著者
常川 真央 小野 永貴 安西 慧 矢ヶ部 光
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. DD (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
no.65, 2008-03-28

本研究では利用者同士のコミュニケーション促進を目的とした図書館システムShizukuの開発を行った。現在の図書館は、情報提供機関であることを越えて知識創出を支援する機関となることを求められつつある。知識創出を目指すためには、コミュニティの形成が欠かせない。そこで、本システムでは図書館利用者のコミュニティ形成を支援する機能の実装を目指した。具体的には貸出履歴情報を活用し、仮想本棚や仮想図書カードによる交流機能を実装した。
著者
小沢 一雅
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. CH,[人文科学とコンピュータ] (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.71, pp.1-8, 2006-07-28
参考文献数
4

前方後円墳の墳丘主体は,自然地形の整形あるいは盛土といった土木工法によって構築されている。大きな古墳になると30mを超える高さをもつものがある。土砂を素材とする構築物であるため高さを確保すれば必然的に長い斜面が現れる。こうした長い墳丘斜面の崩落を防ぐための土木技法としてか,あるいは装飾的造形としてか,いわゆる段築とよばれる階段状の斜面形成が行われている。主流は3段築成とみられているが,各段の高さの比率等に関して多数の古墳を横断的に分析した事例はない。本稿では,実測図の等高線に段築の痕跡が比較的明瞭に認められる古墳を選別し,各段の高さを詳細に計測する。各古墳について得られた計測値を比較・分析した結果として,一定の法則性が認められることを述べる。さらに,これをふまえて各段の高さの比(段築比)が1:1:3であるとする推定段築比を導く。
著者
江渡 浩一郎 高林 哲 増井 俊之
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. HI,ヒューマンインタフェース研究会報告 (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.111, pp.5-11, 2004-11-11
参考文献数
10
被引用文献数
4

メーリングリストはグループ・コミュニケーションにおいて一般的であるが,送られたメールは通常はユーザが保持するだけであり共有されない.また送られたメッセージを編集してまとめることはできない.WikiWikiWeb(Wiki)はWeb上で情報を編集・共有するための柔軟で使いやすいシステムであるが,通常は編集履歴を保持せず,また誰が編集したのかはわからない.本論文では,この両者の長所を統合した新しいグループ・コミュニケーション・システムqwikWebを提案する.qwikWebは,メールを送信するだけで新しいメーリングリストを作ることができ,同時に対応するWikiサイトが作成される.全てのメールはWikiページとして蓄積され,通常のWikiページと同じように編集できる.ユーザは特別な管理を必要とせずに,メーリングリストとWikiの両方の機能を同時に活用することができる.
著者
藤本 貴之 川井 博之 志村 敦史
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告情報システムと社会環境(IS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.32, pp.17-22, 2009-03-11

古くから大学生のカンニングおよび不正行為の問題やその対策に関する関心は存在してきた.しかし,近年,コンピュータ環境の発展と汎用化に伴い,その手法や考え方も大きく変容してきた.従来の不正抑止手法が十分に機能し得ないという前提に基づき,大学におけるカンニング/不正行為の傾向分析を行う.また,近年問題となっている 「コピー・アンド・ペースト (いわゆるコピペ)」 によるレポート等の剽窃行為いついても言及し,実装した抑止システムを詳述する.In recent years, cheating in a university is also diversified by development of computer. Various measures for cheating are devised. However, it is not fully functioning. Moreover, the problem of plagiarizing a document from the Internet also exists by 'Copy and Paste'. In this paper, we investigated about cheating and plagiarizing in a university and analyzed the tendency. We devised a dishonest act prevention system and made the trial product.
著者
松原 仁 半田 剣一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告知能と複雑系(ICS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1994, no.83, pp.21-30, 1994-10-04
被引用文献数
2

チェスにおいては分岐因子などのゲームとしての性質が調べられているが、将棋については広く公表されたものが存在しなかった。ゲームをプレイするためのアルゴリズムを考える際に、あるいは将棋をチェスや囲碁など他のゲームと比較する際にこれらの情報は重要である。現在プロの棋譜を収集して分析している。そこで得られたいくつかの知見を報告する。将棋の平均分岐因子は、これまで一般に信じられてきた値よりはかなり小さく80前後(母集団の取り方によって90程度から70程度までばらつきがある)。しかしこの結果はコンピュータ将棋がこれまで信じられてきたよりやさしいということは必ずしも意味しない。最も勝負に影響する中盤から終盤にかけては平均百数十手の分岐因子が存在するので、チェスと同じ方法でコンピュータ将棋を強くすることはできないものと思われる。
著者
辰巳 直也 森勢 将雅 片寄 晴弘
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2010, no.7, pp.1-6, 2010-10-07

Vocaloid 「初音ミク」 の発売以来,歌唱合成に対する注目が高まりつつある.Vocaloid では,メロディと歌詞を入力することにより,サンプリングされた人の声を元にした歌声を合成することができる.また,表情パラメタを調整することにより,様々な表情を付与することができる.しかし,より人間らしい表情豊かな歌声にするには,表情パラメタの調整を細かく設定することが必要なため,非常に煩雑で時間がかかる.本研究では,ロック歌手の一人 「GACKT」 の歌い方に見られるビブラートやポルタメントといった音高・(音量) 等の歌唱技法を低次のモデルパラメタで近似し,混合ガウス分布を用いた手法でモデルパラメタを決定する.それらの値を Vocaloid の出力に付加することで,ロック歌手らしい歌い方を実現する 「ロックボーカルレゾネータ」 を提案する.Since the release of Vocaloid "Hatsune Miku", voice synthesizing applications have been known to the public people. Vocaloids generate human-like vocal melodies by giving lyrics and melodies. If the parameters for expression control are elaborated, Vocaloids yield more natural vocals. However, setting these parameters requires complicated expertise. This paper proposes a system called "Rock Vocal Resonator" that emphasizes Rock vocalist styles for Vocaloids, based on analysis of a Japanese Rock singer, GACKT's singing.
著者
粟津妙華 高田雅美 城和貴
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告数理モデル化と問題解決(MPS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.20, pp.1-6, 2014-06-18

国立国会図書館では,所蔵する明治から昭和前期の近代書籍を近代デジタルライブラリとして Web 上でページごとの画像データとして公開しているが,文書内容での検索を行うことができない.そのため,自動でのテキストデータ化が望まれている.その際,問題となっているのがヒストグラムでは除去できないルビであり,我々はすでに近代書籍に特化したルビ除去手法を提案している.しかしながら,提案した手法は書籍に付加された外部情報を元にしており,実現可能性は低い.そこで本論文では,書籍画像から直接得られるデータを元に,進化計算によってルビ除去式を生成し,近代書籍から自動でルビを除去する手法を提案する.In National Diet Library, books which are possessed in library as "the digital library from meiji era" are open to the public on Web. Since these are shown as image data and cannot search using document contents, an automatic text conversion is needed. There is a major obstacle to text conversion. It is ruby. Ruby can not be removed in the histogram method. Therefore, we have proposed a ruby removal method for early-modern Japanese printed books. However, since the proposed method is based on the external information added to the books, the feasibility is low. In this paper, we propose a method to remove the ruby automatically from early-modern Japanese printed books by generating ruby removal formula in Genetic Programming using the training data was based on the data of book image.
著者
松山 麻珠 池内 淳
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. HCI, ヒューマンコンピュータインタラクション研究会報告 (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2015, no.2, pp.1-8, 2015-03-06

本稿では,校正を行う場面での読みにおける作業効率の差や校正者が受ける影響を測定するとともに,その要因を考察することを目的として二つの実験を行った.実験 1 では,24 名の被験者に対して,2 種類の問題を用いて実験を行い,校正作業の効率,正解率,主観評価いずれにおいても液晶ディスプレイに比べ,紙の方が優れていた.実験1の結果を踏まえ,その違いとなる具体的な要因を探るため,反射光と透過光の違いに着目した実験を 20 名の被験者を対象として実施した.その結果,誤り発見数・誤回答数・読書時間・主観評価について差は認められなかったものの,誤り発見数の平均値,校正作業の精度と再現率について反射光のほうが優位であった.
著者
上野 修司 高橋 勇 黒岩 丈介 白井 治彦 小高知宏 小倉 久和
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.130, pp.41-46, 2006-12-09
被引用文献数
2

本研究では 我々は複数のWebページから剽窃した学生レポートを発見するためのシステムを提案する.このシステムを実現するために 我々は検索エンジンを用いて学生レポートの剽窃元になったWebページの検出と剽窃の可能性を評価する際の二つの問題を解決した また これらの新しい手法を用いたシステムを実装し システムの有効性を検討するため2つの実験を行った.その結果 複数のWebページから剽窃したレポートの発見支援が可能であることが示された.In the present investigatiou, we prpose a system in supporting facultures to out the leaner's report plagiarized from, several WEB pages. In order to realize the system, we have solved mainly two problems; (i) How to find out original WEB pages from which learners plagiarized by means of a certain WEB search engine?, and (ii) how to evaluate possibility of plagiarism? We implemented the new two algorithms in the system, and performed two experimentes to show the their effectiveness. From the results, we have almost succeeded to fond out the reports plagiarized from several WEB pages expect for a few reports.
著者
西田 智 浜中 雅俊 平田 圭二 東条 敏
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2010, no.23, pp.1-7, 2010-07-21
参考文献数
6

本稿では,曲の雰囲気や特徴を変えずに,楽曲構造に基づきメロディ中に新たな音を追加して,メロディを生成する手法について述べる.本手法の特長は楽曲構造を利用したことであり,その結果,生成されたメロディは元のメロディの雰囲気を忠実に反映することができた.提案手法では,まず,メロディを音楽理論GTTMに基づき分析し,タイムスパン木を獲得する.次に,得られたタイムスパン木に,既存の曲のタイムスパン木を参考にして,新たな枝を追加することで,音数の増加した新たなメロディを生成する.実験の結果,簡約したメロディから楽曲構造に沿って具体的なメロディを生成できることを確認した.This paper presents a melody generation method which adds new notes to a given melody with its flavor and characteristics retained. The main advantage of our method is that musical structures are employed to keep the similar flavor of an original melody in a generated melody. First, we analyze an original melody based on music theory GTTM and acquire a corresponding time-span tree. Next, we add a new branch and a note, referring to the time-span tree of an original melody. As a result, we obtain a new melody in which a new note has been added. We conduct an experiment, which demonstartes that our method can generate an instantiated melody from a simple melody, unchanging its basic musical structure.
著者
池田 宏子 小島 一成 中村 美奈子
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. CH,[人文科学とコンピュータ] (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.72, pp.7-14, 2006-10-27
参考文献数
6

「ザイ」は鬼剣舞の中で演じられる特徴的な動作のひとつである。これは踊り手個人が任意でする動作であり、「振付け」の範疇として習うものではないとされている。従って習得していく過程において振付けと同レベルで教えられるものではなく、ザイを切るタイミングは大体決まってはいるが、決められたタイミングで全員でしなければならないという決まりもない。あくまで踊りの型がからだに入った者が、それからさらに踊りを高度な次元で表現する術としての、「わざ」の領域の動作なのである。本稿では、「基本」と「わざ」の間にある関係性について、舞踊人類学的な調査に基づく質的分析と情報学的な動作計測に基づく量的な分析の両面からの考察を行う。
著者
中村 聡史
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2010, no.17, pp.1-8, 2010-07-23
参考文献数
10

近年,様々な分野の新鮮な情報をウェブ経由で即座に手にいれることができるようになった.一方で,こうした情報の氾濫は,ネタバレなどにより視聴や閲覧を楽しみにしているコンテンツの面白さを低減させてしまうという問題がある.本稿では,こうした問題を考慮して,時間ベースでのフィルタリングを行うことにより,楽しみを低減させるようなネタバレ情報をフィルタリングする AntiSpoiler システムを提案する.本提案システムでは,ユーザの指定したプリファレンスに基づき,コンテンツを動的にフィルタリングする.Nowadays, we can obtain various kinds of fresh information from the Web. On the other hand, such fresh information sometimes spoils user's enjoyment. This paper proposes a temporal filtering system called the Anti-Spoiler system. The system changes filters dynamically based on user-specified preferences and the user's timetable. The system then blocks contents that would spoil the user's enjoyment of a previously unwatched content. The system analyzes a user-requested Web content, and then uses filters to prevent portions of the content being displayed that might spoil user's enjoyment. For example, the system hides the final score of football from the Web content before watching it on TV.
著者
浅野 一成 並木 美太郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.83, pp.87-94, 2007-08-03
被引用文献数
2

本報告では, Microperl を用いた PerlOS の試作とその評価について述べる. Microperl を拡張し,I/Oポートや実メモリへアクセスを行う機構を取り入れ,Perl メソッドコールのAPI を使うことで, Perl で割込み処理やデバイスドライバが記述できることを示す.今回は試作段階として,デバイスドライバと割込み処理を扱った.ドライバと割込み処理の実装は,キーボードについて行った.評価では,I/Oポートの入出力時間と割込みハンドラの起動時間について, C と Perl での実行時間を比較した.その結果, C に対する Perl のI/O ポート入出力時間は,最大で85%,割込みハンドラの起動時間は17%の性能比となった.各種ドライバやファイルシステムの実装・評価が,今後の課題である.This paper describes a design and evaluation for perl interpreter running on a bare machine.We propose that Extented-Microperl can access to I/O port and physical memory, and that perl program provieds device drivers and interrupt handlers using Perl method call API. This time, the updated interpreter provides device drivers and interrupt handlers. Keyboard driver and handler has been implemented. In evaluation, we have compared access time to I/O port and uptime to interrupt handler with C. As a result, each performance is 85 percent and 17 percent as fast as C code. Other device drivers and file systems are prospected.
著者
安田 豊 中山 雅哉
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告マルチメディア通信と分散処理(DPS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1999, no.56, pp.19-24, 1999-07-15

インターネットにおけるネットワークアプリケーションは一般にサービス能力のスケーラビリティを要求される。分散化はスケーラビリティを確保するための一つの方法であるが、本稿では1997年以来幾度か日蝕インターネット中継のためのWWW分散サーバ群を構築・運用してきたので、まずこれについて報告する。次に1999年2月の日蝕で試みた各分散サーバの処理分担率を動的に調整し得る手法を示し、アクセスログの分析結果からその有用性を検証する。Internet application will be required a scalability of it's service performance. Distribution is the one of technique to keep the scalability. This paper shows some distributed WWW servers system case for solar eclipse live from 1997. And the advantage of it is shown by the analyzing the access log of of Feb 1999 eclipse live. It contains the effectiveness evaluation of dynamic adjustment a rate of sharing.
著者
カイザーシュテファン
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告人文科学とコンピュータ(CH) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1995, no.91, pp.13-20, 1995-09-15

非漢字圏出身留学生の漢字学習者は、ほぼ全員アルファベット系文字体系を使う文化圏で育っている以上、表音的機能が中心に文字をとらえる彼らに効率よく漢字を学習させるためのデータベースは漢字の表音性に関するデータを用意することが考えられる。しかも、短期間に多くの漢字を学習する必要のある大学生の場合、体系的な学習の仕方が要求される。以上二つの理由から、漢字の表わす情報の中でもっとも体系的である音符にもっと注目する必要がある。ところが、日本語と違って、中国語・英語その他多くの言語は押韻の習慣があり、その言語習慣を利用して形声字の音符における類音などの学習に役立つと考えらる。本研究ではまず、表音性の強いアルファベットの大体系が一般に理解されるよりも広い地域で使われることを証し、漢字の表音性がどんなものかを検討する。さらに中国語・英語の押韻文化を比較し、漢字学習者に対して行った漢字音の押韻把握のためのアンケート調査の結果とその問題点について検討する。International students from non-kanji backgrounds almost without exception come from cultures where alphabet-type writing systems are used, and therefore tend to view writing as a system that matches the sounds of a language. Furthermore, they need to learn a fairly large number of kanji in a relatively short time. For both these reasons, the most systematic aspect of kanji, the arrangement of phonetic indicators, deserves more attention in the teaching of kanji. Furthermore, unlike Japanese, both Chinese and English (as well as a large number of other languages) make use of rhyme in various ways. In this paper, I first show that alphabet-type writing systems are used more widely than usually thought, and look at the nature of the phoneticity of kanji. I then proceed to a comparison of rhyme in Chinese and English, which shows a number of similarities, and discuss the results of a pilot questionnaire on learners understanding of rhyming sets, with a view of utilizing it for the systematic acquisition of phonetic indicators.
著者
大野 邦夫 渡辺 篤史
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告電子化知的財産・社会基盤(EIP) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.10, pp.47-54, 2008-01-31

本報告は、SNSを代表とするソーシャルメディアから、テキストマイニングを用いて情報を抽出する手法の技術的可能性を検討するものである。テキストマイニングツール、TRUSTIAを用いてmixiのコミュニティの情報から趣味に関する情報を頻度分布として取り出し、それを用いてデータを抽出し、各種コミュニティを相対的に比較した。さらにmixiがサポートしているカテゴリ毎のコミュニティ情報検索機能を用いて、趣味情報の分布を求め、テキストマイニングによる結果との比較を行ない、SNSに対するテキストマイニングの適用領域を考察した。The goal of this paper is to study the possibility of text mining technology to acquire the information through social media as SNS. A macro program that extracts mixi community information to text mining tool TRUSTIA has been developed. Vocabularies related to personal hobby of various community have been evaluated through TRUSTIA and statistically compared through histogram. Besides, relationship of hobby vocabulary distribution to community category has been calculated through built-in retrieval function of mixi community, and compared to the text mining result.
著者
佐藤 正之 小久保 康昌 葛原 茂樹
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. MUS,[音楽情報科学] (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.57, pp.131-137, 2004-11-05

音楽性幻覚の一例を通して、音楽の脳内機構について考察した。患者は75歳、女性、右利き。2002年8月4目夕方、突然、「夕焼け小焼け」が頭の中で鳴り出し、以降、会話中や歌番組を見ている時以外、起床直後から就寝するまで持続.自分で唄を唄うと止まるので別の曲を歌っていたところ、代わ引こその曲が聞こえるようになった.最終的には「夕焼け小焼け」を含めたそれらの曲が、順番に流れてくるようになった.旋律にはすべて歌詞がついており、患者自身か有名歌手の声であった.お囃子が伴奏に付き、曲の進行につれて合いの手の間隔が次第に短くなった.診察上、意識清明、聴力正常。血液・髄液検査正常。聴性脳幹反応・脳波正常。頭部MRI・SPECT正常。本例より以下の二点が示唆された:(1)旋律と伴奏、音色の脳内過程は(少なくとも一部は)異なる、(2)馴染みの旋律の受容と表出は(少なくとも一部は)異なる脳内過程を有する.
著者
澤井 賢一 黒木 裕介 松井 知己 合原 一幸
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.133, pp.13-18, 2006-12-15

本稿では,フルートの運指を最適化する手法と,その最適化モデルに含まれるパラメータのチューニングについて述べる.今回提案する手法ではこの最適化問題を,対象とするパッセージから生成されるグラフの最短路問題に帰着してモデル化した.このグラフは,パッセージ中の音に対する運指の候補を頂点集合とし,隣同士の音に対する運指間に有向辺をつけたものである.頂点間距離には,二つの運指を続けて演奏する際のやりにくさを適切に定めて用いる.また,パラメータを用いて距離を定めており,パラメータの値によって出力される運指が変化する.更に,例えばユーザの使い慣れた運指を教師信号とし,その運指が出力されるようにパラメータをチューニングする問題を逆問題として定式化した.This paper describes an optimization method of flute fingerings and parameter tuning. Our op timization method uses a shortest path problem of a directed graph generated by an objective passage. The vertices are the probable fingerings of the tones of the passage, and the arcs are the pairs of fingerings of the consecutive tones. The distance is defined as suitably designed difficulty in using the fingerings. Besides, this method has some parameters in calculation of distance and outputs different fingerings with the same passage by changing the parameter values. Furthermore, we propose a method of tuning the parameter values based on inverse optimization so as to, for example, get the accustomed fingerings of a certain passage as output.
著者
滝澤 武信
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告ゲーム情報学(GI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.59, pp.1-8, 2008-06-20
被引用文献数
3

第18回世界コンピュータ将棋選手権が 2008 年 5 月に開かれた.今回は 52 チームの申し込みがあり,実参加者数は 40(招待 1 を含む)である.コンピュータ将棋の実力も大いに上がっており,上位入賞ソフトはアマチュア全国大会ベスト4の強さがある.この報告では第18回世界コンピュータ将棋選手権における将棋ソフトウエアの実力について考察する.Computer shogi was first developed by the author and the research group in late 1974. It has been steadily improved by researchers and the commercial programmers using some game-tree making and pruning methods, opening and middle game databases, and feedback from research into tsume-shogi (mating) problems. Now, it has reached about amateur national semi-finalist level (some professional tournaments invites amateur semi-finalists and the semi-finalists sometimes beat professional players). In this paper, the author discusses contemporary computer shogi, especially how the program behaved at the 18th World Computer Shogi Championship, where 52 teams applied and 40 teams entered (including one invited), in May, 2008.
著者
小川 圭祐 久原 泰雄
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. [音楽情報科学] (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.76, pp.11-14, 2008-08-06
参考文献数
6
被引用文献数
2

本システムではライフゲームにおいて複雑に変化するパターンを実演者が操作することによって作成される音楽を目と耳で楽しむことができる.実演者はライフゲームのマトリクス上に生み出される2次元セルパターンに対して発音の要素を割り当てる.システムは刻々と変化するマトリクス上に定義されたセルパターンを検索し,合致したらそのパターンに対応する音を生成する.合致したパターンの座標情報はルート音,オクターブ,ベロシティなど発音に関係する属性として用いる.実演者はマトリクス上の生命をマウスで入力可能なので,インタラクティブに意図するパターンを入力し,楽曲生成に介入することができる.ライフゲームの世代更新は実演者が定義したタイミングで行われ,楽曲のグルーブ感を形成する.複数のマトリックスを同時に稼動させ,マトリックス毎に,パターン割当て,更新タイミング,音色を設定し,アンサンブルを行うことによってライフゲーム・オーケストラを構成する.ライフゲーム・オーケストラは,実演者の意図とセルオートマトンの創発的なパターン変化の融合を目指したシステムである.