著者
北川 亘 清水 一雄 赤須 東樹 田中 茂夫
出版者
日本医科大学医学会
雑誌
Journal of Nippon Medical School (ISSN:13454676)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.57-61, 2003 (Released:2003-02-24)
参考文献数
11
被引用文献数
9 12

Thyroid disease is comparatively prevalent, and it is important to perform careful palpation of the anterior neck when patients are first examined. In this paper, the latest data on and clinical characteristics of the epidemiology of thyroid carcinoma are described.According to Japanese cancer statistics, in 1996, the number of cases of thyroid carcinoma was 1,390 men and 5,437 women. The female to male ratio was 3.91: 1. The crude rate of thyroid carcinoma per 100,000 population was 2.3 men and 8.5 women. The age-adjusted incidence rate showed a gradual increase with age, and the peak of the age-adjusted incidence rate was over 80 years old among men, and from 70 to 80 years old among women.According to the Japanese Thyroid Cancer Registration Committee, from 1977 to 1999, papillary thyroid carcinoma accounted for more than 85% (30,256) of thyroid carcinomas among 35,312 patients. Medullary thyroid carcinoma (1.4%) and anaplastic thyroid carcinoma (1.6%) were rare. The female to male ratio of thyroid carcinoma was 6.1: 1. Registration was made in accordance with the general rules issued by the Japanese Society of Thyroid Surgery. According to the vital statistics, mortality related to thyroid carcinoma among all cancer-related deaths was 0.23% among men (411) and 0.76% among women (887) in 2000. The female to male ratio of mortality was 2.16: 1. The peak of mortality was from 70 to 80 years old among men, and from 80 to 90 years old among women.Most patients with differentiated thyroid carcinoma had a low mortality rate, but anaplastic carcinoma had a poor prognosis. Lung and bone were the main distant metastatic sites, and respiratory insufficiency was the most common specific fatal condition.
著者
中嶋 正道 田中 憲司 酒井 義文 平井 俊朗 柴田 安司
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2013-04-01

福島県内の阿武隈山地に生息するヤマメにおける放射線被曝の影響を調べた結果以下のことが明らかとなった。1)ヤマメ筋肉中の137Cs濃度が高い個体ほど脾臓で範囲のメラノマクロファージが観察された。同様に鰓における形態異常も観察された。2)血液性状ではヘモグロビン濃度が低下する傾向が見られた。この現象は給餌実験でも観察された。3)真野川で採捕された雌親魚から得られた仔魚におけるmtDNAを調べたところ親魚とは異なる配列が観察された。福島内水試で継代飼育されている系統では観察されなかった。4)アポトーシスに関連する遺伝子の発現低下が観察された。これらの現象には放射線被曝が影響していると考えられる。
著者
田中 吉郎
出版者
日本地図学会
雑誌
地図 (ISSN:00094897)
巻号頁・発行日
vol.12, no.3, pp.2-15, 1974-09-30 (Released:2011-07-19)
参考文献数
5
被引用文献数
1
著者
田中 真一
出版者
神戸女学院大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究では、名古屋方言の韻律構造(リズム・アクセント・イントネーションの構造)を明らかにすることを目標とし、一般言語学的観点からの調査および分析を行った。その結果として、アクセントおよびピッチに、種々の音韻構造が関与することを明らかにした。また、フィールドワーク調査による名古屋方言の録音の作業を通して、方言音声の記録という性格を持たせることを目標とした。
著者
名取 則明 桑田 正彦 田中 和明 戸田 龍樹
出版者
日本プランクトン学会
雑誌
日本プランクトン学会報 (ISSN:03878961)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.1-9, 2023-02-25 (Released:2023-03-22)
参考文献数
7

The water freeze-drying method can be used to prepare samples for scanning electron microscopy (SEM) in which samples immersed in water are frozen and dried under vacuum. This method does not require chemical fixation of freshwater microorganisms, whose structures are easily disrupted during fixations, and mixed samples of different species can be processed simultaneously with minimal morphological damage. We optimised this method for plankton surveys using SEM. A membrane filter with a plastic frame was attached to the filtration device, and microorganisms in the collected water were filtered and concentrated. Immediately before the end of filtration, the framed filter was removed from the filtration device, whereas the concentrated microorganisms remained covered with water. The wet filter was frozen by contact with a cooled metal plate and vacuum-dried. After conductive coating of the filter, the microorganisms on the filter were identified and counted using SEM. This method is more time-consuming compared to conventional optical microscopy (OM) methods and provides no information on colours or internal structures, making species identification difficult. However, the number of microorganisms detected was two- to three-fold lager than that detected using OM, including some species that could not be detected using OM. This result can be explained as follows: there was almost no loss of microorganisms larger than the filter pore size, and the resolution of SEM is higher than that of OM. A further advantage of this method is that the measured samples can be stored for long periods without morphological damage, and the measurement results can be re-validated at a later date.
著者
田中 博之
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.68, no.8, pp.390-394, 2018-08-01 (Released:2018-08-01)

PISA型読解力は,社会の多様な資料やデータを比較して既有知識を活用しながら深く読み取り,読み取った結果を自分なりに解釈・評価してわかりやすく表現するという総合的な学力を意味している。21世紀社会に求められる新しいリテラシーとしてのPISA型読解力は,すべての国の子どもたちの基礎学力になることが求められるとともに,これからますますその育成方法や評価方法の研究を推進することが,OECD的な意味で国の経済発展の根幹になるものと考えられる。
著者
西原 紘子 小坂 真子 原口 靖比古 田中 基 照井 克生 宮尾 秀樹
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.106-109, 2013 (Released:2013-03-12)
参考文献数
8
被引用文献数
2

22歳女性,妊娠27週.切迫早産の診断で頸管縫縮術を他院で施行.脊髄くも膜下麻酔に21G Quincke針を使用した.術直後から頭痛・嘔気が持続し,術後4日で初回歩行したところ突然意識消失した.母体搬送後のCTで急性硬膜下血腫と診断され,緊急開頭血腫除去術・外減圧術を施行した.術後経過は良好で後遺症もなく,妊娠32週5日に自然分娩となった.硬膜穿刺後の急性硬膜下血腫は,まれではあるが重篤な合併症である.立位により低髄圧症候群が惹起され,過度な牽引で架橋静脈が断裂し発症したと考えられ,太い脊麻針が誘因であった可能性が高い.妊娠中の開頭手術の麻酔管理についての考察も加えて報告する.
著者
武原 弘典 松川 義純 田中 裕 山本 修平 堀谷 亮介 西森(佐藤) 婦美子
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.69, no.3, pp.246-251, 2018 (Released:2019-02-27)
参考文献数
13

発達障害に合併する睡眠障害に対して漢方治療が有効であった2例を報告する。症例1はアスペルガー障害の15歳女子で,主訴は起床困難,入眠困難,易疲労性であった。陰血不足で肝気の昂りが抑えられず,緊張興奮状態に陥り易く上記症状が生じると考えた。抑肝散に甘麦大棗湯を併用し,起床困難は改善し毎日通学できるようになった。症例2は注意欠如多動性障害の17歳男子で,起床困難や倦怠感,易疲労性が主訴でしばしば緊張興奮状態となった。小建中湯内服で症状はやや改善傾向があったが,肝気を巡らす四逆散を併用後は毎日通学できるようになった。漢方医学では睡眠も含め精神の安定には血が重要であり,また幼少期は気血の不足がおこりやすいと捉えており,発達障害における二次障害の治療に際し補陰血に着目することが有用であると考えた。
著者
田中 慧 佐藤 康仁 岩﨑 直子
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.66, no.10, pp.742-749, 2023-10-30 (Released:2023-10-30)
参考文献数
31

MODY患者に対する個別化医療の血糖コントロールならびに糖尿病関連医療費に及ぼす影響を検討した.遺伝学的診断後も通院継続中のMODY1患者2名とMODY3患者5名,計7名のMODY患者を対象とした.個別化医療開始前と12ヶ月後のHbA1c,1ヶ月の糖尿病関連医療費を検討した.平均HbA1cは開始前7.37±1.10 %から12ヶ月後6.29±0.48 %(p<0.05),糖尿病関連医療費は同様に20,153±6,665円/月から8,671±8,817円/月(p<0.05)と有意に低下した.当初7名中6名がインスリン投与中であったが,5名(83 %)が最終的にはインスリン離脱に至り,うち4名が経口薬単独治療となった.MODY1とMODY3患者に対する個別化医療はスティグマの改善にも影響することが示唆された.さらに,MODY3患者では高率に肝細胞腺腫を疑う所見が認められた.
著者
古賀 政利 井上 学 園田 和隆 田中 寛大 塩澤 真之 岡田 敬史 池之内 初 福田 哲也 佐藤 徹 猪原 匡史 板橋 亮 工藤 與亮 山上 宏 豊田 一則
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
pp.10776, (Released:2020-03-30)
参考文献数
46
被引用文献数
3 1

要旨:脳梗塞の診断にはCT もしくはMRI による画像評価が必須である.再開通療法の可能性があれば速やかに最低限必要な画像評価で再灌流療法の適応を決定することが重要である.2018 年に改訂された米国のガイドラインでは,来院から20 分以内に画像診断を行うことが推奨されたが,わが国のガイドラインには画像診断までの時間の推奨はない.わが国では普及率が高いMRI で急性期脳梗塞を評価している施設が多い.機械的血栓回収療法の適応判定には脳実質の評価に引き続き速やかな頭頸部血管評価が必要である.米国では発症6 時間超の脳梗塞に対してCT もしくはMRI を使用した脳虚血コア体積や灌流異常の評価による機械的血栓回収療法の適応を推奨しているが,わが国では灌流画像評価や迅速解析に対応した自動画像解析ソフトウェアが普及していない.急性期脳梗塞に対する適切な再灌流療法を行うための,わが国の医療環境にあわせた画像診断指針が必要であろう.
著者
田中 由貴乃
出版者
佛教大学
雑誌
佛教大学大学院紀要. 文学研究科篇 (ISSN:18833985)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.1-17, 2012-03-01

自由党総理板垣退助は、明治十五年末から翌年六月にかけ、フランスをはじめとするヨーロッパを巡見した。八年後に迫った国会開設を控えて、先進諸国の実情を視察するためであった。しかし、その時期や、費用の出資者をめぐり、先ず党内の反対派から疑惑が指摘され、内訌を招き、自由新聞からも馬場辰猪らが退社する結果になった。さらに、紛争は党外にも飛び火し、改進党からも批判を浴び、自由党との間に、それぞれの機関紙上で、論争が展開した。本稿では、以上の紛争と新聞論争の実態を明らかにしたい。
著者
木村 容子 田中 彰 佐藤 弘 伊藤 隆
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.34-39, 2017 (Released:2017-07-05)
参考文献数
28
被引用文献数
1 1

背景:月経時片頭痛は他の時期の発作に比べて治療抵抗性であることが多い。呉茱萸湯で効果不十分な月経時の片頭痛に黄体ホルモンによる水滞の病態に着目して五苓散を併用した。対象と方法:呉茱萸湯を3ヵ月間投与し,月経時の片頭痛が残存した陰証の月経関連片頭痛患者37名(中央値37歳,範囲23—48歳)を対象とした。呉茱萸湯の服用は継続し,残存する月経時の頭痛に対して月経1週間前から月経終了時まで五苓散を追加した。結果:月経時の片頭痛が軽快した症例は26例(70%)。改善群では,発作時の随伴症状として頭重感(p = 0.003),浮腫(0.006),めまい(0.014),尿不利(0.014)が有意に認められ,雨前日に頭痛の悪化を認めることも多かった(0.004)。結語:発作時に頭重感や尿不利など水滞症状が顕著な場合は,呉茱萸湯に五苓散を月経周期に合わせて投与することが有効であると考えられた。