著者
今間 俊博 近藤 邦雄
出版者
尚美学園大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

現状の制作環境を解析するために、これまでに制作されてきたセルアニメーションの解析を進めて行く中で、KEY POSEやACTION LINEなどを用いた新しいアニメーションの概念が形成されつつある。特にKIME POSEを有する日本独自のアニメーションの生成手法に着手した事は、今後の研究の進展が期待出来る
著者
内藤 祐子 市川 公一 竹中 敏文 松本 高明
出版者
国士舘大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

唾液は日常において被検者に苦痛や侵襲を与えずに試料を採取できる利点がある。したがって、各種疾患のスクリーニングや診断の指標として唾液のモニタリングの有用性について基礎的検討を加えた。1.心理的ストレスと肉体的ストレスの及ぼす影響を唾液物質でスクリーニングする:(1)1日に30kmを走行するハードトレーニングを実施した合宿前後の唾液中のsIgAの変化量と合宿後のPOMS検査による活気度得点との間には有意な正の相関関係(p<0.05)が観察されたが,試合前後による変化量には違いはなかった。(2)試合前後の唾液クロモグラニンAの変化量と試合後の活気度得点との間に有意な負の相関関係(p<0.05)が認められたが,肉体的ストレスである合宿前後での変化量に関しての相関は認められなかった。(3)これより唾液中のsIgAの変化量の増加にともなって合宿後の活気度得点が増加していることからハードトレーニングで身体的に疲労している場合でも精神的に充実しているものはsIgA濃度も高値を示すが,心身ともに疲れきったものはsIgA濃度も減少し,易感染しやすいと考えられる。また,試合後の活気度得点とクロモグラニンAの変化量の関係から,試合による肉体的疲労よりも試合結果のダメージによる心理的ストレスの度合いが試合翌日後の活気に影響を与えていると考えられる。2.唾液ストレスホルモン物質の違い:90%VO2maxの激運動後では唾液抗菌物質であるリゾチームと唾液コルチゾールの分泌量に変化が見られたが,その動向は唾液クロモグラニンAの変化とはかならずしも同一ではなかった。この点についてはさらに検討を加えている。3.唾液カルシウム濃度:運動選手の骨密度と血液や尿中のカルシウム濃度に関しては有意な相関関係がなかったが,唾液カルシウム濃度と骨密度の間には有意な相関関係がえられた。したがって,唾液カルシウム濃度を骨粗鬆症のスクリーニング値とする可能性が示唆された。
著者
樽本 英樹
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

21世紀においてグローバル化が進展するとともに、ポストナショナルな国際移民システムが生まれ発展してきた。移民システムにはどのような相違があるのか。どのような結果を生産するのか。諸国家、社会集団、移民などの関与したどのようなメカニズムで生じるのか。本研究は大きく見て2つのアプローチを採用した。第1に、西側諸国との比較をしつつ、日本や韓国といったアジア諸国を非西側諸国の例として探求に加えた。次に、ハマー=小井土=樽本モデルを導入して理論的に移民システムの発展を考察していった。本研究の結果、地球全土を視野に含めたポストナショナルな移民市民権研究への道筋が立てられることになった。
著者
中正 恵二 大山 秀樹 寺田 信行 山田 直子 山根木 康嗣 中村 秀次 浦出 雅裕
出版者
兵庫医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

非アルコール性脂肪性肝炎発症(NASH)患者および脂肪肝(FLD)患者のそれぞれの歯周病に関わる臨床パラメーターを比較した結果,FLD患者に比べてNASH患者において,歯周病の病状の悪化が見られた。また,歯周病細菌に対する血清抗体価においてもFLD患者に比べNASH患者の方が高い傾向を示した。以上の結果から,歯周病が脂肪性肝炎の病態に関与することの可能性が示された。
著者
藪谷 勤 二宮 裕美子 服崎 佑亮 東 沙樹 野崎 友則 赤岩 ゆみ 水野 貴行
出版者
宮崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

ダッチアイリスのアントシアニン生合成機構を解明し、その成果を育種に利用するために本研究を実施した。その結果、まずアヤメ属では新規のマロニル化アントシアニンやアセチル化フラボンの存在を推定した。次に、アントシアニン生合成に関与しているDFRおよび3RT遺伝子などを単離・解析し、CHSおよび5GT遺伝子のペチュニアへの導入にも成功した。さらに、DFR遺伝子のプロモーター領域へのレトロトランスポゾンの挿入が外花被の白色化を誘導する可能性を示した。
著者
山田 浩
出版者
静岡県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

緑茶成分は基礎研究により、インフルエンザウイルスの宿主への感染を抑制することが報告されている。本研究では緑茶うがいのインフルエンザ予防効果を、高校生を対象としたランダム化比較試験により検証した。予め文書同意が得られた高校生757名を対象に、緑茶うがい群又は水うがい群にランダムに割り付け、1日3回、90日間、うがいを行った。インフルエンザ発症者は緑茶うがい群19名(4.9%)、水うがい群25名(6,9%)であり、緑茶うがい群で発症者が減少する傾向を示したものの統計学的に有意ではなかった。予想されたうがいの効果量が少なかった理由として、うがい実施の不徹底等、今後の大規模臨床試験への課題が残された。
著者
藤澤 秀幸 藤本 勝義 佐伯 孝弘 姫野 敦子 青谷由紀子
出版者
清泉女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

研究会を開催してメンバーの怪異についての研究を報告し合った。その成果を公開シンポジウムで発表した。1年目のシンポジウムのテーマは「日本文学の怪異―信じる? 信じない?―」であった。2年目のシンポジウムのテーマは「日本文学における怪異と猫」であった。4年目のシンポジウムのテーマは「日本文学における〈死と救済〉―怪異の視点から―」であった。5年目に、韓国の5人の研究者を招いて、国際シンポジウムを開催した。そのテーマは「文学における〈死と救済〉―東アジアの怪異の視点から―」であった。このシンポジウムは書籍化されて出版されることが決定している。「怪異データベース」と「怪異研究文献目録」を作成した。
著者
近藤 哲朗
出版者
独立行政法人産業技術総合研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

中枢神経系を標的とする高分子タンパク医薬の開発が求められている。本研究では、血液脳関門(BBB)上の膜タンパク・受容体の分子認識機構を介して脳へ非浸襲的に送達可能な高分子タンパク医薬を創出するための技術開発を行った。In vitro BBBモデルを作成し、指向性進化工学的手法を用いてBBB上の膜タンパク・受容体に結合親和性・機能制御性を示すアミノ酸配列モチーフを探索した。現在までに機能モチーフの一つとして脳毛細血管内皮細胞の細胞膜に特徴的に作用する機能を示す配列候補を得た。現在さらに機能モチーフの創出を進めており、医薬候補タンパクへの応用および生体投与の準備を進めている。
著者
井門 亮
出版者
群馬大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

関連性理論の最近の研究では、発話解釈と同様に、語解釈の際にも推論がかかわると主張している。つまり、関連性の原理に制約された推論プロセスを通して、聞き手は符号化された語の概念を調整し、解釈を行うと考えるのである。この語用論的プロセスは「アドホック概念構築」と呼ばれ、発話の明示的意味の分析に加え、メタファーなどの修辞的表現の解釈についても、アドホック概念の観点から活発な議論が展開されている。本研究では、本来は語レベルでの解釈を説明するために提案されたアドホック概念が、さらに大きな単位である句レベルでの解釈にも適用できるのか、イディオムを通して検討を行い、さらに今後の検討課題についても言及した。
著者
山本 秀樹
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

町触として出される江戸幕府の出版法は、その上位規定として高札の「いかがわしい書物を取り扱ってはならない」との書物取扱法を持ち、写本にも準用されるものであることを明らかにした。また、豊富な現存史料の公刊がなされているにもかかわらず、それにもとづく史的記述がなされていなかった大阪本屋仲間の歴史記述を開始した。
著者
鎌野 寛
出版者
香川大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

最近,百日咳などの小児感染症が成人に集団感染を引き起こし問題になっている。学生に対する感染症の予防の健康教育は重要であり,我々は感染症の予防教育に取り組んできた。本研究では感染症拡大の定量的分析を参考にシミュレーションを行った。そして,成人百日咳についての基礎的内容を理解しやすいように動画化し学習効果の高いe-learning教材の開発を目指した。①細菌の構造 ②疫学 ③飛沫感染予防 ④診断 ⑤治療 ⑥予防接種 ⑦シミュレーション等を教材内容として設定し教材を用いて授業を行った。講義の終了後,教材内容についてのアンケート調査を行った。内容に対して理解を示した学生の割合は約85-97%であった。
著者
橋村 隆介
出版者
崇城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

研究の実績として、下記の1.~5.に掲げる成果が得られ世界の学科に発表および予定である。1.先に開発した改良型換算波エネルギー法を1950年以降最も勢力の強い台風9918号による被害規模の予測に適用し、沿岸被害の予測法として有意義であることをInternational Journalにて発表した。2.先に開発した改良型マグニチュード法を用いて台風9918号による被害の程度を予測し、1.と同様予測法の有効性について水情報学に関するニュヨークで開催された国際会議にて発表した。3.先に開発した改良型マグニチュード法を用いて、台風9918号の経路の変化およびその位置において台風来襲地点の被害の予測を行い、その予測が避難警報においての有意性について論じ、有効性を明らかにした。4.地球の温暖化により台風の規模が巨大化することが一般的に議論されている。この研究においても、温暖化を前提として「台風の巨大化に対応できる災害予測法の開発」を研究テーマとして進めて来た。しかしながら、巨大化に対応できる予測法の開発とともに温暖化に伴って台風が巨大化しているのかを明らかにすることと共に、予測法の開発を進める必要がある。そこで、地球気候変動に基づいて台風の中心気圧を用いた沿岸域の脆弱性についての研究成果をAGU Fall Meetingにおいて発表した。5.さらに、ボストンで開催予定されているASCEの国際会議において、地球温暖化による台風気象変化に伴う沿岸への影響についての成果について発表予定である。なお、新しい予測法を開発中である。
著者
山中 弘 木村 勝彦 木村 武史 笹尾 典代 寺石 悦章 松井 圭介
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

本研究は、宗教の適応的変容と再構築の側面を教会や社寺、自然的景観、迫害や殉教が起こった場所など、様々な「トポス」がもつ「聖性」に焦点を当せながら、その変容を、それを促す大きな要因の一つと考えられる「ツーリズム」との関わりのなかで明らかにしようというものである。近代社会における、交通網の発達、テクノロジーの飛躍的発展は、本来的に「聖なる場所」がもっていた限定性、秘匿性を無意味化し、だれでもがそこにアクセスすることを可能にした。とくに、ツーリズムの発展は「場所の聖性」の性格やあり方に容赦ない変更を加え、それを観光の新たな「商品」に仕立て上げようと試みている。長崎県の外海、平戸、五島列島といった地域において、これまでごく少数の人々にとってしか特別な意味をもっていなかったキリシタンの殉教地や聖地さえも、容赦なく「観光のまなざし」に曝されることになったのである。しかし、その過程で、教会や社寺、殉教地などの「場所」をめぐる新たな「語り」や「伝統」を再構築させる契機となっているようにもみえる。それは、沖縄のように、場所の聖性のもっともアーカイック形態である「御嶽」を、沖縄の根本的な宗教・伝統文化という「語り」のなかに包摂することで、自らの文化的アイデンティティを積極的に構築していこうとする試みにもつながっていく。もちろん、ツーリズムはつねに伝統的な聖地を変化させるわけではなく、ツーリズムに密接に関わる関連産業が聖地のもつ「真正性」、「歴史性」を利用して、伊勢神宮の参道に誕生した商店街のように、新たなマーケットの開拓をおこなう場合もある。さらにまた、出雲地域の「神在祭」のように、現代的ツーリズムの影響とは直接関わりなく、祭りとその場所が様々な要因によって歴史的に変化している場合もあり、「場所の聖性」の変容は必ずしも近代的現象でないことは注意する必要があろう。
著者
黒石 いずみ
出版者
青山学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

農村住宅や庶民住宅の近代化と工業化やデザイン関連の諸機関資料や既往研究と必要な理論研究は成果を得た。しかし初年度の東日本大震災で、本研究の意義を確信すると同時に、文献や既存資料ではわからない問題、つまり生活近代化の諸事象の社会的連関とは即ち、デザインが生命に関わり、災害や経済・政治に容易に影響を受け、その道具になる事と実感した。故に研究の方法を修正し、庶民住宅の生活デザイン近代化の問題を現代の被災地の復興と連続して捉え、新たに食空間を中心とした生活習慣、仮設住宅の住まい方と建設技術、地域の歴史景観とコミュニティ、都市と地方の生活文化交流の調査等を行った。歴史と現代を繋ぐ課題として発展させる。
著者
今井 佐恵子 福井 道明 小笹 寧子 梶山 静夫
出版者
京都女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

本研究では「食べる順番療法」の長期間の影響を調べるため、栄養指導を実施した介入群と対照後の血糖値、HbA1cおよび動脈硬化の進展をあらわす頚動脈内膜中膜複合体肥厚度(IMT)を比較検討した。平均4.4年後のHbA1cは介入群においてベースラインより有意に低下したが、対照群では変化がみられなかった。Max IMTおよびmean IMTは両群とも介入前後で統計的有意差はなく、群間の差もみられなかった。両群とも長期間のIMTに変化がみられなかったのは、食事療法だけでなく薬物による血圧、血清脂質管理によってIMTの経年変化が抑制されたと考えられる。
著者
長岡 紀幸 鈴木 鈴木
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

歯の治療で詰め物やかぶせ物をするとき,これらを歯に接着する前に,予定通りに接合できるかチェックする.この際,これらはだ液や血液で汚染される.一端,汚染されると洗浄しても,ミクロのレベルではきれいにならない,きれいな歯の治療ができるジルコニアと歯を接着するには,接着剤を化学的に反応させることが重要である.しかし,汚染されたジルコニア表面は,接着剤が化学反応し難い.これを解決できる,新しい接着方法を開発した.
著者
甲谷 繁 宮部 豪人 吉岡 英斗 工藤 昭彦
出版者
兵庫医療大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究は、ナノ細孔構造を有する光触媒を創製し、通常の熱反応では起こり得ない新規な化学反応を光で誘起することを目指した。まず、メソポーラス型タンタル酸光触媒(m-Ta2O5)を調製し、二酸化炭素とエタノールから乳酸への一段階合成を試みた。しかし、疎水性の二酸化炭素はm-Ta2O5の親水性ナノ細孔内へ吸着されにくく、反応効率は向上しないという問題点が判明した。そこで、既報に従ってメソポーラスシリカ表面の一部をフッ素化して疎水性を持たせたナノ細孔構造体に酸化チタンを担持した光触媒を作成した。これについてUV照射下でOHラジカル発生能を検討したところ、優れた光触媒能を有することが明らかとなった。
著者
間 久直
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

赤外線レーザーと、フリットとよばれる多孔質の金属薄板を用いて液体クロマトグラフィー(liquid chromatography; LC)と質量分析(mass spectrometry; MS)とをオンラインで接続可能な大気圧イオン源を開発した。レーザーの波長を溶媒の吸収ピークに合わせることで、水や水とアセトニトリルの混合溶液中のペプチドをイオン化させ、MSを行うことができた。さらに、ペプチド混合物のオンラインLC/MSを行うことに成功した。
著者
山本 秀幸 仲嶺 三代美
出版者
琉球大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

ErbB4はシナプス機能に重要な役割を演じている。以前に、我々は、視床下部の神経細胞(GT1-7細胞)を用いて、ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)がErbB4をトランスに活性化することを見いだした。さらに、高濃度のGnRH処理ではErbB4が切断されることを見いだした。今回の検討で、ErbB4の活性化には、Gq/11タンパク質、PKC、PKD、FynおよびPYK2が関与することが明らかになった。これに対し、ErbB4の切断には、PKD、FynおよびPYK2は関与しないことが明らかになった。これらの結果は、二つの反応ではPKCの活性化後の分子機構が異なることを示唆している。
著者
山崎 克之 山本 麻希 山本 寛
出版者
長岡技術科学大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

新潟県粟島におけるオオミズナギドリの営巣地をフィールドとし、環境観測情報ネットワークの研究開発を進めた。データ解析の結果、平成23年度と24年度ではメスの帰巣パターンが異なることから、日本海の海面温度の上昇がトリの生態にあたえる影響を実証できた。また、ZigBeeネットワークのノード間で2msの精度でクロック同期を実現する方式を研究開発し、これを利用して有害鳥の検知撃退システムを開発した。発表論文は電子情報通信学会通信ソサイエティ論文賞を受賞した。本研究は生態学の専門家とのコラボレーションによって実現したものであり、この受賞によって生態学への情報ネットワークの研究が広まることを期待している。