著者
和辻 敏子 薮中 緑
出版者
甲子園短期大学
雑誌
甲子園短期大学紀要 (ISSN:0912506X)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.1-13, 1986-12-25

昭和58年度、昭和59年度に実施された生活実習ハウスの食生活の実態を検討した結果は次の通りである。1生食形態では、朝食に於いて58年度のパン食型から59年度の米食型への移行がみられ、昼食夕食は共に米食中心であった。副食形態では、主食形態に影響されて58年度と59年度の朝食に差がみられたが、昼食は同じ傾向を示した。夕食では58年度は和食、59年度は洋食形式がみられた。2食品の出現状況では朝食に於いて、58年度は牛乳、その他の野菜、59年度では豆製品、緑黄野菜が高い出現率を示した。夕食において58年度は豆製品、海草類、59年度では、乳・乳製品、豚肉、じゃがいも、にんじん、レタスの使用度に差がみられた。31日の摂取食品数は、58年度38品目59年度41品目であった。4生成分析の上位5主成分にバリマックス回転を実施し、意味づけを行った。5重回帰分析を行った結果、とりあげた説明変数は1日の摂取食品数の予測に役立っていた。658年度の学生の調理実習評価と生活実習ハウスの献立に使用された食品数との間に有意水準1%で正の相関がみられた。759年度の食品群別摂取量は「目安」にほぼ充足されていた。又栄養摂取量では、Ca、Feの不足がややみられた。終わりに、多変量解析等にご助言をいただきました本学木村昌幸講師に、深く感謝いたします。なお本研究の一部は、通算61回日本家政学会関西支部会(昭和59年5月)において発表した。
著者
黒住 幸一 辻本 廉 小宮山 摂 盛田 章 大串 健吾 氏原 淳一
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.42, no.6, pp.579-587, 1988-06-20
被引用文献数
16

ハイビジョンは, 精細度の高い映像を大画面に写し出すので, 従来のテレビと比較して視覚的に臨場感をはるかに高めることができる.しかし, この映像の効果にふさわしくハイリアリティー視聴空間を再生できるステレオ音声方式については, まだ充分な検討がなされていない.そこで, 音声のチャンネル数およびスピーカ配置の異なる種々のステレオ音声方式について検討し, ハイビジョン映像とステレオ音声方式の組み合わせによる心理的効果を主観評価実験を行って調べた.その結果, 前方に3つの音源を, 後方に1つの音源を配置する3-1方式4チャンネルステレオが, 最もバランスのとれた優れた方式であることが明らかになった.このステレオ音声方式の特徴は, 画面の中心軸上から横にずれた位置で視聴しても映像の方向と音像の方向がよく一致すること, 広い視聴範囲にわたって豊かな臨場感を再生できること, 映画音響と互換性の良いことである.
著者
小林 三世治 黒岩 明彦 佐野 智英 高松 俊彰 辻 泰二 日置 桂子 牧野 弘志 村田 哲雄
出版者
日本保険医学会
雑誌
日本保険医学会誌 (ISSN:0301262X)
巻号頁・発行日
vol.95, pp.175-183, 1997-12-15
被引用文献数
1

遺伝子研究会は,遺伝子検査の生命保険に及ぼす影響を研究する目的で,生命保険協会の医務委員長の諮問機関として発足し,1996年6月に「遺伝子検査と生命保険」と題した報告書をまとめた。今回,その後の動きを加え,主として,医学的危険選択からみた遺伝子検査について報告する。遺伝子異常と因果関係が比較的明瞭な単一因子遺伝子疾患について,遺伝子検査が医学的危険選択のスクリーニングとして適しているかみた場合,単一遺伝子疾患の日本における頻度や発症年齢・予後などと現在の遺伝子検査の正確さや簡便さ・コスト等と考慮すると,遺伝子検査を導入する価値は,目下のところは,小さいといわざるをえない。癌・高血圧・動脈硬化症・糖尿病などの多因子遺伝子疾患は,単一遺伝子疾患よりも,その頻度からいって,医学的危険選択の実務あるいは保険医学的には重要と思われる。しかし,今のレベルの遺伝子検査が,告知聴取や検診,血圧測定や検尿,心電図検査や血液検査,診断書等の現行の医学的危険選択より,正確さや簡便さ・コスト等を考慮すると,特に優っているとは思えない。日本人類遺伝学会(1995年)が発表した「遺伝性疾患の遺伝子診断に関するガイドライン」によれば,同意が得られれば,個人情報の守秘義務はとかれるので,遺伝子検査の結果についても,他の医学的情報と同じような取り扱いが可能と思われる。遺伝子検査と保険に関する規制問題が議論されている欧米は,国・州によりその対応は異なっている。一国(州)が遺伝子検査の使用を禁ずる規制を設けても,遺伝子疾患を心配しない人は,規制のない隣国(州)で保険申込をし,規制のある国(州)では,逆に,遺伝子疾患を危倶する人が申し込む可能性が想定され,規制がどの程度効果を発揮するか疑問が残る。遺伝子検査が将来どのように進展していくか速断できない現在,遺伝子検査に関しても,生命保険の危険選択の基本に則り,生命保険契約の締結にあたっては,「危険選択上告知すべき事項について,保険申込者が知っているならば,保険会社も知る権利がある。また,日常診療で通常行われる検査になったならば,保険診査においても,危険選択の資料を得る目的として,保険会社はその検査を採用することができる」という立場を保険会社は保持すべきと思われる。
著者
大谷 幹伸 宮永 直人 野口 良輔 小磯 謙吉 辻 比呂志 有本 卓郎 稲田 哲雄 北川 俊夫 辻井 博彦 田中 良典 鳶巣 賢一 垣添 忠生
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.82, no.5, pp.821-825, 1991-05-20

C3H/He雌マウスに対し,0.05%のN-Butyl-N-(4-Hydroxybutyl)nitrosamine(BBN)を飲料水として18週間与えた.19週目に11頭のマウス(第3群)を屠殺して,全てに膀胱癌が発生していることを確認した.残りのマウスは二つの群に分け,第1群は骨盤全体に20Gyの陽子線を照射した.一方第2群は,照射を行なわない対照群とした.照射の3週間後全てのマウスを屠殺し,膀胱を切除した.膀胱はホルマリン固定後に重量(≒癌の重量)の測定と,組織学的検索を行なった.膀胱の平均重量(≒癌の重量)は,第1群で67.7mg,第2群で120.6mg,第3群で106.5mgであって,第1郡との間にそれぞれ有意な差が認められた(p<0.05).また表在癌(pT1)と深部浸潤癌(pT2〜3)の頻度は,第1群で10/18(56%)と8/18(39%)であった.また第2群のそれは,3/17(18%)と14/17(82%),第3群のそれは2/11(18%),9/11(82%)であった.第1群と2群問に有意な差(p<0.05)が認められた.しかし第1群と第3郡との差は有意ではなかった(p=0.068).これらの結果はマウスの膀胱癌に対して,陽性線照射が有効な治療法であることを示唆している.
著者
中島 一樹 南部 雅幸 辻 美和 秋廣 みどり 東 祐二 藤元 登四郎 田村 俊世 佐々木 和男
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.81, pp.59-64, 2003-05-16

看護学校学生(36名)、民間病院の医療従事者(30名)および民間病院の外来患者とその家族(28名)に対し、コンピュータシステムの利用に関する意識調査を行った。さらに60歳から70歳までの高齢者に対して延べ20回の絵文字パスワードと数字の組み合わせによる暗証番号とによりログインの試行を行い、認証の成功率、および使用感の聞き取り調査を行った。これらの結果、数値よりも絵文字によるパスワードの成功率が高かったが、数値入力の方がわかりやすいとの意見が聞かれた。また、若年者と高齢者の双方で同等のパスワードの成功率が得られた。絵文字を個人に関係のある写真に変更した場合、パスワードとしての成功率は向上したが、他人によるなりすましも容易であることが確認された。
著者
辻 彰子 石河 淳 井上 裕匡 Kudo Keiko Ikeda Noriaki
出版者
福岡医学会
雑誌
福岡医学雑誌 (ISSN:0016254X)
巻号頁・発行日
vol.96, no.3, pp.76-80, 2005-03-25
被引用文献数
1

We performed a paternity test without the alleged father, who was deceased, and we found a mismatch in one of the alleles of the autosomal short tandem repeat (STR) locus D3S1358 in the illegitimate daughter. DNA genotypes of the dead alleged father were estimated from the DNA genotypes of his wife and their four children. The ABO genotype, the DXS10011 locus and the calculations using the 12 STR loci and the D1S80 locus, but not the STR locus D3S1358 suggested that there was a high probability that the dead alleged father was in fact the actual biological father. The genotype of locus D3S1358 of the dead alleged father, the illegitimate daughter's mother and the illegitimate daughter was 15/17, 15/17 and 15/18, respectively. PCR and sequencing after TA cloning of allele 17 of one of the children who had only a homozygote of allele 17, of allele 17 of the illegitimate daughter's mother and of allele 18 of the illegitimate daughter revealed that allele 18 which was considered to be a mutated allele had one more repeat of (GATA) within the first repeat region.擬父が既に死亡している親子鑑定を実施した.妻と4人の嫡出子のDNA型から推定した擬父の型と妻でない女性を母とした非嫡出子の12種類のSTR型においてD3S1358座位のみで不一致を認めた.ABO式血液型の遺伝子型とX-STR型のDXS10011座位およびD3S1358座位を除く他の座位におけるDNA型による父権肯定確率は擬父がこの非嫡出子の生物学的父親であることを示していた.D3S1358座位における遺伝子型は擬i父,非嫡出子の母共に15/17であったが,非嫡出子は15/18であった.i擬父の対立遺伝子17が遺伝していると考えられる娘と非嫡出子およびその母のD3S1358座位のクローニングおよびシークエンスにより,非嫡出子の対立遺伝子18は(GATA)の繰り返しが一回多い突然変異であることが判明した.
著者
辻 雄一郎
出版者
日本法政学会
雑誌
法政論叢 (ISSN:03865266)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.52-71, 2005-11-15

Grokster case was decided in June, 2005. Before this case, at Boalt Hall, Berkeley, School of Law, there were two arguments over the prevention of the direct and indirect infringement of copyright. One is argued by Professor Pamela Samuelson who proposes the solution by Congress. The other is Professor Peter Menell who proposes the solution by Judiciary. They think Sony Beta case differently, which was decided in 1985. In face of this battle, the Supreme Court took the middle approach and clarified what indirect infringement is. Although this case is going to be analyzed by other distinguished scholars, it is important to say that the American scholars recognize that this P2P issue includes interpretation issue of Constitutional law. However, unlike the U.S., there are not so many arguments in Japan that discuss Constitutional law issue about P2P. In this article, I like to discuss this issue focusing on the interpretation and the battle between Congress and Judicial approach. The main point is that P2P issue includes the First Amendment rights of the technology inventor, the sender of the information and the copyright holder. Unless the explanation how to solve the P2P by the government, the balance of these three shall not be kept.
著者
辻 利則 大坪 昌久
出版者
宮崎公立大学
雑誌
宮崎公立大学人文学部紀要 (ISSN:13403613)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.223-231, 2006

送電線鉄塔の近くで住宅化が進み、近年になって住民からの騒音に対する苦情が発生している。鉄塔での騒音には、風による電線や鉄塔を切る音、そして鉄塔にある碍子(がいし)の汚染によって生じる放電の音(がいし放電音)がある。これらの音の中でがいし放電音を検出するのが本研究の目的となる。全ての計測は屋外で行われるもので、かつ騒音苦情という人を対象としたものになる。屋外で計測する音の難しいところは、車の音や風の音、虫や人の声など様々な環境ノイズが含まれてしまうことである。また、人の聴力を対象とする場合、環境ノイズが大きいと小さな放電音は隠れてしまい聞こえず騒音苦情には至らない。本研究は、これらのポイントと放電音の特性より、放電音を検出する標準偏差を用いたがいし放電音の解析手法を提案し、その手法の精度を向上するための方法を示したものである。
著者
長岡 大義 浜田 大輔 辻 慶孝 若原 俊彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. OIS, オフィスインフォメーションシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.568, pp.73-78, 2005-01-13

近年の無線技術の進展とともに, 半導体技術の進歩により, 無線によって非接触で物体を自動識別する無線ICタグ(RFID : Radio Frequency Identification)がバーコードの代わりに用いられるようになった.無線ICタグ(以下, 無線タグ)は, ICチップと無線アンテナから構成され, RFIDあるいは無線タグ, 電子タグなどとも呼ばれ, ユビキタス時代の中心的なデバイスになるものと考えられている.本報告は, ユーザが食を購入する際に, その食品成分の中に自分がアレルギーとなる成分が含まれているかどうかを, PDA (Personal Digital Assistants)をベースに構成する無線タグリーダで読み取り, ネットワークを介して食品データベースにアクセスしてチェックし, アレルギー成分が含まれる場合にはこのPDAにアラームで表示するなどの処理を行う食品購入支援手法について述べる.具体的には, Webサーバを介して無線タグで読取った食品成分情報をデータベース上のユーザの食品アレルギー情報と照合し, 該当している場合にはPDAにアラーム表示させユーザに通知する食品購入支援システムについて述べたものであり, 13.56MHz帯の周波数を用いたRFIDタグを用いてプロトタイプを構成し, 実現の可能性の見通しが得られた.
著者
長岡 大義 浜田 大輔 辻 慶孝 若原 俊彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. TM, テレコミュニケーションマネジメント (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.566, pp.73-78, 2005-01-13

近年の無線技術の進展とともに, 半導体技術の進歩により, 無線によって非接触で物体を自動識別する無線ICタグ(RFID : Radio Frequency Identification)がバーコードの代わりに用いられるようになった.無線ICタグ(以下, 無線タグ)は, ICチップと無線アンテナから構成され, RFIDあるいは無線タグ, 電子タグなどとも呼ばれ, ユビキタス時代の中心的なデバイスになるものと考えられている.本報告は, ユーザが食を購入する際に, その食品成分の中に自分がアレルギーとなる成分が含まれているかどうかを, PDA (Personal Digital Assistants)をベースに構成する無線タグリーダで読み取り, ネットワークを介して食品データベースにアクセスしてチェックし, アレルギー成分が含まれる場合にはこのPDAにアラームで表示するなどの処理を行う食品購入支援手法について述べる.具体的には, Webサーバを介して無線タグで読取った食品成分情報をデータベース上のユーザの食品アレルギー情報と照合し, 該当している場合にはPDAにアラーム表示させユーザに通知する食品購入支援システムについて述べたものであり, 13.56MHz帯の周波数を用いたRFIDタグを用いてプロトタイプを構成し, 実現の可能性の見通しが得られた.
著者
小林 正美 辻 康宏 元永 二朗
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
日本建築学会技術報告集 (ISSN:13419463)
巻号頁・発行日
no.24, pp.407-410, 2006-12-20
被引用文献数
1

Ubiquitous computing society will help us to expand our ability and knowledge quantity, but the security and the privacy issues will supposedly occur. This experiment with Ubiquitous device such as GPS and mobile phone investigate the future possibility of the technology, and at the same time the social morality and compliance as well. According to the data of the experiment, we could find out that the traceability is quite effective for marketing, but is hard to protect the individual privacies
著者
森本 光昭 辻 義明 原 靖 古閑 敦彦 牛島 正貴 田口 順 吉村 文博
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.163-168, 2005-02-01
被引用文献数
5

患者は68歳の女性で,主訴は腹部腫瘤.身体所見では左側腹部に弾性硬,可動性良好な約15cm大の腫瘤を認めた.腹部CT所見では胃小彎側前壁に接して11.5×9.0cmの腫瘍を認めた.手術所見では腫瘍は約15cm大,胃体中部小彎側に一部癒着し胃体部前壁に騎乗していた.腫瘍および胃部分切除を行い,腫瘍は完全切除された.摘出標本では腫瘍は13.5×10.0×9.0cm凹凸不整,弾性硬で,大部分は出血壊死を伴う嚢胞性腫瘍であった.病理所見では紡錘形腫瘍細胞が密に錯綜して増殖していた.免疫組織染色にてKIT(CD117), CD34, Vimentinが陽性,Desmin, S-100 proteinが陰性のためGISTと診断した.術後1年たった現在,再発の兆候はない.
著者
辻 俊宏 小針 健太郎 井手 清志郎 山中 一司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. US, 超音波 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.147, pp.23-28, 2006-07-05

超音波原子間力顕微鏡(UAFM)の高精度化にはカンチレバーのスプリアス応答の抑制が重要である。スプリアスの主な原因はカンチレバーチップの基板のたわみ振動である。そこで制振板により基板の曲げ剛性を高める手法を提案する。その結果、共振周波数の測定精度が向上した。また水平曲げ1次(L1)モードの測定の再現性も改善した。L1モードは横接触弾性を選択的に評価できるので、たわみモードによる縦接触弾性の評価と組み合わせることで、UAFMによる組織や欠陥の方向性評価が可能になる。強誘電体単結晶PMN-PTの分域構造の評価に適用した結果、L1モードを用いた評価により分域境界でせん断弾性が著しく低下する現象が初めて見出された。
著者
岡田 和将 山下 優毅 辻 貞俊
出版者
産業医科大学学会
雑誌
産業医科大学雑誌 (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.265-275, 2006-09-01

てんかん患者や種々のてんかんモデル動物において脳内のサイトカインやcyclooxygenase (COX)-2が増加していることが報告されている.本研究では,テレピン油投与で誘導した炎症反応がおよぼす遺伝性てんかん(E1)マウスのてんかん現象に対する影響を検討した.てんかん発作のパラメーターとして発作誘発閾値(痙攣誘発に必要な抛り上げ回数),痙攣持続時間,痙攣後意識混濁時間(痙攣終了から完全に回復するまでの時間)を解析した.また脳内のinterleukin (IL)-1β, IL-6, COX-2のmRNAをRT-PCR法で解析した.IL-1β, IL-6, COX-2のmRNA発現はてんかん発作前と発作24時間後で変化はなかったが,テレピン油投与24時間後には全て増加した.テレピン油投与24時間後に発作を誘発した場合,痙攣後意識混濁時間は投与前と比較して有意に延長した.発作誘発閾値と痙攣持続時間には有意差はなかった.痙攣後意識混濁時間の延長はインドメタシンの前投与により抑制されたが,インドメタシン投与はIL-1β, IL-6, COX-2のmRNA発現には影響しなかった.これらの結果からE1マウスのてんかん現象において,COX-2によって誘導されるプロスタグランデインは痙攣後意識混濁時間の維持に重要であることが推測される.
著者
石田 修己 北沢 祥一 近藤 博司 末松 憲治 辻 幹男 山岸 明洋
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MW, マイクロ波 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.366, pp.85-92, 2000-10-13

2000年6月11日から16日まで米国ボストンで開催された2000年IEEE MTT-S国際マイクロ波シンポジウムの概要を報告する。今回のシンポジウムは、参加者、発表論文件数ともに昨年の記録を更新し、それぞれ12,500人以上、518件に達した。シンポジウムで発表された内容は、増幅器、発振器、コンバータおよび制御回路、受動回路、電磁界解析の分野に大別し、会議に出席した専門家が概要をまとめている。
著者
浅野 三恵子 下辻 成佳
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.80, no.1, pp.131-138, 1997-01-25
被引用文献数
8

入力された帳票が既登録帳票のどのフォーマットに最も類似しているかを識別するシステムにおいて, セル (枠) に記入された文字や, コピーによって起こるかすれやつぶれ, スキャナ入力による傾きやゆがみなどに影響されずに, 帳票種別を識別する手法を提案する. 帳票文書は一般に, 水平・垂直線分に囲まれたセルで表現できる. セルの中心点をそのセルの代表点とした場合に, 帳票識別は入力画像から得られる点と登録されている帳票上の点とのマッチングの問題として考えることができる. 本論文では, この点マッチングを2次元ハッシュテーブルを用いて実現する手法を提案する. これにより入力画像上の点の揺らぎに対してロバストな帳票識別処理が実現でき, 登録帳票数が増加しても識別に要する時間はある程度一定に抑えることができる. また, 帳票文書同士の類似度によりシステムに登録されている帳票相互の類似性を数値化することができ, 登録帳票が指定された際にシステムの識別能力を予測できる.