著者
金子 邦彦 藤本 仰一
出版者
東京大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2017-06-30

(i)表現型進化の方向性と拘束の理論:触媒反応ネットワークモデルを用いて、大自由度の表現型が進化により低次元に拘束されることを固有値スペクトル解析で明らかにした。さらにそれにより進化の方向が拘束されるがその一方で新たな環境への進化が加速されることを示した。また遺伝子制御ネットワークそして統計力学のスピングラスモデル、またタンパクのデータを用いて、この進化的次元縮減が普遍的であることを示した。(ii)階層進化理論:原始細胞においてその分子数がある程度以上になると遺伝と機能を担う分子の役割が対称性の破れで生じる、つまり分子生物学のセントラルドグマが出現することを発表した。次に細胞と細胞集団の階層では細胞が有用成分をもらすことで多種共生が生じること、最後に個体ー社会の階層に対してはゲーム理論による搾取構造の形成を示し、さらに未開人類社会での婚姻構造の形成を明らかにした。(iii)進化発生対応の理論:発生過程と進化過程の対応関係において、遅く変化する遺伝子発現の意義を調べた。特にエピジェネティック過程を考慮して、発生過程の安定性(homeorhesis)の現れる仕組みを明らかにした。また倉谷班との共同で発生砂時計仮設をサポートするシミュレーション結果を得た。[藤本G]完全変態昆虫のサイズ進化の法則(各種の最終体重は臨界体重に比例)を発見した。ボディプラン(器官の数と空間配置)の進化発生対応では、被子植物の左右対称な花の多様性を包括する発生特性を数理モデルから予測した。加えて、動植物のボディプランに揺らぎを見出した。基部双子葉植物の花器官配置では、らせん状と同心円状の2型のみが同種内で共存し、この拘束された種内多型は発生過程に起因することをモデルから示した。刺胞動物のイソギンチャクでは、器官配置の左右対称性と放射対称性の種内多型を、配置過程の計測を通じて見出した。
著者
小澤 俊介 藤本 光司
出版者
日本教育情報学会
雑誌
年会論文集
巻号頁・発行日
no.30, pp.206-207, 2014

学校の教科指導や特別活動において班編成を軸とした学習をすすめることが多い。ただ,無作為抽出型(出席順の輪切りなど)の班編制では,学習者の情意的特性が偏り,班の活気や学習到達度に影響する場合もある。前報では. FFS理論を活用して中高生のリーダー特性を分析し,リーダータイプの出現率や因子特性を一般社会人と比較した。本稿では,筆者が5年間コーチを務めたS高校ラグビー部の生徒(以下,本チーム)に対し,FFS理論の調査を実施し生徒個人の特性やそのポテンシャルを考察した。その結果,4つのタイプの出現率や因子平均値を一般の中高生と比較すると大きな差が現れた。さらに,日本人とアメリカ人の因子特性を比較すると,アメリカ人の因子特性に近いことが判明した。これらの結果を参考にして練習や試合に取り組んだが,安易にポジションの変更をするより,生徒が自己の特性をメタ認知し,チームプレーを通して個人スキル向上を目指す指導にシフトしたほうがチームを形成する上で効果があった。
著者
藤本 京平
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン (ISSN:18849644)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.94-99, 1968-02-01 (Released:2011-03-14)
参考文献数
14

アクティブアンテナは, アンテナと能動要素とを一体化したアンテナシステムで, 広い意義を有し, 目下各国で研究開発が行なわれている現状である.本文は, 一般の理解を得られるよう, その概念, 構成, 特性の扱い方, 特長などを説明し, それに基づき応用について考察し, 特にテレビジョン受像に対する応用の可能性などについて解説を行なったものである.
著者
川崎 美香 森 壽子 森 尚彫 黒田 生子 藤本 政明
出版者
一般社団法人 日本聴覚医学会
雑誌
AUDIOLOGY JAPAN (ISSN:03038106)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.47-57, 2009 (Released:2009-05-20)
参考文献数
25
被引用文献数
1

発見年齢が異なり, CI装用年齢にも差がある進行性難聴児2例を対象に, CI装用後の言語や認知諸能力の獲得過程を追跡・調査し, 進行性難聴児固有の問題, CI装用効果, 言語指導上の留意点や言語聴覚士の役割を考察し以下の知見を得た。1. 2例の経過から, 進行性難聴児に対するCI装用は有効であった。3歳6ヵ月でのCI装用効果は高かったが, 6歳11ヵ月でのCI装用でも効果があった。2. 進行性難聴児の発見直後から指導を行う言語聴覚士は, できるだけ早期に個々のこどもの言語学習上の問題をみつけ, 言語学習条件を整備し, 適切な言語指導を行うことが必要と考えられた。そのために使用する森式チェックリストは臨床的に有用であった。3. 就学前・就学後に体系的言語訓練プログラムに従った言語指導を一定期間実施することで, 9歳時までに言語・認知諸能力を年齢相応に獲得させることができた。

1 0 0 0 OA 陸軍最後の日

著者
藤本弘道 著
出版者
新人社
巻号頁・発行日
1945
著者
藤本 裕二
出版者
JAPAN HEALTH MEDICINE ASSOCIATION
雑誌
日本健康医学会雑誌 (ISSN:13430025)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.407-413, 2020-01-31 (Released:2020-10-06)
参考文献数
20

本研究の目的は,地域で生活する統合失調症者のリカバリーに影響する要因を明らかにすることである。調査項目のリカバリーは,24項目版 Recovery Assessment Scale日本語版(RAS)を用いた。その影響要因を性別,年齢,病気体験により得られたこと,楽観性尺度(【前向きさ】【気楽さ】),日本語版Health Locus of Control(HLC),精神障害者の地域生活に対する自己効力感尺度(SECL),情緒的支援ネットワーク認知尺度,薬に対する構えの調査票(DAI-10)とした。地域で暮らす統合失調症者174名を対象にアンケート調査を実施し,調査票無効者17名を除く157名を分析対象とした。男性90名(57.3%),平均年齢(SD)は46.7(12.9)歳,病気体験により,自分自身が成長したり,特別な何かが得られたと感じたことがある人は115名(73.2%)であった。RAS合計平均得点(SD)は83.6(15.1)点であった。楽観性尺度の【前向きさ】平均得点(SD)は15.8(3.6)点,【気楽さ】平均得点(SD)15.3(4.7)点であった。HLC合計平均得点(SD)は39.5(5.1)点,SECL合計平均得点(SD)132.7(29.3)点,情緒的支援ネットワーク認知尺度合計平均得点(SD)7.0(3.0)点,DAI-10合計平均得点(SD)3.9(4.4)点であった。リカバリーの影響要因を検討するため,RASを従属変数,分析モデルの全9項目を独立変数として重回帰分析(Stepwise法)を行った。その結果,「SECL」,「楽観性尺度【前向きさ】」,「楽観性尺度【気楽さ】」,「病気体験により得られたこと」の4つがリカバリーに有意な影響力を持つ変数として採択され,自由度調整済みR2は0.65であった。自己効力感が高い人は,あらゆる物事に対して自信を持って取り組むことができ,肯定的な将来展望を持っていることがリカバリーの高さに繋がっていることが考えられる。また,楽観性の【前向きさ】は,新たな人生を切り開く原動力となり,リカバリーに良い影響を及ぼしていると思われる。【気楽さ】は,心や気持ちに余裕をもたらし,自分らしい人生や生活の見出しやすさに繋がっていることが考えられる。さらに,リカバリーには,病気を自分の人生の中で意味ある体験と認識することが重要であることが示唆された。
著者
藤本 徹 岸本 好弘 西村 圭一 高橋 薫 高橋 淳 谷内 正裕 山内 祐平
出版者
日本デジタルゲーム学会
雑誌
デジタルゲーム学研究 (ISSN:18820913)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.13-21, 2015 (Released:2019-10-01)

本研究では、数学的思考力を高める学習ゲーム開発のための履歴データ記録APIと、ゲームを公 開して一般ユーザーからのプレイデータを収集、閲覧できる機能を持ったオンラインプラットフォー ムの仕組みを開発した。そして、実際に開発したゲームをプレイしたユーザーへの調査結果をもとに 評価を行った。その結果、このようなプラットフォームを通して、従来は評価を得ることが難しかっ た外部のユーザーや開発者からのフィードバックを得る機会を提供でき、開発者教育に寄与する仕組 みとして機能する可能性が示唆された。
著者
藤本 康孝
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会誌 (ISSN:13405551)
巻号頁・発行日
vol.128, no.2, pp.105-108, 2008-02-01 (Released:2008-02-01)
参考文献数
4

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著者
藤本 敬介 守屋 俊夫 中山 泰一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.1031-1040, 2008-02-15
参考文献数
10
被引用文献数
1

陰関数表現から三角形メッシュを生成する手法としてMarching Cubes 法(MC 法)がよく知られているが,本論文ではその改良手法について述べる.従来のMC 法は,等間隔にグリッドを設定し,格子点に対して境界面との内外判定を行うことでメッシュを生成するため,(1) 格子に対して細い物体が存在するときにそれが欠損してしまう可能性がある,(2) 物体の鋭角部が鈍った形状に変換されてしまう,といった問題が発生していた.本論文では,これらの問題に対し各格子点の位置を物体の形状に対して適応的に移動させ各格子の形状を変形させるDeformed Marching Cubes 法(DMC法)を提案する.DMC 法では,各格子点の周辺を探索して重心点を求め,また格子と等値面の関係から鋭角の頂点座標を求め,それぞれ求めた座標に最も近い格子点を移動させる.これにより,少なくとも格子内に物体が1 つしか存在しない場合においては,(1) 探索精度以上の細い物体の非欠損性の保証,および(2) 鋭角部の再現,を同時に実現した.実験により,MC 法における格子の1 辺の長さに対し1/5 以上の幅を持つ物体の非欠損性を保証する場合でも,従来に対し約25%の計算時間増だけで処理されることを確認した.We describe an algorithm that improves the ability of detailed expression of the Marching-Cubes (MC) method. The MC method is a technique for generating triangular meshes from implicit function. It sets the uniform grid, and generates mesh with the judgment whether the lattice point is on the inside to the boundary. Therefore, it has two problems. First, there is a possibility that the thin part of the object is lost. Second, the sharp part is converted into the smooth shape. In this paper we present a Deformed-Marching-Cubes (DMC) method that changes the shape of the grid form by moving lattice points. The steps of the DMC method are: 1) detecting a thin part by searching for surroundings of each lattice point, 2) calculating coordinates of the sharp part, 3) moving a lattice point that is nearest from each calculated point. As a result, when only one object exists for the grid interval, this method realized guaranteeing the non-loss of an object that is bigger than the search accuracy, and reproducting the sharp part. Consequently, we proved that the method guarantee non-loss of the object of the width of 1/5 compared with the grid size only by the overhead of only about 25%.
著者
河南 克也 藤本 典幸
雑誌
先進的計算基盤システムシンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.365-372, 2011-05-18

2 つの文字列の最長共通部分列を求める LCS 計算は遺伝子の比較などの様々な応用を持つ.本論文では Crochemore らのビット並列アルゴリズムを用いて改善した Hirschberg の CPU 用 LCS アルゴリズムを,GPU を用いて高速化する方法を提案する.Crochemore らのアルゴリズムは 1 ビット毎に同時並列実行が可能なビット毎の論理演算の他に,逐次性が強い算術加算など,GPU での実装に工夫が必要な演算も含んでいる.本論文では特にそれらの演算の効率的な実装方法について論じる.その方法に基いて設計したプログラムを,2.93GHz Intel Core i3 530 CPU とGeForce 8800 GTX,GTX 285,GTX 480 GPU を用いて評価した結果,CPU 上でのビット並列アルゴリズムに対しては最大 12.77 倍,Hirschberg の CPU 用 LCS アルゴリズムに対しては最大 76.5 倍高速であった.また,Kloetzli らの GPU を用いた既存アルゴリズムに対しては 10.9 倍から 18.1 倍高速であった.
著者
酒井 真理 藤本 尚弘 石井 克典 浅野 智之 村田 勲 中村 浩之 李 千萬 金田 安史 粟津 邦男
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会 年会・大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.676, 2009

ホウ素中性子捕獲療法(BNCT)とは腫瘍に取り込ませたホウ素に対して中性子を照射し、そこから放出されるα線やLi線によって腫瘍細胞のみを死滅させることのできる治療法である。現在BNCTは原子炉で行われており、これを加速器中性子源によって行えるようにする必要がある。本研究ではそのための細胞レベルでの基礎検討を行った。
著者
藤本 和則 島津 光伸
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 = Transactions of the Japanese Society for Artificial Intelligence : AI (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.162-165, 2002-11-01
参考文献数
8
被引用文献数
3 3

This paper describes availability of personal Web-pages and a prototype development for Decision Support for Internet Users, called DSIU, which is an area of research for decision support by using information on the Internet. The availability of Web-pages concerns usage of formal pages, which are provided by companies and so on, and personal pages, which are provided by private persons. Web-pages are gathered by using an Internet search engine to determine destinations for travel and personal pages are confirmed to provide much subjective information than formal pages. The prototype development concerns a travel recommendation system, which is a kind of decision support systems. The prototype uses subjective and objective information on the Internet to select several destinations for users and to provide explanations the reason why the destinations are recommended. This paper also describes our perspective of DSIU researches.
著者
阿部 寿人 松山 克胤 藤本 忠博 千葉 則茂
雑誌
情報処理学会研究報告グラフィクスとCAD(CG)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.121(2004-CG-117), pp.67-72, 2004-11-26

Sosorbaram等は,DLA(Diffusion Limited Aggregation)モデルを拡張した電界を考慮した放電パターンの生成モデルを提案している.本論文では,この放電パターンの生成モデルにより生成された稲妻のパターンに適合する雷鳴を自動的に生成する手法を提案する.雷鳴は稲妻発生時の大気の急激な温度変化で起こる衝撃波である.本手法では,この雷鳴を,生成された稲妻パターンに沿って,それぞれの階段状先駆に,N波を基本として構成したサウンドテクスチャを音源として配置し,受聴点に到達する波形を合成することにより,近似的に生成している.