著者
田中 裕士 本間 伸一 今田 彰浩 菅谷 文子 阿部 庄作 西 基
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.64-69, 1995
参考文献数
25
被引用文献数
1

霧の発生が気管支喘息患者に及ぼす影響について検討する目的で, 45歳, 女性の喘息患者のピークフロー値と, 霧などの気象条件との関係について検討した. 患者は以前より, 香水, 野焼き, 工場からの煤煙などの臭気で発作が誘発されていたが, 2年前に転居してから発作が頻発するようになり, 霧との関係が疑われた. 平成6年6月から71日間のピークフロー値 (n=251) の中で, 霧と臭気のない時間帯 (n=195) の値は403±40L/分 (平均±標準偏差) であった. 霧の発生時間帯 (n=40) では347±60L/分, 臭気のあった時間帯 (n=5) では333±60L/分, 霧および臭気が同時に発生した時間帯 (n=11) では340±53L/分であり, いずれも有意(p<0.01)に低下していた. また, 1日の平均気温, 最低気温, 平均相対湿度, 気圧, 風向きとは有意な関連性はなかった. 気管支喘息患者において, 霧の吸入によりピークフロー値は低下し, 発作誘因の一つとなりうることが示唆された.
著者
寳學 淳郎 清原 泰治 阿部 生雄
出版者
高知学園短期大学
雑誌
高知学園短期大学紀要 (ISSN:03894088)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.23-32, 1998-03-31

The present paper aims at investigating the extra-curricular sports activities in Tokyo Higher Normal School(THNS) from Taisho Era to the end of World War II . The followings results were obtained. 1)In this period, the Undo-bu(sports club) in the THNS increased in number. Behind this phenomenon, there exsisted the rapid popularization of sports in Japan and the increase of the students of THNS. 2)There were many good players in track-and-field, swimming, association foot-ball, rowing, handball in the THNS who represented Japan in the Olympic Games and/or Far Eastern Championship Games. It means that the extra-curricular sport activities in THNS contributed a lot to the improvement on the level of Japanese sports. 3)The Undo-bu of judo, kendo and association football sponsored the National Middle Schools Championships and contributed to the development of local sports. 4)THNS graduates played an important part in the popularization and the development of the local sports.
著者
相宮 光二 宮川 慶子 林 誠 長岡 宏一 阿部 康治 北 俊之
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.36, no.7, pp.469-475, 2010 (Released:2012-03-10)
参考文献数
12

Sulbactam sodium-ampicillin sodium (hereinafter referred to as SBT/ABPC) injections are widely used for the treatment of infection and in view of this,we conducted a study to examine the therapeutic equivalence of original and generic preparations of SBT/ABPC.In it,we compared efficacy and safety in patients diagnosed with pneumonia,acute bronchitis,or acute bronchiolitis who received the original or a generic SBT/ABPC injection at the National Organization Kanazawa Medical Center from May 2007 to March 2008.We analyzed the efficacy endpoints of body temperature,white blood cell count,and CRP level and the safety endpoints of AST (GOT),ALT (GPT),and BUN in 121 subjects receiving the original preparation and 112 receiving the generic one.Our results suggest therapeutic equivalence for both efficacy and safety,and we conclude that the generic version can definitely be used as an alternative to the original preparation.
著者
阿部 泰郎
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.34, no.5, pp.31-48, 1985

古代王権がその根拠を示すために編んだ『日本書紀』は、中世に至り、王権を支える諸道芸能の一流なる「日本記の家」に伝承された。所謂中世日本紀である。その学問は訓古註釈に止らず、物語的言説として再創造され、その典型たる三種神器説(宝剣説話)は『平家物語』「劔巻」と関連し、また、その生成過程は、慈円の夢想記が示すように、天皇即位に関する旧仏教界の即位法伝承の形成とも不可分の関係にあって、中世王権を神話的に支える機能を果していた。『太平記』中の即位法と三種神器(宝剣)の二説話が南北両朝を批判する物語上の文脈は、そうした消息を伝えるものであろう。
著者
樹林 千尋 阿部 秀樹 山崎 直毅 青柳 榮
出版者
東京薬科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2000

エクアドル産ヤドクガエルから発見されたエピバチジンは、ニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)に結合することによってモルヒネの200倍の極めて強力な非オピオイド性鎮痛作用を示すことが判明し、本化合物が画期的な非麻薬性物質であることが確認された。しかし、エピバチジンの臨床応用についてはその毒性が問題となっており、エピバチジンのアナログ開発は毒性克服の観点から重要な課題となっている。エピバチジンの活性発現には、ファーマコフォーとして2-クロロピリジル基及び脂肪族2級アミンの存在が必要であると指摘されているが、これ以外に窒素原子間距離が活性と毒性の発現に深く関わっている可能性がある。そこでわれわれは、エピバチジンのシンN-N及びアンチN-N配座固定アナログを合成し、両者のnAChRに対する親和性を比較することにより、エピバチジン立体配座と鎮痛活性の相関性を明らかにする目的で本研究を行い、次の結果を得た。アシルニトロソ化合物のヘテロDiels-Alder反応を鍵反応としてエピバチジンの合成中間体であるアザビシクロケトン体を合成し、2-クロロピリジル基を導入後分子内環状エーテル化によりスピロ化合物とすることによりシンN-N及びアンチN-N配座固定アナログの合成を達成した。次いで、これらのアナログについて中枢性nAChR(ラット)に対する親和性を測定したところ、シンN-NアナログはアンチN-Nアナログよりも受容体親和性が少なくとも2倍以上高いことが明かとなり、エピバチジンの活性配座がシンN-N配座であることを示す最初の実験例を示すことができた。
著者
三浦 誠 内林 俊洋 阿部 亨 菅沼 拓夫
雑誌
第79回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2017, no.1, pp.505-506, 2017-03-16

遠隔臨場感技術の進展により,コミュニケーション,医療,教育など,さまざまな分野において,その技術を用いた支援システム(遠隔臨場感システム)の活用が期待されている.遠隔臨場感システムの高度な実現法として,遠隔操作ロボットに搭載されたカメラからの映像を配信する手法が注目されているが,カメラが向いている方向しか映し出すことができないため,臨場感や利便性の観点では未だ十分とは言えない.本研究では,遠隔操作ロボット,全方位カメラ,スマートフォンを用いたHMDを組み合わせることで,ロボットの方向に依存しない自由視線映像の取得が可能な遠隔臨場感システムを提案する.本稿では,本システムを実現するためのシステム構成設計,および映像のQoS制御について議論する.
著者
中山 智英 長谷川 直人 小西 和哉 阿部島 滋樹 市村 龍之助 金古 裕之
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.67, no.9, pp.2101-2104, 2006-09-25 (Released:2009-01-22)
参考文献数
15

症例は3歳,男児. 2005年8月6日午後7時20分,自宅で玩具にて遊んでいる際,単5乾電池2個にて動いていた玩具の電池カバーがはずれており,そのうち1個を飲み込んだのを母親が目撃した.同日7時30分に当院救急外来を受診.救急外来到着時,呼吸苦や腹部症状はみられなかったが,腹部単純X線写真にて上腹部に誤飲した乾電池と思われる1×3cm大の陰影を確認.母親からの病歴聴取とあわせ乾電池の誤飲と診断した.透視下造影検査を行ったところ上部小腸まで乾電池が進んでいたため,緊急手術を施行した.下腹部正中切開にて開腹し,直視下に小腸まで進んでいた乾電池を確認.用手的に回盲部まで進め,虫垂切除術を施行し,虫垂切除断端より乾電池を摘出した.小児の筒型乾電池誤飲症例は報告が少なく,治療法も確立されていない.われわれは小児の筒型乾電池誤飲症例に対し,虫垂切除術を施行し摘出しえた1例を経験したので報告する.
著者
阿部 なつ江 荒井 章司
出版者
一般社団法人 日本鉱物科学会
雑誌
岩石鉱物科学 (ISSN:1345630X)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.143-158, 2005 (Released:2005-09-10)
参考文献数
89
被引用文献数
6 12

Recent developments in instrumentation for in situ trace element analysis of peridotite minerals give us valuable data set of petrological and geochemical insights of the upper mantle. Here, we summarize petrographical, petrological and geochemical characteristics of mantle xenoliths from the Northeastern and Southwestern Japan arcs. They have clear correlations between microtexture and mineral compositions in terms of both major and trace elements. That suggests that influx-assisted melt extraction occurs simultaneously with deformation/recrystalization in the upper mantle. Their characteristics of trace-elements in clinopyroxene are distinguished from those of abyssal peridotite and peridotite xenoliths from continental regions. The geochemistry of Japan arcs’ clinopyroxenes have characteristics of arc-type mantle source; i.e., low light rare earth element (LREE) and high field strength element (HFSE; Ti, Zr and so on), rather high heavy rare earth (HREE) relative to LREE elements and Sr concentrations. They also have a rather constant Ti/Zr ratio, variable REE patterns, and relatively low LREE/HREE ratios. The simple melt extraction model can not explain these characteristics. These features are due to metasomatism, which is different from carbonatite metasomatism.
著者
両角 祐子 山下 穣 阿部 祐三 安川 俊之 竹田 まゆ 宇野 清博 佐藤 聡
出版者
特定非営利活動法人 日本歯科保存学会
雑誌
日本歯科保存学雑誌 (ISSN:03872343)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.219-225, 2009-04-30 (Released:2018-03-30)
参考文献数
33

本研究は,脈動ジェット水流式口腔洗浄器具を用いた歯肉縁上の洗浄が歯肉縁下に及ぼす影響を,歯周組織および歯肉縁下細菌叢の変化で検討した.全身疾患を有さない男性4名,女性4名を対象とし,手用歯ブラシとジェットチップ®を装着した口腔洗浄器具(ウォーターピック®ウルトラJET:WP-10-J,Water Pik,USA)を併用した場合と,手用歯ブラシのみの場合を比較検討した.口腔洗浄器具の使用は,1日1回就寝前,600mlの水道水にて行った.検査項目は,Plaque Index(以下,P1I),Plaque Control Record(以下,PCR),Gingival Index(以下,GI),Bleeding on Probing(以下,BOP),Probing Depth(以下,PD)とし,実験開始時と1,2週間後に測定を行った.細菌学的検索としては,Polymerase Chain Reaction法を用い,Porphyromonas gingivalisの検出を行った.結果,口腔洗浄器具を併用した場合,手用歯ブラシのみの場合と比較し,PCR,P1Iで2週間後に有意な減少を認めた.GI,BOPにおいても口腔洗浄器具を用いた場合のほうが改善がみられた.細菌学的検索では,口腔洗浄器具の併用において,P.gingivalisの検出部位が少なかった.以上の結果から,脈動ジェット水流式口腔洗浄器具を併用した場合,臨床的にプラークの抑制効果があることが示された.また,歯肉溝内の歯周病原細菌の抑制効果があることも示された.これらのことから,脈動ジェット水流式口腔洗浄器具を用いた歯肉縁上の洗浄の歯肉縁下に対する有効性が示された.
著者
西岡 里奈 阿部 睦子 金子 京子 倉持 清美 妹尾 理子 望月 一枝
出版者
日本家庭科教育学会
雑誌
日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.61, 2018

<背景と目的><br> 学習指導要領の改訂により、平成29年3月に告示された小学校学習指導要領から、小学校家庭科でも「A 家族・家庭生活(3)家族や地域の人々との関わり」の中で幼児又は低学年の児童との関わりができるよう配慮することが求められている。中学校や高等学校では、幼児や小学校低学年児との関わりは行われている。しかし、小学校では特別活動などで異学年との交流は行われているものの、家庭科の授業では少ない。そこで、本研究では六年生と一年生でスイートポテトを作る交流調理実習を行うことで、新たに小学校低学年児との関わりを取り入れた授業を開発し、小学校家庭科で異なる世代の人々との関わりを学ぶことの効果を検討する。<br><br><br><br><方法><br><br>①対象: 東京都内国立小学校六年生全3クラスのうち、1クラス34名を対象とした。このクラスについて全7時間(一年生との交流は2時間)の授業を開発した。<br><br>②ナラティブ分析:交流調理実習後に六年生が交流を思い出してナラティブを作成した。書かせる際には「文章で書くこと。時間の流れに合わせて、始めから終わりまで書くこと。そのとき自分が思ったことや、相手の様子・思っていることを書くこと。」とした。 <br><br> 一クラス分のナラティブを6人で読みあい、児童によるナラティブの特徴と、授業の効果をカテゴリーのまとまりとして確認した。カテゴリーは、中学校で小学校低学年児と交流を行った論文(倉持ら,2009)を用い、他のカテゴリーが抽出できる場合は、その点について話し合った。<br><br><br><br><開発した授業><br><br> 六年生と一年生の交流を取り入れた学習として、以下のような授業を開発した。<br><br>第一次:一年生の特徴を考えると同時に、自分の成長を実感できる授業を設定した。一年生との縦割り班(特別活動の異学年交流)やお世話での経験をふまえて、自分たちと一年生の違いを考えると同時に、自分が一年生だった頃の写真を見て自分の成長を実感する場を設けた。<br><br>第二次:六年生だけで試し調理としてスイートポテト作りを行った。自分たちで試し調理を行うことで、一年生と一緒に行うときに気をつけることやどのように関わっていったらよいかを実際に調理を通して考えられるようにした。(2時間)<br><br>第三次:試し調理をふまえて、一年生を楽しませるために交流調理実習を行うときのポイントや関わり方を考える場を設定した。<br><br>第四次:一年生と一緒にスイートポテト作りを行った。(2時間)<br><br>第五次:ナラティブを記入し、一年生と交流調理実習をして、一年生の様子で気付いた点等や自分の関わり方についてまとめを行った。<br><br><br><br><授業の効果><br><br> 中学生のカテゴリーに当てはめて、六年生の記述を分類した結果、「問題解決」に関わる内容として、「接し方」「調理安全」「前次の学び」に細分化することができた。「接し方」とは、一年生との関わり方に言及したもので「待ち時間にあきてしまわないように、たくさん話しかけるようにした」などで、「調理安全」とは調理の際の安全に関わるもので、「前時の学び」とは「前回の授業で、一年生に楽しんでもらうために、調理器具の名前クイズをするとあったので、実際にやってみました」など既習事項を活用したものである。このことから、六年生が一年生との交流を通して様々な問題に直面したが、一年生に楽しんでもらうために自分達で課題に対して向き合い、解決していったことが分かった。
著者
井上 宗宣 阿部 敏明 岩崎 克彦 加藤 正
出版者
日本薬学会化学系薬学部会
雑誌
反応と合成の進歩シンポジウム 発表要旨概要
巻号頁・発行日
vol.29, pp.108-109, 2003

ナランタリド(<b>1</b>)は、2001年、メルク社のグループにより真菌(<i>Nalanthamala</i> sp. MF 5638)より単離、構造決定された電位依存性カリウムイオンチャンネルKv1.3阻害活性を示し、新しい作用機序を有する免疫抑制剤としての可能性が示唆されている天然有機化合物である。我々は、ナランタリド(<b>1</b>)の医薬的な価値に注目し、本化合物の効率的かつ柔軟性に富んだ合成法を開発することを主な目的として合成研究を開始した。今回、光学活性なナランタリドの全合成を初めて達成したのでその経緯につて報告する。 出発原料として光学活性なウィーランドミッシャーケトン類縁体(<b>2</b>)を用い、14段階を経てホモプレニル部を導入した化合物<b>3</b>を合成した。続いて、[<i>2, 3</i>]-Wittig転位(<b>3</b>→<b>4</b>)によりエキソオレフィン部の導入および5位の不斉中心を構築し、ピロン環(<b>6</b>)とのカップリング反応(<b>5</b>+<b>6</b>→<b>7</b>)を鍵段階として、光学活性なナランタリド(<b>1</b>)の合成に成功した(Scheme 1)。
著者
阿部 一
出版者
東洋学園大学
雑誌
東洋学園大学紀要 (ISSN:09196110)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.91-108, 2011-03-15
著者
篠崎 惠美子 坂田 五月 渡邉 順子 阿部 恵子 伴 信太郎 藤井 徹也
雑誌
聖隷クリストファー大学看護学部紀要 = Bulletin Department of Nursing Seirei Christopher University
巻号頁・発行日
vol.22, pp.37-44, 2014-03-31

本研究の目的は、模擬患者(Simulated or Standardized Patient: 以下SP)養成において、SP が熟達する過程ごとの特徴を明らかにすることである。 対象は、2002 年から2012 年までSP 養成者が作成したSP トレーニング時、SP 参加型授業時のSP の発言・行動記録、SP 養成者の感想および介入の記録である。SP 養成過程は、ドレイファス・モデルを参考に、初心者、新人、一人前、中堅、達人のレベルとし、得られたデータを各レベルに分類し、特徴をカテゴリー化した。 その結果、一般市民であったSP が熟達する過程の特徴として、以下のカテゴリーが抽出された。初心者レベルでは<SP として不確実な自分>を感じ、新人レベルでは<SP として不安な自分>を感じる。さらに一人前レベルでは<SP として自覚が芽生える自分>を認識し、中堅レベルでは<SP として成長を感じる自分>を実感する。そして、達人レベルに到達すると<SPを極める自分>の存在を認識する。