著者
知花 博治 宇野 潤
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

カンジダグラブラータの病原性には複数の因子が関与すると考えられているが、未解明な点が多い。最近の研究において、危険因子の中で特に問題となっているが留置カテーテルである。そこで、本研究では留置カテーテルの付着に関与すると考えられるβ-グルカン、マンノプロテイン、レクチンなど細胞表層を構成する成分や加水分解酵素などの分泌酵素、さらにバイオフィルムの形成に関する成分などをコードする遺伝子などを中心中心に遺伝子欠損株を作成し研究を進めた。
著者
中村 伸枝 佐藤 奈保 内海 加奈子 仲井 あや 出野 慶子 白畑 範子 谷 洋江
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本課題では、(1)糖尿病をもつ子どもが疾患や療養行動についてどのように学びながら成長していくのかを明らかにし成長発達に沿った看護指針・評価指標を作成する、(2)糖尿病を子どもと家族が活用できる絵本と冊子を作成することを目的とした。糖尿病をもちながら成長する子どもの体験と文献からの知見を統合することにより、以下が明らかとなった。子どもの療養行動の習得に向けた体験の積み重ねは、子どもの成長発達やサポートの広がり、母親の糖尿病管理や育児の習熟を含む複雑な過程であった。思春期では、新たな課題に対し療養行動と望む生活を対峙させ周囲のサポートを得ながら対処していた。これらの結果を基に看護指針および糖尿病をもつ子どもと家族に向けた絵本と冊子を作成した。
著者
峯島 道夫 茅野 潤一郎 大湊 佳宏 今井 理恵
出版者
新潟医療福祉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

本研究は、日本人学習者が不得手であると言われる批判的思考力(クリティカルシンキング)を伸ばすための英語読解教材と学習形態を開発することを目的とした。英語読解教材としては、Steve Jobsのスタンフォード大学における卒業式でのスピーチスクリプトを題材とし、学習者の批判的思考力を伸ばすことをねらった発問やタスクを考案した。授業形態については、協同学習の一技法であるLTD(話し合い学習法)の手法を援用し、発問やタスクに対する学習者の回答のピアとの共有を活用してテキストの理解の深化と自己の世界観の拡充を目指した。
著者
木村 瑞生
出版者
東京工芸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

本研究では、痩身女子学生を対象に短期間(9週間)のマシンを使った筋力トレーニングが骨量に及ぼす効果と脱(筋力)トレーニングが骨量に及ぼす影響について調べた。その成果は、以下の通りである。1)痩身女子学生の割合と体力女子学生(1年次生)602名について体格と体力を調べた結果、痩身者(BMI18.5未満)の割合は、16.4%であった。一方、肥満者(BMI25以上)の割合は6.3%であった。BMI17.5未満の痩身者の体力(握力、背筋力、脚伸展パワー、上体おこし)は、普通体型の者の体力より有意に劣っていた。2)痩身女子学生の体重に対する意識痩身女子学生(1年次生)602名について、体重に関するアンケート調査を実施した。その結果、痩身者(BMI18.5未満)であっても実体重よりさらに1.3kg程度痩せたいと思っていた。このように、女子学生の場合は、痩身者であっても痩せ願望を抱いていることが示された。3)痩身女子学生の骨量に及ぼす短期筋力トレーニングと脱トレーニングの影響痩身で且つ骨量の低い女子学生12名(平均値:年齢18.7歳、身長158.1cm、体重43.9kg、BMI17.5、体脂肪率17.9%)について、9週間の短期筋力トレーニング(マシン・トレーニング)とその後6ヶ月間の脱(筋力)トレーニングを実施し、骨量および脚伸展パワーに及ぼす影響を調べた。その結果、被験者12名の9週間のマシン・トレーニング後の骨量相対値(88.8%)は、トレーニング前の骨量相対値(83.8%)に比して有意に増加した。そして、6ヶ月間の脱トレーニング後の骨量相対値(83.3%)は、マシン・トレーニング後の骨量に比して有意な減少を示した。脚伸展パワーについても、骨量の変化と平行して変化した。しかしながら、骨量の変化と筋力の変化の関係には有意な相関関係は示されなかった。骨量の変化と有意な相関を示したのは、各被験者のマシン・トレーニングの日数であった。*骨量相対値:17歳の平均的骨量に対する割合
著者
姜 聲敏 渡辺 順次
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

種々の新規バナナ型液晶分子をデザイン・合成し目的とする電場応答特性を有する液晶相を発見した。これらの応答性と約60°の屈曲角を持つ屈曲分子の配向制御との組み合わせで、面内で高速スイッチングが可能なディスプレイが期待できる。キュービック、カラムナー、バナナ液晶相を同時に有し、バナナ相のみならずカラムナー相においても強誘電応答が見られた。さらなる分子構造の最適化を行えば、キュービック相の電場応答も期待できる。強誘電相に加えて特異的ネマチック相を発見した。通常のネマチックと異なり、配向特性に加え長周期の位置の秩序を有する特性を見出した。ネマチック相のさらなる可能性を確認することができた。
著者
林 直人 樋口 弘行 吉野 惇郎 吉田 弘幸
出版者
富山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

高性能両極性有機発光トランジスタの開発を目指し、電子供与性部位であるフラン環と、電子受容性部位であるピラジン環またはキノン環を併せもつ新規ヘテロ芳香族化合物を合成し、その構造物性評価を行った。フラン環については、縮環向きの異なる二種類の構造異性体を比較した。薄膜の結晶性が低かったために、合成した試料からなる薄膜の電荷移動度は低い値しか観測されなかったが、一方で予想外に高い固体蛍光量子収率を示した。これは、凝集誘起発光とよばれ、近年おおいに注目されている。この理由は、エキシマー蛍光の効率性の向上、ならびに結晶状態における分子運動の抑制ということに起因する。
著者
中嶋 哲彦
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

政府は、国の構造改革政策の一環として、学校制度基準を次々に規制緩和してきたが、これにより公教育のナショナルミニマムが低下したり、教育の機会均等原理が動揺したりすることが懸念されている。公教育は地方公共団体の自治事務とされ、国が規制緩和した学校制度基準にもとづいて公教育制度を具体化する主体は地方公共団体であるため、公教育の水準を維持し、教育の機会均等は地方公共団体の教育行政によって担保されることとなる。その際、地方公共団体に自律的自己規制力は、教育の住民自治、教育行政への住民参加、教育専門職の政策立案過程への参加によって担保される。
著者
矢田 崇 棟方 有宗 Schreck Carl B.
出版者
国立研究開発法人水産研究・教育機構
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

サケ科魚類の降河行動と耐病性の制御機構について、「神経系-免疫系-内分泌系」間の相互作用という観点から調べた。行動でタイプ分けした個体群の比較により、水面近くに定位する群、または環境変化に反応して効果行動を起こしやすい群では、脳神経系での副腎皮質ホルモン刺激ホルモン放出ホルモン遺伝子の発現量に特徴的な差異が見られた。一方免疫系では、行動タイプによる顕著な差異は認められなかったが、環境変化に対する抑制的な反応が見られた。
著者
中地 幸
出版者
都留文科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究はアメリカのジャポニズム文学とアフリカン・アメリカン・モダニズムの関係を探ることを目的とするもので、アフリカ系アメリカ人が「日本」をどのように受容したのかといった問題を『ホット・ミカド』や『スイング・ミカド』などのアフリカ系アメリカ人による演劇やリチャード・ライトの俳句を中心に調査を行い、そこに現れる人種とエキゾチシズムの問題を明らかにした。成果として関連トピックの雑誌論文10本、学会発表を14本、図書5冊を5年間に生産した。
著者
市野 順子
出版者
香川大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

身体的インタラクションが,人がデジタル環境とインタラクションする際の身体・心理・認知・感情を統合する分野として注目されている.本研究では,Vusik-ユーザーが全身を使ってお絵描きしながら音楽を編集・作曲するアプリケーション-を開発した.Vusikは,子どもの創造的な体験を促進することを目的としている.アプリケーションは,ユーザーがパレットと筆や指を使ってキャンバスに見立てた大型ディスプレイに絵を描く行為を通して,音楽パラメータを変えることによってユーザーの動きに反応する.従来手法との比較評価実験より,Vuzikがユーザーの全体的なイメージの構成を促進し,学習容易性を向上させることを確認した.
著者
奥田 浩司 梶谷 崇
出版者
石川工業高等専門学校
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

大正時代の日本において、デモクラシー運動が興隆する。その一方で、デモクラシーの思想は、朝鮮の知識人及び朝鮮人留学生に受け入れられている。朝鮮の知識人及び朝鮮人留学生は、雑誌・機関誌・新聞などの諸メディアを通して、デモクラシーの思想を紹介している。本研究では、朝鮮の知識人及び朝鮮人留学生のデモクラシー思想について、朝鮮語雑誌を中心に、調査・考察を行った
著者
小川 純子 中村 伸枝 荒木 暁子 遠藤 数江 佐藤 奈保 鈴木 恵理子 伊藤 奈津子 佐藤 奈保 沖 奈津子 遠藤 数江
出版者
淑徳大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

小児がんの子どもに関わる医療者と患児、さらには家族への調査を実施した。これらの結果を元に専門家会議を実施し、小児がんの子どもが治療を理解し、前向きに治療に向かえるよう看護師が援助するためのCAI(Computer Aided Instruction)を作成した。多くの看護師が利用できるように、血液腫瘍疾患と固形腫瘍の治療過程で行われる処置に関する画像や、日々の看護の中で子どもの主体性を育むかかわりの工夫などをホームページ上に掲載するように準備中である。
著者
川村 邦光
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

日本の家族写真は 1860 年代の後半、幕末期に写真術が西洋から導入され、西洋の家族写真の直接的な影響を受けてきたが、独自の展開も見せていることを明らかにした。写真の構図・コンポジションにおいて、西洋風の家長を中心とする家父長制型家族写真が撮られてきたが、老齢の祖父母を中心として、儒教的な孝養・敬老の倫理を表象する儒教的孝養型家族写真が多く見られ、家族写真の主流を占めている。それは中国・台湾や韓国でも同様であり、東アジアの家族写真の大きな特徴として位置づけることができる
著者
松田 宣子 高田 哲 石井 美由紀
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究の目的は、子ども虐待への保健師の支援スキルの開発である。第1段階は、支援スキルの初期に行うアセスメントツールを、保健師に活用してもらい、評価・検討をした。第2段階は、近隣保健所・市町に過去、現在に保健師が支援し、よい方向に向かった事例の調査を行い、分析し、支援スキルの介入に組み込んだ。第3段階は、開発した支援スキルを保健師が活用し、その結果、ほとんどの者から「有効である」と評価が得られた。
著者
君塚 仁彦 王 智新 石 純姫 藤澤 健一 橋本 栄一 大森 直樹
出版者
東京学芸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

本共同研究では、2003(平成15)年度から2005(平成17)年度までの3ヵ年の研究期間において、東アジアにおける戦争記憶の保存と表象のあり方に関して、歴史学を中心軸にしながら博物館学・植民地教育史学・言語学・哲学などの学術的視点をも援用し学際的かつ総合的な解明を行なった。特に調査研究の遂行にあたっては、日本のみならず中国・韓国・沖縄の研究者とともに行う国際的な研究体制を堅持した。研究期間内に、中国・韓国・沖縄・日本における戦争博物館・戦争遺跡の調査・研究を各年度の計画に基づいて実施したが、全体として、海外実地調査を5回、国内実地調査を6回、国内研究会を4回、海外での研究報告を3回、海外(中国・重慶)での特別講演会を1回実施することができた。その結果、これまで日本国内では、その存在さえも十分に認知されていなかった戦争遺跡等のいくつかを調査することができ、現地研究者との研究・情報交流を踏まえて、各地域における戦争記憶が、遺跡や博物館という形を取りながらどのように保存され、表象されているのか、またどのような歴史的背景存在するのかなどを具体的に解明することができた。また本研究成果の特色として、中国・韓国など海外、また沖縄などにおいて、日本が起こした近代以降の侵略戦争による加害・被害の史実認識、歴史認識共有化を目的とした現地研究者との学術研究交流を活発に実施したことをあげることができる。戦争記憶に関する歴史認識共有は今後の東アジアにとって極めて重要な課題であり、平和実現への欠かすことのできないステップでもある。研究代表者および分担者・協力者は、その目的達成のため、研究期間内での諸議論を踏まえて、本共同研究の研究成果発表の一環として、君塚仁彦編著『平和概念の再検討と戦争遺跡』(明石書店、2006年)を上梓し、その成果をより広く共有されるようにした。
著者
安藤 喜代美 宮嶋 秀光 伊藤 俊一
出版者
名城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究は、現代家族が直面しつつある墳墓の継承問題と、そうした継承を支えてきた寺院・檀家を中心にしたコミュニティの変質と家族のメンタリティを探求するものである。質的調査であるインタビュー調査と量的調査であるアンケート調査を用いた結果、寺院・檀家との関係は、その結びつきが墓制の変化とともに家族から個人へと変化する傾向があり、墓制の変容は日本型近代家族そのものの変化と関係性があり、この変化が墳墓の継承問題に顕在化していると推測される。
著者
前川 佳代 大矢 邦宣 宮崎 良美 島原 弘征
出版者
奈良女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究は、世界遺産となった平泉における都市造営の思想読解のために、地理情報システムであるGISを利用して、発掘調査で検出された遺構のデータベースの作成と、その個々のデータ間の地理的関係を分析し、それらを基に周囲の地理的環境からマクロ的視点で都市造営の思想を読み解くものである。遺構データベースを作成し、平泉の都市構造を復元した。平泉を取り巻く地理的環境からは、諸施設と山稜の関係や太陽運行の関係を考察した。GISソフトで遺構情報を管理し、データを集積していくことは、平泉における今後の継続的な調査と資料の集積と、それらの分析に有効だと思われる。
著者
竹内 隆夫
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

農村の主要な作物である米は、一層の商品化が進展し、農法も直播に変化した。稲作のみでは現金収入が不十分なため、農村工業が展開されている。自動車の普及によるその修理業と中心となる縫製業である。都市の業者の下請けでかつむらでは元請けとなりむら人を孫請けにしている。かれらの縫製技術は、村内で訓練されてきた。賃金は下請けの半額程度だが、量を確保してむらでの一か月の現金支出分くらいを稼いでいる。少子高齢化が一層拡大してきた。少子化は定着し、高齢化が拡大している。老親扶養は伝統的な末娘が中心だが、少子化は受け皿を減少させつつある。制度化された保健ボランティアとの役割の分担は、未成熟である。
著者
佐藤 真治 荒尾 孝 田中 史朗 田城 孝雄 都竹 茂樹 大槻 伸吾
出版者
大阪産業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

「歩いて暮らすまちづくり」条例の施行が住民の身体活動量とソーシャルキャピタル(SC)に及ぼす変化を検証した。市内4モデル地区の成人389名を対象に、条例制定直後と1、3年後にアンケートを実施した。身体活動量の測定にはPhysical Activity Indexを用いた。SCとして、付き合っている人の数、地域への信頼、社会参加の程度などを求めた。身体活動量は、1年目に全ての地区で増加したが、3年目には低下傾向を認めた。SCは、地域への信頼(時間の効果:p<0.05)が高まった。
著者
木村 澄子
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

環形動物、棘皮動物など様々な無脊椎動物に存在するコネクチン様タンパク質のアミノ酸配列を決定した。そこには脊椎動物コネクチンには見られない特徴的な構造が存在した。特に、環形動物4000Kタンパク質に存在する47アミノ酸のリピート領域は、非常に細長い構造をしていた。これは同じアミノ酸数でも長い距離を担える事を示し、ゴカイ体壁筋のサルコメアが脊椎動物横紋筋に比べて2.5倍も長い事と関係していると考えられる。