著者
田中 哲朗
雑誌
ゲームプログラミングワークショップ2002論文集
巻号頁・発行日
vol.2002, no.17, pp.140-142, 2002-11-15

「しりとりゲーム」はしりとりを完全情報化して定義したゲームである.完全情報ゲームなので,使用可能な文字の種類,使用可能な単語の集合と開始文字を決めれば,勝敗は決定可能である.「しりとりゲーム」の勝敗に関してはグラフとして表現した時に勝敗が同じで辺の少ないグラフに簡約する方法,文字の種類をnとしたとき,n=3までは定数時間で勝敗を決定可能であることが分かっているが,nを増やしていったときに,効率的に勝敗を決定するアルゴリズムがあるかは分かっていなかった.本論文では,しりとりゲームの勝敗の決定問題が文字の種類nに対してNP困難であることを示した.これにより,文字の種類によらずに,しりとりゲームの勝敗を効率的に求めるプログラムを書くのが困難であることが分かる.
著者
原口 増穂 牧山 和也 千住 雅博 船津 史郎 長部 雅之 田中 俊郎 橘川 桂三 井手 孝 小森 宗治 福田 博英 森 理比古 村田 育夫 田中 義人 原 耕平 関根 一郎
出版者
The Japan Society of Coloproctology
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.45-49, 1987 (Released:2009-06-05)
参考文献数
11

高アミラーゼ血症を伴ったクローン病の1例を経験した.症例は27歳の男性で上腹部痛を主訴に受診高アミラーゼ血症がみられたため膵炎として治療したが約3カ月にわたって高アミラーゼ値は持続した.アミラーゼ値の正常化後も腹痛が続くためにさらに精査を進め,小腸造影での縦走潰瘍などの典型的な所見と生検によるサルコイド様肉芽腫の証明によりクローン病の確診を得た.高アミラーゼ血症については,ERP,CT,USにて膵炎を疑わせる膵管あるいは膵実質の器質的変化がみられないこと,高アミラーゼ値の持続期間が長いこと,腹痛とアミラーゼ値の相関が乏しいことなどより膵由来のものではないと考えられた.したがって本症例はクローン病に膵炎が合併したものではなく,高アミラーゼ血症を伴ったことについては他の機序,たとえば腸管アミラーゼの関与などが示唆され,興味ある症例と思われ,文献的考察を加え報告した.
著者
松本 憲一 柳澤 宙 田中 九平
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成15年度日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.91, 2003 (Released:2003-09-04)

【目的】そばのスプラウトは「そばもやし」「そば苗」などと呼ばれ、江戸時代の料理書「料理早指南」(1804)にその栽培法が記されているように、以前から利用されていたが、近年健康志向によりそばに含まれるルチンが注目され、そのスプラウトは新野菜として脚光を浴びている。かいわれだいこんと同様にいろいろな料理に幅広く使えることもあって、現在ではさまざまな商品が市販されるようになった。そこで、我々はそのルチン、ケルセチン含量を調べた。また、ダッタンそばのスプラウトとその若葉、宿根ソバの若葉、及びそれらを用いた試作品についても検討した。【方法】試料には、市販品及び試作栽培した普通そばとダッタンそばのスプラウト、ダッタンそばと宿根ソバの若葉、普通そば粉にそれら若葉の乾燥粉末を添加した生麺、乾麺、その他加工品を用いた。ルチン、ケルセチンはメタノール抽出後、HPLCにより測定した。水分は赤外線水分計を用いて測定した。【結果】ルチンは、普通そばスプラウトで約40_から_80mg/100g、ダッタンそばスプラウトで約50_から_280mg/100g 含まれていた。ケルセチンは、普通そばスプラウトにはほとんど含まれておらず、ダッタンそばスプラウトには約20_から_45mg/100g 含まれていた。水分量は、94_から_96%であり、ほとんど差がなかった。宿根ソバ若葉とダッタンそば若葉には同じくらいのルチンが含まれており、茎よりも葉のほうがより多く含有していた。また、それらの乾燥粉末を2%ほど添加すれば、1人前(150g)で1日のルチン所要量を摂取できるそば切りを作製することができた。
著者
田中 秀男
出版者
日本人間性心理学会
雑誌
人間性心理学研究 (ISSN:02894904)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.209-219, 2018-03-31

本研究では、ユージン・ジェンドリンの理論的用語「直接参照(direct reference)」の中核的意味を検討することで、“この感じ”“それ”のようにフェルトセンスの質を表さない言葉を、フェルトセンスの質を表す言葉から区別した。この区別を、『フォーカシング指向心理療法』(Gendlin, 1996)や『フォーカシング入門マニュアル』 (Cornell, 1994) の逐語記録を考察する隊に用いることで、セッションにおける短い沈黙のときにフォーカサーが主に行っている作業と、「ハンドルを見つけ、共鳴させる」作業との違いを明らかにした。この結果、フォーカサーの作業の違いに応じたリスナーのふさわしい応答を理論的に考察した。
著者
北垣 徹 山根 明弘 中馬 充子 川上 具美 田中 友佳子 K.J Schaffner
出版者
西南学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

2017年5月に西南学院大学にて研究会議を開催し、研究代表者である北垣徹が司会を務め、先ず自身が、「労働する生-優生学の政治的無意識」と題する報告を行い、その後、研究分担者、連携研究者、及び、研究協力者が各自の研究計画を発表した。7月には西南学院大学生命倫理研究会分科会「生命倫理の学際的研究」を西南学院大学にて開催し、『日本が優生社会になるまで』(勁草書房, 2015)の著者である横山尊を招聘し、「拙著『日本社会が優生社会になるまで』が生命倫理の学際的研究に為しうることー相模原障害者殺傷事件から1年を踏まえて」と題する講演を行って頂き、研究分担者である中馬充子が討論者として、書評を含みつつ、この講演に対する批評を行った。その後、横山氏と参加者達との白熱した討議が展開された。当分科会には自立生活センター久留米代表の古川克介氏も招待し、障害者の観点からこの講演に対する感想を述べて頂いた。2018年3月には、西南学院大学大学院にて公開シンポジウム「優生保護法下で何が行われたのか」を開催した。立命館大学生存学研究センターの利光惠子氏、福岡合同法律事務所弁護士の久保井摂氏をシンポジストとして招聘し、前者は「戦後日本における障害者への強制的な不妊手術をめぐって」と題する報告を、後者は「優生保護裁判と国家賠償への展望」を題する報告を行った。また、前述の横山尊氏と分科会員である、日本薬科大学元教授、波多江忠彦氏にコメンテーターを務めて頂いた。加えて、前述の中馬充子もシンポジストとして登壇し、「優生思想を支えた戦後の保健科教育」と題する報告を行った。当シンポジウムにはマス・メディアの記者も招待し、熊本日日新聞の4月8日付けの記事でこのシンポの内容が紹介された。
著者
田中 直美 牛膓 昌利 牛膓 真美 坂本 あづさ 稲田 美帆 河原 俊 長谷川 拓馬 持田 美香
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.43 Suppl. No.2 (第51回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0836, 2016 (Released:2016-04-28)

【はじめに,目的】車いす座位姿勢の評価・シーティングを行う際,骨盤を起こし,水平,前後傾中間位とし,その上に胸郭・頸部・頭部が位置すると考えられている。しかし超高齢者は座位保持能力の低下により,骨盤を起こした姿勢では重力に抗することができず,頭部にかかる重力ストレスにより頭部が前下方へ落ちこみ,臀部が前方へ滑りだす姿勢を取ることが多い。骨盤を起こした姿勢が本当に安定した座位姿勢となっているのか疑問に感じる。そこで,シーティングの新しい考え方である,骨盤の後傾をゆるしもたれることで身体の物体的な安定を図る,脳性麻痺児・者を中心とした理論及び技法のキャスパー・アプローチ(以下,CASPER)に基づき,車いすシーティングを実施し,超高齢者への有効性を検討した一症例について報告する。【方法】普通型車いすでの一般的な座位姿勢(以下,非介入)と三角クッションを使用しCASPERを実施した座位姿勢(以下,介入)の二者間で開始座位姿勢,座位保持可能時間(バイタル変動をアンダーソンの基準に基づき終了),姿勢変化の3項目を比較した。対象は98歳認知症女性。コミュニケーション困難。介入当初BIは0点。【結果】開始座位姿勢:非介入;胸郭と仙骨が背もたれと接触し,頭頸部は右前下方へ傾く。介入;胸郭下部,坐骨がクッションと接し胸郭,頭部は一直線上に位置する。座位保持可能時間:非介入;平均3分53秒。介入;平均13分41秒。姿勢変化:非介入;頭頸部は右前下方へ倒れるまたは左情報へ伸展。右回旋は可能だが,左回旋は正中を超えなかった。約3分経過後から頭頸部の右屈曲が強まる。声かけに対して発声により反応するが,検者と視線を合わすことはなかった。介入;頭頸部が自由に全方向へ可動し,正中に戻ることも可能。全方向からの声かけに対して検者と視線を合わせ,言葉で返答することが可能。【結論】非介入で垂直に設定された骨盤は後方へ倒れようと不安定で,背もたれが上部胸郭と仙骨の倒れを固定する。上方の頭頸部は重力により前下方へ落ち込む。そのため臀部を前方へずらすことで頭頸部の落ち込みを回避していると考えられる。この座位姿勢では頭頸部の落ち込み回避のために筋力が必要であり,頸部回旋の自由度を減少させると考える。介入では,骨盤を後傾位に設定するが,坐骨を座面に設置した三角クッションに乗せることで臀部の前方への滑りを固定した。また,後方へ倒れる胸郭の重みを背もたれに設置した三角クッションで受けることで胸郭から下方が安定し,上方の頭頸部の支持性が向上したと考えられる。そのため,座位保持に必要な筋力が減少し,楽に座ることができた。また,声かけなどの刺激に対して,多様な反応を示すことができたと考える。今後,対象者数を増大,評価項目を検討し,高齢者に対する座位保持理論を系統化していきたい。
著者
和井田 節子 小泉 晋一 田中 卓也 Setsuko Waida Koizumi Shinichi Tanaka Takuya
巻号頁・発行日
vol.14, pp.193-216, 2016-03-31

共栄大学教育学部では、2 年次必修演習科目「教育学基礎演習」(半期・1 単位)の中で「知的思考力」と、協同的に問題解決をする「社会的能力」の育成を目的に、教育政策的なテーマで、チームによるディベートを行っている。本研究では、2015 年の授業記録とアンケート結果から、ディベート学習の教育的効果と課題を検討した。その結果、「知的思考力」の向上は認められたが、「社会的能力」に関しては有意な効果は認められなかった。しかし、説得力のあるディベートができたチームには、協同的に準備ができたという感想を持つ傾向があり、チームワークのスキルを学ばせる必要も示唆された。
著者
淺間 一 田中 宏和 井澤 淳 近藤 敏之 矢野 史朗
出版者
東京大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2014-07-10

四肢の欠損した患者や統合失調症の患者は,自分の身体への所有感が低下することや自分の運動に対して主体感が持てなくなり,健常者と比べて脳内身体表現が変容していることが知られている.本年度はこの身体所有感や運動主体感が脳内身体表現の変容に対してどのように影響を与えるのか定量的に評価し,数理モデルの構築を行った.具体的には,健常者に対してラバーバンド錯覚という現象を起こした上で,身体所有感と運動主体感がそれぞれ感じられない条件で,脳内身体表現がどのように変化するか調べた.その結果,被験者が能動的に動くことで,運動主体感は増し,ラバーバンド錯覚で呈示する腕の映像が実際のものと異なる時には,身体所有感が低下することがわかった.次に脳内身体表現の変容に対して,身体所有感と運動主体感が与える影響を定量的にモデル化した結果,対象とする被験者の数回の試行データを用いることで,変容がどの程度進むかを推定することができるようになった.またこのような知見を実際のリハビリテーションに応用可能なプラットフォームとして,バーチャルリアリティ環境の運動介入システムの実装を行った.これは使用者の腕の運動と筋活動を計測し,それをリアルタイムで使用者にフィードバックするシステムである.このシステムを使うことで,実際に使用者が行っている運動とは異なる結果を返したり,あえて運動を過剰に表示することで,運動を誘導することができることが分かった.
著者
菱沼 光恵 田中 陽子 矢口 学 桒原 紀子 野本 たかと
出版者
一般社団法人 日本障害者歯科学会
雑誌
日本障害者歯科学会雑誌 (ISSN:09131663)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.605-615, 2015 (Released:2016-02-29)
参考文献数
73

口腔常在菌が口腔疾患だけでなく全身疾患の誘発に深く関与することが明らかにされてきている.障害児者や高齢者にとって,Porphyromonas gingivalis (P. gingivalis)を含む口腔常在菌を起因として,口腔機能や免疫機能の低下が相まった際に誘発される誤嚥性肺炎は,きわめて重篤な疾患となる.糖非分解性細菌であるP. gingivalisによってエネルギー獲得のために産生されたプロテアーゼは,タンパク質の代謝のみならず病原性にも関与しているとされている.P. gingivalisのゲノム解析が行われ,菌株の間で頻繁なゲノム再構成が起こっていることが明らかにされ,最近の研究でP. gingivalisのもつ線毛の遺伝子型(fimA)によってIからV型に分類した場合,fimA II型が進行性の歯周病患者に多いことが報告されている.また,P. gingivalisの産生するAminoacyl-histidine dipeptidase (PepD)はfimA II型に多く発現するプロテアーゼであることが明らかにされている.しかしながら,PepDに焦点をあてた報告はほとんどない.そこでわれわれはfimA II型P. gingivalisのPepDに着目し,気管上皮細胞に対する為害性について検索した.さらに将来的な新規分子標的治療薬開発の足掛かりとして,PepDを標的とした阻害剤についても,fimA I型P. gingivalisの増殖抑制効果が報告されているベスタチンを中心に検討を加えた.その結果,PepDは菌自身の生存に関与するだけでなく生体為害作用をもつことが明らかにされた.さらに,PepDがベスタチンの標的酵素であることが示唆され,P. gingivalisによって誘発される慢性炎症への新規治療薬としての可能性があることが考えられた.
著者
田中 政信 中島 寿亀 森 欣也
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.72, no.6, pp.551-556, 2003-11-15 (Released:2008-01-31)
参考文献数
14
被引用文献数
3 4

日本在来のサトイモ14品種群,37品種を供試して,葉柄内のシュウ酸カルシウム結晶細胞の密度および大きさを調査し,以下の結果を得た.供試したすべての品種の葉柄中には防御的束晶細胞および非防御的束晶細胞の2タイプの束晶細胞が観察された.品種群の間で束晶細胞の密度に差異が認められた.また,いくつかの品種群の間では束晶細胞の密度や形状は類似していた.各品種群内における品種間の束晶細胞密度の差異は,一部の品種群以外は認められなかった.いずれの品種も集晶細胞密度は束晶細胞密度より高く,品種群内におけるそれぞれの細胞密度の差もかなり大きかった.14品種群は葉柄の束晶細胞密度により2グループに分類された.低密度グループには,みがしき群,溝芋群,薑芋群,唐芋群,八ツ頭群,蓮芋群,えぐ芋群および赤芽芋幹の8群が区分され,高密度グループには黒軸群,蓮菊芋群,石川早生群,土垂群,筍芋群および檳榔芯群の6群が区分された.葉柄用および芋・葉柄兼用品種群の葉柄内の束晶細胞密度は,芋用品種群のそれより低かった.また,葉柄用品種群の束晶細胞の大きさは比較的小さかった.以上の結果から,束晶細胞の密度および大きさは,サトイモ葉柄用品種の育種において"えぐ味"が少ない個体を選抜するための指標として利用することが可能と考えられる.
著者
田中 尚人 二村 春香 秋山 孝正
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.407-415, 2006-09-30 (Released:2010-06-04)
参考文献数
13

本論文は, 水辺を基盤として発展してきた都市形成におけるコミュニティの成立構造, 変化のプロセスについて考察し, 水辺のインフラストラクチャーとコミュニティのあり方について考察したものである.具体的には, 岐阜市中心部長良橋周辺を対象として, 文献資料から都市基盤整備の概要を把握, 特に水防と水辺利用の要として整備されてきた陸閘に着目し現地調査を行った.さらにヒアリング調査により, コミュニティの変遷と現況を整理し, 水辺に対する意識や工夫, ルールを抽出した.本論文の成果として, 水辺のコミュニティが自ら継承してきた水防システムを保持している場合適切な水辺利用が可能となり, 水防と水辺利用のバランスを保つシステムの運用には, 地域住民のインフラストラクチャーに対する理解が重要な要素となることが明らかとなった.
著者
田中 伸樹
出版者
桃山学院大学
雑誌
桃山学院大学経済経営論集 = ST.ANDREW'S UNIVERSITY ECONOMIC AND BUSINESS REVIEW (ISSN:02869721)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.73-88, 2017-10-06

The principal aim of this study was to clarify the rationale of guaranteeof free speech and to examine a range of the guarantee in public libraries.Understanding the relationship between public libraries and free speechhelps to solve the subject. In conclusion, the present study suggested thatthe relationship between public libraries and free speech depends on thenature of object.The public forum doctrine, developed as a framework for protectedagainst government suppression on expression in the United States, can beapplied to public libraries. If we consider public library as (limited) publicforum, library patrons’ freedom of expression is guaranteed, but guaranteeis limited to this range. The reason is that the library cannot directlyguarantee the authors’ free speech due to materials selection.Approach focusing on professional duty is useful when consideringguarantee of author’s free speech. In this approach, the freedom ofexpression is interpreted as comprised in professional duty, therefore,librarians’ autonomy and control will be realized.
著者
田中 琢三 高橋 愛 中村 翠 福田 美雪
出版者
お茶の水女子大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2016-04-01

平成29年度は前年度に引き続きエミール・ゾラの作品におけるモニュメントの表象の分析を行うとともに、ゾラ以外の作家とモニュメントの関係について検討した。研究分担者の高橋は、パリのヴァンドーム広場にあるナポレオン円柱に着目し、ゾラの『ルーゴン・マッカール叢書』の小説、具体的には『獲物の分け前』『居酒屋』『壊滅』『愛の一ページ』における登場人物たちと、ナポレオン伝説のモニュメントといえるこの円柱との関わりに注目して、ナポレオン円柱に対する作中人物の多様な視線の意味を政治的、社会的な観点から検討し、その成果を学術雑誌に論文として発表した。そして平成29年10月29日に名古屋大学東山キャンパスで開催された日本フランス語フランス文学会2017年度秋季大会において、北海道大学准教授の竹内修一氏をコーディネーター、研究代表者の田中と研究分担者の福田をパネリストするワークショップ「パンテオンと作家たち」を実施した。このワークショップでは、第三共和政以降にパリを代表するモニュメントのひとつであるパンテオンで行われる国葬、つまりパンテオン葬を取り上げ、田中がヴィクトル・ユゴーの、福田がゾラの、竹内氏がアンドレ・マルローとアレクサンドル・デュマのパンテオン葬について報告した。これらのパンテオン葬の検討によって、フランスという国家と文学が取り結ぶ関係の変遷について明らかにした。その成果を踏まえたうえで、田中と福田はそれぞれ異なった視点からゾラのパンテオン葬を検討した論文を学術雑誌に発表した。
著者
石井 僚 村山 航 福住 紀明 石川 信一 大谷 和大 榊 美知子 鈴木 高志 田中 あゆみ
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
pp.90.18233, (Released:2019-11-15)
参考文献数
66
被引用文献数
2

The study described here developed a short surrogate index for the children’s socioeconomic status (SES) using house possessions and investigated its validity. In Study 1, 192 pairs of parents and their middle school-aged children participated in a questionnaire survey. Based on the results, three items regarding possessions at home were selected for the short surrogate index out of the 17 items used in the Programme for International Student Assessment. Furthermore, the short surrogate index for the children’s SES was related to family income, parents’ academic background, and hierarchy consciousness. In addition, it was found to have good test-retest reliability, thereby demonstrating its validity. To confirm that the item selection and validity in Study 1 did not involve sampling error, Study 2 investigated the reproducibility of validity with a different sample. One hundred ninetyfive pairs of parents and their middle school-based children responded to the questionnaire, and the results redemonstrated the index’s validity. Studies in different disciplines using the short surrogate index can be conducted because SES can be both the main and confounding variable.