著者
福田 靖子 新井 映子 熊澤 茂則 内田 浩二
出版者
静岡大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

環境汚染中の有害物質であり,タバコの煙,自動車の排気ガスに含まれるアクロレイン(CH_2=CHCHO)等低分子不飽和アルデヒド類はフライ時に油の分解により生じる可能性が高い.大量調理における長時間におよぶフライ操作時には「油酔い」と言われている一過性のむかつき症状を経験するが,この要因物質としてアクロレイン等の反応性の高いアルデヒド類が推測される.内田らは生体内脂質過酸化過程で生じるアクロレイン等が生体タンパク質と結合し,細胞等に傷害をもたらすことを特異性の高いELISA法を用いて明らかにしている.フライ時の「油酔い」症状も生体傷害の一つと推測され,ELISA法によりアクロレイン生成量を検討した.H11年度は油加熱時に発生するアクロレインの捕集法を検討した.アクロレインは沸点が53℃で容易に気化すること,水に易溶(20g/100ml,20℃)であることから,油相のみならず気相中のアクロレインを捕集するため,加熱後の油を共栓ガラス器具およびシリコンチュウブを用いて,密閉系とし,水中に導き,BSA付加体とした.油の種類によるアクロレイン生成量の比較等を行ったところ油によりアクロレイン生成量に差があり,焙煎種子油が未焙煎種子油に比べてその生成を抑制していた.焙煎種子油のアクロレイン生成抑制要因を焙煎ゴマ油を用いて調べ,新たにセサミノールを同定し,このセサミノールが種子焙煎時にセサミノール配糖体から生成することが示唆された.生体内タンパク質のモデルとして脂質消化酵素(リパーゼ)を選び,アクロレイン添加によるリパーゼ活性阻害で調べ,顕著なリパーゼ活性の低下を認めた.酵素タンパク質がアクロレインにより修飾されたものと推定された.大量調理時の油の酸化防止剤(アクロレイン生成抑制剤)として,天然素材である竹炭が有用であることを竹の炭化温度との関係から明らかにした.
著者
中村 昭二 永原 邦茂
出版者
愛知学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

国際頭痛学会分類では,咬合異常が頭痛の発症因子である記載は見られない.しかし,咬合治療により頭痛が改善することは少なくない.そこで不正咬合と頭痛の関連について,歯科治療を目的として来院した患者の協力を得て調査を行った.前後的に正常被蓋,上顎前突,下顎前突の3タイプに分類し,同様に上下的に正常被蓋,過蓋咬合,開咬に分類した.頭痛の診断は国際頭痛学会分類(IHS)に従って神経内科医が行った.過去1年以内の頭痛経験者を頭痛ありとした.結果:1.調査対象者1401名の49.2%に頭痛が見られ,そのうち,片頭痛単独が30.2%,緊張型頭痛単独が27.6%,両者の混合性頭痛が36.6%,その他の頭痛が5.6%であった.2.(1)前後的不正咬合の分類;各不正咬合別頭痛発症率は,下顎前突が65.3%,上顎前突が57.5%,正常被蓋が45.1%の順であった.また正常被蓋と下顎前突は片頭痛が緊張型より多くみられ,上顎前突では逆であった.特に正常被蓋と上顎前突に差(P<0.001)がみられ,正常被蓋では偏頭痛が,上顎前突では緊張型頭痛が多く見られた.(2)上下的不正咬合の分類;各不正咬合別頭痛発症率は,開咬が73.9%,過蓋咬合が58.1%,正常被蓋が43.7%の順であった.また,正常被蓋と開咬では片頭痛が緊張型より多くみられ,過蓋咬合では逆であった.その有意差検定でも正常被蓋と過蓋咬合,過蓋咬合と開咬に差(P<0.001)がみられ同様の所見がみられた.総括:頭痛の病態に対する詳細はまだ知られていないが,今回の研究から不正咬合の分類と頭痛のタイプに関連があり,いわゆる「咬合関連性頭痛」があることが窺えた.今後の研究:さらに頭痛と病的咬合因子との関連性を求め,歯科的治療法を確立していく予定である.
著者
福嶋 祐介 犬飼 直之
出版者
長岡技術科学大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

粉雪雪崩の流動機構と発生機構が同じ固気混相流である吹雪の流動と密接に関連していると考え、一連の研究を推進した。モデルとして、これまで保存性サーマルや定常の泥水流で実績のあるk-ε乱流モデルを用いた。偏微分方程式の離散化と数値解法にはSIMPLE法を用いた。まず、吹雪の解析では拡散方程式の解法で不可欠な底面での境界条件について考察した。その結果勾配型あるいはフラックス型で与えられる境界条件として雪の連行係数を用いる方法がもっとも合理的であることを示した。これを南極みずほ基地で観測された吹雪データと比較し、風速分布、飛雪流量の分布に対して合理的な結果を与えることを明らかにした。また、現地観測結果と数値解析を組み合わせるで雪粒子の密度と雪の連行係数が算定できることを示した。雪崩については、傾斜面上のサーマルの流動と酷似していることから、保存性傾斜サーマルの解析を基礎として、上流部で塩水サーマルとして発生した流れが斜面上の固体粒子を巻き上げ、さらに自ら加速する"Ignition Condition"が現れる泥水流に置き換えて数値解析を行った。この結果、底面上の固体粒子の直径がある程度小さいとIgnition Conditionを満たし、流下方向に加速する現象があることを初めて見出した。このようにサーマルが加速する場合には、塩分濃度の等濃度線の時間変化は保存性の場合とかなり異なり、斜面方向に平坦な形状を示すことが明らかになった。一方、土砂の等濃度線の形状は塩分濃度の等濃度線とはその形状がまったく異なり、プルームの先端部の形状に近いことを明らかにした。さらに、固体粒子を浮遊する流れの相似則についてさまざまな議論があることから、傾斜サーマルについて、保存性と非保存性の二つの場合についてスケールを100倍に替えた数値解析をおない、サーマルの流動に及ぼすスケールの効果について議論した。その結果、保存性傾斜サーマルでは適切な無地元化を行うとスケールにかかわらず相似な流動となることを実証した。一方、非保存性の場合には、スケールが異なると流動特性に顕著な違いが現れることを確認した。したがって、吹雪や雪崩の流動特性を明らかにするためには、現地規模の数値解析を行うことがもっとも有効であることが示されたといえる。またスケールが異なった場合の底面での条件については十分な検討がなされていないことから、この条件を明確にすることの重要性を明らかにした。
著者
吉田 成孝 板東 良雄 村上 公一
出版者
旭川医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

KLK6はオリゴデンドロサイトに発現するプロテアーゼであるが、そのオリゴデンドロサイト成熟への関与は不明であった。KLK6ノックアウト(KLK6-KO)マウスの解析により、脊髄でのオリゴデンドロサイト発達の一時的な遅延が見られた。KLK6-KOでは脊髄損傷後のミエリン塩基性タンパク質の発現も少なかった。これらの結果から、KLK6はオリゴデンドロサイトの発達に一定の関与をしていることが明らかとなった。
著者
志々田 文明
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

竹下勇日記及び「乾」の巻解読によって以下の事実が明らかになった。1)植芝盛平が1926、1927年頃において指導した武術名は大東流柔術であった。以後1928年に相生流合気柔術、1929年に合気武術、1933年頃には合気武道へと変遷した。2)1930年頃から柔道、剣道、唐手等の著名な武術家の竹下勇訪問があり、植芝の武術への他武術の影響が示唆された。3)1635手の技術があり66の格闘形態が想定されていた。その七割強が相手に組み付かれた状態、組みつこうとしたときが想定されていた。4)植芝の武術はかなり実戦・実用的なものと理解された。
著者
竹越 美奈子
出版者
愛知東邦大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究の目的は、19世紀の西洋人資料、20世紀前半の日本資料、20世紀後半の香港資料を用いて、近代粤語を通時的に研究することである。その結果、19世紀粤語は口語の中に複数の文体が存在していたことがわかった。これは現在でも漢語(ここでは広く方言も含んだ意味での中国語を指す)に特徴的な現象であり、先行研究では、明清時代の口語にも書面語に近い優雅なスタイルと地方の方言をそのまま話す粗野なスタイル(場合によってはさらに両者の中間的なスタイル)が存在していたと報告されている。 本研究により、19世紀の広東でも口語の中にいくつかのスタイルがあり、同じ人が場に応じて使い分けていたということがわかった。
著者
甲賀 かをり
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

妊娠高血圧症候群の病因として、胎盤の形成不全と、それによって胎盤から母体血流へ分泌されるsFlt1などの血管新生抑制因子の関連が知られている。今回の研究により①血栓形成などの際に生成するトロンビンが血管新生抑制因子であるsFlt1の胎盤での産生を刺激すること、②血管新生抑制因子であるsFlt1および血管新生因子であるPlacental growth factor (PlGF)の血中濃度を測定することにより、本症の予知が可能であること、が明らかになった。
著者
近藤 文代
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

本研究の目的は重大事件ニュースがPOSデータに表れる消費者の行動に与える影響を測定することである。消費者の行動の記録を重大事件に関連した商品の売り上げと捉え、それと報道との関係についてPOSデータを使用してARIMAモデルによる干渉分析を行い、統計的に有意なBSE問題のニュースの影響を確認することができた。さらに、地域差をモデル化するために、階層ベイズ手法によるBayesian Sampling-based ARMA モデルを構築し、モデル間でのPOSデータ分析の比較を行った。
著者
比嘉 邦彦
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

分散環境下でのグループ学習を支援するためのツールであるGroup Memory Support System (GMSS)の活用よる効果的支援方法を調査・提案し、その有効性を検証することを目的として実施し、次のような検証結果を得た:①GMSSログをソーシャルプレゼンスの代理指標として検証した結果、GMSSの機能と代理指標との間には十分な相関が見られなかったが、代理指標と学習移転には中程度の相関が見られた。②GMSSの活用度合と学習に対する満足度の間に相関関係が確認された。③新たに提案した「参加型ファシリテーター」の存在が、発言数や発言階層などから見て議論を活性化させることが確認された。
著者
岸本 寛史 斎藤 清二
出版者
富山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

本研究の目的は次の4点である。(1)バウムテストの創始者であるKarl Kochの基本姿勢をドイツ語原著に基づいて明らかにする。(2)『英訳版』とその本訳である『邦訳版』の問題点を明らかにする。(3)我が国へのバウムテストの導入過程を検討する。(4)バウムテストを臨床的に発展させるために事例研究のスタイルについて検討する。結果の概要は次の通りである。(1)コッホはバウムテストを心理診断の補助手段として位置づけようとしていたが、意味論的分析をという手法を用いて、コッホが意図していた「心理診断」を明らかにした。その結果、コッホは判別診断を最終目標としていたのではなく、それも組み込んだ形での総合診断、バウムと描き手とを重ねる形での見立てを目指していたことが明確になった。(2)コッホが示している事例解釈の部分を、ドイツ語原著、英訳版、邦訳版を対比させながら翻訳の問題点を明らかにした。コッホはバウムのイメージを持ち続ける中で開けてくる直感を大切にする、優れた描写はそのまま解釈になる、バウムのイメージを各種の指標を使いながら外からみると同時に、イメージの中に入り込んで内側から見る、被験者への責任感、といった基本姿勢が理解されていないために、邦訳版ではそこで示されている解釈が読者には理解できないものになってしまったと思われた。(3)バウムテストの導入過程については、文献的検討により、邦訳者はコッホの原著の中でも主として発達診断的側面と空間象徴に基づく解釈仮説を盛んに紹介していたが、上記のようなコッホの基本姿勢が紹介されないため、これらの指標や仮説が一人歩きしていることが懸念された。(4)臨床的発展のためにバウムテストの事例研究を行うことが不可欠であるが、そのスタイルについては、従来の全経過を検討するようなスタイルだけでなく、ワンセッションにフォーカスを当てた事例研究が必要だと思われた。
著者
一宮 慎吾 氷見 徹夫 佐藤 昇志
出版者
札幌医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

濾胞ヘルパーT細胞(Tfh細胞)は高親和性抗体の産生に重要で、また可塑性を示す一方、ヒトTfh細胞の機能制御機構や疾患との関連については未だ不明な点が多い。本研究では臨床検体を用いてヒトTfh細胞の医学的意義や機能制御機構を探ることを目的とした。研究の結果、Tfh細胞は閉塞性睡眠時無呼吸症候群の原因である肥大扁桃に多く含まれ、またアレルギー性鼻炎や気管支喘息患者の末梢血液中のTfh細胞サブセットの構成比が健常人と比較して異なっていた。不均衡な分化を示すTfhシフトあるいはTfh2シフトに、ALOX5関連脂質メディエーターやPOU2AF1転写制御因子が関係している可能性が見出された。
著者
加藤 幹郎 田代 真
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

21世紀の日常生活は、ヴァーチュアル・リアリティ化され、それがインタラクティヴィティと呼ばれる、主体と客体との間の「柔らかい」相互干渉性である。この環境は、人間の身体/精神になんらかの回復不可能な傷痕を残し、新たな身体/精神機制を構築することになる。そこではデカルト的二元論によって規定されてきた近代心身二元論がきわめて希薄化される。
著者
赤間 啓之 仁科 喜久子 清水 由美子 三宅 真紀
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

グラフ理論に新しい計算手法を導入し、1)文献資源のトピックスを対象としたオントロジーの半自動生成と2)日英の双方に関し、連想概念情報検索システム-連想作文支援システムの開発(教育・学習資源の構築)に同時に適用する試み、3)日英双方の辞書資源(学研国語大辞典、WordNet)の意味ネットワークを介したシソーラスの自動生成や、4)様々な文献資源、特にフランス語の思想書(カバニス、メスメル)、小説(サンティグチュペリ)のトピックスの潜在的な意味分析を行った。特にグラフクラスタリング技術であるMCLを改良し、その結果をRMCLnet(グラフクラスタリング表示検索システム)、ACSS(連想作文等創造的発想支援システム)という、Web情報検索システムの形で公開した。また、国語辞典の意味ネットワーク形成にも応用すべく、形態素解析の後の人手によるチェック、特にひらがなに開かれた同音異義語の選定作業を行った。これらの成果は、国内外の学会(LREC2006, ICALT2006、 PACLIC21、 PACLNG-2007、 ED-MEIDIA2007など)で発表されている。RMCLは、収束段階で非連結になったMCLのクラスター結果を再入力し、クラスタリングの計算段階で過去に記録された隣接関係を復元して、それをもとに潜在的な隣接関係を復元したうえで、MCLを反復しておこなうものである。また、ハブ語のまわりにサイズの大きすぎるコアクラスターが生成したり、1クラスター1語というシングルトン・クラスターが生成したりする場合に、事後的にサイズ調整を行なうため、潜在隣接の概念を導入し、それをもとにしたBMCL(潜在隣接クラスタリング)という方法を編み出した。
著者
菊田 健作 木庭 淳
出版者
兵庫県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

有限グラフ上の探索問題において、探索者の初期位置が特定されていない場合の数理的解析を行い最適戦略やゲームの値を求めた。また、同じグラフ上の複数の探索問題を総合的に考えて、協力ゲームのコアを応用する事により、統合による探索費用の節約額の再分配を考えた。費用が非加法的であるような探索問題の解析を新しく始めた。一方、分散システムにおける故障発見への応用をもつ偵察問題を輸送船とテロリストの間の多段階2人ゼロ和ゲームとして定式化した.輸送船は偵察ボートを備えていて機雷を発見・除去できるが,費用が小さくなるように偵察ボートを出す時期を決定する.テロリストの機雷の仕掛け方を二通り想定しそれぞれを考察した。
著者
西島 博樹 山口 夕妃子 岩永 忠康 柳 純
出版者
長崎県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

東アジア地域における小売行動と小売構造の動態分析を実施した。グローバリゼーションにおける小売行動の実態調査として、東アジア地域に進出している日系小売企業にインタビュー調査を実施した。また、消費者行動の変化を調査する目的で中国地方都市の商店街において現地消費者を対象としたアンケート調査を実施した。国際化という大きな波は東アジア地域の小売行動に大きな影響を及ぼしているが、同時に、地域の独自性への対応もまた必要であることが明らかとなった。
著者
本村 昌文 渡辺 道代 和田 有希子
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

介護と看取りの現場と近世日本思想史研究の接点を構築し、現代日本社会に生じている介護と看取りの諸問題の解決に資する死生観の解明を行った。本研究では、17世紀日本の死生観と介護・看取りの現場とのつながりを検討し、伝統的な死生観のもつプラス面とマイナス面を明らかにした。またこうした作業を通して、伝統的な死生観をもとにして、介護と看取りを支える精神的基盤を再構築していく端緒を得ることができた。
著者
鮎川 潤
出版者
金城学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

日本に存在する未成年のためのすべての更生保護施設をそれぞれ複数回にわたったて訪問し、施設長をはじめとする職員への聞き取り調査を行い、アメリカ合衆国の施設について調べるとともに、スウェーデンにおけるわが国の更生保護施設に該当する施設を訪問し、関係職員へのインタビューを行った。その過程で発見されたのは、わが国において少年犯罪が社会的注目を集めている現状から考えるとまったく予期に反することであるが、過剰収容といっても過言ではない少年院とは対照的に、更生保護施設は収容少年の不足に悩まされている実情であった。特に女子少年の施設では深刻である。これらのなかには、近年において経営の観点が重視され定員の充足が課題となるなかで、成人が収容されるようになった施設もあり、現在大きな岐路に立っていることが詳らかになった。非行少年の処遇においてしばしば福祉的アプローチとして注目されてきたスウェーデンにおいて、わが国の少年のための更生保護施設に該当する施設は、男女の混合施設でより開放性が高いことが異なる。移民の子女が多いのも特徴の一つであり、国際化の進むわが国でも将来対応を迫られる問題となる可能性がある。ただし、スウェーデンにおいては矯正施設との連携はかならずしも良好とはいえず、夜間、休日の体勢は脆弱といわざるをえない面を持っている。少年のための更生保護施設が有効に活用され、成果を生み出していくためには、現在SSTなどのプログラムに意欲的な取り組みが行われているが、さらなるプログラムの工夫、少年の保護観察のありかたの再考、さらに家庭裁判所における補導委託先としての利用などが今後の課題と考えられることが判明した。
著者
河村 美穂
出版者
埼玉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

調理技能の習得を中核とした食生活カリキュラム開発のための要件を、カリキュラムの構成要素であるシークエンス(Sequence)とコンテンツ(Contents)に分けて示すことができた。必ずしも調理技能の難易度によるのではなく、子どもの生活実態を考慮して配列すること(Sequence)、概念的知識、手続き的知識の両方を、調理を見合い、学びあう内容とすること(Contents)が重要である。
著者
韓 太舜 岩本 貢
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究では、情報理論的諸問題へ適用されて成功をおさめている情報スペクトル的方法を大偏差問題に適用してその理論体系を再構築した。
著者
三宅 吉博 田中 景子 清原 千香子 佐々木 敏
出版者
福岡大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

九州沖縄母子保健研究のデータを活用し、アレルギー疾患のリスク要因及び予防要因を解明した。特に、遺伝的要因と環境要因との交互作用について検討した。9編の英文原著論文が国際学術誌により受理された。