著者
茅 陽一 手塚 哲夫 森 俊介 辻 毅一郎 小宮山 宏 鈴木 胖
出版者
東京大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1988

1)統合型エネルギーシステムに関する研究 近年の地球環境、中でも温室効果問題の関心増大を考慮して、現在はCO_2(二酸化炭素)の発生抑制を基本目標として作業を行なった。a)LPモデルによるCO_2の発生抑制シナリオの検討、b)化石燃料の2次エネルギー転換時のCO_2の除去のためのプロセスの化学工学的概念設計、c)エネルギーシステムの個別機器及びシステムの規模の経済性の検討。a)従来システムと異なる化石燃料の二次エネルギー(CO、H_2等)への転換設備を含むLP型システムモデルを開発し、CO_2の抑制量を変化させた時、そのシステム構成・総コストの変化を検討した。この結果CO_2の数十%迄の抑制は、海洋投棄がエコロジカルに可能ならば、さほどの不経済を伴わないが、それ以上の抑制は電力の熱需要充当を必要とし、システム効率の大幅な低下をもたらす、との結果を得た。また、従来型システムに比して原料価格変動に遙かに強いことを立証した。b)化石燃料からメタノールに至る変換の過程で、かなり工業的に可能性の高いCO_2除去プロセスが可能であるとの示唆が得られた。c)電力系統中心の分析の結果、個別の機器については、送配電部門でデメリットが現れている可能性が高い。2)都市を中心とするエネルギーシステムの研究近畿地域を対象とし、研究基盤であるエネルギー需要モデルの改善とデータの更新した。そして太陽光発電及び都市ガスコージェネレーションを想定し、モデルによりそれが従来システムに代替するポテンシアルを推定した。更にコージェネレーションシステムについては、民生用を対象とし、建物用途・規模・運転時間帯を入力可能とするモデルを作成し、建物用途毎に(事務所・デパート・ホテル)適したシステム構成・運転方式・建物規模を検討すると共に、システムの運転時間帯の影響も検討した。また、蓄熱諸方式の経済的・技術的特性の予備調査も行った。
著者
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
林學會雑誌
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, 1928-02-10
著者
大平 久司 飯村 龍 森 俊洋 辻本 誠
出版者
地域安全学会
雑誌
地域安全学会論文報告集
巻号頁・発行日
no.6, pp.19-26, 1996-11

地震被害への対策は,時系列でみると,事前の予防的対策,発生直後の緊急対応,復旧,の3段階に分けられる。本研究では,地震被害に対する目標としてあげられる,人命安全,財産保護,機能維持,の3段階のうち,人命は経済換算できないことから,地震直後の対応により人命損失をできるだけ少なくすることを目標とする。救命率の高い地震発生後48時間は人命救助活動を最優先として,人命救助活動の妨げとなる恐れのある他の活動を制限することが考えられる。本研究では,阪神・淡路大震災における被害データを用いて,地震発生直後の緊急対応による人的被害減少の可能性について,消火,救助,医療の側面から検討を行うとともに,これらの対応と関連する道路交通についての分析を行った。阪神・淡路大震災における延焼地区での死亡率の分析では,地震発生直後に延焼した地区の死亡率が高いことがわかった。一方,地震発生直後の同時多発火災に対応できるだけの消防力はなかったことから,消防の消火活動によってこれらの死亡者を救助することは困難だと判断される。緊急車両,一般車両を含めた地震発生後2日間の道路交通量の推定を行った結果,通勤,買い物といった目的の車両が走行していなければ,渋滞によって緊急車両の走行が妨げられることはないとの結論を得た。一方,渋滞によって,どの程度死亡リスクに影響があったかについては現時点では明らかにできていない。
著者
立石 潤 高久 史麿 今堀 和友 辻 省次 井原 康夫 畠中 寛 山口 晴保 貫名 信行 石浦 章一 勝沼 信彦 中村 重信
出版者
九州大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1992

当研究班では脳老化に伴う神経変性とくにアルツハイマー型老年痴呆を中心課題としてとり挙げ、その発症機序を分子生物学的ならびに分子遺伝学的手法により追求した。まず神経系細胞の生存維持に直接関与する神経栄養因子に関しては神経成長因子(NGF)およびそのファミリー蛋白質であるBDNF,NT-3,4,5を中心に特異抗体の作成とそれによる鋭敏な測定方法の確立、受容体のTrkA,B,Cなどの核酸、蛋白レベルでの検索で成果を挙げた。さらに神経突起進展作用を持つ新しい細胞接着因子ギセリンを発見し、逆に成長を遅らす因子GIFについてそのcDNAのクローニングから発現状態までを明らかにした。アルツハイマー病の2大病変である老人斑と神経原線維変化(PHF)については、主な構成成分であるβ蛋白とタウ蛋白を中心に検討を進めた。β蛋白に関してはびまん性老人斑は1-42(43)ペプチドから成り、アミロイド芯と血管アミロイドは1-40ペプチドから成ることを発見した。タウ蛋白に関しては、そのリン酸化酵素TPKI,IIを抽出し,それがGSK3とCDK5であることをつきとめた。さらには基礎的な業績として神経細胞突起の構成と機能、とくに細胞内モーター分子についての広川らの業績は世界に誇るものである。アルツハイマー病の分子遺伝学上の重要点は第14,19,21染色体にある。第14染色体の異常は若年発症家系で問題となり、わが国の家系で14q24.3領域のS289からS53の間約8センチモルガンに絞り込んでいた。最近シエリントンらによりpresenilin I(S182)遺伝子が発見され、その変異が上記のわが国の家系でも検出された。第19染色体のアポリポ蛋白E4が、遅発性アルツハイマー病のみならず早発性の場合にも危険因子となることを、わが国の多数の症例から明らかにした。第21染色体ではダウン症関連遺伝子とともにAPP遺伝子があり、そのコドン717の点変異をわが国のアルツハイマー家系でも確認した。さらに第21染色体長腕部全域の物理地図を完成した大木らの業績は今後、学界への貢献度が大であろう。これらの研究成果を中心に、単行本として「アルツハイマー病の最先端」を羊土社より平成7年4月10日に発行し、また週刊「医学のあゆみ」の土曜特集号として平成7年8月5日号に「Alzheimer病-up date」を出版した。
著者
茅 陽一 手塚 哲央 森 俊介 辻 毅一郎 小宮山 宏 鈴木 胖
出版者
東京大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1989

I.統合型エネルギーシステム(IES)1)システム構成の分析と効果の評価:3種の統合概念を提案した。第一は供給面での統合で供給の量・価格変動に対処し、第二は需要面の統合で需要の変動に容易に対応し、第三は規模の統合で同一システム内で異なる規模の設備を包括、両者の欠陥を補完する。これらの利点を数値的に示し、更にこの柔構造を有するシステムがCO_2削減にも効果的に対応出来ることを示した。2)CO_2の海洋循環と回集技術:地球温暖化対策の基礎として海洋での炭素循環を検討し有機炭素の役割の重要性を数値的に示した。また、産業から排出されるCO_2回収と海洋への廃棄の基礎的検討をした。3)高温核熱によるCO_2排出削減:IESの一つの方式は原子力の拡大利用で、高温核熱がエネルギー変換に有効に利用出来、結果的にCO_2削減に有効であると示した。4)規模の経済性の検討:電力システムを対象に検討し、設備建設コストの規模の経済性が認められる一方で、稼動率やシステムの周辺コストで規模のデメリットが認められることを示した。II.広義のロードマネージメントの研究1)分散型エネルギーシステム導入のポテンシアル:近畿地方を対象に、地域的需要分布を詳細に調査・モデル化し、太陽光及び燃料電池の導入のポテンシアルを検討し、かなり高い可能性があることを示した。2)民生部門におけるロードマネージメント:近畿地域対象の詳細民生需要モデルを作り、その調整可能性を検討した。電力のロードマネージメントの有効化にはガス冷房の普及が鍵となること等興味ある知見を数多く得た。3)コージェネレーションの民生利用評価:民生建築物を対象に運用モデルを作成、特に需要パターンがシステム選択に及ぼす影響を検討し、システム評価手法を提案した。4)産業用の共同火力運用プログラムの開発:産業での自家発電設備やコージェネレーションの運用に多大の示唆を与える知見が得られた。
著者
小野寺 秀記 竹村 周平 笠松 美宏 辻本 庄司 西山 勝彦 土橋 康成 杉本 尚仁 中原 梨佐 土井 たかし 杉野 成 近藤 元治
出版者
日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学 : 日本気管支研究会雑誌 (ISSN:02872137)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.185-193, 1993-03-25

心嚢炎で発症し, 約1年の経過をもって胸膜炎と気管支転移を合併した悪性胸腺腫の55歳男性症例について報告した。心嚢炎と胸膜炎に関した病理学的確診はえられなかったが, これらは共通の性状と治療経過を示したことから悪性胸腺腫の直接浸潤と考えた。原発巣と気管支病変に関しては病理学的確診がえられ, 画像診断より, 原発巣と気管支病変の連続性が認められないことから, 気管支病変は転移と考えた。治療に関して, 本例では多剤併用療法により部分的寛解後, 縦隔を主とした根治的放射線療法を行い, その後約1年の経過を通じて原発巣の縮小を維持できた。また漿膜浸潤の増悪も局所の化学療法により対処しうるものと想定された。転移を伴った悪性胸腺腫の延命には, 化学療法のdose intensificationが必要と考えられ, G-CSFをはじめとした補助あるいは併用療法の検討が今後の重要課題となるものと思われた。本例の死因は, 心嚢炎の再燃と肝転移に伴う多臓器疾患であった。
著者
大路 清嗣 辻 昌宏 久保 司郎 小野 嘉雄 八幡 篤 梅井 健司
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学會論文集. A編 (ISSN:03875008)
巻号頁・発行日
vol.59, no.562, pp.1429-1436, 1993-06-25
被引用文献数
7 11

A criterion was sought for predicting the path of a fatigue crack in HT80 steel propagating in residual stress fields. The problem was investigated with respect to two questions : (I) which was the dominant factor in determining the fatigue crack path, the cyclic components or the maximum values of stress intensity factors (SIFs), and (II) what kind of criteria, expressed in terms of the foregoing dominant SIF parameter, could be used for predicting the fatigue crack path ? For the first question, it was indicated that the cyclic components of SIFs determined the crack path. For the second question, it was found that the crack path could be predicted by applying the Δσ_θ maximum criterion, which predicted that the crack propagated in the direction of the maximum range of circumferential stress component. Crack propagation lives for cracks curved due to the existence of a hole were calculated by applying the "U- (crack opening ratio) estimation" method based on the superposition principle proposed by the present authors. The predicted lives were in good agreement with the experimental results.
著者
長島 昭 長島 昭 Virgil Carter 辻 裕
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学會誌 (ISSN:00214728)
巻号頁・発行日
vol.108, no.1034, pp.3-7, 2005-01-05

2004年9月27日(月),ASME(The American Society of Mechanical Engineers)のArmen会長とCarter理事がJSME本部を訪問されました。JSME側からは長島会長と辻副会長が応対し,良い機会であるので,あらかじめ先方のご了解を得て会長対談を実施しました。大変なごやかな雰囲気の中にも率直な懇談が進行し,有意義な会となりました。ASME側でも,何らかの形で会誌などに対談記録を掲載したいとのことでした。
著者
柿崎 淑郎 辻 秀一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータセキュリティ(CSEC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.129, pp.5-10, 2004-12-20
被引用文献数
1

匿名性の高いネット社会において,認証は重要である.しかし,サービスによっては,利用者が正規利用者であるか,どのような権限を持っているかを確認できれば,厳密な本人認証を必要としないことが多い.本提案方式は,サービス利用時の権限証明手段として,属性証明書を用いることにより,サービスサーバに対するプライバシ保護された権限行使をPKI上で実現する.In the net society, there is an anonymity by non-face-to-face. The authentication is important in the net society. However, in many service, if whether you are a regular user and what authority you have can be confirmed, a strict authentication is not necessary. Our proposal method achieves privacy protected authority exercise to the service server by using attribute certificate on PKI.
著者
辻井 農亜 岡田 章
出版者
近畿大学
雑誌
近畿大学医学雑誌 (ISSN:03858367)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.225-231, 2007-12

本研究は1994年から2003年までの10年間に近畿大学医学部付属病院メンタルヘルス科へ不登校を主訴に受診した6-18歳の患者533人を不登校の病態の変化を調べることを目的として1994〜1998年の前期と1999〜2003年の後期に分け,受診者数,主訴の内訳,不登校に陥った契機,初診時診断(ICD-10),転機について性別,学年別(小学生,中学生,高校生)に比較検討を行った.結果は,10年間の調査期間中の不登校状態にある受診者数に増減はないが前期に比べて後期の男子の受診者数が減少し,不登校に随伴する症状を呈する中高生の女子の受診者数が増加していた.不登校の契機は学校生活によるものが最も多かった.初診時診断はF43(重度ストレス障害および適応障害)の比率が最も大きく,特に女子では男子に比べF44(解離性[転換性]障害),F50(摂食障害)の比率が大きかった.転帰は,中高生に比べ小学生での再登校の比率が大きかった.本調査の結果から,当科では不登校の子どもの受診形態が変化し,特に中高生の女子において不登校に随伴する症状の治療が受診動機となっていることが示唆された.これは不登校に対する理解が浸透し不登校状態にある子どもに対応する各関係機関の役割が明確になり,医療機関は学年別,性別に応じて不登校状態の背景にある症状を把握し治療する役割が求められているためと考えられた.
著者
橋本 卓弥 平松 幸男 辻 俊明 小林 宏
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学會論文集. C編 (ISSN:03875024)
巻号頁・発行日
vol.73, no.735, pp.3046-3054, 2007-11-25
被引用文献数
1

rights: 社団法人日本機械学会rights: 本文データは学協会の許諾に基づきCiNiiから複製したものであるrelation: IsVersionOf: http://ci.nii.ac.jp/naid/110006453882/
著者
神田 直之 駒谷 和範 中野 幹生 中臺 一博 辻野 広司 尾形 哲也 奥乃 博
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音声言語情報処理(SLP) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.12, pp.55-60, 2006-02-04
被引用文献数
4

複数のドメインを扱う音声対話システムにおいて,対話の文脈や進行に関する特徴量を導入してより精度よくドメイン選択を行う手法を開発したので報告する.本稿ではドメイン選択問題を,応答すべきドメインが,(I)ひとつ前の応答を行ったドメイン,(II)音声認識結果に対する最尤のドメイン,(III)それ以外のいずれかのドメイン,のどれに該当するかを判別する問題と捉える.ドメイン選択の正解を与えた対話データから,対話の文脈や進行に関する特徴量を用いて上記を判別する決定木を学習することにより,ドメイン選択器を構成した.5ドメインのマルチドメイン音声対話システムを用いた10名の被験者による評価実験の結果,音声認識尤度に基づく従来のドメイン選択手法に比べ,ドメイン選択誤りが11.6%削減された.We have developed a robust domain selection method using dialogue history in multi-domain spoken dialogue systems. We define domain selection as classifying problem among (I) the domain in the previous turn, (II) the domain in which N-best speech recognition results can be accepted with the highest recognition score, (III) other domains. We constructed a classifier by decision tree learning with dialogue corpus. The experimental result using 10 subjects shows that our method could reduced 11.6% domain selection error, compared with a conventional method using speech recognition likelihoods only.