著者
大井 良知
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会研究報告集 (ISSN:24363286)
巻号頁・発行日
vol.2021, no.4, pp.259-264, 2021-12-03 (Released:2021-12-03)

現在,学校教育において動画を活用する教育方法が注目を集めている.そこで,高等学校において,ARCSモデルの「A」つまり,学習者の注意を喚起し,学ばせたい物事への注意を向けさせる方策の側面から生徒の学習意欲を高める動画の設計方法を考え,動画を作成し,生徒に視聴させた.その後の試験の成績やアンケートの結果から,ARCSモデルに基づいた設計の動画教材によって学習意欲は高まるということがわかった.
著者
畑野 快 溝上 慎一
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.13-21, 2013-05-20 (Released:2016-08-10)
参考文献数
27
被引用文献数
14

本研究の目的は,大学生の学習を態度と時間の2側面から捉えた上で主体的な授業態度に着目し,その測定尺度(Active Class Attitude scale;ACA尺度)の妥当性の検討を行い,主体的な授業態度と授業内,外学習時間に基づいて学生タイプを作成することで,大学生の学習を量・質の両方の側面からサポートする視点を検討することであった.そのために大学1年生204名を対象とした質問紙調査を行い,まず主体的な授業態度と学習に対する積極的関与との弁別性を因子分析によって検討したところ,主体的な授業態度と積極的関与の項目が異なった因子に負荷することが確認された.次に主体的な授業態度と授業内学習時間,授業外学習時間,自主学習時間との相関関係を検討したところ,主体的な授業態度は全ての学習時間と有意な正の関連を示すことが確認された.最後にクラスタ分析によって主体的な授業態度と授業内,外学習時間に基づく学生タイプを作成したところ,5つの学生タイプが得られた.以上の結果を踏まえ,ACA尺度の弁別的,収束的妥当性及び学生タイプに基づいたサポートの方策について議論を行った.
著者
加地 雄一
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.36, no.Suppl., pp.1-4, 2012-12-20 (Released:2016-08-09)
参考文献数
8

本研究の目的は未知漢字の記憶における書字動作の効果を検討することである.漢字の自由再生と手がかり再生について2つの学習条件(書字,目視)間で比較した.学習リストはJIS第4水準から選定した12の漢字の形態・意味ペアで構成されていた.参加者は大学生47名であった.形態,意味の自由再生成績は,学習条件間で有意な差は見られなかった.一方,手がかり再生(形態を手がかりにした意味の再生,意味を手がかりにした形態の再生)成績では,目視条件が書字条件よりも有意に高かった.これらの結果から,書字動作は未知漢字の記憶を促進させず,むしろ干渉的な効果をもたらす場合があることが示唆された.
著者
手塚 和佳奈 佐藤 和紀 三井 一希 堀田 龍也
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.S45067, (Released:2021-10-21)
参考文献数
8

本研究は,GIGA スクール構想の標準仕様にしたがってICT 環境が整備された学校で1人1台の端末を活用した実践を先行実施していた小学校教師の情報モラル指導に対する負担感・困難さを検討することを目的に,半構造化インタビューを実施した.その結果,【A 情報モラル指導のタイミングの難しさ】【B 情報モラルの指導形態に関する迷い】【C 端末の活用場面に即した指導だけでは補えない指導内容】【D 情報モラル指導に対する教員間の考え方や進度の調整】【E 情報モラルに関する個別指導】【F 児童間のオンラインでのやりとりの観察】の6種類が確認できた.
著者
佐藤 和紀 三井 一希 手塚 和佳奈 若月 陸央 高橋 純 中川 哲 堀田 龍也
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.45019, (Released:2021-09-14)
参考文献数
24

GIGA スクール構想の標準仕様にしたがってICT 環境が整備され,1人1台の端末を活用している学級へのICT 活用に関する児童と教師への調査から,導入初期の児童によるICT 活用と教師の指導の特徴を検討した.その結果,児童は1人1台の情報端末を日々の活動の中で,さまざまなアプリケーションを組み合わせて活用しながらクラウド上でコミュニケーションを取っていたこと,教師は学校内の情報端末の活用については指導できるが,家庭学習については自治体のルールや情報モラルの観点から指導できていないことが特徴として挙げられた.
著者
三保 紀裕 本田 周二 森 朋子 溝上 慎一
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.40, no.Suppl., pp.161-164, 2017-01-15 (Released:2017-03-06)
参考文献数
10
被引用文献数
4

本研究では,反転授業をアクティブラーニングの一形態として捉えた上で,授業における予習の仕方と対面授業でのアクティブラーニングの関連について検討を行った.反転授業を採り入れた3大学7授業に協力を頂き,プレ・ポスト調査を実施した.結果,アクティブラーニングを通じた認知プロセスの外化が生じている度合いが高い授業では,深い学習アプローチや学習意欲の上昇がみられ,予習の仕方にも内容理解を深めるような形での変化が生じていた.内容理解を深めるための予習の仕方が,授業内でのアクティブラーニングをより活発なものとする役割を担っているようであった.このことは,反転授業における予習の仕方の重要性を示す結果であった.
著者
三井 一希 佐藤 和紀 渡邉 光浩 中野 生子 小出 泰久 堀田 龍也
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.S45052, (Released:2021-09-07)
参考文献数
5

本研究は,児童同士の交流に着目したプログラミングの学習の場を,休み時間等の授業時間外に設定した実践を行い,その有効性と交流の実態を調査した.結果,提示した課題を教師が介入することなく,児童だけで達成することが概ね可能であることが示唆された.また,教師が指導する学習形態よりも児童だけで学ぶ学習形態を好む児童が有意に多いことが示された.さらに,児童同士の交流の実態を調査したところ,児童は事前のプログラミング技能の差に関わらずに他者と交流を行い,課題を達成している可能性が示唆された.
著者
山本 朋弘 堀田 龍也
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.45011, (Released:2021-08-31)
参考文献数
19

児童1人1台の情報端末の活用に関する児童向け意識調査等を行い,学校の端末環境や学年等で学習者用基本ツールの操作スキルの習得がどの程度異なるかを比較分析し,児童が情報端末を身近な学習の道具として活用できるかを考察した.9自治体14校の4学年から6学年までの児童1095人の回答を分析した結果,【表計算】,【プレゼンテーション】,【プログラミング】,【交流ツール】の操作スキルへの評価は低く,校内での活用場面も少なく,操作スキルを向上させるための指導の工夫が必要であることが示された.情報端末環境や学年の違いによる比較では,基本ツールの操作スキルに関する回答結果において,5カテゴリー全てで,1人1台環境にある児童が,情報端末を共用する児童より有意に高く,特に【表計算】,【プレゼンテーション】,【交流ツール】では,学校のICT環境や指導,学年の違いが影響することが示され,教科横断的に習得できるよう指導することが重要であることを明らかにした.また,家庭での利用頻度も操作スキルの習得に影響することが考えられ,学校が家庭への持ち帰りをどのように進めるかが今後検討すべき課題として挙げられる.
著者
深見 俊崇 木原 俊行 小柳 和喜雄 島田 希
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.43, no.Suppl., pp.177-180, 2020-02-20 (Released:2020-03-23)
参考文献数
8

本研究では,レジリエンスの形成に関して先駆的に取り組まれているオーストラリアのBRiTEフレームワークを援用した中堅・ベテラン教師向け研修プログラムを構想・試行した.受講者のコメントからは,180分間という限られた時間にも関わらず,BRiTE の5つの視点を学ぶことで自身が取り組めていない点や自覚していなかった点に気づくことができ,レジリエンスを発揮するための実践につなげる可能性が認められた.
著者
村上 唯斗 轟木 梨奈 高橋 純
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.S45101, (Released:2021-07-06)
参考文献数
5

全国で1人1台端末環境が整備され,クラウドを活用した学習ツールと共に,活用が期待されている.しかし日常的にこれらを活用した授業の知見が不足している.そこで本研究では,1人1台端末環境を整備し,クラウド活用に制限を加えず,日常的に活用している学級の授業を事例として,児童のPC 活用の特徴を明らかにした.授業を学習活動の変化を境目として分節化し,学習活動とPC 活用の関係を検討した.結果,学習活動の質や利便性を向上させるためにPC を活用する点では従来のPC 活用の特徴と同様であったが,授業形態に関わらず複数の学習活動でファイルを共同編集し,多くの児童間で交流していた点などが新たな特徴であった.
著者
沖林 洋平 神山 貴弥 西井 章司 森保 尚美 川本 憲明 鹿江 宏明 森 敏昭
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.31, no.Suppl., pp.149-152, 2008-02-10 (Released:2016-08-04)
参考文献数
7
被引用文献数
1

本研究では,児童生徒の情報活用の実践力と情報モラルの関係について調査を行った.情報活用能力実践尺度得点と情報モラル課題について学年間比較を行った結果,次の2点が明らかとなった.まず,全般的な情報活用の実践力は,中学生の方が小学生よりも高かった.つぎに,情報モラルについては,小学生と中学生ともに情報モラル意識と情報活用の実践力に関連が見られた.また,全般的な情報活用の実践力については,中学生の方が小学生よりも有意に高く,とりわけ,情報活用の実践力の中でも「収集力」「判断力」「処理力」について,中学生の方が小学生よりも有意に高かった.また,情報モラルの高さと家庭における教育に関連があること,初等中教育課程での学校教育における総合学習等の授業における授業実践の効果が示唆された.
著者
安藤 玲子 高比良 美詠子 坂元 章
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.28, no.suppl, pp.65-68, 2005-03-20 (Released:2016-08-01)
参考文献数
6
被引用文献数
1

本研究では, インターネット(以後, ネット)使用が小学生の情報活用の実践力を高めるかについて検討した.Eメール, Webページの閲覧などのネット使用量と情報活用の実践力との因果関係を推定するために, 小学生を対象にパネル調査を行なった.その結果, ネット使用量が全体的に多いと情報活用の実践力全体および収集力と表現力が高まることが示された.ツール別には, 主にEメールやWebページの閲覧が, 情報活用の実践力全体や複数の下位能力の向上に効果があった.特にEメールでは, 情報活用の実践力全体, 収集力, 判断力, 発信・伝達力に関して双方向で正の効果が示され, その効果が相乗的に増幅される可能性を持つものであった.
著者
青島 拓紀 鈴木 雅之
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.45084, (Released:2021-11-15)
参考文献数
54

生徒の自律的な学習動機づけを高めるための教師の指導として,自律性支援の重要性が示されてきた.教師の自律性支援に対する生徒の認知を測定する尺度としては,Learning Climate Questionnaire(LCQ)があり,多くの先行研究において用いられている.そこで本研究では,LCQの日本語版(LCQ-J)とその短縮版を作成し,妥当性と信頼性の検討を目的とした.研究1では,中学生114名を対象に調査を実施し,原版と同様に1因子構造であることが確認された.また,自律性支援の認知は自律的な学習動機づけ,および基本的心理欲求充足と正の相関を示した.研究2では,中学生293名を対象に調査を行い,研究1と同一の因子構造が得られた.また,自律性支援の認知は自律的な学習動機づけ,および自己効力感と正の相関,学習不安と負の相関を示した.これら一連の結果は,フルバージョンと短縮版とで一致していたことから,フルバージョンと短縮版のいずれも,LCQ-Jには一定の妥当性があるといえる.
著者
長田 尚子 デイヴィス 恵美 神崎 秀嗣 町田 小織 髙尾 郁子 田中 浩朗
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会研究報告集 (ISSN:24363286)
巻号頁・発行日
vol.2021, no.4, pp.33-40, 2021-12-03 (Released:2021-12-03)

高等教育の質保証のためにはカリキュラムや授業デザインの検討に加え,現場の教員による相互支援や情報共有等の継続的な活動が欠かせない.本研究では,多様な教員による教育実践コミュニティの働きや活動を通じた教員の経験を記述するパターン・ランゲージの開発を行っている.本報告では中間報告として,試行的開発の過程と結果を検討した.開発活動を通じてコミュニティへの理解が深まること,越境的な教育実践コミュニティが高等教育の質保証に有効であることが示唆された.
著者
松島 るみ 尾崎 仁美
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.S45006, (Released:2021-09-13)
参考文献数
13

本研究の目的は,オンライン授業に関する評価と自己調整学習方略,自己効力感,協同方略,学習の持続性や積極的関与の関連を検討することであった.大学生104名を対象に調査を実施し,重回帰分析を行った結果,オンライン授業に対する自己効力感がオンライン授業の評価に最も強く影響したことから,学習者がオンライン授業の学習効果を実感し,うまく学習を進めていく自信を持つことが出来るかどうかが重要であることが示唆された.また,学習への積極的関与がオンライン授業の評価に負の影響を示したことから,学習意欲が高い学習者は,対面授業と比べて,学習環境や学習デザインに不十分さを感じている可能性も示唆された.
著者
森 晶子 清水 佑輔
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.S47076, (Released:2023-07-21)
参考文献数
7

2021年4月に,東京大学先端科学技術研究センターの中に発足した「先端教育アウトリーチラボ(AEO)」では,主に高校生以下を対象に,多様な教育実践に取り組んでいる.その教育実践の一つに,全国の高校等による個別の希望に応じ,先端研で取り組まれている学際的な研究内容に関して,当該研究が行われている場で,研究者及び大学院生等と生徒が対話し学びを深める「先端研リサーチツアー」がある.本研究では,このような体験によって,高校生がどのような学びを得ているのか,アンケート結果から分析した.その結果,相当数の生徒が,教科や科目の枠組を超え,教科横断型で文理融合的な視座を得たことが示唆された.
著者
田嶋 晶子 鈴木 克明 戸田 真志 合田 美子
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.S47118, (Released:2023-11-24)
参考文献数
7

本研究は,スイスの語学学校における旅行の日本語コースを,旅行の文脈を残しながら日本文化を中心に学ぶコースへと改善することを目的とした.コースはゴールベースシナリオ(GBS)理論に沿って設計・開発し,その妥当性と有用性を検証した.その結果,eラーニングの主教材であるストーリー型教材のみの文化学習では中程度の学習効果となり,ストーリー型教材と課題,授業への参加,振り返りを組み合わせたブレンド型学習では高度な学習効果があげられることが示唆された.また,ストーリー型教材による疑似体験は学習の魅力を向上させられることが示唆され,教材を続けることに対して積極的な態度を育てられたことも示唆された.
著者
上岡 伸 中藤 路子
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.47087, (Released:2024-01-09)
参考文献数
44

本研究の目的は,学校事務職員を対象に企画された研修プログラムによって,所属校の業務改善に向けた自己調整学習が促進されるかどうかを検証することである.研修プログラムには学習者中心のデザインが取り入れられ,研修のタスクは,事前学習・業務改善の取組・成果報告会で構成された.そして4か月の研修期間中,それぞれ異なる学校に勤務する受講者たちは,6・7名の研修チームとなって互いにメンタリングを行いながらタスクを遂行した.5時点の縦断的調査から有効な26名分の回答が得られ,分散分析の結果,研修期間を通じて職場における自己調整学習は大きく促進されていた.ただし,研修終了後2か月経過時点での有意な逆戻りも見られ,研修前時点と比較すると差の効果量は中程度であった.
著者
根本 淳子 竹岡 篤永 高橋 暁子 市川 尚 鈴木 克明
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.427-439, 2023-12-20 (Released:2023-12-16)
参考文献数
20

インストラクショナルデザイン(ID)分野では国際的には状況に応じて新しいものを生み出すデザインの重要性が指摘されているが,国内ではこの高次のスキル向上を支援するプログラムは存在しない.本研究では状況に応じたデザイン力に着目し,大学授業の改善支援を担う上級インストラクショナルデザイナー(上級IDer)向けに,他者(クライアント教員)への提案に必要な視点「寄り添う」を養成する講座を開発した.関連プログラムの位置づけを整理し,授業改善提案に先立ちクライアント教員の状況やニーズを聞き取ることができる支援ツール「8つの質問」を開発した.試行の結果,本講座参加者は,クライアント教員の授業への思いに寄り添う授業改善を提案ができていた.クライアント教員に寄り添う視点を取り入れるための仕掛けづくりができた.今後はクライアント教員の授業改善の度合いから「寄り添う」ことができたかどうかを確認していく予定である.
著者
多々納 春樹 鎌倉 正和 榊原 範久
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.481-492, 2023-12-20 (Released:2023-12-16)
参考文献数
17

本研究は,小学校高学年児童を対象に,1人1台端末を活用し,学習者の意見文と意見文産出方略(以下,方略)の相互参照を通して,学習者の意見文と意見文に対する意識の変容について検証した.ルーブリック評価や質問紙の結果から,意見文と方略を相互参照することで,意見文の評価得点が向上すること,文章の構成を考えて書く,他の視点も書く,読み手にどう伝わるか気をつけて書く,という点を意識していたことが明らかとなった.その後に,相互参照なく意見文を作成しても,低下がみられなかったことから,相互参照により他の学習者から方略を獲得し,使用すること,相互参照がない場合でも獲得した方略を継続的に使用することが示唆された.