著者
栗﨑 宏 藤井 義久 簗瀬 佳之 西川 智子 中野 ひとみ 瀬川 真未 清水 秀丸
出版者
公益社団法人 日本木材保存協会
雑誌
木材保存 (ISSN:02879255)
巻号頁・発行日
vol.41, no.6, pp.256-263, 2015 (Released:2016-02-01)
参考文献数
7

寺社,木橋,古民家といった日本の伝統的木構造物では,擬宝珠,端隠し,根巻き,釘隠しなどと呼ばれる銅製金物が,防水の目的で施工されてきた。これら銅金物を施工した建築物では,金物の下方の木材部材の生物劣化が強く抑制されているものがある。これは,金物から溶出した銅が部材に移行し,木材保護効果を発揮したのではないかと考えられる。銅の溶出を検証するために,三条大橋高欄の銅擬宝珠付き木柱や釘隠し付き横木の表面と,橋のたもとに設置された防腐処理支柱の表面を,ハンドヘルド型蛍光X 線分析装置を用いて分析した。得られた蛍光X 線強度値から,FP 法に基づいて各元素の含有率を算出した。その結果,擬宝珠付き支柱表面では14の全測定点から銅が検出され,うち12点では防腐処理支柱表面で検出された銅含有率0.4%を上回った。今回の調査により,銅金物からは銅が溶出して周囲木材へ移行すること,また,その銅の量は木材の生物劣化抑制に十分寄与しうるレベルであることが確かめられた。
著者
勝田 優 小阪 直史 村田 龍宣 舩越 真理 井上 敬之 山下 美智子 杉田 直哉 勝井 靖 澤田 真嗣 大野 聖子 清水 恒広 藤田 直久
出版者
一般社団法人 日本環境感染学会
雑誌
日本環境感染学会誌 (ISSN:1882532X)
巻号頁・発行日
vol.30, no.5, pp.354-361, 2015 (Released:2015-12-05)
参考文献数
22
被引用文献数
2

病棟での輸液調製では,調製時の汚染防止により注意を払う必要がある.病棟での輸液調製の現状把握のため,空気清浄度,調製環境,輸液メニューについて血液内科と外科病棟を対象に多施設間調査を実施した.空気清浄度調査は,5施設9部署にて実施し,パーティクルカウンターとエアーサンプラーを用いて浮遊粒子数と浮遊菌の同定・コロニー数を測定した.環境と輸液メニューの調査は,9施設13部署を対象に,調製現場の確認と10日間の注射処方箋(7,201処方)を集計した.空気清浄度は,0.5 μm以上の粒子数が,最も多い部署で3,091×103,少ない部署で393×103個/m3であった.浮遊菌は,黄色ブドウ球菌は3部署のみの検出であったが,コアグラーゼ陰性ブドウ球菌,Micrococcus属,Corynebacterium属やBacillus属は全部署より検出された.調製台は,9部署で空調吹き出し口の直下にあり,10部署でスタッフの動線上に設置されていた.混合のあった4,903処方のうち,3時間以上の点滴が31%を占めた.病棟での輸液調製マニュアルを整備していたのは,9施設中3施設のみであった.調査から,輸液調製台エリアの空気清浄度は低く,3時間を超える点滴が3割以上を占めるなど,細菌汚染が生じるリスクが高い可能性が示唆された.輸液汚染リスク軽減のため,日本版の病棟での輸液調製ガイドラインの策定が望まれる.
著者
清水 裕士 大坊 郁夫
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.78, no.6, pp.575-582, 2008-02-25 (Released:2010-07-16)
参考文献数
23
被引用文献数
6 4

A hierarchical data analysis was conducted using data from couples to examine how self-reports of interactions between partners in romantic relationships predict the quality of the relationships. Whereas the social exchange theory has elucidated the quality of relationships from the individual level of subjectivity, this study focused on the structure of interactions between the partners (i. e., the frequency, strength, and diversity) through a process of inter-subjectivity at the couple level. A multilevel covariance structure analysis of 194 university students involved in romantic relationships revealed that the quality of relationships was mainly related to the strength and the diversity of interactions at the couple level, rather than the strength of interactions at the individual level. These results indicate that the inter-subjective process in romantic relationships may primarily explain the quality of relationships.
著者
清水 幾太郎
出版者
水産庁さけ・ます資源管理センター
雑誌
さけ・ます資源管理センター研究報告 (ISSN:13447556)
巻号頁・発行日
no.7, pp.105-115, 2005-03
被引用文献数
1

わが国の沖合サケ漁業は衰退したが、国産シロザケの生産量はふ化放流事業の成功によって年々増加してきた。しかし、サケ市場が国際化したことによって国産シロザケの産地価格は低迷し続け、わが国のサケ漁業は存続の危機に直面し構造改革を迫られている。国産シロザケの価格変動要因を明らかにするために、北海道の水揚げ港におけるシロザケ価格の短期および長期の変動機構並びに産地市場におけるシロザケの価格形成要因を計量的に分析した。生鮮サケ類産地価格は生鮮サケ類在庫量と生鮮サケマス類輸入量が増加すると低下し、塩蔵サケ卵と生鮮サケ類の在庫量が増加すると下落した。近年、輸入サケマス類の主体が天然サケ類から養殖サケマス類にシフトし、さらに養殖サケマス類の輸入量が冬期間に増加してきたため生鮮サケ類の在庫量が増加した。この結果から生鮮サケ類の産地価格に対する在庫量の影響が明らかになった。在庫量を減らし産地価格を安定させるためには鮮度保持、新商品開発、安全性維持によって国産シロザケ市場の拡大を図る必要がある。このためにはシロザケに対する消費者嗜好の分析とニーズの把握が漁協やサケ資源の増殖機関などの供給側にとって重要である。
著者
大澤 啓志 清水 由紀奈
出版者
農村計画学会
雑誌
農村計画学会誌 (ISSN:09129731)
巻号頁・発行日
vol.32, no.Special_Issue, pp.263-268, 2013-11-20 (Released:2014-11-20)
参考文献数
10
被引用文献数
1 1

The project which uses the wild boar meat by the measure against wildlife damage of Nakagawa town as a local specialty was investigated. The opportunity of the project originated in the dense relation between the local administration and a hunting group. In order to solve the subject of the area, administration was promoting the project by the implementation structure which connected each sector. The increase in a hunter's hunting volition and strengthening of a sense of solidarity with a local activity, and promotion of the eagerness to sell of the specialty by the wild boar meat of a retail store were accepted as a result of this project.
著者
多賀 厳太郎 山口 陽子 清水 博
出版者
物性研究刊行会
雑誌
物性研究 (ISSN:05252997)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.p125-153, 1992-11

この論文は国立情報学研究所の電子図書館事業により電子化されました。特別寄稿
著者
清水(丸雄) かほり 渋谷 俊夫 徳田 綾也子 瓦 朋子 杉脇 秀美
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.23-26, 2008
被引用文献数
2

ナス接ぎ木挿し穂の低温(5-10℃)貯蔵中に挿し穂下端部を温水に浸けるボトムヒート(BH)処理を行うことで,挿し木後の発根促進を試みた.ナス台木(<i>Solanum torvum</i> Sw.)挿し穂の挿し木後における根の成長は,BH処理温度26-31℃で最も促進され,その効果はBH処理期間が長くなるほど大きくなる傾向がみられた.BH処理を5日間継続したところ,処理開始4日目において貯蔵中に発根する挿し穂がみられた.発根した挿し穂は,挿し木する際に根を痛める可能性があることから,最適BH処理期間は3日間程度と考えられた.ナス接ぎ木挿し穂を貯蔵開始直後に処理温度27℃でBH処理を3日間行った結果,挿し木14日後おいて,BH処理した挿し穂の根部生体重はBH処理しなかった挿し穂の1.4倍,貯蔵せず直接挿し木した挿し穂の2.8倍であり,BH処理の効果が認められた.<br>
著者
山本 忠弘 阿曽 正登 清水 敏昭
出版者
日本火災学会
雑誌
日本火災学会論文集 (ISSN:05460794)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.17-23, 1984 (Released:2012-07-04)
参考文献数
7

It is well known that on addition of water onto a large amount of quick lime an exothermic reaction occurs and accumulated energy brings about a fire. However, even a small amount of desiccant for foods (about 110 g) brought about a fire in Himeji City of Hyogo Prefecture last year. Authors had interest in the fire caused by a desiccant and tried 47 ignition tests using desiccant (I) and quick lime in technical grades (II). The tests were carried out under conditions like the fire: Package of (I) or (II) was placed in sugar can (200 φ × 270 H) filled with a large volume of newspapers and tissue papers. Water was dropped into the opened package. 1) In 33 ignition tests for (II), ignition occurred 8 times and smoldering 10 times. The shortest time reached to ignition was 40 minutes and 34.6 ml of water was dropped for this period. The longest time was 90 minutes and 60 ml was dropped. When water was dropped at the rate of 0.5 - 0.9 ml/min in the range of these times and water amounts, the possibility reached to the ignition was high. 2) In 14 ignition tests for (I), smoldering occurred 4 times and smoke filled inner parts of the can. In the case of (I) having low calorific values such as less than 4 kcal/mol, smoke did not occur and the temperature did not rise to over than 200 °C. 3) Calorific values of (I) with water were 5 - 6 kcal/mol in average and less than 1/2 as compared to those of quick lime in 100% purity (determined value, 14.6) and in technical grades (11.9). The lowest one was 3.3 kcal/mol. 4) When the package included desiccant was immersed in water for 2 hours, about 70% of initial weight increased. The packing paper can pass fairly large amounts of water.
著者
大浦 由香子 田中 基 清水 昌宏 武井 秀樹 照井 克生 小山 薫
出版者
THE JAPAN SOCIETY FOR CLINICAL ANESTHESIA
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.90-94, 2014
被引用文献数
1

27歳,一絨毛膜二羊膜性双胎の初産婦.妊娠31週より切迫早産および妊娠高血圧腎症のため当院に入院中であった.妊娠32週に肺水腫による呼吸不全および低酸素血症が出現し,緊急帝王切開術が予定された.手術台に移動させた直後に心肺停止となり,直ちに心肺蘇生を開始するとともに産科医に帝王切開を開始するよう促した.心停止4分後に手術開始し,同時に心拍再開を確認,1分後に2児とも娩出した.児娩出後の母体呼吸循環状態は安定し,母・2児とも後遺症なく退院した.妊婦の心肺蘇生法とともに「死戦期帝王切開術(perimortem cesarean section:PCS)」の知識の普及およびトレーニングが望まれる.
著者
清水 慶一
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
日本建築学会論文報告集 (ISSN:03871185)
巻号頁・発行日
no.310, pp.143-151, 1981-12-30

以上東京商業学校附属商工徒弟講習所職工科及び工手学校造家科等を中心とし, 明治20年前後の中等建築教育について分析と検討を加えた。その結果次の諸点が明らかとなった。明治20年前後は東京職工学校の当期の状況に端的にあらわれるように, 様々の中等工業教育の構想が提示された時期であった。この時期の教育構想あるいは教育方針は大別して2種類に分けることが出来る。その一つは, 従来より東京職工学校でなされた如く, フオアマン教育による中堅技術者養成の構想である。他の一は, 当時興隆しつつあったハンディクラフト教育を中心とする広汎な技能教育, 即ち手工教育の振興・発展による工業の発達をはかるという構想であった。東京商業学校附属商工徒弟講習所職工科はこの手工教育との密接な関連のもとに設立された。この手工教育における建築教育の位置は, 同校教諭であり熱心な手工教育の推進者であった上原六四郎の『手工科講義録』に示されるように, 木工技術教育の教程上に建具・指物などと並列し大工技術が置かれるという位置付けがなされていた。これは同講習所木工科のカリキュラムにも対応した。以上の如く我が国における最初期の本格的な中等建築教育は中程度の専門技術教育からでは無く, 手工教育との密接な関連のもとに発足した。一方, 私立専門教育機関においては上記の如き状況とは無関係に中等建築教育が開始された。工手学校の設立目的はきわめて明快であり, 先行して養成の完了した技師を補助する中堅技術者の養成が目論まれた。設立時の同校での建築教育は建築関連職の技術概要を教授するなど, 技能教育的側面も持っていたがこの方針は間も無く変更され工部大学校での建築教育を簡易にした専門技術教育に替えられた。中等建築教育, 即ち西欧技術の体系的教授は小規模な教育機関である工業夜学校においても行われた。特に工業夜学校の講義に基づいて編纂された『工業夜学校講義録』は最初期の建築啓蒙書として当時の大工徒弟にまで影響を及ぼしている。以上のように私立専門教育機関における中等建築教育は高級技術者の現実的必要性より生まれ, 高度な専門技術教育を簡易化した内容をとり, その意味で高等建築教育と一貫性のある教育方針が当初よりとられた。このように, 明治20年前後の中等建築教育は文部省実業教育施策上と私立専門教育機関においてかなりの相違がある。本稿の目的は明治20年前後に行われた中等建築教育の実体を解明することにある。以上の論考によりこの目的は達せられたが, 最後に本研究を通じて浮び上がった若干の問題点を付加しておきたい。我が国の本格的な中等建築教育の起点は東京商業学校での木工教育にあるとされる。この木工教育は専門的な技術教育では無く手工教育と密接に関わるものであった。手工教育は義務教育段階に及ぶ広範な技能教育を行うことにより, 工業を根底より興隆せんとするものであったが, 当時の我国の産業状態より見て木工教育を手工教育の中心に置かざるを得なかったであろうことは想像に難く無い^&lt56>)。この木工教育の教程上に大工技能が置かれていたことは前頁にて指摘した。このhandicraftの振興とは別に工業興隆の方策としてforeman養成という中等工業教育の方策があった。手工教育の開発・振興は明治25年頃を境とし, その後の中等建築教育はforemanの養成に切り変えられた。しかし, 前者が短時日で終ったとは言え, 手工教育の方向性が在来の建築職能である既成の大工職に連なりながら, その近代化を根底より押し進める可能性を含んでいたことを看過することは出来無い。本稿を作成するにあたって, 日本大学教授・山口廣氏からは草稿の段階で多くの御教示を得た。また, 大阪市立大学・福田晴虔氏, 東京大学・堀勇良氏よりは様々の助言をいただいた。記して感謝申し上げたい。なお, 本研究にあたって竹中育英会建築研究助成金を活用させていただいた。
著者
清水 泰生 シミズ ヤスオ Yasuo Shimizu
雑誌
国際研究論叢 : 大阪国際大学紀要 = OIU journal of international studies
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.131-141, 2015-01-31 (Released:2015-02-04)

The Tokyo marathon has become the first full-scale urban marathon in Japan. People who previously took no interest in running have begun to show interest in the Tokyo marathon. Thus a second running boom is now taking place. This is different from that of the late 1970s because the media covers marathons on a large scale. I would like to consider how Japanese running culture has been built up by the media and how the culture has penetrated Japanese society. The results are as follows. Newspapers covered ordinary participants and citizen runners in the Tokyo marathon and spotlighted them. Family ties was seen in the newspaper articles, and such words as Thanks, thank you and supporting appeared frequently. These words may be closely connected with the fact that marathons are extreme and that no one can run without the support of other people. They may also be connected with Japanese gregariousness and bonding.
著者
清水 聡子
出版者
学校法人松商学園松本大学
雑誌
松本大学研究紀要 (ISSN:13480618)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.159-175, 2014-03

2013年9月7日、東京2020オリンピック・パラリンピック開催が決定した。プレゼンテーションで取り上げられた「お・も・て・な・し」の一言は日本の良さを端的に表現し、大きなインパクトを与えた。東京オリンピック招致に成功し、ソチ冬季オリンピックが開催された今こそ、長野県内スキー場の現状を把握し、考察することが求められている。オリンピック開催地であった志賀高原を本稿では取り上げ、事例研究とする。
著者
清水 肇 小野 尋子
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 第41回学術研究論文発表会 (ISSN:1348284X)
巻号頁・発行日
pp.36, 2006 (Released:2007-01-05)

那覇市首里金城地区においては、歴史的環境を有する地区としての景観整備が1980年頃から取り組まれてきた。その過程において、中央部を貫く石畳道を保全し、地区外に通過用道路を建設し、さらにアプローチ道路を整備することが行われてきた。その過程で生活環境を整備しつつ細街路の歴史的形態を保全・整備する方法について模索が行われてきたが。2005年に細街路の両側の石垣を含めて道路用地として石垣や石積の保全修復をはかり、道路自体は歩行者専用道路として整備して有効幅員を2?2.7mとする都市計画決定が行われた。これによって沿道敷地は幅員4m以上の道路に接することとなる。これは環境、利用、設置の三側面を実質的に評価して細街路の目標を定めることによって可能となった細街路整備の方法である。
著者
野崎 守英 加藤 敏 弘 睦夫 加藤 信朗 中村 昇 土橋 茂樹 田中 久文 清水 正之
出版者
中央大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2000

言葉には価値を示す言葉と事実を示す言葉とがある。その二つの性格が一つの言葉のうちで重なる場合もある。本研究では、言葉のそうした面について、参加者のさまざまな視角を提示し重ね合わせることを通して、倫理的な価値の多様なあり方の諸相を検討することを試みた。三年間の共同研究を経て明らかになったことを要約すると次のようになると思える。価値語・評価語のあり方にかかわって考えを進めるあり方には、大旨、少なくとも三つの方向がある。第一にあるのは、価値を含む言葉はそもそもどのような組成を備えて成り立つ、と見定めるのが妥当なのか、事実を示すとみなされる語と価値を示す語とは、どんな位相の差を示すものとしてあるのか、あるいはそうした位相の違いといったものなどはそもそもないと定める視点を立てることもできるのかどうか、といった点について、事を抽象する方向に眼を据えて思索を試みる、といった質の究明である。第二にあるのは、徳目としてしばしば話題にされる質の概念、あるいはもう少し広い幅で、人の価値指針となるような概念の成り立ちや意味を問う、といった視点からの究明である。儒学が倫理思想の体裁をとって問題にされる際には、そうした側面がとりわけ立ち上がることになる。旧来、この面の検討は、かなりなされることがあった、といえる。第三としてあるのは、広く日常にも用いられている言葉のうちに含まれている価値指示のあり方(たとえばさまざまな形容詞のうちに籠められているさまざまな価値内包性といったあり方)について、その意味内包のいろいろな方向の検討を試みるといった質の究明である。仔細は、報告集の参加者の論文のうちに見られる。