著者
津田 良子 若松 浩美 藤本 尚
出版者
公益社団法人 日本化学療法学会
雑誌
CHEMOTHERAPY (ISSN:00093165)
巻号頁・発行日
vol.41, no.6, pp.641-648, 1993

アミノグリコシド系抗生物質であるnetilmicin (NTL) を測定するにあたり, 酸・塩基指示薬であるthymolphthalein (TP) およびmethylred (MR) をしみ込虫せた濾紙を用い, <I>Bacillus subtilis</I>の発生するCO<SUB>2</SUB>の酸性度により, この濾紙が変色する度合いを比色分析法によって測定した後, この変化量から試料中のNTLの量を求める新しいbioassay法について検討を行った。<I>B. subtilis</I>懸濁液, nutrient broth, 0.1Mリン酸塩緩衝液 (pH8.0) およびNTI水溶液をガラスバイアルに入れ, TP-MRおよびNaOHをしみ込ませた濾紙をパイアルのセプタムの内側に貼り付け, 3時間培養した。TP-MR濾紙は培地中の<I>B.subtilis</I>の生育に伴い変色 (脱色) し, その色はNTL濃度に依存した。この変色をコンプリメンタリートリスティミュラス法を利用し, pH依存性であるTP-MR濾紙の色を分光光度計で測定した結果, NTL濃度と滋紙の変色の間には十分な相関, y=0.0286x+ 0.0832;r (相関係数)=0.943, が得られた。本法は, 従来のbioassay法に比べて試験時間を13時間以上短縮することができ, NTLの簡便で有用な測定法であることが示唆された。
著者
清河 信敬 恩田 恵子 高野 邦彦 藤本 純一郎 真部 淳 康 勝好 小原 明 林 泰秀 花田 良二 土田 昌宏
出版者
日本サイトメトリー学会
雑誌
Cytometry research : 日本サイトメトリー学会機関誌 (ISSN:09166920)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.27-33, 2010-09-25
参考文献数
6
被引用文献数
1

<p>Aim. We are in charge of the central diagnosis and cell preservation as a part of childhood acute lymphoblastic leukemia treatment study in Tokyo children's cancer study group. It is necessary to diagnose with a minimal quantity of specimen, to preserve leukemic cells effectively as possible. On the other hand, recent progress in multi-color flow cytometry enable to analyze cell marker of leukemia in more detail. We therefore we intended to perform a immuno-phenotypic diagnosis of childhood acute lymphoblastic leukemia by nine-color analysis with digital flow cytometer.</p><p>Methods. We examined cell markers of childhood acute lymphoblastic leukemia cells by nine-color analysis using digital flow cytometers. We decided the combination of the monoclonal antibodies for nine color analysis based on the recommendation of Japan Pediatric Leukemia/Lymphoma Study Group using commercially available fluorescence-laveled antibodies.</p><p>Results. Nine colors that we used in this study were fluorescein isothyocyanate, phycoerythrin (PE), phycoerythrin-Texas Red, Peridinin Chlorophyll Protein - cyanin (Cy) 5.5, PE-Cy7, allophycocyanin (APC), APC-Cy7, Pacific Blue, and Cascade Yellow. Using list mode compensation, nine color marker analysis of childhood leukemia was easy to perform.</p><p>Discussion. Although several problems need to be solved are present, nine-color analysis using digital flow cytometer is useful to obtain precise information of antigen expression as well as save precious specimen of childhood acute lymphoblastic leukemia.</p>
著者
藤本 稔
出版者
内科宝函刊行会
雑誌
内科宝函 (ISSN:00214809)
巻号頁・発行日
vol.12, no.4, pp.155-159, 1965-04
著者
新井 賢 藤本 憲二 橋本 竹二郎 滝島 常雄 小屋 佐久次
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.107, no.4, pp.279-286, 1987-04-25 (Released:2008-05-30)
参考文献数
13
被引用文献数
3 3

In order to identify the constituents of ethanol-extractable amino acids from Pinus densiflora SIEB. et ZUCC. leaves, high performance liquid chromatography (JASCO TWINCLE amino acids analyzer system) was used. According to the results obtained, ethanol-extractable amino acids confirmed to be such 19 different kinds, as Asp, Thr, Ser, Asn, Glu, Gln, Pro, Gly, Ala, Val, Met, Ile, Leu, Tyr, Phe, Lys, His, Arg and γ-aminobutyric acid (GABA). There was a seasonal fluctuation in the amount of free amino acids constituent, and three different patterns of changing in the amount were noticed. The major constituents of free amino acids were found to be GABA and Ala. There were similarities in the patterns of free amino acids contents among new buds, one year leaves and two year leaves. However few amount of Met and His were detected from the stage of the new buds than any other. Basic amino acids were found more in the one year leaves and the two year leaves than in the new buds. The contents of Gln, Lys and Arg increased in the germination stage of the new buds, and the contents of GABA, Pro, Ala and Asn decreased in the growing stage of the new shoots. The above facts lead to the conjecture of that these free amino acids were involved deeply in the growth of Pinus densiflora SIEB. et ZUCC. leaves.
著者
上田 紘司 芦澤 淳 藤本 泰文 嶋田 哲郎
出版者
公益財団法人 宮城県伊豆沼・内沼環境保全財団
雑誌
伊豆沼・内沼研究報告 (ISSN:18819559)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.21-37, 2016 (Released:2017-04-07)
参考文献数
21
被引用文献数
1

宮城県北部の伊豆沼・内沼およびその周辺地域において2014年にトンボ目の成虫を対象とした定性調査を行なった.本調査では,10科37種のトンボ目成虫の生息が確認され,このうち3種は新たに確認された.過去の調査では合計10科44種のトンボ目成虫が確認されている.過去の調査で確認され,今回の調査で確認されなかった10種のうち7種は,宮城県レッドリスト又は環境省のレッドデータブックで絶滅危惧種に指定されている種であった.これらの結果から伊豆沼・内沼およびその周辺地域には,30種以上のトンボ目が生息可能な環境が現在も残ってはいるものの,環境変化に弱い絶滅危惧種からトンボ目が姿を消しつつある状況にあると言える.
著者
藤本 泰文 川岸 基能 進東 健太郎
出版者
公益財団法人 宮城県伊豆沼・内沼環境保全財団
雑誌
伊豆沼・内沼研究報告 (ISSN:18819559)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.13-25, 2008 (Released:2017-11-10)
参考文献数
37
被引用文献数
9

伊豆沼・内沼と集水域内の流入河川や池で魚類相を調査した.合計12科36種の魚類の生息を確認した.集水域の魚類相は,東日本固有種であるゼニタナゴ,タナゴ,シナイモツゴやギバチなどを含む,純淡水魚類を中心に構成されていた.開放水域である伊豆沼・内沼と流入河川では,かつて高密度に生息していた在来の小型魚種の生息数は僅かであった.一方,外来魚であるオオクチバスは数多く生息し,その影響が示唆された.池ではオオクチバスの生息の有無によって,魚類相に大きな違いがみられた.在来魚の生息種数は,オオクチバスが生息していない池で多かった.これらの池では,ここ十数年の間に伊豆沼・内沼から姿を消した数種の在来種を再確認した.開放水域である伊豆沼や河川の魚類相は,オオクチバスの侵入による影響が著しく,閉鎖水域である池では,在来魚が保存されているケースがあることが示された.本研究の結果は,集水域を単位とした魚類調査が,在来魚の再確認や防除が望ましい外来魚の分布の把握を通じ,その集水域での魚類相の復元に寄与する可能性を示した.
著者
藤本,啓
出版者
日本生薬学会
雑誌
生薬学雑誌
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, 1992-09-20

中国市場に出回っている漢薬・絡石藤は主として絡石Trachelospermum jasminoides (LINDL.) LEM. (Apocynaceae)または〓〓Ficus pumila L. (Moraceae)のいずれかを基原植物とし,その茎葉が薬用に用いられている.一方,中隼人民共和国薬典は絡石藤の基原植物にT. jasminoidesの一種のみを規定している.絡石藤の効能はいずれを基原とするものも同じとされ,〓風止痛,咽喉腫痛,行〓止血,通経絡などに用いられ,〓風湿薬に分類されている.これは西洋医学での抗炎症,鎮痛,解熱,血液循環促進,免疫調整などの作用に相当するものと考えられている.著者らは前報で痛風に関連するXanthine oxidase阻害活性を調べ,基原植物を異にする絡石藤にはその生理活性に相違があることを見いだした.すなわちT. jasminoidesを基原とする絡石藤の葉部にとくに高い阻害活性が認められその活性はフラボノイド成分のapigenin, luteolin, luteolin-4'-O-β-D-glucosideに基づくことを報告した.今回は絡石藤の効能に該当するスクリーニング試験として,抗炎症作用,活性酸素産生抑制作用,血小板凝集抑制作用および絡石藤を瑞息型慢性気管支炎に用いるとの報告もあることから気管平滑筋弛緩作用についての検討を行った.
著者
升田 貴仁 椎名 愛優 三階 貴史 長嶋 健 藤本 浩司 髙田 護 池田 純一郎 大塚 将之
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.80, no.6, pp.1060-1066, 2019 (Released:2019-12-30)
参考文献数
30

若年者の乳腺葉状腫瘍はまれであり,線維腺腫,特に若年性線維腺腫との鑑別は困難である.これまでは線維腺腫であれば腫瘤摘出術,葉状腫瘍であればマージンをつけた切除が必要とされてきたが,近年,葉状腫瘍に対する手術においても断端陰性であればマージンは不要であるという報告が増加している.症例は11歳,女児.左乳房に7cm大の腫瘤を自覚し受診.画像検査および針生検では若年性線維腺腫もしくは良性葉状腫瘍が疑われ,腫瘤摘出術を施行した.病理結果は良性葉状腫瘍で断端は陰性であった.自験例では良性葉状腫瘍であったことと,腫瘤摘出術によって断端陰性が得られたことより,追加切除は施行せず,術後6年6カ月無再発で経過している.若年者の葉状腫瘍に対する治療において,根治性とともに整容性や機能温存へ十分配慮した上での方針決定が望まれる.
著者
山内 徳人 森川 輝久 村松 哲 赤澤 貴子 久貝 宗弘 松本 次弘 杉本 尚仁 藤本 莊太郎
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.58, no.10, pp.589-591, 2017-10-20 (Released:2017-11-08)
参考文献数
5

We evaluated clinical utility of the fibrosis index based on the four factors (FIB-4) and the aspartate aminotransferase to platelet ratio index (APRI) for screening of chronic liver disease (CLD) and liver cirrhosis (LC). Diagnoses were extracted from the electronic medical records. Among 1194 patients except of acute illness, 318 had CLD and 48 had LC. The areas under the receiver operating characteristic curves of FIB-4 and APRI for predicting LC were 0.913 and 0.897, respectively, while those for predicting CLD were 0.630 and 0.672, respectively. With FIB-4 3.25 and APRI 1.0 for the cut off values to predict LC, the diagnostic accuracies were 91.5%, 94.2%, respectively. FIB-4 and APRI were considered useful for screening of CLD with advanced fibrosis.
著者
藤本 哲史 篠原 さやか
出版者
経営行動科学学会
雑誌
経営行動科学 (ISSN:09145206)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.105-115, 2015

The proportion of women working in research and development is much lower in Japan than other industrialized nations, and little has been investigated about the issues these women face. Career persistence among female professionals is one of the important issues. Using a recent national sample of female research and development engineers, we investigate; (1) the relationships between family status, unavailability of time for self, perceptions of worklife imbalance, and intentions to persist in engineering careers, (2) the relationship between professional role confidence as engineers and intentions to persist in engineering careers, and (3) the moderating role of professional role confidence in the relationship between family status or work-life imbalance and career persistence. Results showed that family status and unavailability of time for self were not related to attitudes towards persisting in engineering careers. However, perceptions of work-life imbalance were negatively associated with career persistence. Professional role confidence was positively related to persistence, but we did not find a moderating role for it in the relationship between work-life imbalance and career persistence.
著者
藤本 潔 羽佐田 紘大 谷口 真吾 古川 恵太 小野 賢二 渡辺 信
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2018, 2018

1.はじめに<br><br>マングローブ林は、一般に潮間帯上部という極めて限られた環境下にのみ成立することから、温暖化に伴う海面上昇は、その生態系へ多大な影響を及ぼすであろうことが予想される。西表島に隣接する石垣島の海面水位は、1968年以降、全球平均とほぼ同一の年平均2.3mmの速度で上昇しつつある(沖縄気象台 2018)。すなわち、ここ50年間で11.5cm上昇した計算となる。近年の上昇速度が年10mmを超えるミクロネシア連邦ポンペイ島では、マングローブ泥炭堆積域で、その生産を担うヤエヤマヒルギ属の立木密度が低下した林分では大規模な表層侵食が進行しつつあることが明らかになって来た(藤本ほか 2016)。本発表は、本年2月および8月に西表島のマングローブ林を対象に実施した現地調査で見出された海面上昇の影響と考えられる現象について報告する。<br><br>2.研究方法<br><br>筆者らは、西表島ではこれまで船浦湾のヤエヤマヒルギ林とオヒルギ林に固定プロットを設置し、植生構造と立地環境の観測研究を行ってきた。今回は、由布島対岸に位置するマヤプシキ林に新たに固定プロット(幅5m、奥行70m)を設置し、地盤高測量と毎木調査を行った。プロットは海側林縁部から海岸線とほぼ直行する形で設置した。地盤高測量は水準器付きポケットコンパスを用い、cmオーダーで微地形を表記できるよう多点で測量し、ArcGIS 3D analystを用いて等高線図を作成した。標高は、測量時の海面高度を基準に、石垣港の潮位表を用いて算出した。毎木調査は、胸高(1.3m)以上の全立木に番号を付し、樹種名、位置(XY座標)、直径(ヤエヤマヒルギは最上部の支柱根上30cm、それ以外の樹種は胸高)、樹高を記載した。<br><br>3.結果<br><br> 海側10mはマヤプシキのほぼ純林、10~33mの間はマヤプシキとヤエヤマヒルギの混交林、33~50mの間はヤエヤマヒルギとオヒルギの混交林、50mより内陸側はほぼオヒルギの純林となっていた。70m地点には立ち枯れしたシマシラキが確認された。立ち枯れしたシマシラキは、プロット外にも多数確認された。<br><br> マヤプシキは直径5㎝未満の小径木が46%、5~10cmが37%を占める。20m地点までは直径10cm未満のものがほとんどを占めるが、20~33mの間は直径10cmを超えるものが過半数を占めるようになる。最大直径は23.3cm、最大樹高は5.7mであった。ヤエヤマヒルギはほとんどが直径10cm未満で、直径5cm未満の小径木が74%を占める。最大直径は47m付近の13.8cm、最大樹高は5.7mであった。オヒルギは直径5cm未満の小径木は少なく、50~70mの間では直径10cm以上、樹高6m以上のものがほぼ半数を占める。最大直径は19.9cm、最大樹高は11.1mに達する。<br><br>地盤高は、海側林縁部が標高+28cmで、内陸側に向かい徐々に高くなり、45m付近で+50cm程になる。45mより内陸側にはアナジャコの塚であったと思われる比高10~20cm程の微高地が見られるが、一般的なアナジャコの塚に比べると起伏は小さい。この林の最も内陸側には、起伏の大きな現成のアナジャコの塚が存在し、そこではシマシラキの生木が確認された。立ち枯れしたシマシラキはアナジャコの塚であったと思われる起伏の小さな微高地上に分布していた。<br><br>4.考察<br><br> シマシラキはバックマングローブの一種で、通常はほとんど潮位の届かない地盤高に生育している。立ち枯れしたシマシラキはアナジャコの塚上に生育していたが、近年の海面上昇に伴いアナジャコの塚が侵食され地盤高を減じたため、冠水頻度が増し枯死した可能性がある。船浦湾に面する浜堤の海側前縁部にはヒルギモドキの小群落が見られるが、近年海岸侵食が進み、そのケーブル根が露出していることも確認された。このように、全球平均とほぼ同様な速度で進みつつある海面上昇に対しても、一部の樹種では目に見える形での影響が現れ始めていることが明らかになった。<br><br>参考文献<br>沖縄気象台 2018. 沖縄の気候変動監視レポート2018. 藤本潔 2016. 日本地理学会発表要旨集 90: 101.
著者
平部 正樹 藤後 悦子 藤城 有美子 北島 正人 藤本 昌樹 竹橋 洋毅
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.68, no.6, pp.412-424, 2021-06-15 (Released:2021-06-25)
参考文献数
28

目的 私立広域通信制高校の生徒を対象に質問紙調査を行い,通信制高校選択に関わるストレスから生徒を分類し,そのタイプごとに精神健康度に関わる要因を抽出した。方法 私立A広域通信制高校の全国11キャンパスに所属する全生徒3,888人を対象とした。調査期間は2015年10月から2016年1月であった。クラスごとの一斉ホームルーム時に,担任教員が,調査票を直接配付・回収した。調査票は,基本項目,精神健康関連項目,ライフスキル項目から構成されていた。精神健康関連項目については,通信制高校入学前のストレス,入学後のストレス,通信制高校選択に関わるストレスについて,「学業」,「友人関係」,「教師との関係」,「部活動」,「学校行事」,「家庭環境」,「健康状態」,「バイト・仕事」の8領域から尋ねた。精神健康度を計る指標として,Kessler 6(以下,K6)を用いた。結果 2,424人からの有効回答を得た(回収率,62.3%)。通信制高校入学前と入学後のストレスの変化については,男女ともに,「バイト・仕事」領域以外で入学後にストレスが低下していた。通信制高校選択に関わるストレスの8領域の得点により大規模クラスタ分析を行った結果,6群が抽出された。各群におけるK6得点に関わる要因を抽出したところ,すべての群で健康状態が強く関わっていた。加えて,学業ストレス高群,友人関係ストレス高群,家庭・健康ストレス高群については,通信制高校選択の理由となったストレスが,入学後も精神健康度の低さに結びついていた。学校関連ストレス複合群については,友人関係に加え,家庭環境が精神健康度の低さと関連していた。全ストレス高群は,とりわけ学業との関連が強かった。ライフスキルについては,ストレスマネジメントスキルや意志決定スキルの高さが精神的健康度の高さと関わっていた。結論 通信制高校生徒の精神健康度の向上のためには,そのニーズを把握し,そのタイプに応じた支援を行うこと,その際にストレスへの対処と,ライフスキルを伸ばすことが重要であることが示された。今後,通信制高校生徒への支援実践につながることが期待される。
著者
平田 隆幸 藤原 郁弥 藤本 研治 園山 輝幸 原田 烈光
出版者
福井大学
雑誌
福井大学工学部研究報告 (ISSN:04298373)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.215-220, 2003-09-30
被引用文献数
3

Yes. The principle of a kaleidoscope can magnify tiny differences of dot patterns. Human brains can recognize a small difference of patterns especially in the case of patterns having some symmetry. The kaleidoscope generates 3-fold rotation symmetry patterns by using the mirrors so that we can recognize tiny differences of time-series by embedding the oeak-value on the scope of the kaleidoscope. We demonstrate this effect using synthetic data and then apply this method to RF echo signal of ultrasonic diagnostic system.
著者
藤本 貴大 吉田 聡志 松坂 佳樹
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.43 Suppl. No.2 (第51回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0228, 2016 (Released:2016-04-28)

【はじめに,目的】腰椎を含む椎体圧迫骨折の発生率は,女性で高く加齢とともに著明な上昇を示す。一方で,Sinakiら(2002)は背筋伸展運動による背筋力維持は椎体骨折率を低下させるとしている。さらに,背筋力は円背姿勢と関係し,歩行能力さらには消化器・循環器系の機能障害にも影響する。そのため,背筋の筋力強化および腰椎安定化運動は有効である。近年,背筋のひとつに腰部多裂筋(以下;LM)の役割が疼痛や椎体分節制御・安定性に重要とされている。そして,LMの画像評価において,筋横断面積に加え実質的な筋収縮組織以外の脂肪組織増加といった質的変化も機能障害に関与するとされる。我々は第50回日本理学療法学術大会において,女性腰椎圧迫骨折患者の脊柱起立筋(以下;ES)およびLMに占める脂肪浸潤を計測し,中等度(脂肪浸潤率10%以上50%未満)生じていたと報告した。本研究の目的は,その後腰椎圧迫骨折患者の硬性コルセット(以下;コルセット)装着期間における理学療法実施が腰椎脂肪浸潤に影響するか検証することである。【方法】対象は当院を受診しMRI検査により初発単椎体の腰椎圧迫骨折と診断され入院しコルセット装着となった65歳以上女性で,受傷直後とその後1ヶ月以降にMRIを実施した8例(年齢;72.9±12.0歳,BMI;21.9±3.9,MRI検査期間;63.6±24.3日)とした。対象患者は,コルセット装着下で背筋の筋力強化および腰部安定化運動を加えて実施した。MRI撮影部位は,各腰椎上縁および椎体上下縁から中間位,仙椎上縁の横断像計11画像とした。計測する筋はLM・ES・大腰筋(以下;PS)とした。脂肪浸潤計測は,Ransonら(2006)の先行研究を参考にImage Jを使用し,筋横断面積に占める脂肪浸潤面積を脂肪浸潤率とした。統計処理は,受傷時とコルセット装着後の比較をWilcoxon signed rank testにより行った。有意水準は5%未満とした。【結果】各筋の平均脂肪浸潤率において,受傷時:LM;17.262±11.312%,ES;15.898±13.667%,PS;0.870±1.158%に対し,コルセット装着後:LM;13.927±9.249%,ES;9.209±6.371%,PS;0.466±0.593%であった。これらの期間前後に有意差は認められなかった。一方,各椎体部位別では,LM仙骨上縁部に有意な減少が認められた(27.349±7.711%から15.273±9.658% P<0.05)。【結論】先行研究において,長期のコルセット装着は筋活動低下に伴い筋力低下や筋量減少が生じることが示唆され,脂肪浸潤増加も予測される。しかし,各筋ともに増加することなく,ES脂肪浸潤率は軽度(10%未満)となった。また,LMにおいて仙骨上縁の有意な減少が認められていた。LMの選択的な運動には,腰椎の動きが生じない低い筋活動量で行なうことが望ましく,コルセット装着により腰椎運動制御が制限されているため,効率的にLMにアプローチできたと考えられた。よって,コルセット装着にも理学療法実施によりLM,ES,PSの脂肪浸潤増加を予防できると考えられた。