著者
鈴木 仁
出版者
北海道大学大学院文学研究科北方研究教育センター
雑誌
北方人文研究 (ISSN:1882773X)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.19-47, 2019-03-25

本論は、日本領時代の樺太における郷土研究について、島内で発行された新聞・雑誌から、その形成と展開を考察したものである。 日本領樺太には大正期にパルプ・製紙工業が進出し、水産業に代わる基幹産業へと成長する。工場を中心とした市街地が拡大し、また、原材料を供給する林業により冬期間の労働が生まれたことで、移住民の定住を促進させた。 昭和期に入ると、内地での郷土研究・郷土教育の影響を受け、移住地であるこの地域を「郷土」として研究する取り組みが現れる。1930年に結成された樺太郷土会には、教職員、樺太庁の役人、新聞記者など、幅広い人脈が広がっている。その研究分野も、歴史、民族学、自然科学など樺太における様々な事象を対象にしており、研究成果は新聞や出版物で発表された。また、史跡保存、博物館の資料収集、図書館設立も企画し、樺太庁への運動も行っている。 樺太郷土会結成の契機には、樺太の有力紙『樺太日日新聞』の主筆菱沼右一による主導的役割があり、同紙は活動の広報媒体にもなっている。また樺太郷土会が活動した時期に、政府や樺太庁では、樺太を内地に編入し、自立した地方行政への転換が計画されたことも、住民の郷土意識が求められた背景に影響していると思われる。 会の活動は1932年にはなくなるが、参加した研究者は、個人や別の団体を結成し、研究活動を続ける。1930年に樺太郷土会により始められた様々な活動は、その後も公的な文化事業や個人の研究活動に影響している。
著者
鈴木 昭夫
出版者
Yamashina Institute for Ornitology
雑誌
山階鳥類研究所研究報告 (ISSN:00440183)
巻号頁・発行日
vol.1, no.3, pp.125-126, 1953-12-25 (Released:2008-11-10)
参考文献数
5

1.私は駒井博士の行われた猫の毛色のセンサスと同じ方法で埼玉県所沢附近でセンサスを行い毛色の遺伝関係を調べた。このセンサスで集計された猫の数は276匹(雄140,雌136)である。2.集計された猫について計算した性比は100:100で人為的選択の要因はみられなかつた。3.毛色特に茶の因子が伴性因子によるとの仮説のもとに計算すると駒井博士の結果とよく一致する。又茶の因子頻度は24.56でかなり少い。4.この猫の毛色のセンサスの結果は茶の伴性因子であるという推定によく合うものになつたが,同時に黒と雉とでは雌雄の数に大差なく,その常染色体性のものであることを示している。
著者
黒木 識敬 安倍 大輔 鈴木 紅 岩間 徹 濱邉 祐一
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.48, no.6, pp.617-624, 2016 (Released:2017-06-15)
参考文献数
20

背景 : 本邦におけるマラソン大会中の心肺停止は, 救護の立場からの報告はあるが医療機関搬送後の経過については, いくつか症例報告されているのみである. 目的 : 当院に搬送された心肺停止の患者6,841例からマラソン大会中の心肺停止患者について, 予後を検証するとともにその原因を考察する. 方法 : 2006年1月から2015年10月の当院に搬送された院外心肺停止6,841例のうち, マラソン中に発症した患者を抽出し検討した. 結果 : 心肺停止患者は10歳代から30歳代が4例 (若年群) と, 50歳代から60歳代が4例 (中年群) であり, 社会復帰例5例, 神経学的後遺症1例, 死亡2例であった. 社会復帰例はいずれも目撃あり, 直後からのバイスタンダーによる心肺蘇生があり, 病院到着前に自己心拍再開を認めていた. 心肺停止の原因は, 若年群ではカテコラミン感受性多形心室頻拍, 特発性心室細動など不整脈が主体であった. 中年群ではいずれも心筋虚血であるが, 心電図ではST上昇を認めず, 冠動脈造影では完全閉塞ではなく狭窄病変が主体であった. 結論 : 各大会において短時間で心肺蘇生・除細動を実施できる救護体制を構築する必要がある. また, 原因は年齢層によって異なる. これまで心筋虚血を原因とした心室細動はプラーク破裂を主因とした一般的な急性冠症候群の発症様式が多いとされていたが, それを示唆する所見はなく, 過度な心負荷と冠動脈狭窄による相対的な心筋虚血が原因と考えられた.
著者
近貞 直孝 鈴木 亘 三好 崇之 青井 真 根本 信 大嶋 健嗣 松山 尚典 高山 淳平 井上 拓也 村田 泰洋 佐竹 次郎 阿部 雄太 是永 眞理子 橋本 紀彦 赤木 翔
出版者
防災科学技術研究所
雑誌
防災科学技術研究所研究資料 = Technical Note of the National Research Institute for Earth Science and Disaster Resilience (ISSN:1347748X)
巻号頁・発行日
no.430, pp.1-169, 2019-03-28

日本海溝海底地震津波観測網(S-net)などの稠密な沖合の海底水圧観測網によって得られる観測記録を用いて津波の浸水を即時に予測するための手法の開発を行った.この手法では,津波計算結果を用いて沖合の水圧変動と予測対象地域の沿岸水位分布,浸水深分布,到達時間を記録する津波シナリオバンク(Tsunami Scenario Bank; TSB)を予め用意する必要がある.理想的には,想定されるあらゆる地震による津波シナリオを登録すれば予測精度の向上が期待されるが,有限の時間と計算機資源では実現不可能である.そこで,本研究資料では,予測対象地域に対して効率的に津波シナリオバンクを構築するため の手順を千葉県九十九里・外房地域を対象とした場合の実例とともに示した.ここでは網羅性を担保するため,南海トラフや伊豆・小笠原海溝のように遠方の波源断層モデルを設定しているが,予測対象地域での沿岸水位分布の変化が大きくならないよう連続性が担保されるように波源断層モデルを間引いて計算コストを圧縮した.さらに,まずは比較的計算コストの小さい最小 90 m 格子の沖合津波計算を実施することで,沿岸に到達する津波を予め評価した上で計算コストの大きい最小 10 m 格子の陸域浸水計算を実施するようにした.陸域浸水計算においては,構造物条件の違いが与える浸水深分布への影響の評価を行った.ここでは,安全よりの「構造物が損傷しない場合」と危険よりの「構造物の損傷が大きい場合」に加えて,最も確からしい「構造物の損傷率を考慮する場合」について陸域浸水計算を実施し評価した.一方,津波浸水即時予測システムを構築する際には,情報の受け手である利用者のニーズに応じて予測に用いる構造物条件を決定する必要がある.最後に,構築した津波シナリオバンクの妥当性と予測手法(Multi-index 法)の検証のため既往津波を模擬データとして評価し,一定程度の精度が得られて いることを確認した.また,多層ニューラルネットワーク回帰をMulti-index 法と併用することで予測 精度を向上することが出来ることを確認した.We have developed a new algorithm for a real-time tsunami inundation forecast in the Cross-ministerial Strategic Innovation Promotion Program (SIP) titled "Enhancement of societal resiliency against natural disasters" using ocean bottom pressure changes taken by the Seafloor Observation Network for Earthquakes and Tsunamis along the Japan Trench (S-net). In this algorithm, we need to prepare the Tsunami Scenario Bank (TSB), which contains offshore tsunami waveforms at the observatory locations and the maximum tsunami height distributions, inundation depths and arrival times along the target coastal region. Ideally, TSB should contain tsunami information for all possible tsunami sources that may affect the target region, but it is impossible to prepare them in a finite time and computer resources. This technical note provides how we designed TSB for real-time tsunami inundation forecast and constructed the TSB for the Pacific coast of Chiba prefecture. Furthermore, to evaluate the propriety of our algorithm called the Multi-index method, we investigate pseudo tsunami scenarios represented paleo-tsunamis.
著者
鈴木 栄幸 加藤 浩 佐々木 真理
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータと教育(CE)
巻号頁・発行日
vol.1996, no.93(1996-CE-041), pp.33-40, 1996-09-20

本報告では、プログラミング協同学習ソフトウェア「あるごありーな」を利用した実験授業のインタラクション分析結果について述べる。「あるごありーな」は、プログラミングを含むソフトウェア作成技術育成を目的とした対戦型相撲シミュレータである。学習者は、力士の動きをプログラム言語を使ってプログラムし、他人の力士と対戦させる。対戦を活動の中心におくことは、強い力士を作ることを共通に志向する実践共同体の形成を支援する。この共同体の中で生徒らは自分の位置、すなわちアイデンティティを確立するともに、ソフトウェア作成技術を身につけていくのである。ビデオ分析結果により、「あるごありーな」が生徒らによるプログラミングの実践共同体の形成・維持を支援すること、学習はその共同体内でのアイデンティティの変容過程として捉えられることが示された。
著者
鈴木 あいり
出版者
酪農学園大学
巻号頁・発行日
pp.1-34, 2018

Endangered costal plants and insects inhabits in Lower Ishikari River, Hokkaido. However, non-native frog, Japanese toad (Bufo japonicus formosus) was introduced into Asahikawa city in 1980, and it was spread the distribution along Ishikari River Basin recently. The toad was firstly found at lower Ishikari River Estuary in 2005, and the established population was confirmed in 2011. Because this invasive toad preys on the above-ground insects in other areas of Hokkaido, it is believed that costal ecosystem of Ishikari Estuary is facing a serious ecological threaty. This study aims to assess the predation impacts of Bufo japonicus formosus by examining their diet composition. And the breeding season Bufo japonicus formosus capture method use large pitfalls and drift fence. Prey species obtained from stomach contents of Bufo japonicus formosus was classified into 16 families of 13 orders among 5 classes. We observed 291 prey species. Grasshoppers weevil families were the highest stomach content and ants and bees also were composed of stomach content at significant level.11 species of ants od which included seed disposal of costal flowers such as Viola grayi and Formica yessensis, were preyed by the toad. This result might show predation influence and impacts of long-term costal landscape and biodiversity. This study also harvested 1,067 Bufo japonicus formosus from April 16 of 2017 to May 22 with drift-fenced pitfall traps. And there were more harvesting at 2018 (from April 19 of 2018 to May 22) with 2,271 toads 1,445 toads were mark-recaptured; however, onlys 422 (29.2%) were recaptured. . . This 2 years research harvested total of 3,338 Bufo japonicus formosus, and more than 90 % were captured in the short period of time (May 1 May 5). Because this short peak, a breeding season of Bufo japonicus formosus at lower Ishikari River might be shorter than other areas. It's important to conduct continual disinfestation activity using a drift fence and pitfall trap and monitoring investigation in the Ishikari River estuary area where indirect effects on the coastal ecosystem are suggested, from now on and link it to the distribution spread, the number of individuals reduction and explosive increased prevention.
著者
島村 咲衣 安藤 正規 鶴田 燃海 永田 純子 淺野 玄 大橋 正孝 鈴木 正嗣 小泉 透
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳類科学 (ISSN:0385437X)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.55-65, 2020 (Released:2020-02-14)
参考文献数
47

近年,日本各地でニホンジカ(Cervus nippon)による林業被害や森林生態系への影響が報告されている.狩猟者の減少や高齢化によって捕獲努力量が伸び悩む中でも森林への被害を軽減させるために,例えば北米において考案されている,オジロジカ(Odocoileus virginianus)母系集団の強い定住性を利用したLocalized Management法のような,被害防除に効果的な個体数調整手法の適用を検討していく必要がある.しかし,ニホンジカ地域集団内の母系集団の規模がオジロジカと同様であるかは不明であり,本手法の適用の可否は不明である.さらに,既存のマイクロサテライトマーカーによってニホンジカの母系集団を検出できるか否かも明らかになっていない.そこで本研究では,ニホンジカ母系集団の検出を目指してマイクロサテライトマーカーの解析能力を検討し,空間的な遺伝構造の検出可能スケールについて検討した.国内4地域(北海道,静岡,岐阜,宮崎)で捕獲された計251個体(胎子63個体を含む)を解析に用い,マイクロサテライトマーカー17座の遺伝子型を決定した.遺伝子座ごとの対立遺伝子数(Na)は3~18となり,オジロジカの値と比較して少ない傾向にあった.個体識別能力の指標PID-siblingを算出した結果,本研究では多型性の高い上位4座を用いて個体識別が可能であった.地域集団間および地域集団内の遺伝的多様性を評価するため,全集団平均の遺伝子分化係数(G’ST),各集団のNa,対立遺伝子数の期待値およびヘテロ接合度の期待値を算出した.地域集団間および地域集団内の遺伝的多様性はどちらも低い傾向がみられた.地域集団間および地域集団内において,STRUCTUREを用いた遺伝構造解析では,北海道および宮崎の集団は明瞭にそれぞれ独立のクラスターが構成されるものの,中部(静岡・岐阜間)の遺伝構造は不明瞭になるケースが確認された.一方で,地域集団内の遺伝構造(母系集団)は検出されなかった.胎子63個体を使っておこなった母性解析では,胎子を妊娠していた真の母親を推定できた確率は約20%にとどまった.本研究では,北海道,中部および宮崎の地域集団間の遺伝構造を明瞭に検出できたが,地域集団内の母系集団は検出できなかった.そのため,サンプル数のもっとも多かった静岡集団においても,Localized Managementの適用が可能な個体群であるとは断定できなかった.それは,各マイクロサテライトマーカーの多型が少ないことが原因であり,日本国内のニホンジカが過去に経験した個体数の減少によるボトルネック効果を反映していると考えられた.
著者
鈴木 渉
出版者
山形大学
雑誌
山形大学紀要. 教育科学 = Bulletin of Yamagata University. Educational Science
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, pp.123(295)-140(312), 2008-02-15

Summary : This paper illustrates the actual situation and challenges faced by adult musical groups, particularly, amateur orchestras. The aim of this paper is to propose ways to improve and support their activities. The author researched on the H City Orchestra, a musical group the author is involved in, and discusses and summarizes this case study in the paper. In particular, the author focuses on the motivation behind members' musical performances and practice sessions. Furthermore, the author researches on the proper future course for orchestra activities and sheds light on the path its members wish to see taken. Moreover, by extending the scope of research to 44 bands in the westerm part on west area of Tokyo, in Tama district, and taking up concerns shared by each of these groups, especially particular articulating the challenges faced when recruiting members, this paper discusses the future and ways of assisting adult orchestra activities.
著者
上田 磨歩 鈴木 裕利 山下 隆義 板井 陽俊 石井 成郎
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:21888930)
巻号頁・発行日
vol.2017-CE-139, no.17, pp.1-6, 2017-03-04

著者らは,これまでペア活動によるプログラミングの授業に関して様々な評価,分析,および,改善を行ってきた.本稿では,授業の改善によって確認された学習行動の変化に着目して評価した.具体的には,モデリング,および,プログラミング活動に関する分析の結果について報告する.
著者
岡野 公禎 木村 太郎 鈴木 亮一
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.99-104, 2018-02-20 (Released:2018-03-20)
参考文献数
19

犬42頭の不妊手術に対し,麻酔導入15分前にブトルファノール(BTR)0.4mg/kgの静脈内投与もしくはモルヒネ(MOR)0.5mg/kgを皮下投与した群(pre-B群n=14,pre-M群n=14)と麻酔導入後に投与した群(post-B群n=7,post-M群n=7)に分類し,気管挿管に必要なアルファキサロン(ALFX)の麻酔導入量を検討した.ALFXの麻酔導入量は,pre-B群(1.59±0.26mg/kg)がpost-B群(2.45±0.36mg/kg)に対し35.1%の減少を示し,pre-M群(1.30±0.38mg/kg)はpost-M群(2.42±0.52mg/kg)に対し46.2%の減少を認めた(P<0.05).ALFXの麻酔導入量はBTR及びMORの麻酔前投薬により減少した.
著者
鈴木 惇
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集
巻号頁・発行日
vol.2018, pp.2E204, 2018

<p>本研究は、主に Web 上で投稿されている、台本形式小説 (SS: ショートストーリーもしくはサイドストーリーの略とされる) を自動生成することを目的とする。 本研究は既存のニューラル対話モデルを各話者の特徴を考慮して拡張する。提案モデルである three-step unified LSTM interlocution producer (TULIP) は発話符号化LSTM, 文脈更新 LSTM 発話復号化 LSTM の三つのLSTMの結合によりなっている。本研究では提案モデルに Web 上 の台本形式小説を学習させ、直接既存の小説を加工することなく一から小説を生成した。本研究では、質的、量的の双方の観点から出力した小説を評価し、提案するLSTMベースの手法が自然な日本語列を生成することを確認した。さらに、既存の定量評価手法の問題点についても指摘した。</p>
著者
鈴木 敦士 嶋倉 明彦 三木 貴司 清水 雅範 見山 源太郎 斎藤 信 池内 義英
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.104-110, 1990-02-15 (Released:2011-02-17)
参考文献数
19

屠殺前の廃鶏に, A. sojaeおよびA. oryzaeの産生する蛋白質分解酵素,パパイン,ならびに細菌性コラゲナーゼを注射して肉質への影響を研究した.その結果,筋原線維Z帯の成分が,パパイン, A. sojaeおよびA. oryzaeの産生する酵素によって分解されやすくなり,筋原線維のfragmentation の増加が認められた.また,筋肉内コラーゲンのサブユニットの分解,コラーゲン線維の開裂や膨潤も認められた. 食肉の軟化剤として広く使われているパパインに加えて,本研究に使用した醤油の生産に使われている麹菌の産生するプロテアーゼも,安全性および価格の面からも,食肉の軟化剤として有効ではないかと考えられる.
著者
鈴木 晃志郎
出版者
歴史地理学会
雑誌
歴史地理学 (ISSN:03887464)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.1-20, 2014-01

本論文は、「歴史的景観権」が史上初めて認められて全国的な知名度を得た広島県の鞆の浦で、筆者が2008年に実施したアンケート調査の結果を分析、推進・反対派双方の論理構造を可視化するとともに、賛否の別を問わずその態度の強弱が、ある種の決まり切った説明図式(「神話」性)にどれだけ自己同一化しているかで説明できることを明らかにした。
著者
原田 勇希 三浦 雅美 鈴木 誠
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
科学教育研究 (ISSN:03864553)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.164-176, 2018 (Released:2018-10-27)
参考文献数
33
被引用文献数
1

The aim of this research was to examine the influence of perception of utility value for entrance examination on “proactive, interactive and deep learning”. The results show that the teacher evaluated children with high perception of utility value for entrance examination as “proactive, interactive and deep” learners even if adjusted for the effect of interest value and utility value for practice. As indicated by the result of research 2, critical thinking mediated the effect of utility value perception for entrance examination on “proactive, interactive and deep learning” as evaluated by teachers. On the other hand, it was shown that high perception of utility value for entrance examination also promotes class participation behaviors due to a concern about being evaluated by teachers. Based on the above results, it was concluded that high perception of utility value for entrance examination can promote “proactive, interactive and deep learning” in science classes, and the large size of this variable should not be denied as a motivating factor for science learning.