著者
鈴木 舞音 上原 崇史 金子 洋平 堀 洋輔 馬場 隆彰 齋藤 孝道
雑誌
コンピュータセキュリティシンポジウム2014論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, no.2, pp.767-774, 2014-10-15

ソフトウエアのメモリ破損脆弱性を悪用する攻撃,いわゆる,メモリ破損攻撃が次々と登場し問題となっている.メモリ破損攻撃とは,メモリ破損脆弱性のあるプログラムの制御フローを攻撃者の意図する動作に変えることである.一般的には,Buffer Overflow攻撃とも呼ばれている.OSやコンパイラでの防御・攻撃緩和機能が開発されてはいるが,それらを回避する更なる攻撃も登場している.そこで,本論文では,メモリ破損脆弱性の分類を行い,制御フローを不正に書き換えるまでの攻撃に関して調査し,分類する.
著者
今村 俊幸 村松 一弘 北端 秀行 金子 勇 山岸 信寛 長谷川 幸弘 武宮 博 平山 俊雄
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告計算機アーキテクチャ(ARC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2001, no.22, pp.49-54, 2001-03-08

世界各国の計算機資源のみならず様々なネットワーク上の装置を有機的に結合し,一つの仮想計算機システムを構築する試みとしてメタコンピューティングが提案されている.日本原子力研究所では,これまで所内LANでの仮想計算機上を構築し数値アプリケーションの実験を行ってきたが,さる2000年11月アメリカ,ダラスにて開催された国際会議SC2000期間中に日独米英4ヶ国のスパコンを結合して世界規模での実験の試みに成功した.本実験では,放射線情報推定システムを題材として世界5機関の並列計算機を利用し最大計510CPUの仮想計算機の構築並びに,仮想計算機上での計算を行った.また,計算と同時に仮想計算機から大気中に放出された放射性物質の拡散過程を可視化することも実施した.本報告では,世界規模での実アプリケーションの実験の概要とその結果についてまとめる.Metacomputing, which enables us to construct a virtual computer system with some computer resources or experimental devices via internet connection, was proposed. Japan Atomic Energy Research Institute, JAERI, also continued to carry out several numerical simulations on a virtual computer system even though it was restricted in the JAERI's LAN. At SC2000, we had an opportunity to construct a worldwide virtual supercomputer with help of several supercomputer centers at Germany, US, UK and Japan, and we succeeded to execute a "Quick responsible source estimation system" with 510 processor units on 5 sites. Furthermore we demonstrated a real-time visualization for the dispersion process of radioactive particles released into atmosphere. In this report, we summarized the result of worldwide metacomputing experiment.
著者
知念 徹 金城 達也 宮城 良浩 高槻 光寿
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.82, no.5, pp.972-976, 2021

<p>53歳,女性.3年前から2カ月に一度,右下腹部の間欠的な疼痛を自覚したため近医産婦人科を受診.精査で卵巣腫瘍が疑われ,当院産婦人科へ紹介された.経膣超音波検査で子宮および両側付属器に明らかな病変を認めず,また腹部造影CTでは右骨盤内に小腸と接する造影効果を有する3.5cm大の類縁形腫瘤を認め,骨盤造影MRIではT1強調脂肪抑制像で内部不均一な高信号病変を認めた.PET-CTで同病変に異常集積を伴っていたため,小腸GIST疑いで当科へ紹介となった.腹腔鏡観察では腫瘤は類円形,表面平滑で可動性は良好であり,腫瘍径・腫瘍局在が画像診断と一致していたため,切除の方針とした.腫瘍周囲を剥離すると子宮円靱帯由来の腫瘍と判明し,腹腔鏡下に腫瘍摘出術を施行した.病理組織学的検査では紡錘状の平滑筋細胞が錯綜する像を認め,腫瘍細胞はα-SMA陽性,Desmin陽性,DOG-1陰性であったため,子宮円靱帯平滑筋腫の診断であった.子宮円靱帯由来の平滑筋腫は稀であり,文献的考察を含め報告する.</p>
著者
福井 一喜 金 延景 上野 李佳子 兼子 純
出版者
日本都市地理学会
雑誌
都市地理学 (ISSN:18809499)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.59-70, 2016

<p> 本研究は,長野県佐久市の岩村田本町商店街を事例として,地方都市における中心商店街の取組みを調査することにより,新規店舗の開設と新規事業の創出による商店街活性化の方策を明らかにした.中山道の宿場町として発展した事例商店街では高速交通網の整備にともなって,隣接する郊外地域に大型店中心の商業集積が形成されたものの,それに先んじて商店街組織の世代交代を進め,空き店舗を活用した新規店舗の開設と新規事業創出を進め,地域住民の生活を支援する商業的・社会的機能を再構築した.こうした取組みを成立させることができた方策として,①地域貢献を使命とするビジョンの確立とそれを具現化するリーダーシップ,②その基盤となる世代を中心とした地域的連帯の活用,③新店舗や新事業の創出に向けた外部人材と小規模店舗の積極利用が挙げられる.</p>
著者
川路 茂保 金 煥成
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌. D, 産業応用部門誌 = The transactions of the Institute of Electrical Engineers of Japan. D, A publication of Industry Applications Society (ISSN:09136339)
巻号頁・発行日
vol.116, no.12, pp.1230-1237, 1996-11-20
参考文献数
17

The loop transfer property (LTR) of a full state feedback control system can be recovered by an observer. But the disturbance attenuation property (DAPR), which is characterized by the closed loop transfer function from the disturbance to the controlled output, may not be recovered by the same observer. It is desirable in practical control systems that both properties should be able to be recovered simultaneously.<br>In this paper, we show that the simultaneous recovery is possible by a proportional integral (PI) observer. Two remarkable results are presented: First, a new design method of PI observer is presented by utilizing the relation between PI observer and another observer which is constructed for a new augmented system. Second, the condition for simultaneous recovery by PI observer is given, and a design method of PI observer for simultaneous recovery is derived based on modified LQG/LTR. Finally, an example demonstrates the effectiveness of the proposed design method.
著者
粂 美海 神野 賢治 金田 華実 沖田 諒 佐々木 達也
出版者
富山大学人間発達科学部
雑誌
富山大学人間発達科学部紀要 = Memoirs of the Faculty of Human Development University of Toyama (ISSN:1881316X)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.43-54, 2021-10-22

本研究は, Bリーグクラブの観戦者数の増加に視座を置き,富山グラウジーズを事例にBリーグクラブにおけるサービスプロダクトが勧誘行動に与える影響を明らかにすることを目的とした。ホームゲームの観戦者を対象とした集合調査を実施し,二つの仮説モデルを設定・解析した。結果,1)富山グラウジーズ(Bリーグクラブ)のサービスプロダクトは,観戦者の勧誘行動を誘発していること,特に『ゲームの魅力』因子が強い規定力を有していることが明らかとなった。 また,2)勧誘行動によって,富山グラウジーズに対するチーム・ロイヤルティが高まり,さらに勧誘者自身の観戦回数も増加することが示唆された。 先行研究において,サービスプロダクトが勧誘行動に正の影響を与えること,勧誘行動によって勧誘者自身の観戦回数が増加するという知見は確認されておらず,総合満足や観戦継続意図を媒介変数とする勧誘行動モデルは支持されなかったが,チーム・ロイヤルティを媒介変数とする勧誘行動モデルは支持された。
著者
秋永 一枝 兼築 清恵 鈴木 豊 佐藤 栄作 上野 和昭 金井 英雄
出版者
早稲田大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1987

未発表資料索引の刊行作業は、「アクセント史資料索引」として、昭和62年度に秋永一枝・後藤祥子編『袖中抄声点付語彙索引』(6号)、鈴木豊編『日本書紀神代巻諸本声点付語彙索引』(7号)、昭和63年度に坂本清恵編『近松世話物浄瑠璃胡麻章付語彙索引』(8号)、金井英雄編『補忘記語彙篇博士付和語索引』(9号)を編纂、刊行した。また、上記資料刊行とともに、研究分担の資料調査に伴う問題点や研究を発表した。秋永は、「袖中抄」「古今集」の声点とアクセントに関する論考を4篇発表。上野は「平曲譜本」の記譜とアクセントに関する論考を2篇。坂本は「近松浄瑠璃本」の記譜とアクセント、義太夫節のアクセントに関する論考を4篇発表。鈴木は「日本書紀私記」「古語拾遺」の声点に関する論考をそれぞれ発表した。(裏面記載の論文)また、これまでに発表してきたアクセント史索引を総合的にコンピュ-タで検索できるよう「国語声調史資料索引集成」の編纂作業を行ってきた。これまでにコンピュ-タ入力を終了し、今後資料の追加や校正作業を進め、多くの人に利用の便を計るよう研究作業を続ける予定である。以上の史的アクセントの研究と同時に、アクセント史解明に不可欠な日本諸方言アクセントの調査と位置付けに関する研究を行った。昭和63年度に佐藤栄作編『アクセント史関係方言資料』として、テ-プ2巻と活字資料集を刊行した。また、佐藤が高松アクセントについての論考を発表した。以上のように、文献からのアクセント史解明の研究と、方言からのアクセント史解明へのアプロ-チを進め、成果をあげることができた。
著者
金井 一賴
出版者
日本ベンチャー学会
雑誌
日本ベンチャー学会誌 (ISSN:18834949)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.3-13, 2012-09-15 (Released:2019-04-21)

本稿は、企業家活動の視点から地域イノベーションとしてのクラスターの形成・展開について検討することを目的としている。まず、多様な企業家活動の概念を再検討し、相互に関連づけ、それを踏まえて地域やコミュニティ再生の鍵とされている地域イノベーションの議論を検討する。伝統的企業家活動研究においてはほとんど議論されることなく軽視されてきた新結合の一つである組織の創造が、社会企業家や市民企業家という新しい企業家活動の議論のなかでプラットフォームという形で取り上げられ、分析されていることを指摘する。そして、企業家活動を新企業や新事業創造の企業家活動(企業家活動Ⅰ)とプラットフォーム(企業家プラットフォーム)創造の企業家活動(企業家活動Ⅱ)の2つのタイプに分けることによって、2種類の企業家活動のダイナミックな相互作用と連鎖(企業家活動のミクロ-メゾループ)を通じて、地域イノベーションとしてのクラスターの形成・展開を統一的に分析できることを示す。
著者
斎藤 昭彦 丸山 仁司 新井 正一 橋本 光康 金場 敏憲 岩谷 力
出版者
国際医療福祉大学
雑誌
国際医療福祉大学紀要 (ISSN:13424661)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.35-43, 1998-12-25

この研究の目的は,MR画像から1)生体の大腿四頭筋全体あるいは個々の筋の各高位における筋断面積および筋容積を求め,臨床応用のための基礎データを提供すること,2)最大筋断面積や筋容積と,等運動性筋トルクとの関係性を検討し,最大断面積,筋容積といった筋形態学的情報から等運動性筋トルクの推定の可能性を探求することであった.健常大学生20名のMR画像から右大腿四頭筋の筋断面積および筋容積を求めた結果,大腿四頭筋の最大筋断面積は43±12.7cm^2,筋容積は1055±353cm^3であり,最大筋断面積と筋容積との間には相関係数0.981の高い相関が認められた.また,最大筋断面積,筋容積と,等運動性筋トルクとの間にも高い相関が認められ,MR画像からの形態学的情報である大腿四頭筋の最大筋断面積および筋容積から等運動性筋トルクの推定が可能であった.
著者
木下 睦 高橋 悟 山崎 友紀 金 放鳴 守谷 武彦 榎本 兵治
出版者
公益社団法人 石油学会
雑誌
Journal of the Japan Petroleum Institute (ISSN:13468804)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.177-185, 2006-07-01
参考文献数
5
被引用文献数
12

オイルサンド層から熱攻法で採収されるビチューメンのオンサイト低粘度化・改質技術として開発研究中のアルカリ超臨界水熱改質法において,ビチューメンからベンゾチオフェン・ジベンゾチオフェン(BT・DBT)類が生成する挙動とそれらの分解挙動について考察した。アルカリ超臨界水熱改質法では,反応温度430℃,圧力30 MPaの条件でKOHを加えて処理した場合,反応時間が数分で終了する比較的迅速な初期の分解反応と,その後のゆっくりとした反応とに区分され,本報では後者を対象とした。得られた結果をまとめると以下のようである。(1)ビチューメンからBT・DBT類が生成し,主にこれらのうちのBT類が分解されることで脱硫が進行すると考えられる。(2)アルカリはビチューメンからBT・DBT類を生成する反応で消費される。(3)使用した2種のビチューメンについて,生成したBT・DBT類の種類は同様であったが,成分ごとの生成量は異なった。(4)生成したアルキルBT類の種類は構造上可能な化合物数の半数近くであり,アルキル基の炭素数が3以下のものがほとんどであった。(5)BT類はDBT類に比べ分解が容易であり,かつDBT類の生成量は多くないため,脱硫は主にBT類を経由すると考えられる。本研究で使用したビチューメンでは生成したDBT類の硫黄含有率は合計で0.3 wt%以下であった。<br>
著者
金 志善
出版者
こども教育宝仙大学
雑誌
こども教育宝仙大学紀要 = Bulletin of Hosen College of Childhood Education
巻号頁・発行日
vol.2, pp.27-44, 2011-03-16

本論文は、植民地朝鮮における中等音楽教育に注目し、中等教育機関における音楽教育と、教育実践において大きな役割を果たす音楽教員らを中心に調べ、中等音楽教育の実態を明らかにしたものである。植民地朝鮮における中等教育と中等音楽教育を概観し、朝鮮で活動を行った多くの日本人中等音楽教員について『日本近代音楽年鑑(以下、年鑑)』と『東京音楽学校一覧(以下、一覧)』の両資料を用い、データの整理・分析を行った。また、中等音楽教員であった小出雷吉、大場勇之助、平間文壽について彼らの履歴事例を調べ、確認した。植民地朝鮮において中等教員の養成機関は存在せず、中等教育における多くの教員は、日本人で占められていた。それは、中等音楽教育においても同様であった。朝鮮で活動を行った日本人音楽家について『年鑑』を調べた結果、朝鮮での主な活動は中等音楽教員であり、彼らの出身学校のほとんどが東京音楽学校で、専攻は本科、甲種師範科であったことが分かった。それは、『年鑑』に掲載される人物がある程度の社会的な地位を持っている音楽家であるためであった。一方、『一覧』による朝鮮で活動を行った卒業生の専攻を見ると、乙種師範科などが含まれ専攻はもれなく分布されていた。両資料の分析結果をみると、朝鮮での活動は、音楽教員であり、そのほとんどの学校が官公立であった。しかも、その多くの学校は、在朝鮮日本人学校であり、中等学校においては女学校に集中して努めたことが分かった。それは、男子校より女子高の方が音楽教授を多く配分されており、同じ女子校である女子高等普通学校より1930年現在4倍も多いことから、高等女学校における音楽教員の数も必要に応じた形で構成されたと思われる。教員の事例について小出雷吉、大場勇之助、平間文壽の3人の事例を確認した結果、彼らは、東京音楽学校を卒業し、日本で教員や音楽活動を行い、その後、それぞれ朝鮮に渡った。彼らの朝鮮においての活動の中心は、教員活動であり、複数の学校で音楽教員として活動を行った。これは、朝鮮における中等音楽教員養成機関がなかったため、彼らの受容は不可欠であったことを意味する。しかも、彼らは、教員活動以外にも作曲活動や演奏活動、音楽協会での旺盛な活動を兼ねて行ったことが分かった
著者
木下 睦 高橋 悟 金 放鳴 山崎 友紀 守谷 武彦 榎本 兵治
出版者
公益社団法人 石油学会
雑誌
Journal of the Japan Petroleum Institute (ISSN:13468804)
巻号頁・発行日
vol.48, no.5, pp.272-280, 2005-09-01
参考文献数
14
被引用文献数
1 14

超臨界水を用いたビチューメンのオンサイト改質における脱硫の促進を目的として,ベンゾチオフェン(BT)類とジベンゾチオフェン(DBT)類のアルカリ水熱反応による分解を検討した。BTおよびDBT類はアルカリ水熱処理で分解し,分解の容易さはアルカリ水溶液の種類および濃度により影響を受け,KOH水溶液中での分解が最も進行した。分解はある濃度で残存率が最小となる極値を示した。また,水の超臨界状態では反応圧力が高い方が分解は容易に進行した。BT類とDBT類の両方について,本研究で報告した水熱分解とこれまでに他の研究者によって報告されている水素化脱硫法(HDS)とで生成物が異なり,また見かけの活性化エネルギーも大きく相違しており,両分解法において反応機構が異なることが示唆された。BTはDBTよりも分解が容易に進行し,またメチル基を有する硫黄化合物とメチル基を有さない硫黄化合物の分解の容易さを比較すると,メチル基を有さない硫黄化合物の方が容易に分解する。これらの傾向はHDSの場合と同様であり,水熱分解の場合も化合物の分子構造の影響を受けることがわかった。<br>