著者
山下 博樹 藤井 正 伊藤 悟 香川 貴志
出版者
鳥取大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

平成16〜17年度の2年間における本研究課題では、リバブル・シティとしての評価が高いカナダ・バンクーバーとオーストラリア・メルボルンにおける公共交通網を基軸とした都市圈整備に関する現地調査を実施し、わが国における都市圈整備の方向性を検討することを目的とした。その研究成果の概要は、次の通りである。1.バンクーバー都市圈では、1970年代からの取り組みをベースにしたGVRDによる"Livable RegionStrategic Plan"を基に、公共交通網の再整備と結びついたコンパタトで高密度な街づくりが郊外タウンセンターで実践され、利便性の高い日常生活拠点として整備されている。2.メルボルン都市圈では、1990年代から取り組んできた市街地拡教化防止のための土地利用規制に加えて、2002年に第定されだMelbourne 2030"による持続可能な都市圈整備の取り組みがスタートし、郊外のディストリクト・センターを中心に公共交通でもアクセズ可能で、多様な機能集積による利便性の高い中心地形成が進められている。3.これらの両都市圈での詳細な土地利用調査や公共交通網整備の状況などから、21世紀の持続可能な都市整備方針としてのリバブル・シティの特性の一端を明らかにすることができた。4.わが国でのリバブル・シティ形成の可能性は、東京、大阪など公共交通網の発達した大都市部では高い実現性を有するが、反面、過密な人口密度などによる弊害をどのように緩和するか等の新たな課題が生じる。地方都市部では、低い人口密度とモータリゼーションにより、持続可能な市街地整備の必要性が一層高まっているが、その状況はむしろ悪化しつつある。高齢化の進展などに対応したバリアフリー化などの視点からの再整備が有効であると考えられる。
著者
井戸川 貴志 出口 博之 辻 幹男 繁沢 宏 高木 信雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C, エレクトロニクス (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.89, no.5, pp.321-328, 2006-05-01
被引用文献数
17

単純なストリップ導体を二次元周期配列して構成されるオフセット給電のマイクロストリップリフレクトアレーにおいて,広帯域な特性の実現を目指して,長さの異なる線状素子を一方向に密に配列して構成し,その簡易設計法について述べている.本法の妥当性は,モーメント法をもとにした数値解析,及び試作した単層構造のマイクロストリップリフレクトアレーのX帯での放射パターンの測定評価によって検証している.
著者
有本 裕彦 高里 良男 正岡 博幸 早川 隆宣 秋元 秀昭 八ツ繁 寛 東森 俊樹 森川 健太郎 菅原 貴志 小町 裕志 本間 正人
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.38-44, 2008 (Released:2009-04-30)
参考文献数
10
被引用文献数
3 3

「目的」来院時の臨床症状や検査結果から脳幹出血患者の予後因子の検討を行った.「方法」過去5年間に当院に入院した脳幹出血70例(男51名,女19名,29∼93歳,平均59歳)の年齢,来院時臨床症状,来院後6時間以内の血糖値,白血球数,来院時CTでの血腫量,血腫の範囲,水頭症の合併,脳室内穿破の有無と予後を統計学的に解析し検討した.「結果及び結論」年齢では70歳以上の83%が死亡,70歳以下の55%が死亡し70歳以上で死亡率が増加する傾向を認めたが有意な相関はなかった(P=0.07).臨床症状では来院時に四肢麻痺か除脳硬直肢位(P<0.01),対光反射消失例(P<0.05)が有意に予後不良であった.来院時血糖値は200 mg/dl以上の症例(P<0.05),白血球数は10,000 /mm2以上(P<0.01)で予後と相関が認められた.またCT所見では血腫量が6 ml以上の血腫で最も強く予後に相関が見られた(P<0.001).血腫範囲では中心型血腫や中脳・視床,延髄に進展のみられる例(P<0.05),水頭症合併例,脳室内穿破合併例に予後と相関が認められた(P<0.01).
著者
徳田 貴志 河合 浩志 岡田 裕 福井 泰好
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学會論文集. A編 (ISSN:03875008)
巻号頁・発行日
vol.76, no.770, pp.1255-1262, 2010-10-25
被引用文献数
3

Although three-dimensional finite element analysis has become a common tool in the industries to perform their design analyses, there still exist some difficulties in performing three-dimensional fracture analyses. One of them is that although automatic mesh generation techniques are available for tetrahedral finite elements, hexahedral finite elements are commonly used in three-dimensional crack analyses. The other is that the analysis models tend to be large in their scales. Therefore performing a three-dimensional fracture analysis takes much manual labor in the analysis model generation processes and computational time. In present research, the authors have been developing a fracture mechanics analysis system that minimizes the manual labor. The key components in the analysis system are a mesh generation software and the virtual crack closure-integral method (VCCM) for the second-order tetrahedral finite element to evaluate the crack parameters (the energy release rates and the stress intensity factors). Based on them, the software system was carefully designed to handle large scale analysis model. In this paper, as the first report, the outlines of the system and the finite element model procedures are described.
著者
大籔 貴志 浅野 晃
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SIS, スマートインフォメディアシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.203, pp.29-33, 2009-09-17
被引用文献数
1

道端で草花を見つけた時,その草花が何であるかを調べる場合には,専門家に聞く,もしくは植物図鑑で調べる等といった方法しか存在しない.また,Web上の画像検索システムにより,花の名前から画像を見つけ出すことは可能であるが,画像からその花の名前を特定することは不可能である.本研究は,この機能を類似画像検索によって提供し,画像をキーとする植物図鑑システムを構築することを目的としている.画像処理によって画像から得られる様々な特徴量の中でも,特に花の形状は,撮影条件で大きく変わるので一定の特徴量を抽出することは難しく,既存の研究においては花弁に対して真正面から撮ることを原則とするなどの制限が必要であった.そこで,本研究では様々な撮影条件に対して適応可能なシステムを作ることを目指し,形状の情報を用いず,花画像の類似度を,花弁部の抽出と色空間の変換,花弁の色相分布の相関演算によって求めることとする.基礎実験では,行ったすべての検索のうち,キーとした花が検索結果に入る割合を求め,それを検索適合率とした.データベースに登録している花画像は,ディジタルカメラによって撮影されたものであり,キーとして入力したのは,登録されている花と同種の花を携帯電話で撮影したものである.実験を行った結果,検索適合率は72%となり,本手法による画像検索の有効性を示すことができた.
著者
細野 芳樹 古田 智彦 須原 貴志 松尾 篤 桑原 生秀 平岡 敬正
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.165-168, 2005-01-25 (Released:2009-05-26)
参考文献数
8

症例は28歳,男性.以前より胆石を指摘されていたが無症状の為放置していた.職場の検便検査でサルモネラ菌の排菌を指摘され,抗菌薬にて除菌治療を行った.しかし,その後も同様に除菌治療を行ってもサルモネラ菌の排菌を繰り返し,再び抗菌薬治療を行ってもサルモネラ菌を便中に排菌する可能性が高いと考えられた.原因の一つとして胆石が疑われた為,胆嚢摘出術を行った.術後の細菌学的検査では,破砕胆石より便培養で検出されたものと同種のサルモネラ菌を検出した.術後経過良好にて術後第12病日に退院した.術後11カ月後に便培養を行ったがサルモネラ菌を検出しなかった.胆石や胆嚢奇形があるとサルモネラ菌無症候性長期保菌者になりやすいといわれている.胆石を有するサルモネラ菌長期保菌者は,原因の1つとして胆石症を疑い,積極的に胆嚢切除を考慮する必要があるものと思われた.
著者
木村 優花 川上 和宜 中村 匡志 横川 貴志 清水 久範 小林 一男 青山 剛 鈴木 亘 羽鳥 正浩 鈴木 賢一 高張 大亮 小倉 真理子 陳 勁松 中山 厳馬 若槻 尊 山口 研成 山口 正和
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.143, no.12, pp.1075-1081, 2023-12-01 (Released:2023-12-01)
参考文献数
21

Since it is important that patients take their oral anticancer therapy as prescribed, pharmacists need to assess adherence. In addition, oral anticancer drugs are expensive, and reuse of leftover drugs at outpatient pharmacy clinics is useful in reducing drug costs. The present study aimed to clarify when and why patients have leftover capecitabine tablets, and the cost of leftover capecitabine tablets reused at an outpatient pharmacy clinic, focusing on adjuvant capecitabine plus oxaliplatin (CAPOX) chemotherapy for gastric cancer. We retrospectively studied patients who received adjuvant CAPOX chemotherapy for gastric cancer between November 1, 2015, and April 30, 2021, at the Cancer Institute Hospital of the Japanese Foundation for Cancer Research. The cost of leftover capecitabine reused by pharmacists was calculated based on the National Health Insurance drug price standard for the study period. This study included 64 patients who received adjuvant CAPOX chemotherapy. Thirty-seven patients had 152 leftover capecitabine tablets. The most common reasons for leftover capecitabine tablets were nausea and vomiting (21.7%), missed doses (18.4%), and diarrhea (13.2%). The leftover capecitabine tablets for 25 patients were reused at the outpatient pharmacy clinic at a cost of JPY 604142.8 (JPY 24165.7 per patient). The study results suggest that evaluating capecitabine adherence and the reasons for leftover capecitabine tablets at outpatient pharmacy clinics as well as reusing leftover medication can contribute to reducing drug costs.
著者
浜元 信州 井田 寿朗 齋藤 貴英 小田切 貴志 綿貫 明広 横山 重俊
雑誌
研究報告インターネットと運用技術(IOT) (ISSN:21888787)
巻号頁・発行日
vol.2020-IOT-50, no.8, pp.1-8, 2020-07-03

群馬大学では,2020 年 4 月に全学無線 LAN システムの更新を行なった.本更新で無線 LAN アクセスポイントを全学的に増設したが,教室や会議室などの無線 LAN 導入の際には,アクセスポイント当たりの接続台数を算定することが必要となる.このため,本学の教育用端末を利用し,アクセスポイントに同時接続を行い評価試験を行なった.評価試験の結果,平均速度は,端末数 N の関数として,IEEE802.11n で 2.4GHz の場合には 60.261/N[Mbps],5GHz の場合には 148.26/N[Mbps],IEEE802.11ac の場合 181.64/N[Mbps] となった.また,1 アクセスポイントあたりの接続台数は,平均速度分布の歪度が正になることを条件とした結果,IEEE802.11n で 2.4GHz 接続で 12 台程度,5GHz の接続で端末数 30 台程度,IEEE802.11ac の場合は端末数 36 台程度と考えられることがわかった.
著者
貴志 学
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.193-201, 2020-11-25 (Released:2020-12-10)
参考文献数
27

The sap beetle Phenolia(Lasiodites)picta(MacLeay)(Coleoptera: Nitidulidae)is widely distributed in Asia, Australia, and Africa, but its basic biology has not been studied. In the present study, the seasonal prevalence of P.(L.)picta was investigated using banana bait traps in two regions, Minabe and Arida, Wakayama Prefecture, Japan, from April to October 2015 and 2016. Adults of P.(L.)picta occurred from late April–late October in Minabe, and late April–early September in Arida, respectively. The presence of larvae was observed twice in May–July and August–October in Minabe, but only once in May–July in Arida. These results imply that P.(L.)picta is a bivoltine in Minabe. The beetles oviposit in leaf mold, and a successful artificial rearing method was established using banana fruit and leaf mold. The effects of long and short photoperiods(long photoperiod, 14.5L:9.5D; short photoperiod, 10L:14D)on the ovarian development of females during ‘larval and pupal’ and ‘adult’ stages, respectively, were also studied in the laboratory. Females reared with a long photoperiod across all stages had significantly higher percentages of ovarian development(77.3%)than those reared with a short photoperiod during either ‘larval and pupal’ stages(20.0%)or ‘adult’ stages(35.0%).
著者
坂本 貴志
出版者
株式会社 リクルート リクルートワークス研究所
雑誌
研究紀要 Works Review (ISSN:24350699)
巻号頁・発行日
vol.13, no.8, pp.2-11, 2018 (Released:2019-10-08)

本研究の目的は,自己啓発の実施の有無が2 年後の正規雇用者の賃金の増減に対して影響を与えているのかを検証することである。本研究において,個人の能力をコントロールすると賃金上昇の効果は消失すること,専門的な技術を有する者がその周縁知識となる知識を身に付けることで業務能力や賃金の上昇につなげていること,資格取得を通じた学びが実際の業務能力向上や賃金の上昇につながっている可能性があることが示された。
著者
河村 宜克 藤田 基 井上 智顕 山本 隆裕 古賀 靖卓 八木 雄史 中原 貴志 戸谷 昌樹 金田 浩太郎 鶴田 良介
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.552-556, 2023-08-31 (Released:2023-08-31)
参考文献数
9

トンネル内で急性一酸化炭素(carbon monoxide,以下COと略す)中毒患者が多数発生した事例において,隣県のドクターヘリコプター(以下ドクヘリと略す)とともに傷病者7例を高気圧酸素(hyperbaric oxygen,以下HBOと略す)治療装置のある4施設に分散搬送したので報告する。トンネル内で作業員が倒れているとの情報で,ドクヘリが覚知要請された。 現場到着時,傷病者はトンネル内で,発電機を複数台持ち込み作業していたとの情報から,急性CO中毒を疑った。傷病者は7例で19〜58歳,全員歩行不能であり,JCS 1桁であった。 経皮的カルボキシヘモグロビン濃度は,測定可能であった4例では30%前後であった。最終的に救急車で直近のHBO治療装置保持施設に3例,次に近い施設に1例搬送した。山口県ドクヘリで2例,広島県ドクヘリで1 例をさらに離れたHBO治療装置保持施設2施設へ分散搬送した。
著者
山田 恭平 加藤 貴志 外川 佑 藤田 佳男 三村 將
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.239-246, 2018-06-30 (Released:2019-07-01)
参考文献数
27
被引用文献数
7 2

4 つの下位検査からなる脳卒中ドライバーのスクリーニング評価日本版 (J-SDSA) が開発されたが, 本邦における参考値は明確になっていない。そこで本研究の目的は, 脳損傷者において J-SDSA を用いて運転可能と判断される各下位検査のカットオフ値を示すこと, さらに得られたカットオフ値と下位検査の組み合わせから実車評価結果の予測精度を明らかにすることとした。対象は 7 施設, 94 名の脳損傷者である。対象者には J-SDSA を施行し, その後実車評価を行った。実車評価の結果は, 教習所指導員の判定に基づいて運転可能群と運転不適群に分類された。群間比較では, J-SDSA の方向, コンパス, 道路標識の得点で有意差を認め, 可能群の成績が良好であった。上記 3 つの検査のカットオフ値を算出し, 検査の組み合わせを検討したところ, 3 検査ともカットオフ値を上回った対象者については 80%以上の精度で運転可能と予測できた。また, 3 つとも下回った対象者については運転不適と予測できた。
著者
藤原 和政 川俣 理恵 粕谷 貴志
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
pp.93.21036, (Released:2022-08-30)
参考文献数
27

The present study investigates the changes in school satisfaction of high school students in credit-based schools. A total of 315 students (boys = 141, girls = 174) participated in longitudinal study surveys conducted annually during their high school years (a total of three surveys). The results of the latent growth curve model indicated that approved as a classmate increased, while infringed and maladjustment decreased. Furthermore, it was shown that the changes in approved as a classmate and infringed and maladjustment were linked. In addition, as a result of the growth mixture model, three profiles were extracted: (a) a profile similar to the latent growth curve model, (b) a profile in which there was no change in approved as a classmate but an increase in infringed and maladjustment, and (c) a profile in which there was no longitudinal change in either approved as a classmate or infringed and maladjustment. Based on these results, the direction of educational support in credit-based high schools and future prospects were discussed.