著者
高橋 勅徳
出版者
首都大学東京
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究課題は、欧米における企業家研究の理論的・方法論的転回を踏まえた、理論的・経験的研究を行うことを目的としている。理論的研究としては、制度派組織論、社会企業家研究および経営学の実践的転回に関する文献レビューを実施し、あらたな理論的フレームワークを提示した。経験的検討については、主として大阪市におけるクリエイター集積、沖縄県・北海道におけるエコツーリズム、老舗企業の事業転換に関する調査を行い、経験的分析を行った。本研究課題から得られた研究成果は、国内の主要学会で研究報告を実施した上で、査読付き論文として掲載された。
著者
高橋 清 大竹 博行
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.27-32, 1993-03-05

分げつが鉛直方向へ姿勢の抑制を行う仕組みを解析するために, 水稲品種ササニシキを用いて分げつ茎の各節の重力屈性反応の大きさについて検討を行った. 第1実験. 1/5000aワグネルポットにイネを1個体ずつ育て, 11葉期と出穂後10日目に地上部を採取し, 全分げつの各節位別の屈曲角度を調査した. 一本の茎の中で最大の屈曲角度を示したのは, 伸長茎部と非伸長茎部の境に位置する節 (0位節) の葉枕であった. 次いで, その1節下 (-1), 1節上 (+1), 2節下 (-2) の順であった. 1次分げつ茎では, 下位節に発生する分げつで屈曲角度が大きく, 上位分げつで小さかった. また, 屈曲する節数も下位分げつで多かった. 下位節からでる1次分げつは, 新しい分げつの出現と生長によって, より外側に押されたものと推定される. 第2実験. 3.5-4.0葉期の苗を水田に移植した. 栽植密度は, 30×30cmと30×15cmの2段階, 1株植え付け本数は1本と5本の2段階とした. 出穂後40日目に地上部を採取し, 全分げつの各節の屈曲角度を調査した. 1本の茎の中で屈曲角度が最大であったのは0位節であった. 次いで-1, +1, -2位節の順となり, 第1実験の孤立個体の結果と全く同一の傾向が得られた. これらの結果は, 水稲ササニシキでは特定の部位 (0位節とその付近の葉枕) が, 分げつ茎の鉛直方向への姿勢の制御において重要な働きをしていることを示唆している.
著者
高橋 めい子
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

癌の臨床症例において、PROX1の発現や変異の調査: 肝癌症例でPROX1の発現と癌の分化度や患者の生命予後との間に相関関係があり、PROX1の発現が低い程分化度が低く、また生命予後も悪い事が有意に示された。膵癌でも未分化のものであるほどPROX1の発現量が低いことが示された。癌細胞株でPROX1のゲノムDNAの変異は指摘されなかったが、同じ細胞株のRNAを回収し逆転写反応を行って得たcDNAで特定の4カ所でアデノシンからグアノシンへの同じパターンの変異が起きていることを証明した。細胞培養・臨床検体におけるRNA変異の検出システムの確立:SNP研究に利用されている多塩基プライマー伸長法を応用して、多数の細胞培養・臨床検体を対象としたRNA変異のスクリーニングシステムを確立した。このシステム確立により、多検体から目的のRNA変異を起こしているサンプルの抽出が効率的に行えるようになった。Clinical Research分野においても、RNA変異が及ぼす影響を患者の予後や腫瘍の進展形式等の観点から、網羅的・系統的に解析可能になり、大きな進歩をもたらすことが期待できる。PROX1の機能解析:まずsiRNAの実験系でPROX1の発現を抑えると細胞の増殖能は亢進し、逆にプラスミドを導入してPROX1を強制発現させると増殖能が低下することを証明した。次にTet-off/Tet-on Gene expression systemを用いて、野生型PROX1には増殖抑制作用があり、それがmutant PROX1では失われていることが示された。マウスを用いたin vivo実験でも同じ結果が得られ、野生型では腫瘍縮小効果が認められたがmutant PROX1では腫瘍のサイズはほとんど変化を認めなかった。PROX1は細胞増殖を抑制し、変異によってその機能が失われることが、vitroとvivo双方の実験で証明された。
著者
高橋 肇 中世古 公男
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.22-27, 1992-03-05
被引用文献数
7

北海道育成の新旧品種(ハルユタカ, ハルヒカリ)およびドイツ育成の品種(Selek)を供試し, 標準播種期(4月25日, 中播区)を中心に前後2週間間隔で播種し(早播区-4月11日, 晩播区-5月10日), 播種期による生育相の変動, 穂の形態形成ならびに登熟期間の乾物生産の差異から, 品種による収量性の違いについて検討した. 各品種とも播種期の遅れに伴い出芽から幼穂分化期に至る生育相Iに日数が短縮し, 全生育日数も短縮した. これに伴い, 小穂分化期間が短縮し, 小穂数が減少したことからシンク容量の減少がみられた. さらに, 登熟期後半のCGRおよびNARが著しく低下したことで, 全乾物重ならびに子実収量が減少した. ドイツ品種Selpekは, 北海道の2品種に比べ穂重型で播種期の遅れに伴う穂数の減少がみられなかった. また, 小穂分化期間が長く, 晩播に伴う小穂数の減少が小さく, さらに, 登熟期後半の老化の進行が遅く, 他の2品種よりもNAR, CGRを高く維持したことにより, 早播区に対する晩播区の子実収量の減少程度も小さく(ハルヒカリ-34%, ハルユタカ-36%, Selpek-14%), 晩播区ではSelpekが最も多収を示した(ハルヒカリ-418g・m^<-2>, ハルユタカ-523g・m^<-2>, Selpek-551g・m^<-2>). 以上のことから, 北海道の晩播用品種としては穂重型品種が適することが示唆された.
著者
高橋 公海 佐藤 進也 中村 哲也 松尾 真人
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.25, 2011

近年,SBM等のタギングシステムがユーザに浸透しつつある.タグにはタグ付け対象の特徴を客観的に説明する語が多く用いられてきたが,最近では「これはひどい」「あとで読む」等の主観的な語が用いられることも増えてきている.タグは,ユーザがコンテンツをどのように捉えているかを示すものであると考えられるため,この変化はコンテンツの捉え方の変化と考えることもできる.そこで本研究ではその変化を分析し,要因を探る.
著者
山本 達之 高橋 哲也 神田 啓史 伊村 智 神田 啓史 伊村 智
出版者
島根大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

研究成果の概要:南極上空に発生するオゾンホールにより増加したB領域の紫外線が,動物眼の角膜や水晶体に及ぼす影響を,分子分光学的手法により研究した。牛角膜に紫外線を照射すると,照射時間に応じて,角膜コラーゲンのアミドII赤外バンドの強度が,アミドI赤外バンドと比較して強度を減少させることが,FT-IR測定によって明らかになった。これは,コラーゲンの主成分であるプロリン残基が紫外線によって損傷を受けた結果と解釈された。また,ビタミンを添加した牛眼試料では,上記の強度減少が抑制されることも確かめられた。更に,南極で紫外線曝露した牛眼の水晶体の近い赤外ラマン散乱測定の結果,水晶体のトリプトファン残基由来のラマンシグナルが,他のアミノ酸残基と比較して著しく減少していることが明らかになった。主にシステイン残基が酸化されて重合することが原因で生じる老化による白内障とは,明らかに異なる機構で紫外線による白内障が進行していることを示していた。一方,南極昭和基地周辺で実施した,野生アデリーペンギンの眼の目視による調査では,眼に異常を来たしている個体を発見することは出来なった。ただし,ペンギン眼の分光学的な調査を実施しているわけではないので,分子レベルでの異常が眼に発生しているかどうかは未だに不明である。また,南極昭和基地周辺の紫外線強度の季節変動を連続的にモニターする目的で,昭和基地の環境科学棟に設置した分光装置の記録を日本に持ち帰って検討した。その結果,太陽光高度が等しい春と秋の紫外線強度が大きく異なり,春の強度が明らかに大きいことや,夏と比較してもB領域紫外線に限ってみると春の強度の方が大きいことも明らかになった。このように,本研究によって紫外線が眼に引き起こす白内障などの異常を分光学的手法によってある程度解明することが出来た。オゾンホールによる紫外線強度の増大による影響を今後も継続して調査することが望ましい。
著者
高橋 佑輔 井上 聡
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.25, 2011

本研究では、ガボールフィルタを用いて各々の波の方向のエッジを検出し、スケール、回転変化にも対応した、ジェスチャ識別の為の指を精度よく捉える特徴点自動抽出の提案をする。提案手法では、対象となる画像から背景差分により手領域を抽出しガボールフィルタを用いて手が画像上に持つ方向性の情報を画像として抽出する。また各々のフィルタリングされた画像を局所的に比較することで指先に特化した特徴点の抽出を試みる。
著者
高橋 義行 高田 正司 小田中 芳次 井園 佳文 長岡 広行 沼田 京太 藤田 俊一
出版者
日本農薬学会
雑誌
日本農薬学会誌 (ISSN:03851559)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.378-382, 2002-11-20
参考文献数
11
被引用文献数
1

宮崎県佐土原町の圃場において, キャベツを定植した灰色低地土の緩斜面圃場(A1 : 1.7°, 5a)で1997年5&acd;7月の梅雨期に地表水の流出が計13回観察された.この圃場にダイアジノン粒剤の定植時処理(a.i. 300 g/10 a), その55日後にTPN (400 mg/l)とジメトエート(430 mg/l)の混用液(239 l/10 a), その8日後にTPN, ダイアジノン(400 mg/l)とジメトエートの混用液(224 l/10 a)を散布した.表流水によって流出したTPNの96%(流出直後)から47%(終了直前)は, 浮遊物質(SS)とともに流出した.一方, ダイアジノンとジメトエートはそれぞれ33&acd;44%および1%とほぼ一定の割合でSSとともに流出した.また, 同年9&acd;10月の台風時期にはA1圃場の傾斜を1.15°に調整した圃場(A2)と黒ボク土の圃場(B, 5 a, 傾斜1.15°)にダイコンを播種して地表水の流出頻度を比較した.その結果, 灰色低地土では4回, 黒ボク土では台風時の降雨によって2回の地表流出が認められた.灰色低地土のA1圃場では平均降雨強度5 mm/hr前後以上で, A2圃場では10 mm/hr以上の降雨によって, また黒ボク土のB圃場では20 mm/hr以上の降雨によって地表水の流出が生じた.さらに, 人工降雨装置を用いた屋内小規模地表流出試験系でも灰色低地土からは黒ボク土よりも容易に表流水が発生した.
著者
五十嵐 大 千田 浩司 柴田 賢介 山本 太郎 高橋 克巳
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告コンピュータセキュリティ(CSEC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2010, no.2, pp.1-8, 2010-02-25
参考文献数
23

2009 年 10 月に開催された CSS2009 では,2 パーティ秘匿回路計算システムを用いた行動分析実験が行われた。従来秘匿回路計算は計算コスト等の課題から,実用的な利用報告がほとんどされてこなかった。これに対し本稿では,数百人規模となった CSS2009 における上記実験を利用例として報告し,秘匿回路計算及び上記システムの実用性を示す。In CSS2009, convened in October, 2009, an experimental trial on a behavior analysis using a 2-party secure circuit evaluation system was conducted. In the past, there had been very few practical utilization reports of the 2-party secure circuit evaluation, due to its high computational cost mainly. In this paper, we report the above trial as an example of the technique's utilization, and show the utility of the technique and our system above.
著者
山本 太郎 畑島 隆 谷本 茂明 高橋 克巳
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告マルチメディア通信と分散処理(DPS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.20, pp.103-108, 2009-02-26
参考文献数
5

ブログは炎上する.ブログなどCGMが隆盛を極める裏側で,記述内容や意見の衝突,果ては他のメディアでの発言などにより炎上やプライバシ暴露などのトラブルが発生し続けている.被害はネット世界だけに留まらず,現実世界にまで及ぶ例も少なくない.我々はそれらトラブルの軽減を目的とし,150件のCGMトラブル事例を予備調査した上で,トラブルの発生から収束または発散に至るシーケンスの仮説の構築と各シーケンスにおける原因や問題種別など要素の整理を行った.本件では,これまでのまとめと今後実施予定の本調査手法について紹介する.There are so many troubles in CGMs such as blog flaming. Troubles break out from contents, clash of opinions, comments on another media and some bring about violations of privacy. To decrease and soften those troubles, we start investigating 150 troubles as preliminary research. We set up a hypothesis of trouble sequences and analyzed collected troubles. We describe our current work and our future investigation method.
著者
湯山 賢一 西山 厚 鈴木 喜博 岩田 茂樹 内藤 栄 稲本 泰生 吉澤 悟 宮崎 幹子 谷口 耕生 野尻 忠 研清水 健 岩戸 晶子 斎木 涼子 北澤 菜月 永井 洋之 中島 博 有賀 祥隆 前園 実知雄 東野 治之 根立 研介 藤岡 穣 高橋 照彦 山崎 隆之 梶谷 亮治 杉本 一樹 成瀬 正和 尾形 充彦 西川 明彦 森實 久美子 原 瑛莉子
出版者
独立行政法人国立文化財機構奈良国立博物館
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

「奈良朝仏教美術の主要作例、もしくはその国際性を考える上で重要な周辺作例の中から対象とする文化財を選定し、それらに関する基礎資料を学界の共有財産として提供する」という目的に沿って調査研究を行い、22年度末に5部構成・2分冊からなる研究成果報告書を刊行した。薬師寺に伝来した藤田美術館所蔵大般若経(魚養経)全387巻の撮影及び書誌的データの集成、蛍光X線分析による香取神宮所蔵海獣葡萄鏡や東大寺金堂鎮壇具の成分分析を通した制作地の特定などが、代表的な成果である。
著者
岩瀬 真生 石井 良平 高橋 秀俊 武田 雅俊 橋本 亮太 橋本 亮太
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

統合失調症を初めとする精神疾患に対して経頭蓋磁気刺激治療を行い、近赤外分光法を用いて治療中の血流同時測定を行ったところ、治療中に血流変化がみられることが観察されたが、何人かの被験者では磁気刺激による刺激のアーチファクトが測定に混入することが判明した。近赤外分光法により課題施行中の血流変化により、健常者と疾患群の判別解析が可能なことが明らかになり、磁気刺激治療への反応性予測に応用できる可能性がある。
著者
高橋 肇 千田 圭一 中世古 公男
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.327-333, 1990-06-05

春播コムギ3品種 (長稈ハルヒカリ, 半矮性ハルユタカおよび長稈・晩生Selpek) の主稈3部位 (穂首節間, 第2節間および下位節間) における構成物質 (細胞壁構成物質, 純細胞内容物質および可溶性糖) の推移を開花期から成熟期まで調査した。開花後, 細胞壁構成物質と純細胞内容物質は穂首節間と第2節間で伸長生長に伴い増加したものの, 開花時に伸長の停止している下位節間ではほとんど増加しなかった (第2図) 。これに対し, 貯蔵物質と考えられている糖は, 各節間とも乳熟期まで増加した後穂への転流とともに減少し, 成熟期にはほぼ0の値を示した。糖は, 下位節間では開花前にかなりの量が蓄積していたのに対し, 穂首節間と第2節間では開花期に蓄積し始め, 下位節間では乳熟期の1週間ほど前に, 第2節間では乳熟期に, 穂首節間では乳熟期の数日後に最大値に達した。乳熟期の糖の含有率は全品種とも第2節間で高く, さらに含有量は下位節間で高いため, 第2節間と下位節間が主要な貯蔵器官であると考えられた。一方, 糖の含有率, 含有量ともに半矮性のハルユタカで長稈のハルヒカリ, Selpekよりも高かった。
著者
後川 昭雄 高橋 慶治 河端 征彦 高橋 武 富田 秀穂
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
東京大学宇宙航空研究所報告 (ISSN:05638100)
巻号頁・発行日
vol.13, no.3, pp.773-798, 1977-09

衛星が軌道中にあるとき,重要な電源である太陽電池の出力がどれ位かを正確に推定するために地上においてその特性が予め正確にわかっている必要がある.本来,太陽電池の出力較正は大気圏外で行うのが最もよい方法であるが,現在まだ回収が不可能であるため,一般には高々度気球を使用して,大気効果の少ない約36km以上の高空で出力較正を行うのが普通である.そこで昭和49年度から50年度にかけて実験装置の設計,製作,地上試験を行ない,昭和51年5月25日に三陸大気球観測所においてB_5気球により衛星用太陽電池の出力較正実験を実施した.今回は第1回目ということもあり飛翔高度は約27kmであった.しかしこの高度ではまだ散乱光の影響が残っており,また気球の反射も当初予想したように大きかった.今後,上記影響を充分に注意して実験を行えば,太陽電池の出力を正しく較正することが可能であり,標準太陽電池の気球による設定化の目途がついたといえる.