著者
瀧川 郁久
出版者
東海大学
雑誌
東海大学紀要. 海洋学部 (ISSN:13487620)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.35-41, 2010-04-20

The Churning of the Ocean (samudramanthana) is one of the most popular episodes in classical Indian myth.The story also appears in Tibetan medical paintings as an illustration of the origin of the poison. The Tibetan version contains some unique episodes and somewhat differs from the epic-purāṇa versions; moreover, some parallel passages of these episodes can be found in Indian medical books. By comparing these versions, we will be able to find another tradition of the story, different from the tradition of the well-known epic-purāṇa versions.乳海攪拌神話は、古典的なインド神話のうちでもっともよく知られた挿話のひとつである。この物語は、チベットの医学絵画にも、毒物の起源の説明として現われている。このチベット版は、叙事詩・プラーナ文献とはやや異なる、独特の挿話を含んでいる。そして、このような挿話と類似した記述が、インドの医学書に見いだされるのである。これらの異本を比較することによって、周知の叙事詩・プラーナ文献の伝承とは異なる、もうひとつの伝承を見いだすことができるであろう。
著者
横山 大輔 瀧川 円 小野 しずか 新井 紀子 古吉 三紀 古吉 直彦
出版者
公益社団法人 日本視能訓練士協会
雑誌
日本視能訓練士協会誌 (ISSN:03875172)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.161-166, 2014 (Released:2015-03-19)
参考文献数
9
被引用文献数
1

【目的】糖尿病眼筋麻痺は予後が比較的良好といわれているが微小な偏位や自覚症状の残存する症例をしばしば経験する。今回当院の糖尿病眼筋麻痺について臨床所見ならびに予後とその関連因子について検討した。【対象と方法】対象は2004~2013年に糖尿病眼筋麻痺と診断した14例である。発症年齢33~91歳。検査は交代プリズム遮閉試験、Bagolini線条鏡を用いた融像野試験、眼球運動検査、ヘモグロビンA1c(HbA1c)等を行った。深井らの後天性眼球運動障害の治癒基準に従った8)。経過観察期間は1か月~2年である。【結果】眼筋麻痺は全例が一側の単独神経麻痺を生じ、3例に他の神経に再発を認めた。内訳は動眼神経7眼、滑車神経4眼、外転神経6眼であった。治癒例は14例中10例(71%)であった。治癒までの期間は平均2.6か月であった。残存例は4例(29%)であった。残存例は、発症から5か月以上経過しており、動眼神経麻痺の上下筋障害が多かった。発症時のHbA1c7%以上は14例中11例(79%)に認めた。発症時のHbA1cが7%以上、血糖コントロール不良例、糖尿病罹病期間5年以上の症例に残存が多かった。また2例は眼筋麻痺発症が糖尿病発見の契機になった。【結論】糖尿病眼筋麻痺で残存例を29%に認めた。血糖コントロールは予後に影響を及ぼすことが示唆された。

1 0 0 0 OA 紫徴中臺考

著者
瀧川 政次郎
出版者
法制史学会
雑誌
法制史研究 (ISSN:04412508)
巻号頁・発行日
vol.1954, no.4, pp.19-50,en1, 1954-07-31 (Released:2009-11-16)
被引用文献数
1

In the first year of Tempyo-Shoho, with the ascension of the Emperor Koken to the. throne, the Empress Dowager Komyo established the office known as Shibi-chu-dai, composed of officers of the four ranks : Rei, Daisho-Hitsu, Daisho-chu, and Daisho-so. Besides these four high-ranking officers there were such officers as Shisei and Toneri whose duty it was to treat of general affairs.Officers above Hitsu took care of the ordinances of the Empress-dowager issued as Imperial Ordinances and those below Chu usually attended to the official duties in regard to the Empress-Dowager's office. The Empress-Dowager Komyo held the reins in her hand as mother of the Emperor, and Shibi-chu-dai from which her ordinances were issued had come to wield the greater authority than Da-jo-kan, being constantly backed up by the political tactics of Shibi-rei Fujiwara Nakamaro.Towards the end of the year Shoho, it had become known as the highest governmental office-like Chung-shn-sheng of Tang, after which it was named. In the second year of Tempyo-Hoji, when the Emperor Jyunnin stood at the helm of the state as the Emperor-the rule of the Empress Dowager was discontinued and Nakamaro was transferred and appointed as Taiho-(Udaijin). At the same time Shibi-chu-dai was, re-named as Konkyu-kan, the chief duty of which was to take charge of the general affairs concerning the Empress-dowager's office. In the fifth year of Ho-ji (one year after the death of the Empress Dowager) the once almighty Shibi-chu-dai ceased to exist.
著者
大宜見 朝栄 久保 芳文 樋口 浩 瀧川 雄一
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.72, no.1, pp.17-22, 1990-01-01
被引用文献数
3

沖縄, 鹿児島, 宮崎および高知県内のヒメユズリハの幹, 枝にこぶ(癌腫)を形成する新しい細菌による病害が発見された。こぶの大きさは, 小豆大から拳大で, こぶの表層は淡褐色ないし黒褐色で, 不規則な割裂を伴い粗造である。こぶ形成後の病徴の進展は, 枝幹をほぼ水平方向に巻く傾向がうかがわれた。こぶ組織から分離された病原細菌の細菌学的性質は, 木本植物にこぶ形成能のあるPseudomonas syringae VAN HALL の既知病原型にきわめて類似していた。しかし, 本菌はヒメユズリハにのみ病原性を有し, 宿主範囲が他の病原型とは明瞭に異なった。これらの結果からヒメユズリハのこぶ病菌をPseudomonas syringae pv. daphniphylli pv. nov. と命名し, 病名を新たにヒメユズリハこぶ病Bacterialgalldiseaseofhimeyuzuriha(Daphniphyllum teijsmanni ZOLL.)と呼称することを提案した。本菌のpathotype strainとしてDAT 1 (ATCC49211,NCPPB3617,1CMP 9757)を指定した。
著者
田中 雅人 尾崎 敏文 沖原 巧 渡邉 典行 瀧川 朋亨 塩崎 泰之
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

抗菌薬をリン酸化プルランに含有した新規骨補填材の有用性について検討した。骨補填材からの抗菌薬徐放能を検討し、新規骨補填材では従来の骨補填材と比較し良好な徐放能を示した。また、黄色ブドウ球菌をマウス骨髄内に注入し作成した骨髄炎マウスモデルを用いて検討を行い、従来の骨補填材と比較し有意に強い抗菌作用を認めた。以上より抗菌薬含有リン酸化プルランは感染治療に有用であることが示唆された。
著者
瀧川 渉
出版者
国際医療福祉大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

筋骨格ストレスマーカー(MSM)15 項目の進行状況について独自の基準を設定し、次のような研究成果を得た。(1)多くの項目において年齢と MSM スコアの間には有意な正の相関が確認された。(2)縄文人 5 地域集団間の比較では、男性の方が女性よりも MSM の出現状況において地域的な変異が大きいことが示唆された。(3)弥生人3地域集団を比較すると、北部九州弥生人は縄文人集団と異なる一方で、種子島弥生人は縄文人集団に類似する様相を示した。
著者
富濵 毅 尾松 直志 中村 正幸 岩井 久 瀧川 雄一
出版者
日本植物病理學會
雑誌
日本植物病理学会報 (ISSN:00319473)
巻号頁・発行日
vol.76, no.4, pp.259-268, 2010
被引用文献数
2

2007年の台風4号襲来時に鹿児島県の更新園や幼木園の徒長枝に,チャ葉の褐変症状が見られた.褐変症状からはチャ葉に高濃度で注入接種した場合に,過酸化水素の発生を伴う過敏感反応性症状を24~48時間以内に形成する細菌(以下,HRT菌)が分離された.2007年から2008年にかけて台風襲来後に発生したチャ葉の褐変症状から4種類のHRT菌が分離され,そのうち優先2種は細菌学的性質および16S rRNA遺伝子解析より,それぞれ<i>Herbaspirillum huttiense</i> および<i>Acidovorax avenae</i> に近縁な種であった.これらの細菌は,通常の付傷接種や野外条件においてチャ葉に病原性を示さなかった.しかし,台風襲来時に野外茶園においてHRT菌を噴霧接種したところ,翌日には原症状に類似した褐変症状が再現でき,病斑部分からは接種菌が再分離された.我々のデータは,台風襲来時のような特殊な条件下では本来は非病原性である細菌によって過敏感反応による被害が引き起こされうることを示唆する.<br>
著者
瀧川 具弘
巻号頁・発行日
2012

科学研究費助成事業(科学研究費補助金)研究成果報告書:基盤研究(B)2009-2011
著者
露無 慎二 舟久保 太一 堀 要 瀧川 雄一 後藤 正夫
出版者
日本植物病理学会
雑誌
日本植物病理學會報 (ISSN:00319473)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.294-302, 1985-07-25

Erwinia属軟腐病菌 (E. carotovora subsp. carotovora および E. chrysanthemi) を大根およびジャガイモに接種し, その腐敗組織内のペクチン質分解酵素活性を調べると, ペクチンリアーゼ活性がペクチン酸リアーゼ活性と同程度になるまで近づく場合があった。E. chrysanthemi (EC183) を大根熱水抽出液培地に培養すると, 両酵素の比活性が経時的に上昇した。さらに12種の植物抽出液について調べた結果, 全ての植物抽出液で同様な結果を得た。これらの結果から, 多くの植物抽出液中にはペクチン質 (ペクチン酸リアーゼの誘導物質を供給する) の他, ペクチンリアーゼの誘導物質であるDNA損傷物質が存在することが示唆された。そこで, これら12種の植物抽出液についてDNA損傷物質の存在をrecアッセイで調べた結果, 10種の植物抽出液にその存在を確認した。以上の結果から, Erwinia属軟腐病菌のペクチンリアーゼは植物体組織に存在するDNA損傷物質によって誘導される可能性が考えられ, 宿主植物の感染部位におけるその制御と病徴発現に果たす役割について考察した。
著者
瀧川 禅
出版者
大阪女学院大学・短期大学
雑誌
大阪女学院大学紀要 (ISSN:18800084)
巻号頁・発行日
no.3, pp.15-24, 2006

本稿では異文化間コミュニケーションにおいて、国際結婚カップルの日本語会話データを用い、日本人の妻がアメリカ人の夫に話をする時、話の重要な点をどう伝えそれを夫は理解できるのか分析する。文化の違いにより話の伝え方も全く異なる。たとえば、アメリカ人は話の重要点をはっきり表現するが、日本人は聞き手自身が文脈から理解する手法をとる。従ってそのスタイルに慣れていない外国人は、話し手である日本人が伝えたいことを理解できないことがある。本研究でも、妻と夫の話の伝え方の違いが誤解を生む結果となることが分かった。
著者
瀧川 裕貴
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.21-39, 2009-05-25 (Released:2010-01-08)
参考文献数
35
被引用文献数
2

本稿の目的は互恵性基底的平等の規範理論を提案することである。互恵性基底的平等の理論は、現在の主流理論たる平等の権利モデルに対する代替案となることをめざしている。互恵性をゲーム理論の形式を用いて定式化した後に、権利モデルとの対比において互恵性基底的理論の特質として次の3点を抽出する。それは、(1)相互行為的、(2)他者関与的、(3)対他責任、の3つである。その上で、互恵性と平等との関係について考察する。中心的に問われるのは、互恵性が自然的能力の不平等を再生産するという理解は正しいかどうかということ、互恵性原理には分配的平等を支持する側面が存在するのかどうかということ、である。前者の問いには否定的に答えられることを、後者に関しては価値としての互恵性という考えを用いて肯定的に答えられることを論じる。このようにして互恵性から出発して平等の理論を構築する方向性が示される。
著者
輿石 直樹 井出澤 剛直 井上 亜矢子 熊田 哲 柴 修吾 渡邊 美穂 瀧川 拓人 岡崎 護 木嶋 泰興 冨永 邦彦
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.45-50, 2004-01-01
参考文献数
12
被引用文献数
17

症例は77歳の男性.体重減少を主訴に入院となった.精査にて,Vater乳頭部の未分化型腺癌との診断になり,膵頭十二指腸切除術を施行した.腫瘍は露出腫瘤型で,深達度はOddi筋までであった.主座は小型腫瘍細胞がシート状に増殖し,粘膜側に腺癌構造伴っており,免疫組織学的検索においてNSEとchromogranin Aは陽性で,desminとS-100蛋白は陰性で,腺内分泌細胞癌と診断した.腺内分泌細胞癌は腺癌から分化を伴ったものとされており,その悪性度は高く,比較的小さな病変で診断・治療されても,予後不良とされている.本症例も術後14か月で多発性肝転移のため死亡した.十二指腸乳頭部原発の腺内分泌細胞癌の本邦での報告は自験例を含め14例とまれである.本邦報告例とともに文献的考察を加え報告する.
著者
瀧川 雄一
出版者
静岡大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

植物病原細菌の主要な発病機構であるIII型分泌機構は多くの細菌で見つかっているが、それによらない植物病原細菌の探索と新たな発病機構の解明を試みた所、Pantoea ananatisが該当することを見いだし、系統により植物ホルモン合成遺伝子が主要な病原因子であることを解明し、それを利用した検出システムも構築した。また、イネ、ネギを侵す系統がタバコに過敏感反応様の反応を引き起こすことも明らかにし、機能解析のための変異株の作出に成功した。Rhizobacter dauciやPseudomonas fuscovaginaeにおいてもIII型非依存であることを示し、特異な発病機構の一端を解明した。