著者
渡辺 明日香
出版者
共立女子短期大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-28

ストリートファッションの調査・分析を基軸とし、日本のファッションの特異性と海外発信性について検証を行った。定点観測の写真資料の集積、写真の整理およびデジタルデータ化、日本の第二次大戦後から現在に至るストリートファッションの史的研究を遂行することで、ファッションの概念変化とメカニズムの変容を究明した。これらの結果、ストリートファッションがクールジャパンの対象となった理由は、従来のファッション変容に関わる文脈やファッション・システムとの無関連性にあることが明らかとなった。
著者
澁谷 治男 渡辺 明子 融 道男
出版者
東京医科歯科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1996

パニック障害におけるコレシトキニン(CCK)の関与が、とりわけCCKB受容体の関与が推察される。その根拠としては、(1)CCKB受容体アゴニストを投与すると健康人、パニック障害患者で通常の発作に非常によく似たパニック発作を誘発し、その誘発率は患者群で高い。(2)CCKB受容体アンタゴニストをラットやサルに投与すると抗不安作用を示す。(3)パニック障害患者では脳脊髄液に含まれるCCK8が減少している。(4)in vitroの研究でパニック障害患者のリンパ球をCCK4で刺激すると細胞内Caの増加は健常人の場合より大きい。(5)第1度親族のパニック障害罹病危険率は健常人が0.9%であるのに対してパニック障害患者では13.2%、女性の発現率は男性の2倍であるなど遺伝要因が大きく関与する疾患である。このような所見はパニック障害がCCKB受容体の機能亢進にもとずく病態であることを推察させる。そこで本研究ではパニック障害患者のCCKB受容体遺伝子をセカンドメッセンジャ系に直接関与する細胞内第3ループを重点的に遺伝子解析を行った。解析に用いたパニック障害患者81人(男性41人、女性40人)である。血液10mlからDNA抽出キットを用いてDNAを得た。CCKB受容体のエクソン2、3、4の各部位のついてそれぞれオリゴヌクレトチドプライマーを設計しPCRを行った。PCR産物は1.5%アガロースゲルを用いた電気泳動によって増幅を確認した。PCR産物はフロムフェノールブルーおよびキシレンシアノールを含む色素バッファーにて2-5倍に希釈し、95Cで5分間の熱変性の後、直ちに氷冷し、アクリルアミドゲルにアプライした。4Cあるいは18Cの2条件で電気泳動を行った後、アクリルアミドゲルに銀染色を行いバンドを検出した。その結果、SSCPによってエクソン2において2例、エクソン3で9例、エクソン4で3例にバンドシフトを認めた。すなわち、これらの部位でのDNA塩基配列の違いがあることを示唆しており、今後ダイレクトシークエンス法によってゲノムDNAの塩基置換を検索する予定である。さらに変異のある遺伝子頻度をパニック障害者と健常対象者と比較検討する予定である。
著者
福本 晃久 渡辺 明彦 山田 高嗣 澤田 秀智 山田 行重 中野 博重 高濱 誠 北村 惣一郎
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.30, no.7, pp.1756-1760, 1997-07-01
参考文献数
12
被引用文献数
8

症例は74歳の男性. 1986年に胸部食道癌にて食道亜全摘術, 胸骨後経路による胃管再建術を施行した. 1994年5月に挙上胃管に消化性潰瘍を認めたため抗潰瘍剤を経口投与していた. 同年8月13日, 突然, 前胸部痛が出現, 改善しないため, 8月14日当科を受診した. 胸部単純X線検査, 胸部CTにて心嚢内に gas像を認め, 上部消化管造影検査にて心嚢内への造影剤の流出を認めた. その後, 胸痛の増強, 血圧低下, 不整脈が出現したため, 心タンポナーデと診断し, 緊急手術を行った. 胸骨後経路による胃管再建であったため, 左開胸下に心嚢ドレナージ術を施行した. 術後, 血圧は安定, 不整脈も軽減した。潰瘍に対しては経鼻胃管を留置し, ファモチジンを静脈投与した. 食道癌術後, 再建胃管潰瘍の心嚢内穿孔により心タンポナーデを来す症例はごくまれであり, 本邦では救命例の報告は無い (〜1995年12月) ので, 若干の文献的考察を加えて報告する.
著者
柴垣 佳明 山中 大学 清水 収司 上田 博 渡辺 明 前川 泰之 深尾 昌一郎
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
Journal of the Meteorological Society of Japan. Ser. II (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.78, no.1, pp.69-91, 2000-02-25
参考文献数
34
被引用文献数
4

1991年6月17日〜7月8日にMU(VHF帯)・気象(C・X・C / Ku帯)レーダーを用いた梅雨季対流圏の同時観測を行った。MU・C / Ku帯レーダーは風速の3成分と雨雲の鉛直分布をそれぞれ観測した。また、C・X帯レーダーはメソα, メソβスケールの雨雲の水平分布をそれぞれ調べた。この3週間の中で最も激しい降雨が観測された7月4〜5日の期間には、メソαスケール低気圧近傍でいくつかのメソβ, メソγスケールの雲システムが観測された。これらはi)温暖前線、ii)寒冷前線付近の対流雲およびiii)寒冷前線の北西側の層状雲として分類された。i)では、高度14km付近まで発達した降水雲内の顕著な上昇流は高度4〜5kmにおける前面・後面からの吹き込み成分の収束と中部対流圏の強い南風によって生成された。ii)では、寒冷前線の前面にガストフロントを持った狭いレインバンドがみられた。そのレインバンドの前方とその中では、メソγスケールのローター循環がそれぞれ発見された。iii)では、南東風(北西風)は高度9km付近まで延びた寒冷前線面の上側に沿って(その内部および真下で)上昇(下降)していた。その前線面下側には降雨を伴わない乾燥域が存在し、そこでは前線面に沿って下降した西風の一部が雲システムの後方へ吹き出していた。本研究では、晴天・降雨域の両方で観測された詳細な風速3成分を用いることで、上で述べたような特徴的なウインドフローをもったメソβ, メソγスケールの雲システムの鉛直構造を明らかにした。これらの構造は日本中部で観測されたメソαスケール低気圧近傍のクラウドクラスターの階層構造の中のより小さな雲システムとして示された。
著者
渡辺 明
出版者
東北大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2009

本研究では、屈折率が2を超える超高屈折率ポリマーの創製を目指し,主鎖がGe-Ge結合のみからなるハイパーブランチ(分岐)型ゲルマニウムポリマーにおいて,その主鎖構造や側鎖の有機置換基構造の分子設計・合成を行い,そのポリマー構造と屈折率との関係を明らかにする。さらに,そのポリマーの塗布薄膜を前駆体として,レーザー光照射や加熱処理による化学構造変化を用い,無機ゲルマニウム系薄膜への変換により,さらなる高屈折率化を行うことを目的とした研究を行った。ハイパーブランチ(分岐)型ゲルマニウムポリマーの合成は、四塩化ゲルマニウムを出発原料としてMgを用いたGrignard反応と有機臭化物を用いたキャッピング反応によって行った。これによって、種々のアルキルおよびアリール基を有するハイパーブランチ型のGe-Ge骨格を有する有機ゲルマニウムナノクラスター(OrGe)を合成した。OrGeのスピンコート薄膜は、加熱によって300℃付近から有機側鎖の脱離を伴う無機ゲルマニウム化し、さらに500℃での加熱によって結晶性ゲルマニウムへと変換されることが、顕微ラマンスペクトルやXPSスペクトルによって明らかにされた。これによって、屈折率が2.5を超える高屈折率薄膜を形成することができた。また、高屈折率のGe微細パターンを、レーザー直接描画法によって形成することが可能であった。さらに、干渉露光法やナノインプリント法によって、高屈折率微小構造体を形成し、波長フィルターとしての機能を得ることができた。