著者
秋山 滋男 土井 信幸 淺野 未代子 福澄 重泰 高橋 真吾 鈴木 勝俊 小川 憲治 宮本 悦子
出版者
一般社団法人 日本医薬品情報学会
雑誌
医薬品情報学 (ISSN:13451464)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.101-107, 2020-08-31 (Released:2020-09-18)
参考文献数
9

Objectives: “Adverse Drug Reaction Relief System” (hereinafter called the Relief System) has been established to provide prompt relief to patients experiencing health damage caused by adverse drug reactions. Since 2018, the Relief System has required community pharmacies that acquire additional points as local support system to actively report adverse drug reactions. Here, we investigated the recognition and utilization of the relief system among community pharmacists.Method: A questionnaire survey was conducted among community pharmacists between August 1 and September 30, 2019.Results: The survey achieved a response rate of 58.1%. The recognition rates of the relief system and Pharmaceuticals and Medical Devices Agency (PMDA) as its application destination were 98.9 and 74.5%, respectively. Of the community pharmacists, 2.6% had experience in utilizing the relief system; and 8.8% did not want to recommend the utilization of the relief system for patients mainly because of the “low recognition of the system” and “the complicated and troublesome preparation of the necessary documents such as medical certificates.” The community pharmacists who acquire additional points as local support system, compared with those who do not, achieved significantly higher rates in two items, including that for preparation of the documented procedures pertaining to adverse drug reactions.Conclusion: Despite the high recognition of the relief system among community pharmacists, the percentage of pharmacists with experience in actually utilizing the relief system and applying to the PMDA was low. One reason that the use of the relief system was not widespread was the low recognition particularly of the destination and procedures of reports on adverse drug reactions. In the future, educational campaigns to improve pharmacists’ comprehension of the relief system will be needed. Moreover, pharmacists must play a central role in enhancing the recognition of the public relief system and promoting medical safety.
著者
西 くるみ 高橋 知音
出版者
信州大学大学院教育学研究科心理教育相談室
雑誌
信州心理臨床紀要 (ISSN:13480340)
巻号頁・発行日
no.19, pp.57-70, 2020-06-01

本研究では,援助要請先の対象を大学の学生相談室と想定し,援助要請をしやすくする際に必要とされる情報は何かを分類すること,相談室へ援助要請するために必要とされる情報は人によって異なるかどうか検言すするととを目的に研究を進めた。必要な情報は「相談室の実績」「相談相手」「相談室のシステム」に分類できることが示された。実際の介入には不気味イメージを払拭できるような情報提供が効果的であること示唆された。スティグマについてはこちらから介入できる効果的な情報は得られなかった。また,「情報があれば行く」という状態になるためには,少なくとも不利益イメージが低くなることが必要であるということが示された。
著者
長谷川 彩香 高橋 知音
出版者
信州大学大学院教育学研究科心理教育相談室
雑誌
信州心理臨床紀要 (ISSN:13480340)
巻号頁・発行日
no.19, pp.95-106, 2020-06-01

本研究では,評価懸念が強く自分の本一音を我慢して相手を気遣う傾向があると,親しい友人への援助要請に消極的な態度や抵抗感が高まるかどうか検討することを目的とした。大学生183名を対象に無記名の質問紙調査を実施した。調査では「親しい友人」を一人想起させ,その友人に対する被援助志向性と気遣いを測定した。その結果,評価懸念が高く自分の気持ちを我慢してまで相手を気遣う傾向にある人は,相手が親しい友人であっても援助要請に抵抗感をもつことが明らかになった。
著者
丹波 寛子 高橋 久美子 大倉 雅絵 佐藤 栄子 佐々木 司郎 伏見 悦子 竹内 雅治 高橋 俊明 関口 展代 林 雅人
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 第54回日本農村医学会学術総会 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
pp.68, 2005 (Released:2005-11-22)

[はじめに]たこつぼ型心筋障害(以下TAKO)は冠動脈攣縮やカテコラミン上昇など種々の原因が想定されているが、その詳細は不明であり、また経過中に心尖部肥大(以下APH)様を呈した報告は非常に稀である。我々は、TAKO経過中にAPH様を呈した2症例を経験したので報告する。[症例]〈症例1〉76歳女性。平成16年8月冷や汗を伴う胸痛が出現し前医を受診。心電図(以下ECG)のV3-4でST上昇、心エコー図(以下UCG)で心尖部領域に壁運動異常があり急性心筋梗塞(以下AMI)あるいはTAKOが疑われ、当院へ救急搬送された。緊急冠動脈造影(以下CAG)で有意病変は認められなかったが、左室造影(以下LVG)では心尖部がakinesisであることからTAKOと診断された。胸部X-pで心拡大、肺うっ血像、胸水は認められなかった。peak CK 279IU/l、CK-MB 9.9ng/ml。UCG所見として初診時は、乳頭筋レベルの前壁中隔から心尖部でakinesis 、壁の菲薄化と内腔拡大があった。また左室基部が過収縮なため、左室流出路では60mmHg程の圧較差が認められ、左室全体の収縮能としてはEF20-30%に低下していた。血圧低下があり少量のβ遮断薬が使用された。第16病日、内腔が縮小、EF87%と改善され、左室流出路の圧較差も消失していた。しかし、心尖部短軸断面では急性期のakinesis部に一致して壁が肥厚し、拡張期の内腔狭小化と拡張障害の所見があり、心尖部肥大型心筋症様の形態を呈していた。6か月後のUCGでは肥厚はみられず、収縮拡張ともに良好に改善されていた。ECG変化として、初診時はV2-6の軽度ST上昇のみで、第16病日にはI,II,III,aVL,aVF,胸部誘導に陰性T波、特にV3-5は巨大陰性T波を示したが6か月後には消失していた。〈症例2〉65歳女性。前医にて平成14年12月くも膜下出血術後、約1か月後にV-Pシャント術を施行。術後よりECGのV3-6でST上昇があり、AMI疑いで当院へ救急搬送された。緊急CAGでは有意病変は認められなかったが、LVGでは心基部が過収縮で、中部から心尖部にかけてdyskinesisであった事より、TAKOと診断された。胸部X-pで心拡大、肺うっ血像、胸水は認められなかった。peak CK 276IU/l、CK-MB 29ng/ml。UCG所見として初診時、基部の収縮は良好だったが乳頭筋レベルから心尖部でakinesis、壁の菲薄化も認められた。第4病日、心尖部側は縮小していたが、心尖部短軸断面では肥厚があり、内腔の拡張期狭小化と収縮拡張能の低下があった。また乳頭筋レベルの前壁中隔も厚い印象をうけた。ECGは初診時、I,II,III,aVL,aVF,V2-6でST上昇があり、第4病日には同誘導は陰性T波へ、特にV2-4では巨大陰性T波と変化した。第10病日には前医へ転院し、5か月後のECGでは発症前にほぼ戻っていたが、その後、不慮の事故により他界されたため改善後のUCGのfollowはされていない。[考察]今回報告した症例は、一例はくも膜下出血術後、もう一例はβ遮断薬が奏功したことより内因性カテコラミンの過剰分泌状態であったことが示唆される。一方、心尖部肥大型心筋症においては、心尖部の交感神経受容体異常が知られ、その成因に内因性カテコラミンの関与が報告されている。以上より、今回の2症例が経過中にAPH様を呈したことにおいて、カテコラミンの過剰分泌の関与が強く疑われた。[結語]TAKO経過中にAPH様を呈する2症例経験したが、その原因は不明である。今後多数例の検討を重ね、その病態および原因を追究していく必要がある。
著者
高橋 暁生
出版者
上智大学ヨーロッパ研究所
雑誌
上智ヨーロッパ研究 (ISSN:18835635)
巻号頁・発行日
no.11, pp.3-21, 2019-03-03

フランス語要旨
著者
菅原 慶勇 高橋 仁美 清川 憲孝 笠井 千景 渡邊 暢 藤井 清佳 柏倉 剛 本間 光信 佐竹 將宏 塩谷 隆信
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.177-181, 2008-10-29 (Released:2016-12-28)
参考文献数
11

当院において呼吸リハを行っている安定期COPD患者を対象に栄養状態を調査し,身体組成,筋力,運動耐容能,炎症性サイトカインとの関連を検討した.呼吸リハを行っている半数以上が%IBW<90%で,REE/REE predictは1.37倍,エネルギー充足率は83%であった.%IBW分類では,低体重群が他2群と比較し,FMI,FFMI,REE,Leptin,FVC,PImaxが有意に低値で,Ghrelin,TNF-aは有意に高値であった.%IBWとTNF-aおよびIL-6において,弱い逆相関が認められた.COPDの体重減少には,REE/REE predict亢進,エネルギー充足率低下および炎症性サイトカインの上昇がかかわっているであろうと推察された.
著者
伊藤 圭介 花北 順哉 高橋 敏行 南 学 本多 文昭 森 正如
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.18, no.11, pp.833-838, 2009-11-20 (Released:2017-06-02)
参考文献数
11
被引用文献数
1 1

仙腸関節ブロックを施行した症例の臨床的検討を行った.【対象】2008年3〜10月に仙腸関節ブロックを施行した72例.【方法】保存的治療に抵抗性の腰痛を自覚し,理学的所見により仙腸関節由来の疼痛が疑われた症例に仙腸関節ブロックを施行した.【結果】仙腸関節ブロックは46例(63.9%)にて有効で,VAS平均改善率は52.4%であった.仙腸関節部痛は外来全腰痛患者の14.1%を占めていた.ブロック有効例の46例のうち36例(78.3%)に他の腰椎疾患を合併していた.【結語】仙腸関節部痛は日常診療で多数の患者が存在すると思われた.仙腸関節ブロックは仙腸関節由来の疼痛の診断,治療に効果があった.
著者
塩谷 隆信 照井 佳乃 佐竹 將宏 川越 厚良 菅原 慶勇 高橋 仁美
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.62-68, 2020-08-31 (Released:2020-09-02)
参考文献数
21

COPDの終末期には,呼吸困難,疲労感,咳嗽,身体疼痛など様々な症状をきたし,この終末期の症状の中では,呼吸困難が最もその頻度が高く辛い症状である.COPDの終末期の呼吸困難の対策として,Rockerらの三段階の対処法がある.第一段階の呼吸困難に対しては,COPDガイドラインに基づいた最適な気管支拡張薬に運動療法,酸素療法の増加を図る.続いて,第二段階の呼吸困難に対しては,活動ペースに合わせた呼吸リハビリ,口すぼめ呼吸などを行う.第三段階の呼吸困難に対しては,緩和薬物療法として,モルヒネの容量調整と抗不安薬の併用を行うというものである.呼吸リハビリは,多次元的医療サービスを多くの職域にわたる専門家チームの協力によって提供する医療介入システムであり,プログラムとしては,運動療法,呼吸筋トレーニング,栄養療法などを提供する.現在のところ,COPDの終末期の呼吸困難の対策としての確立した包括呼吸リハビリ・プログラムはないが,最近,我々が経験した重度COPD事例を対策の一助として紹介する.終末期COPDにおける呼吸困難の対策として呼吸筋トレーニングを含んだ包括的呼吸リハビリが有用であると考えられるが,今後,多施設多数例における臨床研究によるエビデンスの構築が必要と考えられる.
著者
風早 康平 高橋 浩 森川 徳敏 高橋 正明 東郷 洋子 安原 正也 佐藤 努 岩森 光 田中 秀実
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集 2017年度日本地球化学会第64回年会講演要旨集
巻号頁・発行日
pp.35, 2017 (Released:2017-11-09)

スラブに含まれる水は,間隙水(H2O)と鉱物水(OH)の2種類があり,前者は沈み込みに伴う圧密によりスラブから絞り出され,比較的低圧側で放出される.また,後者は温度・圧力の上昇とともに含水鉱物の分解により放出される.Jarrard (2003)やHacker (2008)により世界の沈み込み帯における水収支の見積もりが行われている.本講演では,まず,西南日本弧(フィリピン海プレート:南海トラフ)と東北日本弧(太平洋プレート:日本海溝)について,沈み込み帯における水収支について示す.そして,これらの地域の掘削井や温泉に含まれるスラブ起源水の化学的指標(Li-Cl-Br)を用いて,スラブ起源水の空間分布の特徴と沈み込み帯の構造の関係について議論したい.
著者
鈴木 哲 栗木 鮎美 石部 豪 元平 智子 高橋 正弘 楢崎 慎二
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.227-233, 2009 (Released:2009-05-28)
参考文献数
28
被引用文献数
2 3

[目的]高齢者に対し腰痛予防を目的に体幹エクササイズを実施し,その効果をバランス能力,健康関連QOLから検討した。[対象]高齢者24名(74 ± 5.1歳)で,エクササイズ群(Exe群)13名とコントロール群(Con群)11名の2群に分けた。[方法]健康関連QOLの評価にはSF-36を使用した。バランス能力は片脚立位時の重心動揺と,不安定面上座位時の保持時間と重心動揺を評価した。[結果]8週後,Exe群においてバランス能力,健康関連QOLの有意な改善がみられたが,Con群ではみられなかった。[結語]実施したエクササイズは,片脚立位バランスや不安定面上座位バランス,健康関連QOLの改善に有用である可能性が示唆された。
著者
高橋 英之
出版者
玉川大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2009

コミュニケーションは人間の社会性の基盤となるものである.コミュニケーションは情報交換であり,一般的にはそこに曖昧さは必要が無いと考えられる.本研究では,人間のコミュニケーションに含まれる曖昧さが,特に大きな規模の社会集団では非常に重要な機能を持つという仮説を提起し,それを検討するためのシミュレーションと心理実験を行った.その結果,曖昧な顔表情を用いることで他者とのコミュニケーションが円滑になることを示すデータを得た.
著者
青山 郁子 高橋 舞
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.113-116, 2016

本研究は, 大学生のインターネット依存傾向,ネット上での攻撃性を,「他者の能力を批判的に評価・軽視する傾向に付随して得られる習慣的に生じる有能さの感情」である仮想的有能感の視点から検討したものである. 大学生176名(男性56名, 女性120名, M=19.51歳, SD=.80)を対象に, 仮想的有能感, 自尊感情, インターネット行動尺度(攻撃的言動, 没入的関与, 依存的関与)を測った. その後, 仮想的有能感と自尊感情それぞれの尺度の高低から4群に分類し, インターネット行動について群間差が見られるかどうか検討した. 結果は, ネット上での攻撃的言動では有意差が見られなかった. 没入的・依存的関与ではともに, 自尊型< 仮想・萎縮型となった. 依存的関与に関しては自尊型と全能型の間にも有意差がみられた.