著者
野中 直之 髙田 智仁 西片 由貴 ノナカ ナオユキ タカダ トモヒト ニシカタ ユキ Nonaka Naoyuki Takada Tomohito Nishikata Yuki
雑誌
書道学論集 : 大東文化大学大学院書道学専攻院生会誌 (ISSN:13489313)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.3-27, 2014-03-31

手鑑とは、古人の筆跡(手)である古筆切や短冊、色紙等を鑑賞や手習いの手本(鑑)とするために貼り込んだ帖のことを指す。本手鑑は2004年度に大東文化大学図書館に受け入れられたものである。縦38.8センチ、横25.6センチである本手鑑は、表面66葉・裏面66葉の計134葉を収め、聖武天皇、光明皇后から始まる基本的な手鑑行列の配列に従っているものの、貼り替えの跡が多数見られ、また手鑑行列も乱れている点から、製作当初とは所収内容が変更されていると思われる。しかしながら、伝藤原有家筆「墨流切(多田切)」、伝西行筆「曽丹集切」、伝藤原俊成筆「顕広切」などの固有古筆名を有した名物切も所収する。本解題は表面二回・裏面二回の計四回に分けて掲載を予定し、本年度は表面のうち、冒頭の「聖武天皇」から「中院殿通村公」までの37葉を扱うものである。
著者
髙橋 公太
出版者
一般社団法人 日本臓器保存生物医学会
雑誌
Organ Biology (ISSN:13405152)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.90-106, 2022 (Released:2022-08-08)
参考文献数
36

In this 21st century, when science has advanced and democracy has permeated, there are untrustful natural and man-made disasters for us human beings. One of them is the pandemic of COVID-19, and the other is the invasion of Ukraine by force that does not have justice of Russia. What is common as a solution to these two events is that the International Organizations that control them have become ruins and their functions cannot be fully demonstrated.The period background is similar to the period before the outbreak of World War I and II. If the worst happens, it will be World War III, and if it becomes a nuclear war, humanity will be ruined. It is the wisdom of humanity that can solve these problems.This time, I would like to consider COVID-19, which affects about 500 million people worldwide as of April 2022, of which about 6 million people die.About two years have passed since the COVID-19 pandemic began. Exposed to the ideological conflict between democracy and tyranny, the globalization of large corporations beyond national frameworks, economic disparities, the structural complex problems of society and the wave of commercialization, COVID-19 pandemics that began with natural disasters are replacing man-made disasters.During this time, there has been little progress other than the development of vaccines. And its basic policy is no different from the extension of Albert Camus’s “La Peste” lockdown policy in 1947. Under such a passive policy, Japan’s economy will stall and be removed from the framework of the seven developed countries. In order to solve this problem, it is necessary to quickly switch to a simple active policy.
著者
髙岡 昂太 坂本 次郎 橋本 笑穂 北條 大樹 古川 結唯 菊池 愛美 佐藤 瑛洋 先光 毅士 山本 直美 鈴木 聡
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第34回 (2020) (ISSN:27587347)
巻号頁・発行日
pp.1D4GS1305, 2020 (Released:2020-06-19)

日本では推計で毎年500人の子どもが虐待で死亡している。親が嘘をつく場合や、子どもが加害者から脅され話せないなど、正確な情報収集が難しい課題がある。ベテラン職員であっても判断を誤ることがあるため、虐待対応には判断の質の向上が喫緊に求められる。さらに、増加する虐待通告件数に対応する施策も満足に打てていないことが問題である。申請者らは現場職員の判断を支援し、かつ虐待件数増加に対応する施策決定に向けたAI実証実験を2019年7月より始めた。現場と達成目標をすり合わせた上で、一時保護すべきケースの見過ごしを無くすため、予測精度の高い勾配ブースティングを実装した。また、将来的な再発率や重篤度の算出には、現場の説明責任を担保するため、因果推論を行う確率モデリングを採用した。試行の進捗として①現場の業務フローの差異の把握、②データ収集の調整、③パラメーターチューニング、④UI/UXの改修を含むアジャイル開発、⑤ICTが得意または苦手なユーザーへの研修の配慮など、社会課題解決に向けた社会実装で得た知見について発表を行う。
著者
佐藤 佑太郎 太田 経介 松田 涼 濵田 恭子 髙松 泰行
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.76-83, 2023-06-20 (Released:2023-06-20)
参考文献数
46

【目的】進行性核上性麻痺患者の病棟内歩行の自立度と歩行機能,バランス機能,全般的な認知機能および前頭葉機能との関連性を検討し,抽出された項目のカットオフ値を算出することを目的とした。【方法】進行性核上性麻痺患者86名を対象とした。歩行機能,バランス機能,全般的な認知機能および前頭葉機能が病棟内歩行自立と関連するかを多重ロジスティック回帰分析で検討し,抽出された項目をreceiver operating characteristic curve(ROC)にてカットオフ値を算出した。【結果】歩行自立に対してバランス機能評価である,姿勢安定性テストとBerg Balance Scale(以下,BBS)が関連し(p<0.01),カットオフ値は姿勢安定性テストで2点,BBSで45点であった。【結論】進行性核上性麻痺患者における病棟内歩行自立可否には姿勢安定性テストやBBSの包括的なバランス機能が関連することが示唆された。
著者
草川 遥 髙嶋 礼詩
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.129, no.1, pp.389-404, 2023-08-09 (Released:2023-08-09)
参考文献数
52

鮮新統の仙台層群・向山層の岩相層序を検討した結果,同層からは対比可能な6つの凝灰岩が認められ,下位より,大堤沢凝灰岩,広瀬川凝灰岩,蒲沢凝灰岩,鹿落坂凝灰岩I,鹿落坂凝灰岩II,塩野沢凝灰岩と名付けた.これらの凝灰岩はアパタイト微量元素組成により明瞭に識別可能で,仙台地域で広く対比可能であることが明らかになった.ただし広瀬川凝灰岩に関しては,一部の地域でアパタイトや斜方輝石・角閃石の有無に大きな違いがみられ,同一の噴火によるものか,堆積後の風化・続成作用によるものかについては今後さらなる検討が必要と考えられる.向山層の凝灰岩のジルコンのU-Pb年代によると向山層の年代は3.7~3.5 Maと推定される.
著者
坂本 泉 後藤 春彦 髙嶺 翔太 林 廷玟
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.713-720, 2022-10-25 (Released:2022-10-25)
参考文献数
10
被引用文献数
1

本研究の目的は、地元住民と地域外企業による「地域価値共創事業」の実態とそれを円滑に進めるための体制について明らかにすることである。 はじめに、瀬戸田町における「地域価値共創事業」を概観した。次に、「地域価値共創事業」に対する地元住民と地域外企業の評価を明らかにした。調査の結果から、自治体と地域マネジメント企業が、地域のコーディネーターとして「フィルター」「ハブ」「バッファ」の3つの機能を果たしていることが明らかになった。両者は密に連携を取り、地元住民や地域外企業と良好な関係性を構築する必要がある。今後の「地域価値共創事業」においては、自治体がこのような体制を可能にする原資を提供すること、地域マネジメント企業の存在、さらには事業開始までに十分な準備時間を確保することが必要不可欠である。
著者
小川 綾乃 浅井 さとみ 宮澤 美紀 髙梨 昇 下野 浩一 梅澤 和夫 宮地 勇人
出版者
一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
雑誌
医学検査 (ISSN:09158669)
巻号頁・発行日
vol.70, no.3, pp.448-455, 2021-07-25 (Released:2021-07-28)
参考文献数
4

診療のために多用されている超音波検査は,感染対策を怠ればアウトブレイクの原因につながる可能性があり,超音波検査用ゼリー(以下,ゼリー)の衛生管理は院内感染防止のために重要である。本研究は超音波検査実施におけるゼリーとゼリーウォーマ(以下,ウォーマ)の衛生的使用状況を明らかにするため,細菌学的な環境調査を行い,結果に基づく衛生的使用方法について検討した。ゼリーボトル使用開始から終了まで,始業時と終業時にゼリーおよびウォーマから培養検査を行った。その結果,検出された細菌はいずれも環境中またはヒトの常在菌であり,著明な細菌の増殖は確認されず,衛生的な運用がなされていると考えられた。しかし,易感染患者の検査の実施ではより衛生的に使用することが望まれる。リスク低減のため検査開始時には汚染の危険性のあるボトル先端部のゼリーを破棄することや,終業時にはウォーマを清掃・消毒することも有用であると考えられた。
著者
大髙 崇 吉澤 千和子
出版者
NHK放送文化研究所
雑誌
放送研究と調査 (ISSN:02880008)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.74-83, 2018 (Released:2018-03-21)

放送で使用される大量の音楽。その使用料を権利者に分配するために、放送局はJASRAC等の「著作権等管理事業者」に対して使用する楽曲を報告する義務がある。インターネット時代の到来や権利意識の高まりもあり、正確な全曲報告がより一層求められている。今、この報告のため、楽曲の特徴を自動検知する「フィンガープリント技術」の導入が放送局で進んでいる。技術導入までの経緯を辿ると、著作物の利用者(放送局)と権利者・管理事業者の間で、課題の解決と新たなルール作りに向けて粘り強い議論がなされたことがわかる。著作権法が目指す「権利の保護」と「文化の発展」。このバランスを保ちながら放送コンテンツをさらに展開させるための課題と展望を考える。
著者
髙柳 浩平
出版者
中央大学
巻号頁・発行日
2023

【学位授与の要件】中央大学学位規則第4条第1項 【論文審査委員主査】石村 広(中央大学文学部教授) 【論文審査委員副査】材木谷 敦(中央大学文学部教授),松江 崇(京都大学大学院人間・環境学研究科教授)
著者
十文字快 佐藤義 髙夘瑞稀
雑誌
サイエンスキャッスル2018
巻号頁・発行日
2018-11-21

<考察・展望>実験結果から、粉じん爆発の規模の違いによって「薄力粉」と「強力粉」は分別することができることがわかった。また,「薄力粉」と「強力粉」では、粒子直径が「薄力粉」の方が小さいが、規模は「強力粉」の方が大きい。このことから、爆発規模の違いは小麦粉に含まれるタンパク質の含有量の違いと考えられる。今回の実験は、気温30.5~33.0℃、湿度49~59%での測定なので、気温、湿度の異なる条件での実験を行うとともに、タンパク質含有量と爆発規模の関係を明らかにしていきたい。
著者
熊岡 正悟 髙橋 理恵
出版者
独立行政法人 国立重度知的障害者総合施設のぞみの園
雑誌
国立のぞみの園紀要 (ISSN:24350494)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.27-31, 2023 (Released:2023-11-21)
参考文献数
7

強度行動障害支援者養成に係る研修は,2013年度より「強度行動障害支援者養成研修」が実施されているが,強度行動障害研修修了者に対するさらなる専門性の向上のための研修や,支援現場での実践を通じた人材育成を進めることが求められている.そこで,2014年度より国立のぞみの園で実施している全国の知的障害者関係施設職員を対象とした支援者養成現任研修の申込書および研修受講後アンケートの調査分析から,「実地研修」について,①全国各地に受講ニーズがあること,②「福祉」以外に「教育」や「医療」にも受講ニーズがあること,が明らかになり,「実地研修」は,強度行動障害研修修了者に対するさらなる専門性の向上の方法になり得ると考えられた.
著者
山ノ井 髙洋
出版者
公益社団法人 計測自動制御学会
雑誌
計測と制御 (ISSN:04534662)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.107-113, 2016 (Released:2016-02-27)
参考文献数
14
著者
鈴木 智康 小野 孝也 髙橋 賢 野田 和彦
出版者
公益社団法人 腐食防食学会
雑誌
Zairyo-to-Kankyo (ISSN:09170480)
巻号頁・発行日
vol.68, no.8, pp.201-204, 2019-08-10 (Released:2020-01-24)
参考文献数
11
被引用文献数
1 1

淡水中における金属の腐食性モニタリングの検討を目的とし,種々の水溶液中にACMセンサ(Atmospheric Corrosion Monitor Sensor)を浸漬してその出力電流測定を行った.その結果,水温の変化や微量の水処理剤添加に対する瞬間的な応答を確認したことで,ACMセンサがごく短時間で腐食性の変化を出力として捉えられることがわかった.4種の淡水に対しては異なる出力を示し,RCMセンサ(Resistmetric Corrosion Monitor)での腐食量測定値との相関が高いこともわかった.従って,ACMセンサによって淡水系での腐食性モニタリングの可能性が得られた.
著者
戸坂 弥寿美 寺嶋 弘道 井上 佳子 髙尾 まり子
出版者
公益社団法人 日本語教育学会
雑誌
日本語教育 (ISSN:03894037)
巻号頁・発行日
vol.164, pp.79-93, 2016 (Released:2018-08-26)
参考文献数
13

本研究では,学外でのインタビュー活動における学習者の不安とその変化を明らかにした。対象者は日本国内の大学で日本語中級コースを履修する144名であった。まず,インタビュー活動前後の不安を比較した結果,活動後,6項目において有意に低下した。因子分析の結果からは,活動前後とも「インタビュー活動における不安」という1因子が抽出され,その因子の不安の大きさは性別や教室外での日本語使用時間という条件で異なっていた。さらに,母語話者の言語,協力的な母語話者の存在,活動での失敗経験と失敗に対する意識,成功体験,自身の日本語力に対する肯定的な気づき,タスクの難易度に対する認識,効果的なタスク達成の方法に対する気づきが不安の変化の様相に影響を与えた要因であると考察した。また,活動後の学習者の意識に関しては5つの肯定的変化が見られ,その変化が今後のインターアクションにおいて効果を生む可能性があることを考察した。
著者
髙島 良胤 田中 大樹 佐古 孝弘 古谷 正広
出版者
公益社団法人 自動車技術会
雑誌
自動車技術会論文集 (ISSN:02878321)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.221-227, 2014 (Released:2018-01-25)
参考文献数
8
被引用文献数
3

小型火花ガスエンジンにおいて,燃料供給機構を備えていない副室が燃焼および機関性能に及ぼす影響を調査した.希薄条件下において燃焼が緩慢になり熱効率低下の一要因になっている為,副室を用いて燃焼期間を短縮し熱効率を改善した.副室諸元が燃焼および機関性能に及ぼす影響について考察を加えた.
著者
髙久 宏佑 諸澤 崇裕
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.2109, 2021-10-31 (Released:2021-12-31)
参考文献数
27
被引用文献数
6

日本における観賞魚飼育は古くから一般的なものであり、近年では希少性や美麗性から日本に生息する絶滅危惧魚類も取引対象として扱われるようになってきた。さらにネットオークションによる取引の増加に伴い、個人等による野外採集個体の消費的な取引の増加も懸念されているが、一方で絶滅危惧種の捕獲、流通に係る定量的データの収集は難しく、種ごとの取引現況について量的な把握が行われたことはない。そこで本研究では、環境省レッドリストに掲載されている 184種の絶滅危惧魚類の取引の実態把握を目的として、ネットオークションにおける 10年間分の取引情報を利用した大局的な集計と分析を行うとともに、取引特性の類型化を試みた。取引データ集計の結果、ネットオークションでは 88種の取引が確認された。また、全取引数の過半数以上は取引数の多い上位 10種において占められており、さらにアカメ、オヤニラミ、ゼニタナゴの 3種の取引が、そのうちの大部分を占めていた。取引数や取引額、養殖や野外採集と思われる取引数等を種ごとに集計した 6変数による階層的クラスター分析の結果では、 8つのサブグループに分けられ、ネットオークションでの取引には、主流取引型、薄利多売型、高付加価値少売型等のいくつかの特徴的な類型を有することが分かった。また、特に多くの取引が確認されたタナゴ類の中には、養殖個体として抽出された取引が多く認められる種がおり、一部の種については、他の観賞魚のように養殖個体に由来する取引が主流になりつつある可能性が考えられた。
著者
善家 賢 髙田 彩子 松永 智子 山腰 修三
出版者
日本メディア学会
雑誌
メディア研究 (ISSN:27581047)
巻号頁・発行日
vol.103, pp.71-87, 2023-07-31 (Released:2023-10-24)

In this interview, we asked Masaru Zenke and Ayako Takada about new tendencies on war reporting. Mr. Zenke has worked as a chief producer and Ms. Takada as a director on documentary production and investigative reporting at NHK. They have been working on investigative reporting about the repression of civilians by military in post-coup Myanmar. And in the process of reporting, they have used a digital research method called OSINT (Open Source Intelligence). OSINT became known with the work of "Internet detective" Bellingcat. Although both Mr. Zenke and Ms. Takada see OSINT’s impact on war reporting as positive, they position OSINT as a complement to traditional journalistic practices. In this interview, we also asked them about news coverage of the Russian military invasion of Ukraine. While citizens are practicing OSINT in this war, the spread of disinformation and fake news has become a serious problem. They pointed that the possibilities for new digital media practices are expanding, but also recognized the difficulties of traditional war reporting have not been resolved. Through this interview, the various possibilities and difficulties that digital technologies bring to war reporting were revealed.
著者
髙橋 渉 伊藤 元太 本郷 良泳 長沼 未加
出版者
一般社団法人 日本薬局学会
雑誌
薬局薬学 (ISSN:18843077)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.98-106, 2022 (Released:2022-10-24)
参考文献数
21

保険薬局で調剤される抗インフルエンザ薬には,内服薬と吸入薬がある.内服薬の服薬指導時間は,吸入薬よりも短い可能性があるが,薬局での抗インフルエンザ薬の服薬指導時間を評価した研究はない.そこで本研究では,2018~2019年シーズンに内服薬(オセルタミビル,バロキサビル マルボキシル)と吸入薬(ザナミビル,ラニナミビル)を処方された患者について,薬局の電子薬歴端末のデータを用いて服薬指導時間と患者の薬局滞在時間を評価した.平均服薬指導時間は,内服薬が3.13分(n=44,080),吸入薬が4.68分(n=19,710)であり,吸入薬では内服薬に比べ約1.5倍時間が長かった.薬局滞在時間の平均は,内服薬で14.61分(n=49,572),吸入薬で14.98分(n=22,937)であり,服薬指導時間でみられたような差は認められなかった.服薬指導時間短縮による影響について,今後さらなる調査が必要である.