著者
中辻 憲夫 小倉 淳郎 佐々木 裕之 塩田 邦郎 仲野 徹 松居 靖久
出版者
京都大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2003

当該特定領域研究は、発生生物学、実験動物学、遺伝学、分子生物学など多分野にまたがる学際的研究グループを形成しており、多様なバックグラウンドをもつ研究者による研究課題を推進してきた。平成19年度までに、極めて多くの研究成果が得られて優れた学術論文として発表されている。それと同時に、多様な組み合わせで各研究者の得意分野によるシナジーを生み出しながら、多くの共同研究が行われ成功してきた。平成20年度は、本総括班の活動の総仕上げとして、これら特定領域研究によって過去5年間に生み出されて研究成果のとりまとめを行うと同時に、研究成果報告書を作成した。なお、研究成果報告書の体裁に従って研究成果発表の詳細なリストなど報告資料として作成した報告書に加えて、研究成果を広く研究者コミュニティーに対する広報活動として周知させることを目的として、研究成果を読みやすい体裁で取りまとめた報告書も並行して作成し配布した。[連携研究者]独立行政法人理化学研究所・バイオリソースセンター 小倉淳郎 領域事務担当者としての連絡調整国立遺伝学研究所・総合遺伝研究系 佐々木裕之 ゲノム刷り込み研究の企画調整東京大学・農学生命科学研究科 塩田邦郎 エピジェネティクス研究の企画調整大阪大学・大学院生命機能研究科 仲野徹 生殖細胞特性研究の企画調整東北大学・加齢医学研究所 松居靖久 生殖細胞発生研究の企画調整
著者
久保田 康裕 辻 瑞樹 唐沢 重考 榎木 勉 島谷 健一
出版者
琉球大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

地球温暖化に伴う生態系の応答を評価することは、地球環境科学の大きな研究テーマである。私達の研究グループは、過去10年間にわたる島嶼生態系の維持機構に関する基礎研究を行う過程で、生態系が最近の大型台風で壊滅的に撹乱され、そのインパクトが島嶼生態系の自律的な修復能力を凌駕している可能性を認識するようになった。本研究は、台風撹乱が島嶼亜熱帯林の生物多様性と機能に及ぼす影響を定量化することを目的とし、温暖化に伴う台風の巨大化や頻度変化によって島嶼生態系が転移するリスク及びそのシナリオを予測した。具体的な研究成果は以下の通り:1)台風攪乱の強度や頻度の変化は亜熱帯林の優占種の交代を促して群集の機能的構造を改変し、生産量・物質循環過程のような生態系機能に影響を及ぼす可能性がある;2)台風攪乱による森林構造の改変は、森林性の野生生物(大径木に依存した希少な着生植物やマングース等の外来種)の分布に影響を及ぼす可能性がある;3)亜熱帯林の適応的な森林管理(持続的な木材生産と生物多様性の保全)を考える場合、攪乱体制の変化は重要な要素になる。
著者
工藤 栄 田邊 優貴子 飯田 高大 辻本 惠 小川 麻里 伊村 智
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.421-436, 2008-11-28

第49次日本南極地域観測隊(第49次)夏隊において,湖沼観測として湖沼環境観測,生物・生態学的研究試料としての湖水と湖底の生物群集採取,及び現場実験を宗谷海岸露岩域にある複数の湖沼で実施した.この湖沼観測報告は南極観測事業第VII期計画の一般プロジェクト研究(P3)「極域環境変動と生態系変動に関する研究」及びモニタリング研究観測(M4)「生態系変動のモニタリング」の両課題にかかわる観測を記録したものである.野外観測は2007年12月22日から2008年2月13日の期間,砕氷船「しらせ」が昭和基地沖近傍に滞在中に実施した.今回は夏季の湖沼環境変動と湖底の生物(藻類群集)の応答を集中的に観測すべく,スカルブスネスの長池にて観測とサンプリング・現場実験を繰り返し実施する一方,きざはし浜生物観測小屋から徒歩日帰り圏内にある周辺の14湖沼,及びヘリコプターを利用した日帰り観測にてスカルブスネス東部の4湖沼,及び他の露岩,スカーレンにあるスカーレン大池,ラングホブデ域の雪鳥池・東雪鳥池,ぬるめ池にて湖沼水質環境観測と試料採集を適宜実施した.このうち,スカルブスネス東部のなまず池 (仮称)では潜水による水中設置ビデオ装置の回収と,湖底のコケ類・藻類が作り上げている「とさか・筍状」の群落の採集,ラングホブデぬるめ池では湖底から小型カイアシ類の定量サンプリングを実施,これらを研究試料として日本に持ち帰ることができた.また,第47次隊により雪の堤防の決壊の発見(第46次越冬期間中に決壊したとみられる)が報告されたラングホブデ南部の平頭氷河末端にあった「氷河池」(仮称)の現状視察も実施,決壊前後での3m以上と思われる大幅な水位変動痕からフィルム状の生物試料を採集し持ち帰った.
著者
竹中 康治 加藤 一誠 村上 英樹 手塚 広一郎 吉田 雄一朗 浦西 秀司 辻本 勝久 乾 友彦 乾 友彦 井尻 直彦 呉 逸良 轟 朝幸 村上 英樹 松本 秀暢 手塚 広一郎 吉田 雄一朗 辻本 勝久 浦西 秀司 三枝 まどか
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

日本の航空・空港政策には改善すべき点が多い。まず, 航空の自由化は経済学的にも望ましいことが証明された。なぜなら, 二国間協定よりも多国間協定の方が経済厚生は大きくなり, 低費用航空会社の参入も経済厚生を改善するからである。そして, 規制の強化ではなく, 市場を通じた航空会社の安全性の向上も可能である。また, 空港政策については必ずしも所有・運営に民間の参入が望ましいとはいえない。同時に, 格付けのあるレベニュー・ボンドには空港の運営規律を維持する作用があることも明らかになった。
著者
石川 順三 後藤 康仁 辻 博司
出版者
京都大学
雑誌
一般研究(A)
巻号頁・発行日
1993

1.半導体プロセス用大電流負イオン源と中電流負イオン注入装置の開発:半導体への負イオン注入に必要な硼素、燐、珪素、炭素など種々の負イオンを連続して数mA得供給できるRFプラズマスパッタ型負重イオン源(RFNIS)を開発した。また、小型の負イオン源を搭載した最大加速電圧140kVの中電流負イオン注入装置を開発した。本装置はクリーンブ-ズを有しており、実プロセスと同じ清浄な条件で負イオン注入が可能である。2.負イオン注入に伴う帯電現象の解明:負イオン注入時の絶縁電極の帯電は数Vであることを理論的に解明し、これを二次電子放出比とエネルギー分布測定から証明した。また、絶縁物の表面帯電電位の計測法として二次電子エネルギー分析による方法を考案し、これで半導体製造に用いられる絶縁物の負イオン注入による帯電電位は負の10V程度で有ることが判明した。更に、絶縁物の帯電機構として電気二重層モデルを提案した。3.負イオン注入デバイスの評価:ゲート酸化膜の劣化試験用デバイスに負イオン注入を行って評価して、負イオン注入が実際の半導体製造や次世代ULSI製造工程に利用できることを証明し、実用化の見通しを得た。4.極低エネルギー負イオンビーム蒸着の研究:大電流負イオンビーム減速蒸着装置を製作した。極低エネルギーにおけるビームのエネルギー幅は10eVと小さく、30eV程度に減速してもエネルギー制御性が有ることが判明した。更に、炭素負イオンを50eV〜400eVの極低エネルギーで蒸着し、その評価を行った。特性測定の結果、蒸着したカーボン膜は非晶質ダイヤモンドライクカーボン薄膜であることが判った。5.粉末への無飛散イオン注入法の開発:微粒子粉末へのイオン注入での粒子飛散問題に関して、飛散機構を理論的に解明し、理論や実験から負イオンによる無飛散イオン注入法を開発し、実用化の見通しを得た。
著者
齋藤 秀司 小林 亮一 松本 耕二 藤原 一宏 金銅 誠之 佐藤 周友 斎藤 博 向井 茂 石井 志保子 黒川 信重 藤田 隆夫 中山 能力 辻 元
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1999

当該研究は(I)高次元類体論および(II)代数的サイクルの研究のふたつの大きな流れからなる。(I)高次元類体論は高木-Artinにより確立された古典的類体論の高次元化とその応用を目指している。この理論の目指すところは数論的多様体のアーベル被覆を代数的K理論を用いて統制することで、幾何学的類体論とも言える。整数環上有限型スキームにたいする高次元類体論は当該研究以前に加藤和也氏との一連の共同研究により完全な形で完成することに成功した。高次元類体論はその後もρ進Hodge理論などの数論幾何学の様々な理論を取り入れつつ展開し、世界的なレベルで研究が続けられている。当該研究の高次元類体論における成果として、整数論においてよく知られた基本的定理であるAlbert-Brauer-Hasse-Noetherの定理の高次元化に関する結果がある。(II)主要な目標は"代数的サイクルを周期積分により統制する"という問題に取り組むことである。この問題の起源は19世紀の一変数複素関数論の金字塔ともいえるAbelの定理である。当該研究の目指すところはAbelの定理の高次元化である。これは"高次元多様体X上の余次元γの代数的サイクルたちのなす群を有理同値で割った群、Chow群CH^γ(X)の構造をHodge理論的に解明する"問題であると言える。この問題への第一歩として、Griffithsは1960年代後半Abel-Jacobi写像を周期積分を用いて定義し、CH^γ(X)を複素トーラスにより統制しようと試みた。しかし1968年MumfordがCH^γ(X)はγ【greater than or equal】2の場合に一般には複素トーラスといった既知の幾何学的構造により統制不可能なほど巨大な構造をもっており、とくにAbel-Jacobi写像の核は自明でないことを示した。このような状況にたいし当該研究はBloch-Beilinsonによる混合モチーフの哲学的指導原理に従い、GriffithsのAbel-Jacobi写像を一般化する高次Abel-Jacobi写像の理論を構成し、GriffithsのAbel-Jacobi写像では捉えきれない様々な代数的サイクルをこれを使って捉えることに成功した。この結果により高次Abel-Jacobi写像がAbelの定理の高次元化の問題にたいする重要なステップであることが示された。当該研究はさらに発展しつつあり、Blochの高次Chow群、Beilinson予想、対数的トレリ問題、などの様様な問題への応用を得ることにも成功している。
著者
川村 静児 中村 卓史 安東 正樹 坪野 公夫 沼田 健司 瀕戸 直樹 高橋 龍一 長野 重夫 石川 毅彦 植田 憲一 武者 満 細川 瑞彦 佐藤 孝 佐藤 修一 苔山 圭以子 我妻 一博 青柳 巧介 阿久津 智忠 浅田 秀樹 麻生 洋一 新井 宏二 新谷 昌人 井岡 邦仁 池上 健 石徹白 晃治 市耒 淨興 伊藤 洋介 井上 開輝 戎崎 俊一 江里口 良治 大石 奈緒子 大河 正志 大橋 正健 大原 謙一 奥冨 聡 鎌ヶ迫 将悟 河島 信樹 神田 展行 雁津 克彦 木内 建太 桐原 裕之 工藤 秀明 國森 裕生 黒田 和明 郡和 範 古在 由秀 小嶌 康史 小林 史歩 西條 統之 阪上 雅昭 阪田 紫帆里 佐合 紀親 佐々木 節 柴田 大 真貝 寿明 杉山 直 宗宮 健太郎 祖谷 元 高野 忠 高橋 忠幸 高橋 弘毅 高橋 竜太郎 田越 秀行 田代 寛之 田中 貴浩 谷口 敬介 樽家 篤史 千葉 剛 辻川 信二 常定 芳基 徳成 正雄 内藤 勲夫 中尾 憲一 中川 憲保 中野 寛之 中村 康二 西澤 篤志 丹羽 佳人 野沢 超越 橋本 樹明 端山 和大 原田 知広 疋田 渉 姫本 宣朗 平林 久 平松 尚志 福崎 美津広 藤本 眞克 二間瀬 敏史 前田 恵一 松原 英雄 水澤 広美 蓑 泰志 宮川 治 三代木 伸二 向山 信治 森澤 理之 森脇 成典 柳 哲文 山崎 利孝 山元 一広 横山 順一 吉田 至順 吉野 泰造
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理学会講演概要集 (ISSN:13428349)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, 2006-03-04
著者
大賀 圭治 辻井 博 米倉 等 福井 清一 岩本 純明 松本 武祝
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

中部ジャワの「定点観測村」で、持続的農業発展の条件を明らかにするための詳細な調査を実施した。農家経済に関する基本的データ収集と同時に、農外労働市場、多様な金融制度、近年注目されている社会林業の制度と運用実態等についてデータ収集を行った。主な知見は以下の通りである。(1)農産物価格や資材価格など、農業を取り巻く環境変化に対する農家の反応は機敏である。また農家は、さまざまなリスク回避措置を経営内に組み込んでいる。(2)水田利用は集約的である。しかし地力循環という点で大きな問題をかかえている。(3)農家構成員の就業先選択は通説のように「無差別」ではない。また、農業部門における家族労働と雇用労働の質については完全に代替的ではないと見なされている。(4)農家の作付け農作物の選択基準においては、自給目的が強くでており、商品経済的観点は弱い。(5)親戚・隣人間での金銭的相互扶助に関しては、共同体規範の強い影響がうかがえる。(6)回転講への参加目的は、低所得層は貯蓄・融資、高所得層は隣人とのコミュニケーションにある。共通して返済率は高く、貧困層の生活水準の向上に貢献している。(7)沿岸丘陵部の天水依存地域では、持続的農業開発の条件はより厳しい。しかし、作物と林木とを巧みに組み合わせた持続的な生産方式が定着している。(8)多様な相互扶助組織がなお機能しており、ソーシャル・セーフティーネットとしての役割を果たしている。(9)国有林経営では、最終生産物を国と農家・農家グループが分収する新たな制度が導入され、農家に持続的な森林管理を動機づけるものと注目されている
著者
辻合 秀一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会ソサイエティ大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1997, 1997-08-13

本研究では, タッチタイピングができるようなトレーニングシステムを構築するための評価部分の一考察である。タッチタイプは、タイピング練習用テキストを見て何度も打ちながら学んでいく。また、タイピングの練習ソフトを用いて、楽しくタッチタイプを学ぶ方法もある。学習の向上評価は、タイピング・スピードとミスの数である。その他の方法として、タイピング中の手の動きを画像入力し分析する方法がある。 本研究は、マルチメディア環境のある演習室などでタッチタイピングを効率よく教育する方法を検討する。
著者
兼子 直 佐野 輝 中村 祐輔 辻 省次 大沼 悌一 満留 昭久 小国 弘量 磯村 実
出版者
弘前大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1997

てんかんおよび熱性けいれんの原因遺伝子解明を目標に、「てんかん・熱性けいれん遺伝(子)解析に関する共同研究グループ」を設立し、家系収集とサンプリングおよび連鎖解析を進めている。1999年末の時点で収集した家系は223家系であり、そのうち85家系でサンプリングが進行中である。家系調査の対象は、特発性てんかん、beingn adult familial myclonic epilepsy (BAFME)、autosomal dominant nocturnal frontal lobe epilepsy(ADNFLE)、benign familial infantile convulsions、severe myoclonic epilepsy in infancyおよび熱性けいれんである。このうち、特発性全般てんかんの一型であるbenign familial neonatal convulsios(BFNC)では、KCNQ3遺伝子としては2番目の変異が見いだされた家系がみつかり、罹患者のエクソン5 (KCNQ3チャネルのポタシウムイオンの通過路のP-ループ部分をコード)のcDNAの塩基配列925番のTがCに変異していることを発見した。これはKCNQ3チャネル異常がethnicを超えて、重要な遺伝子異常であることを示している。BAFMEは、遺伝素因の関与が大きいわが国に特有なてんかんの一型であるが、その遺伝子座位は第8番染色体長腕上にマップ(8q23.3q24.1)された。現在、責任遣伝子を検索中である。ADNFLEは夜間睡眠中にのみ部分発作を起こす稀な遺伝性てんかんであるが、本邦における最初ADNFLEの家系において、neuronal nicotinic acetylcholine receptor α4 subunit(CHRNA4)遺伝子のM2 domainにおけるSer^<252>がleucineにより置換(C755T)されていることを見出したこれはADNFLEに関連する第3番目のpoint mutationである。現在、BFNC以外の特発性てんかんおよび熱性けいれんについても、収集家系について連安鎖解析が進行中であり、さらに、これらの遺伝子異常によりてんかんが発病する機序について検討中である。
著者
木村 俊一 澤木 勝茂 井上 昭彦 鈴木 輝好 辻村 元男 鈴木 淳生 高嶋 隆太 八木 恭子 後藤 允 中野 張
出版者
関西大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

「OR指向ファイナンス」とは,数理ファイナンス理論をオペレーションズ・リサーチ(OR)における意思決定支援という観点からそのモデル作りを見直そうという本研究の基本概念である.この基本概念の下に,5つの研究テーマ(1) オプション価格評価;(2) 仕組債の価格評価;(3) 数理ファイナンス理論 (4) 企業ファイナンスにおける価値評価;(5) リアルオプションに対する数理モデルの開発とそれらの応用に関する研究を行い,数多くの国際的な研究成果を得た.
著者
西口 敏宏 辻田 素子 辻田 素子
出版者
一橋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

自己組織化するトヨタ自動車のサプライチェーン、繁栄する中国・温州の「外出人」ネットワーク、さらに近年各地で成果を上げている「部門(機能)横断型プロジェクトチーム」などを、最新のスモールワールド・ネットワーク理論の枠組みで分析し、「遠距離交際」と「近所づきあい」の絶妙なバランスを有する頑健なシステムを構築した企業や地域が繁栄していることを明らかにした。理論家の描いた世界をはるかに超える複雑な現実社会について、豊富なオリジナルデータをもとに、「信頼」や「ソーシャル・キャピタル」の効用についても指摘した。
著者
麻田 治男 黒沢 由明 下辻 成佳
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会ソサイエティ大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1995, pp.310-311, 1995-09-05

パターン認識の中でも文字認識は最も古くから実用化が進んでいる.文字認識の応用システムとしては汎用のOCR(optical Character Recognition)装置があり,この国内市場は93年度で約300億円,台数にして1万数千台に達している(矢野経済研究所調査).文字認識のもう一つの応用としては郵便物自動区分機があり,近年,手書き漢字認識による宛名読み取り区分機が実用化されている.この二つを見ると,ずいぶんと実用化が進んでいるようであるが,日本語ワードプロセッサの市場(年間約3千億円)と比べると,実用化の度合いは小さいといえる.文書・文字認識と類似技術である図面認識についても第二世代に入って既存図面の入力システムが電力会社などで実用に共されているが,まだ,市場規模を云々するほどは普及していない.また,オンライン文字認識は携帯情報機器などのペン入力に用いられ,期待されてはいるが,仮想キーボード入力のような代替手段に比べて優位な位置は占めていない.このように文書・文字認識の技術はそこそこの実用化はなされているが,長年にわたって伸び悩んでいるというのが実情である.一方では,文書・文字認識に関する国際会議やワークショップが新たに発足するなど,国際的な研究活動の高まりを見せており,社会の真のニーズに沿った研究の方向性を見極める必要がある.本稿は「認識技術の実用化を阻むもの」という大テーマの中で,文書・文字認識について応用範囲を拡大するために何をすべきかを述べる.
著者
林部 敬吉 辻 敬一郎 中谷 広正 阿部 圭一 東山 篤規
出版者
静岡大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1998

研究成果は次の通りである。1.バーチャル・リアリティ空間における視覚特性について人工的に出現させたバーチャル・リアリティ空問の視覚特性が自然空間とどの程度類似しているかを、双曲空間特性、ホロプター特性、大きさ恒常性、奥行距離特性についてそれぞれ測定した。その結果、両眼視差、パースペクティブ、テクスチャ、陰影を奥行手がかりとした条件では、視覚特性で比較する限り、自然空間は限定的にしか再現されず、また個人差も大きいことが明らかにされた。2.バーチャル・リアリティ技術を応用した対象の3次元可視化についてVR技術を用い3次元可視化したときの視覚特性を考慮した次の3通りのシステム、すなわち人間の脳の3次元可視化システム、室内デザイン支援システム、初等プログラミング教育支援システムを開発した。人間の脳の3次元可視化システムでは、人間の脳の全体と部分が立体的に知覚できるようにし、同時に、脳の構造と機能とが理解できるように工夫された。室内デザイン支援システムでは、VR空間内に置かれた様々な対象(イス、机、棚など)をデータグローブを使用して仮想的に移動し配置(デザイン)させることができ、もし対象とデータグローブとが接触すれば、接触判定を行い、同時に接触したことをユーザーに視覚的、聴覚的信号で知らせて使用者の利便性を高めた。初等プログラミング教育支援システムでは、小学生や中学生等に対してバーチャル・リアリティの技術を利用することでプログラムするとはどういうことかを理解させ、同時にプログラムの結果を、ミニカーやミニロボットをプログラムに従って動かして確認することができるようにした。