著者
今釜 崇 田中 浩 徳重 厚典 伊達 亮 田口 敏彦
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.204-207, 2012-03-25 (Released:2012-06-26)
参考文献数
11

関節リウマチに対しインフリキシマブ(IFX)投与により臨床的寛解が得られ,投与を中止した症例の経過,特徴を検討した.IFX投与を行った93例中,DAS28の基準で寛解が6カ月以上維持され,患者の同意を得てIFX投与を中止し,1年以上経過観察を行った6例を対象とした.Bio free remissionを1年以上維持できた症例は3例で,3年以上の長期寛解例2例はいずれもSteinbrocker stage II,罹病期間も比較的短い症例で,IFX投与1回目から寛解を獲得していた.またIFX中止前に,Booleanの寛解基準を6カ月以上満たしていたものもこの2例のみであった.長期にBio free remisionを継続する要因として,発症早期で,骨破壊の進行がなく,DASよりも厳格なBooleanの寛解基準を満たすIFXの著効例であることが示唆された.
著者
金子 克美 加納 博文 東郷 秀雄 小西 健久 大場 友則 田中 秀樹 石井 千明
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2003

単層カーボンナノチューブ(SWCNT)、単層カーボンナノホーン(SWCNH)、ナノ細孔性配位高分子(MOF)の壁の柔らかさの特徴とそれら物質のナノ構造へのクリーンエネルギー貯蔵について研究した。上記物質以外のナノ細孔性カーボンも含めて超臨界水素吸着性を総合すると、室温での吸着量は1wt.%以下であるが、77K程度になると10wt.%程度のナノ構造炭素があること、吸着水素の密度は20Kでの液体水素密度に近いものもあることを明らかにした。硝酸と硫酸の混酸処理によりSWCNTのバンドル構造を制御すると0.7nm以下のウルトラミクロ孔が増え、水素吸着量がほぼ2倍にまで増加することを見出した。SWCNTについてはアルコールを吸着すると、チューブの同心方向の振動(RBM)が大きな影響をうけラマンバンドが高波数側にずれること、分子吸着がその振動に与える圧力効果は約1万気圧相当であることを発見した。モデルケースとして窒素分子の場合にナノスケールの曲率の符号が単分子層吸着構造にどのような影響を与えるかを検討し、曲率が負である内側チューブ表面上の窒素単分子層は、曲率が正である外側チューブ上の単分子層よりも長距離秩序性が優れていることを明らかにした。SWCNHのナノ細孔が電荷貯蔵能力に優れており、構造制御の仕方によってはスパーキャパシターとして有望であることが分かった。また、水素と重水素は古典的には同じ大きさであるが、分子量が小さいために低温では量子的振る舞いにより、重い重水素のほうが小さくなる。このために、40K程度では重水素の吸着量が5倍程度大きくなるMOFを見出し、その理論的根拠も示した。MOFについて2段階ゲート吸着を示す化合物を発見した。
著者
田中 秀臣 中村 宗悦
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
日本研究
巻号頁・発行日
vol.21, pp.171-186, 2000-03-30

本論文の目的は、戦時下の生活雑誌――月刊『時局月報』『国防国民』の意義を検討することにある。戦時下の日本では「生活雑誌」という言葉は、家事のための雑誌ではなく、政治経済雑誌を意味していた。『時局月報』とそれが名称変更した『国防国民』の両雑誌は、長谷川国雄(一九〇一―八〇)が編集し発行したものである。長谷川は、一九二九年から三六年にかけて、経済雑誌『サラリーマン』を発行していた。『サラリーマン』の独自性は、新中間階級の読者に対する経済知識の啓蒙にあった。『サラリーマン』は、官憲による不法な弾圧によって休刊を余儀なくされてしまった。しかし、『時局月報』と『国防国民』は、『サラリーマン』の直接の後継誌として、同じ編集方針を継承するものであった。さらに、両誌は、統制経済の観点から、人的資源と物的資源の再配置と改善を提唱するものだった。
著者
旭 直人 山本 岳洋 中村 聡史 田中 克己
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告データベースシステム(DBS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.4, pp.1-8, 2009-11-13

本論文では,ユーザが入力した 2 つのオブジェクトの間にあたるオブジェクトを発見する手法を提案する.例えば,桶狭間の戦いと本能寺の変の間に起こった出来事を知りたい,2 つの知っている本の中間の難易度を持つ本を発見したい,といったような状況は良くある.しかし,従来の検索エンジンでは,こうしたオブジェクトを発見することは難しい.そこで本研究では,2 つの入力の間に位置するようなオブジェクト (補間オブジェクト) を発見するシステムについて述べる.また,検索エンジンを利用し,語の出現位置に注目することで補間オブジェクトを自動的に発見する手法を提案する.最後に,評価実験により提案手法の有用性を示す.We propose a method for finding intermediate objects between two objects that a user inputs. For example, there are many situations such that he/she wants to know an event between "the Battle of Okehazama" and "Honnoji Incident", or that he/she wants to find a book that has intermediate level between two books he/she knows. However, it is difficult to find such intermediate objects by conventional search engines. First, we describe a system that find intermediate objects between two inputs. Second, we propose find intemediate objects automatically using positions of words. Finally, we show the results of our experiments and evaluate the effectiveness of our method.
著者
伊藤 博明 田中 純 加藤 哲弘 木村 三郎 上村 清雄 足達 薫
出版者
埼玉大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

ヴァールブルクが晩年に取り組んだ、未完の学問的プロジェクトである『ムネモシュネ・アトラス』に所蔵された全パネルについて共同して詳しく読み解き、その成果は図書として刊行するとともに、2回のシンポジウム「アビ・ヴァールブルクの宇宙」と「ムネモシュネ・アトラス展」において公表した。ヴァールブルクの研究を批判的に受け継ぎ、文化系統学、イメージ人類学、神話の構造分析、世俗世界のイコノロジーなどについて方法論的考察を深め、その成果は7名の外国人研究者を含んだ国際シンポジウム「思考手段と文化形象としてのイメージ――アビ・ヴァールブルクから技術的イメージ・図像行為まで――」において発表した。
著者
三宅 亜希子 小沼 聖治 佐藤 光市 杉本 浩章 小松尾 京子 田中 和彦
出版者
日本福祉大学
雑誌
日本福祉大学社会福祉論集 (ISSN:1345174X)
巻号頁・発行日
no.129, pp.107-123, 2013-09-30

本研究は, 相談援助実習の巡回指導における実習教育スーパービジョンの内容とその課題を明らかにすることを目的としている. 巡回指導における複数回の実習教育スーパービジョンにおいて, それぞれの回で取り上げるべき実習教育スーパービジョン項目があることを仮説とし, 各回の実習教育スーパービジョンの項目を明らかにするための調査を行った. 分析方法は, 新カリキュラム初年度に本学通信教育課程の教員が作成した 『巡回指導ガイドライン』 の分類枠組みを作業仮説とした逐語データの分析である.その結果, (1)それぞれの回の巡回指導を構成する実習教育スーパービジョン項目の位置づけ, (2)実習生の語りから実習教育スーパービジョンの手がかりを得ることの有用性, (3)実習教育スーパービジョンにおける 「実習記録」 活用の有用性が明らかになった.
著者
吉川 茂樹 北 裕幸 田中 英一 長谷川 淳
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌B(電力・エネルギー部門誌) (ISSN:03854213)
巻号頁・発行日
vol.125, no.12, pp.1137-1145, 2005 (Released:2006-03-01)
参考文献数
23
被引用文献数
3 2 4

The authors have proposed the Flexible, Reliable and Intelligent ENergy Delivery System (FRIENDS) as a concept of future electric power systems. The concept of FRIENDS takes into account the deregulation of the electric power industry and progress of technologies such as power electronics, distributed generators (DG), distributed energy storage systems (ESS), information and communication. One of the most important characteristics of FRIENDS is that new facilities called Quality Control Centers (QCC) are installed between distribution systems and electric consumers.This paper presents a methodology for DSM based on a real-time pricing system through the information and communication network in FRIENDS. The economic use of DG and ESS in QCC is also considered in the proposed DSM. The sigmoid logistic function is used for modeling the real-time pricing system and a couple of parameters in the function are optimized by the Genetic Algorithm so that the profit of QCC is maximized. The effectiveness of the proposed DSM is ascertained by evaluating the profit or the load factor of QCC through simulations using model systems.
著者
小山 寛介 布宮 伸 和田 政彦 三澤 和秀 田中 進一郎 鯉沼 俊貴
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.163-172, 2010-04-01 (Released:2010-10-30)
参考文献数
46

【目的】下部消化管穿孔の合併症と予後の調査,及び重症化の危険因子に関する検討を行う。【方法】2006年4月から2008年3月までの2年間に,下部消化管穿孔に対する緊急手術後ICU管理を行った50例を対象とした。術後急性期の臓器障害の合併頻度と28日死亡率を後向きに調査した。また重症化の危険因子解明のため,ICU-free days(IFD)をエンドポイントとしてSpearman順位相関分析と多重ロジスティック回帰解析を行った。【結果】下部消化管穿孔術後急性期の臓器障害はショック(40%)が最も多く,次いで播種性血管内凝固(24%)の合併頻度が多かった。また,28日死亡率は6.0%であった。重症化の危険因子としては,Sequential Organ Failure Assessment(SOFA)スコア(オッズ比1.85,P=0.025)と血中の白血球減少(オッズ比20.6,P=0.016)が有意にIFDを減少させる独立危険因子であった。【結論】下部消化管穿孔術後急性期はショックと凝固障害の合併が多い。ICU入室時のSOFAスコア,血中の白血球減少が下部消化管穿孔の重症化に関係することが示唆された。
著者
高須 深雪 田中 信弘 坂井 晃 粟井 和夫
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

多発性骨髄腫と対照間で骨梁幅、骨異方性度、フラクタル次元に有意差を検出した。胃切除後症例と対照間、および肝動脈塞栓療法除後症例と対照間で続発性骨粗鬆症有病率、骨梁パラメータおよび有限要素解析による破壊荷重、スティフネスに有意差を検出した。横断的検討では多発性骨髄腫骨折群と非骨折群間で、骨梁パラメータおよび機械特性に有意差を検出した。平成23年度よりcalibration phantomを用い、CTによる体積骨密度および組織骨密度で評価している。上述の各検討において組織骨密度に有意差を検出している。
著者
杉田 正樹 竹内 整一 加藤 尚武 沖田 行司 香川 知晶 篠澤 和久 直江 清隆 菅野 孝彦 小山 嚴也 加藤 泰史 井上 厚史 田中 智彦 九鬼 一人
出版者
関東学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

明治以降、今日にいたる日本の起業家たち、具体的には、渋澤栄一、大原孫三郎、武藤山治、波多野鶴吉、から、現代の稲盛和夫(京セラ)、中村俊郎(中村ブレイス)、大山健太郎(アイリスオーヤマ)、小倉昌男(ヤマト運輸)、大山康夫(日本理科学工業)などについて、インタビューなどを含めて、かれらの公益志向を作り出した、気概、精神、背景にある倫理思想を明らかにした。これは、伝統思想である、儒教や神道、仏教に解消できない、独自の思想であることがあきらかとなった。
著者
葉 清泉 田中 博志 有松 直 浜井 潤二 北園 正大 西田 敬 西村 治夫 有馬 昭夫 薬師寺 道明 加藤 俊 石田 禮載 天神 美夫
出版者
社団法人日本産科婦人科学会
雑誌
日本産科婦人科學會雜誌 (ISSN:03009165)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.549-556, 1984-04-01
被引用文献数
1

上皮内癌,Ia期癌およびIb期癌のコルポスコピー所見を詳細に分析し,更に点数評価による組織推定診断を試みたところ次の結論を得た.1.コルポスコピー点数1〜10点を上皮内癌,11〜18点をIa期癌および19点以上をIb期癌とし,点数評価による組織推定診断を試みたところ上皮内癌66.7%,Ia期癌59.4%およびIb期癌76.5%の正診率であった.2.上皮内癌のコルポスコピー所見は腺口を有する白色上皮とそれに伴なう葬薄な白色上皮.赤点斑およびモザイクが特徴的で,白色上皮単独で出現することが多かった.3.Ia期癌のコルポスコピー所見は異型血管,不規則た血管を有する赤点斑および異常線口の集合からなるモザイクが特徴的で,各種所見が合併および重複して複雑た外観を呈することが多かった.4.Ib期癌のコルポスコピー所見は浸潤癌所見が主体で,白色上皮,赤点斑およびモザイクが認められないことが多かった.比較的浸潤が浅いIb期癌ではコルポスコピー所見の複雑性が認められIa期癌との鑑別は困難であった.5.Ia期癌およびIb期癌になると,コルポスコピー異常所見が移行帯のほとんど全域を占め外側では扁平上皮あるいは晩期化生上皮に接し,内側に正常所見が認められないことが多かった.
著者
合田 憲人 大澤 清 大角 知孝 笠井 武史 小野 功 實本 英之 松岡 聡 斎藤 秀雄 遠藤 敏夫 横山 大作 田浦 健次朗 近山 隆 田中 良夫 下坂 久司 梶原広輝 廣安 知之 藤澤克樹
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.87, pp.49-54, 2006-07-31
被引用文献数
3

本稿では,2005年12月から2006年5月にかけて実施されたGrid Challenge in SACSIS2006において使用されたグリッド実験環境の構築・運用事例を報告する.Grid Challengeは,大学,研究所が提供する複数の計算資源からなるグリッド実験環境上で,参加者がプログラミング技術を競う大会であり,今大会では1200CPU超の計算資源からなるグリッド実験環境が運用された.本稿では,実験環境ハードウェアおよびソフトウェアの仕様を紹介するとともに,ユーザ管理,ジョブ管理,障害対応といった運用事例についても報告する.This paper presents a case study to operate the Grid testbed for the Grid Challenge in SACSIS2006. The Grid Challenge is a programming competition on a Grid testbed, which is organized by multiple computing resources installed in universities and laboratories. In the last competition, the Grid testbed with more than 1200 CPUs was operated. The paper shows hardware/software specifications of the Grid testbed, and reports experience of the operation, which includes accounting, job management, and troubleshooting.
著者
工藤 晴也 田中 聡子 楠八重 有紗 藤原 俊 クラウディア テデスキ チェッティ ムスコリーノ アントネッラ ラナルディ 宮田 順一
出版者
東京芸術大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

世界遺産であり5世紀に作られた初期キリスト教モザイク、ガッラ・プラチディア廟モザイク壁画の保存・修復を目的とする現状調査及び修復事業を行った。壁の構造、モザイク制作技法、材料の科学分析において研究成果をあげることができた。また、修復事業によって劣化箇所の補修及び全体の洗浄を行い保存環境の向上に務めると共に作品鑑賞の環境を改善した。研究成果は最終年度にイタリア文化会館において展覧会及びシンポジウムを開催し、広く国民に公開した。