著者
福井 祐子 田中 良和 久住 高章 岩下 孝 益田 勝吉 野本 享資
出版者
天然有機化合物討論会実行委員会
雑誌
天然有機化合物討論会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.42, pp.55-60, 2000
被引用文献数
1

Rose breeders have failed to make blue roses. This has been attributed to the lack of blue pigment in the petals. We revealed that mauve rose such as "M'me.Violet" and "Lavande" contain a small amount of blue pigment other than a red anthocyanin, cyanidin 3,5-diglucoside. The major blue pigment of the rose named Rosacyanin A and the minor red one was named Rosacyanin B. The structures of these pigments were elucidated. A high-resolution mass spectrometry showed that Rosacyanin B had the molecular weight of 419.0409 and molecular formula of C_<22>H_<11>O_9. The NMR data showed that Rosacyanin B had an extremely unique structure whose C-1 position of gallic acid is bound to the C-4 position of cyanidin by C-C bond formation. (Fig.2) Rosacyanin A has λ max 590nm (MeOH) of the ultraviolet and visible absorption spectrum, and a molecular formula of C_<56>H_<37>O_<31> which is calculated from the molecular weight of 1205.1319 obtained from high-resolution mass spectrometry. As a result of the observation of the isotope shift by the DH exchange of the solvent using a coaxial sample tube in ^<13>C NMR, it was found that the 3-position of flavylium of Rosacyanin B is bonded to the hexahydroxydiphenoyl part of Tellimagrandin II which is a kind of ellagitannin with ether linkage. (Fig.4) To our knowledge, this is the first report of the compound whose gallic acid binds to C-4 position of polyhydroxyflavylium. The only similar compound which binds gallic acid to catechin was obtained from Burkea africana and Peltophorum africanum. The dream of blue roses will come true if we can accumulate Rosacyanin A in rose petals.
著者
花見 健太郎 田中 良哉
出版者
産業医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

神経系及び神経伝達物質が免疫系のみならず、骨代謝へも影響を与えている事が近年報告されている。我々は、関節リウマチ患者炎症性滑膜の樹状細胞にドパミンが豊富に存在する事、ドパミンD1様受容体阻害薬が滑膜炎症及び関節破壊を抑制しうる事をSCIDマウスを使ったヒト関節リウマチモデルにおける検討で明らかにし、更にはドパミンD2受容体シグナルが細胞内cAMP-c-Fos-NFATc1を抑制する事で 破骨細胞形成を抑制する事を報告しており、神経伝達物質が、関節リウマチの新規治療方法となり得る可能性が考えられる。本研究では、神経伝達物質による関節リ ウマチに対しての新規治療法の開発を目的とする。
著者
福島 あゆみ 岡田 洋右 谷川 隆久 河原 智恵 三澤 晴雄 中井 美穂 廣瀬 暁子 神田 加壽子 森田 恵美子 田中 良哉
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.311-316, 2003-04-30 (Released:2011-03-02)
参考文献数
16

症例は52歳女性. 1996年 (平成8年) に低血糖昏睡 (血糖12mg/dl) で近医に緊急入院したが, 低血糖発作が頻発するため1997年 (平成9年) 当科入院.考えられる低血糖発作の原因を除外した後に, インスリン (IRI) 血糖 (PG) は0.44~1.07, 血管造影で膵尾部に径1.5cm大の濃染像が疑われることより, インスリノーマの診断で膵体尾部脾合併切除 (90%) を施行したが, 術中所見, 切除膵の組織学的検討で異常所見を認めなかった. しかし, その後も夜間空腹時低血糖発作を反復するも, 発作時のIRI PGが0.07と過剰インスリン分泌は消失していたことから, 術後低血糖の主因としては反応性低血糖を考え, ボグリボース内服と夜間補食 (2単位) を開始. 以後, 日常生活には支障ないものの, 依然として早朝空腹時血糖は50mg/dl前後であり, 2001年 (平成13年) 9月病状再評価のため施行した選択的動脈内カルシウム注入検査 (ASVS) にて, 30秒後にIRIが2.5倍以上に上昇し陽性. また, ボグリボースと夜間補食中止下でのdaily profiieでは食後高血糖がみられ, 著明なインスリン抵抗性と低血糖時のインスリン分泌抑制を認めた.本例の低血糖の病態としては, ASVSの結果および術後経過より, 術前の病態としては膵β細胞のび漫性機能亢進があったのではないかと考えられ, 広汎な膵切除によるインスリン総分泌量の減少に加え, ボグリボースにより反応性のインスリン過剰分泌を減少させることで重篤な低血糖発作を改善することができたと推測される.
著者
岩田 慈 田中 良哉
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.38, no.5, pp.398-402, 2015 (Released:2016-01-04)
参考文献数
25
被引用文献数
1

自己免疫疾患病態においてB細胞は病態形成に極めて重要な役割を担うが,その機能発現にはT細胞との相互作用が極めて重要である.著者らは,ヒト末梢血B細胞を用いたin vitro実験により,BCR/CD40/TLR/サイトカイン(IL-4, IL-21)刺激は,Syk, Btk, JAKなどのチロシンキナーゼを介したシグナルの活性化により,サイトカイン産生,分化誘導・クラススイッチに重要なgene network,抗体産生などを多様に制御していることを明らかにした.またRA,SLE患者末梢血B細胞のSyk, Btkのリン酸化は,健常人に比し有意に亢進しており,特にRA患者においては,ACPA強陽性例において有意に亢進していた.T細胞選択的共刺激調節剤,CTLA-Igアバタセプトの投与により,RA患者末梢血CD4陽性T細胞中のTfhの割合は有意に減少し,さらにB細胞のSykのリン酸化も有意に抑制された.これらの結果より,B細胞,B-T細胞の相互作用を標的とした生物学的製剤,さらにSyk, Btk, JAKなどのチロシンキナーゼを標的とした阻害剤は自己免疫疾患の制御に有用である可能性が示唆された.本編では,RAやSLEを中心に,B細胞,B-T細胞相互作用を標的とした生物学的製剤やSyk, Btk, JAK阻害剤の最近の知見についても概説する.
著者
今田 耕司 田中 良和
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネスassocie (ISSN:13472844)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.98-100, 2012-02

お笑いやバラエティー番組などで幅広く活躍するタレント、今田耕司さん。本連載では、テレビのイメージからは想像がつかない「会社を作りたい」という野望をかなえるために、先輩経営者に突撃インタビューする。記念すべき第1回のゲストはソーシャルゲームで急成長中のグリーの田中良和社長。儲かる事業のネタの見つけ方を教えてもらった。
著者
矢守 恭子 田中 良明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.89, no.3, pp.390-394, 2006-03-01
参考文献数
7
被引用文献数
2

近年,優先制御を用いて複数クラスの品質を提供する差別化サービスが新たなサービスとして検討されており,品質に対する料金設定が問題となっている.そこで,本検討では,帯域幅の違いによる品質の差をアプリケーション品質の差に置き換え,それぞれの最低保証帯域幅と支払意思額の関係を主観評価実験により求めている.その結果,帯域保証に対する追加料金の支払意思額の増加割合は,帯域保証をしない場合の基本料金に対して,約25%が上限値になることを示している.
著者
田中 良太 吉田 治 松田 実 福島 久喜 花岡 建夫 呉屋 朝幸 関 恒明
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科医学会雑誌 (ISSN:03869776)
巻号頁・発行日
vol.58, no.6, pp.1222-1225, 1997-06-25 (Released:2009-02-10)
参考文献数
15

注入法による豊胸術後乳癌の1例を経験したので報告する.症例は52歳女性, 23年前に注入法による両側豊胸術を受けた.左乳房および左腋窩部腫瘤を触知し増大してきたため当院外来を受診した.造影MRIにて左乳房に腫瘤像が描出され,腫瘤辺縁に輪状濃染像が認められたため乳癌を疑った.腫瘤摘出生検を施行し病理学的に浸潤癌との診断が得られたので定型的乳房切除術を施行した.組織学的には充実腺管癌,鎖骨下リンパ節転移陽性と診断された. 造影MRIが注入異物と乳癌との識別に有用であった.
著者
田中 良樹 河野 広隆 渡辺 博志
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集E (ISSN:18806066)
巻号頁・発行日
vol.62, no.4, pp.739-756, 2006 (Released:2006-11-20)
参考文献数
53

実構造物におけるエポキシ樹脂塗装鉄筋(ECR)の防食性能を把握するため,発錆限界塩化物イオン量の視点から,北米の各州で実施された実態調査の結果を収集,再分析した.凍結防止剤散布による床版中のECRの腐食は,コンクリートのひび割れ,ECRの塗膜剥離の有無にかかわらず,ECR周囲の塩化物イオン量にある程度依存すること,ECRの発錆限界塩化物イオン量は普通鉄筋よりも大きいことがわかった.また,フロリダ沿岸部で早期劣化が見られた橋脚群におけるECRの腐食事例でも,かぶりコンクリートの低い塩分浸透抵抗性などの理由によりECRの周囲に多量の塩化物イオンが存在していた.ECR周囲のコンクリート中の塩化物イオン量をECRの発錆限界値以下に抑制することによって,沿岸部橋脚にもECRを効果的に適用できることがわかった.
著者
岡本 正三 田中 良平
出版者
公益社団法人 日本金属学会
雑誌
日本金属学会誌 (ISSN:00214876)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.173-176, 1958
被引用文献数
1

The deterioration resistance of three marquenching oils (one imported and two home products), were compared by measuring their various physical properties and cooling ability. These measurements were carried out on fresh and deteriorated samples under the exactly same conditions by an electric-resistance heater immersed in each. In the measurement of the cooling ability a carbon tool steel and a bearing steel were used as specimens, and after the marquenching, the depth of hardening in constant size specimens and the critical diameter in variable size specimens were determined. It was found that, among these oils, one of the home products is superior to others in cooling ability and particularly in stability against deterioration.
著者
三瓶 良祐 小林 龍生 小倉 正恒 田中 良弘
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.48101171, 2013 (Released:2013-06-20)

【はじめに、目的】全身振動刺激トレーニングは、振動するプラットフォーム上で運動することによって身体機能を向上させるトレーニング方法である。トレーニング効果として、筋力増強、筋柔軟性の向上や神経筋協調性の改善に対する効果などが報告されている。脊髄腫瘍術後、深部感覚障害による脊髄性失調を呈した症例に対し、全身振動刺激トレーニングを実施し、身体機能に関する即時および長期効果が得られたので報告する。【方法】対象は、脊髄内腫瘍(Th2/3レベル、Cavernous angioma)、52歳の男性。H17年度より右下肢のしびれを自覚。H22年5月、右下肢の違和感、しびれが増強し、右下肢麻痺、両下肢感覚障害、膀胱直腸障害、歩行障害を認めた。H22年11月15日に他院にて腫瘍摘出術を実施。11月16日よりリハビリテーション開始。H24年4月全身振動刺激トレーニング開始時、MMT左右下肢とも5レベル。感覚は両下肢でしびれが強く、表在覚は両下肢とも軽度鈍麻、運動覚は右足趾で軽度低下、振動覚は右内踝7秒、左内踝9秒とともに低下。Romberg sign陽性。基本動作は自立しており、走行も可能なレベルである。全身振動刺激トレーニング機器であるPOWER PLATEを使用し、周波数35Hz、振幅2~4mmの振動刺激を用いて、スクワット姿勢など7種類の運動と2種類のストレッチを3回/週、14週間施行した。振幅、刺激時間は1週間ごとに振幅2mm・30秒、4mm・30秒、2mm・60秒、4mm・60秒と段階的にあげ、5週目以降は4mm・60秒で実施した。評価は1週間毎に、閉眼閉脚立位時間、開眼片脚立位時間(左右)、垂直飛びをPOWER PLATE 実施前後に計測した。各評価は3回試行し、即時効果はトレーニング実施前後に得られた最高値を、長期効果は全身刺激トレーニング実施前の平均値を採用した。統計学的検討として、t検定を用い、有意水準は5%とした。【倫理的配慮、説明と同意】本研究を実施するにあたり、ヘルシンキ宣言に基づき症例に対し事前に十分な説明と同意を得てから研究を実施した。【結果】即時効果として、閉眼閉脚立位時間は、実施前16.3±8.8秒から実施後115.3±14.7秒で有意差を認めた(P<0.01)。開眼片脚立位時間は、実施前、右13.5±6.2秒、左16.8±8.6秒から、実施後、右23.4±15.0秒、左41.6±31.7秒で、両側で有意差を認めた(P<0.01)。垂直飛びは、実施前30.2±2.9cmから実施後35.6±1.2cmで有意差を認めた(P<0.01)。POWER PLATEを用いた運動後、すべての評価項目で即時効果を認めた。また、長期効果は、閉眼閉脚立位時間は初回、23.2±12.9秒から評価14回目で100.1±24.5秒、開眼片脚立位時間は、初回、右16.0±6.2秒、左18.2±12.5秒、評価14回目で右86.0±34.0秒、左68.8±49.5秒、垂直飛びは初回、33.3±2.3cm、評価14回目で34.8±0.5cmとすべての評価項目で長期的な改善効果の傾向が見られた。【考察】即時効果として、閉眼閉脚立位時間は、実施前16.3±8.8秒から実施後115.3±14.7秒で有意差を認めた(P<0.01)。開眼片脚立位時間は、実施前、右13.5±6.2秒、左16.8±8.6秒から、実施後、右23.4±15.0秒、左41.6±31.7秒で、両側で有意差を認めた(P<0.01)。垂直飛びは、実施前30.2±2.9cmから実施後35.6±1.2cmで有意差を認めた(P<0.01)。POWER PLATEを用いた運動後、すべての評価項目で即時効果を認めた。また、長期効果は、閉眼閉脚立位時間は初回、23.2±12.9秒から評価14回目で100.1±24.5秒、開眼片脚立位時間は、初回、右16.0±6.2秒、左18.2±12.5秒、評価14回目で右86.0±34.0秒、左68.8±49.5秒、垂直飛びは初回、33.3±2.3cm、評価14回目で34.8±0.5cmとすべての評価項目で長期的な改善効果の傾向が見られた。【理学療法学研究としての意義】脊髄腫瘍摘出術後に脊髄性失調を呈した症例に対し、全身振動刺激トレーニングを施行し、バランス能力と筋パワーの2つの異なる身体機能に改善を認めた。脊髄性失調の症例に対して全身振動刺激トレーニングにより改善効果のある可能性が示唆された。
著者
森 博子 岡田 洋右 田中 良哉
出版者
学校法人 産業医科大学
雑誌
Journal of UOEH (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.323-329, 2012-12-01 (Released:2013-02-28)
参考文献数
25

ビタミンD欠乏症は骨粗鬆症,骨折の原因のみならず,近年では2型糖尿病や心血管疾患,高血圧,癌,感染,自己免疫疾患などの発症リスクを上昇させると報告されている.日光曝露不足や食事からのビタミンD摂取不足が,ビタミンD欠乏症に繋がっており,特に女性においてビタミンD欠乏症は,よくみられる病態と考えられる.女性が長く健康で働きつづけるためには,様々な疾患との関連が報告されているそれらの病態の上流に位置するビタミンDは極めて重要な因子である.
著者
田中 良弘
出版者
一橋大学大学院法学研究科
雑誌
一橋法学 (ISSN:13470388)
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, pp.985-1016, 2015-11

Economic Criminal Law in Nazi Germany adopted "Ordnungsstrafe," the administrative penalties for violation of the order that authorized the administrative agencies to impose criminal punishments without going through the criminal procedure. Furthermore, Economic Criminal Law in Nazi Germany justified severe punishments including the death penalty for violation of economic laws, by making economic orders a legally protected interest. Today, it is not permissible to impose criminal punishments without criminal procedure, in terms of separation of the powers and due process. Furthermore, it is not permissible to impose criminal punishments in the name of protecting an order because such punishments would result in abuse of criminal punishments. On the other hand, the use of non-criminal penalties by administrative agencies might be an effective means to guarantee enforcement. In reality, the Administrative Offences Act (Ordnungswidrigkeitengesetz) of the Federal Republic of Germany originates from "Ordnungsstrafe."
著者
高瀬 香奈 三島 弘之 綾部 純一 渡辺 正英 土屋 雄介 丸山 拓実 益子 悠 立石 健祐 田中 良英
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.305-311, 2021 (Released:2021-04-25)
参考文献数
24

放射線治療の晩期障害として放射線誘発性腫瘍があるが, 組織型の異なる放射線誘発性脳腫瘍が併発した症例の報告は稀少である. 症例は49歳男性. 8歳時に右前頭葉腫瘍の摘出術を受け, 当初星芽腫の診断で51Gy/37frの拡大局所照射を施行された. 照射後41年, 初発のてんかん発作で救急搬送され, 右前頭葉脳実質の不整形腫瘍と周辺の円蓋部に硬膜付着腫瘤を認めた. 両病変に対して摘出術を施行し, それぞれ膠芽腫, 髄膜腫と診断された. 再検討の結果, 初発腫瘍は退形成上衣腫と診断された. 小児期に放射線治療を受けた患者では長期間経過しても放射線誘発性腫瘍のリスクが存在するため, 長期にわたる慎重な経過観察が重要である.
著者
松井 祥悟 田中 良夫 前田 敦司 中西 正和
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.36, no.8, pp.1874-1884, 1995-08-15
参考文献数
12
被引用文献数
4

本論文では、並列型(parallel)および漸次型(incremental)ガーベジコレクションの基本アルゴリズムである相補型ガーベジコレクタ(Complementary Garbage Collector)の提案およびその評価を行う。このアルゴリズムは、増分更新型(incremental update)とスナップショット型(snapshot-at-begiming)という2つの基本アルゴリズムを相補的に組み合わせたものである。ゴミの回収効率の良さと正当な(無矛盾な)実装の容易さという両者の長所を併せ持つ。このアルゴリズムは、現在広く便用されているスナップショット型アルゴリズムを代替する。この型を基本アルゴリズムとしている現存の並列型および漸次型ガーベジコレクションに直ちに応用できる。Complementary Garbage Conectorを並列型mark-and-sweep法および潮次型mark-and-sweep法に組み込み、評価を行った結果、ゴミセルの回収効率は一括型GCと同程度まで改善されることが確認された。これにより実行速度、実時間性(無停止性)が改善された。
著者
中山田 真吾 田中 良哉
出版者
一般社団法人 日本臨床リウマチ学会
雑誌
臨床リウマチ (ISSN:09148760)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.162-168, 2019-06-30 (Released:2019-08-22)
参考文献数
15

関節リウマチ(RA)の治療では,メトトレキサート(MTX)などの従来型合成抗リウマチ薬(csDMARD),及び,生物学的抗リウマチ薬(bDMARD)による早期からの適切な治療介入により,臨床的,構造的,機能的な寛解が目標となった.しかし,これらの治療でも治療抵抗性の症例が多く存在する.Janus kinase(JAK)阻害薬は,サイトカインシグナルを媒介するキナーゼのJAKを選択的に阻害し,関節リウマチ(RA)の病態へのマルチターゲット作用により臨床効果を発揮する.高分子の蛋白製剤であるbDMARDは静脈内または皮下注射での投与に限定されるのに対し,JAK阻害薬は内服可能な分子標的合成抗リウマチ薬(tsDMARD)であり,bDMARDと同等の効果を有する.本邦では,2013年にトファシチニブ,2017年にバリシチニブがRAに対して上市された.実臨床でのJAK阻害薬の優れた臨床効果が確認されつつあるが,JAK阻害薬の安全性への懸念が少ないわけではなく,生物学的製剤と同様,感染症などの十分なスクリーニングのもと導入すべきである.これまでの臨床試験や市販後調査で蓄積されたJAK阻害薬の有効性と安全性の知見をもとに,リウマチ専門医によるJAK阻害薬の適正な使用が望まれる.
著者
丸山 成和 丸山 典彦 伊藤 宏 田中 良和 植松 典昭
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.36, no.6, pp.330-333, 1983-06-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
12
被引用文献数
1

牛以外の動物, とくに人と豚のアカバネウィルスに対する抗体の保有状況を知る目的で, 両者の血清について, 赤血球凝集抑制 (HI) 反応, 中和 (NT) 試験による調査を実施した. なおHI価10以上, NT価4以上を反応陽性とした.調査期間は人では1977年6月~1979年4月, 豚では1978年9月~1979年2月であった. 調査地域は人では県内8市5町, 豚では9市4町であった. その結果以下の成績を得た.1) 人血清1, 348例のうち1.3%(17/1, 348) がHI陽性であった. これらの陽性例は県東部の隣接田園地区に集中してみられた. 陽性例のHI価は10~40, NT価は4~32であった. なお豚のHI陽性率の高い地域の養豚従事者19人では1例が陽性 (陽性率5.3%) で, そのHI価およびNT価はそれぞれ10および8であった.2) 豚血清1, 134例 (4~5ヵ月齢の肥育豚654頭, 繁殖豚480頭) についてHI価を測定したところ, 1.4%(16/1, 134) の陽性率であった. このうち肥育豚は0.8%(5/654), 繁殖豚は2.3%(11/480) の陽性率であった.陽性例のHI価は10~20, NT価は4~64であった.豚および人は, Vectorの動物嗜好性によることも考えられるが, 牛にくらべて本ウイルスの感染をうけにくいものと推測される.