著者
渡 正伸 熊谷 元
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
vol.55, pp.91, 2006

<B><緒言></B>近年、日本はたばこ規制枠組条約を批准し、たばこ規制に対して国際レベルの行動が求められるようになった。喫煙の有害性が認められるようになり、禁煙運動も社会的に大きな流れとなっている。しかしながら我が国においてはタバコ産業の大株主は財務省であり、厚生労働省もたばこが有害と知りながらも縦割り行政の弊害のためか抜本的なたばこ対策が実施しにくい状況と言える。近年、男性の喫煙率が低下する一方で、若い女性における喫煙率が増加している。若い女性、つまり子どもを持つ母親の世代での喫煙率が増加していることは、喫煙行動が子どもにとって身近な事柄となっていることが推察され憂慮すべき状況といえる。このような状況下に置かれた子ども達にたばこの有害性を教えていくことは最重要課題の一つと考えられる。国、政府がたばこの有害性を知りながらも現状維持のたばこ政策を行うかぎり、国民、子どもは被害者でありつづけることになる。人々の健康を守ることは医師の使命の一つであることを考えると、たばこの有害性をまずは医師が率先して訴えなくてはならない。日々の診療をするにとどまらず、もっと積極的に疾病予防の見地に立って第一次予防に目をむけるべきである。<BR><B><方法></B>呼吸器疾患をはじめ循環器疾患など多くの疾病に喫煙の有害性が大きく関与している。喫煙患者の禁煙指導が必要な反面、健康者に対する禁煙教育、さらには防煙教育が重要と考えた。即ち、未だたばこを吸ったことのない小学生時代に喫煙の有害性を知っておくことが重要であり喫煙防止効果も期待できると考えた。最初は校医をしている知り合いの医師をとおして小学校に喫煙防止授業の提案を行った。快諾を得た後、小学6年生に喫煙の有害性について授業を実施した。その後は市の教育課長に依頼し市全域の小学校に働きかけをしてもらい、喫煙防止授業を実施するよう小学校に呼びかけた。授業は院内の診療業務の合間に予定して実施し、診療に重大な支障が生じないよう配慮した。<BR><B><結果、考察></B>2002年度から小学校を中心に喫煙防止教室を行ってきた。2002?2005年度で5、6、9、11校と授業を実施してきた。徐々に開催校は増加している。今後さらに喫煙防止授業を希望する学校が増加した場合、個人ではマンパワー不足となる可能性がある。対策としては協力者を募るか、地区医師会や校医の協力が必要となる可能性もある。若い女性、即ち小学生の子どもを持つような女性の喫煙率が増加している現在、喫煙に対する正しい評価と判断を下すためには、正しい知識を小学生のうちに身に付けてもらうことが重要である。そのためには我々医師が喫煙の有害性を具体的に教えていく必要があると考えられる。喫煙防止授業の活動がどれ程の成果をあげるかは未知であるが医師の大きな役割と考えている
著者
勝又 健太 榎本 武治 大坪 毅人 樋渡 正樹 塚本 芳嗣 亀井 奈津子 嶋田 仁 小林 慎二郎 芦川 和広 民上 真也
出版者
一般社団法人 日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.53, no.6, pp.481-486, 2020-06-01 (Released:2020-06-30)
参考文献数
16

症例は84歳の男性で,食後の腹痛を主訴に当院を受診した.既往として6年前に胃癌で幽門側胃切除術,Roux-en-Y再建,1年前に胆囊結石,総胆管結石,傍乳頭十二指腸憩室症候群で胆囊摘出術,胆管十二指腸吻合術を施行されていた.腹部MRIで輸入脚内に低信号の構造物を認め,結石の嵌頓による輸入脚症候群と診断し,緊急手術を施行した.上腹部正中切開で開腹,Treitz靱帯より5 cm肛門側の空腸に結石を触知した.空腸の一部に切開を加え摘出,単純縫合で閉鎖した.術後23日目に軽快退院した.摘出された結石はステアリン酸カルシウムが主成分であった.ステアリン酸カルシウムは胆囊結石のうち,ビリルビンカルシウム石に比較的多く含有されるほか,服用薬で酸化マグネシウムに含有されていた.本例は胃石を核として周囲にステアリン酸カルシウムが沈着したものと考えられた.胃石由来のステアリン酸カルシウム腸石による輸入脚症候群は非常にまれな疾患であるので報告する.
著者
吉原 智仁 森本 忠嗣 釘崎 創 塚本 正紹 園畑 素樹 馬渡 正明
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.319-321, 2015-03-25 (Released:2015-05-22)
参考文献数
8

腰椎疾患を治療する場合に股関節疾患が潜在している症例も少なくない.腰椎単純X線に股関節を含めることは見逃しを予防できる利点がある.今回佐賀県整形外科標榜医療施設110施設における腰椎レントゲンの撮影方法についての実態を調査した.腰椎レントゲンフィルムの大きさ,股関節を含めているか,脊椎外科専門医勤務歴があるかを調査し,脊椎外科専門医勤務歴の有無で腰椎単純X線正面像に股関節を含めている割合を検討した.腰椎単純X線フィルムの大きさは半切12%,大角21%,B4 17%,大四切19%,四切31%であった.股関節を含めていた施設は25%であった.脊椎外科専門医の勤務歴は25%であり,脊椎外科専門医勤務歴ありの施設では46%,勤務歴なしの施設では18%で股関節を含めていた.股関節疾患の症状と神経根性疼痛が類似していることより,誤診を予防するためには腰椎レントゲン正面像に股関節を含めることが推奨される.
著者
内藤 大輔 若山 文規 静川 裕彦 中野渡 正行 飯田 道夫 福原 敬
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.85-89, 2020 (Released:2020-04-26)
参考文献数
18

Stiff-person syndrome(SPS)は,特徴的な筋硬直および有痛性痙攣により進行性に四肢軀幹筋の運動障害を引き起こす極めて稀な疾患であり,診断に苦慮することがある.SPSでは抗GAD抗体や抗amphiphysin抗体などの自己抗体が証明される場合があり,これらの抗体による中枢神経系でのGABA作動性ニューロンの障害が推測されている.今回われわれは,進行期乳がん患者に発症した傍腫瘍性SPSの症例を経験したので報告する.【症例】患者は52歳の女性で,両側肺転移,両側がん性胸膜炎,肝転移,がん性腹膜炎,両側卵巣転移を伴う進行期乳がんと診断された.全身状態不良のため抗がん治療の適応はなく,緩和ケア病棟入院にて酸素投与や胸腹水ドレナージを行ったが,嚥下障害に始まり筋硬直による上肢の運動障害や歩行障害が急速に進行し,脳神経内科にて傍腫瘍性SPSと診断された.ジアゼパム投与で若干効果が認められたが,傾眠となり投与量調整に難渋した.
著者
林 祥介 高木 征弘 榎本 剛 はしもと じょーじ 杉本 憲彦 今村 剛 堀之内 武 三好 建正 石渡 正樹
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2019-06-26

世界初の本格金星気象撮像探査機「あかつき」の軌道投入以前、金星大気の観測は断片的であり、数値モデルには仮定が多く、スーパーローテーション(四日循環)の存在に象徴される金星大気の循環構造はほとんど未知であった。本研究では、我々が開発を進めてきた地球シミュレータ上の金星大気大循環モデル(AFES-Venus)を元に金星大気データ同化システム(ALEDAS-V)を構成し、「あかつき」観測と矛盾せず力学的に辻褄のあった金星大気循環場の生成を試みる。金星大気中の未知な擾乱を同定し、その分布と角運動量輸送、物質輸送と雲構造などを明らかにしスーパーローテーションにいたる金星大気大循環の構造を解明する。
著者
馬渡 正道
出版者
一般社団法人 日本計算工学会
雑誌
日本計算工学会論文集 (ISSN:13478826)
巻号頁・発行日
vol.2019, pp.20190003, 2019-03-22 (Released:2019-03-22)
参考文献数
23

高度熟練技能はモノづくり業界において不可欠の技術であるが,一般的に暗黙知であることが多く,その習得には未だに属人的な熟練に委ねる以外に方法がない現状にある.著者らはこの現状を打破するため,高度熟練技能における動的挙動をその成分関数は低次のスプライン関数である多次元連続軌道ベクトルで表現し,その解析を行って暗黙知を形式知化することによって自動化するための端緒を開いている.その成果をさらに発展させて,当該軌道ベクトルに現れた高度熟練技能の特定と特徴づけを行うためには,その成分関数の次数を超えた階数の高階導関数の数値計算法の新たな開発が必須であるが,その過程で10個以上の異なった増分の点におけるテイラー展開から構成される連立方程式を解くことが必要である.この連立方程式の係数行列は,非対称,密であり,かつ重度の悪条件である.したがって,LU分解法など通常の解法ではとても解けないので,係数行列の奇偶分解法という新しい解法を提案する.そして,この解法で,少なくとも20階までの導関数に対する高精度な近似値が計算可能であることを確認する.
著者
森本 忠嗣 會田 勝広 園畑 素樹 馬渡 正明 佛淵 孝夫
出版者
West-Japanese Society of Orthopedics & Traumatology
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.586-589, 2010
被引用文献数
1

【背景】変形性股関節症(以下,OA股)では腰椎側弯(以下,LS)合併が稀ではなく,脚長差が一因と考えられているが詳細な検討例は少ない.【目的】OA股における脚長差と腰椎側弯カーブの方向との関係について調査すること.【対象と方法】初回人工股関節置換術を行った片側OA股437例(男性56例,女性381例,平均年齢62歳)の脚長差とLSカーブの方向について調査した.脚長差は10mm未満,10mm代,20mm代,30mm以上の層に分類し,層別のLS頻度(Cobb角5°以上),LSカーブ方向と層別尤度比を調査した.【結果】LS頻度は40%であり,内訳は患側凸26%,健側凸14%であった.層別尤度比の検討からは,30mm以上の層のみでLS頻度,患側凸頻度は有意に高くなった.【考察】片側OA股では30mm以上の脚長差で腰椎への負荷は一定方向となり患側凸のLSが発生しやすいことが示唆された.
著者
渡 正博 尾崎 幸洋
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 = Japan analyst (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.59, no.5, pp.379-397, 2010-05-05
参考文献数
81
被引用文献数
1 1

近赤外分光法を用いたプロセス分析では,様々な外乱に対し影響が少なく予測値に長期間の連続性がある検量線が要求される.更にコストと作業軽減のために少量のサンプルとデータを使って確度の良い検量線を開発する必要がある.本論文では,このような問題を解決するためにポリマープロセスを例としてプロセス用の検量線作成法,移植法,実用的な検量線補正法等を検討した結果について報告する.著者らが開発した近赤外オンライン分光分析システムを使用し,外乱の影響と補償方法について具体的に検討した.直鎖状低密度ポリエチレンの密度測定を行い長期間のプロセスオンラインモニターが可能なことを示した.又ポリプロピレンのエチレン含量,エチレン酢酸ビニル共重合体の酢酸ビニル量を例に選び,近赤外スペクトル解析方法と検量線作成について新しい提案を行った.更に定期点検前後で検量線予測値に差が出ても補正可能で,実用的な検量線補正方法を提案し実効性を確認した.
著者
石渡 正佳
出版者
紙パルプ技術協会
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.68, no.12, pp.1358-1360, 2014

廃棄物処理法による行政処分と刑事処分によって不法投棄などの不適正処理を行う業者を排除しているが,それだけでは不十分なため,産業廃棄物処理業優良化推進事業により,公開情報に基づいた優良業者の認定を行っている。<BR>不適正処理を行った処分者に委託した排出事業者の責任による撤去指導においては,措置命令を発しないことと交換条件に,撤去費用の拠出を求めることがあるが,この場合,法令違反の確認された量ではなく,処分者に対する委託の「全期間全量未処理推定」により,拠出額を計算することが一般化している。このため,拠出額が数千万円になることが珍しくない。<BR>このため,不適正処理を行わない優良業者の選定が重要である。優良業者の選定は,公開情報に基づいた書類審査と,現地調査によって行うのが適当である。<BR>iMethodは,石渡が開発した産業廃棄物処理業者の「公開情報分析法」である。環境省が制度化した公開情報から「処理能力」,「処理実績」,「売上高」,「従業員数」の基本4情報を抽出し,「施設稼働率」,「平均単価」,「オーバーフロー率」,「生産性」の基本4指標を計算する。完全定量分析によって,個別業者の評価のほか,複数業者の計量的比較,グループ企業の連結分析,業界全体のトレンド分析を行うことができる。<BR>iMethodによって,産廃業界の標準処理価格は1トン3万円であること,標準生産性は従業員一人当たり年間667トンであること,一人あたり売上高は2,000万円であること,標準処理価格と標準生産性には相反性があること,総資産と総売上高の標準比は1対1であること,一人あたり売上高が1,500万円以下では経営難に陥りやすいこと,標準生産性の2分の1を超えると,生産性と利益率が比例的に増大することなどの法則性を導き出すことができる。
著者
石渡 正佳 佐藤 泉 富岡 修
出版者
日経BP社
雑誌
日経エコロジー = Nikkei ecology (ISSN:13449001)
巻号頁・発行日
no.202, pp.66-69, 2016-04

私が大きな問題と感じるのが、食品リサイクルの実態と、国が目指す理想や法制度との間に乖離が目立つことです。例えば、食品リサイクルの優先順位がそうです。昨年7月に食品リサイクル法の基本方針が改定され、食品リサイクルの優先順位を高い方から飼料化…
著者
小野 道照 野渡 正博
出版者
公益社団法人 日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.61-70, 2002
参考文献数
15
被引用文献数
3

フラットな組織によるチーム・マネジメントが注目され, チームワークの重要性が再確認されている.本研究では, 産業界における実態調査に先立って擬似経営活動としての経営シミュレーションに着目し解析を行う.各チームにおけるチームワークの認識度と経営業績の関連性について考察し, チーム構成員の組織構造の差異を確認することを研究目的とする.結論としては, 次の仮説が採択され今後の実態調査の指針となった.仮説: 高業績チームは, 低業績チームよりもチームワークに対する認識は高い(平均値の比較).仮説: 高業績チームは分岐階層型であり, 低業績チームは分派型の組織構造である(クラスター分析).
著者
辻 健一郎 クンチョロ ドゥイ チャヒョ 渡邊 拓也 小野寺 紀明 猿渡 正俊
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C, エレクトロニクス (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.87, no.9, pp.686-695, 2004-09-01
被引用文献数
6

半導体光増幅器(SOA)の相互利得変調(XGM)を用いた全光波長変換法において,応答速度の改善やパターン効果の低減方法として,CWのアシスト光を用いたSOAの利得回復時間を早める方法が検討されている.アシスト光はSOAの利得曲線上の透明波長に入力することで,SOAの利得低下を抑えつつ効果的にキャリヤの回復を早めることができる.しかしながら,SOAの透明波長はSOA内部のキャリヤ密度とその分布によって変化するため,最適な条件は,入射光の波長,強度,伝搬方向等,SOAの動作条件に大きく影響されると思われる.本論文ではアシスト光の波長や伝搬方向がSOAの応答速度にどのような影響を与えるかを,理論的及び実験的に調べ,最適なアシスト光の条件を検討した.
著者
石渡 正倫 宮川 道夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CS, 通信方式
巻号頁・発行日
vol.95, no.436, pp.73-78, 1995-12-15

手書き筆跡をもとにした個人同定を目的として,筆跡の個人特徴量にハフ変換により得られる3種のパラメータ,すなわちρ,θ,および累積値を用いる筆者同一性判定法を提案する。筆跡データとして,1)本人による筆跡,2)筆跡提示なし代筆,3)筆跡提示あり代筆の3種類を使用,個人特徴量の抽出と筆者同一性判定実験を行った。個人特徴量から筆者判定のための基準特徴量を抽出して判定閾値を設定,5回実施した実験の平均判定率は,1)に対して93.2%という結果が得られた。また3)での平均判定率は76.4%であり,2)に関しては,何れの実験でも100%という良好な判定結果が得られ,個人特徴量,およびこれを利用した筆者同一性の判定法としての有効性が確認できた。
著者
渡 正亮
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土質工学会論文報告集 (ISSN:03851621)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, 1974-03-15

急傾斜地崩壊の全国的調査結果をもとに, 崩壊に関与する因子について説明し, その崩壊形態を論じるとともに, 崩壊予測と防止工計画の着眼点となるべき崩壊型を分類し, 各崩壊型についての説明を加えたものである。この報告においては, 急傾斜地の崩壊に関する因子として地形, 土質構成, 植生, 地表水, 地下水および地質を選び, 崩壊発生地におけるこれら因子の特徴を説明している。また崩壊の形態を崩落型と滑落型の二種類に大きく区分し, 滑落型をさらに静止形, 流動形, 分散形に再区分している。そして崩壊型の分類は, 表土, 崩積土, 火山砕屑物, 段丘タイ積物, 強風化岩(マサ, 温泉余土), 岩〔I〕および岩〔II〕について, それぞれ崩落型と滑落型があるとして典型化されており, 各崩壊型の特徴が説明図をつけて解説されている。
著者
野渡 正博 直井 知与 阿久津 正大
出版者
社団法人日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 = Journal of Japan Industrial Management Association (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.172-179, 2006-06-15
参考文献数
14
被引用文献数
1

本研究では,経営シミュレーション演習のなかで各チームの構成メンバーが行う集団意思決定時のチームワークに着目し,チームワーク評価因子間の関連性を集団過程としてとらえ,時系列的に考察している.それらの集団過程を開始時点,中間時点,終了時点の3時点でアンケート調査による階層構造として解析し,それらの認識過程と差異を確認することを研究目的としている.結論としては,以下の仮説が採択された.仮説1:「チームワークに対する認識の平均値は,終了時点の方が開始時点よりも高い(平均値の比較).」仮説2:「チームワークに対する認識の緊密性は時系列的に変化し,終了時点の方が開始時点より強い(主成分分析の因子負荷量による比較).」仮説3:「チームワークに対する認識の階層構造は時系列的に変化し,終了時点の方が開始時点より明確な階層構造となる(クラスター分析のデンドログラムによる比較).」