ではリン酸化smad1/5/8抗体陽性細胞数がUSAG-1欠損マウスで有意に多く、whole mount in situ hybridization法ではBMPシグナリングの下流の分子であるMsx1とDlx2の発現の充進が認められた。USAG-1欠損マウスの上顎切歯部の器官培養において歯数増加を認めたが、BMP拮抗分子の一つであるnogginを添加したところ、歯数増加のphenotypeはrescueされ正常な歯数となった。以上の結果より過剰歯の形成は、同部でUSAG-1欠損によりBMPの機能が亢進されたためと考えられた。ヒトにおいても痕跡的な第3歯堤の存在が報告されており、USAG-1を標的分子として歯牙再生を目指す新しいアプローチとなる可能性を示唆した。
著者
篠 憲二 清水 哲郎 座小田 豊 野家 啓一 戸島 貴代志 荻原 理 川本 隆史 熊野 純彦
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

本研究は、規範概念である<幸福>の具体的内実を、人間についての自然科学的・社会科学的諸事実から「導出」し得るとは考えないが、他方で、人間存在の成立諸条件の考察を通じて幸福の所在を或る程度まで突き止める余地のあることを認める。実際、人間存在の生物学的基底に人間のネオテニー性が存し、これが文化のマトリクスとして機能し続けていることが解明されたのは、本研究にとって大きな一歩であった。現代社会において広く共有されている幸福観・幸福感の多くが、それぞれ、それを抱いているひと自身が深くコミットしている態度・立場に照らしても、実は問題含みであることが明らかになった。それは一つには、「生を物語る」という視点が鍛え上げられていないからである。本研究によって、well-beingに関わる情緒とことばを研ぎ澄ませるためのモラリスト的考察が豊かに結実した。哲学史的には、プラトン、アリストテレスが「このひとの生」をいかに問題化したか、フィヒテ、ヘーゲルの説く、普遍性への志向が人間の完成の課題遂行の要であること、レヴィナスの<享受>と<傷つきやすさ>の概念が新たな倫理学の地平を拓きつつあることが明らかになった。本研究の具体的・実践的場面への適用は多岐にわたるが、そこで明らかになった主なことは以下の通り。第一に、医療の倫理の現場で、患者の意向の把握は、患者の生の物語りの総体的理解を実は背景にせざるを得ないこと、そして患者の生の物語りが患者を取りまく人々の生の物語りと絡み合っていること。第二に、農村風景をいかに修景するかを考える上で、農村風景を一種の物語りとして捉え、<享受>と<傷つきやすさ>を考慮する必要性。第三に、科学技術はこれに直接は携わらない人々を含む社会全体のwell-beingに深く関わるが、それは技術がもつ見えにくい政治性によってであること。