著者
齋藤 義正 高橋 宏和 若尾 文彦
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.69, no.7, pp.527-535, 2022-07-15 (Released:2022-07-13)
参考文献数
7

目的 国立がん研究センター(当センター)は地域のがん医療の質を向上させる取り組みを支援するための手段の一つとしてがん化学療法医療チーム研修会を開催してきた。がん対策基本法が施行されてから15年が過ぎ,これまでの活動を振り返り,今後のがん医療体制の整備の充実を図るための一助とすることとした。方法 2006年度から2020年度までに当センターが主催した研修会のうち,がん薬物療法に携わる多職種が受講対象となる研修会(緩和ケアの研修会は除く)を調査した。研修会ごとに開催年度,受講対象,研修目的,受講施設数を調査し,第1期から第3期までのがん対策推進基本計画の取組むべき施策の中でこれまで開催した研修会の位置づけを考察した。活動内容 すべての研修会の共通目標は,がん薬物療法の医療水準の向上に貢献し,がん医療の均てん化につなげることだが,研修会ごとに行動目標が異なっている。第1期がん対策推進基本計画は,2007年度から5年間を対象とし,化学療法を専門的に行う医師の養成とともに専門的にがん治療を行う薬剤師や看護師等の医療従事者が協力して治療に当たる体制を構築していく必要性が示されている。この目標を達成するために,がん化学療法チーム養成にかかる研修(2006~2008年度)およびがん化学療法医療チーム養成にかかる指導者研修(2009~2018年度)が開催され,それぞれ103施設および143施設が受講し,各都道府県内のがん化学療法医療チームが少なくとも1回はどちらかの研修会を受講したことになる。この間,がん対策推進基本計画は2012年6月および2018年3月に改定され,がん診療連携拠点病院は,わが国のがん医療の中心的な担い手として位置づけられている。その過程で,受講対象を都道府県がん診療連携拠点病院のがん化学療法チームとし,2014年度からは地域におけるがん化学療法研修実施にかかる指導者養成研修を開催している。さらに,2017年度からは都道府県指導者養成研修を開催し,受講者を対象としたアンケート調査では,研修受講後にすべての職種で地域のがん医療の質を向上させるための取り組みを行う自信の向上がみられた。結論 当センターが主催したがん薬物療法に携わる多職種を対象とした研修会は,がん対策推進基本計画の改定とともに目的に合致した研修会を開催し,人材育成の一翼を担ってきたことが推察された。
著者
宮本 琢也 高橋 宏幸
出版者
一般社団法人 グローバルビジネス学会
雑誌
グローバルビジネスジャーナル (ISSN:24340111)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.18-25, 2015 (Released:2019-08-07)
参考文献数
17

本研究は、ここ数年、南アジア地域で注目を集めるようになったスリランカの経済状況と日系企業の現 状と課題について議論する。 スリランカは、古くから親日国として知られているが、日系企業も数多く進出している。 同国は、現 地での人材マネジメントの取り組みやすさなど経営面でのメリット、インドやパキスタンへの近接性とい う立地面でのメリットなどが数多くあるものの、電気代などエネルギーコストが高さや、現地の裾野産業 が未成熟なためにサプライチェーンにおいて課題がある。このようなメリットと課題を総合的に検討しな がら、スリランカにおける日系企業の優位点について検討する。
著者
宮本 琢也 高橋 宏幸
出版者
一般社団法人 グローバルビジネス学会
雑誌
グローバルビジネスジャーナル
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.18-25, 2015

本研究は、ここ数年、南アジア地域で注目を集めるようになったスリランカの経済状況と日系企業の現 状と課題について議論する。 スリランカは、古くから親日国として知られているが、日系企業も数多く進出している。 同国は、現 地での人材マネジメントの取り組みやすさなど経営面でのメリット、インドやパキスタンへの近接性とい う立地面でのメリットなどが数多くあるものの、電気代などエネルギーコストが高さや、現地の裾野産業 が未成熟なためにサプライチェーンにおいて課題がある。このようなメリットと課題を総合的に検討しな がら、スリランカにおける日系企業の優位点について検討する。
著者
高橋 宏 正田 純一 柳川 徹
出版者
筑波大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2006

胆汁うっ滞症の治療にはステロイドホルモン,フェノバルビタール,コレスチラミンなどが経験的に使用されてきたが,その効果は不安定であり有効性も確立されていない.漢方製剤インチンコウ湯(ICKT)は胆汁うっ滞や黄疸の治療薬に広く使用されている.我々は本剤の生薬成分であるgeniposideとその活性体であるgenipinの急性投与,およびgenipin,ICKTの慢性投与は有機陰イオン輸送蛋白であるmultidrug resistance-associated protein2(Mrp2)を介在した胆汁酸非依存性の強力な胆汁分泌促進(利胆)作用を発揮することが明らかとなった(Hepatology2004,Am J Physiol 2007).すなわち,genipinまたはICKTの長期投与ラットでは対照に比して,胆汁流量と還元型グルタチオン,ビリルビン,胆汁酸分泌量は有意に増加した.肝臓ではMrp2とMrp3のmRNAおよび蛋白発現レベルの有意の増加と,Mrp2の肝毛細胆管膜における発現が増加していた.これらの変化はICKT投与ラットで顕著であった.Mrp3はICKT投与ラット肝の門脈周囲領域で強い発現が認められたが,胆汁酸輸送蛋白であるBsep発現には変化を認めなかった.ビリルビン負荷試験にて,ICKT投与ラットにおける投与2時間後の血中総ビリルビンは有意に低下していた.ヒト肝細胞を有するヒト肝キメラマウスにおいても,ICKT長期投与のマウスでは対照に比して,胆汁流量の増加を反映し胆嚢腫大が認められた.肝輸送蛋白ではラット同様に,ICKT投与マウスでMRP2の蛋白発現量と肝毛細胆管膜における発現に増加が認められた.これらのことより,ICKTおよびその生薬成分であるgenipin(geniposide)の長期投与は,転写・翻訳の増加に加えて,post-transcriptionalメカニズムにてMrp2/MRP2の毛細胆管膜への集約を促進することにより,ラットおよびヒト肝において胆汁酸非依存性に胆汁分泌を強力に促進することが判明した.ICKTは胆汁うっ滞性肝胆道疾患の治療薬として高い有用性が示唆された.
著者
窪田 智之 中嶋 浩平 高橋 宏知
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌C(電子・情報・システム部門誌) (ISSN:03854221)
巻号頁・発行日
vol.140, no.7, pp.723-729, 2020-07-01 (Released:2020-07-01)
参考文献数
29

Neuronal systems are dynamical. In the dynamical system, the externally-driven responses, called transient dynamics, are stimulus-specific but reproducible. Under the assumption that the neuronal system is deterministic, we here hypothesized that such reproducible transient activities could produce computational capability in a chaotic dynamical system. To test this hypothesis, we estimated the maximal Lyapunov exponent of neuronal activities in the primary visual cortex (V1) of mice, and quantified their information processing capacity in the transient dynamics. Consequently, V1 was characterized as a chaotic system, where almost identical input time-series led to different trajectories. We also demonstrated that, when mice were visually stimulated with drifting gratings, the trajectories contained the input time-series information for at least 5.2 s after stimulation. These results suggest that computational capability in V1 emerges from reproducible transient activities in the chaotic system. Yet, the estimate information processing capacities in V1 were much lower than those in theoretical studies. Further verification is still required to elucidate the discrepancy between theoretical and experimental results.
著者
高橋 宏佳 高橋 幸利 美根 潤 向田 壮一 池上 真理子 池田 浩子 大谷 英之 下村 次郎 久保田 裕子 藤原 建樹
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.273-276, 2010-07-01
参考文献数
12
被引用文献数
1

 Dravet症候群に対するtopiramate (TPM) の治療効果を検討した. Dravet症候群と診断された11症例 (7.1±6.2歳) を対象とし, 投与前2カ月と投与後2カ月, 投与後6カ月目を含む2カ月間の発作回数を比較した. けいれん発作に対する投与後2カ月での評価は, 発作消失が1例, 50%以上発作減少が6例, 50%未満~無効が3例, 悪化が1例であった. 服用を6カ月間続けたのは10例で, 発作消失が1例, 50%以上発作減少が7例, 50%未満~無効が2例, 悪化が0例であった. TPMはDravet症候群のけいれん発作抑制に有効と思われた.
著者
高橋 宏二 与儀 幸代 木藤 伸夫 加藤 潔
出版者
日本植物生理学会
雑誌
日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.277, 2008

細胞壁の伸展特性(張力-伸展速度曲線)は、ロックハート方程式に基づく直線近似によって数値化した二つのパラメータ(壁展性および臨界降伏張力)で簡便に記述されてきた。これら二つのパラメータは伸長生長に伴う細胞壁伸展でpH依存的に調節されるが、私たちはキュウリ(<I>Cucumis sativus</I> L.)胚軸の細胞壁でいずれのパラメータもエクスパンシン(CsEXPA1)によって制御されうることを示した(2006)。ササゲ(<I>Vigna unguiculata</I> L.)の細胞壁において臨界降伏張力のみを制御するタンパク質としてイールディンが示されているが、同時にエクスパンシンも存在すると考えられている。しかし、壁伸展パラメータ制御におけるエクスパンシンとイールディンの役割分担については知見が乏しい。そこで今回、両タンパク質をササゲ細胞壁から抽出・精製し、それらの機能を同一の細胞壁試料で比較検討することにした。測定装置として自動微小応力計(PCM)を使用し、解析法として張力スイープ法を用いた。<br> 現在までのところ、ササゲ胚軸の細胞壁から抽出したエクスパンシンは、壁展性だけでなく臨界降伏張力をも調節しうることが明らかになっている。講演では、細胞壁試料の調整法、熱処理条件およびイールディン機能と比較検討した結果についても合わせて報告する。
著者
須田 芳正 田中 博史 川合 武司 高橋 宏文 綿田 博人
出版者
慶應義塾大学体育研究所
雑誌
体育研究所紀要 (ISSN:02866951)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.7-16, 2000-01

The purpose of this study was to compare and construct the cognitive style of various sports players, so that we could accumulate the references and ideas to this study. In this study, 37 volleyball players, 43 baseball players, 42 soccer players, 23 basketball players, 45 kendo players, 39 track and field players from university and total of 229 players had been contrasted. We have measured the cognitive style by applying EFT cognitive style test and compared each group's result. From the test's result, we have come up with these conclusions. The scores of volleyball players were meaningfully higher than that of another players. From this result, It has been clear that players of volleyball players tend to be more field-dependent that players of all.

1 0 0 0 OA 太宰治の研究

著者
高橋 宏宣
巻号頁・発行日
no.22,
著者
林 伊吹 林 与志子 宇野 功 藤原 裕樹 高橋 宏明
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.43, no.5, pp.666-672, 1997-09-20 (Released:2013-05-10)
参考文献数
10
被引用文献数
3

嚥下を観察する際, 嚥下開始の指標を決定するために, 舌骨上筋群表面筋電図を用いることが多い. これは, 被験者に非侵襲的であるため, 有用な方法とされている. しかし, 舌骨上筋群表面筋電図と実際の筋の活動とが, どのように関わつているかを確認する必要がある. 著者らは甲状舌骨筋とオトガイ舌骨筋に電極を刺入して得た筋電図と, 舌骨上筋群表面筋電図を同時記録し比較検討した.嚥下の際に, 舌骨上筋群表面筋電図波形上, 2つの波形変化を認めた. 最初におこる小さい振れと, それに続く大きい振れである. 前者をEMG1, 後者をEMG2とした. 筋電図の比較により, EMG1はオトガイ舌骨筋の活動開始点と, EMG2は甲状舌骨筋の活動開始点と強い相関を認めた.この結果より, 舌骨上筋群表面筋電図は嚥下開始の指標を決定でき, EMG1は嚥下第一期の開始を, EMG2は嚥下第二期の開始の指標を表すものと考えられた.
著者
高橋 宏治
出版者
公益社団法人 計測自動制御学会
雑誌
計測と制御 (ISSN:04534662)
巻号頁・発行日
vol.52, no.12, pp.1116-1121, 2013-12-10 (Released:2018-04-25)
参考文献数
11
被引用文献数
1
著者
高橋 宏三 藤永 洋 小林 元夫 内藤 毅郎 飯田 博行 青木 周一
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.39, no.6, pp.643-647, 2002-11-25 (Released:2009-11-24)
参考文献数
9
被引用文献数
2 2

高齢者においてリウマトイド因子陰性の多発性関節炎を診たときに, 考えるべき疾患はいくつかあるが remitting seronegative symmetrical synovitis with pitting edema (RS3PE) 症候群もその1つである. これまで7症例経験した. 男2例, 女5例. 年齢は平均75.9歳 (67~82歳) と高齢で, 比較的急速な発症, 多関節炎, 両側の手背足背の pitting edema, リウマトイド因子陰性, 抗核抗体陰性ということが共通しており, McCarty らの提唱するRS3PE症候群とよく一致した. ただし本疾患は性別では男に多いとされているので, この点では異なっていた. 発熱を7例中4例に認め, 初診時CRP 0.9~27.8mg/dl, 赤沈70~140mm/hrであり, 全例が変形性関節症を伴なっていた. いずれも経過良好で, 有効治療はプレドニゾロン20mgが3例, 同10mgが2例, 非ステロイド性抗炎症薬が1例, 漢方薬が1例であった. 本邦での報告例は少ないが, まれな疾患ではないと思われる. 特に高齢者医療においてはこの疾患を知っていることが大切であり, 日常診療における注意深い観察が必要である.
著者
大道 明 高橋 宏和 Daido Akira Takahashi Hirokazu
出版者
筑波大学附属駒場中・高等学校研究部
雑誌
研究報告
巻号頁・発行日
vol.27, pp.207-257, 1988-03

現在、万有引力に関する教材は理科Ⅰ物理分野や地学分野、選択物理分野で取り扱われている。理科Ⅰ物理分野では、万有引力は落下運動や放物運動を決める重力として、地学分野では地球の形状や公転、惑星の運動を決める要因として扱われている。選択物理分野では万有引力の法則が発見される経緯を説明したり、 ...
著者
高橋 宏樹 宮城 俊作
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 : 日本造園学会誌 : journal of the Japanese Institute of Landscape Architecture (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.63, no.5, pp.753-758, 2000-03-30
参考文献数
8

本研究では, 造園家・椎原兵市が遺した図面を資料として, 戦前期の日本における造園設計の業務過程において平面図に与えられた意味と役割を検証した。23葉の図面を用いた分析を通じて,(1) 設計者としてデザインスタディを行うための媒体,(2) 即物的な情報を正確に他者へ伝えるための手段,(3) 設計者の内的な思考, 検討の過程とその結果を記録し確認するためのツール, としての平面図の意味と役割が確認された。また, 業務範囲が拡大し, 多様な設計プログラムへの対応が求められるようになるとともに, 平面図に盛り込まれる情報が増加し, 発注者や協働者, 施工者とのコミュニケ可ション媒体としての機能が高まっていった。
著者
早貸 千代子 横尾 智治 小澤 富士男 菱山 玲子 徐 広孝 鈴木 清夫 関口 隆一 高橋 宏和 千野 浩一 土井 宏之 早川 和彦 山本 智也 小塩 靖崇 佐々木 司 小宮 一浩
出版者
筑波大学附属駒場中・高等学校研究部
雑誌
筑波大学附属駒場論集 = Bulletin of Junior & Senior High School at Komaba, University of Tsukuba (ISSN:13470817)
巻号頁・発行日
vol.55, pp.159-169, 2016-03

心も体も大きな変化をもたらす10代は、精神疾患の好発時期といわれている。その要員として、夜更かし・睡眠不足等の生活習慣の乱れや、悩みや心配事を相談せず(できず)一人で抱え込む(援助希求をしない)等が指摘されている。現在の教育課程では、精神疾患とその対処に対する正しい知識を学ぶ機会がないために、本人も周囲も不調になったことに気付きにくく、本格的な病気の進行・長期化といった状態を招いている可能性が高い。そこで、本校の成長過程プロジェクト研究(以下、PI)では中学2年生を対象に、保健の授業の中で、心の不調や病気の予防・早期発見・早期対応の正しい知識と対応法(以下、メンタルヘルスリテラシー)の教育を試みた。授業前後で精神疾患の知識の向上と援助希求行動と援助行動の考えの改善が見られたのでここで報告する。