著者
中嶋 仁 東 大輝 都留 貴志 加納 一則
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2012, pp.48100637, 2013

【はじめに、目的】呼吸リハビリテーションプログラム(呼吸リハプログラム)の中で下肢の運動による持久力トレーニングは、エビデンスとして最も推奨されている。その方法は歩行練習、階段昇降練習、自転車エルゴメータ、トレッドミルなどがあるが、その中で最も処方されているのは歩行練習である。近年、歩行運動の一つとしてノルディックウォーキング(NW)が注目され、普及している。NWは、2本のポールを持ち歩行することで下肢だけでなく上肢にも負荷がかかり、通常歩行より高い運動効果が得られるとされている。糖尿病、パーキンソン病、心臓疾患や骨関節疾患のリハビリテーションにおけるNWの有用性が報告されている。しかし、日本における呼吸疾患に対するNWの取り組みや効果を報告したものはない。今回の研究の目的は、呼吸リハプログラムにおけるNWの導入効果について明らかにすることである。【方法】対象は、2週間の包括的呼吸リハ目的で入院した独歩可能な慢性呼吸器疾患患者7名(男性4名、女性3名、平均年齢72±8.6歳、VC:2.3±0.5L、%VC:86.8±31.5%、FEV1.0:1.2±0.6 L、FEV1.0%:53.6±14.1% %FEV1.0:59.0±18.0% )である。認知症、脳血管障害を有するものは本研究より除外した。対象者は入院中に呼吸方法、上下肢の筋力トレーニング、ストレッチや自転車エルゴメータなどの一般的な呼吸リハプログラムに加えNWを行った。NWの指導は、(社)全日本ノルディックウォーク連盟の公認指導員の資格をもつ理学療法士が行った。退院後は、自宅で継続させ週1回の外来フォローを行った。NWを加えた呼吸リハの効果判定として、運動耐容能、下肢筋力、健康関連QOL、身体活動量の評価を入院前1か月と退院後1か月に行った。運動耐容能の評価は6分間歩行テスト(6MWT)、下肢筋力は、ハンドヘルドダイナモメ-ター(アニマ社製μTasMT-1)を用いて膝伸展筋力を測定し体重支持指数(WBI:Weight Bearing Index)を求めた。健康関連QOLは疾患特異的尺度のThe St.George'S Hospital Respiratory Questionnaire(SGRQ)を用いた。身体活動量の評価は、スズケン社製の多メモリー加速度計測装置付き歩数計(ライフコーダー)を用いて計測した。計測値は、入院前1か月間と退院後1か月間の起床から就寝までとし1日の平均歩数を求めた。統計学分析として、入院前と退院後1ヵ月の各評価項目を対応のあるt検定を用いて検討した。【倫理的配慮、説明と同意】今回の研究は、当院の倫理委員会の規定に基づいて実施した。本研究の趣旨、内容、中止基準および個人情報の取り扱いに関して説明を行った上で研究協力の承諾を得た。【結果】WBIは入院前1ヵ月35.7±15.4%から退院後1ヵ月52.4±14.7%と有意に増大した(P<0.01)。6MWTは入院前1ヵ月359.2±181.5mから退院後1ヵ月474.5±123.4mと有意に増大した(P<0.05)。SGRQの総得点は入院前1ヵ月48.1±23.6点から退院後1ヵ月35.0±18.0点と有意に変化した(P<0.05)。 身体活動量は、入院前1ヵ月5386±2485歩から退院後1ヵ月8923±2140歩と有意に増大した(P<0.01)。【考察】全ての対象者が、入院前より退院後に身体活動量が増大しNWを継続して行っていた。NWという新しいアイテムが、対象者の運動意欲や運動の動機づけの刺激となり身体活動量が向上したと考える。NWは通常歩行に比べて同じ歩行速度でも心拍数が有意に高い、酸素摂取量が多い、上肢の筋活動が多い、そして、エネルギー消費が多いが主観的強度に差がないなど高い運動効果が報告されている。また、ポールの使用方法を変えることで運動強度を低強度から高強度と患者状態に合わせて運動することが可能である。このようなことから、通常の呼吸リハプログラムにNWを行うことで、運動耐容能、下肢筋力、健康関連QOL、身体活動量が有意に増大したと考える。しかし、今回の研究では通常の呼吸リハも実施しており、NWそのものの効果を証明したとは言えない。これからの課題は、比較対象試験を行いNWの効果を証明することである。【理学療法学研究としての意義】呼吸リハプログラムにNWを導入した報告は日本には無い。今回の研究の結果、多数ある呼吸リハプログラムの中に、NWが新しい構成要因になりうると考えられることに本研究の意義がある。
著者
柏木 孝介 貴志 真也 奥田 智史 木村 侑史 川上 基好 小林 啓晋 高崎 恭輔 山口 剛司 鈴木 俊明
出版者
社団法人 日本理学療法士協会近畿ブロック
雑誌
近畿理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.98, 2008

【目的】今回、試合中のバッティング動作において、腰痛を発症した高校野球選手のバッティングフォームを三次元動作解析したので、フォームと腰痛発症要因の関係について若干の考察を加え報告する。<BR>【対象】本研究に同意を得た年齢18歳の高校野球選手で右投げ右打ちの外野手である。試合のバッティング時に内角低めを空振りして腰痛発症し、腰部椎間板障害の診断を受け、3ヶ月の理学療法により症状消失した症例である。<BR>【方法】野球のティーバッティング動作を6台の赤外線カメラ(180Hz)を有する三次元動作解析装置UM-CAT_II_(ユニメック社製)を使用して分析した。そして、内角・外角の2コースを設定し、各コースのティーバッティング動作における腰部の回旋と脊柱の側屈の動きについて測定した。腰部の回旋や側屈は、15ヶ所に貼付したマーカーのうち両肋骨下縁のマーカーを結んだ線(胸郭線)に対する両上前腸骨棘を結んだマーカーの線(骨盤線)のX軸に対する水平面上の回旋や前額面上の傾きで計測した。回旋は上から見て反時計回りを左回旋とした。また、腰椎の回旋は骨盤線に対する胸郭線の回旋とした。側屈は後方から見て骨盤線が胸郭線に対し反時計回りに傾いた状態を左凸の右側屈とした。<BR>【結果】バッティングにおける体幹の動きは、内角や外角のボールを打つのに関係なく軸脚加重期(ステップ足が離床から膝最高点)では右凸の左側屈・右回旋、踏み出し期(ステップ側の膝最高点からステップ足の床接地)では左凸の右側屈・腰椎右回旋(骨盤左回旋>胸郭左回旋)、スウィング期からフォロースルー期にかけては左凸の右側屈と腰椎左回旋(骨盤左回旋<胸郭左回旋)を行う。内角と外角のボールを打つときのバッティングフォームの違いは、スタンス期の左側屈角度、スイング期、フォロースルー期における体幹右側屈角度と腰椎回旋角度が内角を打つ動作より外角を打つ動作のほうが大きかったことである。<BR>【考察】今回行ったティーバッティング動作の体幹の動きについての分析では、内角のボールを打つときにくらべ、外角のボールを打つときには体幹の側屈角度や回旋角度は大きくなった。このことから、関節角度が大きくなる外角のボールを打つ動作は、腰椎へのストレスが大きく障害発生の危険性が高いと思われる。しかし、今回の症例では、内角のボールを打つ際に空振りをして腰痛発症している。これは、脊柱の動きが少ない内角打ちを空振りしたため脊柱の動きが急に大きくなり、関節中心軸から逸脱した腰椎回旋を生じ腰痛を発症したと考えられる。今後は、実際にボールを打ったときの脊柱の動きと空振りをしたときの脊柱の動きについて検討する必要があると思われる。
著者
諸戸 貴志 濱川 礼
雑誌
マルチメディア,分散協調とモバイルシンポジウム2016論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, pp.322-327, 2016-07-06

日常生活中に出来る運動である階段の利用に対する意欲をゲーミフィケーションを用いて楽しさを感じさせることで向上させ,日常生活内で負担なく運動を行えるようになると考え,効果の検証のためにシステムの開発と評価を行った.近年のヘルスケアブームにより,サイクリングやランニングなどの運動を積極的に行う人が増えてきた.しかし,これらの運動は時間の確保や意欲の維持などが必要となる.本研究では運動のために時間を割くことなく日常生活中において出来る運動として階段の昇降に注目した.階段の昇りは,通常の歩行に比べ約 3 倍の運動量となりジョギング並の運動量になるとされるため,階段を利用することで日常生活に負担なく運動をこなす事ができると考えた.しかし,階段利用による健康意識はあるが行動に結びつかない人や継続して利用出来ない人など多くいると考えられる.本研究では近年多くの分野で注目されているゲーミフィケーションを用いることで階段利用を楽しく感じさせることで意欲の向上が出来ると考えた.ゲーミフィケーションとは楽しませ熱中させるゲームの要素や仕組みを用いてユーザの意欲を向上させ,日常の行動を活性化させようとするものである.ユーザーはカメラ付き HMD を装着し,AR により階段に付与されたゲームの要素の報酬を HMD を介して閲覧する.これにより少しでも楽しく階段利用が出来ると考えた.
著者
淺原彰規 嶋田 茂 丸山 貴志子
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.47, no.12, pp.3068-3078, 2006-12-15

交通渋滞などの交通情報をモバイル端末に提示するサービスのニーズは大変高まっており,そのため利用者の状況に合わせた分かりやすい地図表示が求められている.そこで,把握しやすく整形された要約地図を自動生成する技術がすでに開発されている.しかし,この技術により広域の道路地図を要約する機能を提供するには,前処理として道路のネットワーク構造を概略的構造へ要約する処理が必要である.そこで我々は,近接道路を併合することによりネットワーク構造を要約するアルゴリズムを開発した.また本方式の評価として,道路の経路図に対し本方式を適用し複雑度測定実験の評価とユーザに対するアンケート評価を行った.その結果,ネットワーク構造要約によって,地図の距離感を保ちつつより整形が進んだ要約経路図を生成できることが確認できた.これにより,広域の道路地図を動的に要約表示する見込みを得た.
著者
小出 あつみ 間宮 貴代子 松本 貴志子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.70, pp.133, 2018

<b>目的</b> 本研究は,伝統的発酵食品である豆味噌を中心とした6種類の味噌について理化学的特徴を検討した。<br><b>方法</b> 試料の味噌はイチビキ (I),野田(N),カクキュ(K),まるや(M)の豆味噌と野田の合わせ味噌(NM)および白味噌(NW)である。味噌の比重・塩分・糖度を測定した。色差計でL*・a*・b*値を,クリープメータ物性試験システムでテクスチャーを測定した。遊離アミノ酸分析は㈱イチビキに依頼した。統計処理は有意水準を5%で示した<i>Tukey</i>法で行った。<br><b>結果</b> 味噌の比重ではMが,塩分ではNWが,糖度ではMの値が有意(<i>p<0.05</i>)に高かった。色調では豆味噌の色調がNMとNWより有意に濃く,豆味噌の L*値に顕著な差はなかったが,a*値とb*値はN> M =I >K の順番で濃かった。テクスチャーの硬さ荷重・付着性・ガム性荷重は同じ傾向を示し,K >M >N >I >NM=NWの順番に高かった。しかし,凝集性はNMとNWで高かった。遊離アミノ酸含有量のうま味,甘味,苦味成分ではN・K・Mが高い値を示した。よって,豆味噌はNMとNWより濃い色調と硬いテクスチャーであり,遊離アミノ酸含有量が顕著に多かった。また,豆味噌のうち重石をした木桶熟成(K・M・N)味噌はタンク熟成(I)より比重,塩分および糖度の値が高く,色が濃く,硬く,遊離アミノ酸量が多かった。この要因として熟成方法の違いによる水分量の寄与が考えられた。
著者
松元 貴志 上原 邦昭 豊田 順一
雑誌
情報処理学会研究報告知能と複雑系(ICS)
巻号頁・発行日
vol.1987, no.82, pp.1-8, 1987-11-18

プログラム合成システムを一般的なユーザにとって使いやすいものとすることを目的とした、自然言語仕様からの仕様獲得支援機能およびプログラム合成過程の説明機能の実現手法を提案する。本手法では、はじめに自然言語で記述された仕様を解析し、次に解析結果に対して抽象化および対象領域の常識的知識による補完を行い形式的な仕様を作成する。最後に形式的仕様を目標とする計算機言語へと詳細化しプログラムを合成する。ユーザが自然言語で記述した初期的な仕様から、最終的にプログラムを合成するまでの全過程をシステムが管理しているために、仕様記述時のユーザの漠然とした認識に溯って合成されたプログラムを説明することができる。説明時には、仕様の解析および合成の際にシステムが参照した問題領域のモデルをもとに説明を生成するようにしている。A paradigm for generating explanation on program synthesis systems is proposed. In this paradigm, the course of program construction contains two stages, namely, interpretation and synthesis stages. In interpretation stage, the system parses natural language specifications first. Then formal specifications are derived form the results of parsing, by abstracting them away from the physical world, and complementing them with domain knowledge. In synthesis stage, formal specifications are refined into programs written in a programming language. After proposing synthesized programs to users, the system can explains what it did. Explanations are generated from the domain model used in the course of program construction.
著者
間宮 貴代子 小出 あつみ 阪野 朋子 松本 貴志子 山内 知子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.58-64, 2016

本研究では愛知県の雑煮を構成する食材について検討した。愛知県の雑煮の食材構成では,東日本で多く使用された角餅に,醤油とかつおだしの清まし仕立てが多かったが,これは味噌仕立を嫌った武家社会の歴史的影響である。具は古くからの形式が現在も維持され,縁起担ぎから,尾張地域在来の餅菜が使用され,かまぼこ・なるとを加え,かつお削り節を添えていた。しかし,尾張地域と三河地域には相違点がみられた。和風風味調味料の使用が,女性の労働力率が高い三河地域で有意に多かった。また,三河地域の雑煮の具は,収穫量が多い白菜,豆腐・油揚げ(大豆),人参を使用する地産地消の傾向が伺え,尾張地域より多彩な具であった。
著者
白水 完治 土田 貴志 阿武 雅夫
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.46, no.7, pp.561-564, 1993
被引用文献数
1

1991年に著者らが採取したシダの根茎を貫衆として用い, 調製した処方が肝蛭に対して駆除効果のあることを報告した. その後, 採取したシダは植生・形態・成分分析からイヌガンソクと同定された. 今回, 新たに採取したイヌガンソクを用いて生薬処方を作り肝蛭自然感染牛の駆虫試験を実施した. 試験には投与区18頭, 対照区7頭, 合計25頭の自然感染牛を用いた. 投与区の10頭は投与1週間後にEPG値が0になり, 8週間持続した. また, 4頭は投与1週間後にEPG値が減少し, 2週間後より0が持続した. さらに別の4頭は投与後も虫卵が検出される場合があったが, 統計学的には有意の減少を認めた. 対照区7頭のEPG値は試験期間中まちまちに変動して一定の傾向はみられなかった.
著者
渡部 貴志 藤井 力 家藤 治幸 北本 宏子
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.109, no.2, pp.82-88, 2014 (Released:2018-02-16)
参考文献数
23
被引用文献数
1

焼酎蒸留粕の有効かつ効率的な処理技術の確立は,過去20年以上にわたり業界の最重要課題である。筆者らは,酵母を用いた排水処理法という日本発信の技術をベースにして,飼料用酵母Candida utilisによる焼酎蒸留粕排水の窒素除去と資源化の検討を進めている。生物処理は課題が多いが,各種酵母を用いて窒素除去能強化方法の有効性について評価し最適化処理を探っていく手法は,興味深い知見と示唆を与えるものであり,今後の進展に期待したい。
著者
宇野 賀津子 内海 眞 沢田 貴志 岩木 エリーザ 吉崎 和幸
出版者
日本エイズ学会
雑誌
日本エイズ学会誌 = The journal of AIDS research (ISSN:13449478)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.72-81, 2001-05-20
参考文献数
16

目的: 我が国では外国人HIV感染者の比率が高いにも関わらず, 感染者の分布, 言語の多様性等の実態は全く不明で診療体制は十分でない. 今回我が国で初めて全国のHIV拠点病院を対象として外国人診療状況を調査し, 外国人診療体制確立に必要な基礎資料を得ることを目的とした.<BR>方法: 全国のエイズ拠点病院に外国人受診者と外国人HIV感染者の治療状況の調査を行った後, 外国人HIV感染者の診療経験のある病院には, さらに詳しい言語圏別調査を実施した.<BR>結果と考察: 過去5年間にエイズ拠点病院で診察を受けたHIV感染者数はタイ語圏, 英語圏, ポルトガル語圏の順で, タイ語圏ではうち31%が同一病院で継続診療中, 38%が帰国, ポルトガル語圏ではそれぞれ, 50%, 25%, 英語圏では42%, 34%であった. タイ語圏では71%が健康保険をもたず, ポルトガル語圏では80%が保険を取得していた. 健康保険を持たない患者の診療経験のある医者の多くは診療費の支払い困難な事例を経験していた. 従って外国人HIV感染者への対策は健康保険取得状況等患者を取りまく状況, 国別の背景を理解した上での対策が必要である. さらに英語以外の言語, タイ語, ポルトガル語等では通訳は必須であり, 家族や友人が通訳を務めた場合には, 第三者による通訳より混乱が生じるケースが多く, 専門の通訳育成が強く望まれていた.
著者
馬場 貴志
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.50, no.9, pp.915, 2014 (Released:2016-09-17)
参考文献数
4

宇宙航空研究開発機構(JAXA)をはじめ,アメリカ航空宇宙局(NASA),欧州宇宙機関(ESA)などの各国宇宙機関は,火星探査や月面居住の実現へ向けたロードマップを作成し,さまざまな面からの研究・開発を進めている.ヒトが宇宙で健全に生活するためには,安全性をはじめとする様々な面からの検討が必要であり,微生物についても大きなトピックの1つとなっており,国際宇宙ステーション「きぼう」日本実験棟においても微生物モニタリングが実施されている.宇宙などの微小重力下においては,細菌の病原性が上昇するといった報告もあり,もし宇宙において病原微生物が増殖した場合,重大な事態を引き起こす可能性があることから,微生物への影響に関する研究が行われている.一方で,宇宙飛行によってヒトの免疫機能が低下することも報告されており,これは日和見感染のリスクが上昇する可能性があることを示している.なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.1) Ichijo T. et al., Microbes Environ., 28, 264-268 (2013).2) Wilson J. W. et al., PNAS., 104, 16299-16304 (2007).3) Borchers A. T. et al., Nutrition, 18, 889-898 (2002).4) Crabbe A. et al., Plos one, 8, e80677 (2013).
著者
大森 重宜 櫻井 貴志 佐々木 達也
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.68, pp.289_2-289_2, 2017

<p> 「青柏祭の曳山行事(通称でか山)」は、石川県七尾市の大地主神社の例大祭「青柏祭」に奉納される山車の曳行行事で1983年(昭和58年)に国重要無形文化財に指定され、2016年ユネスコ無形遺産に登録された33の「山・鉾・屋台」の一つである。</p><p> 日本の祭りは、華やかな神輿の渡御や山車曳行などがその中心にある。本研究では日本一巨大な山車「青柏祭の曳行行事」を身体運動文化と捉え、神輿、山車などを担ぎ、舁き、曳くという遊びとしての山車曳行の身体技法と神事での祝詞などから儀式性を考察し、青柏祭曳山行事の身体性と真正性を考察する。</p>
著者
赤坂 貴志 飯塚 佳代
出版者
専修大学情報科学研究所
雑誌
専修大学情報科学研究所所報
巻号頁・発行日
vol.92, pp.7-11, 2018-07-31 (Released:2018-10-05)

私たちの生活を取り巻くものとしてスマートフォンは欠かせないものとなりつつある.スマートフォンの利用者増加に伴いソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の利用者も増加傾向にある.本研究では,現代社会における若者へのSNSの浸透の深さに着目し,インスタグラム利用者におけるファッションの購買行動について19歳~30歳の若者を対象に調査を行い,ファッション認識・行動にInstagramがどのように影響するかについて分析を行った. Smartphones are becoming indispensable in our modern human lifestyles. In accord with the increasing of the smartphone users, social networking services (SNS) users are also increasing. In this paper, the authors analyzed how Instagram impacts the awareness and behavior of young people (from 19 to 30 years old)'s fashion under the condition that Instagram is spreading to them.
著者
吹譯 友秀 長谷川 貴志 高橋 和長 西條 雅明 浜名 正徳
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.94-102, 2014-04-25 (Released:2014-07-02)
参考文献数
10
被引用文献数
1 3

超高速液体クロマトグラフィー(UPLC)による健康食品中のスタチン12成分の一斉分析法を構築した.抽出は抽出溶媒として50%(v/v)メタノールを用い,超音波抽出法で行った.精製はOasis MAXミニカラムを使用し,溶出溶媒としてメタノールおよび0.2%(v/v)リン酸含有メタノールを用いた.UPLC分析のカラムはACQUITY UPLC BEH C18 を用い,0.2%(v/v)リン酸水溶液 – アセトニトリルのグラジエントで分析を行った.添加回収試験の結果,回収率は89.2~100.9%,併行精度と室内再現性は7%以下であり良好な結果を示した.本法を市販の健康食品24製品に適用した結果,ロバスタチンが最大4.85 mg/ 包,ロバスタチン酸が最大1.28 mg/ カプセル検出された.他の成分は検出されなかった.1製品について,製品表示どおりに摂取するとロバスタチンの1日摂取量が6.74 mgとなった.当該製品はロバスタチンの1日最小薬用量10 mgの1/2を超えて摂取することになることから,当該製品を摂取することによる健康への影響が懸念される.
著者
高橋 英雄 植田 啓一 宮原 弘和 渡辺 紗綾 内田 詮三 鎗田 響子 村田 佳輝 板野 栄子 高山 明子 西田 和紀 猪股 智夫 矢口 貴志 佐野 文子 亀井 克彦
出版者
日本医真菌学会
雑誌
日本医真菌学会総会プログラム・抄録集
巻号頁・発行日
vol.51, pp.34, 2007

水族館飼育下イルカのnon-<I>albicans Candida</I> spp.保菌が健康管理および観客への安全上問題となっているので、飼育されているイルカ20頭の呼気と飼育プール水の病原性酵母叢を昨年8月および本年2月に調査した。さらに飼育関係者24名の口腔内と観客席空中浮遊菌の病原性酵母叢の調査を本年2月に行った。保菌イルカは14頭 (70%)、分離株は<I>C. albicans</I>、<I>C. tropicalis</I>、<I>C. glabrata</I>で、1頭を除き2回の調査とも保有菌種は同一で、大多数の株はアゾール薬に耐性傾向を示した。また、4個体は1呼気あたり数十から数百の病原性酵母を噴出していた。飼育プール水の検査では8箇所中5ヵ所から<I>C. albicans</I>および<I>Candida</I> spp. など、飼育関係者の口腔からは24名中5名から<I>C. albicans</I>および<I>Candida</I> spp. などが分離され、一部にアゾール薬に耐性傾向を示す株も含まれていた。観客席空中からは<I>Candida</I> spp.など数株の酵母が分離された。しかし、病原性酵母を噴出しているイルカの呼気が観客に直接かかるような状況はなく、実際に観客席空中からイルカとの共通菌種が分離されなかったため、イルカショーで発生するエアロゾルによる観客への影響は少ないと思われる。一方、イルカ、飼育環境、飼育関係者との間では<I>C. albicans</I>が共通して分離されていたので、現在,遺伝子パターンの解析を進めている。また、イルカの真菌保有の有無は健康状態の指標となりうると思われた。
著者
荒木 裕子 山本 直子 石垣 貴志 関川 歩美 丸井 正樹
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 68回大会(2016)
巻号頁・発行日
pp.170, 2016 (Released:2016-08-04)

【目的】ネームとはタイの発酵ソーセージである。ネームは乳酸発酵により、微生物の繁殖を抑制しており、生で食べることが出来るのが大きな特徴である。我が国でのネームに関する研究は少なく、ネームの安全性についての研究もなされていない。本研究ではより安全で品質の安定したネームを調製することを目的として、条件の異なるネームを調製し調製条件の違いによる安全性および品質を検討した。【方法】試験試料として4種類のネームを調製した。基本的な材料である豚肉、豚耳、ニンニク、トウガラシ、米飯を調製する自然発酵区、また基本材料に発酵を促進する助剤であるヨーグルト、グルコン酸、肉用乳酸菌を添加したネームを調製した。35℃で4日間発酵させ、一般生菌数、大腸菌群、乳酸菌数およびpHを経時的に測定し、調製条件の違いによる安全性および品質を比較検討した。【結果】自然発酵区ではpHの低下は見られたが、大腸菌群が十分に抑制されなかった。ヨーグルト添加区、乳酸菌添加区では乳酸菌が生成する乳酸によってpHが低下し、大腸菌群が抑制された。グルコン酸添加区では4%添加のものは即時にpHが低下し、大腸菌群は強く抑制されたが、酸によるタンパク質変性が見られた。上述の通り、自然発酵区では十分に抑制されなかった大腸菌群がヨーグルト添加区、グルコン酸添加区、乳酸菌添加区において抑制されていることから、ネームの安全性を高めることを目的としたヨーグルト、グルコン酸、乳酸菌の添加は有効な手段であると示唆された。
著者
加藤 貴志 末綱 隆史 椎野 恵美 久保田 直文
出版者
三輪書店
雑誌
作業療法ジャーナル (ISSN:09151354)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.100-105, 2015-02-15

Key Questions Q1:脳損傷者の運転技能予測に有効な検査は? Q2:検査による予後予測の課題は? Q3:今後の展望は? はじめに 2013年(平成25年)の道路交通法改正により,医師から運転中断を勧められた者がそのことを無申告で免許更新を行った場合の罰則が規定され,疾病を有する方の運転に関して医療機関の役割は重要になってきている.その一方で,医療機関にて危険運転を行うと予測される者をどのように評価するかは確立されておらず,各医療機関で統一した対応はなされていない.井野辺病院(以下,当院)が運転支援を開始した当初は,脳損傷者の運転技能予測を調査した国内研究は少なく,海外の研究を参考とせざるを得ない状況であった.しかし近年,国内でも脳損傷者の実車運転に関する報告が増加し,神経心理学的検査(以下,検査)の研究も増加している. 本稿では脳損傷者の運転技能予測に関する検査についての国内研究をまとめ,予測の課題と今後の展望を述べる.