著者
山辺 規子
出版者
奈良女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究では、まずイタリア各地の都市について、実際に都市の称揚につながった都市の公共建造物、城壁、大きな教会(托鉢修道会教会、守護聖人の教会、司教座聖堂)などの景観を確認する。そのうえで、その景観の形成過程を調べ、さらにそれがいかに描かれているかを検討して、イタリア支配者層が持つ空間支配のありかたを示す。第二に、各都市に拠る支配者層が自らの支配権を誇示するために、職人や芸術作品、工芸品などの技術などを共有して、いわば支配者層の文化ネットワーク空間を構成することを検討した。
著者
高橋 智 和田 恵次 堀 道雄 幸田 正典
出版者
奈良女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

左利き遺伝子を持つ卵が左利き遺伝子を持つ精子と受精するのを阻止する不和合性遺伝子を考えた遺伝モデルにより,左利きホモが存在しないということ魚類の飼育交配実験の結果を説明した.捕食者が逆の利きの餌を捕食する交差捕食により左右性の比率が振動するとき,グループ産卵を行う魚でこの不和合性は有利となり進化する.また,ペア産卵を行う魚では不完全な不和合性が進化する.
著者
上坂 充 中川 恵一 片岡 一則 遠藤 真広 西尾 禎治 粟津 邦男
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

医学物理および医学物理士のあり方については、日本医学物理学会、日本医学放射線学会、日本放射線腫瘍学会や厚労省関連の諸委員会にて長年議論されている。代表者らが主な活動の場としている日本原子力学会や日本加速器学会などに加わっている多くの学生、研究者、理工系大学教員が医学物理に興味を持ちその発展に参画したいと考えている。それらの方々が、放射線医療の新科学技術の開発研究を行っている。アメリカではこの40年で5,000人以上の医学物理士が単調増加的に誕生しているが、それには新技術の開発と普及が定常的に行われたことの証でもある。今の日本ではライナックを始め、国産治療装置が撤退し、輸入品に席巻されている。「研究開発型」医学物理士に掛けた思いは、輸入品のメンテナンスのみでなく、欧米のような機器開発を伴った医学物理の学問の創成と人材育成である。その議論の場を円滑に運営するため、日本原子力学会に「研究開発的医学物理」研究特別専門委員会を設立した。議論の対象として以下のテーマを設定した。1.イメージガイドピンポイント照射システム開発(1)X線・電子線(2)イオンビーム(3)中性子(4)レーザー、2.生体シミュレータ開発(1)DDS(Drug Delivery System、薬品送達システム)設計(2)人体線量分布高精度評価(3)薬剤流れの解析(4)治療計画の高度化、3.教育プログラムの充実と人材育成(1)欧米を目指したカリキュラム(2)大学院生の奨学金(3)ポスドク制度(4)留学。ここまで4回委員会(9月4日午前、28日、11月1日、2月28日午前)と2回の研究会(第6,7回化学放射線治療科学研究会、9月5日午後、2月28日午後)を開催し、上記テーマについて深く議論を行った。結果、1については白金が入ってX線吸収と増倍効果のある抗がん剤シスプラチンミセル、金粒子を手術して注入せず注射でがん集中させて動体追跡できる金コロイドPEG、シンチレータとPDT(光線力学療法)剤を一緒に送達してX線PDTを行う、3つのタイプのX線DDSの開発が始まったことが特記事項であった。また陽子線治療しながらPETで照射部が観察できる国立がんセンターの手法も画期的である。2については、粒子法による臓器動体追跡シミュレーションの可能性、CTのダイコムデータ形式からのシミュレーションメッシュデータ生成、地球シミュレータを使ったDDS設計など、日本に優位性のある技術が注目された。放射線医療技術開発普及のビジネス価値の定量分析(リアルオプション法など)も実用化に向けて有用である。教育体制につては、特に北大、阪大、東北大、東大にて整備されつつあった。これら革新的研究テーマと人材育成プログラムを、すでにスタートした粒子線医療人材育成プログラムのあとに用意すべきである。その際国際レジデンシー(研修生)など欧米機関との連携も重要である。アメリカMemorial Sloan Kettering Cancer Centerがその窓口としての可能性が高くなった。本活動は日本原子力学会研究専門委員会としてもう2年継続できることとなった。特定領域研究相当のものを立案してゆきたい。
著者
亀井 克之
出版者
関西大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

毎年,中小企業が,後継者不足を理由に廃業している。老舗企業,同族企業の多くが中小企業である。社会問題化している事業承継問題について,本課題研究では, (1)リスクマネジメント理論の活用と, (2)現地調査に基づく日仏比較研究という,独自の手法によって研究を進め,最終年度における「中小企業の事業承継・日仏シンポジウム」主催を中心とする成果をあげて,事業承継におけるリスク・コミュニケーション(「事業承継にはどのようなリスクがあるのか」「そのリスクにどう対応するのか」に関する共通理解)の重要性を提言した。
著者
井田 靖子
出版者
津田塾大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究では、急速に都市化した近現代イギリスにおける「緑化」をめぐる人びとの思考の変化が、都市の住環境にどのように反映され表象されているかを考えるために、19 世紀から 20世紀初期のイギリスにおける緑の象徴的役割、 (人造植物も含む)観用植物や植物デザインなどを利用した私的空間の緑化と室内装飾との関連、労働者階級のための「合理的余暇」としての緑の働きなど、顕示的消費の対象としての植物のさまざまな役割を解明した。
著者
チャールズ ウィズ
出版者
横浜国立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

仮想現実環境を使った迷路をナビゲートするプログラミング・ロボットは科学的推論を教えるのに有効ではないことが判明した。ロボットがどのように機能したか断定することを参加者に要求するタスクは仮説構成および保証の著しくより高い数値が検出された。ブルームのデジタル分類学は科学的学習の為の評価基準の基礎として使うべきであろう。
著者
橋本 聡子 棚橋 祐輔 山仲 勇二郎
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

身体運動はヒト生物時計の同調因子かどうか、同調因子とすればその機序は何かを明らかにする目的で、時間隔離実験室において睡眠位相を強制的に8時間前進させる脱同調プロトコールを用いて検討した。健常男性成人を対象とし、自転車エルゴメーターによる身体運動を一日の一定時刻に休憩をはさんで2時間のトライアルを2回負荷して、概日時計(中枢時計)の支配を受ける血中メラトニンリズムや深部体温リズムと、末梢時計の支配を受けていると考えられる睡眠覚醒リズムを以下の条件下で同時測定した。その結果、約10ルックスの低照度下では、睡眠覚醒リズムの再同調は身体運動により促進されたが、血中メラトニンリズムは位相後退し、身体運動には影響されなかった。一方、約5,000ルックスの高照度下では、睡眠覚醒リズムは身体運動の有無にかかわらず再同調した。、また血中メラトニンリズムは位相前進したが完全には再同調せず、身体運動は位相前進に影響しなかった。以上の結果から、身体運動は睡眠覚醒リズムに同調促進効果をもつが、その効果は高照度下では隠蔽(マスキング)されることが示された。
著者
倉本 充子 西田 晴美 越智 徹 釣井 千恵 ホーソン ティモシー・フロイド
出版者
広島国際大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

2年にわたり実施したコンピュータによる英文理解力テストを含む数種の調査と面接で得られたデータの質的分析を総合的に比較検討した結果、本研究において開発したタイプBの英文理解力テストは、学習者の英文理解力を予測するテストとして、限られた時間内で実施でき、かつ、十分な説明力があることが示唆された。これをWBT学習支援システムに組み込むことで、授業に参加する異なるレベルの学習者の自律学習習慣の形成を補助することが可能となった。
著者
平野 吉直 小林 祥之 大日方 彩香
出版者
信州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究の目的は、 中1ギャップ対策としての野外教育活動の成果を明らかにすることである。本研究では、野外教育プログラムを企画し、3中学校を対象にプログラムを実施した。また、中1ギャップを乗り越える力を測定する調査用紙を作成し、プログラムの実施前後の調査をとおしてプログラムの成果を分析した。さらに、プログラム直後に実施した生徒へのふりかえりシートの内容と、研究対象校の引率教諭へのインタビュー調査を通して、プログラムの成果を分析した。
著者
菊野 亨 水野 修 水野 修
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

ソフトウェア開発のプロジェクトにおける混乱状態回避を目的として,プロジェクトに関するメトリクスから混乱するかどうかの診断手法を開発した.実際のソフトウェア開発プロジェクトにおいて収集されたメトリクスデータを利用して,その有効性を示した.
著者
守本 晃 芦野 隆一 萬代 武史
出版者
大阪教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

パーティ会場のような,複数の音声やノイズの混じった喧噪な環境でも,我々は会話を楽しめる.つまり,入り混じった音声信号から特定の話者の会話を分離できる.この聴覚の能力をカクテルパーティ効果という.カクテルパーティ効果を工学的に解釈すると,複数個のセンサーで捉えた複数の観測信号から信号源の個数と位置を決定し信号源を再構成する逆問題になる.この逆問題をブラインド信号源分離と呼ぶ.これは自動受け答えロボットなどを開発する際には,「だれがどんな質問をしているのか」を特定するために必要な技術である.従来の研究は,独立成分分析という手法を用いて信号源分離を行ってきた.ブラインド信号源分離問題は,信号源と観測信号の間の数理モデルに対して,空間的混合問題,時間的混合問題,時空間的混合問題の3種類に分類される.本研究課題では,ウェーブレット解析という信号を時間と周波数の情報に分離する方法論を用いて信号源分離問題を取り扱った.空間的混合問題と一番簡単な時空間混合問題に対しては,数値シミュレーションを行い,我々の提案した方法の利点が1.信号源の数が最初に推定できること2.推定した信号源の数を用いて,他のパラメータも高精度に推定できること3.再構成した信号源の誤差が小さいことであることを確認したさらに空間的混合問題の場合に,複数種類のウェーブレット関数を用いることでノイズに対して精度良く分離できることも示した.時空間分離問題の場合には,信号の到着時間の時間差から信号源の位置を推定する方法について考察した.また,解析信号とウェーブレット解析・短時間フーリエ変換の関係についても調査した.
著者
安藤 邦廣
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

1金沢市湯涌の茅場(カリヤスモドキ)と茅葺き技術石川県金沢市湯涌のメガヤと呼ばれるカリヤスモドキの茅場の現地調査を行い、その利用体系を明らかにした。また、標高の高い地域にカリヤスモドキが自生しており、それを利用して近年まで屋根が葺かれていた。これまでカリヤスの類いは、白川郷や五箇山のようなごく限られた山村でのみ使われてきた材料と考えられていたが、北陸や信越の比較的標高の高い地域に広く分布する材料であることが明らかになった。2岐阜県宮川村種蔵集落における茅の利用体系岐阜県宮川村種蔵集落における茅の利用体系について現地調査および聞き取り調査を行った。その結果、この地域では、民家はすべて茅葺きであり、養蚕業の隆盛とともに、屋根裏空間の拡大が見られた。その後、昭和初期に養蚕業から農耕馬の飼育貸し付けに生業が変わると、茅の利用は農耕馬の飼料にむけられ、屋根はクリの木羽葺きに変わった。その際に屋根裏は養蚕の蚕室としての拡大されたときよりもさらに冬期間の飼料の保存場所として拡大され、クリ木羽葺きの三層構造の民家に変遷した。3岐阜県山之村のコウガイ棟岐阜県山之村のコウガイ棟の現地調査および職人への聞き取りを行った。コウガイ棟は、白川郷や五箇山の合掌造りとその下流域から能登半島にかけて分布すると考えられてきたが、岐阜県の山間部全域にその分布が広がっていることが分かった。4能登の炭焼き小屋における逆葺き技術能登に現在もつくられている炭焼き小屋の現地調査と聞き取り、逆葺きの技術体系を明らかにした。5 田麦俣の甲造りの多層民家山形県田麦俣の多層民家の甲造りの茅葺きの現地調査を行い、道具、材料、葺き方の詳細を明らかにした。
著者
村上 悟 神谷 茂保 濱谷 義弘 長渕 裕 田中 敏 示野 信一
出版者
岡山理科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

時間遅れをもつ方程式の典型例である関数微分方程式,積分微分方程式,ボルテラ差分方程式を中心に研究した.関数微分方程式に対する相空間における定数変化法の公式を利用して,摂動項をもつ関数微分方程式の解の漸近挙動を調べた.また,非線形関数微分方程式に対し,いくつかの不変多様体の存在定理を確立した.さらに,積分微分方程式を中心に,方程式の正値性を調べ,正値方程式に対する安定条件をより明確な形で与えた.
著者
大高 明史
出版者
弘前大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

新たな採集によって得られた標本と博物館などに保管されている過去の標本の分類学的検討によって,日本列島に分布する50の淡水湖沼の深底部から,5科にわたる35分類群の水生貧毛類を記録した。貧毛類の群集構造は,湖沼の生物地理学的位置や栄養状態によって大きく異なっており,貧栄養湖では,密度は低いものの多様性の高い群集が見られた。一方,富栄養化の進行に伴って,ミズミミズ科イトミミズ亜科の特定の種群が高密度になって優占する群集に収れんする傾向が指摘された。この点から,深底部の群集構造の変化を追跡することで,また深底部と集水域の群集構造を比較することによって,湖底環境の変化や富栄養化の進行を監視できると考えられる。
著者
平嶋 尚英
出版者
名古屋市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

マスト細胞は炎症性メディエーターを放出して、アレルギー反応において重要な役割を果たしている。このメディエーターの開口放出は細胞内Ca2+濃度上昇によって誘導される。Ca2+流入は主にCRACチャネルを介したストア作動性Ca2+流入である。CRACチャネルのひとつであるOraiには3つのアイソフォームがあるが、我々は、Orai-2が主に分泌顆粒に局在することを見出した。Ora-2をノックダウンすると、細胞内Ca2+ストアからのCa2+放出が抑制され、また脱顆粒も抑制された。マスト細胞では、Orai-2は細胞内Ca2+ストアからのCa2+放出に影響して、脱顆粒を制御している。
著者
藤澤 彰
出版者
芝浦工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

1.京都市東山区の長楽寺・安養寺を中心に近世期と近代の景観を比較し以下の点を明らかにした。(1)東山山麓に立地し、京都市街を一望におさめる景観を十分意識した建築が立てられていた。(2)すぐれた景観のため、古くから和歌・漢詩・連歌などに詠まれることがおおく、文人墨客の集うところであったこれが近世から近代にいたる、この地域の性格を方向づけることになった。(3)近世において、宗教施設としてではなく貸座敷・旅館などの遊興施設として機能した面があった。(4)明治期の神仏分離・廃仏毀釈・上知などにより、存続が危ぶまれたが、安養寺の一部は遊興施設としての性格を前面にだして、日本で最初の外人向け洋風ホテルに変貌した。(5)上知された境内は、京都初の近代的公園、円山公園に変貌をとげた。円山公園の発足に関しては、近世期の長楽寺・安養寺の遊興施設的側面がもたらしたこの地域の性格が大きく関与している。2.京都府城陽市内の神社の景観を調査し、以下の点を明らかにした。(1)城陽市内には常楽寺(荒見神社)・若王寺(久世神社)・薬師院(天満宮社)・神福寺(賀茂神社)などの宮寺があったが、明治の神仏分離・廃仏毀釈によって廃絶した。(2)荒見神社は近世期においては、常楽寺境内にまつられる天神社(天満宮)であり、明治になって常楽寺を廃し、仏教建築を撤去して、神社建築中心に境内を再構成し、社名も荒見神社と改称した。
著者
池村 淑道 阿部 貴志
出版者
長浜バイオ大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

インフルエンザウイルスは人獣共通感染症ウイルスであり、トリ由来株のヒトでの大流行が危惧されている。このウイルスの全ゲノム配列を対象に、連続塩基組成のBLSOM解析を行い、この組成が宿主ごとに明確に異なることを見出した。直接にトリから、あるいはブタを経由してヒト集団へ侵入した株に注目すると、ヒトでの流行を繰り返す過程で、連続塩基組成が方向性のある変化をしていた。この知見を基に、トリ由来株のヒト集団での流行のリスク評価法を開発し、全トリ由来株についての危険株の予測を行った。昨年から西アフリカで流行しているエボラウイルスについても、週単位で観察出来る、方向性のある連続塩基組成の変化を見出した。
著者
松野 浩之 石崎 明
出版者
同志社女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

未分化間葉系細胞は、再生医療に置いて多種多様な可能性を秘めている。分化誘導を制御する因子は、PPARγなど見いだされているが細胞間隙を構築する因子について明確な関わりを示したものはない。本研究では、細胞間隙(Collagen, Vitronectinなど)やタンパク質を溶解する因子として生体内の恒常的に発現しているPlasminogenに注目し研究計画を立案した。その結果、本研究機関にいくつかの点か解明された。1:細胞レベルでの線溶系因子の関与病態における線溶系因子の活性化は、細胞表面にアンカーされている生理活性物質を瞬時に切り離すことで生理学的、生化学的反応を遂行することが見いだされた。2:サイトカインの制御機構の可能性分化誘導・増殖という過程においてサイトカインは重要な機構を担っている。TGF-β、TNF-α、VEGFなどの急激な反応について細胞表面からの切り出しに関与している事が見いだされた。3:α2-antiplasminの機能線溶系の中心であるplasminは、生体内で特的阻害因子であるα2-antiplasminによって瞬時に非活性化される。遺伝的にα2-antiplasminの欠損状態を形成したマウスでは、これらの作用が消失しサイトカインなどの誘導が増幅される事が確認された。4:uPARの特異性本研究期間において、最終的に結論に至らなかった大きなテーマにuPARが挙げられる。脂肪細胞の分化誘導に深く関与し、その生理学的特異性が注目される。すなわち、可溶性受容体であり細胞膜アンカー型で膜貫通生を持たずplasminによって切り離された部分はリガンドとして機能する可能性を示している。これらについて継続的な研究が、19年度の文部省科学研究費基盤研究C(脂肪細胞の分化・誘導における線溶系因子の機能解明と治療戦略的ストラテジーの確立)として承認された。本研究成果を元に、さらに発展していくものと考えられる。
著者
山下 博司
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

本研究の期間内に、タミル・ヒンドゥー教の聖徒列伝『ティルットンダル・プラーナム』(通称『ペリヤ・プラーナム』)の核心部分(重要聖者にまつわる中心的説話等)に対し批判的な日本語訳を施し、翻訳出版の基礎を整えた。さらに、上記作業に関わる副産物として、専門研究者向けの英語による共著 A Concise History of South India: Issues and Interpretations(Delhi: Oxford University Press, 2014)、及び一般向けの単著『古代インドの思想-自然・文明・宗教-』(ちくま新書、2014年)等も執筆・公刊し、成果を広く発信し得た。
著者
鞍谷 文保
出版者
福井大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究では,スポット溶接位置のばらつきの影響を受けにくい振動特性を有する溶接構造を構築するための溶接位置について検討する.最初に,有限要素解析に適したスポット溶接部の有限要素モデルを明らかにし,その特性に影響を及ぼす溶接部鋼板の適切な要素分割指針を示す.次に,溶接位置のばらつきが溶接構造の振動特性に及ぼす影響を明らかにし,それを基に振動特性の変動の小さい溶接構造を構築するための溶接位置指針を示す.