著者
加藤 治雄 中山 謙二 平野 晃宏
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IE, 画像工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.22, pp.49-54, 2006-04-14

本稿では,信号源の数がセンサ数より多いオーバーコンプリート・ブラインド信号源分離においてフィードバック形構成法と分離回路の学習アルゴリズムを提案する.まず,1巡目で信号源の分離を行う.ここでは,一つの信号源が複数の出力に含まれないことを分離の条件とする.このための学習法を提案している.センサ数を信号源数の約半分以上とすることにより,1巡目の信号源分離で少なくとも1個の出力に単一信号源を分離できる.この出力を単一信号源の特徴を利用して検出する.更に,この出力をフィードバックして観測信号からキャンセルすることにより,等価的に信号源の数を低減する.当該出力と混合過程の情報を使ってキャンセルする他,観測信号と当該出力のヒストグラムを使ってキャンセルする方法を組み合わせることにより,条件不足の問題を解消する.2巡目では,観測信号に含まれる信号源が1個少ない状態で1巡目と同じ処理を行う.このように,提案法では,観測信号における信号源の数を1個ずつ減らしながら信号源分離を繰り返す.信号源として音声を用いたシミュレーションにより,従来法との比較を行い,提案方法の有効性を確認している.
著者
井上 学 エスマイルザデ リアズ 中川 正雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CS, 通信方式 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.720, pp.105-110, 2004-03-08

近年,無線通信システムにおいて,複数アンテナを送受信機に用いて,同一時刻,同一周波数で信号伝送を行なう多入力多出力(MIMO: Multi-Input Multi-Output)方式,特に,各送信アンテナから独立な信号系列を送信するMIMO-Multiplexing方式について,同一チャネル干渉の影響低減,周波数利用効率の改善を目指す研究が盛んに行なわれている.本稿では,MIMO-Multiplexing方式において,誤り検出符号の一種である巡目冗長検査(CRC:Cyclic Redundancy Check)を用いた信号分離方式と再送方式について検討を行なった.前者においては,最も良い受信特性を示す信号分離方式である最尤検波法(MLD:Maximum Likelihood Decision)を適用して送信信号を検波した後に,さらにバッファにためておいた受信信号からMLDにより検波された信号を差し引くことで,新たに送信信号を復元する方式を提案した.また,再送時における信号の送信方法として,誤ったパケットのみを効率良く再送する方法を検討しており,前回送信時に誤ったパケットを誤りが生じなかった送信アンテナから再送する選択送信ダイバーシチ法(STD: Selection Transmit Diversity),そして,誤ったパケットに対して時空間ブロック符号化(STBC:Space-Time Block Coding)を適用して再送する方式を提案した.計算機シミュレーションによる特性評価より,各々の場合において提案方式の有効性が確認された.
著者
加藤 治雄 中山 謙二 平野 晃宏
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SIP, 信号処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.315, pp.91-96, 2006-10-20

信号源数がセンサ数より多いオーバーコンプリート形ブラインド信号源分離(BSS)で,信号源の完全分離は困難という問題に対して,我々はフィードバック形の回路構成と学習法を既に提案している.まず,1個の信号源が複数の出力に含まれないことを分離の条件として,1巡目の信号源分離を行ない,少なくとも1個の出力に単一信号源を分離する.この出力を観測信号にフィードバックして,観測信号から単一信号源をキャンセルすることにより,等価的に信号源数を低減する.単一信号源のキャンセル法として,当該出力と推定した混合過程の情報を使ってキャンセルする他,観測信号のヒストグラムを使ってキャンセルする方法を組み合わせる.本稿ではさらに,フィードバックにより生じる信号歪みの問題に対して,スペクトルサプレッション法を導入することにより,信号歪みを抑制する.2巡目の信号源分離では,観測信号に含まれる信号源が1個少ない状態で1巡目とは異なる学習法により処理を行なう.信号源として音声を用いたシミュレーションにより,提案方法の有効性を確認した.
著者
下嶋 康弘 大槻 和司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EMCJ, 環境電磁工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.247, pp.23-28, 2000-07-25
被引用文献数
1

半導体デバイスの技術進歩は、機器の小型化、高性能化を進め、快適で便利なものになっている。しかし使われているマイコンや電子回路は、非常に低い電圧で動作しているため、過電圧で誤動作や破壊を起こし、大きな混乱を生じる。雷の被害は、工場、遊園地、ゴルフ場、学校などでは広範囲となり、機能が停止してしまう。直撃雷や近傍落雷の場合、どのような被害が発生するのか、またその対策をどのように行うのかを紹介する。
著者
大平 雄貴 降旗 建治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.240, pp.31-36, 2009-10-15

現在、2輪業界に対する騒音規制法は年々と法改正案が発表され厳しくなっており,定常走行時はL_<Amax>が72dB以下である.そこで本報では,バイク単体における騒音の自動監視するシステムを構築するため,インテンシティベクトルを用いて移動音源の向きと大きさが測定できるかどうかを検討した.校正時において,インテンシティレベルは,音源から十分に離れている場合SPLと等価であるためILとの対応を容易にとることができる.また移動音源計測についてはドップラー効果や伝搬時間差などの特有の問題がある.実験は,バイク(YAMAHA yzf-r6)を一定速度で走行した場合について走行車線から7.5mで音響インテンシティ計測を行った.その結果,可変指向性による音響インテンシティ計測結果から,バイクが0m地点を通過した時,最大ILはマフラー部の110dBであることがわかった.
著者
今川 和幸 呂 山 猪木 誠二 松尾 英明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.81, no.8, pp.1787-1795, 1998-08-25
被引用文献数
22

手話動画像から両手を追跡するシステムにおいて, 手袋やマーカーを用いずに手を追跡する手法について述べる.素手の追跡の場合, 顔や首といった肌色領域の前では, 手が隠れて見えるという問題がある.そこで, 手話の場合, 手に比べ顔や首の動きが少ないことに着目し, 手話動画像から肌色領域(手・顔領域)を抜き出した画像と, その時間差分画像から求められる領域(ブロブ)をもとに, カルマンフィルタを用いて両手の位置を追跡する.更に, 肌色領域を抜き出す際に, 顔の前の手の動きが差分画像として安定的に得られることを目的とした色領域抽出手法を提案する.聴覚障害者の実際の手話動作による動画像に対して本手法を適用し, 肌色領域の前で動作する手の追跡に対して有効性を示し, その限界を明らかにする.
著者
王 文涌 池田 満 仲林 清 柏原 昭博 乙守 信行 林 公生 長谷川 忍
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.315, pp.11-16, 2008-11-14

本研究はカスタマイズ可能な学習コンテンツを中心にした知識循環型e-Learning環境を提案する.本環境では,SCORM,LOMという標準化技術とオントロジーに基礎にして,学習コンテンツをカスタマイズする機能を提供することにより,学習者が学習共同体に蓄積された学習コンテンツやWeb学習リソースから学習情報や経験知,応用知,理解知などを参照・利用しながら,自分自身の知識を獲得・再構成する場を提供する.そして,再構成された知識を学習共同体に蓄積して,集合知の形成と知識の再利用に貢献しながら,自らの学習を続けるという知識循環型e-Learningを実現する.
著者
岩上 将史 伊藤 孝行
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. AI, 人工知能と知識処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.208, pp.39-44, 2008-09-09

SNSを利用して個人間でお金の貸し借りをするソーシャルレンディングでは,債務不履行のリスクが個人の貸し手に委ねられる.ソーシャルレンディングは比較的新しい分野であるため,仕組み自体は経験的に設計されていることが多い.本論文では特に利率の決定メカニズムを提案する.そして借り手が所属するグループの返済確率分布を尤度に加えたベイズ推定を用いた利率の更新による影響について,エージェントを用いて実験的に解析を行う.また,借り手をグループに所属させることによる返済遅延率への影響についても考察する.本手法により,借り手の返済履歴が多くなるほどバラつきの少ない利率決定が可能となる.その結果,リスク(利率毎の返済遅延率の分散)が少ないことを望む貸し手に対しては取引成立数を増やすことが可能となる.一般的には貸し手はリスクを避ける傾向があるため,リスク回避型の貸し手の取引成立数を増やせる本手法は有効であると考えられる.
著者
赤根川 雅子 田中 裕一 中川 正雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ITS (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.75, pp.43-48, 2000-05-16
被引用文献数
24

最近実用化が始まったVICS(Vehicle Information and Communication System:道路交通情報システム)とは光ビーコン等により車両を感知し交通制御に利用すると共に、走行車両に対してリアルタイムな交通情報を提供するシステムである。しかし、光ビーコンを一車線毎に全国整備するには膨大な予算が必要となり、早急な全国整備は困難な状況にある。そこで、既存整備である交通信号灯機が交通整理機能に用いる可視光およびその電力、設置数、設置環境、また今後LED化が進むことに注目する。本稿では、LED式交通信号灯機を利用した交通情報提供システムを提案し、その基礎検討を目的とする。本提案システムを構成するパラメータの解析に基づき、他の交通信号灯機と干渉の起こらないサービスエリアを構築し、その特性を評価する。
著者
迫田 和之 國弘 卓志 藤田 千裕 石見 英輝 鈴木 三博
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. RCS, 無線通信システム
巻号頁・発行日
vol.98, no.435, pp.75-80, 1998-11-27
被引用文献数
9

PDCシステムをベースとしたFrequency Hopping(FD)システムについて検討した。PDCシステム(ハーフレート)のTDMAフレーム長は40[ms]で6TDMAを構成しているが、充分なインターリーブを行っておらず, また強力な符号化がなされていない。そこで, 短いTDMAフレームを定義し, FHを伴うスロット間インターリーブを行うSFHシステムを検討した。なお, 検討したシステムにおいては結合力の強い強力な符号化と精度の高いパワーコントロールを採用する。変更したパラメータを用いてリンクレベルおよびシステムレベルのシミュレーションを行った。実用のためには解決しなくてはならない問題が存在するものの, 原理的にはSFHシステムが従来に比べて大きなシステム容量を実現できる可能性があることが確認できた。
著者
佐々木 英樹 ゴビン ビヌー スリニバサン クリシュナ ダルミナ シダース サンダラム ベンキー スワミナッサン マダハバン トゥマラ ラオ
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C, エレクトロニクス (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.89, no.11, pp.874-884, 2006-11-01
被引用文献数
1

本論文では,ミックスドシグナルSOP (System-On-Package)を実現する際の電気的な課題の一つとして,RF回路とディジタル回路を混載したパッケージにおけるノイズ干渉メカニズムについて検討している.SOPとは,ディジタル,アナログ,RF,オプト,MEMS (Micro Electro Mechanical Systems)などの異種デバイスを一つのパッケージ内に組み込むことで今後の複雑化するシステムをワンパッケージで実現するというコンセプトであり,現状,メモリチップとロジックチップで構成されたシステムインパッケージ(SiP)を包含するものである.本検討では,ディジタル回路と,受動素子を基板に内蔵したRF回路を混載したテスト基板を用いて,ディジタル回路のレイアウトを変えた際のRF回路に与える影響を評価し,二つのノイズ干渉メカニズムを抽出している.
著者
関 直臣 ジャオ レイ 小島 悠 池淵 大輔 長谷川 揚平 大久保 直昭 武田 晴大 香嶋 俊裕 白井 利明 宇佐美 公良 砂田 徹也 金井 遵 並木 美太郎 近藤 正章 中村 宏 天野 英晴
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.93, no.6, pp.920-930, 2010-06-01

本論文はパワーゲーティング(PG)を使った演算器レベルでの動的スリープ制御による消費電力削減機構の実装及び評価を行う.MIPS R3000のALUからシフタ,乗算器,除算器を分離し,それぞれを動的にパワーゲーティングを行う.省電力化を施したR3000コアと16kByteのL1キャッシュ,TLBを合わせて,ASPLA 90nmで試作チップGeyser-0としてテープアウトした.Geyser-0の性能,電力と面積をポストレイアウト後のシミュレーションにより評価した.この結果,4種類のアプリケーションについてリーク電力は平均約47%減らすことができた.一方,スリープ制御の実装によって生じたエリアオーバヘッドは41%であった.
著者
小幡 琢磨 佐々木 洋輔 久保村 千明 亀田 弘之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.615, pp.177-181, 2006-02-17

教師を必要とせずにエージェントを環境に適応させる枠組みとして強化学習がある.強化学習ではエージェントが環境に対して試行錯誤を繰り返すことにより,それぞれの状況に適した行動を学習することができる.試行はエージェントに実装されている行動の種類と状況の数によっては大量におこなうこととなる.現実的な環境を想定した場合にはこれらの数は増加してしまい,結果として学習が収束するまでには学習に反映されない大量の無駄な試行が存在することとなる.これらの無駄な試行には学習に有効に利用できる試行が存在すると考えられる.また状況間の類似を考慮することで,無駄な試行を減らすことが可能と考えられる.本研究ではこれらの無駄な試行に着目し,無駄な試行を経験として蓄積し,有効に利用することで学習速度を向上させることを目指した.具体的には,学習の過程における試行のなかで無駄な試行を学習に反映させる手法と,経験を蓄積することにより,類似した状況下で効率的に行動選択することのできる手法を提案する.
著者
相澤 彰子
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.78, no.1, pp.94-104, 1995-01-25
被引用文献数
14

本論文では,確率的スキーマ貧欲法(Stochastic Schemata Exploiter,SSE)と呼ぶ新しい集団型探索アルゴリズムを提案する.SSEは遺伝的アルゴリズム(Genetic Algorithms,GA)と同様に,スキーマと呼ばれる超平面表現の処理により解空間の探索を進めるが,GAと比較して局所的探索処理を重視している点が特徴である.従来,GAに関しては,その適応的な大域的探索能力が長所として強調されてきた.これに対してSSEでは,現実の最適化問題への適用ではGAの大域的探索能力が必ずしも有効な形で反映されないという観点から,GAの大域的探索処理を,集団型探索の特徴を生かしつつ簡単化して,制御パラメータの数が少なく単純な探索法を実現している.論文中では,GAにおけるスキーマ処理を概観した後にスキーマ貧欲と呼ぶ性質を定義し,これに基づきスキーマ貧欲な探索アルゴリズムを構成,簡単なGA容易/困難テスト問題を用いて単純GAと比較・評価を行っている.
著者
山下 春生 南光 孝彦 弓場 隆司 入江 宏之 杉原 泰宏
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EID, 電子ディスプレイ
巻号頁・発行日
vol.93, no.107, pp.11-16, 1993-06-24

帯域制限を利用して2値画像を低解像度の多値画像に変換するときの、情報量の変化と視認性について検討を行った。その結果、多値化処理により得られる画像が間引き処理に比べて多くの情報量を有すること、画像の情報量の視認性の評価基準として有効であることを明らかにした。また実験結果から多値化処理の条件を設定し画像の出力実験を行い、13インチディスプレイで高品位な縮小表示が可能なことを示した。
著者
釘宮 雄一 林 健司 都甲 潔
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.612, pp.49-52, 2002-01-19

食品, 化粧品, 香料の製造において, 現在でも官能検査と呼ばれる人間の鼻を使った品質管理や製品開発が不可欠である.しかし人間は長時間の検査に耐えられず, 健康状態などによっても結果が左右される.また, 環境計測や安全管理においては, 悪臭・危険臭などの人間が嫌がる検査を行わなくてはならない.さらに個人差による評価結果の違いが存在することが大きな問題である.以上のことから匂いを客観的に評価できるデバイスの開発が望まれている.本研究では新しい匂いセンサ用トランスデューサとなるガスセンサとしてグラファイト分散系に注目し, パーコレーション(percolation, 浸透)現象を利用した素子を作製した後, その特性を明らかにした.またその特性を利用し, 匂い物質のひとつであるクロロホルムに対する感度を向上させることが出来た.
著者
岸本 直人 倉島 敦子
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. RCS, 無線通信システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.11, pp.33-37, 2003-04-10

従来,音声・映像サービスの主観品質評価試験を実施するには,専用設備を有する実験室と専任スタッフによる監督が必要であり,試験会場は限られ,試験日程の調整も必要であった.そこで,誰もが都合の良い場所・都合の良い時間帯で主観品質評価試験に参加できる環境を構築する目的で,被験者自身による簡易な操作だけで主観品質評価試験を実施できるPCツール(ポータブル主観品質評価ツール)を試作した.本稿では,試作ツールの特徴を紹介し,品質評価性能の検証結果について報告する.
著者
松下 義則 佐野 孝幸 元田 武文 谷口 朗子 フセイン セイエド・イクラム
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. FTS, フォールトトレラントシステム
巻号頁・発行日
vol.98, no.293, pp.141-146, 1998-09-22

DSP開発環境において、我々が用いた設計開発環境の支援ツールの中で、機能・論理検証を支援するツールの概略を紹介し、その有用性に関して検討する。そのツールの内容は、内部信号・レジスタをDPSの実行サイクル毎にログと比較し、不一致の場合に適切なエラーレポートを作成する、というものである。また、このDSPコアに導入されたテスト手法に関して報告し、その有用性あるいは問題点に関して検討する。テスト手法の内容は、PSAとフィードバックモードによるある種の自己診断機能である。
著者
井上 雅子
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CQ, コミュニケーションクオリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.137, pp.21-25, 2008-07-17

タンチョウはアイヌの人々に「サルルン・カムイ」(湿原の神、ヨシ原の神)と呼ばれ、大切にされてきた。江戸時代までは北海道各地の湿地にいたと考えられていた。しかし、明治に入ると、北海道の開拓による営巣地の減少、狩猟による乱獲により、1900年頃には「絶滅した」と言われた。ところが、1924年、釧路湿原の一角で10数羽のタンチョウが「再発見」され、1935年には国の天然記念物に指定、さらに特別天然記念物となって今日に至っている。1950年頃から冬の給餌活動が始まり、現在は1200羽をこえるタンチョウが生息している。しかし、現在でも、生息地である湿原が減っている、交通事故や電線への接触事故など新たな危険にも曝されており、絶滅する危険性がある。本講演では、北海道に生息する野生動物の保護活動について紹介する。今後もずっとタンチョウとともに暮らしていくためには、その生態を知り、彼らにとって本当に必要なことは何かを考えて行動することが必要である。これは、タンチョウに限らず、道東にかろうじて残された野生動物すべてに言えることであり、彼らが生きていくことのできる自然を保全することが、めぐり巡って、人間の暮らしを豊かにすることにつながるのである。
著者
鈴木 一成 潘 毅 岡野 勝一 副島 潤一郎 小池 義和
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ED, 電子デバイス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.81, pp.7-10, 2009-06-04

半導体枚葉洗浄において,石英導波路管を伝搬体とした新しい超音波洗浄機用振動子を提案する.中実棒を伝搬体とした場合,超音波は縦振動で伝搬し,定在波による振動分布が生じる.一方で導波路管壁での超音波は横(屈曲)振動で伝搬し,進行波成分が増す.また,導波路管壁は伝搬液を経由した音源振動により間接的に駆動する,導波路管壁面振動には伝搬液内で生成された高調波成分が観測される.枚葉スピン洗浄機に導波路管型振動子を搭載し,CMP後洗浄での微粒子除去率(PRE:Particle removal efficiency)との関連を評価した.