著者
髙丘 有季乃 湯地 宏樹 Yukino TAKAOKA Hiroki YUJI
出版者
鳴門教育大学地域連携センター
雑誌
鳴門教育大学学校教育研究紀要 = Bulletin of Center for Collaboration in Community Naruto University of Education (ISSN:18806864)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.129-136, 2022-02

保育においては,子どもの評価のためにドキュメンテーションなどの記録をとることが求められている。本研究は,保育者にインタビュー調査を行い,テキストマイニング分析によって,保育者のドキュメンテーションや子どもの評価に対する考えの特徴を明らかにするものである。インタビューのデータをKHCoderを用いて分析した結果,階層的クラスターによって10個の特徴に分類された。子どもの姿の振り返りの手立てとして記録を工夫していること,家庭との連携や小学校の先生との共有手段としていることなどが明らかになった。これらの結果を踏まえ,保育現場で有効なドキュメンテーションの開発に役立てたい。
著者
湯地 宏樹 髙丘 有季乃 湯地 由美 Hiroki YUJI Yukiko TAKAOKA Yumi YUJI
出版者
鳴門教育大学
雑誌
鳴門教育大学研究紀要 = Research bulletin of Naruto University of Education (ISSN:18807194)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.313-326, 2022-03-31

The purpose of this study is to clarify how childcare teachers and students at teacher education universities evaluate the “Ideal Image by the End of Childhood,” “qualities and abilities,” “proactive and dialogic deep learning,” and the “five areas” in the National Curriculum Standard for Kindergartens after watching videos of kindergarten children. The study showed a significant difference in the evaluations by teachers and students, but no significant difference in evaluations by teachers at kindergartens, nursery schools, and centers for early childhood education and care. However, there was a difference based on their years of experience. The “Ideal Image by the End of Childhood” was classified into “items that are easy to observe” and “items that are not easy to observe”. Due to multiple regression analysis, the path coefficients of “qualities and abilities”, “proactive and dialogic deep learning”, and “five areas” were significant. The results suggest that it may be effective for students to practice comprehensive and related evaluation of children, such as by watching videos of children in kindergarten.
著者
市村 賢士郎 河村 悠太 枡田 恵 伊川 美保 髙橋 雄介 楠見 孝
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
pp.93.20333, (Released:2022-02-10)
参考文献数
25
被引用文献数
2

In recent years, there has been a growing social movement in Japan to develop better work styles. With this background, the present study aimed to examine the relationship between achievement goals and meaningful work in Japan to replicate studies conducted in the West. In addition, we also examined whether an occupational classification moderates the relationship between achievement goals and meaningful work. To this end, we conducted a web survey comprising of blue- and white-collar workers (N = 792) aged 19 to 69. Multiple regression analysis showed that mastery-approach and performance-approach goals were relatively strongly related to meaningful work. Additionally, among white-collar workers, it was observed that performance-approach goals had a positive relationship with meaningful work while performance-avoidance goals had a negative relationship. These results suggested that, in Japan, both mastery-approach and mastery-avoidance goals are related to meaningful work, and that the relationship between performance goals and meaningful work differs based on the goals in the occupation.
著者
後藤 友明 髙梨 愛梨
出版者
一般社団法人 水産海洋学会
雑誌
水産海洋研究 (ISSN:09161562)
巻号頁・発行日
vol.84, no.2, pp.100-109, 2020-05-25 (Released:2022-03-17)
参考文献数
27

2008年から2018年に岩手県南部沖で行った底延縄調査で採集された1,485個体(標準体長78–359 mm)に基づいて,タヌキメバルの年齢,体長–体重関係,年齢–体長関係を推定した.体長–体重関係は,雌雄で異なるアロメトリー式で表された.耳石薄片の観察から耳石縁辺の輪紋形成周期を推定したところ,不透明帯は5–10月にかけて年1回形成されることが示された.得られたタヌキメバルの年齢は1–9歳の範囲で,年齢–体長関係に有意な雌雄差はみられず,雌雄込みのvon Bertalanffyの成長式で表された.GSIの季節変動から,雌の成熟個体は3–5月に出現し,4歳以上で認められた.求められた年齢と成長・成熟の関係は,岩手県から八戸沖からタヌキメバルと区別されずに求められてきたキツネメバル種群の既往値と同様であった.年級群別のCPUE(個体数/100針)を算出し,年級間で比較した結果,本海域における調査期間内のタヌキメバル資源では, 2005, 2007, 2008, 2015年級群の豊度が相対的に高いことがわかった.
著者
髙杉 洋平
出版者
日本政治学会
雑誌
年報政治学 (ISSN:05494192)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.1_270-1_292, 2018 (Released:2021-07-16)
参考文献数
37

本稿の目的は 「新体制試案要綱」 の策定に関わる民間シンク・タンク国策研究会と陸軍省軍務局幕僚の関係を再評価すると共に, 軍務局幕僚の新体制構想の実像を明らかにすることにある。従来, 国策研究会は陸軍のブレーン・トラストと考えられており, 同会が策定した 「新体制試案要綱」 は, 未発見の陸軍の新体制構想を代替するものと明確な根拠を欠いたまま推測されてきた。しかし 「新体制試案要綱」 の策定過程を確認すると, 同要綱が多様性に富んだメンバーによって立案され, 審議の過程や結論が広く公開されたこと, その内容も議会や旧政党を尊重するものであったことが分かる。この事実は同要綱と軍務局幕僚の関係を一見否定するものである。にもかかわらず, 既存研究はこの矛盾について全く説明しえていない。本稿は, 当該期に軍務局幕僚が陥っていた政治的苦境を指摘し, 軍務局幕僚にとっては国策研究会の 「中立性」 や 「公開性」 にこそ同会の利用価値の本質があったことを指摘する。そしてこの考察の過程で, 当該期の軍務局幕僚の新体制構想が, 議会政治や政党政治に肯定的評価を与えるものであったことを明らかにする。
著者
池田 あゆみ 谷 将之 金井 智恵子 髙山 悠子 大野 泰正 太田 晴久 山縣 文 山田 貴志 渡部 洋実 橋本 龍一郎 岡島 由佳 岩波 明 加藤 進昌
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.133-141, 2014-02-15

抄録 成人アスペルガー障害(AS)を対象に共感指数(EQ)およびシステム化指数(SQ)を含む自閉症スペクトラム障害関連の質問紙を施行し,ASの臨床的特徴と質問紙の有用性を検討した。健常群と比べAS群でEQが有意に低く,SQが有意に高かった。EQとSQに関してAS群の男女間に有意差はなく,ともに超男性脳傾向を示した。AS群においてのみEQと自閉症スペクトラム指数(AQ),SQとAQ,EQと対人的反応性指数(IRI)の相関を認めたが,EQとSQの相関,これらとパーソナリティ尺度との相関は認めなかった。EQおよびSQは,ASの低い共感能と高いシステム化能を反映する指標であり,パーソナリティに影響を受けないため,成人のASを診断する有用な指標となり得る。
著者
髙崎 浩壽 角川 広輝 石濱 崇史
出版者
関西理学療法学会
雑誌
関西理学療法 (ISSN:13469606)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.45-51, 2021 (Released:2021-12-25)
参考文献数
3

We believe that it is important to determine impairments from motion observation in the process of pursuing the ADL problems of patients. Physical therapists are involved in a wide variety of illnesses, and there are many opportunities to confront the impairments caused by falls. Most of the injuries caused by falls are due to stumbling. Regarding motion observation, it is necessary to focus on pelvic tilt at the time just before toe-off on the swing leg side, and carefully examine which factor corresponds to it, and to look at the joint movement in detail. We think that it is important to consider this. Here, we look at the factors that cause stumbling from an examination of cases.
著者
西浦 庸介 太田 圭祐 小林 利江 倉知 あかね 村瀬 景子 石黒 正崇 平野 ツヤ子 伊藤 友一 井手 敦基 濱野 髙行
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.215-220, 2022 (Released:2022-03-28)
参考文献数
18

われわれはシャント音を人工知能で音質を数値化し評価できることを報告した.しかし,聴診部位の情報が欠損しており閉塞の予測因子としては不足があった.また,分枝の多いシャントは血流量が低下しにくいため,ドップラー超音波による上腕動脈平均血流量(mFV)や血管抵抗指数(RI)では閉塞を予見しにくいと言われている.しかし,聴診部位が記録しやすい吻合部のみでのシャント音であれば,前述超音波所見との関連を認めるのではないかと考えた.評価項目として,シャント吻合部での音質と超音波によるmFV,RIを用いて比較を行った.その結果,シャント血流量を示すmFVはシャント聴診音の強度と相関した.超音波によるRIは人工知能で判断される断続音と弱い相関を認めた.日々の聴診によりシャント血流量を間接的に評価することが可能であると考えられた.しかし,吻合部のみでなくシャント全長にわたる聴診が狭窄音の評価に重要である.
著者
髙橋 元貴
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.87, no.792, pp.452-463, 2022-02-01 (Released:2022-02-01)

The purpose of this paper is to clarify the structural characteristics of maintenance system of Edo Castle moats based on the historical records for Fushin-bugyo’s daily operations. First, in order to set the subject of this paper's analysis, the spatial configuration of Edo castle moats is examined and the Fushin-bugyo’s management responsibilities and jurisdictional divisions on the moats are organized. Second, the multi-layered castle moats maintenance system is clarified from the aspect of management by the fushin-bugyo and the actual maintenance labor. In conclusion, the spatial characteristics of the castle moats and its duration are discussed.
著者
髙栁 ふくえ 福内 友子 山岡 法子 安田 誠 馬渡 健一 奥 直人 金子 希代子
出版者
一般社団法人 日本痛風・尿酸核酸学会
雑誌
痛風と尿酸・核酸 (ISSN:24350095)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.177-185, 2020-12-20 (Released:2020-12-20)

本邦における「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第3版」では,患者が食事から摂取するプリン体摂取目標値が400mg/日以下とされている.著者らは,これまで,発酵食品に着目し,酒粕に魚を浸漬すると,魚のプリン体が減少することを報告した.本研究では異なる発酵食品で,和食の定番である西京味噌漬けを検討した.めかじきを同量の西京味噌に1日間と3日間浸漬した.食品中のプリン体は,当研究室で開発された高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いた2つの方法で測定した.方法1では,試料を酸加水分解し,プリン塩基にまで分解したものを測定し,総プリン体量を求めた.方法2では,酸加水分解は行わず,遊離プリン体を分子種別に一斉分析する方法を用いて測定した.方法1で測定した総プリン体の結果は,めかじき(1日)は149.7mg/100gで,プリン塩基別ではヒポキサンチン(HX)類の割合が最も多かった.めかじき(漬け3日)では,めかじき(3日)と比較してHXが有意に減少した.一方,西京味噌(1日)では,総プリン体量は40.9mg/100gで,西京味噌(漬け1日)のHXが有意に増加していた.方法2で測定した,めかじき(1日)および(3日)には,遊離プリン体として存在するイノシン酸(IMP),イノシン(Ino),HXが多く見られた.めかじき(漬け3日)のInoが減少し,西京味噌(漬け3日)のInoが増加した.さらに,西京味噌(1日)および(3日)と,西京味噌(漬け1日)および(漬け3日)を固液分離した結果,西京味噌(漬け1日)および西京味噌(漬け3日)の液体側にInoが存在していた.これらの結果より,西京漬けは,めかじきに多く含まれるHX類であるInoを減少させたこと,その多くが西京味噌の液体側に移行したことが示された.西京漬けは魚の調理法として,高尿酸血症・痛風患者の食事療法に提案したい献立の一つと考えた.
著者
髙橋 聡
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.107, no.5, pp.931-937, 2018-05-10 (Released:2019-05-10)
参考文献数
8
被引用文献数
1

梅毒の罹患率は増加しており,本疾患の疫学,診断及び治療の知識が必要となっている.梅毒の病変は,典型例から非典型例まで多彩であり,典型例ではない場合には,梅毒血清反応の検査が必要になる.また,無症候梅毒も梅毒血清反応の検査によって診断できる.治療は,ベンザチンペニシリンGが世界標準の推奨治療法であるが,我が国では使用できないため,アモキシシリンが投与される.治癒判定は,症例によって複雑な解釈になるが,カルジオリピンを抗原とする抗体検査法が治療経過を反映するので,こちらを追跡することになる.梅毒への対応としては,まずは疑い,検査を依頼することとなる.他の性感染症の罹患や性感染症の既往,不特定の性的パートナーの存在,HIV(human immunodeficiency virus)感染等の梅毒も含めた性感染症感染の危険因子を有する場合には検査が必要であることを伝える必要がある.梅毒を制圧するためには,特定の診療科のみではなく,多くの診療科が連携して立ち向かう必要があることを強調したい.
著者
早水 彦 森崎 裕磨 南 貴大 藤生 慎 髙山 純一
出版者
公益社団法人 日本地震工学会
雑誌
日本地震工学会論文集
巻号頁・発行日
vol.19, no.7, pp.7_1-7_13, 2019

<p>2018年9月6日3時7分頃に平成30年北海道胆振東部地震が発生した.厚真町では最大震度7が観測され,北海道では初めて震度7が観測された非常に強い地震であった.この地震の影響により,地震発生当日は北海道全域が停電し,震度6強に見舞われた新千歳空港では全便欠航となった.本研究では,地震発生時の新千歳空港利用者の中でも,道外の居住者を対象とし,発災後の交通行動,情報収集の方法等に関するWebアンケート調査を実施した.本稿における分析から,新千歳空港の全便欠航した情報を入手した状況について把握を行った.また,大規模なブラックアウト及び交通マヒが生じていた被災直後の北海道から,どのような交通手段を用いて道外の自宅へ帰宅したのか実態把握を行った.</p>
著者
新田 真弓 安部 陽子 佐々木 美喜 千葉 邦子 髙田 由紀子 辻田 幸子 古谷 麻実子 鶴田 惠子
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.44, no.5, pp.5_763-5_776, 2022-01-20 (Released:2022-01-20)
参考文献数
36

目的:病院に勤務する女性看護職の妊娠継続を困難に感じた体験を明らかにする。方法: 平成27年〜29年度日本学術振興科学研究費補助金(基盤研究(C)15K11569)「病院看護職の個人および職場の特性と妊娠・出産に関する階層モデル」第1段階の面接調査で収集したデータの2次分析を行なった。結果:7名の語りから,【妊娠前と同じように働くことを自分に課してしまう】【業務の中で母児ともに危険にさらされる】【切迫早産の不安を抱えながら,子宮収縮抑制剤内服の副作用に耐えて働く】【妊娠による体調変化を相談しても,これまで通りの働き方が求められる】【上司の言動で,働き続けることがつらくなる】のテーマが抽出された。結論:看護職者は周囲に迷惑を考慮し妊娠前と同様に業務を遂行しようとしていた。一方で診療報酬による制限や人材不足により妊婦の負担軽減が難しい状況があることも示唆された。
著者
髙石 吉將 荒井 篤 岡田 真幸 藤原 大悟 鵜山 淳 近藤 威
出版者
日本脊髄外科学会
雑誌
脊髄外科 (ISSN:09146024)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.179-183, 2019 (Released:2019-09-10)
参考文献数
16

Various complications are found in ventriculo-peritoneal shunts (V-P shunts) used in hydrocephalus. Overdrainage can be the source of some of these complications and is the primary cause of orthostatic headache, nausea, and vomiting. Here, we report a case of overshunting-associated myelopathy with progressive tetraparesis. A 56 year-old female had undergone placement of a V-P shunt four years prior to presentation in our clinic. She presented with progressive spastic tetraparesis and dysarthria but had no headache. In a brain magnetic resonance image (MRI), enlargement of the bilateral subdural space was noted. Gadolinium enhanced MRI showed dural enhancement. The presence of intracranial hypotension was suspected. Engorgement of the epidural vein at the C2 level in the cervical epidural space was also observed in the gadolinium enhanced cervical MRI. Since overdrainage of the V-P shunt was obviously present, a programmable valve was placed, and the flow of cerebrospinal fluid was controlled. The symptoms improved, and the epidural enhanced lesion diminished in subsequent MRIs. Here, we report a case of overshunting-associated myelopathy after placement of a V-P shunt and a review of the currently available literature.
著者
髙橋 高人 松原 耕平 中野 聡之 佐藤 正二
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.81-94, 2018
被引用文献数
7

<p> 本研究の目的は,中学生における認知行動的な抑うつ予防プログラムの効果を標準群との比較,さらに2年間のフォローアップ測定から検討することであった。介入群を構成した51名の中学1年生が,プログラムに参加した。標準群は,中学生1,817名から構成した。介入内容は,全6回の認知行動的プログラムから構成した。プログラムの効果を測定するために,子ども用抑うつ自己評定尺度,社会的スキル尺度,自動思考尺度が,介入前,介入後,フォローアップ測定1(1年後),2(2年後)で実施された。結果から,抑うつについて介入前と標準群1年生の比較では差が見られなかったのに対して,介入群のフォローアップ測定1と標準群2年生の比較では,有意に介入群の抑うつが低いことが示された。また,社会的スキルの中のやさしい言葉かけとあたたかい断り方,ポジティブな自動思考に関して,介入前よりも介入後,フォローアップ測定において向上することが示された。ユニバーサルレベルの抑うつ予防プログラムが,中学生に対して効果的な技法であることが示唆された。</p>
著者
水野 千恵 髙村 仁知
出版者
日本生物高分子学会
雑誌
食品・臨床栄養 (ISSN:21873259)
巻号頁・発行日
vol.e2016, pp.1-12, 2016 (Released:2019-02-12)

硬度の異なるミネラルウォーターを用いて無洗米を炊飯し、これらが飯の性状 と嗜好性に及ぼす影響を検討するとともに、Ca、Mg がどれだけ摂取できるか検討 した。官能評価の結果、Ca の多い Vittel(硬度 300mg/L)、Mg の多い海洋深層水 (硬度 330mg/L および硬度 700mg/L)を炊き水に用いた飯は、蒸留水で炊いた飯 と同様に好まれた。Contrex(硬度約 1,560mg/L)、および海洋深層水(3,200mg/L) で炊飯した場合は、色、味の項目で評価が低かった。Contrex では、b*値(黄み) が高くなった。無洗米炊飯の場合、Ca および Mg の回収率は約 100%であった。 無洗米をミネラルウォーターで炊いた場合、浸漬水に用いたミネラルウォーター のミネラルを補給できることが期待できる。
著者
秋山 由美 齋藤 悦子 榎本 美貴 辻 英髙 近平 雅嗣 吉田 昌史
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.87, no.6, pp.721-725, 2013-11-20 (Released:2015-02-18)
参考文献数
13

3種のBordetella 属菌(B. pertussis,B. parapertussis,B. holmesii)の同時検出をコンベンショナルPCR 法で試みた.4 種の挿入配列遺伝子(IS481,IS1001,IS1002 およびhIS1001)を増幅ターゲットとする 4 組のプライマーを混合したマルチプレックス法で,選択的な検出が可能となった.検出限界は 3 種の Bordetella 属菌の各 DNA 濃度として 5fg/μL であった.なお,低濃度のB. pertussis とB. holmesii の確認には,LAMP 法も併用した. 本法を 2012 年度に感染症発生動向調査の定点医療機関から百日咳疑いで搬入された病原体検査の 42 検体(咽頭ぬぐい液 23 件,鼻腔ぬぐい液 19 件)に適用し,12 検体から B. pertussis を検出した.このうち 8 検体は,保育所を中心とする集団発生事例のものである.病原体サーベイランスにおいて,本法は 3 種の Bordetella 属菌の検査を同時にかつ低コストで行うことができた.