著者
葛原 隆
出版者
徳島文理大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

フラーレン派生化合物群にインフルエンザエンドヌクレアーゼ阻害活性と抗インフルエンザ活性があることを見いだした。また葛根湯、麻黄湯、柴胡桂枝湯、桂枝湯、小柴胡湯、及び麻黄附子細辛湯の漢方薬エキスがPAエンドヌクレアーゼ活性を阻害した。竹如温胆湯には阻害活性は見いだされなかった。フラーレン派生化合物群や漢方薬がPAサブユニットのエンドヌクレアーゼ活性を阻害することを見いだしたのは本研究が世界で初めてである。さらに天然型バクチオールは、インフルエンザウイルス感染阻害効果を有することを示した。天然型バクチオール処理により細胞内酸化ストレス応答の遺伝子発現が上昇することも解明した。
著者
中野 泰 足立 泰紀 林 圭史 渡瀬 綾乃 辻本 侑生
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

1.民俗学者桜田勝徳の調査研究資料の目録を作成し、このアーカイブが、柳田国男の薫陶を受け、民俗学を実践し始めた以降の資料が中心であることを明らかにした。2.桜田のフィールドノートの検討から、その記載形式に一貫性(右面に記載し、左面を補助的に利用)とともに変化(日次、立て横書き等)があること、彼のフィールドワークには2つのスタイルがあること、フィールドノートとフィールドワークの変化は、共に1940年代に認められることが分かった。3.GHQ下の社会調査において、桜田がGHQの改革案を指示する立場で働き掛けていた事実を明らかにし、このようなフィールドワークに関わる実践の民俗学的な意義を明らかにした。
著者
松本 裕子 小林 友彦 坂田 雅夫 遠井 朗子 落合 研一 桐山 孝信 上村 英明
出版者
中京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

人権法以外の国際法の文脈(国際環境法・国際開発法・国際経済法)でも、先住民族が影響を受ける国際規範の定立にその参加が認められる場合があり、程度の差はあるものの、規範の実施にその権利尊重の必要性が認識されつつある。ただし、国家中心的な国際法が構造転換したといえるかについては、現状ではそれを肯定するに十分な実行の積み重ねはない。国際法上の先住民族の権利の日本国内への影響については、国連宣言採択を受けて、国及び一部の地方自治体による公文書等への一定の反映や政策決定の正当性の根拠とする動きはある。ただし、国連宣言の採択が国及び地方自治体の既存の政策の根本的変更を招くような状況は存在していない。
著者
正田 備也
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

この研究は規模の大きなデータの要約を目指しています。主に扱うのは文字で書かれたデータ、つまりテキストデータです。ニュース記事、学術論文、小説などがこれにあたります。テキストデータも量が多くなってくると、ひとつひとつ人間が目を通すわけにいかなくなります。そこで要約を作ります。この研究が作る要約は単語リストです。例えば「試合、ヒット、ピッチャー、トレード」という単語リストを見ると、私たちはこれが野球というトピックを表していると分かります。このような単語リストを膨大なテキストデータから自動的にいくつも取り出し、文章をひとつひとつ読まなくても何が書いてあるか分かるようにするのが、この研究の目的です。
著者
藤澤 和子
出版者
大和大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究の目的は、公共図書館において知的障害者の図書館利用や読書支援を進めるための合理的配慮のあり方について、公共図書館で実証的に検証し、具体的内容と方法を明らかにすることである。本研究の2年目にあたる平成29年度は、スウェーデンの公共図書館等で取り組まれている知的障害者への読書支援サービスについての先行事例を収集した。さらに、28年度に調査した図書館利用についての当事者のニーズ調査をもとに検討した合理的配慮の事項を協力図書館4館において検証を進めながら実践した。①図書館利用のためのわかりやすい配慮については、知的障害のある利用者が声が出たり落ち着けないときや代読に利用できる個室の設置、ピクトグラムによる配架表示、わかりやすい利用案内の制作、図書館に来館する知的障害者に対する一般利用者の理解を促すためのポスター制作を行っている。②わかりやすい図書や視聴覚メディア資料については、LLブック等を収集したわかりやすい図書コーナーを設置して、利用状況の調査等を実施した。コーナーの設置によりLLブック等の貸し出し件数の増加が示され、コーナーの効果が明らかになった。③職員によるわかりやすい対応やサービスについては、読書サポート講座を実施して参加者へのアンケート調査を行った。講座は、図書館、福祉施設や事業所、学校、一般市民を対象に、知的障害者の読書支援のための基礎的知識と代読や読み聞かせの技能を学ぶ内容で、大阪と奈良の3館、東京1館で開催し、1館につき6講座を設けた。講座を受講して知的障害者への読書支援についての関心が深まったという参加者の回答が99%に及び、講座の必要性が明らかになった。知的障害者に図書館見学と読み聞かせ等のサービスを行う図書館体験ツアーを実施し、当事者から好評を得た。
著者
山崎 大輔
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

Mg2+輸送体CNNM4はMg2+を細胞の内側から外側へと排出することで細胞内Mg2+の恒常性を維持しており、Cnnm4遺伝子を欠損した細胞では細胞内のMg2+量が増加する。マウスモデルを用いた解析から、Cnnm4遺伝子の欠損が大腸での発がんや腸管に形成される腫瘍の悪性化を促進することが明らかとなり、CNNM4は細胞内Mg2+量の恒常性を維持することで腸での発がんやがんの悪性化を抑制していることが示唆される。
著者
犬塚 正智
出版者
創価大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本年度研究テーマは,「日韓台韓の半導体企業の特許がイノベーションの創出についてどのような関係があるのか」であった。昨年と同様な方法で,資料収集とデータ分析(米国ボストンのハーバード大学での研究者との交流会,研究会や個人的なコンタクト)を通して多くの知識を得ることができた。具体的な活動として①米国への研究会,研究セッション,TC2800CustomerPartnershipなどにに参加した。2017年8月にボストンとニューヨークでセッションに参加。USPTO主催の国際シンポジウム,ハーバード大学研究者との個別のやり取り,NBER(米国経済研究所)からの経済,特許データの収集を行った。数社ベンチャー企業の経営者との面談や大学研究会では,特許がスタートアップ資金として活用されている仕組みやその実績などについて多くの知見を積むことができた。Boston Univ.,Harvard Univ.,Northwestern Univ.などの知的財産に関する講義資料やデータを入手したことは,日本の半導体研究開発や応用技術に活用できる可能性がある。②日本での調査研究は,日本半導体装置協会を約5カ月おきに訪問,最新の半導体,半導体装置に関するデータと情報,さらにトップとの懇談,インタビューを行った。特に会員様企業役員,開発者とのインタビューは貴重な資料作成となった。イノベーションに関するデータの裏図けについて,現場と分析結果から理論化を進めるうえで大変に役に立った。③企業再生に関する活動として,JETROや日本台湾協会から論文,資料などから関連データを収集することができた。また,これまでの資料やデータをもとに,2017年11月に『半導体企業の組織構造,知財戦略および競争力』同文館出版,という単著に纏めて発刊することができた。今後は資料,データをもとに理論的な考察と仮説-検証のモデル化を進める。今後の計画として,半導体企業へのインタビューとデータ収集・分析を引き続き実施する。
著者
堀口 淳 宮岡 剛 岡崎 四方 安田 英彰 和氣 玲 新野 秀人 宇谷 悦子
出版者
島根大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

研究期間の入院患者総数は132人のうちDSM-IVに基づく診断基準で統合失調症と診断された27人、うち入院加療中にアカシジアが発現した患者は4人である。研究期間の統合失調症患者総数55人(平均年齢37歳)のうちアカシジアの発現した患者総数は11人でアカシジアの発現率は20. 0%である。アカシジアが改善しなかった患者3人に抑肝散(7. 5g/日、分3食前)を投与したが、3例ともアカシジアは改善しなかった。終夜睡眠ポリグラフ検査実施例は24例(13歳~75歳、平均年齢36. 7歳±11. 7歳)であり、うちビデオカメラ撮影可能であったのは3例である。従って抽出できた「覚醒時」ミオクローヌス患者は3例のみである。当初の計画及び目的に対する達成度は遅れてしまった理由として、研究期間前に全ての対象患者が多種類の抗精神病薬で既に治療開始されていた症例であったためアカシジアの発現率と「覚醒時ミオクローヌス」の有症率とを単純には比較できなかったことによる。
著者
近藤 悠介 中野 美知子 吉田 諭史 石井 雄隆
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究では発話能力の育成に焦点を当てた大規模な英語教育プログラムにおける自動採点システム導入の可能性を検討した。導入を検討したプログラムは、発話能力の育成に焦点を当てたプログラムであり、学習の対象となる表現が適切に使用できるかどうかを判定するタスクを作成し、このタスクにおける発話を英語教員が採点し、この点数を予測する発話自動採点システムを開発した。システムの予測精度を検証したところ、教師による点数との一致どは74%であった。本研究で提案した枠組みを用いてクラス分け試験および到達度試験を自動採点システムによって行うことができる可能性は高いと判断した。
著者
遠藤 由香 庄司 知隆 福土 審
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

過敏性腸症候群(IBS)は代表的な思春期心身症である。成人IBSでは幼児期の虐待などのトラウマが発症リスクの一つと報告されているが、思春期IBSでは発症要因の解明は不十分である。そこで本調査では宮城県内の中学校で疫学調査を施行し、東日本大震災のトラウマ的体験がIBS発症率を増加させ、その影響は年余におよぶという仮説を検証する。疫学調査を施行すべく県教育委員会や養護教諭会に調査協力を依頼したが、教育現場では未だ混乱が続いており、協力を得がたい状況であった。そこで海外の疫学調査専門家と討議を重ね、調査法の変更や規模の縮小をして再度協力を依頼したが、最終的に調査を断念せざるを得なかった。
著者
堀畑 正臣
出版者
熊本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

室町後期の古記録〔言継卿記〔トキツグキャウキ〕(記録期間1527~76)、兼見卿記〔カネミキャウキ〕(1570~1610)、上井覚兼日記〔ウワイカクケンニッキ〕 (1574-86) 、言経卿記〔トキツネキャウキ〕(1576~1608)〕の記録語・記録語法を調査し、1)中世古記録・古文書への宋代以降の中国口語の影響として「得境〔トクキャウ〕」と「生涯〔シャウガイ〕」の論考をまとめ、2)『上井覚兼日記』の「被賜・被給(タマハレル)」を考究し、3)「生涯(シャウガイ)」の意味変遷と構文の関係を考察、4)研究成果報告書を作成し、5)記録語・記録語法を収集し今後の研究に利用できるようにした。
著者
杉本 健
出版者
浜松医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

炎症性腸疾患において粘膜のバリア機構はその病勢に大きく関与する。我々は、過去に腸管バリア機構を増強すると報告されてきた腸管アルカリフォスファターゼ(IAP)に着目した。遺伝子操作により IAP をマウスの腸管粘膜局所で増減させる実験系の確立を探索した。炎症性腸疾患のモデルマウスとしては、過去の報告では安定した病気の作成が困難とされたクローン病類似モデルであるマウス TNBS 腸炎を腹腔麻酔の代りに吸入麻酔を使用することにより安定したモデルにすることに成功した。これらの系を用いて、今後 IAP の粘膜防御におけるメカニズムをさらに検討していく予定である。
著者
古市 保志 加藤 幸紀 中塚 侑子
出版者
北海道医療大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

ナタマメはマメ科の植物であり、古くから膿とり豆として知られ、漢方薬として使用されてきた。本研究では、In vitro におけるナタマメ抽出物(SBE)の抗炎症作用、マウス実験的歯周炎に対するSBEの効果、マウス実験的歯周炎とマウス実験的RAの関連性、実験的歯周炎・RA併発マウスに対するSBEの効果、に関する検討を行った。その結果、SBEの飲用によって歯槽骨の吸収が抑制されたこと、また歯周炎と関節リウマチの併発動物実験モデルにおいて関節炎の進展と歯槽骨の吸収が抑制されたことが明らかにされた。SBEが炎症性サイトカインの産生を抑制し歯周炎や関節リウマチの発現・進行を抑制する可能性が示唆された。
著者
西尾 信博 中沢 洋三
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

新たながん治療法として、キメラ抗原受容体(CAR)を用いた遺伝子改変T細胞療法(CAR-T療法)は有望であり、各種がんへの応用が期待されている。本研究では、骨肉腫の表面に高発現する抗原に対する新規キメラ抗原受容体遺伝子改変T細胞を作成するためのpiggyBacトランスポゾンベクターと、piggyBacトランスポゾン法を用いて高い導入効率を可能とする培養方法を開発した。本研究で開発したベクターと培養法を用いて作成した新規CAR-T細胞は、ヒト骨肉腫細胞に対して強力な細胞傷害性を発揮した。本研究により、骨肉腫に対する新規免疫療法の基盤データを得ることができた。
著者
加藤 かおり 沖 裕貴 杉原 真晃 勝野 喜以子
出版者
国立教育政策研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究は、ビグス(John Biggs)によって提唱された教授学習理論である「教育構成の整合(Constructive Alignmentの仮訳)」の理論に焦点をあて、①その理論の大学教授学/大学教育開発上の意義に関する理論研究、②同理論を踏まえた学習成果基盤型の大学教育の実効化を促すFDプログラム及び教育プログラム検証モデルに関する開発的な実践研究、③これら二つの側面を往還して行う日本の文脈への適合のための課題分析の三つの観点から調査研究を行う。
著者
堀井 祐介
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

学生中心の学びへと転換しつつある近年の高等教育において、「学生の主体的な学びへの関与<学生エンゲージメント(student engagement)>」はその核となる概念である。英国では、<学生エンゲージメント>は、教育評価を含む大学評価における評価指標の一つとされている。本研究では、今後の日本の高等教育評価政策に資するため、英国での教育評価を含む大学評価に関する自己点検・評価報告書等を分析対象とし、テキストマイニングの手法を用いて、英国での大学評価における<学生エンゲージメント>の位置づけを明らかにし、日本の大学評価における<学生エンゲージメント>評価指標のあるべき姿を明らかにする。
著者
杉原 真晃
出版者
聖心女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究は、教養教育におけるサービス・ラーニングの実践研究を通して、①地域社会という学外要件を含み入れたサービス・ラーニングならではの学習共同体の意義と構造を明らかにするとともに、深い学びに関する学習理論を参照しつつ、②学生自身による市民的教養の涵養、多様な学問領域の関連づけ、初等・中等教育と高等教育との関連づけを実現するサービス・ラーニング・プログラムを開発し、③教養教育カリキュラムにおける有効な位置づけを探ることを目的とする。本研究により、教養教育の理論的発展、学生の深い学びの実現、ウェル・ビーイングを追求する社会を創る主体の形成等の成果が期待される。
著者
齊藤 貴浩
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究は、大学等における教育改革は何を行い社会に何を与えたのか、一方で社会からは大学等に何を求めているのか、これらを明らかにすることで、教育改革成果のエビデンスを明らかにし、大学の教育改革が社会に受け入れられるようにすることを目的としている。政府から補助金を受けた教育改革事例の公開資料から取組の内容、成果、派生した組織等への影響を把握する。これらの情報をもとに訪問調査を行い、成功例に見られる共通要素を探索する。また大学関係者と大学と関係のない社会人に調査を行い、教育改革として高い評価を受ける要素を選択する。最終的に、教育改革の成功のエビデンスと社会の要請に即した教育改革の示し方を明らかにする。
著者
岡野 友彦 永村 眞 漆原 徹
出版者
皇學館大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究では、室町時代の幕府発給文書に焦点を絞り、古文書がその「もの」として有する料紙などの非文字列情報と、古文書の上に書かれた文字列情報との間に、どのような有機的関連性があるのかを検討した。具体的には透過光を用いた古文書の顕微鏡撮影などによって、不純物をきれいに除去した紙と不純物の残る紙、わざと米粉を入れた紙と入れなかった紙に大別できること、その二つの組み合わせから、4種類の料紙に分類できることを確定した。これら4種類の紙が、それぞれ文字列情報としてどのような古文書に使用されているかの確定にまでは至らなかったが、一定の見通しを得ることはできた。
著者
岡田 博 塚谷 裕一
出版者
大阪市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

DNAによる分子系統解析の結果、中国大陸には多くの系統が分布していること、特に昆明省では多様なことが20年度の調査で明らかになった。21年度の調査ではそれらの中のごく限られた遺伝子型がマレー半島、ジャワ島、ボルネオ島、台湾などにそれぞれ、ボトルネック効果によるとみられるようなばらばらな分布を示すらしいことがわかってきた。今までの調査と今年度の調査を総合すると、日本に分布する、いわゆるヤブガラシには染色体数でみると2倍体と3倍体があり、2倍体には南西日本型、北西九州型、そして広く日本の関東以南に分布する型の3型があること、3倍体には日本に広く分布する型と沖縄本島に分布する型の2型あることがわかった。そして前者は広く日本に分布する2倍体から、後者は南西日本型から派生したものと推測される。これらの5型はDNAによる分子系統解析によって詳細に比較検討され、それぞれの遺伝的関係も明らかになってきた。記載分類学的にみると北西九州型はツンベルグによってCayratia japonica(これは和名ではヤブガラシとされてきている)の原記載をされたもので、これをヤブガラシと認めるならば、日本に広く分布するものとは形態的にも区別可能なものである。したがって、日本に広く分布するものは形態的にも、遺伝的にも別の未記載の分類群であることがわかった。そこで、日本に分布する「ヤブガラシ」の遺伝的関係を考慮しつつ分類学的に再検討するために北西九州型がどのような分布を示すのか調査したところ、非常に複雑な分布をしていることが明らかになってきた。