著者
小池 伸定 鈴木 修司 今里 雅之 田中 精一 林 恒男 鈴木 衛 羽生 富士夫 山本 雅一
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.35, no.5, pp.512-516, 2002-05-01
被引用文献数
8

症例は56歳の男性.1991年肝細胞癌の診断で7月肝外側切除術を施行.切除標本は4×3cmの単結節型で,病理組織学的所見は硬化型肝細胞癌,EdI+II,IV,fc(-),sf(-),vp0,vv0,b1,tw(-),im1,z1であった.1996年より外来経過観察中,血清AFPの上昇を認め,2000年4月腹部CT検査で左胃動脈幹に約5cmのリンパ節腫大あり,血管造影で左胃動脈より腫瘍濃染像を認め,残肝再発なく,肝細胞癌の腹腔内リンパ節転移の診断で,2000年7月リンパ節摘出術を施行した.硬化型細胞癌で肝切除後9年を経過して,残肝再発なく孤立性にリンパ節再発をきたし,これを切除しえた1例を経験した.
著者
草原 和博 棚橋 健治 溝口 和宏 桑原 敏典 鴛原 進 橋本 康弘 山田 秀和 渡部 竜也 藤本 将人 田中 伸 田口 紘子 後藤 賢次郎 小川 正人 川口 広美
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究では,社会科教育研究の日米比較を通して,それぞれの学界で確立されてきた研究方法論を抽出し,再構成することで,国際的な研究交流にたえうる「研究法ハンドブック」を開発しようとした。米国の研究者を招いたシンポジウムでの討論と聞き取り調査,ならびに文献調査を踏まえて,効果が期待される以下3つの方法論を導出し,論文作成の手続きを定式化することができた。(1)規範的・原理的な提言(2)実験的・実践的な開発(3)実証的・経験的な研究。
著者
古澤 文江 中村 健治 田中 広樹
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010-04-01

熱帯降雨観測衛星TRMMにはマイクロ波帯を使う降雨レーダPRが初めて搭載され、直接降水を観測することにより、精度の高い24時間毎の降水特性の空間分布を導出することが可能となった。1997年11月に打ち上げられ2015年4月に観測を終えるまでの長期データが蓄積されたので、降水特性と地表面特性の長期変動(トレンド)のTRMM観測領域全域の分布を捉えることができた。地方時刻毎に月毎に長期グリッドデータを作成し、降水量、強度、頻度、強い降水、対流性降水と層状性降水の割合、降雨頂高度、雪が雨に変わる融解層高度、晴天時の地表面射出率などの変動を調べ、地表面状態の変化と降水特性の変動の相関を明らかにした。
著者
徳岡 聖二 田中 美栄子
雑誌
情報処理学会論文誌数理モデル化と応用(TOM) (ISSN:18827780)
巻号頁・発行日
vol.48, no.SIG19(TOM19), pp.68-74, 2007-12-15

株価の日中変動を記録したtickデータが研究資料として手に入るようになってまだ日が浅いが,日次変動とは異なる様相を示すことが様々な分野の研究者の興味を惹きつけ,精力的な数値解析が行われてきた結果,株価は完全なランダムウオークではなく,数分以下の短期価格変動には強い相関が存在することが明らかになってきた.このことは数分先の株価が上昇するか下降するかを科学的手法に依拠して予言できることを示唆している,そこで本論文では,過去の価格情報から抽出した様々な知識を活用しながらそのときどきの価格パターンに即した戦略的意思決定を自動生成するシステムを設計することを試みた.価格情報としては,時系列そのもののほかに,過去の平均価格や長期・短期移動平均との比較等,テクニカル分析において用いられる複数の指標を同時に利用しつつ,進化計算により過去の価格変動のパターンを学習することによって10-tick先,すなわち数秒から数分後の価格の上昇/下降を予測するシステムを作成し,それを用いて過去の実データにより予測を行った結果,IBM株で80%以上,8銘柄の平均で65%という予測的中率を得た.これにより,tick価格が少なくとも10-tick先までの記憶を有すること,および上記の方法により価格変動のトレンドを自動予測するシステムが機能することが実証された.
著者
吉村 真 清水 雅夫 田中 正行 奥富 正敏
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.1, pp.169-176, 2007-01-12

時系列画像を用いた画像処理には,安定で高精度な画像レジストレーションを必要とするものが多い.このような画像レジストレーションでは,多くの場合,アフィン変換や射影変換などの,比較的自由度が低いモーションモデルが採用されてきた.しかし,このようなモーションモデルでは正確に表現できないような変形をする撮影対象もある.本論文では,画像上に多数配置した制御点の移動をパラメータとする,B-Spline画像変形を用いた画像間レジストレーション手法を検討する.従来,このような非剛体レジストレーションでは,画像の輝度勾配を用いた勾配法によってモーションパラメータを求めていたが,テクスチャが少なく輝度勾配が小さい領域では勾配法が安定に収束しない問題があった.そこで,輝度勾配に応じて変化する安定化項をコスト関数に導入し,画像によらず高精度でしかも安定にモーションパラメータを推定できるようにした.非剛体変形する対象の例として,望遠レンズで遠方の対象を撮影するときに生じる大気揺らぎ(かげろう)と,水面を通して水中物体を撮影するときに生じる揺らぎを取り上げる.これらの揺らぎは,観測時間を十分に長く取れば平均位置に対して対称になる.そこで,このような揺らぎを含む時系列画像を時間方向に平均化することで,空間的にぼやける代わりに揺らぎを除去できる.この平均化画像に対して各入力画像を非剛体レジストレーションすることで,入力時系列画像から揺らぎを除去することができる.揺らぎを含む実画像を利用した実験を行い,効果を確認した.A stable and highly accurate image registration technique is required for sequential image processing. Affine and projective transforms are often used for motion models of the image registration, but some objects cannot be modeled with the motion models using such a limited number of parameters. In this paper we discuss a non-rigid registration that utilizes a B-Spline image transformation with a parameter-set of the control vertex positions. The parameter-set can be estimated using a gradient-based parameter optimization method. The optimization method is, however, sometimes unstable at texture-less regions with image noise. We have introduced a stabilization term that varies with the magnitude of image gradient to the cost function, which allows estimating a stable and accurate parameter-set even if the image has a weak texture.In the experiments, we have applied the stable non-rigid registration technique to eliminate two types of fluctuations in image sequences; an atmospheric fluctuation and a fluctuation through a watter surface. A deformation-eliminated reference image is obtained by averaging image frames in the sequence, and then each frame is non-rigidly registered to the reference image. The experimental results demonstrate the stability and accuracy of the proposed non-rigid image registration technique.
著者
加藤 行夫 田中 一隆 山下 孝子 英 知明 佐野 隆弥 辻 照彦 勝山 貴之 石橋 敬太郎 杉浦 裕子 真部 多真記 西原 幹子 松田 幸子 本山 哲人 岡本 靖正
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本研究では、主として英国初期近代(エリザベス朝およびジェイムズ朝)の演劇作品および当時の役者・劇団・劇場の総合研究を「歴史実証主義的立場」から新たに検証し直す作業を行なった。とくに「デジタルアーカイヴズ」を多用して、定説と考えられてきた既存の概念・理論を、現存する公文書や有力な歴史的基礎資料を根幹とした「検証可能な方法」で再検討し直すことを最大の特徴とした。この研究手法により、当時の劇作家、幹部俳優、劇場所有者、印刷出版業者等をはじめとした「演劇世界全般の相関的ネットワーク構築」の特徴的なありようを、演劇理論や劇作家と劇団研究、個々の劇作品とその出版等を通して追究した。
著者
田中 文憲
出版者
奈良大学
雑誌
奈良大学紀要 (ISSN:03892204)
巻号頁・発行日
no.37, pp.1-20, 2009-03

スイスは九州ぐらいの面積しかない小国であるが、1人当りGDPでは世界トップクラスの豊かな国である。スイスが豊かになった要因は19世紀の経済発展にあるが、その経済発展を支える重要な役割を果したのが、クレディ・スイスを始めとする銀行である。 本稿では、なぜクレディ・スイスのような銀行が誕生したのか、またクレディ・スイスはどのようにして生き残ったか、さらにクレディ・スイスを中心とする銀行がどのようにスイス経済の発展に貢献したのかについて分析を試みた。 その結果、クレディ・スイスが必要とされた最大の要因は鉄道建設に伴う巨大な資金調達にあったこと、また鉄道建設やクレディ・スイス設立などの動きの中心にアルフレート・エッシャーという傑物がいたことがわかった。また、クレディ・スイスが生き残った理由がベンチャー・キャピタル型銀行からユニバーサル銀行への機敏な転換にあったこと、その結果、産業界に「総合的」(ユニバーサル)に関与することができスイス経済の発展に大きく貢献したこともわかった。さらにスイスという「条件」をうまく利用して「金融王国」スイスの礎を築いたことも明らかになった。
著者
中田 喜文 藤本 哲史 三好 博昭 川口 章 安川 文朗 田中 幸子 宮崎 悟
出版者
同志社大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

日本の医療人材の現状を、労働市場における状況、医療施設における状況に分けて分析した。医療人材の労働市場においては、労働市場としての需要と供給のミスマッチの回復機能は、賃金水準に対し需給状況が限定的な影響を与えているとの結果が得られた。同時に日本の医療制度の持つ、様々な医療施設のマネジメントに対する影響を通した間接的な影響の存在も確認できた。このことは日本の医療政策の近年の変化が、個別医療施設のマネジメントの有り様に影響を与えることを通して、一義的にはその組織内の労働条件に影響を与え、さらには間接的に医療人材の労働市場にも影響を与えることが分かった。
著者
田中 孝彦
出版者
一橋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

本研究では、科学研究費補助金によって購入および入手が可能になった米国国務省資料に加え、英国外務省および原子力開発庁の機密資料、さらには日本外務省によって部分的にではあるが公開された資料に基づいて、日本政府が核兵器に対しどのような態度をとっていたかについての実証史研究を試みた。本研究で得られた知見は、大きく以下の三点である。(1)岸政権の核実験反対および原子力関連政策は、岸信介の「独立の完成」というナショナリスティックな政策目的のもとに収斂する形で展開していたのであり、核実験反対政策は国内ナショナリズムの動員と吸収のため、そして、国力増進のために小型の戦術核兵器の保有への道をオープンにするという形で、岸のナショナリズムの中では整合性をもって構想されていたといえる。(2)さらに岸政権の核実験反対政策は内実を著しく欠いたものであった。米英への実験実施に対する抗議書は、それが手交される際外務省の上級スタッフによっては、それが国内向けのものであるとの説明がつけられ、時には、外務省内には核兵器保有論者が少なくないことを知らしめるような発言が、米英当局側にむけてなされたりした。これらを一つの原因として、この当時の日本政府および市民による反核実験運動や政策は、Genuineなものではないとの認識を米英政府関係者に植え付けることになったといえる。(3)岸政権においては、日英原子力協定において、民軍両用のCalder Hall型原子炉の日本による購入が決定したが、これは、米国に対する過剰な依存を避けるとともに、プルトニウムを蓄積し将来的に独自の核兵器保有(戦術核)のオプションをオープンにしておくための努力としての意味もあったと考えられる。このような知見に基づき、2002年7月に国内研究会において研究報告を行った。2003年には英国に国際交流基金の助成によって一年間の在外研究を行い、同年12月にはUniversity of London, Institute of Historican Research, International History Seminarにて口頭報告を行った。
著者
Bond Francis 藤田 早苗 橋本 力 笠原 要 成山 重子 Nichols Eric 大谷 朗 田中 貴秋 天野 成昭
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告自然言語処理(NL) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.1, pp.83-90, 2004-01-13
被引用文献数
1

本稿では、基本語彙知識ベース構築の一環として構築した、ツリーバンク「檜」を紹介する。「檜」は、HPSGで書かれた日本語文法JaCYに基づいて辞書の語義文を解析したものであり、詳細な統語情報と意味情報の両方が付与されている。本稿では、「檜」構築の目的や理論的基盤などについて述べる。 また、「檜」の有効性を示す一例として、知識獲得の予備実験を行なった結果について報告する。In this paper we present the motivation for the construction of the Hinoki treebank. It is a rich and dynamic treebank of dictionary definition sentences parsed using a Japanese HPSG. We show how the treebank is being used to build an ontology, and outline plans for further work.
著者
東 司 田中 泰彦 石黒 徹
出版者
社団法人日本鉄鋼協会
雑誌
鐵と鋼 : 日本鐡鋼協會々誌 (ISSN:00211575)
巻号頁・発行日
vol.76, no.5, pp.783-790, 1990-05-01

Grain refining behavior during austenitizing of 3.5%Ni-Cr-Mo-V turbine rotor shaft steel was investigated. Special attention was paid on the effect of Ni content and role of fine carbide precipitates on the austenite transformation and migration of the acicular austenite grain boundary. The microscopic observation of grain refining behavior reveals the following results. (1) The grain refining of 3.5%Ni-Cr-Mo-V steels during austenitizing occurs through two stages. The first stage is austenite transformation which γ-phases succeed to the acicular bainitic ferrite structure. The second stage is the formation of equiaxed grain at higher temperatures by the migration of grain boundary of the acicular austenite. (2) Driving force of the grain boundary migration in the second stage is considered to be the high density defects in the acicular austenite. (3) Increase of Ni content stabilize the acicular γ-phases up to higher temperatures. This decreases the formation of equiaxed grain due to the migration of acicular austenite grain boundary. (4) Increase of V content makes the grain refining difficult because the fine carbide precipitate such as VC works as a barrier against the grain boundary migration required for the formation of equiaxed grain.
著者
五福 明夫 関 裕士 田中 豊
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学會論文集. C編 (ISSN:03875024)
巻号頁・発行日
vol.65, no.632, pp.1544-1549, 1999-04-25
被引用文献数
4

This study investigates a computer support system applying functional modeling techniques for the conceptual design phase of engineering systems. The previous paper proposed a systematic representation of design information from the viewpoints of goals, functions, and structure. This paper describes a support system of component assignment to functions by effectively using past design cases, where two case retrieval techniques are proposed. The one called "function flow simplification matching" simplifies the function flow of a case and compares it with the function flow specified by the designer. This matching technique realizes flexible case retrieval. The other is the utilization of ordinal component hierarchy data abstracted from past similar plant designs. The data is used to go into the details of design structure step by step. The feasibility of the component assignment technique is investigated by some design trials of a fluidized refuse incineration plant.