著者
武宮 博 田中 良夫 中田 秀基 関口 智嗣
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌コンピューティングシステム(ACS) (ISSN:18827829)
巻号頁・発行日
vol.45, no.11, pp.144-159, 2004-10-15
参考文献数
39
被引用文献数
7

Grid プログラミングモデルの1 つであるGridRPCの参照実装としてNinf-G2の開発を行い,性能を評価した.広域に分散した複数台のクラスタから構成される大規模Grid 環境上でアプリケーションを効率良く実行することを目的とするNinf-G2は,関数ハンドル同時生成機能やリモートオブジェクトを実装することで,遠隔手続き呼び出しにともなう起動コストや通信コストの低減を図るとともに,ハートビート機能や関数ハンドル作成タイムアウト機能,サーバ属性の個別設定機能を提供することで,非均質,不安定で動的に変化するGrid環境への対応を図っている.典型的なタスク並列アプリケーションである気象シミュレーションプログラムを対象に,6台のクラスタから構成されるGridテストベッド上でNinf-G2の性能評価を行った.その結果,個々のタスクの実行時間が十数秒から数十秒程度の比較的粒度の小さいシミュレーションであっても,200台以上のプロセッサを用いて効率的に実行可能であることが分かった.A high performance GridRPC system called Ninf-G2 has been developed and its performance was evaluated. Ninf-G2 aims to enable applications to run efficiently on a large scale Grid environment which consists of clusters widely distributed over a network. It tries to reduce costs for start-up and communication by simultaneous function handles creation function and remote object mechanism. In addition, it tries to cope with heterogeneous, unstable, and dynamically varying grid environment by heart-beat monitoring function, timeout mechanism in creating function handles, and methods to specify server-dependent attributes. Using 6 distributed clusters, performance of Ninf-G2 was evaluated by running an atmospheric simulation program which is a typical task parallel application. Good performance was attained on a grid environment with more than 200 processors even in the case of applications having many small grained tasks.
著者
山本 直 岡田 洋右 新生 忠司 田中 良哉
出版者
学校法人 産業医科大学
雑誌
Journal of UOEH (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.55-60, 2015-03-01 (Released:2015-03-14)
参考文献数
7
被引用文献数
1 1

症例は56歳女性.外傷を契機に全身倦怠感や悪心・嘔吐が出現し近医入院.高カルシウム血症を伴う意識障害や全身の皮疹が出現したため当科転院となった.臨床症候(意識障害,食欲不振,悪心・嘔吐,血圧低下,発熱)および検査所見(血中cortisol 1.2 μg/dl と低値,高カルシウム血症11.0 mg/dl,末梢血好酸球増多1,600 /μl )より副腎皮質機能低下症と診断.皮膚生検で好酸球浸潤を認め,最終的にprednisolone 30 mg/day内服により上記症状は改善した.同症で認められる一般検査所見として高カルシウム血症および末梢血好酸球増多が知られているが,本例のように著明な症状を呈することは稀であるので報告する.
著者
鈴木 秀典 山口 智 宗岡 寛子 佐々木 達也 田中 良明 中澤 昌彦 陣川 雅樹 図子 光太郎
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース
巻号頁・発行日
vol.129, 2018

<p>フォワーダの積載性能が長尺材の集材生産性に与える影響を明らかにするため、大型(最大積載量6,000kg)と中型(同4,800kg)のフォワーダを対象として、材長ごとの生産性を調査した。長尺材として6mと8m材を集材し、比較のために4m材も集材した。集材作業は、13tクラスのグラップルによるフォワーダへの積込み、実走行、グラップルによる荷おろし、空走行の各要素作業に区分した。先山と土場の各グラップル操作も含め、1人作業として生産性を比較した。その結果、大・中型機とも4m材を生産したときに最も生産性が高く、6m、8mと材が長くなるにつれ低下した。しかし、大型機では8m材の生産性が4m材の約7割だったのに対し、中型機では約6割と積載性能によって低下率が異なった。各作業における材長の影響は積込み作業で大きく、長尺材になるほど時間がかかる傾向がみられたが、走行や荷おろし作業への影響はそれほど大きくなかった。長尺材の生産性は大型機の方が高く、また、長尺材になったときの生産性低下率も大型機の方が小さいため、長尺材の集材には大型機の方が適しているといえる。</p>
著者
西谷 正 甲元 眞之 山本 輝雄 中橋 孝博 田中 良之 宮本 一夫 中園 聡
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1994

平成8年度は、本研究3個年計画の最終年度に当たるので、過去2年間にわたって実施した調査成果を総合的にまとめ上げることを主眼とする研究を実施した。そのため、収集した膨大な調査資料を改めて整理、分析するとともに、研究成果報告書の原稿を執筆した。その間、支石墓研究会も開催し、第15回をもって最終回とした。その際、中国の遼東半島や朝鮮の西南海岸部・済州島の支石墓について補足し、また、日本の出土遺物として重要な供献小壺についても研究の現状を把握した。その結果を要約すると、支石墓は中国の東北地方から朝鮮の全地域において、主として青銅器時代に築造された。中国では、いわゆる石蓋土壙墓が支石墓を考える上で重要である。おそらく中国で成立した卓子形の支石墓は、朝鮮の西北部にまず伝播した後、変容を遂げながら南部地方へと波及し、碁盤形支石墓を生んだ。朝鮮の全域で独特に発達した支石墓は、いうまでもなく、もともと巨大な上石とそれを支える支石からなることに特徴があるところから名づけられた墳墓である。ところが、最近の調査例のように、実に多種多量の形式が見られるようになってくると、形式分類もひじょうに複雑なものとならざるをえない。それでもなお、共通点として指摘できるのは、巨大な上石を使用していることであるのに対して、支石をもたないものもけっして少なくないのである。そこで、巨大な上石の下にある墓室の構造を基準として形式分類を試みた。日本の支石墓は、縄文時代終末期から弥生時代中期にかけて、北部九州を代表する墓制の一つである。上石の下部に埋葬施設としての土壙・甕棺・配石などがある。古くは、土壙の場合が多いが、新しくなると甕棺が多くみられる。甕棺を埋葬施設とする点は、日本独自の特徴である。支石墓の存在形態を見ると、大規模な群集を示さず、数基ないし十数基からなる。
著者
水口 幹記 洲脇 武志 喜多 藍 名和 敏光 佐々木 聡 高橋 あやの 清水 浩子 藤井 誠子 松浦 史子 田中 良明
出版者
藤女子大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本年度は、ベトナムと中国を中心対象地域に設定し、研究を進めていった。1、研究検討会の開催:国内において、計三回の研究検討会を開催した。特に第二回には、立教大学日本学研究所と「前近代東アジアにおける術数文化の伝播・展開―日本とベトナムを中心として―」と題した大規模検討会を共催した。ここでは、ベトナム(ハノイ国家大学)からファム・レ・フイ氏を招きご報告を頂いたほか、外部スピーカーもお招きし、広く意見交換を行い、一般聴衆へも本研究課題の意義を伝えることができた。この概要は『立教日本学研究所年報』に掲載予定である。2、『天地瑞祥志』研究会への参加・翻刻校注の刊行:毎月一度開催される『天地瑞祥志』研究会に参加し、本資料の輪読・校注作業が進展した。本年度は、本書第十六・第十七の翻刻校注が刊行でき、研究作業が大いに進展した。3、国内外調査:複数の研究班メンバーが共同でベトナム調査を敢行した。多くの漢籍を所蔵するハノイの漢喃研究院を中心に文献調査、史跡調査を行った。調査先は、漢喃研究院のほか、国会議事堂地下展示室・タンロン王城遺跡・ベトナム国立歴史博物館・文廟(以上ハノイ)・バクニン省博物館・陶おう廟碑・延応寺(以上バクニン省)などであった。特に、漢喃研究院の院長や研究員と懇談し、今後の協力を取り付けたこと、また、国宝に指定されている隋代の仁寿舎利塔銘を実見・調査できたことは、今後のベトナムの歴史と術数との関連を考える上で大きな収穫であった。また、現地の道教研究者とも意見交換を行うことができ、今後の研究の足がかりを得ることができた。その他、各研究班により、各地の資料館・図書館・文庫での調査が行われた。4、関連論文の翻訳:ベトナム語の論文としては、グエン・コン・ヴィエット「漢喃暦法の文献における二十八宿に関する概要」を日本語に翻訳することができ、研究班メンバー全員での共通認識形成に役立った。
著者
谷村 勇輔 田中 良夫 横川 三津夫 関口 智嗣
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告計算機アーキテクチャ(ARC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.20, pp.115-120, 2006-02-27
参考文献数
11

実大三次元振動実験により生成される貴重,かつ膨大なデータを格納するためのデータリポジトリシステム「EDgrid Central」を設計した.EDgrid Central はバックエンドに大容量のストレージと振動実験データの格納用に考案されたデータモデルを実装し,フロントエンドではメタデータによる実験データの検索やデータファイルの一括ダウンロード機能をWeb インタフェースとして提供する.これは米国のNEES プロジェクトで開発されたNEEScentral ソフトウェアをもとに,振動実験のデータを扱うユーザの意見を踏まえて必要な機能の追加・拡張,EDgrid スタイルのデザインへの置き換えを行ったものである.EDgrid Central を運用することで,振動実験データを格納するための半恒久的なリポジトリを確保するとともに,地震工学の研究者がお互いの実験や解析結果を日常的に交換,共有利用する環境を提供することができる.A data repository system, that is called EDgrid Central, is designed for storing huge amount of experiment data by using a 3-D full-scale earthquake testing facility. The EDgrid Central prepares large storage capacity and implements a data modeling for the shake test in the backend. The frontend is a portal for users to retrieve the stored data by meta-data search and bulk download. This system uses the NEEScentral developed by the NEES project in the United States by enhancing search and download functionalities, according to the EDgrid users' requirements. The EDgrid Central allows facility sites to have a permanent repository of the shaking table experiment and it also enables civil engineering researchers to share their data and reports in their daily activities.
著者
園本 格士朗 山岡 邦宏 田中 良哉
出版者
学校法人 産業医科大学
雑誌
Journal of UOEH (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.141-146, 2014-06-01 (Released:2014-06-14)
参考文献数
33
被引用文献数
2 6

関節リウマチ(RA)は関節炎と関節の構造的障害を特徴とする疾患で,進行すると身体機能障害を引き起こし,就労率の低下や介護といった社会資源の損失をもたらす.元来RAは進行性の疾患と考えられていたが,近年の治療の進歩により関節破壊の完全な進展抑制が現実的となった.しかし,罹病期間が長く新治療の恩恵を受けられなかった,または新治療によっても疾患活動性が制御できないなどの理由で進行した関節破壊を呈する患者は稀でなく,破壊関節を再生しうる治療法の開発が待たれている.我々は,骨・軟骨に分化可能で抗炎症作用を持つ間葉系幹細胞(MSC)による治療をRAの新規治療法として位置づけ,これまでにMSCが破骨細胞分化抑制作用を持つこと,炎症がMSCの骨芽細胞分化を促進し,軟骨細胞分化を抑制することを報告した.さらに現在,足場によるMSC移植システムを構築中であり,RA患者への臨床応用は着実に近づきつつあると考えられる.
著者
太幡 敬洋 峯 信一郎 飯田 武 岸川 博文 田中 良哉
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.103, no.1, pp.23-29, 2006 (Released:2006-01-12)
参考文献数
21
被引用文献数
3

症例は多飲歴を有する47歳の男性.腰痛,全身倦怠感を主訴に当院受診.肝機能障害および炎症反応を認め,経過中DICを併発した.MRIにて第2, 3腰椎に化膿巣と両側腸腰筋に波及した膿瘍形成が認められ,血液培養で黄色ブドウ球菌を検出した.化膿性脊椎炎と腸腰筋膿瘍と診断.抗生剤投与による保存的治療法で軽快した.肝硬変では,まれに化膿性脊椎炎,腸腰筋膿瘍の合併例を認めることがあり貴重な症例と考えられた.
著者
中林 史朗 大兼 健寬 田中 良明
出版者
大東文化大学漢学会
雑誌
大東文化大学漢学会誌 (ISSN:04149572)
巻号頁・発行日
no.53, pp.199-213, 2014-03

『陔餘叢考』訓訳巻十一、第五節「新唐書多周旋」の訓読・語注・現代語訳を行ったもの。
著者
佐藤 史仁 佐久間 洋明 小寺 俊哉 田中 良典 坂地 泰紀 和泉 潔
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第32回全国大会(2018)
巻号頁・発行日
pp.2O404, 2018 (Released:2018-07-30)

有価証券報告書には,業績の他,リスク対策や企業の施策等,決算短信にはない情報の記載もある.また,先行研究では,多くの情報から重要な文を効率よく抽出する方法として,因果関係文を重要文とした手法が提案されている.しかし,抽出対象を決算短信等とした報告はあるが有価証券報告書とした報告はない.そこで本稿では,この手法を応用し,有価証券報告書専用の因果関係文を抽出する判別モデルを提案した.そして,判別モデルの評価等を行い,高い性能であることなどを示した.この判別モデルにより有価証券報告書独自の投資判断に有益な情報の効率的な抽出が期待できる.
著者
田中 良幸 辻 敏夫 金子 真
出版者
The Institute of Electrical Engineers of Japan
雑誌
電気学会論文誌C(電子・情報・システム部門誌) (ISSN:03854221)
巻号頁・発行日
vol.119, no.4, pp.425-431, 1999-04-01 (Released:2008-12-19)
参考文献数
13

This paper proposes a new method for dynamic control of redundant manipulators via artificial potential field approach (APFA). The proposed method is based on the APFA with a combination of a time scale transformation and a time base generator which works as a time scale compressor. The dynamic behavior of the manipulator can be controlled by using the proposed method without any change of the form of the designed controller itself. The effectiveness of the proposed method is verified by computer simulations for redundant manipulators.
著者
梅村 宜生 田中 良昌 中野 慎也 南山 泰之 阿部 修司
巻号頁・発行日
2018-06-18

Japan Open Science Summit 2018(JOSS2018)2018年6月18日(月)・19日(火)学術総合センター主催:国立情報学研究所、科学技術振興機構、物質・材料研究機構、科学技術・学術政策研究所、情報通信研究機構、学術資源リポジトリ協議会
著者
吉浦 徹 綾部 純一 前田 昌宏 三島 弘之 川崎 泰輔 鈴木 幸二 土屋 雄介 関口 徳朗 田中 良英
出版者
一般社団法人 日本脳卒中の外科学会
雑誌
脳卒中の外科 (ISSN:09145508)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.127-131, 2018 (Released:2018-04-20)
参考文献数
15

A 33-year-old man presented with subarachnoid hemorrhage (Hunt and Kosnik grade II, World Federation of Neurological Surgeons [WFNS] grade I, Fisher group 3). Cerebral angiography revealed two anterior choroidal arteries and an aneurysm in a distal branch, in addition to an occlusion at the beginning of the right middle cerebral artery (MCA) and ipsilateral moyamoya vessels (unilateral moyamoya disease). On day 5, proximal ligation and bypass (superficial temporal artery [STA]-MCA anastomosis and encephalo-myo-synangiosis [EMS]) was performed. After surgery, neither symptomatic cerebral vasospasm nor hydrocephalus occurred. The patient was discharged without any neurological deficits. According to several reports, in cases of ruptured aneurysms associated with main trunk artery occlusion, it is important to operate both the aneurysm and STA-MCA anastomosis simultaneously in the acute phase to prevent re-rupture of the aneurysm and improve the cerebral blood flow. Thus, combination surgery consisting of proximal ligation and direct/indirect bypass in the acute phase is considered useful for hemorrhagic moyamoya disease.
著者
中澤 昌彦 吉田 智佳史 佐々木 達也 陣川 雅樹 田中 良明 鈴木 秀典 上村 巧 伊藤 崇之 山﨑 敏彦
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース
巻号頁・発行日
vol.124, 2013

【目的】本研究では,急峻で複雑な地形と大径材搬出への適用が期待できる欧州製タワーヤーダを用いた作業システムを開発することを目的に,間伐作業の功程調査を行った。前報で架線下の上荷集材作業について報告したので,本報では上荷横取り集材作業を中心に報告する。【方法】搬器にShelpa U-3toを搭載したMM社製WANDERFALKE U-AM-2toを用いて,上荷横取り集材作業を実施し,時間分析を行なった。【結果】魚骨状に4列伐採し,27サイクル,28本,計17.87m3を集材した。平均荷掛量は0.66m3,平均集材距離は156.6m(135.7~194.6m),平均横取り距離は25.7m(5.1~48.1m)で,打ち合わせや遅延時間を除く横取り集材作業時間の合計は10,371秒となった。既存タワーヤーダであるツルムファルケ(平均荷掛量0.37m3)と比較すると,横取り作業時間が約2割短かった。以上から,本調査区における上げ荷横取り集材作業の生産性を求めると6.2m3/時となり,架線下だけでなく横取り集材作業においても既存タワーヤーダより高い生産性が期待できることが示唆された。