著者
瀬川 純 数野 憲二 松岡 正人 白波瀬 一朗 尾崎 正邦 松田 真人 冨井 由文 北野 正彦 黄瀬 正博
出版者
公益社団法人日本薬学会
雑誌
Chemical & pharmaceutical bulletin (ISSN:00092363)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.63-70, 1995-01-15

A seried of 1,8-disubstituted 6-fluoro-4-oxo-7-piperazinyl-4H-[1,3]thiazeto[3,2-a]quinoline-3-carboxylic acid derivatives was prepared and evaluated for antibacterial activity. In the 7-piperazinyl series, addition of a fluorine at C-8,which increased the in vitro activity for the 1-hydrogen and 1-methyl analogues and decreased it for the 1-phenyl analogue, improved the in vivo activity of all the analogues. Introduction of a methoxy group at C-8 of the 1-methyl-7-piperazinyl analogue also improved its in vivo antibacterial activity. The effect of 8-substituents on the in vitro and in vivo antibacterial activity of the 1-methyl-7-(4-methyl-1-piperazinyl) series is also discussed.
著者
笠原 慎太郎 瀬川 清 工藤 啓吾 泉沢 充 武田 泰典
出版者
社団法人 日本口腔外科学会
雑誌
日本口腔外科学会雑誌 (ISSN:00215163)
巻号頁・発行日
vol.47, no.11, pp.688-691, 2001-11-20 (Released:2011-07-25)
参考文献数
9
被引用文献数
1 1

Glandular odontogenic cyst is a rare jaw bone cyst of odontogenic origin, first described in 1988 by Gardner et al.Radiologically, a well-defined unilocular cyst lesion is seen. Histologic features include a thin layer of epithelium with surface cilia and glandular or pseudoglandular structures.A case of glandular odontogenic cyst of the maxilla is reported.
著者
笠原 慎太郎 瀬川 清 工藤 啓吾 泉沢 充 武田 泰典
出版者
Japanese Society of Oral and Maxillofacial Surgeons
雑誌
日本口腔外科学会雑誌 (ISSN:00215163)
巻号頁・発行日
vol.47, no.11, pp.688-691, 2001-11-20
被引用文献数
6 1

Glandular odontogenic cyst is a rare jaw bone cyst of odontogenic origin, first described in 1988 by Gardner et al.<BR>Radiologically, a well-defined unilocular cyst lesion is seen. Histologic features include a thin layer of epithelium with surface cilia and glandular or pseudoglandular structures.<BR>A case of glandular odontogenic cyst of the maxilla is reported.
著者
新妻 宏文 石井 元康 小島 敏明 菊池 公美子 鈴木 千晶 小林 智夫 五十嵐 勇彦 真野 浩 上野 義之 小林 光樹 下瀬川 徹 豊田 隆謙
出版者
The Japan Society of Hepatology
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.40, no.6, pp.346-349, 1999-06-25
被引用文献数
8 6

献血時 (32歳時) にHBVキャリアではないと確認されている症例 (33歳) がHBVの急性感染後にキャリア化した. この症例のウイルスをシークエンスし分子系統樹解析したところgenotype Aであった. 最近, 成人感染後にキャリア化した本邦の1例の検討でgenotypeがAであったと報告された. さらに当科外来で唯一の夫婦ともHBVキャリアの症例では, 夫婦ともにgenotype Aが検出された. 当科外来患者 (宮城県が中心, n=222) のgenotypeの検討ではgenotype Aは3.6%しか存在しなかった. 以上より, genotype Aが急性感染すると成人でもキャリア化することがあると考えられた. 欧米では成人感染後のキャリア化が多く, 本邦では成人感染後のキャリア化は少ないとされている. Genotype Aが欧米で多く本邦で少ないことが, その原因であると考えられた.
著者
伊澤 喜三男 瀬川 滋 佐々木 営吉 藤井 博
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.18, no.11, pp.p1142-1147, 1977-11-15

In this paper we describe an attempt to make an unmanned computer center. That was applied to the computer center of Osaka University and the system which was implemented is now in operation. When an emergency arises in the computer system or in the environment surrounding it, that system would be able to react so that it automatically shuts off the power, rings an alarm, and records the situation. It is the same way as automatically cutting the power supplies when all the jobs are completed.
著者
木村 達洋 早坂 明哲 瀬川 典久 山崎 清之 村山 優子 宮崎 正俊
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.44, no.11, pp.2587-2597, 2003-11-15
参考文献数
25
被引用文献数
4

近年,インターネットの急速な普及にともないコンピュータが家庭にまで浸透し,VDT作業時間が急激に増加したことで,子供の視力低下や疲労が問題化している.また,ゲームなど強力な動機づけによる長時間使用で健康を害し,極端な場合には死亡例も報告されている.そこでユーザの健康を守る衛生学的観点から視覚系疲労を測定し,インタフェースを低負荷なものにする必要がある.本研究では,事象関連電位(ERP)を用いた視覚系疲労の客観的評価法を提案し,VDT作業による視覚系疲労評価を試みた.ERPは視覚情報の脳内過程を反映する.このうち一次視覚野の反応であるP100成分と,標的を非標的から弁別する際に現れるP300成分を指標とした.また,眼精疲労の指標として焦点調節能(近点)も計測した.その結果,視覚系疲労条件では,ERPのP100の振幅は増大し,非標的によるP300の振幅は,標的の場合の振幅に近づき,弁別性の低下が見られた.この傾向は主観的な疲労感との相関が認められた.一方,ERPの振幅や潜時と近点との相関は認められず,両者は独立な情報を含んでいると思われた.このことは眼調節系の疲労,認知機能の低下である中枢性疲労の2種類から構成されていることを示している.以上から,本方法を用いれば眼調節系と認知過程の2つの処理段階を考慮した視覚系疲労の評価が可能になると考えられた.In order to obtain a guideline for designing low-workload Human Interface (HI). We investigated assessment of visual fatigue induced by performing an interactive task as a model of HI software on personal computers utilizing measurement of Event Related Potentials (ERP) and accommodation. The ERP were measured in this study before and after a visual target detection task in healthy adult participants to assess visual fatigue of the central nervous system. As an index of accommodation, the ophthalmic near point was also measured using an accomodometer. As the experimental task, participants were instructed to click designated targets from a randomly arranged matrix of characters for one hour. All participants reported symptoms of visual fatigue after the task. From the averaged ERP waveform, P100 and P300 components were detected and their amplitudes and peak latencies were analyzed. Amplitude of the P100 component measured after performing the task was larger than that in the control condition. Near points after the task increased in comparison with those before the task. Results indicated that visual fatigue by the experimental task evoked both eye-strain and altered function of the primary visual cortex. Feasibility of applying the present method to a low-workload software development is discussed.
著者
瀬川 高弘
出版者
大学共同利用機関法人情報・システム研究機構(新領域融合研究センター及びライフサイエンス統合データベースセンター)
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

アイスコア試料からコンタミネーションを極力排除した遺伝子分析や,生物種同定のプロトコルを確立するための解析をおこなった.南極アイスコア中に含まれるバクテリアの16SrRNA遺伝子解析をおこない,バクテリア群集構造解析をおこなった.その結果,間氷期と氷期で検出されるバクテリアの種類や起源に大きな違いがあり,南極氷床アイスコア中バクテリアを古環境指標として利用できる可能性が示された.
著者
生水 真紀夫 井上 正樹 小池 浩司 瀬川 智也 村上 弘一
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2000

本研究の成果は、以下の5点に集約される。1.子宮筋腫組織ではアロマターゼ発現が亢進しており、この亢進はGnRH analogueの投与により消失することを明らかにした。GnRH analogue投与は卵巣でのエストロゲン合成を低下させるが、今回の研究により子宮筋腫組織内でのエストロゲン(in situt estrogen)の合成を同時に低下させることを初めて明らかにした。GnRHanalogue投与では自然閉経に比較して子宮筋腫の縮小は急激かつ高度であるが、in situ estrogenの低下はこの理由を説明する可能性がある。2.子宮筋腫培養細胞にエストロゲン合成基質であるアンドロステンジオンを添加するとその増殖が促進される。この増殖促進効果はアロマターゼ阻害剤の添加により阻止することができる。3.ラットを用いた動物実験では、アロマターゼ阻害剤投与により無排卵状態が惹起されるが、投与中止により速やかに排卵周期が回復する。性周期回復後、妊孕性も速やかに回復しアロマターゼ阻害剤には長期効果はないことが確認された。4.学内倫理委員会の承認を得て、アロマターゼ阻害剤投与による子宮筋腫治療の臨床治験を開始した。閉経期に近いと考えられた患者では、子宮筋腫が著明に縮小して臨床症状が速やかに改善した。5.子宮内膜症細胞のアロマターゼは、転写因子SF-1/AD4BPにより局所的に発現が制御されているものと考えられた。その発現プロモーターPIIに結合するトランスエレメントは、顆粒膜細胞のそれとは異なるものであった。また、IL-1βにより制御される点で顆粒膜細胞における発現制御と異なっていた。Non steroidal anti-inframatory drugs(NSAIDs)やNF-kB阻害剤などによるプロモーター特異的発現抑制治療の可能性が示された。
著者
吉田 克己 長谷川 晃 瀬川 信久 稗貫 俊文 田村 善之 潮見 佳男 曽野 裕夫 道幸 哲也 亘理 格 山下 竜一 池田 清治 村上 裕章
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2002

本研究の目的は、現代社会を構成する政治=行政、経済=市場、生活=消費という3つのサブシステムの内部変化と外部変容(相互関係の変化)を、実定法学という観点から構造的・総合的に把握することである。共同研究を通じて、これら3つのサブシステム相互関係の変容を端的に表現するのが公私のクロスオーバーという現象であることが明らかとなった。また、そのような問題が集中的に現れる問題領域として、競争秩序と環境秩序があることも明らかになった。競争秩序の維持・確保は、その公共的性格のゆえに、伝統的に行政機関が担当すべきものとされてきた。ところが、近時、市民を主体とする民事法的対応の可能性が模索されている。このような動向に応じるためには、市民を主体とするものとして「公共性」を捉え返す必要があること、そして、競争秩序違反に対する損害賠償や差止を可能にする法理もまた、そのような観点から再構成されるべきことが解明された。さらに、競争秩序の形成に関して、上からでなく、下からの自生的秩序形成の可能性とその条件が検討された。競争論の観点からの民法学の原理論的考察も行われ、物権・債権の二分法に基礎には競争観念があることが明らかにされた。環境秩序に関しては、近時、理論的にも実践的にも重要な争点となっている景観問題などを素材として、公私のクロスオーバー現象が分析された。行政法の領域からは、公益、個別的利益および共同利益の相互関連が検討され、民事法の領域からは、差止を可能にする法理として、地域的ルール違反に対するサンクションとしての差止という法理が提示された。そして、刑法の領域からは、環境を保護法益として捉える場合のおける近代刑法原理の限界に関する分析が行われた。さらに、「憲法と民法」の相互関連という問題を通じて、公私の再構成に関する原理的な検討が行われた。
著者
瀬川 直美 間瀬 裕子 古宮 照雄
出版者
木更津工業高等専門学校
雑誌
木更津工業高等専門学校紀要 (ISSN:02857901)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.81-92, 2010-02

シェイクスピアの戯曲には深甚な政治的観察がうかがわれる。彼は秩序の維持が社会の原動力であることを力説する。ルネサンス期のイギリスに充満した権力闘争を強く非難している。浅薄な民衆迎合の日和見主義が国家の危機を招くと主張する。権力と大衆との不安定な関係に懐疑的な目を向けるのである。コリオレイナス、ジャック・ケイド、ブルータス、その他を考察の対象にして、シェイクスピアの政治観を探った興味深い論文である。
著者
吉田 克己 田村 善之 長谷川 晃 稗貫 俊文 村上 裕章 曽野 裕夫 松岡 久和 池田 清治 和田 俊憲 山下 龍一 亘理 格 瀬川 信久 秋山 靖浩 潮見 佳男 伊東 研祐
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2005

公正な競争秩序や良好な自然環境、都市環境を確保するためには、行政機関や市町村だけでなく、市民が能動的な役割を果たすことが重要である。要するに、公私協働が求められるのである。しかし、公私峻別論に立脚する現行の実定法パラダイムは、この要請に充分に応えていない。本研究においては、行政法や民法を始めとする実定法において、どのようにして従来の考え方を克服して新しいパラダイムを構築すべきかの道筋を示した。
著者
田中 創 山崎 博司 寺地 誠喜 瀬川 大資 角田 敏一
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学會論文集. B編 (ISSN:03875016)
巻号頁・発行日
vol.71, no.702, pp.690-695, 2005-02-25
参考文献数
10
被引用文献数
3

An experimental study has been carried out to reveal the statistical characteristics for the onset of micro-explosion of an emulsion droplet burning on a hot surface. Detail measurements of the waiting time for the onset of micro-explosion are made for various properties of base fuel, water contents and surface temperatures. The Weibull analysis is applied to obtain the distribution function of the waiting time for the onset of micro-explosion and to derive the empirical formula for the rate of micro-explosion as a function of water volume and emulsion temperature. The base fuels employed are n-decane, n-dodecane, n-tetradecane and n-hexadecane. The results show that the waiting time is correlated well with the Weibull distribution of the wear-out type. The mean waiting time decreases with an increase in the boiling point of base fuel, water content and surface temperature. An empirical formula is proposed for the rate of micro-explosion as a function of water volume and emulsion temperature.
著者
浅原 慶一 合田 泰志 下村 友紀 藤原 康浩 瀬川 和子 雀部 貴美代 山本 英二 塚口 裕子
出版者
日本医療薬学会
雑誌
病院薬学 (ISSN:03899098)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.15-21, 1995-02-10
参考文献数
10
被引用文献数
4

As intravenous hyperalimentation (IVH) prepared from IVH basic solution and amino acid solution has become popular, lactic acidosis is receiving attention as a serious adverse reaction. Therefore, thiamine is added to IVH in order to prevent this adverse reaction. However, sodium sulfite (SS), added as a stabilizer to many IVH basic solutions and most amino acid solutions, degrades thiamine. Recently, since an amino acid solution without SS has been developed, it is now possible to prepare IVH without SS. In this study, we measured the time courses of the residual concentrations of both SS and thiamine in the 12 kinds of IVH containing multivitamin and investigated the relationship between the SS concentration and the stability of thiamine from the viewpoint of degradation kinetics. From the kinetic analysis results, the degradation rate of SS in the IVH stored in a bag was faster than that stored in a glass bottle. The degradation rate of SS in the IVH was very fast when SS is not included in the IVH basic solution. The degradation of thiamine in IVH was regarded as the apparent first-order degradation process and the degradation rate as being proportional to the SS concentration. The second-order degradation rate constant of thiamine by SS was not affected by the pH of IVH. Stabilization of thiamine by glucose was inferred by comparing the degradation rate of thiamine caused by SS in IVH and that in buffered solution without glucose.
著者
瀬川 裕司
出版者
明治大学教養論集刊行会
雑誌
明治大学教養論集 (ISSN:03896005)
巻号頁・発行日
no.354, pp.85-100, 2002-03

オーストリアではじめて映画が有料公開されたのは、1896年3月27日、ウィーン一区ケルントナー通り49番地でのことである。パリのグラン・カフェでリュミエール兄弟がシネマトグラフを発表したのは、前年の12月だった。三ヶ月後、兄弟は自社の上映装置とフィルムをもたせて、部下のウジェーヌ・デュポンをウィーンに派遣した。上映は午前10時から夜の8時までノンストップでおこなわれた。料金は50クロイツェル、映写されたのは「パリのコンコルド広場」「鉄道」「海」等の今日でもよく知られている短編である。デュポンらはウィーン到着後、フランス大使館や各種教育機関等で何度も試写をおこなった末に、ようやくその場所での上映許可を得たのだった。
著者
瀬川 典久
出版者
岩手県立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本研究では、過酷な気象環境下でも動作し、利用者が安全に利用できるセンサネットワークを構築する技術開発したことである。具体的には、(1)厳しい環境でも動作するセンサネットワークの設計手法の開発(2)発電量と消費電力を考慮したプロセススケジューリング手法の開発(3)安全に利用できるセンサネットワークプロトコルによる信頼性の向上(4)実証実験による、現実社会への適用である。この技術で、厳しい自然環境下での情報の収集が行えると考えられる。
著者
瀬川 晃
出版者
同志社大学
雑誌
同志社法學 (ISSN:03877612)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.1-53, 1986-09-30

論説
著者
平 啓介 根本 敬久 (1989) MULLIN M. EPPLEY R. SPIESS F. 中田 英昭 藤本 博巳 大和田 紘一 小池 勲夫 杉本 隆成 川口 弘一 沖山 宗雄 瀬川 爾郎 SPIES F. 清水 潮
出版者
東京大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1989

大気中の二酸化炭素の増大やオゾン層の破壊などグロ-バルな地球環境の変動の可能性が広く注目を集めるようになり、大気中に放出された二酸化炭素の50%を吸収することに示される海洋の役割とその変動を解明するために、東京大学海洋研究所は太平洋の対岸に位置する米国スクリップス海洋研究所と平成1ー3年度にわたって共同研究を行った。これに先だって1968年5月に東京大学(海洋研究所)とリフォルニア大学サンディゴ分校(スクリップス海洋研究所)は学術研究協力協定を締結して、太平洋における地球圏変動(グロ-バルチェンジ)にともなう海洋の生産力、生物資源および海底の動態に関する協力研究に着手することに合意していた。平成1年、本研究の発足に当たって、根本敬久(当時、研究代表者)と小池勲夫がスクリップス海洋研究所を訪問して、全体の研究計画ならびに海洋上層における炭素・窒素の生物的循環を対象として研究する方法について討議した。同年11月に新造された白鳳丸がスクリップス海洋研究所に寄港して、海洋物理学、海洋化学、海底物理学、海洋生物学そして水産学の全分野について研究計画の打ち合わせを行った。また、スクリップス海洋研究所のヘイワ-ド博士を東京大学海洋研究所に招き、杉本隆成が渡米して地球規模の生物環境問題、特にイワシ類の資源変動の機構解明の方策が話し合われた。瀬川爾朗がスピ-ス教授を訪問して、東太平洋海膨の海底活動荷ついて電磁気学的特性について討論し、それぞれの海域で観測研究を実施することを打ち合わせた。平成2、3年度は上記の方針に沿って、カタクチイワシ、マイワシ類の稚仔魚の変動については、平成2年、3年の冬季に薩南海域で実施したマイワシの資源調査の結果ならびに既存資料とスクリップス海洋研究所がカルフォルニア沖で40年以上継続している調査結果と比べて大規模な地球的変動であるエルニ-ニョに対する応答を明かにした。物理的(温度、塩分、雲量、光量、海流)、化学的(栄養塩量、溶存酸素)パラメ-タ-によって資源変動を予測するための海洋環境変動モデルをそれぞれの海域について構築することができた。これらの資源環境学的研究は英文モノグラフとして刊行することになった。海洋における栄養塩の量的変動と微生物食物連鎖の研究も実施された。海洋物理学では、CTD観測に基づく海洋構造の観測と中立フロ-トの追跡によって太平洋の深層循環の研究を実施した。スクリップス海洋研究所は1987年2北緯24度と47度の太平洋横断観測を実施し、東太平洋の南北測線の観測を1990ー91年に実施した。後者についてはスクリップス海洋研究所のデ-ビス教授が南極環海と熱帯海域においてアリスフロ-トの追跡実験を、東京大学海洋研究所では平啓介が中心になって四国海盆ならびに黒潮続流域でソ-ファ-フロ-ト追跡実験を実施しており、デ-タ交換を深層流の統計学的特性を明らかにした。海底磁力計と電位差計による海底観測は東京大学海洋研究所では瀬川爾朗が中心に、スクリップス海洋研究所ではスピ-ス教授のグル-プが実施しており、相互のデ-タ交換を行い、海底ステ-ションによる長期観測法を確立した。海洋の炭素循環について、国際共同研究の一環として白鳳丸による北西太平洋における観測を平成3年5月に実施した。また、太平洋熱帯域ではスクリップス海洋研究所が8月に観測を実施した。これらのデ-タ解析により、溶存炭素の循環に関する研究をとりまとめた。