著者
日野林 俊彦 赤井 誠生 金澤 忠博 大西 賢治 山田 一憲 清水 真由子
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

2011 年 2 月に日本全国より 45,830 人の女子児童・生徒の初潮に関わる資料を収集した。プロビット法による日本女性の平均初潮年齢は 12 歳 2.3 ヵ月 (12.189 歳)で、現在 12 歳 2.0ヵ月前後で、第二次世界大戦後二度目の停滞傾向が持続していると考えられる。初潮年齢は、睡眠や朝食習慣のような健康習慣と連動していると見られる。平均初潮年齢の地域差は、初潮年齢が各個人の発達指標であるとともに、進化的指標でもあり、さらには国内における社会・経済的格差や健康格差を反映している可能性がある。
著者
濱武 通子 青木 梨絵 山﨑 貢 大西 賢治郎 松本 一年
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.62, no.4, pp.182-189, 2015 (Released:2015-06-12)
参考文献数
9

目的 水道直結式ミスト発生装置(以下,ミスト発生装置)は,夏の暑さ対策として,一般に広く普及し始めている。しかし,その維持管理方法についての指針等はなく,ミストの水質も十分把握されていない。そこで,ミスト発生装置を適切に利用するための維持管理方法を検討した。方法 一宮保健所管内の同一規格のミスト発生装置が設置されている61施設中 5 施設において,ミストの水質検査およびレジオネラ属菌の検査を行った。水質検査において,一般細菌が飲料水の水質基準を超えた施設については,ミスト発生装置のホース等の各連結部において,洗浄と消毒を水道の蛇口からノズルまで順次行い,菌数の変化を調べることにより,細菌汚染の部位を特定した。また,優勢菌の同定を行った。結果 上水使用の調査対象 5 施設中 3 施設のミストは遊離残留塩素濃度が0.1 mg/l 以上存在していたにもかかわらず,一般細菌は飲料水の水質基準を大きく超え,Brevundimonas 属菌が優勢に発育していた。レジオネラ属菌は全施設で陰性であった。汚染部位はミスト発生装置のホースであった。結論 ミスト発生装置は,遊離残留塩素濃度が一定以上あっても細菌に汚染されることがある。ミスト発生装置の維持管理には,適切な洗浄と消毒を行い,使用期間中の持続的放水により水を滞留させないことが有効であることが示唆された。
著者
大西 賢人 鳥谷 和世 柴田 育子
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.104, pp.34-45, 2016

<p>国立国会図書館デジタルコレクションやHathiTrustなどの大規模デジタル化データベースの登場によりデジタル化された様々な学術資料へのアクセスが可能になってきているが,CiNii Booksからは,デジタル化され公開された資料があったとしても,たどりつけないケースが見受けられる。そこでCiNii Booksからデジタル化資料へのアクセシビリティ向上の可能性を探るために,総合目録データベースとNDLSearchとHathiTrustそれぞれに収録されたID間の対応をまとめたIDマップの作成を試みた。調査の結果,JPNOやLCCNがデータベース間リンクのキーとなる有力なIDであることが判明したが,より正確で網羅性の高いIDマップを実現するためには,ID以外の書誌情報も活用しながら,IDマップのプロトタイプを作成し,その有効性について検証を重ねていくことが必要である。なお,本稿は国立情報学研究所教育研修事業「平成25年度学術情報システム総合ワークショップ」における成果物である。</p>
著者
大西 賢治 山田 一憲 中道 正之
出版者
一般社団法人 日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 (ISSN:09124047)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.35-49, 2010-06-20 (Released:2010-07-01)
参考文献数
31
被引用文献数
4 3

We observed 4 cases of aggressive response of Japanese macaques (Macaca fuscata) toward a Japanese giant flying squirrel (Petaurista leucogenys) at the feeding site of the Katsuyama group.When a Japanese giant flying squirrel glided over to a tree at the feeding site, almost all the adult and subadult monkeys resting around the tree mobbed the flying squirrel with threatening sounds. Immature monkeys aged ≤ 2 years screamed, and the mothers retrieved their infants immediately on spotting the flying squirrel. Several peculiar high-rank adult males and females chased, threatened, and attacked the flying squirrel for 25-114 minutes, but mothers with infants seldom approached the flying squirrel. High-ranking adult males had a greater tendency to perform agonistic displays toward the flying squirrel than low-ranking adult males and females.Our observation and previous reports about interspecific encounters suggest that Japanese macaques recognize the Japanese giant flying squirrel as being in the same category as raptors, which prey on Japanese macaques. This explains why the monkeys respond aggressively, which is typical of antipredator behavior, to the common behavioral features of the flying squirrel and raptor-gliding and descending nearby. However, this aggressive response does not seem to benefit monkeys in terms of avoiding predators because the flying squirrel is not actually a predator. There are 2 other possible benefits. Their sensitivity to behavioral features that resemble those of the raptors may improve their efficiency in terms of antipredator behavior towards actual predators such as raptors. In addition, adult or subadult male monkeys may display their fitness to potential mates by performing agonistic displays in response to the Japanese giant flying squirrel.In order to better understand the relationship between Japanese macaques and other species, it is necessary to establish a system for collecting and sharing data on rarely observed cases.
著者
葛西 賢太
出版者
日本宗教学会
雑誌
宗教研究 (ISSN:03873293)
巻号頁・発行日
vol.90, no.2, pp.3-27, 2016 (Released:2017-09-15)
被引用文献数
1

依存症は、食のあり方の異常が、生き方や人間関係、人としての責任能力の上での問題として現れることが多い病理である。薬物依存からの回復を目指す仏教的なアプローチを検討する。米国の瞑想指導者ノア・レヴァインは、青少年時代の非行・犯罪と薬物・アルコールの濫用から回復するため、キリスト教の儀式から学んだ依存症回復プログラム「十二のステップ」と、仏教瞑想とを学び、両者を統合するプログラムを工夫、彼同様に苦しむ若者に瞑想を伝える努力を払っている。人としての困難に向き合わず困難を避け麻痺させる行為(薬物使用)の反復が依存とみる。依存は仏教でいう苦であり、仏教の三宝(仏—現実と向き合う仏の智慧、法—十二のステップや四諦八正道、僧—回復を目指す共同体)への帰依(尊重)が回復への道であると説く。パンクロック音楽を愛好する彼は、既存の価値観を問いなおす仏教とパンクロックとの間に共通点も見いだしている。
著者
葛西 賢太
出版者
日本宗教学会
雑誌
宗教研究 (ISSN:03873293)
巻号頁・発行日
vol.83, no.2, pp.385-408, 2009

オックスフォードグループと呼ばれた道徳改革運動の宗教的意義について考察する。この運動は道徳再武装と改称し、二〇世紀前半から半ばにかけて、欧米以外の諸国も含めた国際的な交流の機会を提供、諸国の政治・経済・文化に関わる、日本も含むエリートたちに熱心に支持された。支持の背景には宗教運動としての諸側面もあった。この論文では、神にゆだねること(Surrender)と、祈りの中で神からメッセージを受けるお導き(Guidance)という二つの実践について述べる。これら二つの実践は、参加者の自己と宗教・道徳伝統との間の不一致を整理し、両者を再接続させるものである。実践によって人生の変革(Life Change)を体験した人々は、宗教活動にも、またそれを応用した上述の国際交流にも、諸職業活動にも積極的に参与した。
著者
石井 研士 黒崎 浩行 川島 堅二 葛西 賢太
出版者
国学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1999

本研究は、現在急速に進行しつつある高度情報化が、精神文化としての宗教にどのような影響を及ぼし、宗教団体がどのような対応をとったか、あるいは対応を迫られたかを調査研究することを目的としている。また、高度情報化社会と宗教との関係を考察する上で、その前史ともなるラジオ、テレビといった映像メディアと宗教との関係にも留意することとした。具体的な調査内容として、以下の項目を念頭に置いて研究調査を行った。1)音声メディア・映像メディアにおける資料収集と分析2)宗教団体のニューメディア利用の調査研究3)コンピュータ・ネットワーク上の宗教サイトおよび利用者情報の収集と主催者へのインタビュー4)コンピュータ・ネットワーク上の宗教的行為についてのインテンシヴな調査5)上記に関する面接調査6)インターネット利用の国際比較本研究が「基礎的研究」と謳っているように、この領域での研究成果の蓄積は、現象自体が新しいこともあってほとんどない。こうした中で、ラジオ放送における宗教番組の変化と現状を石井がとりまとめ、あわせて昭和28年から始まったテレビ放送における宗教番組の収集、川島による日本のウェブサイトの分析、とくにキリスト教関係のホームページの現状とその分析、および海外との比較、黒崎による宗教ウェブサイトの傾向の時系列的な分析、神社ウェブサイト主催者へのインタビュー等の調査結果は、今後の研究の基礎になるものと考えることができる。他方で、ほとんど研究蓄積のない領域だけに、研究すべき事柄が多く残ったことも確かである。とくに、テレビにおける宗教状況の把握が十分でなかったことは、現在においてもテレビの与える影響力の大きさを考えたときに、残念かことであった。今後こうした領域の研究調査を地道に継続し、成果を公開することで、現代社会と宗教に関する多くの問題点が明らかになるものと考えられる。
著者
葛西 賢太
出版者
東京大学文学部宗教学研究室
雑誌
東京大学宗教学年報 (ISSN:02896400)
巻号頁・発行日
no.9, pp.p1-17, 1991

Christian Science is one of the much influencial religious sects in the modern United States, especially in the field of publishing and medicine. However, there can we find only few researches about its healing practice even in the United States, and, as a matter of course, in Japan. This is a study about the transition and development of the idea and the arts of the healing from the Harmonialism to Christian Science. In harmonialism I include mesmerism, homeopathy, hydropathy, etc. Harmonialism is defined as an unorganized religious movements, which understands that a person's harmonial rapport with cosmos (or God) has much influence on his/her spiritual composure and physical health. But other than "rapport", one more important motief of harmonialism can I show you. It is the conceptions of half-materialistic fluid (for example, "spiritual matter") as the media of rapport. Many students refer to Christian'Science as one of the cases of harmonialism. Perhaps it is true to their ideas of the psychosomatic causes of diseases, but Christian Science has neither conceptions of "rapport" nor that of materialistic fluid. The materialistic conceptions of fluid changes into a metaphysical conception of "divine Mind" of Christian Science. We can show you another same change as the transition of the conception of the fluid, in that of healing arts. The commonest arts of healing of harmonialism, especially in the case of mesmerism, are "therapeutic touch" or "rubbing", which is done to transmit the fluid into the affected body organ. But in Chrisitian Science, they had no conceptions about such fluid so there are no arts to pass the fluid. These two points also show where Christian Science is to the strand of harmonialism. And my study can be some critic to the tendency of the contemporary research of faith healing, which is apt to focus only on the thought or cause of healing.
著者
日野林 俊彦 赤井 誠生 金澤 忠博 大西 賢治 清水 真由子
出版者
藍野大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

初潮年齢は、個人の発達指標であるとともに、生活史理論から見ると進化発達的指標でもあり、発達の加速は進化における異時性の視点からも興味深い。近年、日本における平均初潮年齢は、低年齢化したままで変化は少ない。しかし、進化的傾向に逆行する、低年齢化の影響は、女性の発達に大きな影響を与えている。初潮年齢は、朝食や、睡眠時間のような健康習慣が悪化すると低い傾向が見られた。一方、性別受容は、既潮群の肯定率が低い。また、思春期前後では「保育士」ような、乳幼児に関わる職業が選択される傾向がみられるが、時代的に選択率が低下する傾向もみられ、思春期に子供への関心を高める効果が低下していることも考えられる。
著者
丁 育華 近藤 光男 村上 幸二郎 大西 賢和 渡辺 公次郎
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.43.3, pp.13-18, 2008-10-25 (Released:2017-01-01)
参考文献数
18

近年、我が国では人口減少、超高齢社会を迎える時代にあり、コンパクトシティの構築が要求されている。その中、都心居住の促進は今後の都市づくりに貢献すると考えられる。本研究は、高齢者を考慮し、徒歩で暮らせる都心居住空間を創出するため、都市施設に対する重要度および都市施設までの移動距離に対する満足率に着目し、住民の視点から都市施設に基づく居住環境を評価するための評価指標、および評価モデルを作成した。そして、作成した評価モデルを地方都市に適用し、現状の居住環境を評価した。その結果、都心に近い地点の方が高く評価されていることが判明した。
著者
吉田 純土 中西 賢也 豊辺 将嘉 岩崎 正久 渡辺 英俊 日向野 茂
出版者
一般社団法人 交通工学研究会
雑誌
交通工学論文集
巻号頁・発行日
vol.5, no.4, pp.A_8-A_17, 2019

<p><tt>政府による「観光立国推進基本計画」の策定等を受け、官民が一体となった観光関連事業が推進される中、一部の観光地においては街路空間における歩行者の混雑が深刻になっている。そこで本研究においては歩行者の歩行目的に特徴を有する地域において観測を行い、歩行速度、歩行密度等のデータを収集したうえで、交通容量を算出し、「観光」目的の歩行者が多い地域と「通勤」目的の歩行者が多い地域等とを比較した。</tt> <tt>その結果、「観光」目的の歩行者は、「通勤」目的の歩行者と比べ集団歩行が多いこと、立ち止まりが多いこと、歩行速度が遅いこと、単位幅員あたりの交通容量が小さいこと等が明らかになり、観光地やその周辺市街地等における歩行動線の検討や歩行空間整備に関しては観光地特有の対応方策や歩道整備水準の策定等が必要であることを示した。</tt></p>
著者
安藤 有里子 大西 賢人 緒方 佑莉 郷田 朋子 諸宇 ヒブン 中西 美紗緒 定月 みゆき 大石 元
出版者
日本産科婦人科内視鏡学会
雑誌
日本産科婦人科内視鏡学会雑誌 (ISSN:18849938)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.377-382, 2019

<p> Omental pregnancy is a subtype of abdominal pregnancy, which accounts for <1% of all ectopic pregnancies. Definitive diagnosis is challenging due to its rarity and difficulty in localizing its implantation site. Here, we describe the case of a 20-year-old nulliparous woman with omental pregnancy, referred to our hospital due to acute abdominal pain and high serum human chorionic gonadotropin levels. The gestational sac was not detected on a pelvic ultrasound examination. Abdominal contrast enhanced computerized tomography (CT) revealed an intra-abdominal hemorrhage and a 3-cm mass in the omentum. Diagnostic laparoscopy confirmed the omentum as the implantation site, following which complete resection of the lesion was performed. Histopathological analysis confirmed the diagnosis of omental pregnancy. Her postoperative course was uneventful. Our findings suggest that CT and laparoscopy are useful when the implantation site could not be visualized via ultrasonography in ectopic pregnancy. In addition, we discuss the association between emergency contraception and ectopic pregnancies.</p><p></p>
著者
鳴海 俊治 今西 賢悟 大山 力
出版者
弘前大学大学院医学研究科・弘前医学会
雑誌
弘前医学 (ISSN:04391721)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2-4, pp.101-106, 2011-12-26

2010年10月1 日より財団法人鷹揚郷からの寄付講座として弘前大学大学院医学研究科に先進移植再生医学講座が設立された.1997年10月16日に「臓器の移植に関する法律」が施行されて以来,青森県においても八戸市立市民病院から2 例の脳死下臓器提供があった.一方,2010年7 月17日より改正臓器移植法が施行され脳死下臓器提供者は増加しているものの,心停止下の提供者は減少しており,臓器提供全体は増加していないのが現状である.本講座の設立を機会に青森県の移植医療,特に肝移植と腎移植に関する歴史を紐解き,本邦及び青森県の移植医療の現状を報告するとともに,その発展に必要な事項や取り組みを述べる.
著者
小西 行郎 秦 利之 日下 隆 諸隈 誠一 松石 豊次郎 船曳 康子 三池 輝久 小西 郁生 村井 俊哉 最上 晴太 山下 裕史朗 小西 行彦 金西 賢治 花岡 有為子 田島 世貴 松田 佳尚 高野 裕治 中井 昭夫 豊浦 麻記子
出版者
同志社大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2012-06-28

発達障害とりわけ自閉症スペクトラム障害(以下ASDと略す)について、運動、睡眠、心拍、内分泌機能、体温などの生体機能リズムの異常を胎児期から学童期まで測定し、ASDにはこうした生体機能リズムの異常が症状発生の前、胎児期からでも見られることを発見した。それによって社会性の障害というASDの概念を打ち破り、生体機能リズムの異常としてのASDという新しい概念を得ることができた。この研究を通して、いくつかのバイオマーカを選択することが可能になり、科学的で包括的な診断方法を構築すると共に、障害発症前に予防する先制医療へ向けて展望が開けてきた。
著者
片岡 真 大西 賢人 井川 友利子 西川 真樹子 栃原 幸恵 天野 絵里子
出版者
メディア教育開発センター
雑誌
メディア教育研究 (ISSN:18846777)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.19-31, 2011-03-03

図書館が扱う学術情報は,電子ジャーナルやデータベース,学術情報リポジトリの例に見られるように,電子化が進み,ユーザはこれらの電子リソースにWebを通じてアクセスすることが主流になった。多様な携帯デバイスを用いた電子書籍の利用もこれからますます増加していく。一方,図書館の外のWebの世界では,GoogleやAmazonなどが検索の周辺技術を進化させ,ユーザがリソースを利用するための,より利便性の高い検索とインターフェースを提供しており,そのようなWebの環境に慣れ親しんだユーザの期待と図書館の提供するソリューションにはギャップがあった。しかしながら,ようやく図書館のサービスにもこのような最新のユーザ利用支援技術の実装が進んできている。本稿は,図書館で実践が行われつつある様々なユーザ支援技術として,ディスカバリ・インターフェースとWebスケール・ディスカバリ・サービスを基点として,シラバス連携などのサービスを紹介する。また,現在国内の多くの図書館が抱えているWeb技術適用に関する課題として,システム調達と人材開発における問題点を指摘し,持続可能な発展という観点から,その打開策を探る。最後に,図書館がWeb技術を身につけた上で,今後どのような役割を担うことができるのか,一つの方向性を提示する。It has become common for library users to access to electronic resources which libraries provide via the Internet, such as electronic journals, databases and institutional repositories. Usage of e-book on diverse mobile devices may increase more than ever. As Google and Amazon provide advanced search technologies and interfaces to give users a better findability and accessibility, there has been a gap between library solutions and expectations from users, who are familiar with such Web environment. However, the implementation of advanced Web technologies into library services has been promoted these days. This article, at first, introduces such user support technologies as discovery interface, Web-scale discovery and cooperation with Learning Management Service. Secondly, we discuss a common issue shared with libraries in Japan, lying in the system procurement and human resource development, from the point of view of sustainable evolution. At last, we propose a new role of libraries beyond implementation of the Web technologies.
著者
片岡 真 大西 賢人 井川 友利子 西川 真樹子 栃原 幸恵 天野 絵里子
出版者
放送大学ICT活用・遠隔教育センター
雑誌
メディア教育研究 (ISSN:18846777)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.S19-S31, 2011

図書館が扱う学術情報は,電子ジャーナルやデータベース,学術情報リポジトリの例に見られるように,電子化が進み,ユーザはこれらの電子リソースにWebを通じてアクセスすることが主流になった。多様な携帯デバイスを用いた電子書籍の利用もこれからますます増加していく。一方,図書館の外のWebの世界では,GoogleやAmazonなどが検索の周辺技術を進化させ,ユーザがリソースを利用するための,より利便性の高い検索とインターフェースを提供しており,そのようなWebの環境に慣れ親しんだユーザの期待と図書館の提供するソリューションにはギャップがあった。しかしながら,ようやく図書館のサービスにもこのような最新のユーザ利用支援技術の実装が進んできている。本稿は,図書館で実践が行われつつある様々なユーザ支援技術として,ディスカバリ・インターフェースとWebスケール・ディスカバリ・サービスを基点として,シラバス連携などのサービスを紹介する。また,現在国内の多くの図書館が抱えているWeb技術適用に関する課題として,システム調達と人材開発における問題点を指摘し,持続可能な発展という観点から,その打開策を探る。最後に,図書館がWeb技術を身につけた上で,今後どのような役割を担うことができるのか,一つの方向性を提示する。