著者
谷田 恵美子 和泉 元喜 阿部 剛 土谷 一泉 大熊 幹二 内田 苗利 日高 章寿 林 依里 野口 正朗 益井 芳文 吉澤 海 白濱 圭吾 金崎 章
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.110, no.5, pp.839-845, 2013 (Released:2013-05-07)
参考文献数
29

48歳男性.激しい腹痛と便秘のため救急外来を受診した.5カ月前に急性骨髄性白血病に対し骨髄移植を受け,慢性移植片対宿主病に対し免疫抑制剤を服用していた.大腸の拡張とガスの貯留を認めたが閉塞機転はなかった.数日後に水痘様皮疹が出現し,偽性腸閉塞を合併した汎発性帯状疱疹と診断した.アシクロビルの投与により救命し得た.原因不明の腹痛と偽性腸閉塞をともなう免疫不全患者では,本症を念頭に置き早期治療を行う必要がある.
著者
最上 雄太 阿部 廣二
出版者
日本質的心理学会
雑誌
質的心理学研究 (ISSN:24357065)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.95-115, 2019 (Released:2021-04-12)

本論文の目的は,社会的過程に着眼する関係的アプローチの理論的課題を指摘し,その問題を解決するひとつの可能性として,正統的周辺参加論の視座に立ったリーダーシップ研究の方法論的提案を行うことにある。本論文は,まずリーダーシップ研究の理論的変遷を概観し,関係的アプローチの理論的課題を指摘した。理論的課題とは,第一に社会的過程を捉えるための方法論的議論が不足していること,第二にそうした方法論に社会と個人両方の位相を含む必要があることである。次にその問題を解決する方略を探索し,個人と社会の再帰的関係に着目する再帰的アプローチとして,バトラーおよびケミスとマクタガートの議論をとりあげた。その後そうした再帰的アプローチの具体的な研究の方法的視座として,状況的認知のアプローチのひとつである正統的周辺参加論(legitimate peripheral participation: LPP)をとりあげた。以上をふまえて,LPP の視座を用いた再帰的リーダーシップ研究による方法論を提案し,関係的アプローチのひとつの展開可能性を示した。最後に,本特集の「ネットワーク」という観点における,「個人」という位相の位置づけについて議論した。

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著者
阿部櫟斎 著
出版者
巻号頁・発行日
1867
著者
福重 直輝 阿部 佳之 朴 宗洙 伊藤 信雄
出版者
The Society of Agricultural Structures, Japan
雑誌
農業施設 (ISSN:03888517)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.93-102, 2004-09-25 (Released:2011-09-05)
参考文献数
10

吸引通気式発酵処理の排気中のNH3は圧送通気式に比べ高濃度となり, 新たな脱臭方法を検討する必要がある。モミガラにリン酸を1:0.5, 1:1.0, 1:1.5, 1:2.0, 1:2.5の比率で添加した材料を回収資材 (吸着材) に使用し, 高濃度アンモニアの脱臭および回収実験を行った。直径約15cmの円形吸着槽に回収資材を50cm (堆積高さ) 充填し, 4000ppmのアンモニアガスを通気した場合, 吸着時間は約28時間で, 回収資材1kgのアンモニア吸着量は159gN (1:2.0) であった。これは添着炭の約2.6倍, ゼオライトの約23倍の吸着量に相当した。吸着操作後の回収資材はpHから推察すると, リン酸二水素アンモニウムとリン酸水素二アンモニウムがモミガラに付着したものと考えられる。吸着操作後, 回収資材からのアンモニアの再揮散は放置期間中気温30℃を超えた日数に関係が見られたことから, アンモニアの再揮散と外気温との関係について, さらなる検討が必要であった。
著者
齋藤 邦彦 鈴木 英敏 金田 修一 阿部 剛 齋藤 薫 佐久間 弘典 庄司 則章
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.87, no.2, pp.133-141, 2016-05-25 (Released:2016-06-18)
参考文献数
22

膨潤化処理した飼料米(膨潤玄米)の給与が肥育牛の発育性と産肉性に及ぼす影響を検討した.供試牛は黒毛和種去勢牛を用い,濃厚飼料多給肥育による対照区に4頭を,15ヵ月齢から出荷まで濃厚飼料の30%量を膨潤玄米に代替給与する試験区に4頭をそれぞれ配置した.試験区において稲わら摂取量が有意に多くなった結果,肥育全期間における推定総TDN摂取量も試験区が対照区より多くなったが(P<0.01),試験牛の発育および日増体量は試験区間に差が認められなかった.枝肉格付成績,胸最長筋の水分,粗脂肪,粗タンパク質の各含量および脂肪酸組成については試験区間に差はなかった.以上のことから,黒毛和種去勢牛肥育において配合飼料の30%量を膨潤玄米に代替給与しても,発育性および産肉性への影響はなく,輸入穀物の代替飼料として利用可能であることが示唆された.
著者
尾崎 慎治 福間 英祐 戸崎 光宏 阿部 聡子 小川 朋子 比嘉 国基 坂本 尚美 坂本 正明 河野 奈央子 山城 典恵 鈴木 貴子 角田 ゆう子
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.69, no.12, pp.3038-3047, 2008 (Released:2009-06-11)
参考文献数
20
被引用文献数
2 3

目的:微小乳癌に凍結療法を施行し,画像所見および病理組織学的所見から非切除凍結療法の可能性を検討した.方法:1cm以下の限局性乳癌7症例を対象とした.凍結機器はVisica Cryoablation System (Sanarus Medical, Pleasanton, USA)を用い,局所麻酔下で超音波ガイド下凍結療法を施行した.結果:凍結範囲はUS,MRIで特徴的な所見を示した.目的病変は全例で凍結範囲内に位置しており,残存病変は認めなかった.病理組織学的に凍結療法の抗腫瘍効果の検討を行った1症例では,凍結範囲の中心部(腫瘍存在部位)から採取した組織において,ヘモジンデリン沈着を伴う瘢痕様線維性組織を認め,腫瘍細胞は完全に消失していた.7症例の凍結療法後の平均観察期間は9.7カ月(3カ月~21カ月)であり,現在まで再発所見を認めていない.結論:限局性の微小乳癌病変に対して超音波ガイド下凍結療法は乳癌の局所療法の一つになりえる可能性がある.
著者
川田 知依 加藤 登志子 阿部 稔
雑誌
文化ファッション大学院大学紀要論文集ファッションビジネス研究
巻号頁・発行日
vol.3, pp.18-29, 2013-03-01

ミリタリーウェアとは軍用の制服のことであり、一般的に陸軍の軍服を指している。現在ではコレクションブランドからファストファッションに至るまで、軍服風のデザインを取り入れたファッション、いわゆるミリタリールックを多く発表しており、性別を越え、ファッションの定番として広く定着していると考えられている。本研究では、この認識のもとミリタリーウェアの魅力をさまざまな方面から探り、第二次世界大戦に、ドイツ陸軍で着用されていた 1936年型野戦服 「M36」 を通してミリタリーウェアの時代的変遷、機能性、デザイン性を研究、現代に適したミリタリー調のレディスウェアを提案し、制作を行なう。
著者
岡 真理 宮下 遼 新城 郁夫 山本 薫 藤井 光 石川 清子 岡崎 弘樹 藤元 優子 福田 義昭 久野 量一 鵜戸 聡 田浪 亜央江 細田 和江 鵜飼 哲 細見 和之 阿部 賢一 呉 世宗 鈴木 克己
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2020-04-01

難民や移民など人間の生の経験が地球規模で国境横断的に生起する今日、人間は「祖国」なるものと様々に、痛みに満ちた関係を切り結んでいる。ネイションを所与と見なし、その同一性に収まらぬ者たちを排除する「対テロ戦争パラダイム」が世界を席巻するなか、本研究は、中東を中心に世界の諸地域を専門とする人文学研究者が協働し、文学をはじめとする文化表象における多様な「祖国」表象を通して、人文学的視点から、現代世界において人間が「祖国」をいかなるものとして生き、ネイションや地域を超えて、人間の経験をグローバルに貫く普遍的な課題とは何かを明らかにし、新たな解放の思想を創出するための基盤づくりを目指す。
著者
齋藤 良範 柴田 香緒里 安達 美穂 後藤 明美 阿部 明子 庄司 久美 正野 宏樹 荒木 隆夫 齋藤 幹郎 横山 紘一 後藤 敏和 菊地 惇
出版者
公益社団法人 日本人間ドック学会
雑誌
人間ドック (Ningen Dock) (ISSN:18801021)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.47-53, 2020 (Released:2020-10-07)
参考文献数
10

目的:心房細動(atrial fibrillation: AF)は,血栓性脳塞栓症の原因疾患であり予防には抗凝固療法が有用である.高齢者ほど有病率は増加するとされることから,健康診断受診者における有病率および治療の現状を把握し経年推移を検討した.方法:2017年度の受診者175,462(男性86,923,女性88,539)名の12誘導心電図(心電図)所見から,性・年代別のAF有病率および問診票より治療率を算出した.また,2013年から2017年度まで5年間のAF有病率の推移を検討した.結果:AF有病率は1.13(男性1.81,女性0.47)%で,加齢に伴い増加し各年代とも男性が高率であった.治療率は,60歳未満55.7%,60歳代68.8%,70歳代66.6%,80歳以上63.9%で,60歳未満で低かった.CHADS2スコアが1以上となる75歳以上では65.0%であった.AF有病率の経年推移は,2013年度1.03%,2014年度1.04%,2015年度1.10%,2016年度1.12%,2017年度1.13%と増加傾向が認められたが,男女別の年齢調整後の有病率には差を認めず受診者の高齢化が原因と考えられた.結論:AF有病率は1.13%で,男性に多く高齢になるほど増加した.60歳未満では未治療者が多く75歳以上でも35%は未治療であり,加療の必要性を啓発していく必要がある.