著者
清水 新二
出版者
日本家族社会学会
雑誌
家族社会学研究 (ISSN:0916328X)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.47-60, 2005-02-28 (Released:2009-08-04)
参考文献数
31

家族の多面的リアリティに即して, 「ストレス発生の場」としての “おそろしい家族”の側面と, 「ストレス緩和の場」としての家族保健機能の両面から, さらに自分物語を構築するという上での関係性の観点から, 現代家族の意義と意味を検討した。具体的データを参照しつつこの検討を通じて, なぜ夫婦/パートナー, 家族関係が人々の間で「一番大切なもの」と意識されるのかを実利的ならびに意味的観点から論じた。私事化, 高齢社会という社会的背景を考慮すると, 夫婦/パートナー, 家族がコンボイとしてなおしばらくは中核を占めることが考察された。
著者
岡田 裕之 清水 良幸 吉川 悦次 江田 英雄 尾内 康臣
出版者
特定非営利活動法人 日本レーザー医学会
雑誌
日本レーザー医学会誌 (ISSN:02886200)
巻号頁・発行日
pp.jslsm-36_0015, (Released:2015-04-30)
参考文献数
23

高周波領域非可聴音を含む音楽の刺激で若中年者と健常高齢者にハイパーソニック・エフェクトが発現するか,PET (Positron Emission Tomography)による脳イメージング,脳波(Electroencephalogram:EEG)計測を用いて検証した.対象は平均年齢36.8 歳SD±7.7 歳(27 歳~48 歳),男性3 名,女性5 名,合計8名の若中年者健常ボランティアと平均年齢 77.6 歳SD±4.1 歳(72 歳~88 歳),男性5 名,女性10 名,合計15 名の健常高齢者である.高周波領域非可聴音刺激は脳幹を刺激し,後頭葉のα波を増大させたことから,ハイパーソニック・エフェクトは若年者だけてなく高齢者においても発現することが分かった.
著者
財部 倫孝 清水 將吾 石原 靖哲 伊藤 実
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告データベースシステム(DBS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2000, no.10, pp.61-68, 2000-01-24

従来の確率的データベースモデルは,データベース中の各タプルに対して実際にそのタプルが存在する確率を付加するというものが一般的であった.しかしこのようなモデルではタプル間の依存関係,例えばある二つのタプルの少なくとも一方がデータベース中に存在するという関係にあることを表現できない.そこで本稿では,Imielinskiらによって提案されたconditional tableを基本的枠組として採用し,conditional table中に現れる各変数を確率変数として扱うことによって,タプル間の依存関係を表現できるような確率的データベースモデルを提案する.In the conventional models of probabilistic databases, the probability of existence of each tuple is attached to the tuple. However, these models are not able to represent dependency among tuples, e.g., there is at least one tuple in a database. In this paper, we propose a probabilistic database model which is able to represent dependency among tuples. For that purpose, we adopt conditional tables proposed by Imielinski et al. as a standard framework, and treat each variable which appears in a conditional table as a random variable.
著者
清水 陽 冨田 俊一 杉山 博幸 吉川 武志 川俣 正一
出版者
社団法人 日本印刷学会
雑誌
日本印刷学会誌 (ISSN:09143319)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.108-113, 1996-03-31 (Released:2010-09-27)
参考文献数
3

The motion of the sheet of paper which falls down freely, is analyzed by the method of dynamics. In the previous work, we discussed the motion of the sheet of paper which goes inside the delivery unit of printing machine and rotates around a cylinder. In those cases, no outer force was considered except the force pulling the edge of a sheet of paper. In this work, we considered the outer forces, gravity force and fluid force. Generally, the analysis of the flow around the object is very complicated, and the fluid force affecting the object is difficult to solve. So, we analyzed the fluid force by considering the flow momentum. In this work, we analyzed the case of a sheet of free falling paper. In the future work, we are going to adopt the method discussed in this work to the sheet of paper which goes inside the printing machine.
著者
高台 真太郎 上西 崇弘 市川 剛 山崎 修 松山 光春 堀井 勝彦 清水 貞利 玉森 豊 東野 正幸 久保 正二
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.50-55, 2007-01-01
被引用文献数
6

肝癌切除後の孤立性リンパ節転移を摘除することで,術後2年6か月の現在,無再発生存中の症例を経験したので報告する.症例は58歳の男性で,C型慢性肝炎に伴う肝癌に対して肝切除術を2回施行されていた.経過観察中のCT像上,肝尾状葉に約4cm大の腫瘤性病変を認め,AFP, PIVKA-II値の著明な上昇がみられた.腹部血管造影像では腫瘤は中肝動脈および左胃動脈より栄養される腫瘍濃染像として描出され,肝癌の尾状葉再発と診断し開腹した.腫瘍は肝尾状葉に接するように総肝動脈の腹側に存在していたが,肝臓からは独立しており肝癌の総肝動脈幹リンパ節転移と考え摘除した.病理組織学的検査では中分化型肝癌のリンパ節転移と診断された.AFP, PIVKA-IIは術後2か月日に標準値範囲内へ低下し,以来,再発徴侯を認めていない.原発巣がコントロールされた肝癌の孤立性リンパ節転移は摘除により良好な予後が得られる可能性が示唆された.
著者
濱田 良樹 飯野 光喜 近藤 壽郎 石井 宏昭 高田 典彦 佐藤 淳一 中島 敏文 村上 夏帆 清水 一 渡邊 英継 黒田 祐子 中村 百々子 瀬戸 皖一
出版者
一般社団法人 日本口蓋裂学会
雑誌
日本口蓋裂学会雑誌 (ISSN:03865185)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.286-291, 2000

1994年~1999年の6年間に,鶴見大学歯学部付属病院第一口腔外科ならびに関連施設で施行された顎裂部骨移植に関して臨床統計的観察を行った。その結果,以下のような結論が得られた。<BR>1)総患者数は86例で,11歳以下の症例が22例25.6%,12~17歳が32例37.2%,18歳以上の成人症例が32例37.2%を占めていた。<BR>2)生着率は97.7%で,早期経過不良の2例はいずれも成人症例であった。成人症例への対応として,骨移植後の感染源となり得る歯と歯周病の管理が重要と考えられた。<BR>3)受診の動機としては,顎裂に関する他科からの紹介が86例中80例93.0%で,そのうち矯正歯科からの紹介が最も多く72.5%であった。一方,当初他疾患を主訴に来院したものが6例あり,いずれも顎裂部骨移植に関する知識は皆無であった。今後,関連各科との連携強化と患者への積極的な情報提供が必要と考えられた。<BR>4)顎裂部骨移植に関連する併用手術としては,顎矯正手術のほか,デンタルインプラントの埋入,口唇外鼻修正術などが,主に成人症例に対して施行されており,成人症例における顎裂部骨移植の臨床的意義が示唆された。
著者
清水 光栄 古井 景
出版者
公益社団法人日本産業衛生学会
雑誌
産業衛生学雑誌 (ISSN:13410725)
巻号頁・発行日
vol.46, no.5, pp.173-180, 2004-09-20
被引用文献数
1 1

職域における抑うつと完全主義との関係について調査を行った. 対象は大手建設関連会社に勤務する380名で, ベック抑うつ尺度, 桜井, 大谷による新完全主義尺度などの質問紙調査を行った. 新完全主義尺度のうち「ミスを過度に気にする傾向(CM)」は年代を問わず抑うつと正の相関関係にあった. しかし「自分に高い目標を課する傾向(PS)」については若年群では抑うつと負の相関関係にあったが中高年群においては抑うつとの間に有意な相関関係が見られなかった. 抑うつに至る背景にはこのように年代間で差異があると考えられた. バブル経済崩壊以後, わが国の経済はいわゆる冬の時代, 平成不況が続いた. 雇用情勢が悪化する中で, 企業における「心の病」は増加傾向を示し, 心の病による長期休業の多くが「抑うつ」であると報告されている1). 抑うつに陥る要因は何であろうか.
著者
清水 正勝 清水 由美子 赤間 啓之
雑誌
情報処理学会研究報告人文科学とコンピュータ(CH)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.107(2003-CH-060), pp.9-16, 2003-10-24

フランス語の人称代名詞である"on"と"l'on"は,意味的に等価なものとされている.17世紀の文法学者Vaugelasは,両者の使い分けを「音」の観点から整理した.彼の解釈を後世の文法書も踏襲しているが,今回我々が行った新聞コーパスの調査によって,両者の使い分けは,彼の言う「音」という要素よりも,「単語そのもの」に依存する可能性が高いことを示す.
著者
大原 利眞 鵜野 伊津志 黒川 純一 早崎 将光 清水 厚
出版者
公益社団法人大気環境学会
雑誌
大気環境学会誌 (ISSN:13414178)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.198-208, 2008-07-10
参考文献数
24
被引用文献数
22

2007年5月8,9日に発生した広域的な高濃度オゾン(O_3)エピソードの特徴と発生原因について,日本全国の大気汚染測定データと東アジアスケール化学輸送モデルを用いて解析した。全国の測定局で観測されたO_3濃度は,5月8日の朝9時ごろに九州北部で高濃度となり始め,15時には壱岐や五島といった離島を含む九州北部や中国地方西部において120ppbvを超える高濃度となった。高濃度は夜になると低下したが,21時においても西日本の一部の測定局では120ppbvを超える状態が持続した。翌日5月9日9時の濃度レベルは前日よりも全国的に高く,15時になるとO_3の高濃度地域は,北海道や東北北部を除く日本全域に拡大し,関東,中京,関西などの大都市周辺地域や,富山県や新潟県などの北陸地域や瀬戸内地域の測定局において120ppvb以上を観測した。化学輸送モデルは5月7〜10日に観測された地上O_3濃度の時間変動をほぼ再現するが,ピーク濃度レベルを過少評価する。この傾向は,中国沿岸域北部・中部の排出量を増加するに従って改善される。モデルで計算された5月7〜9日の地上付近のO_3濃度分布によると,空間スケールが500kmを越える80ppbv以上の高濃度O_3を含む気塊が,東シナ海上の移動性高気圧の北側の強い西風によって,中国北部沿岸から日本列島に輸送されたことを示す。5月8,9日に日本で観測された高濃度O_3には,中国や韓国で排出されたO_3前駆物質によって生成された光化学O_3に起因する越境大気汚染の影響が大きい。80ppbv以上の高濃度O_3に対する中国寄与率の期間平均値は,青森県以北を除く日本全国で25%以上であり,九州地域では40〜45%に達すると見積もられた。しかし,本研究で使用したモデルは都市大気汚染を充分に表現していないため,大都市域周辺等では越境汚染の寄与率が異なる可能性がある。また,モデル計算結果ならびに地上大気汚染測定局とライダーの観測結果から,O_3とともにSO_2や人為起源エアロゾルも越境汚染していたこと,これらの物質は高度1500m以下の混合層の中を輸送されたことが明らかとなった。
著者
今井 隆浩 澤 史雄 尾崎 多文 中野 俊之 清水 敏夫 吉満 哲夫
出版者
The Institute of Electrical Engineers of Japan
雑誌
電気学会論文誌. A, 基礎・材料・共通部門誌 = The transactions of the Institute of Electrical Engineers of Japan. A, A publication of Fundamentals and Materials Society (ISSN:03854205)
巻号頁・発行日
vol.124, no.11, pp.1065-1072, 2004-11-01
被引用文献数
12 16

Recent rapid progress in nanotechnology has focused research and development efforts on new high performance materials. Organic-inorganic hybrid materials such as nylon-layered silicate nanocomposites have attracted special interest and various studies continue to be conducted on thermoplastic resins.<br>In this study, we found out the best organic modifier of layered silicate that contributed to an affinity for epoxy resin (thermosetting resin), and succeeded in creating an intercalated-type epoxy-layered silicate nanocomposite. This nanocomposite realized some improvements by the addition of 5 or 6 weight percentage of organically modified layered silicates, which have 20<sup>o</sup>C higher thermal resistance, 60% higher fracture toughness, 19% higher flexural strength and 10% higher insulation breakdown strength than these of an epoxy resin without layered silicate fillers. An electrical treeing growth was observed in the nanocomposite. The electrical treeing progress with many branches in the nanocomposite seemed to result in an increase in the insulation breakdown strength. These results suggest the possibility of practical use as an insulating material in heavy apparatuses.
著者
原田 昌紀 清水 奨
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告マルチメディア通信と分散処理(DPS)
巻号頁・発行日
vol.1997, no.20, pp.61-66, 1997-02-27
被引用文献数
5

キーワードに基づくWWW検索システムでは適切なキーワードを含む検索式を与えることが重要である。熟練した利用者は様々な条件を指定して適切な検索式を与えることができるが、多くの利用者にとってこうした操作は困難である。このため適合性フィードバックやデータマイニングによる利用者支援が行われている。しかしシステム側で多くの処理を行う必要から、サーバ負荷の増大要因となっていた。本論文では、不特定多数の利用者の検索履歴に基づき、検索結果の関連語を抽出して提示する利用者支援手法について述べる。従来の手法より容易に実装可能で、自然な関連語を提示できるのが特徴である。本手法をWWW検索システムODIN上で実装し運用した結果、全体のおよそ2割の利用者が提示された関連語を使い、AND条件による絞り込みを実施するようになった。これは導入前の3倍の割合である。一方、サーバ負荷は導入前とほぼ同程度に抑えられた。Providing user guidance is a key component of WWW search services. Some search services are providing guidance through relevance feedback or data mining. These systems, however, are getting increasingly complex as new functions are added. In this paper, we examine a simple approach based on anonymous monitoring of user search behavior. User behaviour information is collected and presented to users as a recommended relevant keyword list. This method was tested on an actual WWW search service. It was found that, as a result of the relevant keyword list, the percentage of queries using the AND operation increased from 6% to 18%.