著者
木全 貴久 蓮井 正史 北尾 哲也 山内 壮作 下 智比古 田中 幸代 辻 章志 金子 一成
出版者
一般社団法人 日本小児腎臓病学会
雑誌
日本小児腎臓病学会雑誌 (ISSN:09152245)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.27-33, 2012-04-15 (Released:2012-12-22)
参考文献数
29
被引用文献数
1

近年,ステロイド依存性や頻回再発型のネフローゼ症候群に対する,リツキシマブ治療の有効性が相次いで報告され,難治性ネフローゼ症候群に対する新規治療薬として期待されているが,その投与法は確立していない。筆者らは「ネフローゼ症候群に対してリツキシマブを投与すると,末梢血B細胞は,平均100日間枯渇化するが,B細胞数の回復とともにネフローゼ症候群が再発する」との報告に基づいて,「リツキシマブ投与後3~4か月のB細胞数回復期に追加投与を行い,B細胞数を10個/μl以下に維持すれば,長期寛解を維持できるのではないか」と考え,リツキシマブ375mg/m2 (最大500mg) を3か月毎に4回反復投与する,という治療法の有効性と安全性の検討を行っている。本論文ではこのリツキシマブ反復投与法の自験例を紹介するとともに,難治性ネフローゼ症候群に対するリツキシマブ治療の文献的レビューを行う。
著者
田中 幸弘 田中 秀一郎
出版者
パーソナルファイナンス学会
雑誌
パーソナルファイナンス研究 (ISSN:21899258)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.21-46, 2019 (Released:2020-10-20)

本論文においては、我が国における仮想通貨の現在の状況について検討し、金融庁の研究会等での議論や仮想通貨に関連する事業者の金融庁による処分や法制度改定などの取り組みを検討した後、いわゆる ICO(Initial Coin Offering) の制度について金融庁による「金融の4機能」のどこに ICO の四類型が該当するのかを検討した。そして、 ICO と類似するクラウドファンディングやソーシャルレンディング等の現行制度における限界を踏まえ、証券及び金融市場における資産運用業界の実務的な側面からICO の投資可能性を担保するための条件を提示するとともに、 ICO という資金調達手段が市民社会の側面から見た資金調達の簡便性との両立が可能かどうかを検討した。その際に ICO という資金調達手段において投資家保護と資金調達の簡便性が両立するかという問題との関係で、その両立のために必要とされる各種制度整備を検討し、現行制度に対する代替案の提言を行った。そして最後に仮想通貨の法的性格との関連でアメリカにおける個人情報を所有権の客体と位置づける法案の内容について紹介するとともにその各方面での将来的な影響について若干の検討を行なった。
著者
鵜飼 建志 山崎 雅美 笠井 勉 林 典雄 細居 雅敏 赤羽根 良和 中宿 伸哉 田中 幸彦 宿南 高則 近藤 照美 増田 一太
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2003, pp.C0974, 2004

【はじめに】<BR> 野球肩の多くは、impingement syndromeやrotator interval損傷などの報告が多く、当院ではquadrilateral spaceでの腋窩神経由来と思われる肩後方部痛が多く認められる。これらは第2肩関節や臼蓋上腕関節での障害であり、肩甲胸郭関節での障害はあまり見られない。<BR> 今回、肩甲胸郭関節での障害と思われる広背筋部痛を訴えた野球肩を少数ではあるが経験した。その発生原因について、考察を加え報告する。<BR>【対象】<BR> 平成14年2月から15年10月までに、当院で野球肩と診断された60例のうち、広背筋部に疼痛を訴えた6例(10%)である。<BR>【理学的所見】<BR> 疼痛誘発投球相は信原分類のacceleration phase(以下A期)に全例認められた。圧痛部位は肩甲骨下角部周辺の内側~外側にかけてに位置する広背筋最上方線維部であった。また疼痛の出現の仕方は、脱力を伴うような鋭い痛みであった。3rd内旋可動域低下は全例に認められた。MMT3以下の僧帽筋筋力低下は中部線維が3例、下部線維が全例であった。投球フォームの特徴として肘下がりは2例と特に多いとは言えず、A期で肘が先行するタイプが4例と多かった。<BR>【考察】<BR> 信原は、「広背筋に攣縮が起きると肩甲骨の外転や肩関節外転・外旋が制限され、肘下がりなど投球動作に支障を来すもの」を広背筋症候群とし、rotator interval損傷やimpingementなどの二次的障害を惹起する可能性を指摘しているが広背筋部痛に対する詳細な説明はない。<BR> 広背筋の最上方線維は、肩甲骨下角部をpulleyのようにして外上方への急な走行変化を生じている。今回、広背筋部痛を訴えた選手は全例A期に疼痛が見られた。A期で肩甲骨が上方回旋する際に肩甲骨下角部で広背筋上方線維をfrictionし、筋挫傷を生じさせることが疼痛の原因と考えられた。今回の症例のほとんどが3rd内旋可動域の低下及び僧帽筋の筋力低下を認められたことから、A期において3rd内旋可動域低下が早期に過剰な上方回旋を、僧帽筋の筋力低下が肩甲骨上方回旋に伴う過剰なprotractionを引き起こしたものと思われる。そのため下角部の外上方移動が通常より大きくなり広背筋上方線維へのより大きなfrictionにつながったものと考えられた。<BR> 肩甲骨下角部周辺は広背筋以外にも大菱形筋、大円筋、前鋸筋などが存在し、疼痛は短時間で鋭く発生するため部位の特定がしづらく、当初は治療に難渋した。現在は、広背筋のリラクゼーション、僧帽筋の筋機能改善、肩下方軟部組織の伸張性獲得などを目的に治療を行い、良好に改善が認められている。
著者
近藤 有希 澤 龍一 海老名 葵 高田 昌代 藤井 ひろみ 奥山 葉子 谷川 裕子 総毛 薫 田中 幸代 白方 路子 小野 玲
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2014, 2015

【はじめに,目的】分娩所要時間の遷延は手術分娩や胎児の窒息,母体の感染症や合併症などのリスク上昇につながるといわれている。さらに,分娩時間の遷延は出産体験への不満感を招く一因子であり,その後の出産意欲を低下させるという報告もされている。これらのことから分娩は短縮化する必要があるといえる。分娩所要時間には有酸素能力や運動との関連が先行研究で報告されているが,骨盤底筋群トレーニングや水中エアロビクスなど特定の運動介入のものや,アスリートなど特殊な妊婦を対象としている研究が多い。しかし,多くの妊婦が子育てや仕事などの時間的制約によりこのような運動プログラムへの参加が出来ていないのが現状である。そのため,特定の運動だけでなく有酸素能力の維持・向上に効果的である日常生活での習慣的身体活動を維持することが重要と考えられる。また,初産婦と経産婦では分娩所要時間の平均時間が大きく異なる事は知られているにもかかわらず先行研究においては考慮されていない,あるいは初産婦のみを対象としているものがほとんどで経産婦についての報告は少ない。そこで本研究の目的は,初産婦,経産婦それぞれの妊娠末期における習慣的身体活動が分娩所要時間に与える影響を明らかにすることとした。【方法】対象は妊娠末期に研究参加の同意が得られ,欠損なくデータ収集が出来た121名のうち,自然分娩により出産をした初産婦48名(平均年齢28.8±4.7歳,新生児体重=3058.6±371.5g),経産婦55名(平均年齢32.7±5.5歳,新生児体重=3167.7±366.1g)の合計103名とした。妊娠末期では一般情報に加え,習慣的身体活動を質問紙により評価した。妊娠末期における習慣的身体活動はBaecke physical activity Questionnaireの日本語版を用いた。初産婦と経産婦それぞれにおいて合計点数の中央値で高活動群と低活動群に群分けした。分娩所要時間は,分娩記録より分娩第1期,分娩第2期,総分娩時間に分けて収集した。全ての解析は初産婦,経産婦それぞれに対して実施した。各分娩所要時間の群間比較は,Wilcoxonの順位和検定で比較した。多変量解析では,目的変数を分娩所要時間,説明変数を高活動群/低活動群,交絡因子を年齢,妊娠前から記入時の増加体重,出産回数,新生児体重,出産時妊娠週数,妊娠前の運動の有無として強制投入法による重回帰分析を行った。【結果】初産婦における高活動群と低活動群の間で分娩第1期時間,分娩第2期時間,総分娩時間に有意な違いはみられなかった。経産婦において,低活動群と比較して高活動群の分娩第2期の時間が有意に短かった(中央値(最小-最大):20(4-175)分,11(1-102)分,<i>p</i><.05)。交絡因子の調整後においても高活動群の分娩第2期時間が有意に短かった(β=-.36,<i>p</i>=.007,R<sup>2</sup>=.28)。しかし,分娩第1期の時間と総分娩時間では2群間に有意な違いはみられなかった。【考察】分娩所要時間に関与する因子として,陣痛と腹圧を合わせた娩出力と,産道,娩出物が分娩3要素といわれている。分娩第2期は陣痛に加えて妊婦のいきみによる腹圧が加わって胎児を娩出させる段階であり,この時期には妊婦の有酸素能力や腹筋群など骨格筋の収縮力が大きく関与しているため習慣的身体活動との関連が示唆されたと考えられる。一方で分娩第1期は分娩開始から,子宮頸管の熟化と,陣痛による胎児の下降で圧迫され子宮下部が伸展し子宮口が全開大するまでの時期であり,いきみは禁忌とされている。よって分娩第1期の時間は頸管の熟化と陣痛が主な要素であると考えられ,習慣的身体活動がこれらに影響を与えるのは困難であったと考えられる。また,総分娩時間のうち分娩1期の時間が大きな割合を占めているため,総分娩時間の短縮化に至らなかったものと考えられる。一方で初産婦に有意差がみられなかったことについては,初産婦は経産婦と比べて子宮頸部や外陰および会陰部が伸展しにくく軟産道の抵抗が強いため,娩出力以外に産道の抵抗性が分娩所要時間に大きく影響していることが考えられる。今後の研究で産道の抵抗性に影響する因子や,その他の分娩所要時間に関連する因子を解明する必要がある。【理学療法学研究としての意義】妊娠末期の習慣的身体活動は経産婦の分娩第2期の時間に影響する一要因であることが示された。胎児・母体への悪影響は主に分娩第2期の遷延において多く報告されており,妊娠末期の女性に対して適切な運動習慣の指導を行うことで分娩経過と分娩結果に良い効果をもたらす可能性が示唆された。
著者
田中 幸子 香取 洋子 酒井 一博 追木 さやか
出版者
山形大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

看護系大学教員が健康な状態で就労を継続し, キャリア形成を可能にする働き方を検討する目的で, 看護系大学教員の就労状況を職業性ストレスに注目して分析した。質問紙調査票配布の協力が得られた看護系大学99 校の教員1653 名に自記式質問紙調査を実施した。664 名から回収, 女性543 名を分析対象とした。職業性ストレスを従属変数にKruskal Wallis 検定を行った結果, 助手と助教は教授より, 博士課程在学中の者は大学院に在学していない者より, 職場の対人関係でのストレス得点が有意に高かった。助手や助教のストレスに配慮して職場における良好な職場の人間関係を構築していくこと, 進学している教員に対して支援策を検討することの重要性が示唆された。
著者
田中 幸子
出版者
美術科教育学会
雑誌
美術教育学 : 美術科教育学会誌 (ISSN:0917771X)
巻号頁・発行日
no.28, pp.249-262, 2007-03-31

本稿の目的は中学・高校の美術および芸術教育での映画芸術鑑賞の教育的意義を明らかにし,授業案を作成することである。本稿は,まず日本の映画教育の基本的概念の誕生から現在までの変遷をつかみ,さらに美術・芸術教育との関係を明らかにすることからはじめた。次に,芸術としての映画の教育的意義を確認した。そして,鑑賞教育としての映画の解釈の方向性を示すために映画の芸術性について考察した。さらに,前章で考察された内容を踏まえ,映画鑑賞の授業の過程を提案した。最後に結論をまとめ,今後の課題を明確にした。
著者
田中 幸悦 高野 賢大朗 梶谷 誠 金森 哉吏
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学會論文集. C編 (ISSN:03875024)
巻号頁・発行日
vol.65, no.634, pp.2398-2404, 1999-06-25

The authors have proposed a marking robot which draws specific marks at designated positions on a ceiling board at construction siteS. After that, a new function was added to the robot. It is necessary to be work which draws a reference straight-line to a ceiling board in building construction sites. This report proposes about the method which makes this task do for a mobile robot. The system is composed of the standard laser, the prototype of Straight-line Drawing Unit (SLD Unit) which has a function of tracking the laser beam and a function of drawing, and the mobile robot. The robot loads the SLD Unit and moves toward the standard laser. In order to catch the standard laser beam, the robot changes its trajectory. The robot controls its two drive wheels in a way that allows each wheel to move independently, so it can trace a straight line. Based on the experiments, the robot could the task of drawing the amplitude of the straight line with an accuracy of plus or minus 1 mm when drawing a 10 m line. This paper mainly describes the SLD Unit and the wheel control, and presents the experimental results of marking by the robot.
著者
田中 幸悦 梶谷 誠 金森 哉吏 阿部 靖則
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学會論文集. C編 (ISSN:03875024)
巻号頁・発行日
vol.69, no.679, pp.676-682, 2003-03-25
被引用文献数
2

We are developing positioning systems for mobile robots working at construction sites. In earlier work, we investigated the use of pillars as reference points at construction sites for a position recognition system, and reported on the performance of a prototype system. To further increase the flexibility of the robot system, we have developed a new self-position measurement system for the mobile marking robot. This new system is aimed at expansion of the work area of the marking robot. The system is composed of a prototype of a laserpointer robot and a marking robot with laser-spot detectors. The marking robot uses a point of laser light projected onto it by the laser-pointer robot, placed at a reference point, to determine its position. This report outlines the method for the self-position measurements and describes the performance of the system in a field test.
著者
伊藤 嘉高 田中 幸子 大嶋 聡子
出版者
一般社団法人 日本医療・病院管理学会
雑誌
日本医療・病院管理学会誌 (ISSN:1882594X)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.209-216, 2010 (Released:2010-12-25)
参考文献数
11

「看護師不足」が広く認識されるなか,看護職員への離職防止,定着促進策が種々講じられている。そうした動向の背景には,病院の看護職員の年齢構成がいわゆるM字カーブを描いておらず,30歳代から一貫した低下傾向にあるとの認識がある。しかしこの認識は全国的には必ずしも当てはまらず,山形県のデータではM字カーブを描いている。本研究では,この山形県の看護職員の年齢構成を子細に分析した。その結果,山形県でも都市部の急性期病院は30歳代から一貫した低下傾向にあるものの,地域間の転職・再就業の流れが地方部の重要な人材供給パスになっており,結果として県全体でM字カーブになっていることを明らかにした。山形県におけるM字カーブは必ずしも離職防止・定着促進の結果ではない。したがって,今後の看護政策には,急性期病院に目を向けた「固定化」策だけではなく,個々の看護職員の移動を視野に収めた施設横断的な就労支援策も求められる。
著者
鈴木 隆介 西田 治文 小口 千明 田中 幸哉
出版者
中央大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2000

蛇紋岩で構成される山地(以下,蛇紋岩山地と略称)は,一般にそれに隣接する非蛇紋岩山地に比べて,(1)相対高度が高く,(2)谷密度が著しく低く,(3)尾根が丸く,山地斜面が緩傾斜であり,(4)浅い滑り面をもつ地すべりが多い,といった特異な削剥地形を示す.蛇紋岩山地の,そのような特異な削剥地形の成因を解明するために,以下の研究をした.北海道敏音知周辺,北上山地宮守地域,京都府大江山を中心に,自然露頭および大規模な砕石場において,現地岩石物性試験(弾性波速度,貫入硬度,シュミットロックハンマー反発度,浸透能,節理密度),室内での新鮮岩および風化物質の岩石物性試験(圧縮・圧裂引張・剪断強度,密度,間隙率,間隙径分布,P波・S波速度,定水位透水係数)ならびに鉱物分析を行った.蛇紋岩の節理密度は,深部では節理の多い部分と少ない部分が複雑に混在しているが,地表に近いほど節理密度が大きくなる.また,日本の主要な蛇紋岩山地についての地形計測によると,蛇紋岩山地の平均高度は蛇紋岩体の面積が約10km^2より大きい場合には周囲の非蛇紋岩山地より高いが,それより小さい場合には逆に低い,ことが判明した.このような蛇紋岩山地の削剥地形の特徴は,蛇紋岩の特異な岩石物性を反映した,次のような削剥過程に起因すると考えた.蛇紋岩の強大な残留応力が削剥に伴う除荷作用によって解放されるために,蛇紋岩が膨張して,引っ張り割れ目が増加して節理密度が増加し,蛇紋岩は葉片状さらに塊状に破砕する.そのため,葉片状,塊状,礫状の蛇紋岩は高透水性を示すので,地表水が浸透しやすくなり,谷は浅く,谷密度が低くなる.一方,風化すると,蛇紋岩は吸水膨張するので,表層部に浅い地すべりを発生しやすくなるので,斜面は緩傾斜になる.その削剥過程における雪達磨効果のために,大規模な蛇紋岩体ほど高い山地を形成している.
著者
田中 幸道 江頭 賢治 吉岡 美智子
出版者
日本重症心身障害学会
雑誌
日本重症心身障害学会誌 (ISSN:13431439)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.183, 2017 (Released:2019-06-01)

目的 A病院における動く重症心身障害児(者)で、強度行動障害の中でも特に破衣行為のある患者に対する思いと看護実践について明らかにする。 方法 A病院に入院中の破衣行為のある患者の看護に携わった経験が3年以上を有する看護師5名に対し患者への思いや看護について2〜3名でグループインタビューを行った。逐語録から意味のある文節で区切りコード化し類似するコードをまとめ抽象化を繰り返し、サブカテゴリを〈 〉カテゴリを《 》で表した。本研究は当センター倫理審査委員会の承認を得て実施した。 結果および考察 破衣行為のある患者に対する看護実践の内容について分析した結果、5つのカテゴリを抽出した。看護師は全体の関わりを通して《破衣に至る患者の真意を探求》しており、患者が自分の意志を十分に伝えられないからこそ患者理解に多くの時間を費やし心を砕きながら患者の真意を探求していたと考える。 看護師は患者の〈発達過程から破衣の要因や関わりを検討〉しながら〈患者の好むモノや活動を把握〉することで強化因子を探り〈破衣の要因別に対応の方法を選択〉していた。また、これまでの〈看護師の経験から効果的な看護を引き出し〉《患者の障害特性に合わせて破衣が減少する手立てを探って》いた。看護師は、破衣の要因が重複するケースもあり患者の真意を掴めず患者に適した看護実践の選択に悩みながら《患者の特性を考慮し試行錯誤を重ね》ていた。 そして《他職種と患者の問題行動を共有し対応方法を統一》していた。このことは患者が混乱しない環境を提供するため、支援者の言葉や態度を統一することを重要視していたのではないかと考える。 日々の関わりの中で看護師は《「服は着る」の言い聞かせ》を行っており、患者が将来社会に出て生活をすることを前提に、ソーシャルスキルを身につけてほしいといった看護師の強い思いの表れによって実践していた内容であると考える。
著者
田中 幸一 浜崎 健児 松本 公吉 鎌田 輝志
出版者
一般社団法人 日本昆虫学会
雑誌
昆蟲.ニューシリーズ (ISSN:13438794)
巻号頁・発行日
vol.16, no.4, pp.189-199, 2013-10-05 (Released:2018-09-21)

鯉淵学園農業栄養専門学校構内(茨城県水戸市)において2004年に,水生生物の生息地を提供することを目的として,水路および池から成る面積1,500m^2のビオトープが造成された.このビオトープの生物の生息地としての機能を評価するため,2006〜2011年に,トンボ目成虫および水面・水中の水生昆虫(コウチュウ目およびカメムシ目,トンボ目幼虫)の調査を行った.トンボ目成虫は合計9科31種,水面・水中の水生昆虫は少なくとも41種が確認され,本ビオトープが水生昆虫の生息地として好適な環境であると考えられた.トンボ目成虫,水面・水中の水生昆虫の種数は,2007年までは増加したが,2008年には減少した.この減少の原因として,池や水路の底に泥が堆積し水生昆虫にとっての生息環境が悪化したことが考えられたため,浚渫を行った.浚渫後には,トンボ目成虫および水生昆虫の種数は回復した.これらの結果から,ビオトープ造成後の水生昆虫種数の変化とその要因およびビオトープの管理について考察した.
著者
金沢 純一 田中 幸和 小澤 健悟 岡村 宏 菅原 淳一
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
Dynamics & Design Conference 2006 (ISSN:24242993)
巻号頁・発行日
pp._725-1_-_725-4_, 2006-08-06 (Released:2017-06-19)

Front soundboard of classical guitar is the most important as part giving a sound. Because, it emit many sound energy. And, sound board has braces to reinforce it. We examined a difference of bracing pattern by investigating a vibration characteristic and an acoustic feature.
著者
渡邊 裕子 赤星 千絵 関戸 晴子 田中 幸生 田中 和子 下条 直樹
出版者
[日本食品衛生学会]
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.98-104, 2012
被引用文献数
3

全卵・卵白・卵黄を用いた菓子・肉団子・パスタ・プリンモデル食品を作製し,調理による卵タンパク質の検出値の変化を,抽出液にトリス塩酸緩衝液を用いたELISAキットにより測定した.菓子,肉団子では揚調理が最も低下し,肉団子はレトルト処理によりオボアルブミン(OVA)は検出限界以下(<1 μg/g)となり,オボムコイド(OVM)も最も低下した.ゆえに,調理温度とともに均一な加熱処理が加わる調理方法が卵タンパク質の検出に影響した.また,卵黄使用の肉団子レトルト処理とパスタでは,いずれの卵タンパク質も6 μg/g以下となり,さらに患者血清中のIgE抗体によるウエスタンブロット法では,OVA,OVMは検出されなかった.一方,抽出液に可溶化剤を用いたELISAキットでは,前述のキットに比べ定量値が上がり,加熱処理したタンパク質が検出された.
著者
山本 兼右 山崎 秀男 高倉 玲奈 小川 利政 桑野 忠雄 三浦 一利 山口 健人 久保 文裕 蓮尾 智之 房永 佳那 稲葉 有美江 田中 幸子
出版者
一般社団法人 日本消化器がん検診学会
雑誌
日本消化器がん検診学会雑誌 (ISSN:18807666)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.365-375, 2015 (Released:2015-06-15)
参考文献数
24

本研究の目的は, 対策型検診撮影法(基準撮影法I)と任意型検診撮影法(基準撮影法II)の実効線量を明らかにすることである。対象は, 大阪がん循環器病予防センターで胃がん検診を受診した40,456名から男女別, 撮影法別で無作為に抽出した240名である。方法は, 240名の1検査の面積線量(DAP)と入射表面線量(ESD)を分析し, モンテカルロシミュレーションソフトPCXMC dose calculations Ver.2.0.1.3を用いて実効線量を算出した。1検査の実効線量と入射表面線量は, 基準撮影法Iで4.41mSv, 33.97mGy, 基準撮影法IIで5.15mSv, 46.92mGyであった。受診者の男女別および撮影技師の経験年数による差の分析では, 両撮影法IとIIともに, 男性と5年未満の技師の実効線量が多い結果となった(P<0.05)。また, 受診者のBMIと実効線量の関係は, 両撮影法IとIIともに, 正の相関関係があることを確認した(I:r=0.500, P<0.05), II:r=0.584, P<0.05)。本研究は基準撮影法IとIIの実効線量を日本で初めて明らかにした研究である。