著者
江口 信清 藤巻 正己 ピーティ デヴィッド 山本 勇次 村瀬 智 瀬川 真平 池本 幸生 石井 香世子 四本 幸夫 古村 学
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2006

本研究の目的は、社会的弱者が、不利益をもたらされがちであった観光現象を逆手にとって、自立化・自律化の途を進み、かつ近代化の過程で喪失してきた自信やプライド、そして「伝統」を回復することはできるのだろうか。社会的弱者の自立的な生き方に観光がどのような意味を持つのかについて、世界の多様な地域の事例の比較分析し、考察をすることにある。比較研究の結果、少なくとも4つの結論を得た。(1) 途上国における社会的弱者は、観光にかかわるだけでは自立しえないであろう。(2) 外部で作られた観光の概念やスタイルと現地の人たちの理解するそれらの間には、しばしば齟齬がある。(3) 自生的なリーダーとこの人物を支えるフォロワー関係の存在が、観光開発の成否やコミュニティの福祉の改善に大きくかかわる。そして、(4) 女性の役割がたいへん重要であるということである。
著者
宮本 賢一 桑波田 雅士 瀬川 博子
出版者
徳島大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2004

Klothoマウスはヒトの老化症状によく似た変異表現型を有するマウスである。Klotho蛋白の動物個体における真の役割については未だ明らかではないが、生体のカルシウム・リン代謝調節に深く関与していることが考えられている。とくに、Klothoマウスに見られるカルシウム・リンの代謝異常は、寿命決定の最も重要な要因であり、事実、低リン食でKlothoマウスを飼育し、高リン血症を是正すると、表現型の回復と、寿命の延長が観察される。Klotho蛋白とリンセンサー(type IIc Na/Pi cotransporter)は、脳脊髄液のリン濃度維持に関与しており、リンセンサーからのシグナルは脳脊髄液関門から分泌される未同定のリン調節因子の量を調節して末梢組織(腎臓など)に作用させるリン代謝ホルモン(寿命ホルモン)分泌を支配する統合性受容体(センサー)である。本研究ではリンセンサーノックアウト動物を作製し、リン代謝ホルモンの分泌を検討した結果、脳脊髄液関門においてこれらのホルモンの分泌過剰が予想された。そこで、リンセンサーノックアウトマウスおよび野生型マウスより分離した初代培養系脳脊髄液関門細胞を用いて、分泌亢進が見られる蛋白を分離し、質量分析計を用いて同定を試みた。さらに、DNAチップにより発現亢進の見られる分泌型遺伝子について解析した。これらの結果、4種類の機能不明蛋白(PKOS1, PKOS2, PKOS8, PKOS12)の発現亢進が確認された。現在、これらの機能についてノックアウトマウスを作製し検討している。さらに、klotho蛋白とPKOS12について発現部位が一致しているため、現在、蛋白相互を検討している。
著者
逆瀬川 浩孝
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.131, pp.51-56, 2002-06-13

待ち行列モデル解析や通信ネットワークの性能評価を確率モデルを使って解析的に求めるためには、さまざまな制約条件、理想化が必要で解と現実との対応関係が直接的でないことが多い。現実の動きをモデル的にとらえ、乱数を用いて現実の動きを模倣するシミュレーションの技法は直感的で理解されやすく、多くの論文で解析的アプローチに代わる唯一の代替案として用いられている。シミュレーションは現実のシステムを忠実になぞることによってどのようなシステムでも原理的にはモデル化することができるから、あとはそれを「動かして」結果を得ることができる、と思われている。しかし、シミュレーションを性能評価の道具として機能させるには、きちんとした統計的な知識を身につけておかないと、間違った結論が一人歩きしかねない。この小論ではシミュレーションを実際の問題に適用する場合にどのようなことに注意しなければいけないのか、シミュレーションの結果はどの程度信頼がおけるのか、信頼されるようなシミュレーションはどのようにして可能か、というような問題について、具体的な指針を与えることを目標とする。
著者
瀬川 裕司
出版者
明治大学教養論集刊行会
雑誌
明治大学教養論集 (ISSN:03896005)
巻号頁・発行日
no.322, pp.63-130, 1999-03

レーニ・リーフェンシュタールによる1934年ナチ党大会の記録映画『意志の勝利』は、その監督の名前に決定的な負の刻印を押した<呪われた映画>として名高い。その作品は今日でもドイツでは一般的上映を禁じられているが、他方ではその力強さ、抗しがたい魅力を指摘する声も絶えない、映画史上最大の問題作のひとつといえる。以下では私たちは、まずそれがどのように撮影・編集された映画であるかという検討から入ることにしよう。映画の全体は、以下のような20のシークエンスから構成されている。じっさいの党大会の行事は、ヒトラーがニュルンベルクに到着した9月4日から10日の閉幕まで、計七日間にわたっておこなわれたが、映画ではそれが五日として表現されている。
著者
大蔵 健義 一瀬 邦弘 渡部 秀樹 瀬川 裕史 三ツ矢 和弘 榎本 英夫 林 雅敏 矢追 良正 Takeyoshi OHKURA Kunihiro ISSE Hideki WATABE Yushi SEGAWA Kazuhiro MITSUYA Hideo ENOMOTO Masatoshi HAYASHI Yoshimasa YAOI 獨協医科大学越谷病院産婦人科 東京都多摩老人医療センター精神科 獨協医科大学越谷病院産婦人科 獨協医科大学越谷病院産婦人科 獨協医科大学越谷病院産婦人科 獨協医科大学越谷病院産婦人科 獨協医科大学越谷病院産婦人科 獨協医科大学越谷病院産婦人科 Department of Obstetrics and Gynecology Koshigaya Hospital Dokkyo University School of Medicine Department of Psychiatry Tokyo Metropolitan Tama Geriatric Hospital Department of Obstetrics and Gynecology Koshigaya Hospital Dokkyo University School of Medicine Department of Obstetrics and Gynecology Koshigaya Hospital Dokkyo University School of Medicine Department of Obstetrics and Gynecology Koshigaya Hospital Dokkyo University School of Medicine Department of Obstetrics and Gynecology Koshigaya Hospital Dokkyo University School of Medicine Department of Obstetrics and Gynecology Koshigaya Hospital Dokkyo University School of Medicine Department of Obstetrics and Gynecology Koshigaya Hospital Dokkyo University School of Medicine
雑誌
日本産科婦人科學會雜誌 = Acta obstetrica et gynaecologica Japonica (ISSN:03009165)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.271-276, 1994-03-01
被引用文献数
4

更年期以後の婦人は, 種々な程度の物忘れを訴える。エストロゲンが女性の記憶機能に影響を与えるという報告がある。しかし, 女性の更年期に関連して年齢層別に記憶検査を行って, 記憶力低下があるかどうかを報告した文献はない。本研究は, 次の二つを主な目的とした。更年期及びその周辺婦人に関して, 1) 記憶力低下があるかどうか。2) もし記憶力低下があるとすると, それは, 卵巣からのエストロゲン分泌が減少する更年期開始の年齢層やエストロゲン分泌が消失する閉経期の年齢層と関係があるかどうか。1), 2) を明らかにするために, 獨協医科大学越谷病院産婦人科外来受診中でかつ通常の日常生活を送っている, 31~65歳の婦人200名について三宅式記銘力検査を行って検討した。200名を5歳ごとに年齢層で区分して, A~G群に分けた。A~F群は各群30名で, G群は20名であった。各群の記憶力は, 無関係対語3回目の正答数を代表値として, 分散分析後多重比較した。A群 (31~35歳) とB群 (36~40歳) の正答数 (平均±SD) は, それぞれ8.0±2.0, 8.2±1.7で, 有意差は認められなかった。この両群は, 残りのいずれの群よりも高値であった (p<0.01)。C群 (41~45歳) とD群 (46~50歳) の正答数は, それぞれ5.9±2.1, 5.6±2.4で, 両群間に有意差はなかった。E (51~55歳), F (56~60歳), G (61~65歳) の各群の正答数は,それぞれ4.5±2.4, 4.2±2.2, 3.3±1.6であった。C群は, E~Gの各群より有意に高かった (p<0.05)。D群は, F, Gの両群より有意に高かった (p<0.05)。E群はG群より有意に高かった (p<0.01)。以上をまとめると次のようになる。B群からC群に移行するところで記憶力低下は最大であった。更年期には, C群とE群で記憶力低下が認められた。前者は, 血中エストロゲンの周期的変化が減少ないし停止して, 更年期が開始する年齢層に一致していた。後者は, 閉経期の年齢層に一致していた。更年期以後も緩徐に記憶力低下が進行した。This study was designed to investigate memory function in climacteric and periclimacteric women who lived a normal, ordinary life. Two hundred women treated at the gynecological outpatient clinic of Koshigaya Hospital were divided into 7 groups: groups A (31~35yr), B (36~40yr), C (41~45yr), D (46~50yr), E (51~55yr), F (56~60yr) and G (61~65yr). Each group consisted of 30 women except group G (n=20). The memory function of each group was determined and the mean scores for 10 paired hard-associates after three trials of presentation were compared. The mean scores (±SD) for groups A and B were 8.0±2.0 and 8.2±1.7, respectively, which were not statistically different. The scores for both groups were significantly higher than those for the other groups (p<0.01). The mean scores for groups C and D were 5.9±2.1 and 5.6±2.4, respectively, which were not statistically different. The score for group C was significantly higher than those for groups E (4.5±2.4), F (4.2±2.2), and G (3.3±1.6) (p<0.05). The score for group D was significantly higher than those for groups F and G (p<0.05). The score for group E was significantly higher than that for group G (p<0.01). The decrease in memory function was the greatest in group C. In the climacterium, memory impairment was also observdd in group E. The former corresponds to the climacteric commencement age group where cyclic changes in serum estrogen levels decrease or cease, and the latter corresponds to the age group for menopause. Memory impairment progressed gradually in postclimacteric women.
著者
瀬川 裕司
出版者
明治大学教養論集刊行会
雑誌
明治大学教養論集 (ISSN:03896005)
巻号頁・発行日
no.384, pp.93-111, 2004-03

ドイツ・アメリカ映画の歴史に偉大な足跡を残したエルンスト・ルーピチュは、1892年1月29日、ジーモン(ジムヒャ)およびアンナ・ルーピチュというユダヤ人夫妻の次男としてベルリンに生まれた。まだドイツに皇帝が君臨していた時代のことで、その皇帝、ヴィルヘルム二世が33歳の誕生日を迎えた二日後にエルンストはこの世に生を受けたのだった。当時のルーピチュ一家はロートリンガー・シュトラーセ82a番地に居を構えていたが、一年後にはシェーンハウザー・アレー183番地へに引っ越した。同じ年にベルリンに生まれた<ユダヤ系ドイツ人>として私たちが思い出さずにはいられないのは、ヴァルター・ベンヤミンであろう。ゴージャスな雰囲気のなかで展開される<洗練された喜劇>の監督としてハリウッドで成功を収めるルーピチュと、孤高の思想家として知られ、悲劇的な最期を迎えるペンヤミンとがまったくの同時代人であり、同じ都市で幼年期を過ごしているという事実には、多くの人々にとってむしろ意外に感じられる部分があるかもしれない。
著者
瀬川 博子 飯倉 洋治
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー
巻号頁・発行日
vol.39, no.10, pp.1427-1436, 1990

本研究は, theophyllineの長期連用と問題行動との関連について, 5名の難治例を含む気管支喘息児14名と健常児24名を対象として検討した.喘息児群はThophylline内服とcromolyn吸入を3.6±3.8年間併用していた.神経心理学的検査:幼児児童問題行動・性格診断用紙, 小児問題行動調査用紙, caffeine様副作用調査用紙, 不安テスト, 視覚集中力テスト, 内田・クレッペリン精神作業検査, soft neurological signsの検査を1〜12週の間隔をおき施行した.Theophylline投与中, 腹痛や不眠, 途中覚醒などのcaffeine様副作用が児の両親から指摘されたが, theophylline中止により減少した.喘息児群およびそのうち難治例ではクレッペリン精神作業検査の誤謬率が健常児群に比べ有意に高く, 喘息児群はsoft neurological signsに異常を認めた.他のテストは喘息群と対照群の間およびtheophylline中止前後において有意の変化を認めなかった.これらの結果から気管支喘息児の問題行動や学習障害は, theophyllineよりは, 気管支喘息の病因または症状による影響がより大きいと思われる.
著者
小林 和男 飯山 敏道 藤本 博巳 酒井 均 平 朝彦 瀬川 爾朗 古田 俊夫
出版者
東京大学
雑誌
一般研究(A)
巻号頁・発行日
1988

本補助金による2年度にわたる集中的な研究によって西南日本沖(南海トラフ陸側斜面)の海底湧水帯の位置が精密に同定され、その実態がはじめて詳しく解明された。シロウリ貝群集が湧水帯上に集中して生息することは1985年のKAIKO計画においてすでに推定され、世界の他海域(バルバドスやオレゴン沖)でも証拠が挙がっていたが、今回現場での海底下鉛直温度勾配測定によって1年数mに及ぶ湧出水がシロウリ貝群集直下の径1m程度の範囲に集中して存在することが明瞭に示された。この湧出水はやや、深部からもたらされたメタン、硫黄等を含み貝の生育を助ける共生バクテリアの餌となると共に、酸素に富んだ表層間隙水により酸化されて炭酸カルシウムをつくり、周囲の堆積物の間隙を埋めて堆積物を固結させる働きをすることがわかった。湧水帯が集中する海溝付加帯の変動前面(水深3800〜3600m)でも1m弱の軟い堆積物の下に固化した砂泥の存在が推定され、海底にもいくつかの堆積物チムニ-が顔を出していることが曳航テレビと潜水船で観察されて試料採取にも成功した。この地点では3ケ月にわたる地殻熱流量と海底電位差の連続測定が行われ、有意な時間変動を検出している。一方、変動前面の上方に当るバックスラスト域(水深2000m)では小さなシロウリ貝群集が発見されスラストに沿う小規模の湧水が推定されるが、それ以外の海底には貝殻を含む固結した堆積物が露出し侵食を受けていることが判った。前面域で堆積し固化したものがしだいに上方に押し上げられて一部が露出するがほとんど地層内にとり込まれて行く一連の過程が1地域で観察されたことになり、プレ-ト沈み込みに伴う海溝付加帯の生成と成長についてこれまで古い地質時代の地層について推定されていたできごとが、現に海底で起こっているようすをありのまゝにとらえることができた点で日仏協力KAIKO-NANKAI計画の一環としても価値の高い成果である。
著者
瀬川 滋
出版者
日経BP社
雑誌
日経アーキテクチュア (ISSN:03850870)
巻号頁・発行日
no.905, pp.78-80, 2009-07-27

福岡市の住宅街の一角に、つる性の植物で覆われた2階建ての建物がある。建物は30〜40年前に建てられたファスナー工場。最近10年間ほど使われていなかったこの工場を、セレクトショップ「minorityrev(マイノリティレッブ)」のオーナーが2007年に借り受け、ブティックへと転用する計画が持ち上がった。 設計を手掛けたケース・リアルの二俣公一氏は振り返る。
著者
岡部 めぐみ 瀬川 大勝 宮村(中村) 浩子 斎藤 隆文
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告グラフィクスとCAD(CG) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.86, pp.29-34, 2004-08-18
参考文献数
5
被引用文献数
3

本論文では,多重スケール解析を用いて非写実的顔画像を生成する手法を提案する.サイズの異なるGaussianフィルタを複数組み合わせて周波数分解を行い,複数の異なる周波数帯域の情報を得る.そして,各帯域の詳細度を考慮し,それぞれに重み付けを行なうことで,輪郭などの局所的な情報や,陰影などの大域的な濃淡情報を得ることができる.これにより,輪郭線で表現できるフラットな情報だけでなく,陰影によって顔の凹凸情報も同時に表現する.さらに,色の情報を組み合わせることによって,よりアトラクティブな画像を得ることを可能としている.この手法の特徴は,少ないパラメタで描画結果を制御でき,また,照明条件に依らず,安定した結果が得られることである.We propose a new method to create non-photorealostic facial images. Our method is based on a multi scale analysis which uses Gaussian filters for frequency decomposition. By recomposing with proper weight for each band-pass image, we can get non-photorealistic facial images which include both local edge information and rough shading information of the source image. Furthermore, color information is added to create more attractive images. This method has the robustness against lighting conditions. Also, a user can control the drawing result with a few parameters.