著者
錦織 直人 明石 諭 松山 武 今西 正巳 渡辺 明彦 川口 正一郎
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.484-488, 2008 (Released:2008-08-05)
参考文献数
15
被引用文献数
2 3

75歳の女性.平成18年8月下旬ヘビに右第1・2趾を咬まれ当院外来受診し経過観察入院となった.腫脹の進行に伴い横紋筋融解症による急性腎不全,高度炎症所見上昇,呼吸状態の悪化を認め,当救命救急センター紹介となった.症状の経過からマムシ咬傷を疑い,受傷後1日半経過していたが抗マムシ毒素血清とセファランチン®を投与した.CPKは112,200IU/lまで上昇していたが抗マムシ毒素血清投与後速やかに正常化した.急性腎不全・呼吸不全と肝機能の悪化を認め,持続血液濾過透析と人工呼吸管理を行った.尿量は受傷後3週目より徐々に回復し,4週目に透析から離脱した.マムシ咬傷による死亡原因は急性腎不全によるものが最多で,その原因は横紋筋融解によるミオグロビン血症やマムシ毒自体の腎毒性等による.急性期に透析・人工呼吸管理等の集中加療を行い救命しえた1例を経験したので報告する.
著者
渡辺 祐邦 WATANABE Yuho
出版者
北見工業大学
雑誌
北見工業大学研究報告
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.445-466, 1976-06

J. Hoffmeister has pointed out that Hegel’s view on the culture and history was strongly affected by the writings of a popular philosopher Christian Garve. Garve was indeed one of the most important figures in the German Enlightenment, though his works were almost forgotten today. He was not only a best-known writer who intended to make people capable of thinking by themselves, but a philosopher who broke a path leading to a new philosophy of history. In an essay which he contributed to Neue Bibliothek der schonen Wissenschaften und freien Kunste, one of the most influential magazines for literary criticism of his time, he treated the problem of priority of the modern poets. The issue was not brand new. It was an eighteenth-century revival of the famous controversy in the seventeenth century, Querelle des Anciens et des Modernes. His view was, however, entirely new. He discussed the problem by observing the differences and changing structures in the ways to get and transmit ideas among both ancient and modern peoples. He claimed also that the experiences of ancient people had become a property of mankind, of which modern people partake. This very concept introduced by Garve is no doubt one of the bases of Hegel’s philosophy of mind.
著者
渡辺 恵 伊藤 舜将 馬 文超 山崎 大
出版者
水文・水資源学会
雑誌
水文・水資源学会誌 (ISSN:09151389)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.104-121, 2022-03-05 (Released:2022-03-05)
参考文献数
40

アンサンブル洪水予測は長いリードタイムを確保でき,不確実性も表現できるため,早期警報としての活用が期待される.一方,この予測方法は確率的情報を扱うなど従来型の予測とは性質が異なり,効果的な活用ノウハウが確立されていない.本研究では,運用中の海外先行システムを調査し,予報者側とユーザーとのコミュニケーションに着目して分析した.まず,予測情報の伝達手段となる可視化手法を4つに分類し,特徴と利用法を整理した.これにより,ユーザーの要望も反映しつつ,システム不確実性を考慮し流量等の絶対値からリターンピリオド等の危険度に変換する,危険度予測一貫性の確認を可能にするなど,警報発令等の判断を支援する可視化方法を利用していることが分かった.またワークショップ等を通してユーザーと意見交換することにより,空振りの可能性のある低確率大規模災害の適切な予報が行われたり,予測情報を早期警戒に活用する際の法制度の課題が顕在化したり,ユーザーフィードバックはシステム運用改善に繋がった.アンサンブル洪水予測の効果的活用には,予測技術の高度化だけでなくユーザーとの双方向コミュニケーションが重要である点が明らかとなった.
著者
渡辺 厚
出版者
石油技術協会
雑誌
石油技術協会誌 (ISSN:03709868)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.114-121, 1985 (Released:2008-06-30)
被引用文献数
1
著者
渡辺 守邦
出版者
国文学研究資料館
雑誌
国文学研究資料館紀要 = The Bulletin of The National Institute of Japanese Literature (ISSN:03873447)
巻号頁・発行日
no.15, pp.135-165, 1989-03-25

むかし、祖母の語った安倍の童子の咄は、歳月のベールに隔てられて、記憶もおぼろげである。それゆえであろうか、かすかな太棹の三味の音を伴って甦ってくる。この一話の世上への伝搬に『蘆屋道満大内鑑』のはたした功績の大きかったことは疑いないが、それだけではなかった。江戸時代を通じて、演劇とは双子の関係にあった小説の分野にあっても取り上げられ、数々の作品の刊行をみている。また、明治の御代にいたるまで盛んに行われた、仏教講釈の演目の内にも含まれていた、という。暦数書の注釈に発した清明伝承が、さまざまなジャンルに文芸化されたありさまと、作品相互の間の関りについて調べてみることは、われわれの持つ清明像の依ってきたる所以を明らかにすることにもなるはずである。 A memory of a story of Abe-no-doji (childhood name of Abe no Seimei) which my grandmother told me long time ago is vague separated by a veil of time. That may be why it is associated in my memory with the faint sounds of Futozao (broad-neck) shamisen. There is no doubt about the great achievements that "Ashiya Doman Oouchikagami"(蘆屋道満大内鑑)produced as for propagation of this story to a public, however this was not all. It was taken up for the field of novels which had a twin-like relation with field of the Dramatic Arts, many works were published. In addition, it is said to be included on the program of a Buddhism lecture carried out actively up to the reign of the Emperor Meiji. To investigate the state that a legend of Seimei which had its beginnings in explanatory notes of the Rekisusho (the number of years book) was changed into literary arts in various genres and to try to investigate about the mutual relation with each work should be going to clarify the reason of the image of Seimei that we have.
著者
渡辺 茂
出版者
日本動物心理学会
雑誌
動物心理学研究 (ISSN:09168419)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.147-157, 2008 (Released:2008-12-24)
参考文献数
36
被引用文献数
1

Neuroanatomy is a science of form, whereas cognitive science is a science of function. Comparative neuroanatomy and comparative cognition, however, share a common interest, that is, the evolution of form and function. Pigeons and humans show apparently similar higher visual cognition, but their brain mechanisms are different. Functional constraints caused by differences in the brain structures are still unknown. Interpretation of function by form is the traditional way of explanation in biological sciences, and hence the integration of comparative neuroanatomy and comparative cognition should provide such an approach.
著者
及川 仁元 渡辺 坦 伊勢 忠男 本良 いよ子 小田島 秀夫 大藤 高志
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.16, no.11, pp.1207-1211, 1984-11-15 (Released:2013-05-24)
参考文献数
9

異物による食道穿孔を起こし,さらにこれが心・大血管と交通し致死的大出血をきたす例はまれであり,異物誤飲の確認がないと確診は困難である.症例は60歳男子で,“魚骨を呑みこんだ感じ”とともに前胸部~心窩部に疼痛をきたし,心筋梗塞の疑いで入院した.入院時検査では白血球増多,CRP陽性を認めたが,心電図・生化学的検査などに急性梗塞を思わせる所見なく,抗生剤などの対症的治療を行いつつ種々の検査を施行した.入院後胸痛は軽減の傾向にあり経口摂取も可能であった.第10病日に前胸部~背部にわたる激痛が出現,解離性大動脈瘤を疑いCT検査を行ったが陽性所見なく,検査中数回の少量吐血をみた.第11病日大量の吐血をきたしショック状態が進展して死亡した.剖検では消化管・胸腔に大量の凝血,食道と下行大動脈問の交通,および縦隔洞間質の壊死性血腫の中心に約4cmの鋭い魚骨が認められた.異物起因の既往が確認されず,不定の胸部症状のため診断前に死亡した例であるが,早期の外科療法により救命の可能性もあるので報告する.
著者
渡辺 謙仁
雑誌
第31回天文教育研究会・2017年天文教育普及研究会年会 集録
巻号頁・発行日
2017

第31回天文教育研究会, 2017年8月6日-8日, 西本願寺 聞法会館, 京都市.
著者
渡辺 直経
出版者
Japan Association for Quaternary Research
雑誌
第四紀研究 (ISSN:04182642)
巻号頁・発行日
vol.6, no.4, pp.230-238, 1967-12-30 (Released:2009-08-21)
参考文献数
25

It is essential for the magnetic dating of archaeological remains and sites that the changes in geomagnetic elements are known with regard to the relevant period in the past. Secular variation curves of the direction of geomagnetism in historic and protohistoric times in Japan have been set up by means of the natural remanent magnetism of baked earth from ceramic kilns, lava flows and tuffs, the absolute dates of them being determined by archaeological and documentary evidences. As to the Yayoi and Jomon period, charcoal was occasionally found from the dwelling pit where baked earth samples were collected so that the radiocarbon date determined from the charcoal was directly connected with the geomagnetic direction obtained from the baked earth. Change in the intensity of geomagnetism in the past has also been traced back into the Jomon period. Magnetic dating may be achieved more effectively, if the change in the intensity is taken into account together with that in the direction of geomagnetism.
著者
伊達木 澄人 中富 明子 渡辺 聡
出版者
長崎大学
雑誌
長崎医学会雑誌 (ISSN:03693228)
巻号頁・発行日
vol.89, no.1, pp.39-43, 2014-03

アレルギー性鼻炎に対して、セレスタミンRを長期内服した結果、Cushing症候群と続発性副腎機能不全をきたした11歳女児例を経験した。患児は、セレスタミンR1日2錠(ベタメタゾンとして0.5mg)を少なくとも8か月間毎日内服していた。Rapid ACTH試験にて内因性コルチゾール分泌能は低下していたため、セレスタミンR中止後、生理的維持量のコートリルRを開始した。その後、コートリルRを漸減し、1か月で中止可能であった。セレスタミンRは、強力な抗アレルギー作用を有することから、多科において広範囲に使用されている薬剤である。しかし、本剤がステロイド合剤であるという認識が乏しく、長期服用による副作用が問題となる例が跡を絶たない。安易な長期処方を避け、使用する際には、適切な患者・家族への情報提供と副作用に対する十分な注意・対応が望まれる。

3 0 0 0 神戸を想う

著者
渡辺 侑子
出版者
神戸市外国語大学
雑誌
神戸外大論叢 (ISSN:02897954)
巻号頁・発行日
vol.54, no.7, pp.171-177, 2003-12-25
著者
渡辺 澄子 村田 温子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.55, pp.193, 2003

【目的】中学・高校生の衣生活に対する意識や実態は、彼らのライフスタイルの中の一要因であり、服装単独で存在するものではない。本研究は、昨年報告した三重県下の中学・高校生の生活構造の結果をもとに、衣生活の実態が他の生活領域とどのように関連しているかを明らかにするものである。【方法】調査は第1報と同様である。調査内容は、制服に対する賛否とその理由、服装に対する興味関心(服装のセンス、ブランド服の好き嫌い、服の好み他)と他の生活領域項目(生活時間、生活空間、生活意識、人間関係、食生活、住生活、学校生活、経済状態、生活習慣・規範・態度)である。分析方法は、単純集計、クロス集計、重回帰分析、共分散構造分析による解析を行った。【結果】服装への興味関心は、中学生・高校生のライフスタイル全般からみたところ、その影響を強く受ける順に、友人関係、自分の将来への関心度、校則に対する態度、世界の動きや政治への関心度、お小遣いの額、生き方に対する態度、生活全般に対する満足度などとの関わりが強いことが明らかとなった。 一方、あまり影響がみられない項目として明らかになったものは、テレビ視聴時間の長さ、先生と会話をするかどうか、制服への賛否、勉強の目的、アルバイトの有無、タバコを吸っているか否か、ボランティア意識があるか否かなどであった。また衣生活の中でも、自分の衣服を洗濯するかどうかという基準では、お年よりのためのボランティア志向があるか否か等との関連がみられた。中高生の衣生活の有り様を考える場合は、個別のファッションを指摘することよりも、彼らのライフスタイルとの関わりで考える必要があることが明らかとなった。
著者
山内 健生 小原 真弓 渡辺 護 安藤 秀二 石倉 康宏 品川 保弘 長谷川 澄代 中村 一哉 岩井 雅恵 倉田 毅 滝澤 剛則
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.23-31, 2009
被引用文献数
1

1991-2007年に富山県においてフランネルによるマダニ採集を行い,3,562個体のマダニ類を採集した.これらのマダニ類は次の2属9種に分類された:キチマダニHaemaphysalis flava,ヤマトチマダニH.japonica,ヒゲナガチマダニH.kitaokai,フタトゲチマダニH.longicornis,オオトゲチマダニH.megaspinosa,ヒトツトゲマダニIxodes monospinosus,タネガタマダニI.nipponensis,ヤマトマダニI.ovatus,シュルツェマダニI.persulcatus.ヤマトマダニは標高401m以上の地域における最優占種で,それより低い標高域においても少なからぬ密度で分布することが示された.キチマダニは標高400m以下の地域における最優占種であった.ヒゲナガチマダニ,オオトゲチマダニ,およびヒトツトゲマダニを富山県から初めて記録した.ヒトツトゲマダニからRickettsia helveticaの近縁リケッチアが検出され,富山県における紅斑熱患者発生の可能性が示された.
著者
渡辺 愛子 坂口 博信
出版者
日本比較生理生化学会
雑誌
比較生理生化学 (ISSN:09163786)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.20-31, 2006-01-30 (Released:2007-10-05)
参考文献数
93

スズメ目の鳴禽類, オウム目, ハチドリ目に属する鳥は, 音声学習によってさえずり (歌) を発達させ, 種内のコミュニケーションに用いている。鳴禽類の雄の幼鳥は, 成長期に手本となる鳥の歌を聞いて記憶し練習することで歌を完成させる。この練習時には, 自分のさえずる歌が学習目標となる歌の手本にどれだけ近づいたかを常にモニターするために, 聴覚フィードバックが必要であることが明らかにされている。さらに, 成鳥が完成後の歌を維持するためにも, 同じ理由で聴覚フィードバックが必要であることが, 筆者等の研究も含めた近年の報告により明らかになってきた。成鳥での聴覚フィードバックの重要性については, 鳴禽類の種で異なる結果が報告され, いまだに不明な点が多い。そこで本稿では, 筆者等の研究結果を交え, まず行動レベルで聴覚剥奪後の歌の特徴を比較して, 成鳥の歌の維持における聴覚フィードバックの必要性について検討した。次に, 聴覚剥奪によって成鳥の歌が変化する時に起こる脳内の変化を調べ, 聴覚フィードバックによって制御される成鳥の歌維持の脳内機構についても考察した。