著者
三田 一郎
出版者
神奈川大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

B中間子の崩壊における大きなCP対称性の破れの提唱者として次世代のBファクトリー建設の意義を研究した。新しい加速器を建設するには既存している加速器よりも大きな成果を出す可能性を持つことが不可欠である。当初SuperBFactoryは既存するBFactoryの10倍の強度が提案されていたが、わたしは少なくとも100倍必要だと指摘した。現在建設中の加速器は40倍の強度でデザインされている。研究期間中に30年間の共同研究者Bigi氏が脳卒中で倒れ、成果を発表するために氏の回復を待っている.
著者
古相 正美
出版者
中村学園大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

当初の計画では、近世全体を網羅するだけの御会和歌資料を収集し、その分析を行なう。それらをもとに御会開催年月日・御会出席者・歌題・講師・読師・奉行等の御会データベースを作成し、さらに、関連資料データベースを作成するという予定であった。資料の収集に関しては、宮内庁書陵部や国会図書館を始めとした図書館において、主な御会和歌資料を収集することができたが、一点が40冊などといった大部のものであるため、完全に近世全体を網羅することはできていない。しかし、数年間の空白期間はあるものの、近世の初期から最後までに渡る資料は収集できている。御会データベースは、当初の予定を途中で変更して、全文入力に切り替えたために、作業は遅く、現在において公開できる状態には至っていない。そこで、今年度の成果報告としては、とりあえず、御会名・御会開催年月日・掲載資料名・天皇・院を記載した簡略御会和歌データベースを作成し、近世のく全体を網羅することにした。関連資料については、現在判明している御会和歌資料についてのデータベースを作成し、これも報告書に掲載した。まだまだ不十分で、これもまた、経過的な資料としてまとめたもので、今後とも補充していく予定である。以上が現在における研究成果であるが、大部の資料であるため、この研究をもとにして、今後もライフワークとして資料収集、データベース入力作業を継続していき、できるだけ早い時期に御会データベースを公開していきたい。今後は、そのために、他の研究者との相互協力が必要となると思われる
著者
渡部 重十
出版者
北海道情報大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

2013年5月に,マーシャル諸島でNASA,クレムソン大学と共同でロケット実験を実施した.高度100kmから上方には太陽光があり地上には太陽光がない19時地方時に,2機のロケットを約1分間隔で打ち上げ,熱圏下部と上部(電離圏E層とF層)の中性大気とプラズマを同時に測定した.クレムソン大学と共同で開発したリチウム原子放出器によるリチウム原子とTMAを放出することで,熱圏大気にリチウム雲とTMA雲を形成した.これらの雲をロイ島,ロンゲラップ島,リキエップ島に配置した高感度CCDカメラとビデオで同時撮影した.高度100km付近に約100m/sの熱圏大気風速シアーを捉えた.
著者
丸山 貴之 森田 学 友藤 孝明 江國 大輔 山中 玲子 竹内 倫子
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

近年、生活習慣病の対策として、成人に対する食育の重要性が注目されている。本研究では、食育活動の実践頻度と生活習慣病に関する検査値との関連性、早食いの主観的評価と客観的評価の関連性について調査し、食育活動が低い(早食いを自覚している)と判断された者を対象に、早食い防止啓発パンフレットの配布や食行動記録を行うことで、食育活動の改善がみられるかについて検討した。さらに、食育の知識とう蝕との関係について、歯科保健の立場から調査した。
著者
吉田 光演
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究は、ドイツ語指示詞der、英語this/that、定冠詞der、日本語指示詞コソアに着目し、先行研究の検討とWeb上のデータの比較を通じて、それらの意味の共通性と相違を考察し、次の点を明らかにした。(1)発話場面の直示と文脈照応の機能は指示表現という点で統一的に把握できる。(2)近接・遠距離の対立はドイツ語では明示的ではなく、近接と非近接のdieser, derの対比がある。(3)日本語のソ系とドイツ語derは、距離と無関係に話者の視点に応じて指示対象が変動する。それは、話者が直接に操作できない間接的参照視点が介在する変項解釈や、人称代名詞との対比で話題転換を導入する役割を果たす。
著者
岡田 謙介
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-07-18

本研究は、熱帯半乾燥地域の中でも近年稲生産国として着目されているタンザニアを例に、圃場試験・モデリングおよび経済分析の各手法を統合することにより、灌漑水田・天水低湿地・天水畑地間の最適資源配分の導出方法を開発し、延いては安定的な米供給の実現に資することを目的とするものである。平成29年度には現地への訪問は行わなかったが、タンザニアにおける天水ネリカ普及JICAプロジェクトであるTANRICEの長期専門家から、まず2017年8月にスカイプで研修内容に関する詳細な聞き取りを行った。次に解析に必要なデータについては、2017年8月と2018年3月にメールを通して情報を入手しモデル解析を実施した。すなわちタンザニアにおける同プロジェクトの2013以降5年間に渡るタンザニア全土の各地におけるのべ29回のネリカ栽培研修会における詳細なデータを入手した。その中には各研修会に参加したのべ1179名の参加者の農地における収量等の栽培データが集積されている。現在、それらのデータを統計的に解析を行うとともに、これを用いて各地・各年にAPSIM-Ozyzaを完全天水畑地と仮定して走らせ収量解析を実施している。一方でタンザニア各地においてネリカ導入を、農民における既存栽培作物のネリカへの置換ととらえた場合の、ネリカの収量だけではなく、既存作物の種類および収量、およびそれらの各作物の販売収入についても考察の対象として、本当にネリカ導入に対する農民の意欲を測定する手法について、文献調査も含めて検討を行いつつある。
著者
大野 出 松宮 朝 島田 健太郎 平野 多恵 小平 美香 加藤 みち子
出版者
愛知県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010-04-01

本研究の最終年度にあたり、これまでに送付し、返信を得られた寺院からの回答を各宗派ごとに、その回答を数値化し、なおかつグラフ化し、その回答を整理かつ分析を行った。宗派別に言うと、天台宗、真言宗、曹洞宗、臨済宗、黄檗宗、日蓮宗、法華宗である。その結果として、最も御籤に対して積極的な関与をしている宗派が天台宗であることが判明した。ついで御籤に積極的に関与しようとしている宗派が、真言宗であることも同時に判明した。
著者
山下 裕 黒岡 武俊
出版者
奈良先端科学技術大学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

本研究では、微分・代数方程式(以下、DAE, differential-algebraic equation)で与えられた非線形システムの制御系設計問題について研究した。非線形の場合、線形のディスクリプタ形式と異なり行列演算だけで冗長度の無い常微分方程式系に変換することができず、非線形代数方程式を解いて冗長度を消去する作業は一般に困難である。そこで、本研究では非線形代数方程式を解くことなく、冗長度を持ったまま制御系設計を行う方法を示した。まず、index 1のDAEシステムに対し、入出力線形化・オブザーバ設計を行った。その際の大域的安定化条件を示した。そこでは冗長度が消えるように、オブザーバのダイナミクスにおいて代数方程式からなる不変多様体に有限時間整定する設計を採用した。次にhigh indexを持つ系に対し、インパルスモードを持つ場合を含めて、冗長な常微分方程式系に変換する方法を2つ示した。一つは、インパルスモードの数に応じた積分器を入力に付加し代数方程式を順次微分する方法である。もう一つは、状態フィードバックを用いるKumarらのrugularizingを改良した方法である。オブザーバを使う場合は、必然的に前者の方法を使わざるを得ない。これを用いてindex 1のDAEシステムと同様にhigh index DAEシステムに対し、入出力線形化・オブザーバ設計を行った。入出力線形化は冗長常微分方程式系に対してそのまま設計すればよい。入出力線形化に限らず、可制御性を要求しない制御手法であれば適用できるであろう。しかし、冗長常微分方程式系に対してオブザーバを設計すると、設計条件が厳しくなる。そこで、index 1の手法をhigh index DAEシステムに対し拡張し、さらに、付加積分器の状態変数が既知であることを用いて、設計条件を緩和した。得られたオブザーバは冗長な全ての状態量を推定し、かつ代数方程式の拘束を有限時間で満たすように動作する。
著者
六本 佳平 ダニエル フット IWAI Hiroshi DOI Tadashi KURIYAAM Hiromichi KOMEDA Mototane
出版者
放送大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

1)法報道の概念および研究分野としての意義について考察した。2)法報道の量の増大について数量的なデータを得るべく、朝日新聞縮刷版により60年、80年、00年の各偶数月の法報道(一定の基準を設定)記事の内容・大きさ・頻度等を調査し、40年間に記事の数が3倍近く増えていることを確認した。3)法律の専門知識とジャーナリズムの専門性とにまたがるこの分野に対する報道機閧の体制について内外の関係者に若干のインタビュー、研究報告により、現状を考察した。4)アメリカ大統領選挙におけるTV報道とその役割について、六本およびフットの報告・討論を行い、メディアの法報道が重要な政治的役割を果たす過程を具体的に分析した。
著者
山田 稔
出版者
京都府立医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

1998年から2006年の9年間で日本海裂頭条虫症は27例(年平均3例)であった。しかし2007年から2010年の3年間では55例(年平均18例)と2007年頃から増加に転じ, 2009年20例, 2010年13例, 2011年5例であった。患者発生は一年を通して見られるが,特に5-7月の初夏がピークで,全年齢層に見られた。2007年から若年齢層や女性感染者が増加し,生サケの摂食が成人男性中心から全年齢層に拡がっていることが挙げられる。2010年は14例中13例が日本海裂頭条虫, 1例がロシアで感染した広節裂頭条虫と同定された。日本海裂頭条虫13例のうち9例がゲノタイプA, 4例がゲノタイプBであった。2011年は5例とも日本海裂頭条虫で, 4例がゲノタイプA, 1例がゲノタイプBであった。またサケ属魚類79尾を調査し, 2009-2010年度65尾中8尾から幼虫が検出された。2011年度は14尾検査したが,全て陰性であった。陽性サケ1尾当りの寄生数は1-7虫体でほとんどがゲノタイプAであったが,ゲノタイプA, Bが混在した個体もあった。
著者
吉田 豊
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

近年筆者は日本において14世紀頃中国江南で制作された8点のマニ教絵画を発見した.それらははマニ教の宇宙論や終末論を絵画化したものや,マニの伝記を描いたものである.これらはマニ教研究にとって重要な資料となるでだけなく,中世イラン語のマニ教文献の解明にも資するものである.というのも中国のマニ教は,7-8世紀頃イラン語圏から伝道されたものであり,これらの絵画は究極の情報源であった中世イラン語で書かれたマニ教文献の内容と密接に関連しているからである.この3年間の研究の成果として,こららのマニ教絵画の精密なカラー図版と,それらの絵画の内容とイラン語のテキストとを比較した研究を一冊の本にまとめて発表した.
著者
山本 直美 登喜 和江 澁谷 幸 矢田 眞美子 澁谷 幸 日坂 ゆかり 山添 幸
出版者
千里金蘭大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010-04-01

本研究は、無症候性脳血管障害患者のQOL支援する包括的看護活動の探求を目的とした。方法1は、未破裂脳動脈瘤で自然経過観察患者の生活体験に注目した。その結果、『動脈瘤を忘れる』『生活を変えない』『病気ではない』という認識の一方で、患者の背景ごとに特有な体験も明らかになった。方法2は、脳卒中看護に関わる看護師91名に質問紙調査を実施した。看護師は未破裂脳動脈瘤の発見を良い傾向と認識し、自然経過観察患者の「心理的サポート」「生活改善」に関心が高いことが分かった。結果より、看護師と患者の認識には若干の乖離を認めた。今後は看護プログラムの個別化や医療と患者のつながりを維持するシステムの検討が示唆された。
著者
石井 実 平井 規央
出版者
大阪府立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

気候温暖化が里山の昆虫類に及ぼす影響を明らかにするために、ギフチョウなどを対象に研究を行った。本種の蛹を標高の異なる地点に置いたところ、初冬の気温が高い場所では羽化率が低かった。飼育実験の結果を加味すると、蛹期における「長い秋」が高い死亡率の要因と考えられた。衰退の顕著な大阪府北部の産地の個体群を調査したところ、卵の孵化率の低下が確認された。また既に本種が消えた産地では林床植生の植物種数が少なく、野生ジカの生息密度が高いことがわかった。これらの成果は、本種の衰退に暖冬の影響と野生ジカによる下層植生の過剰採食が関係し、個体群縮小による近交弱勢が拍車をかけている可能性が示された。
著者
石井 良昌 上田 毅
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012

近年,障害者スポーツはリハビリテーション分野のみならず学校教育やスポーツ現場において広がっており,様々な環境下で運動活動を行う機会が増えてきている.我々は,過去においてダウン症や自閉症などを有する知的障害児・者の運動様相の違いに関してバイオメカニクス的な手法を用いて科学的にとらえて検証を行ってきた.従来行われてきた知的障害児・者に対する研究は,研究室内で環境を一定にした状態で行われた研究や対象数の少ない事例報告が多かった.今回の研究では,軽量化で携帯が可能となった無線の測定器を対象者に装備させて,様々な環境下で行われる実際の集団スポーツ活動中の生体変化について測定を行うものである.本年度は知的障害児における夏期の体育活動時の心拍数について検討した.対象は,知的障害をもつ児童4名(男性2名、女1生2名:平均年齢9.0歳)であった.夏期(気温31.2℃、湿度68%)の屋内体育館で体育活動(約30分間)を行い,その間の心拍数(Polar社RS400)を経時的に計測した.体育活動の内容はウォーミングアップ(ストレッチ、ジャンプ、ランニング)3分,休憩1分,なわとび2分,休憩6分,バレーボール10分,クールダウン(ジョギンク)2分であった.運動指導は経験の多い指導者1名が,集団指導(7名)の形で行った.その結果,4名の平均心拍数は安静時では99.8±142bpmであったが,運動中ではそれぞれ準備運動147.3±8.8bpm,なわとび161.5±9.9bpm,バレーボール137.0±21.3bpm,ジョギング164.5±22.9bpmであった.また,最高心拍数4名ともにランニングおよびなわとびの際に187-205bpmの高値を示した.体育運動中に元気な活動をしているようにみえても,比較的高い心拍数を示していた.特に夏期の暑い時期には、休憩を多く取るなど十分な配慮を行いながら行うべきであると考えられた.
著者
三瓶 良和
出版者
島根大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

汽水域の基礎生産によるCO2吸収能力の定量的評価およびその気候変化による変化特性について,日本の代表的汽水域である中海・宍道湖において,現環境および過去数百年間の関係を考察した。表層堆積物の全有機炭素(TOC)濃度は,中海南端~湖心では3.6~4.0%のsapropelicな高い値を示し1997年以降変化はなかった。宍道湖表層TOC濃度は,東部と西部を除き3.5~4.3%のsapropelicな高い値を示して2005年以降変化はなかったが,東部では約0.5%増加した。有機物の起源は,C/N比(7~9)と熱分解GC-MSのn-アルカン組成から判断して大部分が植物プランクトンに由来する。コア試料のTOC濃度は,中海・宍道湖ともに1800年以前は1%程度の低い一定の値を示し,1800から1900年にかけてさらに0.数%低くなり,その後現在に向かって急激に増加して4%程度になる。中海においては,表層TOC濃度が3.5%を超えると湖底水中に硫化水素が溶出されはじめ,両者に比例関係があり,H2S(ppm)=13.9*TOC(%)-52.1 (TOC>3.5%)で表されることが分かった。中海中央北東部における大気CO2濃度は,2013年4月~5月の平均値は約360ppmであり,春季の植物プランクトンブルーミングによって湖上の大気CO2濃度が低くなった影響が考えられた。また,最大80ppm程度の大きな昼夜差が見られた。Carbon sinkについては,金井ほか(1998,2002)の堆積速度を用いれば有機炭素埋積速度OCARは中海が7.0 mgC/cm2/y, 宍道湖が4.0 mgC/cm2/y,全域では中海で約6,000トン/年,宍道湖で約3,200トン/年と見積もられた。コア試料については,中海では,50~25cm(1770-1890年:世界的な寒冷期のLittle Ice Age期間)はTOC濃度が約1%と過去最も低く約2,000トン/年となり,これは現在の約1/3である。宍道湖コアでは,30~20cm(1830-1890年)で約0.7%と過去最も低くなり,約1,300トン/年となる。汽水域は半閉鎖水域で有機物の分解が遅く,かつ,水深が浅いために有機物の堆積が速やかに起こるので,気候変化に対しては非常にレスポンスの速いcarbon sinkとして特徴づけられた。
著者
村田 千代栄 鈴木 佳代 筒井 秀代 原岡 智子 近藤 克則
出版者
独立行政法人国立長寿医療研究センター
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

一般高齢者のヘルスリテラシー関連要因の探索のために質問紙調査と面接調査を併用した混合研究法を用いた。教育程度や年齢、健康状態に関わらず「診療場面でわからないことを質問できない」ほど、必要な治療を中断しており、治療方針について「医師の説明を聞いたうえで医師と患者が相談して決める」(パートナーシップ型)で中断がもっとも少ない一方、質問できない理由として「忙しそう」「次の人が待っている」「質問しても無視された」「嫌な顔をされた」などの意見がきかれ、良好な治療関係には、ヘルスリテラシー向上に加え、医師との良好なコミュニケーションが重要であり、医師・患者双方への働きかけが必要と思われた。
著者
阿辺川 武 室田 真男 仁科 喜久子
出版者
国立情報学研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

学習者作文に含まれるレジスター誤り、特にアカデミック・ライティングにおける不適切な表現を自動的に検出し、誤りを指摘する日本語作文推敲支援システムを開発している。本研究課題では、このシステムを使用した日本語学習者によるレポート形式作文の推敲支援を評価する実験をおこなった。その結果、システムの指摘の精度が不十分なため間違った誤用指摘も多く、正しく誤用を指摘した個所においても見過ごされてしまったこと、および使用後のアンケート結果から、誤用指摘だけでなくどのように訂正したらよいかという指針を含めて表示してほしいといった要望が多数聞かれた。今後これらを参考にしてシステムの利便度を向上させていきたい。
著者
佐藤 努 藤橋 雅宏 品田 哲郎
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

ゲノムマイニングおよび基質許容性解析・多機能性解析から新規テルペンの発見や非天然型テルペンの創出を達成することができた。特に、オノセロイド(スクアレンの両末端環化によって生合成されるトリテルペン)合成酵素を初めて見いだすことができた。加えて、香料や媚薬として利用される龍涎香の主成分アンブレインの酵素合成に成功した。マイコバクテリア由来の新型酵素の発掘や新規酵素の触媒機構解析も順調に進んだ。
著者
中込 四郎 村松 和則
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

本研究では、スポーツ選手の競技引退後の適応過程について、スポーツ心理学ならびにスポーツ社会学の両面から検討を行った。以下に主な結果を記す。1)スポーツ心理学領域の先行研究を概観し、競技引退を理解していく上でアイデンティティ再体制化といった視点が有効となることを明らかにした。2)スポーツ社会学領域からの研究概観では、引退競技者を取り巻いてきた社会構造的な要因についてライフヒストリーの中から詳細に検討すべきであることを主張した。3)わが国のプロサッカー選手のキャリア移行について調査が行われ、種々の側面からの実態を明らかにした。4)中年期危機を体験した2人の元オリンピック選手の競技引退後のアイデンティティ再体制化について面接調査を行った。「社会化予期」「時問的展望」といった2つの要因が引退後の適応過程を強く規定していることが考えられた。5)5名の元韓国代表選手への面接調査を行い、彼らのライフヒストリーを検討した。引退後の初期は、周囲からそれまでの競技キャリアを高く評価されても、時間とともに評価が低下していくことが一様に認められた。6)現役時代から引退後の再適応を果たすまでの間心理サポートを行った1人の元オリンピック選手の200セッションに及ぶ相談記録を分析した。再適応あるいはアイデンティティの再体制化に向けて積極的に歩みだすためには、引退に伴う内的作業の持つ重要性(喪の仕事、生き直す)が指摘された。今後の課題として、国際比較研究そして両領域からの研究成果の統合などが考えられた。
著者
藤谷 かおる
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究の目的は、(1)「地域」「企業」及び「学校」運動会の成果とサービス評価をアンケート調査で比較し、(2)学校運動会の実践カリキュラムの課題を検討することである。(1)運動会では、学校の成果(協力意識、役割や責任、まとまり感)が最も高く、なかでも小学校が他校種に比べ、「周りや皆との協力」意識などが高い結果を示した。また、サービス評価の結果から、参加者は意見や要望を聞き改善すること、安全を求めていることが明らかとなった。(2)学校運動会では、事後の「運動会サービス評価アンケート(16項目)」を活動の内容に加え、カリキュラムを組み立てることを提案した。