著者
織田 克利
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

我々は子宮体癌と卵巣癌(特に明細胞腺癌)において、分子生物学的なサブグループおよび治療標的候補分子を同定し、新規分子標的治療薬の有効性について新たな知見を得た。1. 子宮体癌、PI3K経路を阻害する薬剤の抗腫瘍効果を増強する治療法を探索し、MAPK経路阻害剤もしくは放射線照射との併用で、相乗的な効果が得られることを示した。PI3K/mTOR経路において、HIF-1α/VEGFの活性化が腫瘍増殖に重要であることを見出した。2.卵巣明細胞癌において、ゲノム解析により予後不良なサブグループを明らかとした。MDM2高発現が予後不要因子であり、MDM2を阻害する治療薬が抗腫瘍効果を示すことを報告した。
著者
田代 倫子 井上 華
出版者
東京医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

ラット心室筋細胞において、TRPM7チャネルを活性化させるナルトリベンは、Mgイオンの流入も加速させ、その効果はTRPM7に対する効果と同等だった。ラット心筋由来の培養細胞株H9c2細胞のTRPM7発現をRNA干渉法にて抑制すると、細胞内Mgイオン濃度は保たれていたが、細胞外Mg濃度上昇によって促進されるMg流入は減弱した。以上より、心筋細胞でTRPM7はMg流入経路として働くことが示唆された。
著者
佐藤 文香 千田 有紀
出版者
一橋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2021-04-01

本研究は錯綜するフェミニズムの現状を整理し、「第二波フェミニズム」の思想的意義と達成、そして限界を考察しようとするものである。「第二波フェミニズム」を、改めて日本の歴史的文脈のなかに位置付けて理解し、その成果と課題を理論的・実証的に明らかにしたうえで、フェミニズムの新たな歴史叙述を模索していく。世代間の差異を強調した単線的な進歩史観を問い直し、日本のフェミニズムの評価を再検討することを目指す。
著者
佐々木 基樹 山田 一孝 遠藤 秀紀
出版者
帯広畜産大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究では、鰭脚類であるゼニガタアザラシの前後肢、および鯨類であるネズミイルカの前肢を、CTスキャナーを用いて撮影し、得られた画像を三次元立体構築することによって、それらの可動域を非破壊的に解析した。ゼニガタアザラシでは、足根関節の体軸に対する外側および内側への広い可動域が確認され、さらに体幹に埋まっている肩関節や肘関節の屈曲、伸展、そして前腕の回内などが観察された。ネズミイルカ前肢のCT画像解析では、前肢の動きは肩甲骨の移動をほとんど伴わず、さらに前腕の回旋運動は確認できなかった。
著者
米田 誠 篁 俊成 樋口 理
出版者
福井県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

“橋本脳症”は,慢性甲状腺炎に伴う自己免疫性疾患であり,免疫治療が奏効する.申請者らは患者血清中の分子診断マーカーとして抗N末端αエノラーゼ(NAE)抗体を開発している.本研究では,生物発光を用いた免疫沈降法(LIPS法)による新規の自己抗体測定法を開発した. まず,NAE抗原とルシフェラーゼのキメラ組換え蛋白を調整した.次に,抗NAE抗体の陽性・陰性が既知の血清を用いて,生物発光を用いた免疫沈降法(luciferase immunoprecipitation systems;LIPS法)を行い,従来法(電気泳動)と比較した結果,同様の傾向が見出された.
著者
金子 研太
出版者
九州共立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2020-04-01

本研究は、文部科学省関係の審議会議事録の分析を主たる対象として、情報技術を活用した分析手法を構築することを目的とする。2001年の情報公開法制定以後、膨大な審議会議事録や資料が公開されているが、検索システムが整備されている国会会議録に比べて学術的な分析は低調である。また、今後もますます膨大な資料や議事録が公開されると考えられ、これまで研究者個人の作業にゆだねられてきた体系的な分析が困難となってくる可能性がある。これらをデータベース化することにより多様な分析の可能性をひらき、その有効性を検証する。
著者
大谷 奨
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究は、1970年代の日本における国立医大の増設とその際の地方における誘致運動を検討することで、地方に国立医大が設立される意味と、誘致に際する地元負担の額が均質化される過程を検討しようとするものである。文部省は国立高専設置の際と同様に設置地域の財政的な協力(地元負担)を求めた。これに対し自治省は、地方財政法上問題があるとして文部省に申し入れを行ったり、県に安易に応じることのないよう注意を促す。自治体も誘致を競い合う一方で負担額について協議していた。その結果、地元負担の内容はほぼ均質化されることとなり、同時に、自治体の早期開設を望む姿勢が単科医大という新構想大学を受容させることになった。
著者
今井 英明 石崎 泰樹 位高 啓史 宮脇 哲 小野 秀明 齊藤 延人
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

大脳白質障害に対する再生医療への実現のための基礎研究を主目的としている。SB623細胞という、成人ヒト骨髄由来神経再生細胞のバイオケミカルな機能の同定を動物実験モデルで検証しようと試みている。これまでに、治験対象患者と同様な病態である大脳白質障害モデル(ラット選択的大脳白質モデル)は確立された。しかし、このSB623細胞の基礎研究への応用に難渋しており、未だにこの動物実験モデルには投与できていない(治験としてヒトへのSB623細胞投与は実行されている)。もう一つのテーマである、ドラッグデリバリーシステムによる神経栄養因子の中枢神経系への投与に関しては、選択的大脳白質モデルへの投与に先行して、全脳虚血モデルに対して行っている。白質ではなく灰白質(神経細胞体)への保護効果が示唆されており、その効果の評価と機序の解明、さらに理想的な投与法を検討している。
著者
奥瀬 喜之
出版者
専修大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

今年度は、価格の提示方法に関する研究の成果に関して、INFORMS Annual Meeting 2017(Houston TX, USA)において、前年度までに行った実証分析の成果報告を行った。また、阿部周造横浜国立大学名誉教授と共同で研究を続けていた、消費者の選択行動における比較の方向性に関する研究論文がBehaviormetrika(日本行動計量学会学会誌)に掲載された。また関連して行ったアイトラッキングデータを用いた消費者の選択行動に関する共同研究について、日本消費者行動研究学会第54回消費者行動研究コンファレンス(慶応義塾大学) にて報告を行った。当初予定していた追加的な実証研究を実施できなかったため、平成30年度に実施し、成果を学会にて報告する予定である。
著者
太田 彦人 櫻田 宏一 山室 匡史
出版者
科学警察研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

地下鉄サリン事件にて,救命時解毒剤2-PAMが投与されたにも関わらず亡くなられた被害者の解剖では,末梢AChE活性は回復したが脳内AChE活性は回復しなかった.これは2-PAMのBBB通過能が乏しいたためと考えられ,よりBBB通過能の高い解毒剤の開発を検討した.脂溶性オキシム4-PAOが十分なラットBBB通過能とAChE回復能を示すことがわかり,ラットを用いたin vivo解毒実験を行った.脳内AChE活性を12.5%まで阻害したラットに4-PAOを継続静注したところ,脳内AChE活性が定量的に回復,8mg/kg投与時で79.3%まで回復し,4-PAOが新たな解毒剤となり得る可能性が示された.
著者
岡嶋 裕史
出版者
中央大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

自習から離脱してしまう主要因である飽きによるモチベーションの低下を、VRの没入感で補うことに成功した。筆者はこれまでにも、萌えキャラクタを用いた教育コンテンツを作ることによって、モチベーションの低い学習者を学習へ導くしくみを築いてきた。その知見にVRキャラクタと、VR特有の場を共有した教育方法を加えることで、さらに離脱率が低く、継続した学習が可能になることを実証した。アニメーションの弱点である制作コストの高さも、vTuberの技術を投入することである程度抑制できることが確かめられた。ただし、vTuberのコンテンツは事前に作り込んだコンテンツより見劣りするため、その向上が今後の課題である。
著者
菊谷 まり子 池本 真知子
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

本研究では感情の定義に文化差が見られるかを検証するため、様々な国の人々に特定の感情を感じる状況を書き出してもらい比較している。研究では喜び、悲しみ、熱い怒り、冷たい怒り、驚き、興奮、眠気、リラックス、満足、恐怖の10感情それぞれについて、それらを感じる状況を参加者に書き出してもらった。分析では回答された状況を感情に関係なく似たような内容ごとに分類およびラベリングをし、どの感情にどのラベリングの状況がいくつ回答されたかを数え、感情ごとの類似性を計測した。現在、日本、台湾、スウェーデン、ベラルーシ、カンボジア、韓国のデータがそろっている。感情の概念構造は全体的に共通の枠組みが見られたが、細かいところが異なり、特に恐れの認識が各国でかなり違うことが見出された。さらに詳しく分析するため、テキストマイニングという手法でデータを解析しなおしている。計画ではポーランド、アメリカ、イギリスからもデータを取得する予定であったが、コロナウイルスに関連して回答が大きくゆがむと考えられ、コロナウイルス流行前に取得した他国とのデータとの比較が不可能であると考えられたため、令和二年度はデータの取得を見合わせた。その代わり、韓国と日本の感情概念の比較に関して協力研究者の朴氏と共同研究を行い、それぞれの文化や歴史的背景が感情の定義や評価(感情同士の類似性など)に関係するのかを調べた。このテーマで執筆した研究論文2本が現在査読中である。さらに同テーマのレビュー論文も執筆中で、学術雑誌Languagesの特別号(2022年発行)に掲載予定である。加えて中国人と日本人の感情がうつに及ぼす影響についての研究も別の協力研究者と行った。また、人間が声や発話内容から感情をどのように読み取るかに関する実験を日本人に対して行い、それに関する論文を執筆、投稿した(現在査読中)。
著者
鍋島 茂樹
出版者
福岡大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

RSウイルス感染症は、小児においてインフルエンザとともに呼吸器疾患による入院あるいは死亡の原因となる重要感染症であるが、いまだ特異的治療薬はない。申請者らは、これまで麻黄湯が抗インフルエンザ作用を有することを報告してきたが、さらに麻黄湯にはRSウイルスに対する抗ウイルス作用もあることがわかってきた。その機序として、ウイルスが宿主細胞膜に進入する過程を阻害している可能性が高いが、詳細は不明である。本研究では、培養系およびマウスへの感染により、麻黄湯による抗RSウイルス作用の機序を解明し、その有効成分を同定する。また、あわせて麻黄湯が宿主の自然免疫系に与える影響についても解析する。
著者
宗像 和重 十重田 裕一
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

本研究は、出版書肆金星堂を中心として、大正・昭和期の出版と文学の動向を総合的に把握しようとする試みである。福岡益雄が大正半ばに設立したこの出版社は、大正期の特色ある叢書類や、雑誌「文藝時代」の発行などを通して、同時代の文学や作家と深いかかわりをもった。その実態を把握するために、まず金星堂の出版物についての基礎的データを蓄積し、図書館や古書店等を通して調査と収集の作業に従事した。そして、その書誌データを集約して、「金星堂出版物目録データベース」を作成した。もとより未定稿の状態で、今後引き続き増補訂正を必要とするが、金星堂の出版活動の輪郭を明らかにし、今後研究を継続するための基礎資料としての意味を有すると考える。またこれと並行して、創業者の福岡益雄と金星堂の出版活動に関する同時代の消息や評価等を、できるだけ収集することに務めた。出版物のデータベースとあわせて、金星堂の足跡を総合的・多角的に検討する新しい材料を発掘することで、その実態をより明らかにすることができた。こうした調査の集約の一方で、金星堂や大正・昭和期の出版と文学をめぐる論考を積極的に発表することに務めた。とくに大正から昭和期にかけての「文壇」と文芸時評をめぐる諸問題や、横光利一らのいわゆる新感覚派と金星堂を中心とするメディアの問題については大きな収穫があり、このテーマの有効性を再認識させられた。今後は、未定稿の書誌データベースを充実させるとともに、金星堂社史・福岡益雄伝をとりまとめることで、金星堂と同時代の文学・作家との関係をより明らかにする一方、同時代の出版社・出版人へと調査・研究を広げていくことが、重要な課題であると考えている。
著者
永井 伸夫 佐伯 由香
出版者
文化女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

本研究の目的は,足浴操作が免疫機能および自律神経機能におよぼす効果を明らかにし,身体への効果を総合的に検討することである。健康な20歳前後の女子学生(21〜24歳)を対象者として,足浴操作は椅座位にて42℃の湯に足を浸けて10分間行うことを基本とし,その他に足を湯に浸けた状態で足底部への刺激として気泡刺激と振動を加える操作を行った。自律神経機能の評価は心拍変動の周波数解析を行い,免疫機能については,白血球分画,リンパ球サブセットをフローサイトメトリーにて解析し,またナチュラルキラー(NK)細胞の細胞障害活性を測定した。さらに足浴によるストレス軽減の有無等を検討するため,血漿中のTh1細胞産生サイトカイン(IL-2,IFN-γ,TNF-α),Th2細胞産生サイトカイン(IL-4,IL-6,IL-10)の測定を行い,Th1/Th2バランスについて検討した。足浴を行うことにより,副交感神経系の機能が亢進する傾向が認められ,これによって免疫機能においてもNK細胞障害活性が有意に増加し,これらの効果は足浴による温熱刺激に足底部への触・圧刺激が加えられることによって増強された。白血球分画においては,足浴後に好中球の増加が認められたが,これも自律神経系の変化によることが推察された。足浴の効果が,足底部への体性感覚刺激によるものなのか,温熱刺激が加わることによってもたらされた効果なのかを明らかにするために足底刺激のみを行った場合と,膝下まで湯につけた場合とを比較検討したところ,足底部への触・圧刺激と温熱刺激の両方が存在することで効果が現れることが確認された。足浴を一定期間(7日間)実施し,その前後における免疫機能,自律神経機能の評価を行ったところ,自律神経機能では副交感神経系の機能が亢進し,このことによりNK細胞障害活性が増加し,免疫機能を高める傾向が得られた。またTh1/Th2バランスを示すサイトカインについては,足浴により大きな変化を示すことはなく,概して低値を示していた。足浴によりリラクゼーション効果がもたらされ,副交感神経系が優位になることで免疫機能を高めることが推察された。これらのことから免疫機能の低下した患者や高齢者などを対象に気泡・振動付きの足浴を行うことによって,身体機能の改善が期待できることを示唆し,足浴を用いた効率的ケアに貢献するものと考えられた。
著者
市村 宏
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

ヒトパピローマウイルス(HPV)感染症は代表的な性感染症であり、子宮頚癌を起こす。HPV持続感染により男性も癌(中咽頭癌、肛門周囲癌、陰茎癌など)を発症するため、男性でのHPV感染予防ならびに発癌予防も重要である。米国や豪州では、男性HPV感染者の追跡調査結果を基に、若年男性に対するHPV感染予防ワクチン接種が開始されている。一方、アジアにおける男性HPV感染症研究は少なく、男性でのHPV感染症の流行状況やHPV関連がん発生率は十分に解明されていない。本研究では、性感染症外来を受診したベトナム人男性を対象に、尿・尿道スワブ・陰茎スワブ・口腔洗浄液を用いた長期追跡調査を行なうことにより、アジア人男性のHPV感染症の疫学や自然経過(HPV消失率/獲得率)を明らかにすることを目的とした。6ヶ月ごとに最低2回追跡が可能であった男性性感染症(STI)患者146名(16-67歳、追跡期間中央値14.6ヶ月)から検体(陰茎スワブ・尿道スワブ・尿・口腔洗浄液)を採取し、HPV DNAの検出ならびに感染遺伝子型の推移を統計学的(κ値、McNemar検定、χ2テストなどを使用)に解析した。外陰部に比べ、口腔では、高リスクHPV(hrHPV)の感染率が有意に低く(10.1% vs. 21.5%, P = 0.008)、hrHPVクリアランスまでの期間が有意に短く(6.2 vs. 11.3月、P = 0.001)、また罹患率は有意に高かった(15.6 vs. 9.5/1000人月, P = 0.001)。外陰部に比べ、口腔ではhrHPVが有意に高率に罹患するにもかかわらず、感染率が有意に低いことは、クリアランスが有意に早いことが原因と考えられた。また、hrHPV感染は、外陰部と口腔では独立して生じることが示唆された。これまでの結果をもとに、論文作成し、投稿中である。
著者
瓜生 吉則
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

日米のマンガおよびコミックの愛好者が集うイベント(コミックマーケットおよびコミック・コンベンション)を主要な事例としながら、両国におけるアマチュアとプロとの境界の差異について比較検討した。日本においては「読者共同体」のコード(約束事)がアマ/プロ問わず共有されやすいのに対して、アメリカでは両者の境界が比較的強く引かれていること、およびその背景として文化産業としてのマンガ/コミック出版社の歴史的な形成過程が存在することを実証的に明らかにした。
著者
岡田 充博
出版者
横浜国立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

(1)漢代以前の総ての変身譚を調査し、その結果を論文「先秦時代の変身譚について」として発表した。(2)漢代以降については、変驢変馬譚(驢馬や馬への変身の話)と化虎譚(虎への変身の話)を中心に調査検討を進め、その成果を著書『唐代小説「板橋三娘子」考』に纏めて刊行した。(3)『太平広記』巻四六〇に見える李相公(李石)の話が、インドの説話に起源を持つことを発見・論証し、論文「睫毛と鏡」として発表した。
著者
佐藤 朝美 椿本 弥生 荒木 淳子 堀田 博史 松山 由美子 中村 恵 松河 秀哉
出版者
愛知淑徳大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

本研究では、園と保護者が連携し、パートナーシップの関係性を構築するためのポートフォリオを開発することを念頭に、設計要件を導くための調査を行った。写真を共有するシステムを利用している保育者と保護者へインタビューを行い、パートナーシップの構築のために、保育者と保護者の互いの専門的知識を提供し合う方法が課題として挙げられた。そこで、保護者が園から提供された情報をもとに子どもの成長や学びについて深く考えていくために、園生活や活動の意義、園や先生の役割、保護者の成長と園との関連について振り返る支援を行うワークショップを開発・実践した。保護者の意識が変化し、そこから保育者との相互理解の可能性が示唆された。
著者
加藤 秀一
出版者
明治学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

生物学的とジェンダー研究との相互理解を促進する試みは1970年代から繰り返し行われてきたが、現在においても極めて不十分な成果しか挙げ得ていないことが明らかになった。本研究では、この膠着状態を乗り越えるために、両陣営が共に理解すべき理論的方向性を提示した。それは、一方が他方を包摂しうるという幻想を捨て、適切な役割分担をするという(一種の反自然主義的な)方向性である。そのためには、ヒト=人間の精神生活に特有の「規範性」に関する因果的説明と正当化という二つの文脈を区別することが肝要である。