著者
北條 昌芳 阿部 俊明 鹿野 哲也 玉井 信
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.1253-1255, 2003-07-15

要約 55歳女性が左眼の上下瞼結膜に黒い塊があるのに気づいて受診した。8年前にアレルギー性結膜炎と診断され,デキサメタゾンの点眼を続けていた。結膜結石があり,数回の結石除去術を受けていた。視力は良好で,眼底その他に異常はなかった。左眼の瞼結膜に偽膜形成があり,上の瞼結膜に1個,下の瞼結膜に9個の黒色塊があった。生検で黒色塊はクリプトコッカス症と診断した。残りの黒色塊を除去し,ステロイド薬点眼を中止させた。以後の再発はない。瞼結膜のクリプトコッカス症は稀であるが,長期の副腎皮質ステロイド薬の点眼による眼局所の免疫力低下が引き金になったと推定した。
著者
柏崎 礼生 北口 善明 近堂 徹 楠田 友彦 大沼 善朗 中川 郁夫 阿部 俊二 横山 重俊 下條 真司
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.1140-1150, 2014-03-15

大規模災害による危機意識の高まりから災害回復(Disaster Recover: DR)を実現するための技術として遠隔地データセンタでのバックアップや分散ストレージに注目が集まっている.現在我々は金沢大学,広島大学,国立情報学研究所を中心として広域分散型のストレージ環境の構築を進めている.この環境は,ランダムアクセス性能の高さに特徴があり,かつ各拠点から同じデータにアクセスできるため,ライブマイグレーションにより他拠点においてサービスを継続することが可能となる.本稿では本環境におけるI/O性能を評価し,広域分散ストレージを用いたライブマイグレーション実験について述べ,有用性を示す.
著者
ドメネク=ベルダ カロリーナ 阿部 俊大 Carolina Doménech-Belda Toshihiro Abe
出版者
同志社大学人文学会
雑誌
人文學 = Doshisha University Jinbungaku (Studies in Humanities) (ISSN:04477340)
巻号頁・発行日
no.206, pp.110-79, 2020-11-15

この論考は、アル=アンダルス[中世のイスラーム=スペイン]におけるファーティマ朝(907−1171年)の貨幣の存在について、アンダルスの領域におけるこの外国貨幣の流通についての情報を見直し、アップデートしつつ、論じたものである。
著者
西本 哲也 村上 成之 阿部 俊昭 小野 古志郎
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 A編 (ISSN:03875008)
巻号頁・発行日
vol.61, no.591, pp.2386-2392, 1995-11-25 (Released:2008-02-21)
参考文献数
16
被引用文献数
7 6

The purpose of this study is to understand the mechanical properties of the human cranium in order to develop a FEM simulation model of the head. Craniectomy samples, autoclave bone flaps and dry cadaver skulls were tested using values of radial bending moment considered typical in the case of head injury. In this study, we developed a procedure for estimation of the mechanical properties of the cranium by assuming a proportional relation between the bone mineral density and Young's modulus. The mechanical properties of the human cranium have been determined from the three-point bending test and the bone mineral density measured by the dual energy X-ray absorptiometry. The human cranium consisted of inner and outer tables (cortical bones) and a diploe (a cancellous bone). The stress on the cortical and the cancellous bones in the field of bending stress was assumed that the cranium was a beam in which two different materials were combined. The experiment showed that fresh cranial fractures start at the inner table and the diploe and then propagate to the outer table. The fracture of a cranium taken out of a human being will exhibit elastic-plastic fractures. This fact implies that the inner table and the diploe fractures can occur even if no fracture is detected using plain X-rays in cases of acute extradural hematomas (EDH).
著者
エルナンド ジョゼップ 阿部 俊大
出版者
九州大学大学院言語文化研究院
雑誌
言語文化論究 (ISSN:13410032)
巻号頁・発行日
no.33, pp.149-159, 2014

ペトルス・ヴェネラビリスは、1142年から43年にかけてのイベリア半島への旅に際し、ムハンマドの生涯と教説についての既知のテクストをラテン語に翻訳する着想を得た。イスラームをより巧妙に論駁するための情報を得ることがその目的である。13世紀後半には、フランシスコ会とドミニコ会が主導する伝道・改宗の運動が生じ、「言語研究所Studia Linguarum」と呼ばれる研究施設が設けられた。同じ頃、ラモン・マルティ(1230-1284/85)は、反イスラーム論について述べた第一部(『ムハンマドの宗派の形成・拡大とその四つの劫罰についてDe origine et progressu etfine Machometi et quadruplici reprobatione eius』、別名『ムハンマドの宗派についてDe Secta Machometi』)と、キリスト教信仰を説明した第二部『使徒信経要綱Explanatio Simboli Apostolorum』から成る著作を著した。このラモン・マルティの著作は反イスラーム文学のジャンルに決定的な影響を及ぼし、他の著作に着想を与え、また単純に剽窃(もしくは作者への言及がまったくない引用)の対象となっている。第一部、第二部は、それぞれ独立した形態で現在まで伝来している。
著者
海老沼 拓史 楠 知通 阿部 俊雄 齋藤 宏文
出版者
一般社団法人 日本航空宇宙学会
雑誌
宇宙技術 (ISSN:13473832)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.15-21, 2009 (Released:2009-08-05)
参考文献数
8

This paper describes the design and development of a dedicated GPS receiver for spin stabilized launch vehicles. The receiver is built around a commercially available low cost GPS chip set and operates an enhanced firmware specifically adapted for high dynamics applications. In order to keep tracking a sufficient number of GPS signals even during the spinning motion, we use multiple GPS patch antennas and space them equally apart each other around the cylindrical launcher body. A new signal combining scheme was developed to avoid deep fading in antenna gain pattern. This technique requires phase control to keep signals received on multiple antennas in phase with each other. A dualantenna GPS receiver was developed to evaluate the proposed signal combining algorithm. The result showed that the proposed algorithm was capable of providing stable and continuous signal tracking under a high-rate spinning motion while simple RF combining through a power combiner was failed.
著者
鶴島 博和 櫻木 晋一 亀谷 学 菊池 雄太 城戸 照子 西村 道也 新井 由紀夫 徳橋 曜 安木 新一郎 図師 宣忠 阿部 俊大 西岡 健司 名城 邦夫 山田 雅彦 向井 伸哉
出版者
熊本大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2016-04-01

1. 2018年5月20日日本西洋史学会(広島大学)でDr David Roffeを招聘してDomesday Moneyersと題する研究報告、5月24日熊本大学においてThe Domesday Text Projectという講義を行った。2. 9月2日から8日までは、熊本大学と同志社大学においてThe International and symposium workshop on Money and its Circulation in the Pre-Modern Western Eurasian World in 2018を開催した。報告者は地中海世界のイスラーム貨幣に関してはスペインの大学からProf. F. M.atima Escudero, Prof. Alberto Canto, Carolina Domenech Belda 、Prof. W. Schultz、と科研メンバーの亀谷学が、世界のキリスト教世界に関してはイギリスからDr William Day , Dr Adrian Popescuが、スペインからはProf. D.Carvajal de laと Vega Dr Albert Estrada-Riusが、そして科研メンバーの阿部俊大が行った。議論は、多岐にわたり、とくに少額銀貨の流通に関して有意義な知見をえた。スペイン貨幣史研究の指導的研究者である Prof. Alberto Cantoからはこれまで経験したシンポジウムの中で最良のものの一つであるという評価を得ている。これらの報告内容に関しては報告書(2029 for 2018)に収録する予定。3.熊本地震で出土した益城町出土の古銭を地元の協力を得て分析し報告書を出版した。研究を地域に貢献することができた。4.2019年1月23日から2月10日まで鶴島がイタリアでProf. Andrea Saccocci, Prof. Monica Baldassariと研究打ち合わせを行い本年度のシンポジムに関する意見交換を行った。オックスフォード大学でZomiaに関する研究会に招待されて貨幣史から見たイングランドの無統治地域についての報告を行った。3月28日は今年度まとめの研究集会を行い、29日にドイツとバルト海の交易と貨幣についてProf. Michael Northと研究打ち合わせを行った。
著者
阿部 俊彦
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D1(景観・デザイン) (ISSN:21856524)
巻号頁・発行日
vol.73, no.1, pp.37-51, 2017 (Released:2017-11-20)
参考文献数
10
被引用文献数
7

東日本大震災で大きな被害を受けた宮城県気仙沼市内湾地区では,震災前は防潮堤が無かったため,宮城県から示されたL1津波を防ぐための防潮堤の計画高さに対して,多くの地域住民が反対した.筆者は,住民等で構成される内湾地区復興まちづくり協議会のコーディネーターとして,協議体制を構築し,模型やCGなどを使ったワークショップを企画運営に関わり,宮城県が設計を進めていた防潮堤の高さ,位置,形式,意匠デザインの設計変更案の検討支援をおこなった.本研究では,その合意形成に至る一連の協議プロセスを整理し,多主体が関係する景観デザインのプロジェクトにおけるコーディネーターとしての専門家の役割と工夫を示すことを目的とする.
著者
阿部 俊雄
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン (ISSN:03743470)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.71-77, 1964

写真のプロセスを利用するためには, 露光や現像と, 得られる画像の関係を知っておく必要がある.このような写真プロセスの入出力特性を求める操作を写真のセンシトメトリとよび, 製造者にとっても, 需要家にとっても重要な作業となっている.ここでは現在行なわれている白黒フィルムのセンシトメトリをJIS規格を中心にして説明し, テレビジョンの分野で写真を利用する場合の参考に供したい.
著者
平井 松午 鳴海 邦匡 藤田 裕嗣 礒永 和貴 渡邊 秀一 田中 耕市 出田 和久 山村 亜希 小田 匡保 土平 博 天野 太郎 上杉 和央 南出 眞助 川口 洋 堀 健彦 小野寺 淳 塚本 章宏 渡辺 理絵 阿部 俊夫 角屋 由美子 永井 博 渡部 浩二 野積 正吉 額田 雅裕 宮崎 良美 来見田 博基 大矢 幸雄 根津 寿夫 平井 義人 岡村 一幸 富田 紘次 安里 進 崎原 恭子 長谷川 奨悟
出版者
徳島大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2013-10-21

本研究では、城下町絵図や居住者である侍・町人の歴史資料をもとに、近世城下町のGIS図を作成し、城下町の土地利用や居住者の変化を分析した。研究対象としたのは米沢、水戸、新発田、徳島、松江、佐賀など日本の約10ヵ所の城下町である。その結果、侍屋敷や町屋地区の居住者を個別に確定し地図化することで、居住者の異動や土地利用の変化を把握することが可能となった。その点で、GISを用いた本研究は城下町研究に新たな研究手法を提示することができた。
著者
堤 親範 阿部 俊也 岡山 卓史 空閑 啓高 下川 雄三 植田 圭二郎 西原 一善 中野 徹
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.82, no.6, pp.1063-1069, 2021 (Released:2021-12-30)
参考文献数
27
被引用文献数
1

自己免疫性膵炎(AIP)は限局性病変を形成し,膵癌と鑑別困難な症例が存在する.本検討は当院で経験したAIP 34例を対象とし,その臨床学的因子,手術症例の周術期因子を解析した.AIPの5例(14.7%)で膵癌を疑い,手術を施行した.AIPにおいて,多変量解析でCA19-9高値(>37U/mL)(P=0.01),膵外病変なし(P=0.01),EUS-FNA未施行(P<0.01)が手術施行に関わる独立した因子であった.また,単変量解析で 血管浸潤所見(P=0.03)を認めるAIPで有意に手術が施行され,限局性膵腫大(P=0.06)を認めるAIPで手術が施行される傾向にあった.AIPと膵癌の特徴を同時に認める症例ではそれらの鑑別が困難になりやすく,AIPに対する手術を回避するためにはAIPに特徴的な所見を含め,EUS-FNA/FNBの重要性を再認識する必要があると考えられた.
著者
阿部 俊夫 坂本 知己 田中 浩 延廣 竜彦 壁谷 直記 萩野 裕章
出版者
応用生態工学会
雑誌
応用生態工学 (ISSN:13443755)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.147-156, 2006-01-30 (Released:2009-01-19)
参考文献数
27
被引用文献数
7 4

河川への落葉供給源として必要な河畔林幅を明らかにするために,森林内の落葉散布パターンを実測し,さらに,風速変動を考慮した簡単な物理モデルを用いて落葉散布の推定が可能かを検討した.落葉広葉樹林において,谷の両側斜面に単木的に分布するクリの木(両側各1本)を対象として,落葉散布を実測したところ,斜面から谷への方向では,落葉の散布距離は,最大で約25mであり,ほとんどの落葉は15m以内に落下することが分かった.モデルによる落葉散布推定の結果,一方のクリでは,樹冠近傍を除き,モデル推定値と実測値がよく一致した.累積落葉密度は,モデル,実測とも,距離15mで約90%に達した.もう一方のクリでは,モデルによる散布距離の推定値はやや過大となった.モデル推定値と実測値の比較の結果,林内風速が正確に測定できれば,本研究で提案したモデルを用いて落葉散布パターンを推定できる可能性が示唆された.しかし,林内では,樹木や地形の影響で局所的に風の吹き方が異なり,これがモデルの推定精度を下げる要因になっていると思われる.一方のクリで,モデルと実測が一致しなかったのも,この風速の不均質性が原因と推察された.ただし,大まかな落葉散布範囲は,河畔域の代表的な地点で風を観測することにより十分推定可能と思われる.また,本モデルは,その性質上,樹冠近傍の落葉密度を過小評価してしまう.しかし,落葉の累積%が80~90%に達する距離は,モデル,実測ともほぼ同じであり,落葉供給範囲を推定するという目的を考えれば,この違いは大きな問題ではないといえる.以上から,本モデルは,現時点での検証が不十分であるものの,今後,河川への落葉供給源の推定に有効なツールになりうると思われる.