著者
田中 太一
出版者
東京大学大学院人文社会系研究科・文学部言語学研究室
雑誌
東京大学言語学論集 = Tokyo University linguistic papers (TULIP) (ISSN:13458663)
巻号頁・発行日
vol.41, no.TULIP, pp.295-313, 2019-09-30

中野 (2017) によって提唱された「認知言語類型論」は、ラネカーによる認知文法は認知D モードに基づいているために主体的表現の分析には適さないと批判し、日本語はその深層において文字を持たない言語であり、認知PA モードによって主体的に事態を捉える言語であるために、態や時制などの、英語には存在する文法カテゴリーは創発しないという結論を提示する。本稿では、本書を批判的に検討し、その主張が誤解に基づくものであり、多くの誤りを含むことを示す。
著者
津田 彰 堀内 聡 金 ウィ淵 鄧 科 森田 徹 岡村 尚昌 矢島 潤平 尾形 尚子 河野 愛生 田中 芳幸 外川 あゆみ 津田 茂子 Shigeko Tsuda
出版者
久留米大学大学院心理学研究科
雑誌
久留米大学心理学研究 = Kurume University psychological research (ISSN:13481029)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.77-88, 2010-03-31

ストレスへの対応といった受身的な対策を越えて,よりよく生きるための健康開発につながる効果的なストレスマネジメント行動変容を促すプログラムが求められている。とくに対費用効果を考えた場合には,集団戦略として,大勢の人たちを対象にしながら個々人の行動変容に対する準備性に応じたアプローチが必要となる。これらのニーズに応える行動科学的視点に立つ理論と実践モデルとして,行動変容ステージ別に行動変容のためのやり方(変容のプロセスと称する)を教示し,動機づけを高める意思決定のバランスに働きかけながら,行動変容に対する自己効力感を高め,行動変容のステージを上げていく多理論統合モデル(transtheoretical model, TTM)にもとづくアプローチが注目されている。筆者らは,TTM にもとづくインターネットによるストレスマネジメント行動変容の介入研究において,対象者が自ら効果的なストレスマネジメント行動に取り組むためのセルフヘルプ型のワークブックを作成し,その有効性を検証している。本稿では,効果的なストレスマネジメント行動を促すために,これらのワークブックをより有効に活用するための実践ガイドについて解説を加える。
著者
田中清光著
出版者
思潮社
巻号頁・発行日
1998
著者
一ノ宮 愛 西本 勝太郎 田中 正和
出版者
医学書院
雑誌
臨床皮膚科 (ISSN:00214973)
巻号頁・発行日
vol.72, no.3, pp.265-270, 2018-03-01

要約 23歳,女性,看護師.初診の3年前より右足底疣贅に対しヨクイニンを内服したが効果なく,左足底にも拡大し2015年7月当科を紹介受診した.右母趾腹〜母趾球部,第1足趾間周囲,左母趾球部,踵,アキレス腱部に角化性局面を認め,右足底は癒合しモザイク疣贅の状態であった.削り処置と液体窒素凍結療法を行ったが足底はほとんど変化なく,35日後より夜間のみの活性型ビタミンD3密封外用療法を毎日患者自身で施行してもらった.外用16日後,明らかに軽快し,68日後・初診100日後治癒した.疣贅治療には絶対的に有効なものはなく,病型,重症度,年齢,部位,治療歴,治療へのコンプライアンス等を考慮して治療法を選択する必要がある.活性型ビタミンD3密封外用療法は治療に難渋することの多い足底疣贅に対して有効性を期待できる治療法の1つであると考える.
著者
田中 修
出版者
日本農業経営学会
雑誌
農業経営研究 (ISSN:03888541)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.1-11, 2014-10-25 (Released:2017-01-16)
参考文献数
40
被引用文献数
2

After reviewing Denjibey Funatsu’s (c.1832-1898) “TeihaHou” (subsoil break) farming and double cropping system ideas for upland field during the Meiji period, it can be said to be a system for promoting “drought resistance, deep and intensive cultivation method” through the use of manual cultivation (do not deny the plowing by animal power), inter-cropping, deep cultivation (subsoil break at 4-5 years intervals) and double cropping.In the early Meiji period, Funatsu’s farming system thus helped establish more extensive cash crop cultivation. At the same time, his farming system intended to improve the relationship between the main winter crop - wheat and summer crops - upland rice, taros, potatos, sweet potatos, peanuts, eggplants, and so on, through double-cropping. This farming system contributed to the development of intensive small-scale farm management of a diversified crop rotation. And this type of farm management became dominant upland in the Kanto region until the High Growth period of the 1960s.It is said that during the latter part of the Meiji period the so-called “Meiji Farming System,” namely a “modern farming system” characterized by well-drained paddy fields and deep plowing by horse power, with heavy manuring and double cropping use of paddy field, was established. However, this understanding is biased towards paddy cultivation and lacked a proper understanding of the role of upland cultivation. Thus, an understanding of Funatsu’s farming system should be incorporated.
著者
置塩 裕子 上田 健太郎 米満 尚史 那須 亨 川嶋 秀治 田中 真生 國立 晃成 岩﨑 安博 加藤 正哉
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.1-5, 2019-02-28 (Released:2019-02-28)
参考文献数
7

目的:和歌山県立医科大学附属病院高度救命救急センターに搬送された75歳以上の後期高齢者のCPA症例を検討し,今後の課題を明らかにする。方法:4年間に搬送された,DNAR未確認のCPA症例のうち,後期高齢者群と非後期高齢者群とを後向きに比較検討した。また,後期高齢者のROSCあり群となし群とを比較検討した。さらに,後期高齢者群の生存例を検討した。結果:対象475例中,後期高齢者は283例であった。後期高齢者群は,自宅や施設での発生が多く,初期波形VFの症例が少なかったが,ROSCや生存の割合に有意差は認めなかった。後期高齢者ROSC なし群では,目撃なし症例や初期波形心静止が多かったが,bystander CPRの有無や搬送時間に有意差は認めなかった。後期高齢者の生存8症例に初期波形VFはなく,すべてCPC4であった。結論:初期波形VFの生存症例がなく,改善の余地がある。また,事前指示書の普及が重要と考えられた。
著者
田中 修
出版者
日本農業経営学会
雑誌
農業経営研究 (ISSN:03888541)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.71-76, 2013-06-25 (Released:2016-06-01)
参考文献数
21
著者
田中 昂平 古屋敷 智之
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.139, no.4, pp.152-156, 2012 (Released:2012-04-10)
参考文献数
29

ストレスはうつ病など精神疾患のリスク因子とされる.しかしストレス脆弱性を担う分子メカニズムは不明である.小動物研究から,心理ストレス下での行動制御にサイトカインやプロスタグランジン(PG)など炎症関連分子が関与することが示されてきた.近年,PG合成阻害薬である非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)の併用により,抗うつ薬の治療効果が増強するとの臨床報告も散見される.しかし,ストレスやうつ病病態における炎症関連分子の作用機序は不明であり,炎症関連分子を標的とした創薬戦略は確立していない.我々はPGE2の受容体EP1の遺伝子欠損マウスが,ドパミン系の活動亢進により,攻撃性や断崖からの飛び降りなどの衝動性を呈することを見出した.この表現型に合致し,EP1はドパミン細胞への抑制性シナプスに局在し,ドパミン細胞への抑制を増強することも示された.その後の報告では,PGE受容体EP4による抗不安作用やトロンボキサン受容体TPによる砂糖水嗜好性制御など,情動行動に関わる新たなPG受容体も同定されている.NSAIDは,抗うつ作用を増強するのみならず,一部の抗うつ薬の作用を阻害することも報告されている.またNSAIDの慢性投与では消化器や循環器における副作用がしばしば問題となることから,PGの各種受容体特異的な機能解析と,それに基づく創薬研究が,新たなうつ病への治療戦略開拓に繋がると考えられる.
著者
MENN Lise 田中 裕美子 荻野 恵
出版者
日本コミュニケーション障害学会
雑誌
コミュニケーション障害学 (ISSN:13478451)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.127-138, 2005

言語障害をもつ人々の言語産生能力を,ナラティブで評価するのは難しい.しかし,ナラティブ能力の測定法は,言語障害が一次的なものか認知障害と合併しているものかにかかわらず,また発達性(SLI,精神遅滞,自閉症)であっても,後天性(流暢・非流暢性失語,認知症,脳外傷等)であっても,コミュニケーション能力の全体像を把握する過程において欠かせないものである.今回の発話サンプルには,語彙や統語能力の問題を含む幅広い言語の問題がみられる.また,いくつかの物語の内容を混ぜ合わせたり,必要な情報を提供しようとしないなど,認知/情動障害から二次的に生じていると思われる問題もみられる.現在使われている一面的な測定法は,このような問題を把握するためには十分でない.それぞれの言語において,研究者は信頼性・安定性・感度・妥当性のある多面的な測定法を開発することが必要である.
著者
田中 宏尚
出版者
熊本県立大学文学部
雑誌
熊本県立大学文学部紀要 (ISSN:13411241)
巻号頁・発行日
vol.19, no.72, pp.1-22, 2013-02
著者
田中 宏尚
出版者
熊本県立大学文学部
雑誌
熊本県立大学文学部紀要 (ISSN:13411241)
巻号頁・発行日
vol.18, no.71, pp.1-18, 2012-02
著者
田中 宏尚
出版者
熊本県立大学文学部
雑誌
熊本県立大学文学部紀要 (ISSN:13411241)
巻号頁・発行日
vol.17, no.70, pp.47-65, 2011-03
著者
田中 宏尚
出版者
熊本県立大学文学部
雑誌
文彩
巻号頁・発行日
no.5, pp.62-55, 2009-03
著者
田中 康裕 山田 哲弥 村田 明子 北後 明彦 鈴木 毅
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.76, no.664, pp.1101-1109, 2011-06-30 (Released:2011-11-16)
参考文献数
12
被引用文献数
2 2

The purpose of this article is to clarify residents' attitudes toward social relationships in condominiums. We conducted questionnaire to residents who live in large scale condominiums, and clarified the following things. About 75 percent of respondents seek some relationships with other residents. The respondents who have children are more satisfied with their present relationships than those who don't have children. The respondents who don't seek relationships and who regard intimate relationships as important, tend to be satisfied with their present relationships. Social relationships in the large scale condominiums are not weak, but it doesn't spread into all residents.
著者
富島 奈々子 田中 雅侑 金指 美帆 前沢 寿亨 藤野 英己
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2013, 2014

【はじめに,目的】肥満は生活習慣病の重要な要因であり,社会問題になっている。肥満には低強度走行運動等の有酸素運動が代謝や体重軽減に有効で推奨されている。代謝向上にはミトコンドリア数増加やコハク酸脱水素酵素(SDH)活性の上昇,毛細血管新生等の適応があり,有酸素運動は代謝向上に好影響がある。近年,無酸素性エネルギー代謝が起こる高強度インターバルトレーニング(HIIT)でもミトコンドリア数の増加が報告されている(Hoshino,2013)。一方,継続的な運動後の血中乳酸値濃度が乳酸性作業閾値(LT)以下の低強度運動とLT以上の高強度運動が代謝に与える影響を比較した研究は皆無である。HIITは有酸素運動よりも代謝が向上するという先行研究(Laursen,2002)から,ミトコンドリア機能亢進には有酸素運動よりもLT以上の高強度運動の方が好影響ではないかと仮説を立て,低強度及び高強度走行運動がラットヒラメ筋の代謝及びミトコンドリア数に与える影響の検証した。【方法】5週齢のWistar系雄性ラットを対照群(CON群,n=8),低強度運動群(LI群,n=7),高強度運動群(HI群,n=7)の3群に分けた。運動介入としてトレッドミルを用いた走行運動を1日1回,週に5回の頻度で実施し,LI群では速度15m/分,継続時間60分間,傾斜0°,HI群では速度20m/分,継続時間30分間,昇り傾斜20°の運動を負荷した。運動後の血中乳酸値濃度は運動前に比べて,HI群でのみ有意な上昇を認めた。3週間の実験期間終了後,サンプルとして精巣上体周囲脂肪及びヒラメ筋を摘出し,湿重量を測定した。ヒラメ筋は急速凍結し,-80℃で凍結保存した。ミトコンドリア数の指標としてTaqmanプローブによるリアルタイムPCR法を用いてヒラメ筋のmtDNAコピー数を相対的に測定した。また,薄切したヒラメ筋横断切片を用いてSDH染色によりヒラメ筋のSDH活性を測定した。ATPase染色(PH4.3)で筋線維をType IとType IIAに分け,筋線維タイプ比とタイプ別筋線維横断面積(CSA)を測定した。アルカリフォスファターゼ(AP)染色により筋線維数に対する毛細血管数(C/F比)を測定した。全ての測定値の統計処理には一元配置分散分析とTukeyの多重比較検定を行い,有意水準は5%未満とした。【倫理的配慮,説明と同意】全ての実験は所属機関における動物実験に関する指針に従い,動物実験委員会の承認を得た上で実施した。【結果】体重はLI群及びHI群共にCON群に対し有意に低値を示したが,脂肪量/体重比はHI群がCON群及びLI群に対し有意に低値を示した。ヒラメ筋/体重比はLI群及びHI群と共にCON群に対し有意に高値を示した。筋線維タイプ比とCSAはLI群及びHI群共にCON群との有意な差を認めなかった。また,mtDNAはLI群がCON群に対し,HI群がCON群及びLI群に対し有意に高値を示した。C/F比も同様にLI群がCON群に対し,HI群がCON群及びLI群に対し有意に高値を示した。また,SDH活性は,Type IではLI群がCON群に対し,HI群がCON群及びLI群に対し有意に高値を示し,Type IIAではHI群がCON群及びLI群に対し有意に高値を示した。【考察】HI群ではmtDNA増加とSDH活性上昇,C/F比増加がLI群より有意であった。運動によるミトコンドリア数増加やSDH活性上昇が知られており,異なる強度の走行運動では強度が高いほどミトコンドリア新生及び酵素活性の上昇が示された。運動強度が高いほど酸素需要が増大するという先行研究(Sasaki,1965)から,酸素需要増大に適応するためミトコンドリア機能向上が促されたと考えられる。また,運動によるミトコンドリア新生や酸化的リン酸化酵素活性上昇に伴う酸素需要増大が毛細血管新生を促すことが報告(Suzuki,2001)されている。C/F比もLI群よりHI群で有意に高値を示したため,毛細血管新生に与える影響の違いは,HI群がミトコンドリア新生や酵素活性に与える影響の大きさが反映していると考えられる。また,CSAとタイプ比に有意な差が見られないことやHI群のみ脂肪が減少したことから,HI群では筋力増強効果はないがミトコンドリア内での脂肪酸分解が活性化され,LI群より脂質代謝が活性化したと考えられる。これらの結果から本研究ではLI群よりHI群でミトコンドリア機能が向上し,代謝亢進に効果的であることが示唆された。【理学療法学研究としての意義】骨格筋の代謝活性の増加には低強度,高強度走行運動ともに有力な手段となるが,LT以上がより効果的であり,肥満の改善や予防に有効な手段となり得ることを示した点で意義があると考える。
著者
浮橋 明洋 田中 創 西上 智彦
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.46 Suppl. No.1 (第53回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.H2-23_1, 2019 (Released:2019-08-20)

【背景】変形性関節症(膝OA)において,neglect-like症候群,身体イメージの異常,固有受容感覚の低下などの身体知覚異常が認められることがある.The Fremantle Knee Awareness Questionnaire(FreKAQ)は,膝OA患者における9項目から構成される膝の身体知覚異常の評価であり,一元性,信頼性や再現性が認められている.また,FreKAQスコアは疼痛や能力障害と関係があることが明らかになっている.しかし,どの項目がFreKAQにおける特性を適切に反映しているかは明らかではない.本研究の目的は項目反応理論(Item Response Theory:IRT)を用い,FreKAQの識別力の高い項目を明らかにすることである.【方法】本研究は膝OA患者303例(男性66例,女性237例,69.1±9.9歳)を対象とし,IRTにおける段階反応モデルによって,FreKAQにおける識別力及び項目反応カテゴリ特性曲線を推定した.識別力は0.65以下がlow,0.65-1.34がmoderate,1.35-1.69がhigh,1.7以上がvery highとした.項目反応カテゴリ特性曲線は各カテゴリの反応段階のカーブがピークを表出しているか検討した.統計解析はMplus 8を用いて行った.【結果(考察も含む)】FreKAQのすべての項目においてmoderateからvery highの識別力が認められた.特に項目5(日常生活(家事や仕事など)をしている時に,自分の膝がどのような姿勢になっているか正確に分からない)と,項目6(自分の膝の輪郭を正確にイメージすることができない)は,高い識別力であった(それぞれ2.00,1.70).項目9(私の膝は右側と左側で感じ方が違う(一方が重たく感じたり,太く感じる))の識別力は,他の項目と比較して相対的に低かった(0.83).項目反応カテゴリ特性曲線において,項目5,6については反応段階のカーブがピークを表出しているが,一方で,項目9ではピークを表出されることなく,次の反応段階の確率曲線にとってかわっていた.FreKAQにおいて,特に重要となる項目は5と6であることが認められた.項目5は固有受容感覚の低下,項目6は身体イメージの異常にそれぞれ関与する項目であり,これらの項目の改善を目的とした理学療法がFreKAQスコアを減少し,さらに,疼痛の軽減や能力障害の改善に有効である可能性がある.【倫理的配慮,説明と同意】ヘルシンキ宣言に基づき,すべての対象者には本研究の研究内容,リスク,参加の自由などを十分に説明した上で書面による同意を得た.また,本研究は九州医療整形外科・内科 リハビリテーションクリニック倫理委員会の承認を得た上で実施した.