著者
小山 英彦 北 貴志 大江 理英
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.25, no.5, pp.373-378, 2018-09-01 (Released:2018-09-01)
参考文献数
21
被引用文献数
1

甲状腺手術の周術期死亡率は0.4%以下と低く,日帰り手術を行っている施設も少なくない。一般的な外科術後合併症の他に,危機的上気道閉塞,術後出血・血腫,反回神経麻痺などの合併症があり,これらの頻度は少ないものの,発生した場合の多くは集中治療管理を要することになる重要な合併症である。特に危機的上気道閉塞は,発生頻度は約1%と少ないが,死に至る可能性のある重要な合併症である。危機的上気道閉塞は術後出血・血腫による気管外からの圧迫,静脈およびリンパうっ滞による頸部腫脹および喉頭浮腫,さらに反回神経麻痺などが複合的な原因となって発生すると考えられているが,リスク因子など不明な点も多い。その発生を完全に予測することは困難であり,対応は早期発見・早期介入が原則である。医療チームは,危機的上気道閉塞の危険性や非常時の対応について理解を深めることが重要である。
著者
香川 貴志
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2021, 2021

<p>本報告は、地理学が都市復興において果たせる役割を都市地理学の観点から提案したものである。都市復興の際には都市計画法に基づいた用途地域指定が基盤となる。旧来の用途地域指定は二次元的に地表を区分するものであったが、津波被害からの復興を視野に入れると三次元的な観点が必要である。用途地域指定に際しては、自然地理学研究者が数値標高モデルを活用して作業に関与し、人文地理学研究者が私権制限を最小限にするために参画すべきである。こうした取組が地理学のプレゼンスを一層高めることになるだろう。</p>
著者
赤坂 貴志 飯塚 佳代
出版者
専修大学情報科学研究所
雑誌
専修大学情報科学研究所所報
巻号頁・発行日
no.92, pp.7-11, 2018-07

私たちの生活を取り巻くものとしてスマートフォンは欠かせないものとなりつつある.スマートフォンの利用者増加に伴いソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の利用者も増加傾向にある.本研究では,現代社会における若者へのSNSの浸透の深さに着目し,インスタグラム利用者におけるファッションの購買行動について19歳~30歳の若者を対象に調査を行い,ファッション認識・行動にInstagramがどのように影響するかについて分析を行った.
著者
今間 俊博 斉藤 貴志 井草 拓
出版者
日本図学会
雑誌
図学研究 (ISSN:03875512)
巻号頁・発行日
vol.41, no.Supplement1, pp.199-202, 2007 (Released:2010-08-25)
参考文献数
3

人間の視感覚には, 「メンタルモーション」のように非線形の要素が存在し, そのためアニメーション映像の制作においては, 物体のパースペクティブや動作のタイミング, 加速度といったアニメーションを構成する各要素が意図的に誇張・変形される場合がある.これらの誇張・変形量については, 感覚的に理解させる事は出来ても, これまで論理的, 数値的に履修させる事は難しかった.本手法では, 既存の2次元アニメーション作品からアニメーションの動きデータを抽出し, その抽出データを用いて3次元アニメーションで同様なシーンを構成し, その比較を行っている.この手法によって, アニメーションの持つ独特な「動きの質感」を理解させるための教育的な試みを紹介する.
著者
西山 保弘 工藤 義弘 矢守 とも子 中園 貴志
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.A1O2003, 2009

【目的】<BR> 本研究では温浴と冷浴との温度の落差が自律神経活動や体温に与える影響を検討したので報告する.<BR>【方法】<BR> 文書同意を得た健常男性5名(平均年齢23.8±4.91歳)に温浴41&deg;Cと冷浴15&deg;Cならびにその両方を交互に行う交代浴の3つの部分浴を実施した.交代浴の方法は水関らの温浴4分,冷浴1分を4回繰り返し最後は温浴4分で終わる方法に準じた.温浴のみは計20分、冷浴のみは計10分浸漬した.安静馴化時から部分浴終了後120分間の自律神経機能、舌下温度、血圧、心拍数、動脈血酸素飽和度、手足の表面皮膚温を検出した.測定間隔は安静馴化後、施行直後、以下15分毎に120分までの計7回測定した.表面皮膚温度は、日本サーモロジー学会の測定基準に準じサーモグラフィTH3100(NEC三栄株式会社製)を使用した.自律神経機能検査は、心電計機能を有するActivetracer (GMS社製 AC301)を用いて被検者の心拍変動よりスペクトル解析(MemCalc法)を行いLF成分、HF成分を5分毎に平均値で計測した.統計処理は分散分析(one way ANOVA testと多重比較法)を用いた.<BR>【結果】<BR> 副交感神経活動指標であるHF成分は、交代浴終了後60分以降より有意差をみとめた(P<0.05).温浴と冷浴は終了後60分で変化が一定化し有意差は認めなかった.交感神経活動指標とされる各部分浴のLF/HF比は、温浴と冷浴は変化が少なく交代浴は終了後60分から低下をみたが有意差は認めなかった.舌下温度は、交代浴と温浴(P<0.01)、交代浴と冷浴(P<0.01)、温浴と冷浴(N.S.)と交代浴に体温上昇を有意に認めた.表面皮膚温にこの同様の傾向をみた.最高血圧は、交代浴と温浴(P<0.01)、交代浴と冷浴(P<0.01)、温浴と冷浴(P<0.01)で相互に有意差を認め交代浴が高値を示した.<BR>【考察】<BR> 交代浴と温浴および交代浴と冷浴の相異はイオンチャンネル(温度受容体)の相異である.温浴は43&deg;C以下のTRPA4、冷浴は18&deg;C以下のTRPA1と8&deg;Cから28&deg;CのTRPM8、交代浴はこのすべてに活動電位が起こる.もう一つは温度幅である.温水41&deg;Cと冷水15&deg;Cではその差は26&deg;C、体温を36&deg;Cとすれば温水温度とは5&deg;C、冷水温度とは21&deg;Cの温度差がある.この温度幅が交代浴の効果発現に寄与する.単温の温浴や冷浴より感覚神経の刺激性に優れる理由は,温浴の41&deg;Cと冷浴の15&deg;Cへの21&deg;Cの急激な非侵害性の温度差が自律神経を刺激しHF成分変化を引き起こす.また交代浴の体温上昇からは、温度差は視床下部の内因性発熱物質(IL1)を有意に発現させたことなる.<BR>【まとめ】<BR> 温度落差が自律神経活動に及ぼす影響は、単浴に比べ体温を上昇させること、副交感神経活動を一旦低下を惹起し、その後促通するという生理的作用に優れることがわかった.
著者
貴志 将紀 日野 斗史和 石本 泰星 田村 公之 赤澤 直紀
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
pp.11978, (Released:2021-03-18)
参考文献数
52

【目的】本研究の目的は,高齢肺炎患者における嚥下能力と大腿四頭筋の筋内非収縮組織量との関連を調査することである。【方法】対象は入院高齢肺炎患者47 名とした。嚥下能力はFood Intake Level Scale(以下,FILS)を用い,大腿四頭筋の筋内非収縮組織量は超音波画像の筋輝度から評価した。大腿四頭筋の筋輝度は左右の大腿直筋と中間広筋の平均値とした。筋輝度は筋内非収縮組織が多いほど高値を示す。FILS を従属変数,筋輝度,筋厚,皮下脂肪厚,年齢,性別,発症からの期間,GNRI,CRP,UCCI,投薬数を独立変数とした重回帰分析を実施した。【結果】重回帰分析の結果,筋輝度(β:–0.386),GNRI(β:0.529),皮下脂肪厚(β:–0.339)が独立し有意な変数として選択された(R2:0.484)。【結論】高齢肺炎患者の嚥下能力には,大腿四頭筋の筋量よりも,筋内非収縮組織量が関連することが明らかとなった。
著者
東原 貴志 佐藤 ゆかり 永井 克行
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
vol.44, pp.617-618, 2020

<p>新型コロナウイルス(COVID-19)感染症の拡大防止のために実施された小中学校の臨時休校や博物館等の社会教育施設の臨時休業の結果,子どもたちに対する科学教育の機会の喪失が社会問題となっている。そのため,上越科学館では子どもたちが大人と一緒に自宅で科学遊びや工作を楽しむことを目的として,「おうちでサイエンス」と題した科学実験の動画配信を2020 年5 月から行っている。これらの動画を教員養成系大学の学部生に視聴させた結果,自宅で科学遊びや工作を行う内容について評価する意見が多く,科学教育に寄与するのではないかと考えられた。</p>
著者
西堀 すき江 小出 あつみ 山内 知子 間宮 貴代子 松本 貴志子 森山 三千江 山本 淳子 近藤 みゆき 石井 貴子 小濱 絵美 加藤 治美 伊藤 正江 筒井 和美 野田 雅子 亥子 紗世 菱田 朋香 熊谷 千佳
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.29, 2017

【目的】愛知県は尾張地方と三河地方に分かれる。また、名古屋は江戸時代より経済活動が盛んで、昭和の初期には既に人口100万人を擁した大都市で、商業や工業が発展していた。周辺の農村地帯は、豊かな生産性の高い土地で、農村特有の食文化を形成していた。一方、海岸地区では海辺に自生する植物で、奥三河の山里では木の葉でもちを包んだりし、身近な自然からの恵を利用した食文化を形成していた。<br />【方法】愛知県を①名古屋市,②尾張水郷(海部),③尾張稲沢(尾張北部),④愛知海岸(知多,西三河・東三河の海岸,渥美),⑤西三河・安城,⑥東三河・豊橋,⑦愛知山間・奥三河の7地区に分け,聞き書き調査,並びに料理の撮影を行った。聞き書き調査は,平成24・25年,撮影は平成27年に行った。聞き書きは,各地区に長年暮らし,その地域の家庭料理を伝承されている方を調査対象者とした。撮影に当たっての料理作成は,聞き書き対象者が高齢であるため,各地区の伝統的家庭料理の保存活動を行っている団体・個人などに作成依頼を行った。先の調査を収録した『日本の食生活全集(23) 聞き書 愛知食事』を参考にした。<br />【結果】茶の湯の盛んな名古屋地区は、有名な和菓子屋が数軒有り、来客時のお茶菓子や、通常のおやつは店で購入することが多かった。名古屋の和菓子として名高いういろうも購入していた。農村地帯では、稲作や年中行事に関わるおやつが多かった。奥三河地区では、貴重な米を使った五平もちはご馳走であった。また、雪深く、正月は花が咲かないことから作るもち花や、身近なほう葉を使ったほう葉もちと山間部の特徴が見られた。また、米が貴重で、もちを搗く時は、普段は必ず大豆、きび、あわ、よもぎなどを混ぜて搗いた。
著者
堀井 啓史 横山 由香 河瀬 貴志 牧野 耕次
出版者
滋賀県立大学人間看護学部
雑誌
人間看護学研究 (ISSN:13492721)
巻号頁・発行日
no.10, pp.117-124, 2012-03-31

背景 男性看護師の就業者は大幅な増加傾向にあり、近年は一般科病棟に配属・希望する男性看護師も増加している。男性看護師としての職場も、選択しやすい環境へと変化しつつあるが、精神科では現在でも他科と比較して男性看護師の割合が高い。精神科において男性看護師は、不穏時対応における「力」を求められ、その役割を少なからず感じ、発揮している。しかし、不穏時対応以外でも、男性看護師は女性とは異なる役割を発揮し担っていると考えられる。 目的 精神科における男性看護師の役割意識とその関連因子を明らかにすることを目的とした。とくに、不穏時対応以外の役割に焦点をあてた。方法 近畿圏の精神病院に勤務する男性看護師10名を対象に、男性看護師の役割意識に関する半構成的面接を行った。逐語録を質的帰納的に分析し、順に下位カテゴリーおよびカテゴリーを抽出した。 結果 分析の結果、精神科における男性看護師の不穏時対応を除いた役割意識として、《男性であることを生かした関わり》《男性看護師としての意識はしない》《女性患者への対応で意識をする》の3カテゴリーが抽出された。また、男性看護師の役割意識に関連した因子として、《使命感としての不穏時対応》《男性看護師のイメージをもっている》《少数派であることに関する思い》の3カテゴリーが抽出された。 考察 男性看護師は日常の看護の中で、或いは業務の中で男性であることを自身の強みとして、行動を起こしていることが分かった。これにより、精神科看護において、男性看護師の役割分担に関する示唆が得られた。さらに、少数派である男性看護師の役割が明確になり、女性看護師と協働していく上での一助となると考えられる。 考察 男性看護師は日常の看護の中で、或いは業務の中で男性であることを自身の強みとして、行動を起こしていることが分かった。これにより、精神科看護において、男性看護師の役割分担に関する示唆が得られた。さらに、少数派である男性看護師の役割が明確になり、女性看護師と協働していく上での一助となると考えられる。 結語 1.《男性であることを生かした関わり》《男性看護師としての意識はしない》《女性患者への対応で意識をする》が、不穏時対応を除いた男性看護師の役割意識のカテゴリーとして抽出された。2.《使命感としての不穏時対応》《少数派であることに関する思い》《男性看護師へのイメージを持っている》が、男性看護師の役割意識の関連因子におけるカテゴリーとして抽出された。
著者
山形 拓 平澤 大 藤田 直孝 尾花 貴志 菅原 俊樹 大平 哲也 原田 善博 前田 有紀 小池 良樹 鈴木 憲次郎 山本 康央 日下 順 田中 恵 野田 裕
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.56, no.7, pp.2211-2219, 2014 (Released:2014-07-29)
参考文献数
20

【目的】Barrett腺癌は正常扁平上皮下へ側方進展することがあり,癌が表層に露出していないため内視鏡による範囲診断が困難となる.Barrett腺癌の扁平上皮下進展部の内視鏡的特徴を明らかとし,その範囲診断に酢酸撒布法が有用であるかを検証することを目的とした.【対象と方法】当センターで内視鏡切除したBarrett腺癌25例を対象とした.扁平上皮下進展の存在と進展範囲を病理学的に検討した.その後,Barrett腺癌の扁平上皮下進展部の内視鏡画像をReviewし,その同領域の内視鏡的特徴および出現頻度を検討した.【結果】Barrett腺癌25例中10例(40%)に扁平上皮下進展を認めた.扁平上皮下進展部の内視鏡所見は,白色光では淡い発赤,扁平隆起,NBIでは淡い茶褐色を呈していた.扁平上皮下進展部に1.5%酢酸を撒布すると,小孔,小白斑,溝状の構造が観察され,この所見をSmall White Signsと呼称した.上述の所見によるBarrett腺癌の扁平上皮下進展部の範囲診断正診率は白色光50%,NBI 43%,酢酸撒布法100%であった.【結語】Barrett腺癌の扁平上皮化進展部の内視鏡診断に酢酸撒布法は有用であった.
著者
松本 有記雄 伯耆 匠二 中坪 あゆみ 西洞 孝広 野呂 忠勝 貴志 太樹 高見 秀輝 河村 知彦
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.84, no.2, pp.233-240, 2018 (Released:2018-03-20)
参考文献数
14

アワビ類の好適な初期餌料である針型珪藻Cylindrotheca closteriumが,水温20℃,照度1500-2000 Lxで良好に増殖することを明らかにした。加えて,針型珪藻を事業規模での飼育に用いるために,大量培養法と採苗板への付着方法を検討した。本種は付着力が弱く,攪拌培養すれば大量の珪藻細胞を懸濁液として得られる。この懸濁液を採苗板を収容した水槽に添加して,懸濁液中の珪藻の一部を採苗板に付着させた後,付着した一部の珪藻細胞を増殖させることで,板上で本種を優占させることができた。
著者
荒木 李彩 貴志 倫子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.66, 2014

<b>目的</b> キャリア教育は生活キャリアと職業キャリアの両方を統合した多様な人生役割を形成するものである。家庭科はキャリア発達に関係深い教科であり、中でも生活設計教育は、仕事と生活の調和を考えさせながら学習していくことが求められている。新学習指導要領では、生涯を見通す視点が強調されており、人生経験の少ない生徒に生涯を見通す視点を持たせる工夫が必要である。そこで、本研究では、生活設計において高校生が人の一生を多様な視点を持って展望できる教材の開発を行うことを目的とする。<br><b>方法</b> 1)平成23年度検定の家庭総合・家庭基礎の教科書16冊より生活設計に関する教材を分析する。2)NHKで放映された「7年ごとの記録:イギリス56歳になりました」を素材として教材を作成し、模擬授業による評価を行う。<br><b>結果</b> 1)家庭基礎の教科書10冊中5冊は家庭総合と同一の内容であり、家庭基礎であっても生活設計の立案を行う内容が多数存在した。2)教科書には、生涯の見通しを持たせる工夫として「生活設計の立案」「人物モデルの事例」「年齢別データ」がみられた。3)人の一生を7歳から56歳まで追った映像からライフイベントを見出す教材を作成し、模擬実践を行ったところ、生活設計への関心を呼び起こすなどの効果と授業実践に向けての課題が明らかとなった。