著者
鈴木 将文 佐々木 守 菊池 浩司
出版者
日本保健物理学会
雑誌
保健物理 (ISSN:03676110)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.207-218, 2018 (Released:2019-03-03)
参考文献数
17

We converted the measured values to the measurement value of 1 m height obtained by the calibrated survey meter by using the regression of the car-borne survey measurements on existing survey meter measurements of the absorbed dose rate in air. Detailed investigation was conducted for all factors considered to potentially influence the measured value. The equation made by these factors was nearly accordance with this regression. The result of converting the measurement results into the survey meter measurement value was 22-111 nGy h-1. Comparing the distribution map of environmental gamma-ray dose rate by car-borne survey with a geological map shows that the area with high gamma-ray dose rate coincides well with areas of Granitoid, Paleogene system and Tertiary Volcanic Rocks. The area with low gamma-ray dose rate coincides with areas of Quaternary Volcanic Rocks and their surroundings. The source of these rocks is considered to be volcanic ejecta. The annual effective dose from the geometric mean value in Aomori prefecture was estimated to be about 0.21 mSv y-1. This value is lower than the annual external dose that would be obtained by exposure to the average terrestrial gamma-ray dose rate in Japan.
著者
鈴木 彰
出版者
日本きのこ学会
雑誌
日本きのこ学会誌 (ISSN:13487388)
巻号頁・発行日
vol.19, no.4, pp.155-166, 2012-01-31 (Released:2018-03-15)
被引用文献数
1

担子菌きのこの生活史の各発育段階,特に子実体形成は,各きのこの菌株の遺伝的特性に加えて外部環境要因の影響を受ける.一般に,子実体形成が可能な温度域は栄養生長が可能な温度域よりも狭く,子実体形成の最適温度は,低温側に位置するものが多い.温度が低くなると,子実体形成速度が低下するとともに,柄が短くなり,傘が大きくなる傾向がみられる.湿度の低下も柄の短小化を招く.光照射は,多くのきのこで子実体形成過程の特定の時期に顕著な影響を与える.有効波長は,概ね330nm-520nmである.菌種にかかわらず子実体の発育段階初期が高濃度のCO_2暴露の影響を最も受け易く,次いで子実体発育後期,子実体原基形成,栄養生長の順になる.ヒラタケは,3,000-9,000ppmのCO_2暴露によって傘の展開阻害,柄の徒長と肥大,傘や柄の脱分化などを高頻度に生じる.ヒラタケとブナシメジでは,6,000ppmCO_2暴露によって,脂質,K,及びCa含有量が増大し,炭水化物含有量が減少する,ブナシメジではP/S比の増大も生じる.柄に負の重力屈性を生じる発育段階は,菌種によって異なる.積算微小変位圧縮法を用いたテンシプレサーと色差計を用いると子実体の客観的品質評価が可能である.きのこ生産の向上には,収量の増大のみならず,子実体の品質を考慮した育種や環境制御,さらに環境制御の省エネルギー化など,様々な分野で基礎的研究と生産現場での研究の連携が望まれる.
著者
品川 政太朗 吉野 幸一郎 サクティ サクリアニ 鈴木 優 中村 哲
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J102-D, no.8, pp.514-529, 2019-08-01

自然言語から思い通りの画像を生成するシステムは,コンピュータによるデザイン作成支援に有用であると期待されている.本研究では,自然言語によってインタラクティブな画像編集を行うことを指向して,自然言語の指示によって直前にシステムからユーザへ共有された生成画像を操作することで,より意図に沿った画像を新たに生成するフレームワークを提案する.具体的には,修正元となる画像データをConvolutional neural networks (CNNs)によって埋め込んだベクトルと,画像に対する自然言語の修正指示文をLong short-term memory neural networks (LSTM)によって埋め込んだベクトルを入力とし,敵対的学習によって指示通りに修正された画像の生成を行う枠組みを提案した.実験では,手書き数字操作データセットを用いた単純なタスクにより,提案モデルが学習した画像編集タスクにおける振る舞いについて分析した.また,実際に人手で付与した指示文によってアバター画像を修正し,意図に沿った編集を行うことができることを確認した.
著者
鈴木 栄幸 舟生 日出男
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
科学教育研究 (ISSN:03864553)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.42-55, 2002-03-10 (Released:2017-06-30)
参考文献数
8
被引用文献数
4

In this paper, we focus on the "Question-Answer" function of SOUTO ; a hypermedia authoring system, and classroom activities where learners make hypermedia compositions with SOUTO and discuss their compositions with the function mentioned above. Field tests of the system reveal that ; 1 . The Question-Answer function reconfigures social relationships in the classroom and thus creates a foundation for collaborative learning, 2 . The Question-Answer function creates a field of informal talk, 3 . The SOUTO system provides a foundation on which both formal and informal talks are constituted and woven together, and thus, enables transition between them. Based on these findings, we suggest that educational systems should be designed as mediators which hybridize school-like activities and non-school-like activities.
著者
田村 昌大 廣瀬 伸良 中村 充 齊藤 仁 山内 直人 田中 力 鈴木 桂治 菅波 盛雄
出版者
日本武道学会
雑誌
武道学研究
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.143-149, 2012

本研究では、2009年1月に改正されたIJF試合審判規定が柔道競技に及ぼした影響を分析・検証を行なった。その上で、試合審判規定改正の世界柔道の戦術内容に関する最新の動向を探ることを目的とした。<BR>研究方法は、収録された映像を基に2008年フランス国際柔道大会及び2009年グランドスラム・パリ国際柔道大会の競技内容を比較した。試合数は両年合わせて476試合であった。競技分析を行う上で、項目を作成した。作成した項目については、「競技分析シート2009」に競技内容を入力するものとした。<BR>組み手については、釣り手・引き手ともに持った状態で施技を行う「充分」が0.1%水準で有意な増加が認められた。また、「ズボンを直接握る」ことへの反則適用から、施技者及び相手も施技時に「脚」を持つという戦術は有意な減少が認められた。さらに、施技する際の姿勢も前傾姿勢状態からの施技は5%水準で有意な減少が認められた。<BR>ポイント取得の技術内容や組み手戦術において改正前と比較した結果では、「脚」を持つ戦術に依存しないことで「襟」「袖」を持った状態で施技可能な技術に移行するという望ましい傾向となった。<BR>今回の改正によって懸案事項となっていた点が改善される傾向にあり、IJF試合審判規定改正が影響のあるものであったと考えられたが、「肩車」にみられるような「脚」を持つ技に対する依存は未だ存在している。そのため、2010年にさらなる試合審判規定の改正につながったものと推察する。
著者
高木 絢加 岸田 菜々 鈴木 麻希 武田 一彦 木村 理恵 永井 成美
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.74, no.6, pp.165-173, 2016 (Released:2017-01-19)
参考文献数
17
被引用文献数
1 1

【目的】我々は,温スープ摂取後の安堵感の上昇にはスープの嗜好性が,体温上昇にはスープの温度が関連することを若年女性において見出したが,スープ中のナトリウム(Na)の影響の程度は不明であった。本研究の目的は,日常で摂取している容量のNaが嗜好性・安堵感や主観的温度感覚,深部・末梢体温の上昇に及ぼす影響を,スープと食塩のみを除いたスープ(食塩無スープ)を用いた実験により明らかにすることである。【方法】前夜から絶食した若年女性12名に対し,スープ(Na 440 mg)摂取,食塩無スープ(Na 61 mg)摂取,スープ摂取なし(ブランク)の3試験を異なる日の朝9時より無作為な順序で行った。サンプル(65°C,150 ml)は5分間で摂取し,直後に嗜好調査を行った。深部体温(鼓膜温),末梢体温(手先温・足先温),心拍数は,摂取10分前から65分後まで測定し,安堵感と主観的温度感覚は質問紙で6回測定した。【結果】スープでは食塩無スープと比べて嗜好得点が有意に高く,摂取後の足先温(曲線下面積:AUC)も有意に高かった。重回帰分析より,足先温上昇に嗜好得点が関連していることが示された。安堵感,主観的温度感覚,心拍数の各AUCは,両スープともにブランクより高かったがスープ間での差はなかった。【結論】スープに含まれるNaは,食塩としてスープの嗜好性を高め,摂取後の足先温上昇に関与することが示唆された。一方,両スープ摂取後の安堵感,主観的温度感覚,鼓膜温,心拍数は類似した経時変化を示したため,本研究で用いたサンプルのNa濃度の影響は限定的だと考えられる。
著者
木原 正夫 鈴木 仁 鈴木 祐介
出版者
順天堂大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

IgA腎症は原発性糸球体腎炎のなかで最も頻度が高いが、有効な治療法が確立されておらず予後不良である。IgA腎症の病態には糖鎖異常IgA1 と糖鎖異常IgA1 免疫複合体が深く関与しており、その産生にはToll like receptor(TLR)などのPattern recognition receptors(PRRs)を起点とした粘膜免疫応答異常が考えられる。本邦においては扁摘パルス療法が一定の効果を示している一方で、北欧においては腸管選択的ステロイド薬の効果が示されており、その議論が分かれている。本研究では、腸管におけるPRRsを介した糖鎖異常IgA1 免疫複合体形成機序を検証することを目標としている。ヒトIgA腎症の自然発症モデルであるddYマウスを用いて、血中・消化管関連リンパ組織におけるIgA、糖鎖異常IgA、IgG-IgA免疫複合体を測定したところ、IgA腎症発症マウスの方が未発症マウスに比較して、血中・脾臓の細胞培養液中のGd-IgA, IgG-IgA免疫複合体が有意に高かったが、腸間膜リンパ節においては両者に有意差はなかった。今後は、腸管におけるPRRsがIgA腎症発症・増悪に寄与しているか調べるため、IgA腎症発症/非発症ddYマウスを用いて、TLR4/9やその下流のサイトカインの発現を検証し、さらにはTLR4/9のリガンドを投与することで、IgA腎症を惹起できるか検証する。また、グルテンフリー食、腸管選択性ステロイド薬、中和抗体・siRNA を用いて、Gd-IgAおよびIgG-IgA免疫複合体産生の抑制効果を検証する。
著者
鈴木 秀夫
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.67-76, 1962-02-01 (Released:2008-12-24)
参考文献数
14
被引用文献数
14 9

最終氷期の周氷河現象が,低い所では,北海道の大部分と,下北半島にみられることを示し,この地形的事実から,当時の気候区界を求めた。これによつて,日本海は,北部を除いては,冬期,凍結していなかつたと推定する。
著者
鈴木 綾子 竹田 靖史 檜作 進
出版者
The Japanese Society of Applied Glycoscience
雑誌
澱粉科学 (ISSN:00215406)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.205-212, 1985-08-31 (Released:2010-03-16)
参考文献数
19
被引用文献数
24 23

ジャガイモ, クズ, タピオカの澱粉の老化性を比較し, また, これらの澱粉からアミロース, アミロペクチンを分離・精製してそれぞれの老化性と分子構造を詳細に調べた結果, 下記のようなことが見出された.1) 上記3種の澱粉をアルカリ糊化し, 中和した糊液の老化性は, タピオカ澱粉が最も低く, 他の2者はほぼ同じであった.2) Schoch法で得られたアミロースの重合度は, 末端基定量で求めた数平均では, ジャガイモ>タピオカ>クズの順であったが, 光散乱法で測定した重量平均では, タピオカ>ジャガイモ>クズの順であった.3) 上記アミロースの老化性は, クズ>ジャガイモ>タピオカの順で, 重量平均重合度の順と逆の関係であった. 大きい分子ほど老化しにくい性質を示した.4) 3種の澱粉から沈殿剤・酵素法で重合度の小さい, 真に直鎖状のアミロースが得られたが, これらはいずれもSchoch法で得られたアミロースより高い老化性を示した.5) 3種のアミロペクチンの老化性は, ジャガイモのものが最も高く, 平均鎖長も他の2者のものより明らかに長い分子であった.6) 最も老化性の低いタピオカ澱粉は, アミロース, アミロペクチンともに老化性の低い分子であった.
著者
鈴木 廣志 谷川 昇 長友 隆行 津田 英治
出版者
日本甲殻類学会
雑誌
Crustacean research (ISSN:02873478)
巻号頁・発行日
no.22, pp.55-64, 1993-11-10
被引用文献数
2

1986年5月,1987年6月および1990-1991年に,鹿児島県本土からトカラ列島にかけて,陸水産コエビ類の分布調査を行った.また,本土内を流れる川内川,万之瀬川および肝属川では,流程分布調査も行った.採集されたコエビ類は,ヌマエビ科が4属8種,テナガエビ科が2属9種であった.これら17種のうち13種が南方系の種類であったが,北方系の種も4種類出現し,本調査地域は両系の混棲する地域と考えられた.また,今まで沖縄島が北限とされていた,スベスベテナガエビMacrobrachium equidens,コツノテナガエビM. latimanus,およびツブテナガエビM. gracilirostreが大隅諸島(種子島,屋久島,口永長都島)でも採集された.したがって,これら3種の北限は大隅諸島まで引き上げられると考える.3つの河川における流程分布は,従来報告されているように河川形態,ダム,自然の滝などに影響されていることがわかり,河口から傾斜の緩やかな流域にかけては,両側回遊型のミゾレヌマエビCaridina leucostictaやミナミテナガエビMacrobrachium formosenseなどが分布し,ダムや滝などの上流域には,陸封型のミナミヌマエビNeocaridina denticulataやスジエビPalaemon (P.) pauddensのみが分布していた.
著者
城間 将江 菊地 義信 河野 淳 鈴木 衞 加我 君孝
出版者
日本聴覚医学会
雑誌
AUDIOLOGY JAPAN (ISSN:03038106)
巻号頁・発行日
vol.41, no.6, pp.755-764, 1998
被引用文献数
2

人工内耳装用者における音楽的要素の知覚度を調べる目的で, (1) リズム弁別, (2) 音程の弁別, (3) 楽器音の音色識別, (4) 旋律の知覚, (5) アカペラ歌唱の知覚テストを作成し施行した。 対象は成人中途失聴者16名で, 14名がNucleus 22, 2名がClarion人工内耳システムの使用者であった。 各テストの平均正答率は, リズムが90%, 音程は51.8%, 音色は25.8%であった。 旋律は11.8%と低い正答率であったが, 同旋律のアカペラ歌唱では71.4%に改善した。 なお, 語音聴取率と旋律の知覚率との相関は低く, 人工内耳機器間による差も無かった。 本研究から, 現在の人工内耳システムは強度の時間情報伝達は良好でリズムや語音の知覚には適しているが, 微細なスペクトルエンベロープの弁別が必要な楽音の知覚には不十分であることが示唆された。
著者
砂見 綾香 鈴木 良雄 安田 純 多田 由紀 日田 安寿美 川野 因
出版者
一般社団法人 日本食育学会
雑誌
日本食育学会誌 (ISSN:18824773)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.3-11, 2017-01-25 (Released:2017-10-17)
参考文献数
17

Diet plays an important role in the maintenance of athlete condition and performance. However, collegiate athletes rarely receive adequate dietary education in Japan. Here, we assessed associations between food intake and intake frequency for 10 food groups in order to confirm that simple questions relating to intake frequency can provide diverse information about food intake in collegiate athletes.A total of 123 collegiate athletes (67 males) completed a food frequency questionnaire and a non-consecutive 3-day, 24-hour dietary recall relating to the following food groups : meat, fish/shellfish, eggs, milk and dairy products, soy and soy products, seaweed, potatoes, green and yellow vegetables, other vegetables, and fruits. Frequencies were as follows : almost never, one or twice a week, every other day, and every day. The Jonckheere-Terpstra test, Goodman and Kruskal’s gamma, and weighted matching coefficient kappa were used to assess associations. The Mann-Whitney U test was used to compare food intake by frequency. P<0.05 was considered statistically significant.Energy-adjusted intakes were positively associated with frequencies for each food group, with the exception of potatoes (median gamma, 0.27 ; median kappa, 0.79). Comparing intakes of every day or not, significant differences were observed for fish/shellfish, eggs, milk and dairy products, soy and soy products, and other vegetables.Our findings suggest that simple questions relating to intake frequency can provide diverse information about food intake in collegiate athletes.
著者
鈴木貴大 鈴木崇弘 千葉紗由李 松永信介 稲葉竹俊
雑誌
第73回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, no.1, pp.455-456, 2011-03-02

これまでVR環境を構築するためには多大なコストとスペースを要<br />するため学校教育の場に導入することは非常に困難であった。しか<br />し、近年では簡易にVR環境を構築するための環境が整いつつあり教<br />育現場への導入が現実的になってきたが、まだその導入事例は少な<br />い。<br /> そこで本研究では、巻き取り式のVRスクリーンを用いたものとHM<br />Dを用いた簡易のVR学習環境をそれぞれ構築し、学習者自身の視点と<br />自身を俯瞰するような視点の異なる視点で利用できるVR教材を開発<br />した。評価においては、デバイスと視点の違いをそれぞれ組み合わ<br />せた異なるVR学習環境における学習効果の差異の検証を多角的に行う。