著者
鬼木 泰成 藤原 怜 宮園 大地 大橋 浩太郎 山隈 維昭 髙木 克公 知花 尚徳 水野 秀夫 鬼木 泰博
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.66, no.2, pp.222-226, 2017-03-25 (Released:2017-05-01)
参考文献数
9

スポーツ外傷の中でも足底筋膜断裂は極めて稀である.今回我々は女子バスケットボール選手に発生した足底筋膜断裂の1例を経験したので報告する.34歳女性,主訴は右足底部痛と歩行困難である.学生時代より県内トップクラスの選手であり,現在も競技生活を継続している.平成27年11月,バスケットボールのストップ動作にて右足底部に激痛とポップ音を自覚し,当院スポーツ外来を受診した.右足底,踵骨足底筋膜付着部を中心に,腫脹,圧痛,皮下出血を認めた.MRIで足底筋周囲,付着部,heelpad内へ広がる高信号域が確認され,連続性の途絶を認めた.2週間のシーネ固定と足部トレーニング,体幹下肢機能改善訓練を実施した.受傷後4週で若干の圧痛は残存するものの,歩行可能となった.受傷後8週でジョギングが可能となり,12週でバスケットボールへ復帰した.本症例は保存療法が奏功し,比較的早期復帰が可能であった.
著者
髙橋 由佳矢 河野 忠
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.244, 2013 (Released:2013-09-04)

1. はじめに 静岡県浜松市水窪町の標高654mに位置する窪地にはほぼ7年周期で出現すると伝えられている湧水池がある。普段は水の無い窪地となっていて,スギやヒノキといった人工林に覆われている。湧水池が発生する直前には大量の降水が確認されている。杉森ほか(2001)によると,地質と降水が地下水面に影響し,湧水池が出現すると報告されている。また,400年以上前から出現していたと言い伝えられているが,詳しいことはわかっていない。この池は,今現在も明確な発生条件やメカニズムが解明されておらず,周期的に出現する理由も不明のままである。そこで,本研究では,降水量や現地の自然条件を基に,出現メカニズムを解明することを目的とした。今回は,主に2012年7月と12月に現地調査において湖盆測量を行った結果を報告する。2. 研究対象地域 池の平の池は水窪町奥領家にある亀ノ甲山峠を200m程下った場所の窪地にある。山道は佐久間ダム建設以来,廃道に近い状態である。山道は崩れている箇所が多くあり,山全体が地すべり地であることが伺える。3. 調査・研究手法 現地では,湖盆測量,検土杖を用いた簡易地質調査,湧水と沢水のサンプリングを行い,現地にて電気伝導度,ORP,pH,水温を測定した。持ち帰ったサンプルは役場から頂いた2010年出現時の池の水と共にイオンクロマトグラフィを用いて無機イオン成分の分析を行った。3. 結果と考察 標高654m付近で湖盆測量を行い等深線を示した結果,この池の最大長は130m,最大幅50m,周囲244m,面積4325m2,容積11375m³,となった。 水質分析の結果,2010年出現時のサンプルは各溶存成分量が乏しく雨水と変わらないことが判明した。池の100m程下った場所の沢水は2010年出現時の水質と比較して,各溶存成分量が高くなっていて,特にカルシウムイオン濃度の値は6.73mmg/lの値を示した。4. 今後の研究課題 池水の出現機構解明のために,湖盆に時期水位計を,水窪町役場に雨水採水器と転倒ます型雨量計を設置した。今後は,同位体水文学的手法を用いて涵養源の推定を行う予定である。5.参考文献杉森・佐藤・津田・尾口・小森(2001):遠州七不思議の池 「池の平」 の出現理由.日本地理学会発表要旨集,No.60,147.
著者
髙松 良晴
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.47, no.5, pp.305-311, 2008-10-15 (Released:2016-10-31)
参考文献数
16

脱線転覆した列車が隣接線の列車や堅い構造物と衝突すると大惨事となる.1960 年代,貨物列車の脱線転覆から三河島事故,鶴見事故と続いた.当時の国鉄は,列車制御技術の開発とともに,北海道狩勝に実験線を設け,12 年間にわたり,2 軸貨車の脱線メカニズムの解明を行った.その成果が旅客線までに及び,その後,同種事故の発生は久しくなかった.だが,2000 年代に入ると,また,日比谷線事故,福知山線事故と死傷者多数を出す脱線転覆事故が続くようになった.今度は旅客電車のボギー台車の脱線である.自動車にはテストコースがあるが,わが国の鉄道にはない.大都市内鉄道や新幹線が,ともに,高頻度高速で運行されている.一方,東海・東南海・南海地震発生の確率が論じられている.より安全な鉄道を目指し,いまこそ,再び脱線実験線を設け,脱線のみならず,部材疲労,火災,衝突などの各種実車実験を行うべきである.

3 0 0 0 OA F特異点

著者
髙木 俊輔 渡辺 敬一
出版者
一般社団法人 日本数学会
雑誌
数学 (ISSN:0039470X)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.1-30, 2014-01-27 (Released:2017-04-13)
参考文献数
117
著者
髙橋 葉子 丸山 一雄 根岸 洋一
出版者
日本DDS学会
雑誌
Drug Delivery System (ISSN:09135006)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.116-123, 2019-03-25 (Released:2019-06-25)
参考文献数
27

遺伝子・核酸医薬が臨床応用されるうえで、標的組織および標的細胞へのデリバリー技術の開発は重要課題である。近年、物理エネルギーのなかでも超音波を利用したデリバリーシステムはその安全性の高さから注目されており、ナノバブルやマイクロバブルを併用することで、造影効果のみならず薬物・遺伝子・核酸デリバリー効果の増強の可能性が示されている。筆者らは、超音波造影ガスを封入したリピッドバブルを開発し、種々の疾患モデルマウスを用いて遺伝子・核酸デリバリーツールとしての有用性を評価してきた。本稿では、超音波による診断と治療を融合したシステム(セラノスティクス)構築に向けた現状について概説するとともに、筆者らが開発したリピッドバブルによる遺伝子・核酸デリバリー効果とその治療への応用を紹介する。
著者
髙峯 和則
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.64, no.9, pp.460-461, 2016-09-20 (Released:2017-03-01)
参考文献数
5

本格焼酎の伝来は明らかにされていないが,その仕込み法は,鹿児島で独自に発達し個性豊かな味わいを持つ蒸留酒として全国各地で愛飲されている。しかし,全国に広まったのは1980年代以降であり,それまでは南九州の地酒として飲まれていたものである。ここでは,本格焼酎の歴史や製法,香りの由来や生成機構,機能性などについて紹介する。
著者
髙山 直秀 斉加 志津子 一戸 貞人
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.83, no.5, pp.519-524, 2009
被引用文献数
6

これまで臨床現場では,麻疹に対する免疫の程度を知るための簡便な方法として,赤血球凝集抑制(hemagglutination inhibition : HI)抗体価が測定されてきたが,近年酵素抗体(enzyme-immunoassay : EIA)法による麻疹EIA-IgG 抗体価が用いられている.HI 法は,麻疹ウイルスが細胞に結合するために必要なH 蛋白に対する抗体を測定しているので,感染防御能を反映すると考えられるが,麻疹EIA 法は,ゼラチン粒子凝集(particle agglutination,PA)法と同様に,感染防御に関与しない抗体も含めて測定するため,EIA-IgG 抗体価は必ずしも麻疹に対する発症防御の程度を反映しないと考えられる.同一検体につき,HI 法,PA 法,中和法により麻疹抗体価を測定し,得られた抗体価との相互関係から,デンカ生研製測定キットを用いた場合,EIA-IgG 抗体価が12.0 以上であれば,麻疹発症防御レベル以上と判断できるが,EIA-IgG 抗体陽性であっても4.0 以上8.0 未満では麻疹ワクチンの追加接種が必要であり,8.0 以上12.0 未満でも追加接種が望ましいと考えられた.
著者
髙栗 郷
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.138, no.11, pp.1329-1334, 2018-11-01 (Released:2018-11-01)
参考文献数
30
被引用文献数
8

Impaired insulin signaling in adipose tissue and skeletal muscle causes insulin resistance associated with the development of type 2 diabetes. However, the molecular mechanisms underlying insulin resistance remain to be elucidated. In this review, we describe the current understanding of the effects of 3-hydroxy-3-methylglutaryl coenzyme A (HMG-CoA) reductase inhibitors (statins) and tumor necrosis factor (TNF)-α on insulin signal transduction in adipocytes. First, we determined that atorvastatin inhibits the tyrosine phosphorylation of insulin receptor substrate (IRS)-1 through a decrease in the RhoA-Rho-kinase pathway, resulting in the inhibition of glucose uptake. Second, we found that TNF-α induces IRS-1 phosphorylation at serine residues 636/639 and inhibits the tyrosine phosphorylation of IRS-1 through the increase in both extracellular signal-regulated kinase (ERK) and c-jun N-terminal kinase (JNK) phosphorylation. Interestingly, 5-aminoimidazole-4-carboxamide-1-β-D-ribofuranoside, an AMP-activated protein kinase activator, suppresses TNF-α-induced IRS-1 serine phosphorylation at 636/639 and the phosphorylation of ERK by enhancing interactions between ERK and dual-specificity phosphatase-9. These results may be helpful in understanding the mechanisms underlying insulin resistance.
著者
髙尾 尚平
出版者
日本体育・スポーツ哲学会
雑誌
体育・スポーツ哲学研究 (ISSN:09155104)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.35-52, 2018 (Released:2018-10-01)
参考文献数
67
被引用文献数
3

This paper aims to (1) show the role of the violence done by coaches, which is referred to as corporal punishment within sport coaching, and (2) clarify the influence of this violence on players. For aim (1), the author examined the stages of sport coaching, they were connected to Bateson’s theory of leaning. The results revealed that in coaching, there is a stage involving an attempt to release players from their existing views and habits and make them transcend those views and habits. In this paper, this stage is prescribed as “transcendence II.” For the second aim, this paper considered the meaning of violence in human beings from the viewpoint of Bataille’s theory of violence. Referring to that theory, the author showed the condition and role of violence within sport coaching and its influence on players.In conclusion, it is demonstrated that violence done by coaches is part of the “transcendence II” stage in sport coaching. Moreover, this paper finds such violence by coaches shatters player’s existing views and habits and can force players to change their view on sport. Therefore, the violence done by coaches should not be seen as unrelated to sport coaching but must be understood as part of the work of the “transcendence II” stage. This study points out that future solutions and ethical discussion of this issue should be carried out based on this understanding.
著者
小林 憲弘 小坂 浩司 浅見 真理 中川 慎也 木下 輝昭 高木 総吉 中島 孝江 古川 浩司 中村 弘揮 工藤 清惣 粕谷 智浩 土屋 かおり 寺中 郁夫 若月 紀代子 加登 優樹 小関 栄一郎 井上 智 村上 真一 金田 智 関 桂子 北本 靖子 堀池 秀樹 米久保 淳 清水 尚登 髙原 玲華 齊藤 香織 五十嵐 良明
出版者
公益社団法人 日本水環境学会
雑誌
水環境学会誌 (ISSN:09168958)
巻号頁・発行日
vol.40, no.6, pp.223-233, 2017 (Released:2017-11-10)
参考文献数
23
被引用文献数
2 1

水道水中の臭素酸イオン (BrO3-) を既存の告示法よりも高精度かつ迅速・簡便に分析するために, LC/MS/MSによる測定方法を検討し, 臭素酸イオンを高感度に検出でき, さらに水道水中に含まれる他の陰イオンを良好に分離可能な測定条件を確立した。さらに, 本研究で確立した測定条件が全国の水道水に適用できるかどうかを検証するために, 水道事業体等の23機関において水道水に臭素酸イオンを基準値 (0.01 mg L-1) およびその1/10 (0.001 mg L-1) となるように添加した試料を調製し, 各機関で最適化した様々な測定条件で試験を行った。その結果, いずれの機関においても厚生労働省が示している「水道水質検査方法の妥当性評価ガイドライン」の真度, 併行精度および室内精度の目標を満たしたことから, 本分析法は水道水中の臭素酸イオンを基準値の1/10 (0.001 mg L-1) まで高精度に分析可能であると評価した。
著者
髙島 まり子
出版者
鹿児島女子短期大学
雑誌
鹿児島女子短期大学紀要 (ISSN:02868970)
巻号頁・発行日
vol.49, pp.85-95, 2014

英雄の死と再生を描く太陽神話縮図の下半円を C.G. ユングは 「夜の航海」 1 (night sea journey) と呼び, 自我が無意識の深みに下降し, 死を経た後に無意識から新たな心的エネルギーを供給されて意識面に再生するまでの精神的再生過程を象徴する元型と考えた. この過程は意識と無意識の統合を目指し, 様々なイニシエーションに死と再生の儀式として組込まれてもいる. 筆者は1850年刊行のナサニエル・ホーソーン作 『緋文字』 にこの元型的過程を見出したが 2, 時空を超えた2000年のデンマーク映画 『ダンサー・イン・ザ・ダーク』 3 にそれを見出し, その意味と 『緋文字』 との関連性を同年に論じた 4 (以後, これを拙論<Ⅰ>と記す.). ところが, 2001年に公開されて当時の我が国の映画史上最高の2,340万人もの観客動員を記録し, 2002年ベルリン国際映画祭最高賞の 「金熊賞」 と2003年米国アカデミー賞長編アニメーション賞を受賞した宮崎駿監督作品 『千と千尋の神隠し』 (以下, 『千尋』 と表記する) が, 全編これ 「夜の航海」 と言ってもよい内容であることは, 日本を舞台に日本人を描いた作品であるだけに一層嬉しい発見であった. あらすじを述べ, 『緋文字』 と比較しつつヒロインの 「夜の航海」 をり, ホーソーン的な意識と無意識の統合過程が現代の我々にとって持つ意味を再考してみたい.
著者
八島 章博 鈴木 丈一郎 田村 紗恵子 松島 友二 五味 一博 新井 髙
出版者
特定非営利活動法人 日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.159-167, 2015-12-28 (Released:2015-12-29)
参考文献数
34

近年,音波歯ブラシが一般に普及している。音波歯ブラシの利点は高振動数によりプラーク除去効率に優れ,歯周ポケット内細菌に影響を与えていると考えられる。しかし,音波歯ブラシの歯周ポケット内細菌への影響を評価した研究は少ない。本研究では,音波歯ブラシのプラーク除去効果と臨床パラメータの変化,歯周ポケット内細菌への影響について評価した。振動数の異なる音波歯ブラシ3種と手用ブラシを無作為に40名の被験者に割り振り,使用前,2, 4週後に臨床パラメータ(Probing Pocket Depth, Gingival Bleeding Index, Gingival Index)とPlaque Control Recordを評価した。歯周ポケット内細菌はPCR-Invader法により総菌数と歯周病原細菌数を評価した。全歯ブラシで,ベースライン時に比べ,4週後のPlaque Control Recordと臨床パラメータで改善傾向を認めた。歯周ポケット内細菌は,いずれの歯ブラシでも総菌数の顕著な変化はみられなかったが,歯周病原細菌の中には音波歯ブラシの使用によって減少傾向を示す細菌種も存在した。以上より,どの歯ブラシを用いても縁上プラークの減少と臨床パラメータの改善が認められ,一定の効果を有することが示された。また,音波歯ブラシは,歯周ポケット内細菌叢に影響を与える可能性のあることが示唆された。
著者
髙橋 稔
出版者
日本カウンセリング学会
雑誌
カウンセリング研究 (ISSN:09148337)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.106-113, 2018-10-31 (Released:2020-01-05)
参考文献数
21

臨床心理学の分野では,心理学的技法の効果を検証するために,しばしば一般にみられる虫や動物などの恐怖経験を対象としてアナログ研究を重ねてきた。本研究は,虫に対する自己評価式の恐怖経験評価尺度(以下,虫恐怖尺度)を作成し,信頼性と妥当性を確認することを目的とした。新たに作成した33項目からなる虫恐怖尺度を配布し,336名を分析対象とした。探索的因子分析および確認的因子分析の結果,虫恐怖尺度は11項目,1因子構造となった。虫恐怖尺度は内的整合性が高く,再検査信頼性も高かった(r=.88)。虫恐怖尺度とFQ-虫との相関はr=.67 であり,虫恐怖尺度とFQ-16(広場恐怖,血液・外傷恐怖,社会恐怖)との間ではr=.24~.34であった。また虫恐怖尺度とPRS-虫との間には有意な正の相関が確認された(r=.66~.72)が,PRS-小動物との間では有意な相関は確認されなかった(r=.19~.26)。本研究結果から,虫恐怖尺度は信頼性と妥当性を備えた尺度であることが示された。しかし,臨床群への応用については課題が残された。
著者
丹野 翔伍 髙島 一昭 山根 剛 山根 義久
出版者
動物臨床医学会
雑誌
動物臨床医学 (ISSN:13446991)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.49-52, 2013-06-20 (Released:2014-12-06)
参考文献数
5

6カ月齢と11カ月齢の雑種猫が,人用に市販されている乾燥スルメイカを摂食した後に嘔吐したとの主訴で来院した。富士フィルムメディカル株式会社DRI-CHEM7000V(以下,DRI-CHEM)を用いた血液検査にて,2症例ともに血中クレアチニン濃度の著しい上昇が認められた。皮下輸液および制吐処置などの治療により,翌日にはクレアチニン濃度は正常に回復し,臨床症状も消失した。 後日,健常猫を用いて乾燥スルメイカの摂食試験を行った。その結果,前述の臨床例と同様に,嘔吐およびDRI-CHEMを用いた血液検査で血中クレアチニン濃度の上昇が認められた。しかし,同検体を酵素法で測定したところ血中クレアチニン濃度の上昇は認められなかった。したがって,猫が乾燥スルメイカを摂食した場合,DRI-CHEMでは偽高クレアチニン血症を生じることが判明した。
著者
德元 裕子 豊里 竹彦 眞榮城 千夏子 平安名 由美子 遠藤 由美子 照屋 典子 玉城 陽子 髙原 美鈴 與古田 孝夫
出版者
日本健康学会
雑誌
日本健康学会誌 (ISSN:24326712)
巻号頁・発行日
vol.84, no.1, pp.3-11, 2018-01-31 (Released:2018-02-16)
参考文献数
40

Objective: This study aimed to clarify the association between sense of filial responsibility, local residents’ subjective economic status, and attachment to the local community, and to contribute to local community policies and measures including support systems for elderly in need of care and family.Methods: We conducted in-home interviews in 2015 in Okinawa, Japan. A total of 2,663 local residents were selected, and after invalid responses were excluded, 1,656 responses (62.2%) were analyzed. Participants were asked about demographic variables (sex, age, marital status, birth order, subjective health, living arrangement), subjective economic status, attachment to the local community, and sense of filial responsibility (such as caring for and supporting their elderly parents).Results: Age, marital status, birth order, and attachment to the local community were positively associated with sense of filial responsibility. Participants with low subjective economic status had low sense of filial responsibility. Even if subjective economic status was low, participants with high attachment to the local community had significantly high sense of filial responsibility. Moreover, participants with high attachment to the local community provided and received more instrumental support than participants with low attachment to the local community.Conclusions: Our findings suggest that high attachment to the local community can form a support system in local areas, and that support systems in turn help local residents when they support their parents. In light of these findings, measures for creating networks between local residents, as well as improvement of the physical environment, are necessary for local community planning.
著者
野村 孔命 髙島 康裕 中村 祐一
雑誌
研究報告組込みシステム(EMB) (ISSN:2188868X)
巻号頁・発行日
vol.2016-EMB-40, no.33, pp.1-6, 2016-03-17

本稿では,タスクの実行時間と Processing Element(PE) の消費電力がばらつくシステムにおいてのスケジューリング手法を提案する.近年,実行時間と消費電力のばらつきを考慮したタスクの割り当てとスケジューリング (TAS) は,マルチプロセッサシステムが正しく動作するために必要である.従来手法では,TAS を行った後,実行時間と電力の歩留まりを評価していた.しかし,この方法では目標となる歩留まりを得るまでに,何度も TAS を実行しなければならず,設計時間が膨大になってしまう.そこで,本稿では,両ばらつきが正規分布に従うという仮定に基づいて,まず,電力制約をある確率で満たす PE の組み合わせを計算し,その組み合わせだけを利用した上で実行時間最小となる Power and Execution Variation-Aware Scheduling(PEVaS) を提案する.実験により,従来手法と比較し,性能が向上していることを確認した.
著者
安齋 正人 福田 正宏 國木田 大 辻 誠一郎 髙橋 龍三郎 佐藤 宏之 佐藤 由紀男 北野 博司 熊木 俊朗 蛯原 一平 菅野 智則
出版者
東北芸術工科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

数度にわたる完新世の気候寒冷化とその後の急激な回復(ボンド・イベント:約8200年前、約5800年前、約4300年前、約2800年前のピーク)と、縄紋土器の放射性炭素(14C)年代測定値の暦年較正年代とを対比させた結果、それぞれの気候変動が、草創期の終末/早期の初頭、早期後葉/前期初頭、前期後葉/中期初頭、中期後葉/後期初頭、晩期後葉/弥生初頭に対応することがわかった。とくに約8200年前のピークである8.2kaイベントの影響は、定住・集住集落の解体と遊動化、そして再定住化という居住パターンの変化として、列島各地の考古資料に明瞭に記録されている。