著者
小林 郁奈 松尾 歩 廣田 峻 陶山 佳久 阿部 晴恵
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース 第130回日本森林学会大会
巻号頁・発行日
pp.425, 2019-05-27 (Released:2019-05-13)

堅い殻に包まれたオニグルミ種子は、一般にアカネズミには採食されるが、より小型のヒメネズミには採食されない。しかし、アカネズミの分布しない新潟県粟島ではオニグルミ種子がヒメネズミに採食されると言われている(林ら、私信)。私たちの予備的観察では、佐渡島や粟島で小型のオニグルミ核果が多く観察されたため、オニグルミとヒメネズミの共進化が起こっているのではないかと予測した。そこで本研究では、島嶼3集団(粟島、佐渡島、金華山)および本州の7集団でオニグルミ核果を採取してサイズを計測し、さらに各集団から採取したオニグルミ計80個体を対象として、MIG-seq法を用いた集団遺伝学的解析を行うことで、島嶼と本州間での遺伝的分化と核果サイズ変異との関係を調査した。その結果、島嶼ではオニグルミの核果サイズが多様で、本州集団と比較すると小型だった。一方で島嶼と本州のオニグルミは遺伝的に分化しておらず、核果サイズ変異と遺伝的変異との関係は確認できなかった。また、野外にセンサーカメラを設置しヒメネズミがオニグルミ核果を持ち去るかどうかを撮影したところ、粟島では持ち去りが確認されたが、佐渡島では確認できなかった。
著者
阿部 慶子
出版者
一関工業高等専門学校
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2012

コーヒーは,我々に「癒し」や「ひらめき」を与えてくれるとされる日本人にとってもはや一般的になった嗜好品である.さらに,生理的星医学的にも見直され,近年ますますその効果の研究が盛んになっている.毎日の生活の中で取り入れられている嗜好品として,コーヒーはその香味や新鮮な風味を維持しているかがしばしば問われることになるが,コーヒーが飲料の形になるまでは,生産国から輸入した生豆の状態から,選別・焙煎を経て,さらに粉砕という過程を経る.とくに,この時に発生する摩擦熱により,香味や風味が損なわれるとされていることから,本研究では,家庭用の手挽きコーヒーミルでどれほどの熱が発生し,美味しさや成分にどのような影響があるのかを解明することを目的とした.本研究では,新鮮な焙煎豆をグラインドし,その時に発生する粉砕熱を熱電対により測定したコーヒーミルにはカリタKH-3を使用し,粒度のサンプルをとった.次に,実験装置の構築のために3D-CADでミルをトレースした.なお,コーヒーメーカーにより抽出したコーヒー飲料に含まれるクロロゲン酸成分を,高速液体クロマトグラフィーを用いて測定することを予定していたが,装置の都合により,粉砕熱を測定するところまでを実施した.測定の結果,2人分のコーヒー豆26gを,特に意識しないスピードで粉砕する際に,ミルの粉砕物が堆積する底部において5℃程度の温度上昇が確認できた.なお,本研究は国内の企業から研究協力をいただき,コーヒー起源伝説に関しての研究へと繋げることができた.その研究においては,コーヒー果実にもカフェインが含まれていることが明らかになり,コーヒー果実を煮出した液体と果実を搾った液体に含まれているカフェイン量をそれぞれ調べた結果,含有量はコーヒー飲料には及ばないものの,人体に覚醒効果をもたらすことができる十分な量と推測できた.(782字)
著者
住田 佳代 五十嵐 芳暢 鳥塚 尚樹 松下 智哉 阿部 香織 青木 幹雄 漆谷 徹郎 山田 弘 大野 泰雄
出版者
日本毒性学会
雑誌
日本トキシコロジー学会学術年会 第37回日本トキシコロジー学会学術年会
巻号頁・発行日
pp.246, 2010 (Released:2010-08-18)

【目的】ジメチルスルホキシド(DMSO)は細胞を用いたアッセイにおいて脂溶性の化合物を添加するときによく用いられる。しかし,DMSOはその濃度が高くなると, 細胞毒性を呈することが知られており,DMSOの細胞に対する種々の影響をよく踏まえておくことが必要である。今回,我々はDMSOがヒト凍結肝細胞の遺伝子発 現に与える影響を検討した。 【方法】1.2x106個のヒト凍結肝細胞を6ウエルプレートに播種し,4時間後に培地交換した後,さらに20時間培養した。0,0.1,0.5,0.75,1,2%(v/v)DMSOを 含む培地に交換し,24時間培養した。細胞播種から48時間後に培地及び細胞の全RNAを回収した。培地内のラクテートデヒドロゲナーゼ(LDH)活性を測定し,細胞 毒性を評価した。また,HGU133Plus2.0アレイ(アフィメトリックス社,約55,000プローブ搭載)を用いて網羅的遺伝子発現解析を行い,DMSOの影響を検討した。 【結果】LDH活性を指標とした細胞毒性は,DMSO濃度2%(v/v)まで認められなかった。遺伝子発現データを解析した結果,DMSO濃度0.75%(v/v)において,2倍 以上あるいは1/2以下の発現変動を示した遺伝子数はそれぞれ11個,46個と少なかった。また,薬物代謝酵素の発現への影響を解析した結果,大半の酵素に関して, DMSO濃度0.75%(v/v)までは発現変動の振れ幅が1標準偏差内に収まり,大きな影響は認められなかった。今回得られた結果を総合的に考察すると,少なくとも DMSO濃度0.5%(v/v)までは遺伝子発現データに大きな影響を与えないことが示唆された。現在,ラット初代肝細胞を用いてDMSOの影響を検討中であり,合わせ て報告したい。
著者
眞田 正世 今井 具子 瀬崎 彩也子 宮本 恵子 川瀬 文哉 白井 禎朗 阿部 稚里 位田 文香 加藤 匠 下方 浩史
出版者
名古屋学芸大学管理栄養学部
雑誌
名古屋栄養科学雑誌 = Nagoya Journal of Nutritional Sciences (ISSN:21892121)
巻号頁・発行日
no.5, pp.15-22, 2019-12-25

【目的】全世界で3 億人以上の人たちが抑鬱状態であり、さらに80万人に近い人たちが自殺によって死亡している。抑鬱は身体障がいの最大の要因である。近年、食事と鬱病との関連が注目を集めており、特に抗酸化物質と抗炎症成分が豊富な野菜類は、鬱病の発症予防に有益な効果を持つ可能性が指摘されている。本研究の目的は、野菜類・果実類の供給量と鬱病有病率との22年間の縦断的関連を国際比較研究で明らかにすることである。【方法】生産から家計までのすべての段階における減耗を除く、各国の食品供給量と総エネルギー供給量を国連食糧農業機関データベース(FAOSTAT)から入手し、食品群分類から野菜類の供給量を求めた。鬱病については、Global Burden of Disease( GBD) 2017データベースから各国の10万人当たりの年齢標準化鬱病有病率を入手した。調整変数として、世界銀行データベースから人口、国民一人当たりの国内総生産(GDP)、高齢化率、失業率、GBD から平均BMI、喫煙率、教育年数、国別の中心経度緯度を入手した。データの得られた100万人以上の人口を持つ137カ国を対象とし、共変量を調整した線形混合モデルを用いて、野菜類、果実類の供給量と鬱病有病率との1991年から2013年までの22年間の縦断的関連について解析を行った。解析にはR 3.5.3を用いた。【結果】野菜類供給量と鬱病有病率との関連の縦断的解析では、すべての共変量を調整したモデルで有意な負の関連が認められた(β = -0.058±0.028、p <0.05)。また、果実類の供給量と鬱病有病率についても同様にすべての共変量を調整したモデルにおいて、有意な負の関連が認められた(β=-0.097±0.036、p <0.01)。【結論】野菜類および果実類の供給量は鬱病有病率と有意な負の関連を示した。豊富な野菜類や果実類を摂取する食生活は鬱病有病率を低下させる可能性が示された。Background and objective: More than 300 million people worldwide are depressed and nearly 800,000 people have died from suicide. Depression is the biggest cause of disability. The association between diet and depression has drawn attention in recent years. Among the dietary factors, vegetables and fruits, which are rich in antioxidants and anti-inflammatory components, were hypothesized to play an important role in depression development. The aim of this research is to clarify the longitudinal association of vegetables and fruits with depression rate using 22-year worldwide statistics.Methods: Average food supply (g/day/capita) and energy supply (kcal/day/capita) by country, excluding loss between production and household, were obtained from the Food and Agriculture Organization of the United Nations Statistics Division database (FAOSTAT). Each food was sorted, and supplies of vegetables and fruits were obtained. Data of age-standardized prevalence of major depression per 100,000 people by country were derived from the Global Burden of Disease (GBD) 2017 database. As control variables, population, gross domestic product (GDP) per capita, aging rate, and unemployment rate by country from the World Bank database, and BMI, smoking rate, expected years of education, and central longitude and latitude by GBD database. The 22-year longitudinal associations of fruits and vegetables with major depression were examined in the 137 countries with populations of 1 million or greater controlling for covariates by the mixed effect model.Results: A significant negative association was found by the longitudinal analysis of the relationship between the vegetables supply and the prevalence of major depression in the model controlled for all covariates (β = –0.058 ± 0.028, p<0.05). In addition, a significant negative association between the supply of fruits and the prevalence of major depression was also found in the model controlled for all covariates (β = –0.097 ± 0.036, p<0.01).Conclusions: Vegetables and fruits supply were significantly negatively associated the rate of major depression. Vegetables and fruits may reduce the prevalence of depression.

1 0 0 0 OA 人間と社会

著者
阿部真之助 著
出版者
三省堂
巻号頁・発行日
1940
著者
阿部 紀之 細矢 貴宏 松田 雅弘
出版者
日本義肢装具学会
雑誌
日本義肢装具学会誌 (ISSN:09104720)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.137-142, 2021-04-01 (Released:2022-04-15)
参考文献数
21

装具処方の必要性や装具種類の判断に有用な指標を明らかにするため,被殻出血患者34名を対象に装具処方有無の2群と,処方された装具の種類(長下肢装具 : KAFO·支柱付き短下肢装具 : MAFO·プラスチック短下肢装具 : PAFO)により3群に分け,脳画像所見,装具情報,身体機能をそれぞれ比較した.装具処方の有無では在院日数,入退院時の歩行能力,運動機能,ADLで有意差を認めた.また,出血量と短径はKAFO-PAFO群間,長径はKAFO-PAFO群,MAFO-PAFO群間で有意差を認めたが,身体機能は3群間の差を認めなかった.装具処方の必要性は身体機能やADLが有用な指標であるが,処方装具の種類には脳画像所見も有用な指標であることが示唆された.
著者
阿部 真大 中島 健太 新妻 実保子
出版者
Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.651-656, 2021-08-15 (Released:2021-08-15)
参考文献数
20

仮想空間でのスムーズな作業を行うためには,空間を正確に認識し,三次元空間内の物体などの情報を直感的に扱えることが重要である.本研究では,HMDを用いた両眼視差に基づく立体視と.距離画像センサによる身体動作計測を融合したVRゲームを構築した.また,没入感や操作性を高めるために,振動グローブを用いて触覚情報を提示した.実験により,実スケールの身体動作,三次元立体視,触覚提示による物体操作の有用性を検証した.その結果,立体視によってゲームの印象が向上し,実スケール身体動作によりゲームのスコアが向上することが確認された.
著者
毛藤 洸大 阿部 大輔
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
日本都市計画学会関西支部研究発表会講演概要集 (ISSN:1348592X)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.13-16, 2021 (Released:2021-07-24)
参考文献数
17
被引用文献数
1

本研究では京都市が整備した関連側道を事例に、関連側道に対する議論とその変化を明らかにし、関連側道の整備 にどのような影響を与えたか考察した。京都市で整備された関連側道はコミュニティ道路化や自転車歩行者専用道 路といった点が、他の近畿圏の関連側道にない特徴となっている。特に、関連側道の中ではあまり例のない自転車 歩行者専用道路で周辺住民と意見交換する場を設け、整備方針を議論してきた経緯を持つのが阪急西側道である。初期 7 年間は騒音や景観に関する議論、後期 1 年間は高架下に商業施設が整備されることから周辺住民の利便性を 確保しつつ、日常生活に支障をきたさないようどう配慮していくかが大きな論点となっていた。
著者
三冨 敬太 佐藤 優介 阿部 菜々子 佐藤 尋宣 藤井 賢二 安藤 昭太 山田 悠平
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第68回春季研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.276, 2021 (Released:2022-02-23)

インクルーシブデザインは重要度が増しているが、障害のある人とない人が共感を得ながらコミュニケーションを進めることは簡単ではない。現状のインクルーシブデザインのデザインプロセスでは、コミュニケーションの齟齬が発生する可能性を残している。そのため、本研究では、障害のある人とない人が共感を得て円滑なコミュニケーションを行うことができる介入を加えた、デザインプロセスを提示した。具体的には、インクルーシブデザインのデザインプロセスをベースに、共創型対話のアプローチを組み込んだ、Valuable Designプロセスを提示する。また、本デザインプロセスをもとにデザインしたコンセプトの提示を行いフィードバックを得た結果、本デザインプロセスを通じて、障害の有無を超えたメンバーで新規性の高い価値を顕在化できる可能性が示唆されたと考えられる。